JP4096529B2 - アニール装置 - Google Patents

アニール装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4096529B2
JP4096529B2 JP2001196563A JP2001196563A JP4096529B2 JP 4096529 B2 JP4096529 B2 JP 4096529B2 JP 2001196563 A JP2001196563 A JP 2001196563A JP 2001196563 A JP2001196563 A JP 2001196563A JP 4096529 B2 JP4096529 B2 JP 4096529B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
substrate
amorphous
film
annealing apparatus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001196563A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003017431A (ja
Inventor
茂実 大津
英一 圷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2001196563A priority Critical patent/JP4096529B2/ja
Publication of JP2003017431A publication Critical patent/JP2003017431A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4096529B2 publication Critical patent/JP4096529B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上に設けたアモルファス薄膜を結晶性の薄膜にするためのアニール装置に関するもので、特にプラスチック基材に抗菌・防汚・空気浄化・超親水性等の光触媒活性を持つ酸化チタン薄膜や、光触媒作用あるいは光起電力作用を有する光半導体薄膜、光透過率が高く低抵抗の透明導電膜を形成するためのアニール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光触媒作用あるいは光起電力作用を有する光半導体は近年その特異な応用により注目されている。なかでも二酸化チタンは、その光触媒作用に基づく酸化作用により、その表面に付着した有機物汚れ、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、悪臭物質等の空気汚染物質、細菌等が酸化分解されるといわれている。
【0003】
また、光半導体薄膜は、その光反応に基づき、その表面が高度に親水化されることも知られており、鏡(浴室、自動車)、レンズ、ガラス窓等の防曇への応用が種々考えられている。
さらに、建物外壁、自動車ガラス、窓ガラスの表面に光半導体薄膜を形成すると、その膜の表面の親水性に基づき、疎水性の汚れが付着しにくいというほか、汚れが付着しても分解され、かつ、前記の光半導体薄膜の親水性により、その汚れあるいはその分解物が、雨あるいは水洗等により容易に洗い流されるという自浄作用が得られることも知られている。
【0004】
また、光半導体薄膜は、前記のごときその表面の光化学反応に基づく、防汚、抗菌、防曇のごとき特性の他、その光起電力作用も注目されている。光起電力は、導電性薄膜と光半導体薄膜を設けた基板を、水または電解作用を有する液の中に浸漬し、前記光半導体薄膜に紫外線を照射すると、その照射部分に光起電力が発生する現象である。この現象を利用することにより、たとえば、照射部分に選択的に膜を形成することができる。すなわち、膜形成性の電着物質を含む電着液に、前記基板を浸漬し、前記導電性薄膜と液中に設けた対向電極との間にバイアス電圧を印加しあるいは印加しない状態で、光半導体薄膜に紫外線を照射すると、光半導体薄膜の光照射部分に光起電力が発生し、その部分に膜形成物質が電着される。光半導体薄膜の光起電力が充分大きい場合には、バイアス電圧を0にすることが可能である。本発明者等は、先に、前記光起電力を利用した、カラーフィルター等に有用な、極めて微細なパターンを解像度よく形成する方法を出願した(特開平11−174790号公報、特開平11−133224号公報、特開平11−335894号公報等)。
【0005】
前記光半導体薄膜は、通常、チタンアルコキシド、チタンアセテート等のチタン化合物を加水分解し、これを基材の表面に塗布し乾燥させた後、500℃以上で燒結させてアナターゼ型二酸化チタン膜を得る方法や、蒸着法によりアモルファスの二酸化チタン層を形成した後、得られたアモルファス二酸化チタン層を400℃以上でアニールしてアナターゼ型二酸化チタンを含む層とする方法や、金属チタンの表面を500℃以上で酸化して結晶化させる方法や、基材を250℃以上に加熱した状態でRFスパッタリング法によりアナターゼ型二酸化チタン膜を得る方法等が知られている。
前記方法において、アモルファス二酸化チタン膜を焼成して光半導体薄膜を形成する方法は、基板を長時間高温に加熱する必要があるので、用いる装置は、加熱手段や温度制御手段などに特別の仕様のものを用いる必要があり、コストアップにつながる。また、この装置を用いて、後述のプラスチック基材に光半導体薄膜を形成することはプラスチック基板の耐熱性の観点から実際には不可能である。また、RFスパッタリング法は、光起電力の高いアナターゼ型二酸化チタンを得る方法として優れた方法であるが、その装置は非常に高価である。
【0006】
ところで、プラスチック基材に半導体薄膜を形成する方法としては、特開平6−11738号公報に、MIM装置の半導電性結晶性シリコン膜を作製する方法として、絶縁性シリコンベース化合物材料の薄膜表面を、レーザ光等のエネルギービームで照射し、表面層を溶融し、表面層を結晶性シリコン膜に変換し、その下層に絶縁性シリコンベース化合物材料を残す方法が記載されている。また、特開平5−315361号公報には、プラスチックフィルム上に半導体薄膜を形成する方法として、プラスチックフィルムに非晶質材料膜と酸化物絶縁膜この順に形成し、酸化物絶縁膜側からレーザ光を照射し、非晶質材料膜と酸化物絶縁膜の界面近傍において非晶質材料膜を溶融し結晶化させるという、プラスチックフィルムにレーザ光による熱的ダメージを与えず、結晶化した半導体膜を作製する方法が記載されている。さらに、特開平5−326402号公報には、同様に、プラスチックフィルムにレーザ光による熱の影響をなくすため、プラスチックフィルムに熱バリア層を形成した後、アモルファスシリコン層をこの上に形成し、次いでレーザ光を照射して多結晶シリコン層を形成する方法が記載されている。
【0007】
これらの方法は、いずれも、アモルファスの半導体膜をレーザ光でアニールすることにより結晶化させる方法であるが、レーザ光による熱(1000℃になることがある)の影響がプラスチックフィルムに及ぼさないように、アモルファス半導体層の表面だけを溶融して結晶化させるか、あるいは、熱バリア層を設ける方法である。したがって、これらの方法は、アモルファス層全体を結晶化させることは不可能であるし、また、熱バリア層を設けるという他の工程を要する。 そのため、前記の方法に用いる装置には、高価なレーザ光照射装置が必要である。その上、レーザ光スポットをフィルム全体に走査することが必要であるので、フィルムを大面積化することが難しく、また、全体を結晶化させるのに長時間かかるという不利な点もある。
【0008】
一方、ITOなどの透明導電膜は、液晶表示素子、プラズマ発光表示素子、太陽電池、光デバイス等に用いる透明電極など、様々な分野で用いられその需要はますます増大しつつある。
基材上に透明導電膜を形成するには、通常、基材を200℃以上に加熱しながら、電子ビーム蒸着法(EB法)、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法などにより、基材上にアモルファス酸化物や結晶化した酸化物を形成する方法等が行われている。一般に、基材加熱を行わない場合には、抵抗値が高いアモルファス状態の酸化物しか成膜できず、抵抗値が高い膜となるが、200度以上に基板を加熱すると結晶化が進んで多結晶の酸化物薄膜が形成される。多結晶の酸化物は、一般にアモルファスの酸化物に比較して抵抗値が高い膜となる。
この方法を用いて、プラスチック基材に抵抗値が低い多結晶の透明導電膜を形成することは、プラスチック基板の耐熱性の観点から実際には不可能であり、現時点では実現されていない。
【0009】
これに対し、ITOに代わる透明導電膜として、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、酸素(O)の3成分を含む複酸化物をターゲットとしてスパッタリングを行い、欠陥蛍石型結晶構造を有する複酸化物であって、一般式:In3Sb1-X7-δ(−0.2≦X≦0.2、および−0.5≦δ≦0.5の範囲である)で表され、高価なInの含有量が少なくてもすみ、低い抵抗率と高い可視光透過性の導電膜が、特開平11−302017号公報に記載されている。この方法は、基板温度を500℃という高温に加熱した状態でスパッタリングを行うことにより結晶性の薄膜を得るものであるので、プラスチック基材の上に同方法を適用して前記複酸化物の導電性膜を形成することはできない。
同公報には、さらに、得られた結晶性の膜を100〜1300℃・0.1〜10時間の還元アニールすることにより酸素空孔を生成させ、それによる電荷補償から生じるキャリア電子の注入も可能にすることが記載されているが、このアニール処理は、結晶膜に対するアニール処理であり、アモルファス薄膜を結晶性膜に変換させるための処理ではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温でかつ簡便な工程により、基材上に設けたアモルファス薄膜を結晶性薄膜にするためのアニール装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下のアニール装置を提供することにより解決される。
(1)基材上に設けた酸化チタンを含むアモルファス薄膜を結晶性薄膜にするためのアニール装置であって、前記アモルファス薄膜を設けた基材を収容するチャンバー、チャンバーに水素を2〜5%含有する窒素ガスを導入する手段、チャンバーからガスを排出する手段、前記アモルファス薄膜を加熱するための加熱手段、前記アモルファス薄膜の温度を50℃以上300℃以下の温度範囲に制御する温度制御手段および前記アモルファス薄膜に紫外線を照射するためのエキシマランプ点灯部と紫外線導入部を備えた紫外線照射手段(以下単に「紫外線照射手段」という。)を有するアニール装置。
【0012】
)前記紫外線照射手段からの紫外線の波長が365nm以下であることを特徴とする前記(1)に記載のアニール装置。
)前記紫外線照射手段からの紫外線の波長が308nm以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のアニール装置。
)前記紫外線導入部が合成石英ガラスにより構成されることを特徴とする前記()ないし()のいずれか1に記載のアニール装置。
【0013】
)さらに、前記アモルファス薄膜を設けた基材を巻き取るための機構を設けたことを特徴とする前記(1)ないし()のいずれか1に記載のアニール装置。
)さらに、ガスの入出力部にマスフローコントローラーを設けたことを特徴とする前記(1)ないし()のいずれか1に記載のアニール装置。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のアニール装置は、基材上に設けた酸化チタンを含むアモルファス薄膜を結晶性薄膜にするために用いるもので、基材上に設けた、アモルファス酸化チタンにアニール処理を行って、酸化チタン光触媒薄膜、結晶性半導体薄膜に変換するために用いるものである。本発明のアニール装置は、アモルファス薄膜を設けた基材を収容するチャンバー、チャンバーに水素を2〜5%含有する窒素ガスを導入する手段、チャンバーからガスを排出する手段、アモルファス薄膜を加熱するための加熱手段、前記アモルファス薄膜の温度を50℃以上300℃以下の温度範囲に制御する温度制御手段およびアモルファス薄膜に紫外線を照射するためのエキシマランプ点灯部と紫外線導入部を備えた紫外線照射手段を有する。
【0016】
本発明のアニール装置は、従来のレーザアニール装置に比較して、加熱温度を300℃以下という非常に低い温度に設定することができるので、装置を形成する部材からの脱ガスの影響を少なくすることができ、低コストの部材を用いることが可能である。また、紫外線照射装置により全面に紫外線を照射するだけでよく、レーザ光照射装置を用いないので、従来のアニール装置に比較して大掛かりでなく、装置自体の価格を下げることができる。さらに、本発明のアニール装置により、大面積の基材を均一にアニール処理することが可能であり、基材上に光半導体薄膜、光触媒薄膜、透明導電膜などを効率的にかつ低価格で作製することができる。
【0017】
図1に本発明のアニール装置の一例を示す。図1は、還元性ガス雰囲気下において結晶化を行うアニール装置の一例を示す模式的概念図であり、アニール装置20は、アモルファス薄膜を設けた基材(以下においてこれを基板ということがある。)を収容するチャンバー21、紫外線照射手段22、紫外線導入部23、加熱手段24、加熱手段からの熱を伝導するための熱伝導板26、図示しない雰囲気ガス導入および排出手段、雰囲気ガス導入路27、雰囲気ガス排出路28を有している。30a、30bは、基材としてプラスチック基材等のフレキシブル基材を用いた場合に、チャンバーの外から基板を巻く巻き取り手段を示す。また、40は真空排気手段を示す。
10は基材にアモルファス薄膜を設けた基板である。また、基板10と熱伝導板26の間には、温度検知手段50が設けられ、温度制御手段52により基板の温度(アモルファス薄膜の温度)が制御される。
基板が長尺のフレキシブル基板でない場合には、バッチ式にアニール処理を行うので、前記巻き取り手段は必ずしも必要ではない。また、この装置を用いる際、チャンバー内の酸素分圧を下げるが、酸素分圧を下げるのに、真空排気手段を用いず還元性ガスを一定時間流すことにより酸素分圧を下げることも可能であるので、この場合には、真空排気手段を設けない構造とすることができる。
【0018】
紫外線照射手段としては、エキシマランプ(エキシマランプ点灯部と紫外線導入部を備えたもの)用いられる。また、紫外線の波長は短い方が光エネルギーが大きく、365nm以下、好ましくは308nm以下の紫外線が好ましく用いられる(たとえば、308nm、202nm、172nmの紫外線)。また、大面積で均一な照射を行うためには、単一のランプではなく、エキシマランプを等間隔に並べてアレー状にすることが好ましい。さらに、エキシマランプの点灯部から紫外線を導入する紫外線導入部(23)を合成石英ガラスにより構成することにより、短波長の紫外線を通過可能にすることが好ましい。
加熱手段としては電気的に加熱するヒーターが、また、熱伝導板としては、たとえば、熱伝導性セラミック板が用いられ、温度検知手段として、たとえば熱電対が用いられる。真空排気手段としては、たとえばターボ分子ポンプが用いられる。
【0019】
この装置を用いて、基材上に設けたアモルファス薄膜を結晶性薄膜にするためのアニール処理について説明する。基板10を熱伝導板26の上に置き、その後真空排気手段40によりチャンバー内を一度真空にし、内部の酸素分圧を下げる。加熱手段24により熱伝導板26を加熱し、基板の温度を上昇させる。基板温度がアニール温度に達したら、水素を2〜5%含む窒素ガスからなる還元性ガスをアニール装置に導入し、充分に還元性ガスを流して置換した後、紫外線照射を開始する。
【0020】
素分圧を低くすることによりアモルファス半導体薄膜の加熱温度をより低温にすることができる。
たとえば半導体が二酸化チタンのような酸化物半導体の場合には、水素を2〜5%(爆発限界以下)含んだ純度の高い窒素ガス還元雰囲気下(たとえば1lの内容量を有する装置を用いる場合、流量を0.5〜2 l/minとする)でアニール処理を行うと、結晶の状態がアモルファス状から多結晶化するし、また酸素の格子欠陥が生じて半導体のキャリアー濃度が増加し、半導体の光電流特性が大きく向上する。還元性雰囲気の圧力は常圧(大気圧)でよいが、減圧条件でもよい。
【0021】
紫外線照射量は、1〜50mW/cm2程度でも充分アモルファス薄膜を結晶性薄膜に変えることができる。紫外線照射時間は一般的に長い方が、アモルファス半導体薄膜をより結晶性の半導体薄膜に変換させることができる。加熱温度や作製すべき半導体薄膜の種類にもよるが、たとえば、アモルファス二酸化チタンを150℃に加熱維持する場合、10〜30分程度が適切である。
【0022】
加熱温度は、加熱時間にも依存するが、25℃以上、好ましくは50℃以上であれば充分にアモルファス状態を結晶あるいは多結晶の状態に変化させることができ、また、基板加熱の上限温度は特に制限はないが、加熱方法の選択、加熱温度の制御、エネルギーロス等の観点から、300℃程度好ましくは250℃程度であることが好ましい。結晶化度を効率よく上げたり、また、加熱条件を妥当なものとするためには、アモルファス薄膜を120〜200℃程度に加熱することが好ましい。
また、基材がプラスチック基材の場合には、その加熱上限温度は、プラスチック基材の耐熱温度である。プラスチック基材の耐熱温度とは、前記に挙げたプラスチック基材の場合、最も高いもので230℃程度である。また、前記観点からプラスチック基材の場合も120〜200℃程度(ただし、プラスチック基材の耐熱温度が200℃以下の場合はその耐熱温度までの範囲)に加熱することが好ましい。
【0024】
次に、本発明の基板に用いる基材について説明する。前記基材としては、ガラス基材、プラスチックのフィルム、シートまたは板等のプラスチック基材、セラミックスシート、セラミック板等のセラミック基材、Si、GaN、GaAs、GaP等の単結晶基板が制限なく用いられる。前記プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂(JSR社製、商品名:アートン)等のプラスチックのフィルム、シートあるいは板が挙げられ、これらはフレキシブルであることが好ましい。上記の樹脂の中でノルボルネン樹脂は、広い波長範囲において光透過率が高くかつ耐熱性に優れた樹脂として近年注目されているものである(月刊「化学経済」1997年12月号別冊)。
【0026】
また、前記酸化物透明導電膜の材料としては、SnO2にSb、Zn、またはこれらの酸化物、またはF等を添加したもの、In23にSb、Zn、Sn、Si、Ge、またはこれらの酸化物、またはF等を添加したもの、ZnOにAl、Ga、In、Ge、またはこれらの酸化物等を添加したもの、InGaO2、MgIn24、CdO、CdSnO4、CdGaO4、Cd2SnO4等の無機材料の透明導電材料が用いられる。
【0027】
本発明におけるアモルファス半導体薄膜の「アモルファス」とは、完全にアモルファス状の半導体薄膜だけをさすものではなく、アモルファス部分と結晶部分が混在しているものも前記「アモルファス」の範疇に含まれる。わずかにアモルファス部分を含む薄膜でも、本発明の処理を行うことにより結晶性が増すことが確認されている。また、本発明の結晶性薄膜の「結晶性」には、多結晶および単結晶のいずれも含まれる。
本発明の製造方法において、アモルファス薄膜の形成法としては、スパッタリング法、RFスパッタリング法、EB蒸着法、イオンプレーティング法等が用いられる。
プラスチック基材にアモルファス半導体薄膜を作製する場合には、比較的低温、たとえば、現在、透明性のよいプラスチックスとして種々知られているものの耐熱温度以下(230℃以下)においても成膜が可能で、また、基材に対する損傷が少ない、スパッタリング法やRFスパッタリング法が好ましく用いられる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1で示す構造を有するアニール装置において、紫外線照射手段として紫外線波長が172nmのエキシマランプを4個並べてアレー状にしたエキシマ照射ユニット(ウシオ電機(株)製)を用いた。加熱手段24としては電気ヒーターを、熱伝導板として熱伝導性セラミック板を、温度検知手段として熱電対を、真空排気手段としてターボ分子ポンプを用いた。このアニール装置の内容量はおよそ1Lであった。
【0029】
装置使用例1
厚さ0.7mmの無アルカリガラス基材(コーニング1737ガラス)に、RFスパッタリング法を用い、基材温度180℃で、アモルファスの二酸化チタンを110nmの膜厚になるように成膜した。次いで、実施例1の装置を用い、水素ガスを3%含む高純度窒素ガス雰囲気下(流量:1l/min、大気圧)で、前記の二酸化チタンを形成したガラス基材が150℃になるように加熱し、その温度を保ちながら、エキシマランプアレーを点灯させ、紫外線(波長:172nm、光強度:10mW/cm2)を10分間照射した。
得られたアニール処理皮膜のX線回折強度を調べたところ、2θが25.260のところに回折ピークが観察された。また、前記皮膜の接触角を調べた結果、1.5°であり、強い親水性表面であることが観察された。
この結果から、前記アニール処理により、アモルファスの二酸化チタンが、アナターゼ型の結晶構造を持った結晶化した酸化チタンに変化したことが裏付けられる。
【0030】
装置使用例2
厚さ0.1mmのプラスチックフイルム(住友ベークライト製 PESフィルム)にRFスパッタリング法を用い、温度180℃で、アモルファスの二酸化チタンを110nmの膜厚になるように成膜した。次いで、実施例1のアニール装置を用い、水素ガスを3%含む高純度窒素ガス雰囲気下(流量:1l/min、大気圧)で、前記の二酸化チタンを形成したプラスチックフィルムが150℃になるように加熱し、その温度を保ちながら、エキシマランプアレーを点灯させ、紫外線(波長:172nm、光強度:10mW/cm2)を10分間照射しては、フイルムを巻き取るということを繰り返しフイルム全面をアニール処理した。
得られたアニール処理酸化チタン膜のX線回折強度を調べたところ、2θが25.260のところに回折ピークが観察された。また、前記皮膜の接触角を調べた結果、2.5°であり、強い親水性表面であることが観察された。
この結果から、前記アニール処理により、アモルファスの二酸化チタンが、アナターゼ型の結晶構造を持った結晶化した酸化チタンに変化したことが裏付けられる。
【0031】
装置使用例3
この例では、基板として、光透過性のプラスチック基材に光透過性の導電性薄膜および光半導体薄膜を有する光触媒薄膜付き基材の作製例を挙げる。
厚さ125μmのITO付きポリカーボネートフィルムを用意し、フィルムの温度を180℃に保持しつつRFスパッタリング法により、ITO膜上に膜厚200nmのアモルファス状態の二酸化チタン(TiO2)膜を形成した。
次に、実施例1のアニール装置を用いて、3%の水素を含む高純度窒素ガスを1l/minの流量で流しながら、基材温度を125℃にコントロールし、エキシマランプアレーを点灯させ紫外線(波長:172nm、光強度:10mW/cm2)を10分間照射しては、フイルムを巻き取るということを繰り返しフイルム全面をアニール処理した。
アニール処理前後の二酸化チタン薄膜について、紫外光(1KWHg−Xeランプ、365nm、50mW/cm2)を照射し、その時の電流電圧特性を調べた。結果を図2に示す。
図2から明らかなように、アニール後では、電流密度が著しく上昇しており、アニール処理により、アモルファス二酸化チタンが結晶化したことが裏付けられる。また、アニール時間を長くすることにより光電流密度がより増加することが分かる。、さらに、X線回折により、2θが25.260のところにX線の回折ピークが観察されアナタース型に結晶構造が変化したことが分かった。
【0032】
【発明の効果】
本発明のアニール装置は、従来のレーザアニール装置に比較して、加熱温度を300℃以下という非常に低い温度に設定することができるので、装置を形成する部材からの脱ガスの影響を少なくすることができ、低コストの部材を用いることが可能である。また、紫外線照射装置により全面に紫外線を照射するだけでよく、レーザ光照射装置を用いないので、従来のアニール装置に比較して大掛かりでなく、装置自体の価格を下げることができる。さらに、本発明のアニール装置により、大面積の基材を均一にアニール処理することが可能であり、基材上に光半導体薄膜、光触媒薄膜、透明導電膜などを効率的にかつ低価格で作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアニール装置の一例を示す模式図である。
【図2】アモルファス二酸化チタン薄膜のアニール前後での電流電圧特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 基板
12 プラスチック基材
14 導電性薄膜
16 半導体薄膜
20 アニール装置
21 チャンバー
22 紫外線照射手段
24 加熱手段
40 真空排気手段
52 温度制御手段

Claims (6)

  1. 基材上に設けた酸化チタンを含むアモルファス薄膜を結晶性薄膜にするためのアニール装置であって、前記アモルファス薄膜を設けた基材を収容するチャンバー、チャンバーに水素を2〜5%含有する窒素ガスを導入する手段、チャンバーからガスを排出する手段、前記アモルファス薄膜を加熱するための加熱手段、前記アモルファス薄膜の温度を50℃以上300℃以下の温度範囲に制御する温度制御手段および前記アモルファス薄膜に紫外線を照射するためのエキシマランプ点灯部と紫外線導入部を備えた紫外線照射手段を有するアニール装置。
  2. 前記紫外線照射手段からの紫外線の波長が365nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアニール装置。
  3. 前記紫外線照射手段からの紫外線の波長が308nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアニール装置。
  4. 前記紫外線導入部が合成石英ガラスにより構成されることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか1項に記載のアニール装置。
  5. さらに、前記アモルファス薄膜を設けた基材を巻き取るための機構を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のアニール装置。
  6. さらに、ガスの入出力部にマスフローコントローラーを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のアニール装置。
JP2001196563A 2001-06-28 2001-06-28 アニール装置 Expired - Fee Related JP4096529B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001196563A JP4096529B2 (ja) 2001-06-28 2001-06-28 アニール装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001196563A JP4096529B2 (ja) 2001-06-28 2001-06-28 アニール装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003017431A JP2003017431A (ja) 2003-01-17
JP4096529B2 true JP4096529B2 (ja) 2008-06-04

Family

ID=19034348

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001196563A Expired - Fee Related JP4096529B2 (ja) 2001-06-28 2001-06-28 アニール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4096529B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3997731B2 (ja) * 2001-03-19 2007-10-24 富士ゼロックス株式会社 基材上に結晶性半導体薄膜を形成する方法
JPWO2005089942A1 (ja) * 2004-03-18 2007-08-09 独立行政法人科学技術振興機構 GaN光触媒
JP2008130590A (ja) * 2006-11-16 2008-06-05 Sumitomo Heavy Ind Ltd 複合処理装置、及び、複合処理方法
JP2013069679A (ja) * 2011-09-07 2013-04-18 Nitto Denko Corp 透明導電性フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003017431A (ja) 2003-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3997731B2 (ja) 基材上に結晶性半導体薄膜を形成する方法
JP4116300B2 (ja) 酸化チタン光触媒薄膜および該酸化チタン光触媒薄膜の製造方法
US6793980B2 (en) Method of forming photo-catalytic film made of titanium oxide on base material and laminated material thereof
JP4823321B2 (ja) 光触媒体の製造装置
US6436542B1 (en) Multilayer structure and process for producing the same
JP4110752B2 (ja) 基材上に設けた透明導電膜を低抵抗化する方法。
EP1637225A1 (en) Photocatalyst member
WO2014028283A2 (en) SEED LAYER FOR ZnO AND DOPED-ZnO THIN FILM NUCLEATION AND METHODS OF SEED LAYER DEPOSITION
EP2086014B1 (en) Method for producing conductive oxide-deposited substrate and MIS laminated structure
JP4096529B2 (ja) アニール装置
US20120073640A1 (en) Pulsed photothermal phase transformation control for titanium oxide structures and reversible bandgap shift for solar absorption
JP4377003B2 (ja) 透明導電膜のシート抵抗値の調整方法及び透明導電膜の形成方法
JP4082008B2 (ja) シート基材に結晶性化合物薄膜を形成する方法およびそのための装置
JP4292759B2 (ja) 基材上に酸化チタン光触媒薄膜を形成する方法
WO2008041551A1 (fr) Procédé de fabrication d'un film d'oxyde d'étain conducteur transparent
JP4837226B2 (ja) 光触媒体及び光触媒体の製造方法
JPH0414705A (ja) 透明導電膜およびその製造方法
JP2008110320A (ja) 光触媒体及び光触媒体の製造方法
CN115125494A (zh) 过滤阴极电弧法制备TiO2基透明导电薄膜的方法及应用
JPH0432106A (ja) 透明導電膜およびその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070313

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070514

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080303

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140321

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees