JP4095931B2 - 再生利用水生成装置及び再生利用水生成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば乾燥海苔の生産工程で使用された海苔抄き水を処理して再利用可能にする場合等に適用される再生利用水生成装置及びその装置によって実施される再生利用水生成方法に係る。特に、本発明は、水質の良好な再生利用水を高効率で生成するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、乾燥海苔(板海苔)の生産工場においては、板海苔1枚当たりの水の使用量として1〜2リットルが必要であり、1時間当たり10000枚の板海苔を生産する工場では1時間当たり10〜20m3の水が必要である。従って、工場の運転を1日10時間行った場合の1日当たりの使用水量は100〜200m3にも及ぶことになる。この使用水量の大半は、海苔抄機において海苔簀によって紙葉状の海苔を抄製する際に使用される海苔抄き水として消費されている。
【0003】
一般に、板海苔の生産は海苔の栽培から板海苔の加工まで生産者が一括して行っており、地域によっては水不足が懸念されるため、海苔抄き水をリサイクルして使用しているのが現状である。つまり、板海苔の加工に使用された海苔抄き水(使用済み海苔抄き水)中に含まれる汚濁物質等を除去して浄化し、その水を海苔抄き水として再利用できるようにしている。
【0004】
以下、汚濁物質等を含有する排水(使用済みの海苔抄き水)を処理してリサイクル(再利用)する場合の乾燥海苔生産システムについて図4のブロック図を用いて説明する。
【0005】
図4に示すように、乾燥海苔生産システムは、収穫した海苔原藻と洗浄用海水とを攪拌洗浄槽aにおいて混合攪拌すると共に海苔原藻を細断(ミンチ)して洗浄する。その後、この細断された海苔原藻は、淡水が貯留された濃度調整槽bに送られ、ここで、海苔原藻と淡水との混合水が抄製に適した所定濃度(適正濃度)に調整される。そして、この混合水は海苔抄機cに送られ、ここで、海苔簀によって紙葉状の海苔が抄製される。
【0006】
この抄製された海苔は、乾燥機dで乾燥された後、剥離機eで海苔簀から剥離され、選別、焼海苔加工(殺菌)された後、製品として出荷されることになる。
【0007】
一方、上記海苔抄機cから排出された排水(使用済みの海苔抄き水)は、再利用可能となるように処理装置fによって処理される。この処理装置fで処理されて浄化された水は濃度調整槽bに戻されて海苔抄き水として再利用される。尚、この濃度調整槽bには、海苔抄き水の不足分を補うために水道水が補充されるようになっている。
【0008】
使用済みの海苔抄き水を浄化するための上記処理装置fとしては、下記の特許文献1及び特許文献2に開示されているものが知られている。これら特許文献には、2段階の濾過工程を行うことによって、海苔抄き水の汚濁物質を除去してこの海苔抄き水を浄化して再利用可能とすることが開示されている。
【0009】
具体的には、特許文献1には、1次側の濾過器を40〜400メッシュの金網から成るスクリーンとし、2次側の濾過器を砂濾過器とした構成が開示されている。一方、特許文献2には、1次側の濾過器をパンチングメタル筒とし、2次側の濾過器を微小孔を有する濾筒(素焼、濾紙筒、活性炭)とした構成が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−282865号公報
【特許文献2】
特開2001−269141号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、海苔抄き水中の汚濁物質は、海苔葉屑、海苔顆粒タンパク質、海苔色素体等の有機質を多量に含有する懸濁物質(Suspended Solid:SS成分)であるため、上述した各特許文献に開示されている技術にあっては濾過材の目詰まりが頻繁に発生する。
【0012】
このため、濾過材に目詰まりが生じた際には、大掛かりな逆洗装置により濾過材の逆流洗浄処理が必要となる。その結果、設備コストが高くなり、工程の煩雑化により海苔の製造コストも高くなるといった課題があった。
【0013】
また、1次側及び2次側の両濾過器において定期的な逆流洗浄が必要であるため、この逆流洗浄に要する水量が多く必要になってしまい、処理装置を設けたことの本来の目的である「水のリサイクルによる節水」を大きく阻害してしまうことになる。特に、2次側の濾過器にあっては、濾過のためのメッシュが細かいために目詰まりが頻繁に発生する可能性が高く、この2次側の濾過器において使用する逆流洗浄水が、「節水」を大きく阻害していた。
【0014】
上記の課題は、海苔抄き水の処理装置に限らず、食品加工に使用された排水中の懸濁物質等を除去することによってその水を再利用する種々の処理装置においても同様に発生している。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排水中の懸濁物質等を除去することによってその水の再利用を可能にするに際し、逆流洗浄水の大幅な削減を図りながらも、水質の良好な再生利用水を高効率で生成することが可能な再生利用水生成装置及び再生利用水生成方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、食品の加工に使用された使用済み水を再利用可能とするための手段として泡沫分離を使用し、この泡沫分離によって水面に浮遊した気泡に対して送風を行い、これによって、処理水中の不純物を気泡と共に貯留槽の外部に向けて強制的に搬送するようにしている。
【0017】
−解決手段−
具体的には、食品の加工に使用された使用済み水を再利用可能となるように処理するための再生利用水生成装置を前提とする。この再生利用水生成装置に対し、貯留槽、気泡供給手段、送風手段を備えさせる。
貯留槽は、一次処理によって粗ゴミが除去された使用済み水を貯留する。気泡供給手段は、貯留槽内に貯留されている使用済み水中に気体を気泡状にして連続的に供給する。送風手段は、気泡供給手段からの気体供給に伴って使用済み水の水面に浮遊する気泡を貯留槽の外部に向けて水面上で搬送するための送風を行う。
しかも、上記貯留槽の下端近傍には、気泡発生用水取り出し口および気泡供給口がそれぞれ形成され、上記気泡発生用水取り出し口は、上記気泡供給手段において気泡を生成するために使用する水を貯留槽から抽出すべく、気泡供給手段と気泡発生用水取り出し管によって接続され、上記気泡供給口は、気泡供給手段の内部で生成された微細な気泡を貯留槽の内部に供給すべく、気泡供給手段と気泡供給管によって接続され、上記気泡発生用水取り出し口の開口位置と気泡供給口の開口位置との間には、気泡供給口から供給された気泡が気泡発生用水取り出し口へ短絡しないためのバッフルプレートが設けられている。
また、上記貯留槽の上端近傍位置には、送風導入口および気泡排出口がそれぞれ形成され、送風導入口は、上記送風手段からの送風を貯留槽の内部に導入すべく、送風手段と送風管によって接続され、気泡排出口には、上記送風によって搬送された気泡を上記貯留槽の外部に排出すべく、気泡排出管が接続され、上記貯留槽の内部空間には、送風が送風導入口から処理タンクの中央に向かう経路と、処理タンクの中央から気泡排出口に向かう経路とを形成するように、上記送風手段からの送風が送風導入口から気泡排出口へ短絡しないためのバッフルプレートが取り付けられている。
これにより、使用済み水中の不純物を気泡と共に貯留槽の外部に排出し、この貯留槽中に残った処理水を再生利用水として取り出し可能な構成としている。
【0018】
この特定事項により、先ず、食品の加工(例えば乾燥海苔の生産)に使用された使用済み水(使用済み海苔抄き水)は、一次処理によって粗ゴミが除去された後に貯留槽に一時的に貯留される。この貯留槽内では、気泡供給手段によって気体が気泡状に連続的に供給されている。これにより、使用済み水中の不純物は気泡中に取り込まれて使用済み水の水面に浮上する。そして、使用済み水の水面に浮遊している気泡に対して送風手段からの送風が行われており、これによって上記不純物を取り込んだ気泡は、貯留槽の外部に向けて水面上で搬送され、例えば貯留槽の排出口から排出される。このようにして使用済み水中の不純物は連続的に貯留槽から排出されていく。このため、貯留槽中に残った処理水は不純物を殆ど含まない浄化された水となり、食品の加工に再利用可能な水(海苔抄き水)として貯留槽から取り出されることになる。
【0019】
以上の動作によって使用済み水が浄化されて再生利用水が生成される。つまり、本解決手段における再生利用水の生成動作にあっては、濾過による使用済み水の浄化を採用していないため逆流洗浄が不要である。従来では、逆流洗浄に要する水量が多く必要になってしまい、水をリサイクルすることの本来の目的である「節水」を大きく阻害してしまっていたが、本解決手段によれば、貯留槽に貯留された使用済み水の殆どを再生利用水として生成することが可能となり、食品加工システム全体として大幅な節水を実現することができる。
【0020】
上記一次処理を行う構成として具体的には、メッシュ式の濾過器によって使用済み水中の粗ゴミを除去するようにしている。これによれば、貯留槽の内部には微細な不純物のみが使用済み水と共に流入することになり、この不純物を気泡によって容易に取り込んで水面に浮遊させることが可能となって、再生利用水の浄化効率の向上を図ることが可能となる。また、比較的メッシュの粗い一次処理のみに濾過器を採用したことにより、この濾過器に対する逆流洗浄動作の頻度は少なくてよく、逆流洗浄水の使用量が少なくて済むため、これによっても食品加工システム全体として大幅な節水を実現することができる。
【0021】
この場合、貯留槽中の処理水の一部を取り出して、メッシュ式の濾過器を逆流洗浄するための逆流洗浄水として使用可能にする逆流洗浄水取り出し手段を設けるようにしている。これによれば、逆流洗浄水を貯留しておくための特別なタンクが不要になり、再生利用水生成装置の構成の簡素化及びコンパクト化を図ることができる。
【0022】
上記気泡供給手段によって使用済み水中に連続的に供給される気体として、具体的には空気またはオゾンを採用している。特に、オゾンを採用した場合には、このオゾンによる処理水の殺菌・脱色を行うことが可能になる。つまり、このオゾンに、気泡の発生源としての機能と、処理水の殺菌・脱色のための機能とを兼ね備えさせることができる。
【0023】
更に、処理水の殺菌・脱色を行うための構成としては以下のものが掲げられる。つまり、貯留槽内に貯留されている使用済み水中に殺菌剤を添加する構成、貯留槽内に貯留されている使用済み水を電気分解する電気分解手段を設けた構成、一次処理の前段階において使用済み水中に殺菌剤を添加する構成である。これら特定事項により、処理水の殺菌・脱色を効果的に行うことができ、水質の良好な再生利用水を生成することが可能になる。
【0024】
また、一次処理を行う構成としてメッシュ式の濾過器を備えさせた場合において、このメッシュ式の濾過器を貯留槽の上方に設置し、このメッシュ式の濾過器において粗ゴミが除去された使用済み水を貯留槽内に落下供給するようにしている。これによれば、濾過器から貯留槽内に使用済み水を搬送するための特別な搬送駆動源は必要なくなり、コストの低廉な再生利用水生成装置を実現することが可能となる。
【0025】
本願再生利用水生成装置において実施される再生利用水生成方法は、一次処理によって粗ゴミが除去された使用済み水を貯留槽に貯留し、この使用済み水中に気体を気泡状にして連続的に供給すると共に、この気体供給に伴って使用済み水の水面に浮遊する気泡を貯留槽の外部に向けて水面上で搬送するための送風を行い、バッフルプレートにより、送風は上記送風導入口から貯留槽の中央に向かう経路を流れ、さらに、貯留槽の中央から上記気泡排出口に向かう経路を流れ、これによって、使用済み水中の不純物を気泡と共に貯留槽の外部に排出し、この貯留槽中に残った処理水を再生利用水として取り出すようにした再生利用水生成方法である。この方法によっても上述した各解決手段と同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、乾燥海苔生産システムにおける海苔抄き水処理装置(再生利用水生成装置)として本発明を適用した場合について説明する。この乾燥海苔生産システムの全体構成及び生産工程は、上記図4を用いて説明した場合と略同様であるので、ここでの説明は省略し、以下の説明では、濃度調整槽から海苔抄き水処理装置までの構成及び処理動作についてのみ説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る乾燥海苔生産システムにおける濃度調整槽A、海苔抄機B、海苔抄き水処理装置Cの設置状態の模式図である。また、図2は海苔抄き水処理装置Cを示す(海苔抄き水処理装置Cの架台1を仮想線で示す)図である。
【0028】
濃度調整槽Aには淡水が貯留されており、図示しない攪拌洗浄槽において細断された海苔原藻が、この濃度調整槽Aにおいて、淡水中に混入され、この混合水が抄製に適した所定濃度(適正濃度)に調整される。そして、この混合水は海苔抄機Bに送られ、ここで、海苔簀によって紙葉状の海苔が抄製されるようになっている。
【0029】
そして、海苔抄機Bから排出された排水(使用済みの海苔抄き水)は、一旦、排水ピットD内に回収貯留された後、この排水ピットD内に設置されたポンプD1の駆動に伴って海苔抄き水処理装置Cに供給されるようになっている。
【0030】
−海苔抄き水処理装置Cの構成説明−
以下、海苔抄き水処理装置Cの構成について説明する。図1及び図2に示すように、本海苔抄き水処理装置Cは、各機器を収容する架台1を備えており、この架台1の上部には濾過器としてのドラムフィルタ(ドラムスクリーン)2が設置されている。また、架台1の内部には、貯留槽としての処理タンク3、処理水ポンプ4、逆洗浄用ポンプ5、気泡供給手段としての気泡発生装置6、送風手段としてのブロア7が収容されている。架台1の内部に収容されている各機器の配置レイアウトとしては、図2に示すように、架台1の一方側(図中の右側)に処理タンク3が、架台1の他方側(図中の左側)に処理水ポンプ4、逆洗浄用ポンプ5、気泡発生装置6が設置されている。処理水ポンプ4及び逆洗浄用ポンプ5は、架台1の底部に併設されている。気泡発生装置6は逆洗浄用ポンプ5の上方に設置されている。また、ブロア7は処理タンク3の上部に設置されている。つまり、これら処理タンク3、処理水ポンプ4、逆洗浄用ポンプ5、気泡発生装置6、ブロア7は、架台1の内部にワンパッケージとして収容された設置状態となっている。以下、各部材について説明する。
【0031】
ドラムフィルタ2は、架台1の上部に取り付けられたフィルタカバー21の内部に設置されており、例えば♯60(60メッシュ)の金網がドラム形状に形成されて成っている。そして、このドラムフィルタ2は、水平方向に延びるドラムの軸心回りに回転自在となるように支持されている。また、このドラムフィルタ2は、図示しないモータからの駆動力を受けて上記軸心回りに回転可能となっている。
【0032】
上記排水ピットD内に設置されたポンプD1の排出側から延びる第1供給管91は、このドラムフィルタ2の内部で開放しており、排水ピットD内に貯留されている排水(使用済みの海苔抄き水)が連続的にドラムフィルタ2の内部に供給されるようになっている。これにより、海苔抄き水中に含まれている粗ゴミ(海苔葉屑やその他の固形物)がドラムフィルタ2内部に残り、海苔抄き水中から粗ゴミが除去されることになる。
【0033】
また、ドラムフィルタ2の下部には回収パン22が設けられており、ドラムフィルタ2を通過した海苔抄き水が回収パン22に回収されるようになっている。更に、この回収パン22には第2供給管92が接続されており、この第2供給管92によって回収パン22内の海苔抄き水が処理タンク3の内部に流下されるようになっている。
【0034】
図3は処理タンク3の外観を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。これら図に示すように、処理タンク3は、略直方体状であって、例えば高さ寸法が1000mmの比較的大型の容器で成っている。
【0035】
また、図3(b)に示す如く、処理タンク3の側壁の下端近傍位置には、処理水取り出し口31、逆洗水取り出し口32、ドレン排出口33がそれぞれ形成されている。
【0036】
処理水取り出し口31は、処理タンク3の内部で処理されて浄化された水を取り出すための開口である。この処理水取り出し口31と上記濃度調整槽Aとは処理水戻し管93によって接続されており、この処理水戻し管93には上記処理水ポンプ4が設けられている。つまり、この処理水ポンプ4の駆動によって、処理タンク3の内部の水が処理水戻し管93を経て濃度調整槽Aに戻されるようになっている。尚、上記処理水戻し管93には、処理水を必要に応じて排出するための放流管93aが接続されている。
【0037】
逆洗水取り出し口32は、上記ドラムフィルタ2を逆流洗浄する際に使用する逆流洗浄水を取り出すための開口である。このため、この逆洗水取り出し口32には逆流洗浄水配管94が接続されており、この逆流洗浄水配管94には上記逆洗浄用ポンプ5が設けられている。また、逆流洗浄水配管94の下流端はドラムフィルタ2の上方で開放している。このため、逆洗浄用ポンプ5の駆動によって、処理タンク3内部の水の一部が逆流洗浄水配管94を経てドラムフィルタ2の上方からドラムフィルタ2の内部に向けて供給され、これによってドラムフィルタ2の内面に付着している粗ゴミ等が洗い流されるようになっている。このようにして上記逆流洗浄水配管94及び逆洗浄用ポンプ5によって本発明でいう逆流洗浄水取り出し手段が構成されている。また、ドラムフィルタ2の内部において、上記逆流洗浄水配管94の下流端に対向する位置には逆洗水回収パン23が設けられており、洗い流された粗ゴミは逆流洗浄水と共に逆洗水回収パン23に回収されてドラムフィルタ2から排出されるようになっている。
【0038】
ドレン排出口33は、処理タンク3を洗浄する場合などにおいて、この処理タンク3内の水を抜き取る際に開放される開口である。
【0039】
一方、図3(c)に示す如く、処理タンク3の他の側壁の下端近傍位置には、気泡発生用水取り出し口34、気泡供給口35がそれぞれ形成されている。
【0040】
気泡発生用水取り出し口34は、上記気泡発生装置6において気泡を生成するために使用する水を処理タンク3から抽出するものである。このため、この気泡発生用水取り出し口34と気泡発生装置6とは気泡発生用水取り出し管95によって接続されており、気泡発生装置6の駆動に伴って、この気泡発生用水取り出し管95から処理タンク3内の水の一部が取り出されて気泡発生装置6に導入されるようになっている。
【0041】
そして、この気泡発生装置6は、内部にカスケードポンプ等の駆動源を備えており、気泡発生用水取り出し管95から導入された水と空気とを攪拌混合して微細な気泡を生成するようになっている。
【0042】
この気泡発生装置6と上記気泡供給口35とは気泡供給管96によって接続されており、気泡発生装置6の内部で生成された微細な気泡を気泡供給管96によって処理タンク3の内部に供給するようになっている。この処理タンク3の内部への気泡の供給により、処理タンク3内の水には泡立ちが生じ、その泡が水面に浮遊することになるが、このとき、水中の不純物(懸濁物質のほか、菌類、プランクトンその他の有機物等)は気泡中に取り込まれて水面に浮上することになる。つまり、泡沫分離によって、水中の不純物のみが水面に浮上することになる。
【0043】
尚、上記気泡発生用水取り出し口34の開口位置と気泡供給口35の開口位置との間には、気泡供給口35から供給された気泡が気泡発生用水取り出し口34へ短絡しないためのバッフルプレート39が設けられている。
【0044】
一方、図3(b)に示す如く、処理タンク3の側壁の上端近傍位置には、送風導入口36、気泡排出口37がそれぞれ形成されている。
【0045】
送風導入口36は、上記ブロア7からの送風を処理タンク3の内部に導入するための開口である。このため、この送風導入口36とブロア7とは送風管97によって接続されており、ブロア7の駆動に伴って、この送風管97から処理タンク3内に向けて所定風速の送風が行われるようになっている。
【0046】
また、気泡排出口37は、上記送風によって搬送された気泡を処理タンク3の外部に排出するための開口である。このため、この気泡排出口37には気泡排出管98が接続されている。
【0047】
このブロア7からの送風経路について具体的に説明する。図3(a)に示すように、処理タンク3の内部空間には、ブロア7からの送風が送風導入口36から気泡排出口37へ短絡しないためのバッフルプレート38が取り付けられている。つまり、このバッフルプレート38は、処理タンク3の内面において送風導入口36の形成位置と気泡排出口37の形成位置との略中間位置から処理タンク3の中央に向かって延びる板材で形成されており、送風導入口36から処理タンク3の中央に向かう経路と、処理タンク3の中央から気泡排出口37に向かう経路とを形成している。これにより、ブロア7からの送風は、処理タンク3の内部において図3(a)中に矢印で示すように略U字状に流れ、水面に浮遊している気泡の大部分を気泡排出口37へ導くようになっている。
【0048】
尚、送風導入口36の開口位置は気泡排出口37の開口位置よりも僅かに高い位置に設定されている。これは、処理タンク3内の水位が異常上昇した場合に、余剰水を気泡排出口37からオーバフローさせることによって、送風導入口36からブロア7に向けて水が浸入しないようにするためである。
【0049】
−殺菌・脱色のための構成−
本海苔抄き水処理装置Cにあっては、処理後の水の水質をより良好にするべく、この水の殺菌・脱色を行うために、以下の構成が採用されている。
【0050】
先ず、第1の手段として、上記排水ピットDの内部に殺菌剤としての酸化剤を添加している。この酸化剤として具体的には次亜塩素ナトリウム(次亜塩素酸アルカリ)や二酸化塩素(ClO2)が採用される。この酸化剤の添加は、作業者による添加作業によって行うようにしてもよいし、定期的に酸化剤を自動添加する酸化剤添加装置を設置するようにしてもよい。
【0051】
また、第2の手段として、上記処理タンク3の内部に酸化剤を添加している。この酸化剤としても上述の場合と同様に、亜塩素ナトリウム(次亜塩素酸アルカリ)や二酸化塩素(ClO2)が採用される。この処理タンク3への酸化剤の添加にあっても、作業者による添加作業によって行うようにしてもよいし、定期的に酸化剤を自動添加する酸化剤添加装置を設置するようにしてもよい。
【0052】
更に、第3の手段として、処理タンク3内の水を電気分解するための電気分解手段としての電気分解装置8が設けられている。つまり、処理タンク3の内部に正負の両電極(チタンや白金等で成る)を設置しておくと共にこの電極に電源(バッテリ)を接続する構成としたものである。処理タンク3内の水には多少(1%程度)の塩分(海水中の塩分)が残存しているため、両電極への通電によって電気分解が可能であり、この電気分解に伴って水素や塩素が発生することになる。これにより、電気分解により発生した塩素によって水の殺菌・脱色を行うようにしている。
【0053】
また、第4の手段として、上記気泡発生装置6において気泡を発生させるための気体として上記空気に代えてオゾンを適用してもよい。つまり、処理タンク3内の水にオゾンによる気泡を供給することにより水の殺菌・脱色を行うようにしている。
【0054】
−海苔抄き水処理動作の説明−
次に、上述の如く構成された海苔抄き水処理装置Cの動作について説明する。
【0055】
先ず、海苔抄機Bから排出された排水(使用済みの海苔抄き水)は、一旦、排水ピットD内に貯留された後、この排水ピットD内に設置されたポンプD1の駆動に伴って第1供給管91により海苔抄き水処理装置Cのドラムフィルタ2の内部に供給される。このとき、ドラムフィルタ2は回転しておらず、このドラムフィルタ2によって粗ゴミが除去された海苔抄き水は、ドラムフィルタ2を通過して回収パン22に回収される。
【0056】
この回収パン22に回収された海苔抄き水は、その後、第2供給管92を経て処理タンク3の内部に流下されていく。
【0057】
一方、気泡発生装置6では、気泡発生用水取り出し管95から導入された水と空気(またはオゾン)とが攪拌混合されて微細な気泡が生成されており、この気泡が気泡供給管96によって処理タンク3の内部に供給される。これにより、処理タンク3の内部では水に泡立ちが生じており、その泡が水面に浮遊していく。このとき、水中の不純物は気泡中に取り込まれて水面に浮上することになる。つまり、泡沫分離によって、水中の不純物のみが水面に浮上することになる。
【0058】
この泡沫分離動作と並行してブロア7が駆動し、このブロア7によって発生した送風が送風管97から処理タンク3内に向けて送られる。この送風によって、上記不純物を取り込んだ気泡は、図3(a)に矢印で示すように搬送され、気泡排出口37に向かって流れて気泡排出管98から処理タンク3の外部に強制的に排出される。これにより、気泡と共に上記不純物が処理タンク3の外部に排出されることになる。このようにして排水中の不純物は連続的に処理タンク3から排出されていき、処理タンク3中に残った水は不純物を殆ど含まない浄化された水となる。
【0059】
このような廃水の浄化動作と並行して、処理水ポンプ4が駆動し、処理タンク3の内部の水(処理済みの水)が再生利用水として処理水戻し管93を経て濃度調整槽Aに戻される。尚、この濃度調整槽Aでは、海苔抄き水の不足分を補うために水道水が補充されている。また、処理水ポンプ4の駆動制御動作としては、処理タンク3内に水位センサが設けられており、この水位センサの出力信号に応じて処理水ポンプ4の駆動制御が行われる。例えば、処理タンク3内の水位が上限(水面が上記気泡排出口37に達する水位)に達したことを検知する水位センサと、水位が下限(水面が上記気泡発生用水取り出し口34に達する水位)に達したことを検知する水位センサとを備えさせ、水位が下限に達したことが検知されると処理水ポンプ4を停止させ、水位が上限に達したことが検知されると処理水ポンプ4を駆動させるよう制御を行う。
【0060】
また、上述した如く、本海苔抄き水処理装置Cでは、水の殺菌・脱色を行うための各手段が採られているため、雑菌等が殆どなく且つ無色透明の水が生成されている。
【0061】
また、上記ドラムフィルタ2の内部には図示しない水位センサが設けられており、ドラムフィルタ2の目詰まりによってドラム内水位が所定水位以上に上昇した場合には、ドラムフィルタ2の逆流洗浄動作が行われる。この逆流洗浄動作は、逆洗浄用ポンプ5が駆動すると共にドラムフィルタ2が回転することにより行われる。つまり、処理タンク3内部の水の一部が逆流洗浄水配管94を経てドラムフィルタ2の上方からドラムフィルタ2の内部に向けて供給され、これによってドラムフィルタ2の内面に付着している粗ゴミ等が洗い流されるようになっている。また、洗い流された粗ゴミは逆流洗浄水と共に逆洗水回収パン23に回収されてドラムフィルタ2から排出される。尚、この逆流洗浄動作時におけるドラムフィルタ2の回転数は1rpmであり、逆流洗浄時間は数十秒程度であって、使用する逆流洗浄水としては10リットル程度である。また、水位センサを備えさせることなしに、所定時間毎にドラムフィルタ2の逆流洗浄動作を実施するようにしてもよい。
【0062】
以上の動作が連続的に行われることにより、逆流洗浄水の使用量が極めて少なく、且つ高効率で再生利用水の生成動作を行うことができることになる。つまり、本実施形態に係る再生利用水の生成動作にあっては、二次処理(処理タンク3での処理)にあっては濾過による浄化を採用していないため逆流洗浄が不要である。従来では、二次処理を行う濾過装置の逆流洗浄に要する水量が多く必要になってしまい、水をリサイクルすることの本来の目的である「節水」を大きく阻害してしまっていたが、本実施形態によれば、処理タンク3に貯留された排水の殆どを再生利用水として生成することが可能となり、乾燥海苔生産システム全体として大幅な節水を実現することができる。
【0063】
また、本形態では、一次処理の前段階である排水ピットDの内部に殺菌剤としての酸化剤を添加している。このため、ドラムフィルタ2や各配管の殺菌を行うことも可能になり、海苔抄き水処理装置C全体の殺菌を行うことができると共に、殺菌剤による反応時間や排水中の殺菌剤の攪拌時間を十分に確保することができるため排水を十分に殺菌・脱色することができる。
【0064】
また、ブロア7からの送風によって気泡を排出できると共に、この送風によって処理タンク3中の不要なガスを排出することもできる。つまり、これら両排出動作を1つのブロア7で行うことが可能であり、装置の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0065】
−実験例−
次に、本実施形態に係る海苔抄き水処理装置Cによって生成される再生利用水の水質を確認するために行った実験例について説明する。本実験例では、排水の浄化処理を行わなかった場合に海苔抄機Bから排出される排水の水質と、上記海苔抄き水処理装置Cによる処理動作を所定時間継続して行った状態で海苔抄機Bから排出される排水の水質とを比較することにより行った。その結果を以下の表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
この実験結果から明らかなように、本実施形態に係る海苔抄き水処理装置Cを使用して浄化処理を行った場合には、一般細菌や大腸菌を全く含まず、略無色透明で良好な水質の再生利用水が生成されていることが判る。
【0068】
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、乾燥海苔生産システムにおける海苔抄き水処理装置Cとして本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の食品加工に使用された排水中の懸濁物質等を除去して再生利用水を生成する処理装置に適用することも可能である。
【0069】
また、上述した実施形態では、処理水の殺菌・脱色のための手段として、「排水ピットDの内部への酸化剤の添加」「処理タンク3の内部への酸化剤の添加」「処理タンク3内の水の電気分解」「気泡発生装置6によるオゾンの供給」を行うようにしていた。本発明は、これに限らず、これら手段のうちの何れか一つまたは複数を選択的に実施するようにしてもよい。
【0070】
更に、上述した実施形態に係る海苔抄き水処理装置Cでは、架台1の上部にドラムフィルタ2を設置していた。本発明はこれに限らず、海苔抄き水処理装置Cの設置スペースとして高さに制約がある場合には、ドラムフィルタ2を架台1の横に設置するようにしてもよい。この場合、ドラムフィルタ2で濾過した排水を処理タンク3の内部へ搬送するためのポンプが必要になる。
【0071】
加えて、一次処理において使用する濾過器としては、ドラムフィルタ2に限らず、傾斜板式スクリーン等の種々の濾過器が適用可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、食品の加工に使用された使用済み水を再利用可能とするための手段として泡沫分離を使用し、この泡沫分離によって水面に浮遊した気泡に対して送風を行い、これによって、処理水中の不純物を気泡と共に貯留槽の外部に向けて強制的に搬送するようにしている。このため、濾過による使用済み水の浄化を採用していないため逆流洗浄が不要になる。従来では、逆流洗浄に要する水量が多く必要になってしまい、水をリサイクルすることの本来の目的である「節水」を大きく阻害してしまっていたが、本発明によれば、貯留槽に貯留された使用済み水の殆どを再生利用水として生成することが可能となり、食品加工システム全体として大幅な節水を実現しながらも水質の良好な再生利用水を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る乾燥海苔生産システムにおける濃度調整槽、海苔抄機、海苔抄き水処理装置の設置状態を示す模式図である。
【図2】海苔抄き水処理装置を示す図である。
【図3】処理タンクの外観を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図4】乾燥海苔生産システムの概略を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
C 海苔抄き水処理装置(再生利用水生成装置)
2 ドラムフィルタ(濾過器)
3 処理タンク(貯留槽)
5 逆洗浄用ポンプ
6 気泡発生装置(気泡供給手段)
7 ブロア(送風手段)
8 電気分解装置(電気分解手段)
94 逆流洗浄水配管
Claims (3)
- 食品の加工に使用された使用済み水を再利用可能となるように処理するための再生利用水生成装置において、
一次処理によって粗ゴミが除去された使用済み水を貯留する貯留槽と、
上記貯留槽内に貯留されている使用済み水中に気体を気泡状にして連続的に供給する気泡供給手段と、
上記気泡供給手段からの気体供給に伴って使用済み水の水面に浮遊する気泡を貯留槽の外部に向けて水面上で搬送するための送風を行う送風手段とを備え、
上記貯留槽の下端近傍には、気泡発生用水取り出し口および気泡供給口がそれぞれ形成され、上記気泡発生用水取り出し口は、上記気泡供給手段において気泡を生成するために使用する水を貯留槽から抽出すべく、気泡供給手段と気泡発生用水取り出し管によって接続され、
上記気泡供給口は、気泡供給手段の内部で生成された微細な気泡を貯留槽の内部に供給すべく、気泡供給手段と気泡供給管によって接続され、
上記気泡発生用水取り出し口の開口位置と気泡供給口の開口位置との間には、気泡供給口から供給された気泡が気泡発生用水取り出し口へ短絡しないためのバッフルプレートが設けられ、
上記貯留槽の上端近傍位置には、送風導入口および気泡排出口がそれぞれ形成され、
上記送風導入口は、上記送風手段からの送風を貯留槽の内部に導入すべく、送風手段と送風管によって接続され、
上記気泡排出口には、上記送風によって搬送された気泡を上記貯留槽の外部に排出すべく、気泡排出管が接続され、
上記貯留槽の内部空間には、送風が送風導入口から貯留槽の中央に向かう経路と、貯留槽の中央から気泡排出口に向かう経路とを形成するように、上記送風手段からの送風が送風導入口から気泡排出口へ短絡しないためのバッフルプレートが取り付けられ、
上記使用済み水中の不純物を気泡と共に貯留槽の外部に排出し、この貯留槽中に残った処理水を再生利用水として取り出し可能に構成されていることを特徴とする再生利用水生成装置。 - 請求項1記載の再生利用水生成装置において、
上記送風導入口の開口位置は気泡排出口の開口位置よりも高い位置に設定されていることを特徴とする再生利用水生成装置。 - 上記請求項1または2に記載の再生利用水生成装置において実施される再生利用水生成方法であって、
一次処理によって粗ゴミが除去された使用済み水を貯留槽に貯留し、この使用済み水中に気体を気泡状にして連続的に供給すると共に、この気体供給に伴って使用済み水の水面に浮遊する気泡を貯留槽の外部に向けて水面上で搬送するための送風を行い、バッフルプレートにより、送風は上記送風導入口から貯留槽の中央に向かう経路を流れ、さらに、貯留槽の中央から上記気泡排出口に向かう経路を流れ、これによって、使用済み水中の不純物を気泡と共に貯留槽の外部に排出し、この貯留槽中に残った処理水を再生利用水として取り出すことを特徴とする再生利用水生成方法。
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