JP4097324B2 - 中空成形機におけるパリソン肉厚コントロール方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明は樹脂中空成形品を得るための中空成形機におけるパリソン肉厚コントロール方法及びその装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
中空成形機は、パリソン押出装置から供給されるパリソンを金型内に収納し、打込装置から金型内のパリソンにエアを吹き込むことにより、金型の内面に刻設されたキャビティの形状に沿う中空樹脂成形品を得るものである。
【０００３】
樹脂成形品には各種の形状があるとともに、その各部位において強度維持や樹脂量削減のため肉厚を変化させることがあり、その場合、中空成形機はブロー成形法であるために、パリソン自体の肉厚をコントロールすることが必要となる。このパリソン肉厚コントロールには、通例、押出装置のダイに嵌挿されたコアの移動量をパリソンコントローラ（以下パリコンと略）でコントロールするためのプロファイル作成がなされる。
【０００４】
従来、このプロファイル作成には、肉厚が変化する変曲点とその変曲点における肉厚を、オペレーターの経験と勘により予めパリコンに入力し、これに基づき実際のブロー成形を行い、成形品の断面を観察して結果を判断し、修正が必要であれば修正するという、トライアンドエラーにて変曲点の位置と肉厚コントロール移動量を適正化している。
【０００５】
なお、図２に中空成形機のパリコン概念図を示す。押出装置９のダイ２はカップリング１０でボールねじ１１と連結され、ボールねじ１１はサーボモーター１２にて回転駆動されることにより、ダイ２の上下動調節を行うように構成されている。サーボモーター１２はサーボアンプ１３を有し、このサーボアンプ１３はサーボ制御コントローラ１４で制御され、サーボ制御コントローラ１４はプログラマブルコントローラ１５と接続している。プログラマブルコントローラ１５はディスプレイ８により入力して記憶及び演算し、かつ、ディスプレイ８のモニター画面１６に表示する。したがって、サーボ制御コントローラ１４はサーボモーター１２で回転駆動されるボールねじ１１を介し、ダイ２の垂直方向の移動量を制御し、コア１との間隙（スリット）を調節してパリソン４の肉厚を変化させる。プロファイル作成に際しては、ディスプレイ８にて製品形状設定を行う。製品形状はプラテンに保持される金型５のキャビテイ１７の形状である。
【０００６】
そこで、出願人は、中空成形機におけるパリソン肉厚コントロールのためのプロファイル作成に際し、製品の高さ、外径寸法及び要求肉厚を入力することにより、製品高さに対し変曲点の位置とその点における肉厚コントロールに必要なコア又はダイ移動量を演算させ、かつ、これらの点をスプライン補間又は直線補間させてプロファイルを作成し、このプロファイルにてパリソン肉厚をコントロールすることを特徴とするパリソン肉厚コントロール方法を提供した（特願平６−２１６７４号参照）。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
しかしながら、スプライン補間は演算に時間がかかり、オーバーシュート等の補正が必要となる不都合があり、また、直線補間の場合、変曲点での大きな動きをする時にリングマークが発生するという不都合がある。さらに、ダイとコアのスリットを変えて肉厚コントロールをするため、パリソンの押出速度は一定ではなく、プロファイル作成の時の変曲点の位置設定が難しい。
【０００８】
そこで、この発明は上記事情に鑑みて、中空成形機におけるパリソン肉厚コントロールのためのプロファイル作成に際し、演算処理時間の短縮化などによるプロファイル作成時間の短縮を目的としたパリソン肉厚コントロール方法を提供する。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる中空成形機におけるパリソン肉厚コントロール方法は、中空成形機におけるパリソン肉厚コントロールのためのプロファイルとして、時間軸に所望成形体にて肉厚が変化する複数のマスタポイントを前記所望成形体の外形形状に合わせて設定し、該マスタポイント間を直線補間し各々の変曲点を円弧補間して作成したプロファイルを使用することを特徴とする。さらに、この発明おいては、中空成形機のパリソン肉厚コントロールを電動モータで行う際、該電動モータの回転とダイヘッドのコアまたはダイの実際の上下移動量とを比較し、その差が前記プロファイルに沿って前記プロファイルの両側に設けたコントロール許容範囲の不感帯より外れた場合に警報を出力するようにすることを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図に基づき説明する。図１（ｃ）は中空成形機のヘッド３のダイコア部分を示す。コア１をサーボモータ（図示せず）で上下動させることにより、ダイ２とコア１間のスリットが変化し、ダイコアより押し出されるパリソン４の肉厚が変化する。ヘッド３の下方位置には型締装置（図示せず）が配設され、型締装置のプラテンの上端面（金型５の上端面と同一）を基準にパリソン押出長さ方向に、Ｎ個の光電管６が等間隔で配設されている。ヘッド３の出側と金型５の上端面間にはパリソンカッタ７が配設されている。
【００１１】
上記の構成にてパリソン肉厚コントロールのプロファイル作成手順を説明する。図１（ａ）に示すように、サンプルＡの形状を中空成形機の制御部のディスプレイ８上に、時間軸に任意のマスタポイントＭＰ１〜６を設定し、これらのマスタポイントＭＰ１〜６間をそれぞれ直線補間し、かつ、図１（ｂ）に示すように、各々の変曲点に任意のＲ値（Ｒ₁，Ｒ₂，Ｒ₃，Ｒ₄）をインプットして円弧補間で滑らかにし、この状態でサンプルＡ´を作成する。
【００１２】
サンプルＡ´により、等間隔配置されたＮ個の光電管６のうち、パリソンで遮光されたｎ個の光電管６の位置を、図1（ｂ）に示すように、ディスプレイ８上に表示させる。サンプルＡ´形状と光電管６からのプロファイル位置とを比較し、パリソン４のドローダウンや肉厚調整をすることで、押出速度の変化によるプロファイルのずれを確認でき、プロファイルを最適形状に合わせ込むことができる。
【００１３】
決定したマスタポイントＭＰ１〜６のプロファイルに不感帯ｘを設定し、パリソンコントロール用電動モータの回転数とコア１の上下移動量を比較し、その差が不感帯ｘより外れた場合に警報を出力する。
【００１４】
図１にて、ダイ２とコア１により形成されるスリット調節によりパリソン肉厚をコントロールしている位置と、実際に金型で挟んで成形する位置は、Ｚ域を通過する時間のずれを生じている。このため、プロファイル作成の時に、このずれ分を見込んで作成しなければならないので、プロファイル作成を難しくしている。このため、パリソンコントロールの実行タイミングを任意に設定できるようにし、Ｚ域を通過する時間を任意に設定することにより、プロファイル作成が簡単にできる。
【００１５】
以上説明したこの発明によれば、中空成形機におけるパリソン肉厚コントロールのためのプロファイル作成に際しては、時間軸に任意のマスタポイントを設定し、該マスタポイント間を直線補間し各々の変曲点を任意の円弧補間とすることで、スプライン補間を排除してその作成が短時間で出来るようになる。また、プロファイルに設けた不感帯より外れた場合に警報を出力するようにしたので、パリコンの実動が常時監視できるようになり、パリソンの品質が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図１】ディスプレイ上でのプロファイル作成手順を示す説明図である。
【図２】中空成形機のパリコン概念図である。
【符号の説明】
ＭＰ１〜６…マスタポイント
Ｒ₁，Ｒ₂，Ｒ₃，Ｒ₄…Ｒ値
ｘ…不感帯
１…コア
２…ダイ
３…ヘッド
４…パリソン
５…金型
６…光電管
７…パリソンカッタ
８…ディスプレイ

Claims (2)

1. 中空成形機におけるパリソン肉厚コントロールのためのプロファイルとして、時間軸に所望成形体にて肉厚が変化する複数のマスタポイントを前記所望成形体の外形形状に合わせて設定し、該マスタポイント間を直線補間し各々の変曲点を円弧補間して作成したプロファイルを使用することを特徴とする中空成形機におけるパリソン肉厚コントロール方法。
2. 中空成形機のパリソン肉厚コントロールを電動モータで行う際、該電動モータの回転とダイヘッドのコアまたはダイの実際の上下移動量とを比較し、その差が前記プロファイルに沿って前記プロファイルの両側に設けたコントロール許容範囲の不感帯より外れた場合に警報を出力するようにしたことを特徴とする請求項１記載の中空成形機におけるパリソン肉厚コントロール方法。

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