JP3600381B2 - 一重車室型蒸気タービン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンやコンプレッサ等の車室にも適用し得る一重車室型蒸気タービンの車室に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電用に高温高圧の蒸気条件で用いられる蒸気タービンの車室は、高温高圧蒸気が入る部分をおおう内車室と、その外側に設置される比較的低温低圧の蒸気が入る部分をおおう外車室とでなる、二重車室構造を採るものが多い。
【0003】
一方蒸気タービンのメインテナンスの点から見れば、二重車室構造のタービンは、定期検査等のタービン解放時に解放や再組立に要する時間と手間が多くかかる。
【0004】
また車室全体の大きさも大きくなり、そのためタービン台座、建屋等の建設物も大きくなるので経済的でない。このため、一重車室型蒸気タービンが開発されて比較的小容量のものが実用化されている。
【0005】
その一例を図4に示す。図4に示す従来の一重車室型蒸気タービンでは、車室1の中に、仕切板環2,3,4およびダミー環5,6が配置されその中にロータ7が配設される。車室1はこれらの仕切板環2,3,4およびダミー環5,6を保持し、かつ内部の高温、高圧の蒸気が外へ漏れないようにする役割を担っている。ロータ7と車室1の間はグランド8,9によってシールしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の一重車室型蒸気タービンでは、車室の内部の蒸気温度が場所によって大きく変わるため、車室に熱応力が生じる。この熱応力によって車室の水平継ぎ手フランジ面のある部分では、上下のフランジ面の締め付け面圧が不足することになる。
【0007】
このため締め付けボルトのサイズが小さい場合やボルト材料の高温強度が低い場合は、面圧不足によって蒸気がフランジ面から漏洩する恐れがある。これの対策としてボルトのサイズを大きくしたり、ボルトの材料を高級化したりしているが、前者は車室のフランジ部を大きくすることになり熱応力をさらに大きくするほか、両者ともタービンのコストを高くする。
【0008】
本発明はこのような従来のものにおける不具合を解消し、車室の軸方向温度差を低減することで熱応力発生を防止し、車室蒸気漏れのおそれをなくして信頼性を高めるようにした一重車室型蒸気タービンを提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記した課題を解決すべくなされたもので、調速段出口部に当たる位置で、車室の水平継ぎ手フランジを含め、同車室の内面側高圧排気部から中圧入口部に貫通する複数の冷却用の孔を周方向に間隔をあけて配設した一重車室型蒸気タービンを提供し、低温の高圧排気を車室の水平継ぎ手フランジ及び同車室の内面側で周方向に間隔をあけて配設した複数の孔を通して高圧排気部から中圧入口部へ流すことにより、前記車室の水平継ぎ手フランジをはじめとしてこの部分の車室の冷却を行い、車室の軸方向の温度差を低減し、不具合な熱応力の発生するのを抑制するものである。
【0010】
また、本発明は、前記中圧入口部に貫通する複数の冷却用の孔は、同中圧入口部に設けたサーマルシールドに向けて開口した一重車室型蒸気タービンを提供し、中圧入口部に供給される低温の高圧排気は、サーマルシールドの遮熱効果と相俟って、高圧排気部から同サーマルシールド設置位置に至るまでの車室の冷却を適切に行い、この部位に於ける車室の軸方向での温度差を低減し熱応力発生を抑制するものである。
【0011】
また、本発明は、前記中圧入口部に貫通する複数の冷却用の孔に冷却蒸気の量を加減するオリフィスを設けた一重車室型蒸気タービンを提供し、高圧排気部から中圧入口部に至る低温の高圧排気蒸気の流量をオリフィスによって加減し、より適切な冷却制御を行って車室の軸方向温度差を確実に低減し、熱応力発生を抑制するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図3に基づいて説明する。なお、前記した従来のものと同一の部位については図中同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
【0013】
即ち、本実施の形態において、車室1からグランド9に至る基本的構造は前記した従来のものと全く同一である。
【0014】
そして、本実施の形態では、車室1の調速段出口部20の内面側に高圧排気部21から中圧入口部22に貫通する複数の孔23を配設する。車室1の中圧入口部22の内面には、サーマルシールド24を設けている。また、車室1の調速段出口部20の内面には、サーマルシールド25を設けている。なお、図示しないが車室1の高圧排気部21の内面にサーマルシールドを設けても良い。
【0015】
また、図2には、本実施の形態の一重車室型蒸気タービンの調速段出口部に設ける冷却用の孔23の詳細を、水平継ぎ手面を上から見た形で示し、図3には孔23の要部を拡大したものを示す。車室1の調速段出口部20の内面側に、高圧排気部21から中圧入口部22に貫通する複数の孔23を配設する。
【0016】
水平継ぎ手フランジには複数のボルト孔26が設けられているので、冷却用の孔23はボルト孔26と車室1の内面との間に設ける。孔23は高圧排気部21から中圧入口部22に貫通する必要があるので、加工上1本の孔で真っ直ぐにあけられない場合は、両側からあけて途中でつながるようにしても良い。また孔23の端部には、オリフィス27取付用のネジを施す。このような孔23を車室1の調速段出口部20の内面側の周方向に適当な間隔をあけて複数個設ける。
【0017】
本実施の形態は前記したように構成され、高圧排気部21と中圧入口部22の間にはボイラの再熱器と配管の圧損分の差圧があるので、調速段出口部20の車室内面側に設けた複数の孔23を通って、低温の高圧排気蒸気が中圧入口部22のサーマルシールド24と車室1の間に供給される。
【0018】
これにより調速段出口部20の位置に当る車室1及び中圧入口部22の位置に当る車室1が冷却される。複数の孔23を流れる冷却蒸気の量は、各孔23の出口に設けたオリフィス27によって加減する。
【0019】
空間的制約がある場合は、オリフィス27は各孔23の入口に設けても良い。調速段出口部20の車室1の内面にサーマルシールド25を設ける場合は、調速段出口部20の高温の蒸気と車室1の間の熱伝達率が低減されるので、調速段出口部20の車室1の冷却がさらに促進される。
【0020】
以上、本発明を図示の実施の形態について説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【0021】
【発明の効果】
以上本発明によれば、低温の高圧排気で車室の冷却を行い、車室の水平継ぎ手フランジ自体を含めて車室の軸方向の温度差を低減してここに熱応力の発生を防止し、特にこの熱応力によって車室の水平継ぎ手フランジ面に生じる上下のフランジ面の締め付け面圧の不足等の心配もなくなるので、一重車室型蒸気タービンの車室蒸気漏れの問題がなくなり、信頼性が向上する。従ってより大容量の蒸気タービンを一重車室構造で製作できるので、タービンの解放点検等のメインテナンスが簡略化されるとともに、タービン本体ならびにタービン台座や発電所建屋等の建設費が低減できる。
【0022】
また、請求項2の発明によれば、サーマルシールドの遮熱効果と相俟って、車室の軸方向で温度差を低減しての車室冷却をより適切に行うことができたものである。
【0023】
更にまた、請求項3の発明によれば、オリフィスで冷却蒸気の流量を加減することによりより精度の高い適切な冷却を行うことができたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る一重車室型蒸気タービンの概要構造を示す断面図。
【図2】図1のものの調速段出口部を、水平継ぎ手面で上方から見た部分詳細図。
【図3】図2のA部拡大図。
【図4】従来の一重車室型蒸気タービンの概要構造を示す断面図。
【符号の説明】
1 車室
2 仕切板環
3 仕切板環
4 仕切板環
5 ダミー環
6 ダミー環
7 ロータ
8 グランド
9 グランド
10 主蒸気入口
11 高圧排気出口
12 再熱蒸気入口
13 中圧抽気出口
14 中圧抽気出口
15 中圧抽気出口
16 中圧排気出口
20 調速段出口部
21 高圧排気部
22 中圧入口部
23 孔
24 サーマルシールド
25 サーマルシールド
26 ボルト孔
27 オリフィス

Claims (3)

  1. 調速段出口部に当たる位置で、車室の水平継ぎ手フランジを含め、同車室の内面側高圧排気部から中圧入口部に貫通する複数の冷却用の孔を周方向に間隔をあけて配設したことを特徴とする一重車室型蒸気タービン。
  2. 前記中圧入口部に貫通する複数の冷却用の孔は、同中圧入口部に設けたサーマルシールドに向けて開口したことを特徴とする請求項1に記載の一重車室型蒸気タービン。
  3. 前記中圧入口部に貫通する複数の冷却用の孔に冷却蒸気の量を加減するオリフィスを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の一重車室型蒸気タービン。
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