JP4097321B2 - 防曇性に優れた多層ストレッチフィルム - Google Patents

防曇性に優れた多層ストレッチフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食料品等をストレッチ包装する際に用いられる、防曇性に優れた多層ストレッチフィルムに関するものである。
又、本発明は、食料品等をストレッチシュリンク包装する際に用いられる、熱収縮性を有する防曇性に優れた多層ストレッチフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等では、食料品等をストレッチフィルムによりストレッチ包装して販売されている。例えば、生肉や鮮魚、或いは、果物や野菜等の生鮮食品、或いは、加工肉や惣菜等の加工食品等をトレーに盛り付けてストレッチフィルムによりストレッチ包装して販売している。
又、最近では、これらの食料品等は、熱収縮性を有するストレッチフィルムによってストレッチシュリンク包装がなされるようになってきた。
【0003】
しかし、生鮮食品、或いは、加工肉や惣菜等の加工食品等のように多量の水分が含まれていると、ストレッチ包装、或いは、ストレッチシュリンク包装された包装体は放置していると、包装用フィルムの内面に水滴が付着して、被包装物が見え難くなるという問題が生じていた。
そこで、ストレッチフィルムに防曇剤を混入させたり塗布させたりして、フィルム表面に付着する水分が水滴状にならずに膜状になるようにしたり、或いは、流れ落ちるようにする方法が提案され、又、そのようなストレッチフィルムが数多く市販されている。
又、ストレッチフィルムに、防曇剤を混入させたり、或いは、塗布させたりすることは、フィルムの自己密着性を向上させる等の面からも好ましいこととされている。
【0004】
従来、このようなストレッチフィルムにはポリ塩化ビニル系樹脂が好適に使用されていた。即ち、ポリ塩化ビニル系樹脂から作られたストレッチフィルムは、透明性に優れるのみならず自己密着性やストレッチ特性に優れ、しかも、良好なる防曇性が得られ易い等の面から多量に使用されていた。しかし、最近、公害問題等からポリ塩化ビニル系樹脂より作られたストレッチフィルムは敬遠されるようになってきた。
そこで、無公害とされるポリオレフィン系樹脂から作られたストレッチフィルムが要望されるようになってきた。そして、その要望に答えるものとして、ポリオレフィン系樹脂からなる多層構成のストレッチフィルムが提案された。
【0005】
所が、多層構成のストレッチフィルムの場合には、表面層に防曇剤を混入させていても、該防曇剤が表面にブリードし難く、良好なる防曇性を生じさせることが困難であった。特に、防曇剤を混入させた表面層に隣接する層に防曇剤が混入されていないと、その傾向は顕著であった。そこで、表面層に隣接する層にも防曇剤を混入させて、表面層に混入させた防曇剤が表面層に隣接する層に移行せず、フィルム表面にブリードし易くなるようにする方法が提案されている。しかし、該方法では、防曇剤の添加量が多くなり、生産コストが高くなるばかりか、相溶性不良等が発生し、生産性を阻害する場合がある。
【0006】
尚、ストレッチ包装とは、ストレッチフィルムを引き伸ばしながら被包装物に密着させて包被させ、フィルムの弾性力を利用して緊迫性をもたせたものである。
又、ストレッチシュリンク包装とは、熱収縮性を有するストレッチフィルムで被包装物を包被し、該包被体を加熱して熱収縮させることにより、更に緊迫性を付与させたものである。一般の熱収縮包装の場合には、空気排出用の孔を設けた熱収縮性フィルムで被包装物を包被させるが、ストレッチシュリンク包装の場合には、空気排出用の孔を有しない熱収縮性フィルムで被包装物を密封状態に包被させる。又、一般の熱収縮包装の場合には、被包装物を包被させる際に、被包装物の周囲に余裕を持たせて包被させるが、ストレッチシュリンク包装の場合には、被包装物の周囲にできるだけ余裕を持たせないように包被させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、防曇性に優れた多層構成のストレッチフィルムを提供しようとするものである。具体的には、表面層に多量の防曇剤を添加させなくても、又、防曇剤を添加させた表面層に隣接する層に防曇剤を添加させなくても、表面層に添加された防曇剤が表面にブリードし易くなるようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を講じた。即ち、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、三層以上の多層フィルムであって、少なくとも片方の表面層がエチレン系樹脂に防曇剤を添加させた樹脂組成物からなり、該表面層に隣接する層が熱可塑性樹脂に石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂を混合させた樹脂組成物からなるようにする。又、上記エチレン系樹脂がエチレン−αオレフィン共重合体であっても、本発明の効果を発揮させることができる。更に又、上記エチレン−αオレフィン共重合体が密度0.890乃至0.915g/cmの直鎖状極低密度ポリエチレン樹脂であっても、本発明の効果を顕著に発揮させることができる。又、前記エチレン系樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体であると、より本発明の効果を発揮させることができる。又、前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であると、より本発明の効果を発揮させることができる。更に、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、延伸処理により熱収縮性を有していても、本発明の効果を発揮させることができる。
【0009】
【発明の実施態様】
まず、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、少なくとも片方の表面層がエチレン系樹脂に防曇剤を添加させた樹脂組成物からなる。
エチレン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂は勿論、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−αオレフィン共重合体等の共重合体が挙げられる。
ポリエチレン樹脂は、高圧法による低密度ポリエチレン樹脂や、低圧法による高密ポリエチレン樹脂等が挙げられる。特に、自己密着性やストレッチ性等の面から低密度ポリエチレンが好ましい。しかし、該低密度ポリエチレンでも良好なる自己密着性やストレッチ性は得られ難い。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、添加された防曇剤を表面にブリードし易い樹脂として知られ、しかも、ストレッチフィルムとして要求される自己密着性やストレッチ特性をも有しているので好んで用いられる。
【0010】
エチレン−αオレフィン共重合体は、強度面に優れており、しかも、酢酸臭等を有していないことから、食品包装用のストレッチフィルムに好んで用いられている。しかし、該エチレン−αオレフィン共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のような良好なる防曇剤のブリード性を示さない。特に、密度が0.88乃至0.915g/cm、好ましくは、密度が0.88乃至0.910g/cmの直鎖状極低密度ポリエチレン樹脂は、自己密着性やストレッチ特性に優れていることから、ストレッチフィルムに好適に用いられるが、防曇剤のブリード性は余り良くない。しかも、シングルサイト系触媒を用いた直鎖状極低密度ポリエチレン樹脂の場合には、特にその傾向が顕著である。
【0011】
そこで、エチレン−αオレフィン共重合体を防曇剤の添加された表面層に用いる場合には、該防曇剤のブリード性を向上させる必要が有る。例えば、前記した如く、該表面層に多量の防曇剤を添加させたり、該表面層に隣接する層に防曇剤を添加させる必要が有る。しかし、これらの方法では、多量の防曇剤が必要であったり、強度的に劣ったストレッチフィルムが得られたりする。しかし、本発明では、防曇剤のブリード性の良くないこのようなエチレン−αオレフィン共重合体、特に、密度が0.88乃至0.915g/cmの直鎖状極低密度ポリエチレン樹脂を用いた場合でも、良好なる防曇性を生じさせることができ、しかも、上記したような欠点を生じさせない。
【0012】
本発明に用いられるエチレン−αオレフィン共重合体は、マルチサイト系触媒を用いて重合させたものでも、シングルサイト系触媒を用いて重合させたものでも使用することができる。特に、シングルサイト系触媒を用いたエチレン−αオレフィン共重合体でも良好なる防曇性を有するストレッチフィルムを得ることができる。
又、エチレン−αオレフィン共重合体の密度としては、特に限定されるものではないが、ストレッチフィルムとしての自己密着性やストレッチ特性等を考慮して、密度が0.88乃至0.915g/cm、好ましくは、密度が0.88乃至0.910g/cmの直鎖状極低密度ポリエチレンが好ましい。しかも、本発明は、前記した如く、このような密度の小さい直鎖状極低密度ポリエチレンを用いた場合でも良好なる防曇性を有するストレッチフィルムを得ることができる。
具体的なエチレン−αオレフィン共重合体としては、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0013】
尚、本発明のエチレン系樹脂は、複数種のエチレン系樹脂を混合させて使用することができる。又、エチレン系樹脂として用いられるエチレン−αオレフィン共重合体も、1種類に限定されるものでなく、複数種のエチレン−αオレフィン共重合体を混合させて使用することができる。例えば、密度0.880乃至0.915g/cmのシングルサイト系触媒により重合された直鎖状極低密度ポリエチレン樹脂に、密度が0.915乃至0.925g/cmのマルチサイト系触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂や、密度が0.915乃至0.925g/cmの高圧法低密度ポリエチレン等を混合させた樹脂組成物を使用することができる。
【0014】
防曇剤としては、特に限定されるものではなく、従来、防曇性フィルムに用いられている防曇剤をそのまま使用することができる。例えば、ジグリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンセスキラウレート、ジグリセリンセスキオレート、モノグリセリンモノラウレート、モノグリセリンモノオレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル系の防曇剤、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル系の防曇剤、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル系の防曇剤、更には、ステアリルアルコール、オレインアルコール等のアルキルアルコール系の防曇剤等が好適に用いられる。これらの防曇剤は単独で使用しても、或いは、2種類以上混合しても使用することができる。
尚、少なくとも片方の表面層に添加させる防曇剤の量としては、防曇剤の種類や被包装物の種類にもよるが、5000乃至30000ppm程度が一般的である。
【0015】
次に、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、防曇剤の添加された表面層に隣接する層が石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂を混合させた熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、ストレッチフィルムとして使用可能な熱可塑性樹脂であれは使用することができる。具体的には、ポリプロピレン系樹脂やポリアミド系樹脂、或いは、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。又、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、複数種の熱可塑性樹脂を混合させて使用することもできる。
【0016】
特に、熱可塑性樹脂のうち、ポリプロピレン系樹脂がストレッチフィルムとして要求される特性を備え、しかも、表面層のエチレン系樹脂と積層させることが容易であること等から好んで用いられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂を使用することができるのは勿論であるが、プロピレン−αオレフィン共重合体が好適である。例えば、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、或いは、エチレン−プロピレン−ブテン等の共重合体等が挙げられる。
【0017】
又、ポリプロピレン系樹脂は、複数種のポリプロピレン系樹脂を混合させて使用することができる。例えば、αオレフィンの含有量の多いプロピレン−αオレフィン共重合体と、αオレフィンの含有量の少ないプロピレン−αオレフィン共重合体とを混合させて使用することができる。具体的には、ブテンの含有量が35モル%のプロピレン−ブテン共重合体に、エチレンを5モル%含有させたエチレン−プロピレン共重合体を100重量%混合させた樹脂組成物等を用いることができる。
【0018】
石油樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等がある。そして、これらの石油樹脂は、水素化されていることが好ましい。又、テルペン樹脂としては、(C)nの組成の炭化水素化合物、及び、これらから導かれる変性化合物等がある。そして、これらの樹脂は押出成形時等の熱安定性の面から水素化された樹脂で、水素化率が80%以上、好ましくは、95%以上の水素化させたものが好ましい。
このような水素化石油樹脂としては、例えば、荒川化学工業(株)社製の“アルコン”等を挙げることができる。又、水素化テルペン樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)社製の“クリアロン”等を挙げることができる。
又、本発明に用いられる石油樹脂、或いは、テルペン樹脂としては、1種類でも、2種類以上を併用することもできる。
【0019】
尚、本発明においては、石油樹脂、或いは、テルペン樹脂の替わりに、クロマン−インデント樹脂、ロジン系樹脂、又は、それらの水素添加誘導体を用いても良好なる結果を得ることができるので、石油樹脂、或いは、テルペン樹脂には、クロマン−インデント樹脂、ロジン系樹脂、又は、それらの水素添加誘導体を含むものとする。
【0020】
熱可塑性樹脂に混合させる石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の量としては、5乃至30重量%が好ましい。これらの混合量が5重量%未満であると、良好なる防曇性を生じさせることが困難であり、30重量%を超えると、ストレッチフィルムとしての風合いや強度面等に劣るようになる。
【0021】
そして、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、防曇剤の添加されたエチレン系樹脂からなる表面層に隣接する層が、石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合された熱可塑性樹脂からなるようにする。例えば、両表面層が防曇剤の添加されたエチレン系樹脂からなり、芯層が石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合された熱可塑性樹脂なる3層構成、或いは、両表面層が防曇剤の添加されたエチレン系樹脂からなり、両中間層が石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合された熱可塑性樹脂なり、しかも、芯層が他の樹脂組成からなる5層構成のストレッチフィルムが挙げられる。又、片方の表面層が防曇剤の添加されたエチレン系樹脂からなり、もう一方の表面層が防曇剤の添加されていない樹脂組成からなり、しかも、芯層が石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合された熱可塑性樹脂なる3層構成や、片方の表面層が防曇剤の添加されたエチレン系樹脂からなり、もう一方の表面層が防曇剤の添加されていない樹脂組成からなり、しかも、防曇剤の添加された表面層に隣接する中間層が石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合された熱可塑性樹脂なり、防曇剤の添加されていない表面層に隣接する中間層と芯層が、石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合されていない樹脂組成物からなる5層構成のストレッチフィルム等が挙げられる。
【0022】
尚、ストレッチフィルムに、低温ヒートシール性や熱溶着性を付与させるために石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂を使用することは、一般によく知られている。又、熱収縮性フィルムの低温熱収縮性を付与させるために、石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂を使用することも一般によく知られている。そこで、特定の層に石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂を混入させる本発明の多層ストレッチフィルム、或いは、多層ストレッチシュリンクフィルムは、ストレッチフィルムとしての特性やストレッチシュリンクフィルムとしての特性を損なうものではない。
しかし、従来のストレッチフィルムやシュリンクフィルムに使用されている石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂は、本発明のように防曇性を向上させるために使用されるものではない。
【0023】
本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、防曇剤の添加された表面層の厚みを1.0μm以上とする。該表面層の厚みが1.0μm未満であると、該層に添加される防曇剤の量が少なくなって表面に十分ブリードせず、良好なる防曇性が得られ難くなる。尚、表面層の厚みが薄くても、該層に添加される防曇剤の量が多くなるように高濃度にすると、相溶性が悪くなったり、強度が低下したりして好ましくない。防曇剤の添加された表面層に隣接する、石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合された層の厚みを1.0μm以上とする。該層の厚みが1.0μm未満であると、防曇剤を表面に十分ブリードさせることができず、良好なる防曇性が得られ難くなる。更に、ストレッチフィルムの全体厚みとしては、7乃至30μmであることが好ましい。該フィルム厚みが7μm未満であると強度が低下し、緊迫性に優れたストレッチ包装体が得られ難くなり、しかも、得られたストレッチ包装体は、破袋が生じ易くなる。該フィルムの厚みが30μを超えると、ストレッチ性が劣るようになるばかりか、トレー等の被包装物を変形させるので好ましくない。
【0024】
尚、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、延伸処理を施して熱収縮性を付与させることも可能である。一般に、延伸処理を施すと、防曇剤のブリードが阻害されて、良好なる防曇性が得られ難いことが知られている。しかし、防曇剤の添加された表面層に隣接する層に石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂を混合させていると、延伸処理により防曇剤のブリード性が阻害されていても、良好な防曇性を得ることができる。
【0025】
又、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムは、色々な機能を付与させるために、特異な性能を有する樹脂層を設けることができる。例えば、酸素遮断性を付与させるために、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の層を設けることができる。具体的な層構成の例として、両表面層が防曇剤を添加した直鎖状極低密度ポリエチレン樹脂からなり、芯層がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなり、そして、両表面層と芯層との間の両中間層が、石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合されたプロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0026】
本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、次のような方法によって製造されるのが一般的である。
即ち、複数の押出機と多層ダイを用いて、共押出しによって製膜される。製膜方法としては、インフレーション方式とTダイ方式が一般的であり、両者共に用いることができる。勿論、前者のインフレーション方式による場合には、多層サーキュラーダイを、後者のTダイ方式による場合には、多層Tダイをもちいる。
【0027】
又、本発明の防曇性に優れた多層ストレッチフィルムに熱収縮性を付与させる場合には、共押出しされた積層未延伸原反を延伸処理する。延伸方法としては、テンター方式とインフレーション方式とが有り、両者共に用いることができる。しかし、縦方向と横方向の熱収縮バランスを持たせるためには、インフレーション方式による同時二軸延伸方法が好ましい。勿論、インフレーション方式により同時二軸延伸処理させるためには、多層未延伸原反は多層サーキュラーダイを用いてチューブ状にする必要である。
【0028】
【作用】
本発明の多層ストレッチフィルムが良好なる防曇性を生じる理由としては、明らかではないが、次のようなことが考えられる。即ち、防曇剤の添加されている表面層に隣接する層に石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂が混合されていると、表面層に添加されている防曇剤が隣接する層に移行することができず、該表面層の防曇剤の濃度が低下しないので、防曇剤が表面にブリードし易く、良好なる防曇性が得られるようになるものと考えられる。言い換えれば、石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂の混合されている表面層に隣接する層が、防曇剤の移行を遮断する働きをしているものと考えられる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例、及び、比較例を示し、本発明の内容をより具体的に説明する。
尚、ストレッチ包装試験は、寺岡精工(株)社製の突上式ストレッチ包装機(AW2600AT−PE型)を用い、発泡ポリスチレントレー(250×170×15mm)に盛り付けられた無頭海老(約150g)をフィルム幅400mmの試料フィルムでストレッチ包装を行なった。
又、ストレッチシュリンク包装試験は、大森機械(株)社製のトレーストレッチ包装機(STC−3型)を用いて、発泡ポリスチレントレー(250×170×15mm)に盛り付けられた無頭海老(約150g)をフィルム幅450mmの試料フィルムでストレッチシュリンク包装を行なった。
具体的には、前記トレーストレッチ包装機を用い、まず、フィルムの両端部を合掌シール状に重ね合わせ、圧着により筒状体を形成する。そして、その筒状体の中に無頭海老の盛り付けられた前記トレーを挿入し、該トレーの前後両端部から適宜距離を置いてフィルムを切断し、該切断端部をトレーの前後端部に沿ってトレーの裏側に折り返す。更に、フィルムの両端部が合掌シール状に重ね合わされた圧着部分とトレーの裏面に折り返されたフィルム切断端部を熱盤上に押し当て、トレーの裏面に位置するフィルムと熱密着させる。得られたストレッチ包装体を、90℃に設定された熱収縮トンネル内を1秒間で通過させることによってストレッチシュリンク包装体を得た。
更に、防曇性は、カップに70℃の温水を入れ、該カップの口を測定面が内側になるように試料フィルムで覆い、20℃の室温に0時間放置した後にフィルム表面の曇り度合いを評価した。評価としては、全く曇らない状態を「◎」、若干曇る(見る角度よっては分からない程度)状態を「○」、やや曇る状態を「△」、曇る状態を「×」と表示した。
【0030】
〔実施例1〕
3台の押出機と2種3層のサーキュラーダイを用いて、インフレーション方式により、芯層が4μm、両表面層が共に3μmの多層ストレッチフィルムを得た。
尚、芯層には、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体に、石油樹脂(水素化石油樹脂、荒川化学工業(株)“アルコン P−125”)を15重量%混合させた樹脂組成物を、両表面層には、シングルサイト系触媒により重合された密度が0.900g/cmのエチレン−ヘキセン共重合体に防曇剤としてのジグリセリンモノオレートを15000ppm添加させた樹脂組成物を用いた。
【0031】
得られた多層ストレッチフィルムを用いて、ストレッチ包装試験を行なった。その結果、良好なるストレッチ包装体を容易に得ることができた。しかも、得られたストレッチ包装体を冷蔵庫に1日放置していたが、内面に水滴が付着して銀色を呈するようなことも無く、中身がスッキリと見えていた。
尚、得られた多層ストレッチフィルムの防曇性評価は、「◎」であった。
【0032】
〔実施例2〕
3台の押出機と3種5層のサーキュラーダイを用いて、インフレーション方式によりチューブ状の多層未延伸原反を得た。
得られた、多層未延伸原反をインフレーション方式により縦方向4.0倍、横方向4.0倍延伸して、芯層が3.0μm、両表面層が共に1.5μm、そして、両中間層が共に2.0μmで多層ストレッチシュリンクフィルムを得た。
尚、芯層には、密度が0.915g/cmのエチレン−ブテン共重合体を、両表面層には、密度が0.900g/cmのエチレン−ブテン共重合体と密度が0.925g/cmのエチレン−ヘキセン共重合体を80:20の割合で混合させた混合物に防曇剤としてのジグリセリンモノオレートを20000ppm添加された樹脂組成物を、芯層と両表面層との間の両中間層には、エチレン含有量が4.5モル%のエチレン−プロピレン共重合体に石油樹脂(水素化石油樹脂、荒川化学工業(株)製“アルコン P−125”)を15重量%混合させた樹脂組成物を用いた。
【0033】
得られた多層ストレッチシュリンクフィルムを用いて、ストレッチシュリンク包装試験を行なった。その結果、良好なるストレッチシュリンク包装体を容易に得ることができた。しかも、得られたストレッチシュリンク包装体を冷蔵庫に1日放置していたが、内面に水滴が付着して銀色を呈するようなことも無く、中身が見えていた。
尚、得られた多層ストレッチシュリンクフィルムの防曇性評価は、「○」であった。
【0034】
〔比較例1〕
実施例1の芯層に石油樹脂を混合させない以外は、実施例1と同様な方法によって、多層ストレッチフィルムを得た。
得られたストレッチフィルムを用いて、実施例1と同様、ストレッチ包装試験を行なった。その結果、良好なるストレッチ包装体を得ることはできた。しかし、得られたストレッチ包装体を冷蔵庫に1日放置していると、内面に水滴が付着し、中身が見え難かった。
尚、得られたストレッチフィルムの防曇性評価は、「△」であった。
【0035】
〔比較例2〕
実施例2の両中間層に石油樹脂を混合させない以外は、実施例2と同様な方法によって、多層ストレッチシュリンクフィルムを得た。
得られた多層ストレッチシュリンクフィルムを用いて、実施例2と同様、ストレッチシュリンク包装試験を行なった。その結果、良好なるストレッチシュリンク包装体を得ることはできた。しかし、得られたストレッチシュリンク包装体を冷蔵庫に1日放置していると、内面に水滴が付着し銀色を呈し、中身が見えなかった。
尚、得られた多層ストレッチシュリンクフィルムの防曇性評価は、「×」であった。
【0036】
【効果】
本発明のストレッチフィルは防曇性に優れているので、該フィルムを用いたストレッチ包装体やストレッチシュリンク包装体は、フィルム表面に水滴が付着し、内容物が見え難くなるようなことが無い。そのため、該フィルムで包装された商品をショーケース等に陳列した際に、見栄えが良好である。
しかも、本発明の防曇性に優れたストレッチフィルムは、ストレッチ包装適性やストレッチシュリンク包装適性にも優れているので、良好なるストレッチ包装体やストレッチシュリンク包装体を得ることができる。

Claims (6)

  1. 三層以上の多層フィルムであって、少なくとも片方の表面層がエチレン系樹脂に防曇剤を添加させた樹脂組成物からなり、該表面層に隣接する層が熱可塑性樹脂に石油樹脂、及び/又は、テルペン樹脂を混合させた樹脂組成物からなることを特徴とする防曇性に優れた多層ストレッチフィルム。
  2. エチレン系樹脂が、エチレン−αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載された防曇性に優れた多層ストレッチフィルム。
  3. エチレン−αオレフィン共重合体が、密度0.890乃至0.915g/cmの直鎖状極低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項2に記載された防曇性に優れた多層ストレッチフィルム。
  4. エチレン系樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1に記載された防曇性に優れた多層ストレッチフィルム。
  5. 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載された防曇性に優れた多層ストレッチフィルム。
  6. 延伸処理により熱収縮性を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載された防曇性に優れた多層ストレッチフィルム。
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