JP4095718B2 - 蒸気タービン内部のリーク低減構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は蒸気タービン内部のリーク低減構造に関し、特に単車室型の蒸気タービンにおいて高圧蒸気がダミーリングのシール部を通って中圧タービン側にもれ、性能が低下するのを防止するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来の単車室型の蒸気タービンの内部を示す断面図である。図において、1はロータであり、2はタービン全体を覆う外車室、3は静止側の静翼とロータに固定の動翼を多段に配置した高圧タービン部、4は同じく動翼と静翼とを多段に配置した中圧タービン部、5は同様に低圧タービン部である。これら高、中及び低圧タービン部3,4,5がロータ1の周囲軸方向で単一の外車室2内に配置されている。
【0003】
6は高圧蒸気入口ポートで、高圧タービン部3へ高圧蒸気を供給するもの、7は高圧蒸気出口ポートで高圧タービン部3で仕事をした蒸気が流出する。8は中圧蒸気入口ポートで、中圧タービン部4へ中圧蒸気を供給するもの、9は低圧蒸気入口ポートで、低圧タービン部5へ低圧蒸気を供給するものである。10はダミーリングであり、高圧蒸気のノズル室13が一体に組込まれており、かつ高圧タービン部3と中圧タービン部4との間をシールし、区分するものである。11は中圧タービン部4と低圧タービン部5とで仕事を終えた蒸気が排気される排気室である。
【0004】
上記構成の蒸気タービンにおいて、高圧蒸気30は高圧蒸気入口ポート6より高圧タービン部3に流入し、高圧タービン部3で仕事をして高圧蒸気排出ポート7から流出する。又、中圧蒸気32は中圧蒸気入口ポート8より中圧タービン部4に流入し、中圧タービン部4で仕事をし、その蒸気は更に低圧タービン部5へ流れる。又、低圧蒸気33は低圧蒸気入口ポート9より低圧タービン部5へ流入し、低圧タービン部5では中圧タービン部4からの蒸気と低圧蒸気入口ポート9から流入した蒸気とが一緒になって仕事をし、排気室11へ排出される。
【0005】
上記構成の蒸気タービンは前述のように高圧タービン部3、中圧タービン部4、低圧タービン部5でロータ1を回転させ、ロータに接続した発電機を回転させるが、高圧タービン部3と中圧タービン部4との間には両者をシールするダミーリング10が設けられており、高圧蒸気の一部はダミーリング10のシール部を通り、リーク34として中圧タービン4側にもれが生じ、性能劣化につながっているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように単車室内で高、中、低圧タービン部を構成する蒸気タービンにおいては高圧タービン部3と中圧タービン部4との間をシールするためにダミーリング10が設けられており、高圧タービン部3から高圧蒸気の一部が、ダミーリング10のシール部を通って中圧タービン部4側にもれが生じ、このもれ量が多いと性能面に影響し、高圧タービン部3での性能劣化につながる。
【0007】
そこで本発明は蒸気タービンの高圧タービン部と中圧タービン部との間をシールするダミーリングから高圧蒸気が中圧タービン部側にもれるのを防止するような対策を施し、リークする蒸気を高圧タービン部側に回収してそこで仕事をさせ、蒸気タービンの性能劣化を防止できる構造を提供することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の手段を提供する。
【0009】
単車室型の蒸気タービンの外車室内でロータの軸方向に沿って高圧、中圧、低圧タービン部をそれぞれ配置し、前記高圧タービン部と中圧タービン部との間をシールし、区分するダミーリングをロータ周囲に配設した蒸気タービンにおいて、前記ダミーリングのロータ表面との間のシール部の途中と前記高圧タービン部の蒸気通路の途中との間を外部配管で連通し、前記高圧タービン部から前記ダミーリングのシール部を通って前記中圧タービン部側へもれる蒸気を、前記外部配管の途中に設けた圧力調整弁を介して前記高圧タービン部の蒸気通路の途中に回収し、高圧タービン部側で仕事をさせることを特徴とする蒸気タービン内部のリーク低減構造。
【0010】
上記のリーク低減構造においては、高圧タービン部では高圧蒸気を導入し、高圧蒸気が蒸気通路に流れてロータを駆動して仕事をし、高圧蒸気出口ポートより流出するが、高圧蒸気の一部はロータ側のダミーリングとのシール部の隙間を通り、中圧タービン部側にリークしようとする。ダミーリングのシール部の途中には外部配管の一端が接続され、その外部配管の他端は高圧タービン部の蒸気通路の途中に連通し、かつこの外部配管は圧力調整弁を介して圧力差を調整してダミーリング側の圧力を高くし、高圧タービン部の蒸気通路の途中でダミーリング側よりも低圧の点に接続するようにしてリークしようとする蒸気を高圧タービン部の蒸気通路へ回収する。回収した蒸気は高圧タービン部の蒸気と一緒になり、仕事をして高圧タービン部の高圧蒸気出口ポートより流出する。従って高圧タービン部の性能劣化が防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る蒸気タービン内部のリーク低減構造を示す構成図を示し、図2は図1におけるA部拡大詳細図である。図1において、符号1乃至11,13,30乃至33は図3に示す従来例と同じであるので、これらについての詳しい説明は省略し、そのまま引用して説明するが、本発明の特徴部分は符号20,21で示す部分であり、次に詳しく説明する。
【0012】
図1において、20は外部配管であり、21は外部配管20の途中に設けた圧力調整弁である。外部配管20は一端をダミーリング10のシール部のX点に連通し、他端を高圧タービン部3の蒸気通路のY点に連通している。
【0013】
上記のような外部配管20を設けることにより、高圧タービン部3からダミーリング10のシール部を通って中圧タービン部4側へリークしようとする蒸気を高圧タービン部3の蒸気通路の途中へ流して回収し、高圧タービン部3で仕事をさせ、リーク量を低減させて高圧タービン部3の性能劣化を防止している。
【0014】
図2は図1におけるA部拡大詳細図である。図において、高圧タービン部3は蒸気通路15を設け、動翼16及び静翼17を多段配置して構成され、ダミーリング10はノズル室13とノズル12を一体的に備え、シール部14で高圧タービン部3と中圧タービン部4間をシールしている。
【0015】
高圧蒸気30は高圧蒸気入口ポート6より外車室2内に入り、ダミーリング10に一体的に形成されたノズル室13に流入してノズル12より高圧タービン部3の蒸気通路15に流出し、多段に配置された静翼17、動翼16間を通過して仕事をし、図1に示す高圧蒸気出口ポート7より流出する。
【0016】
蒸気通路15へ流入する高圧蒸気30の一部はロータ1側とダミーリング10との隙間18を通り、シール部14から中圧タービン部4側にリーク34としてもれようとするが、シール部14のX点からリーク34の蒸気のほとんどが外部配管20内に流入し、圧力調整弁21を介して高圧タービン部3の蒸気通路15のY点に流入して回収され、高圧蒸気30と一緒になり、高圧タービン部3で仕事をする。
【0017】
上記に説明の高圧蒸気30はノズル室13では約560℃、高圧タービン部3の第1段動翼16近辺では約500℃であり、蒸気圧力はノズル室13内では約130kg/cm2 、高圧タービン部3の蒸気通路15の入口部では約90kg/cm2 、外部配管20の接続部Y点では約60kg/cm2 程度となっている。
【0018】
一方、ダミーリング10の隙間18からシール部14の入口部付近では蒸気圧力は約90kg/cm2 、シール部14の終端部では約30kg/cm2 となっており、外部配管20のシール部14での接続点Xを蒸気圧力が約60kgもしくはこれよりも多少高めになる位置に設定する。
【0019】
上記のような位置X点と高圧タービン部3の蒸気通路15のY点に外部配管20が接続しており、ダミーリング10のシール部14へ侵入するリーク34はX点、Y点の圧力がX点の方がやや高く設定され、更に圧力調整弁21で圧力差を調整できるので、X点よりY点の方へ流れ、ほとんどのリーク34は中圧タービン部4側へは流れずに高圧タービン部3側に回収され、高圧タービン部4側で仕事をする。従って高圧タービン部3での性能劣化が防止できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の蒸気タービン内部のリーク低減構造は、単車室型の蒸気タービンの外車室内でロータの軸方向に沿って高圧、中圧、低圧タービン部をそれぞれ配置し、前記高圧タービン部と中圧タービン部との間をシールし、区分するダミーリングをロータ周囲に配設した蒸気タービンにおいて、前記ダミーリングのロータ表面との間のシール部の途中と前記高圧タービン部の蒸気通路の途中との間を外部配管で連通し、前記高圧タービン部から前記ダミーリングのシール部を通って前記中圧タービン部側へもれる蒸気を、前記外部配管の途中に設けた圧力調整弁を介して前記高圧タービン部の蒸気通路の途中に回収し、高圧タービン部側で仕事をさせることを特徴としている。このような構造により、高圧タービン部側からダミーリングのシール部を通って中圧タービン部側へもれようとする蒸気がほとんど回収され、高圧タービン部側に流入した蒸気と一緒になり、高圧タービン部側で仕事をするので高圧タービン部の性能低下が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態に係る蒸気タービン内部のリーク低減構造を示す構成図である。
【図2】 図1におけるA部拡大詳細図である。
【図3】 従来の単車室蒸気タービンの断面図である。
【符号の説明】
1 ロータ
2 外車室
3 高圧タービン部
4 中圧タービン部
5 低圧タービン部
6 高圧蒸気入口ポート
7 高圧蒸気出口ポート
8 中圧蒸気入口ポート
9 低圧蒸気入口ポート
10 ダミーリング
11 排気室
12 ノズル
13 ノズル室
20 外部配管
21 圧力調整弁
30 高圧蒸気
31 高圧排出蒸気
32 中圧蒸気
33 低圧蒸気
34 リーク
Claims (1)
- 単車室型の蒸気タービンの外車室内でロータの軸方向に沿って高圧、中圧、低圧タービン部をそれぞれ配置し、前記高圧タービン部と中圧タービン部との間をシールし、区分するダミーリングをロータ周囲に配設した蒸気タービンにおいて、前記ダミーリングのロータ表面との間のシール部の途中と前記高圧タービン部の蒸気通路の途中との間を外部配管で連通し、前記高圧タービン部から前記ダミーリングのシール部を通って前記中圧タービン部側へもれる蒸気を、前記外部配管の途中に設けた圧力調整弁を介して前記高圧タービン部の蒸気通路の途中に回収し、高圧タービン部側で仕事をさせることを特徴とする蒸気タービン内部のリーク低減構造。
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