JP4094133B2 - 地下タンクのオーバーフロー防止システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンクローリー車のタンク部に各種石油製品を供給して荷受けし、荷受けされた石油製品を給油所まで搬送してタンク部内に収容された石油製品を地下タンクに荷卸しする油送システムにおいて、荷卸し中の地下タンクのオーバーフローを防止する地下タンクのオーバーフロー防止システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、給油所のタンクへガソリンなどの石油製品を搬入させるには、油槽所で油種毎にタンクローリー車の各ハッチ部に給油して荷受けし、タンクローリー車を運転して荷受けされた石油製品を給油所まで輸送し、各ハッチ部内の石油製品を給油所の地下タンクへ油種毎に荷卸ししている。この荷卸しの際には、タンクローリー車のタンク部の吐出口と給油所の給油口との間に荷卸しホースを接続し、ハッチ部単位で石油製品を給油口を介して給油所の地下タンクに油種毎に給油している。
【0003】
ところで、給油所で取り扱われる石油製品は、例えば高オクタン価ガソリン(以下、高揮ガソリンという)やレギュラーガソリン(以下、普揮ガソリンという)、軽油、灯油など複数種類あり、これらの石油製品は各油種毎に地下タンク内に貯蔵される。また、タンクローリー車も同様に、各油種毎のハッチ部を有した構成とされている。
【0004】
したがって、タンクローリー車から給油所の地下タンクへ各種石油製品を荷卸しして搬入させる際には、互いの油種が異なることのないように確認作業が必要となる。また、火気厳禁の石油製品を取り扱うため、タンクローリー車から地下タンクへの石油製品の荷卸し中に、地下タンク内の油量がオバーフローして石油が地下タンクから溢れ出さないように、常に監視して気を配る必要があった。
【0005】
図7は特開平3−226499号公報に開示される従来の地下タンクの混油、漏油防止装置の概略図、図8は同装置の構成を示すブロック図である。
【0006】
図7及び図8に示す地下タンクの混油、漏油防止装置は、ガソリンスタンドに埋設された複数の地下タンク51のそれぞれに油量を測定する油量センサ52が付設されている。各油量センサ52によって測定された油量は、電気信号変換装置53によって電気信号に変換された後、電気信号用回線54を介して油量表示装置55に送られる。油量表示装置55は、油量の表示をロックするときにONされるロックスイッチ56と、ロックスイッチ56によるロック後の3〜5分経過することによりロックを自動解除する自動ロック解除装置57を有する表示ロック装置58が電源ユニット部分に設けられている。表示ロック装置58には警報回路59が接続され、更に警報回路59にはブザー60が接続されている。
【0007】
そして、給油すべき地下タンク(例えば51A)51以外の地下タンク(例えば51B,51C)については、ロックスイッチ56をONすることにより、表示ロック装置58が作動して油量の表示がロックされ、ロック時の油面レベルが記憶固定されるとともに、油面レベルの変化の新しい電気信号により、固定された記憶信号は比較演算されて警報回路59を作動させて油量レベルに変化が生じた旨を警報するべくブザー60が鳴る。
【0008】
このように、上記地下タンクの混油、漏油防止装置では、地下タンク51中の特定のタンクにタンクローリー車から給油したい場合、予め他の地下タンクのロックスイッチ56をすべてONし、表示ロック装置58をロック作動させておく。この状態で、誤って所望の地下タンク以外のタンクに給油した場合には、油面レベルに変動が生じるため、警報回路59が作動して警報が発せられる。これにより、誤給油を察知することができるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7及び図8に示す従来の装置では、前回の油量と現在の油量との間に差が生じたときに警報を発することはできるが、給油すべき地下タンクに給油指令が与えられると、その地下タンクの油量の表示が解除され、油量が変動しても警報を発しないので、給油すべき地下タンクへの給油中は、タンク内の石油がオバーフローして溢れ出さないように常に監視しなければならないという問題を解消することができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、上記各問題点を解消するため、給油所での石油製品の荷卸し時における地下タンクのオバーフローを確実に防止して安全化が図れる地下タンクのオーバーフロー防止システムを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
請求項1の発明は、油槽所2に貯蔵された石油製品を油種別にタンクローリー車3のハッチ部8に給油して荷受けし、荷受けした前記ハッチ部8内の石油製品を、吐出口11から荷卸し用ホース19を介して油種毎に給油所5の地下タンク15に給油して荷卸しする油送システム1において、
前記地下タンク15毎に設けられ、該地下タンク15内の油面位置を検出し、その油面位置に応じた検出信号を出力する油面計と、
前記タンクローリー車3に設けられ、荷卸し対象の地下タンク15内の油量が満タンと判別されたかを確認するための呼出信号を、前記荷卸し用ホース19が接続されている状態で予め設定した所定周期で無線で出力する無線機41を有する主制御器20と、
前記給油所5に設けられ、前記油面計からの検出信号を入力として前記荷卸し対象の地下タンク15内の油量が満タンか否かを判別する制御手段48と、該制御手段48によって油量が満タンと判別され、かつ前記主制御器20の無線機41から前記呼出信号を受信したときに、油量が満タンの旨を示す応答信号を無線で出力する無線機49とを有する副制御器45とを備え、
さらに、前記主制御器20は、前記副制御器45に無線で出力される前記呼出信号に対して予め設定された時間内に前記副制御器45から前記応答信号を受信したときに、その受信した応答信号に該当する地下タンク15に対するハッチ部8からの給油を停止制御する制御手段24を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、油槽所2に貯蔵された石油製品を油種別にタンクローリー車3のハッチ部8に給油して荷受けし、荷受けした前記ハッチ部8内の石油製品を、吐出口11から荷卸し用ホース19を介して油種毎に給油所5の地下タンク15に給油して荷卸しする油送システム1において、
前記地下タンク15毎に設けられ、該地下タンク15内の油面に向けて光を出射し、その光の出射に伴う反射光量に応じた検出信号を出力する光センサ33と、
前記タンクローリー車3に設けられ、荷卸し対象の地下タンク15内の油量が満タンと判別されたかを確認するための呼出信号を、前記荷卸し用ホース19が接続されている状態で予め設定した所定周期で無線で出力する無線機41を有する主制御器20と、
前記給油所5に設けられ、前記光センサ33からの検出信号を入力として前記荷卸し対象の地下タンク15内の油量が満タンか否かを判別する制御手段48と、該制御手段48によって油量が満タンと判別され、かつ前記主制御器20の無線機41から前記呼出信号を受信したときに、油量が満タンの旨を示す応答信号を無線で出力する無線機49とを有する副制御器45とを備え、
さらに、前記主制御器20は、前記副制御器45に無線で出力される前記呼出信号に対して予め設定された時間内に前記副制御器45から前記応答信号を受信したときに、その受信した応答信号に該当する地下タンク15に対するハッチ部8からの給油を停止制御する制御手段24を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による地下タンクのオーバーフロー防止システムが適用される油送システムの全体構成図、図2は図1の油送システムに適用されるタンクローリー車の概略図であり、給油所の地下タンクに石油製品を荷卸ししている状態を示す図、図3は給油所の各地下タンク毎に設けられる光センサの構成図、図4は図2のタンクローリー車に設けられる主制御器と給油所に設けられる副制御器のブロック図、図5は図4の主制御器の外観図、図6は図4の主制御器の内部構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施の形態による油送システム1は、油槽所2に貯蔵された各種石油製品を、その油種毎にタンクローリー車3のタンク部4内に供給して荷受けを行い、タンクローリー車3を給油所5まで運転して搬送し、荷受けされたタンク部4内の石油製品を各油種毎に給油所5の地下タンク15に荷卸しするものである。
【0017】
油槽所2には、輸送対象物である石油製品が種類毎(例えばレギュラーガソリン、高オクタン価ガソリン、軽油、灯油など)に不図示のタンクに貯蔵されている。各タンクは、供給手段としてのローディング・アームに取り付けられたホース6(6a〜6d)を装備している。このホース6は、後述するタンクローリー車3のハッチ部8に接続され、タンク内に貯蔵された石油製品をハッチ部8に供給している。
【0018】
ローディング・アームには、そのホース6が接続されているタンク内に貯蔵された石油製品の種類を示す種別標示手段7(7a〜7d)が各ホース6毎に設けられている。この種別標示手段7としては、例えば石油製品の種類毎に異なる鍵溝が形成されたキーで構成することができる。そして、種別標示手段としてのキー7は、該当する種類の石油製品が貯蔵されたタンクのローディング・アームに吊下される。
【0019】
図2に示すように、タンクローリー車3のタンク部4は、石油製品の種類(レギュラーガソリン、高オクタン価ガソリン、軽油、灯油など)に応じて、何れかの石油製品が所定単位量(例えば1K1,2K1,4K1)積載される複数のハッチ部8で構成される。図2の例では、7つのハッチ部8a〜8gでタンク部4を構成している。
【0020】
各ハッチ部8の底面には、収容された石油製品を取り出すための例えば電磁弁の開閉に伴うエアータンクからのエアーにより駆動されるエアー式のハッチ底弁9(9a〜9g)がそれぞれ設けられている。これらハッチ底弁9は、共通配管部10を介して吐出口11と接続されている。
【0021】
更に説明すると、図2の例では、運転席3a側から見て1番目から4番目までのハッチ部8a〜8dのハッチ底弁9a〜9dが第1共通配管部10aに接続され、5番目から7番目までのハッチ部8e〜8gのハッチ底弁9e〜9gが第2共通配管部10bに接続されている。更に第1、第2共通配管部10a,10bは、両端に吐出口11a,11bを有し、中央に中間仕切弁12が取り付けられた第3共通配管部10cに接続されている。
【0022】
吐出口11は、ハッチ部8に収容された石油製品を荷卸しする際に手動により開操作されるハンドルを有している。この吐出口11は、ハッチ底弁9と同様に、例えば電磁弁の開閉に伴うエアータンクからのエアーにより駆動され、通常状態ではハンドルがロックされている。
【0023】
各ハッチ部8の所定箇所(例えば天井部分)には、キーボックス13が設けられている。各キーボックス13内には、カード状の輸送側油種キー14が収納されている。輸送側油種キー14は、収容される石油製品の種類と同数だけ設けられる。図1の例では、石油製品の種類がレギュラーガソリン、高オクタン価ガソリン、軽油、灯油の4種類なので、4枚の輸送側油種キー14a〜14dが各ハッチ部8毎のキーボックス13に収納されることになる。
【0024】
これら輸送側油種キー14には、ハッチ部8の位置情報(例えばタンクローリー車3の運転席3aから見て何番目のハッチ部8のキーボックス13に収納されるものかを示す情報)と、該当するハッチ部8に収容される石油製品の種類を示す情報とを有している。これらの情報は、例えば磁気情報として与えられる。
【0025】
具体的には、N極とS極を有する磁石30を複数組合わせ、後述する挿入口28aへのキー挿入時に輸送側キー情報検出手段23を構成する個々のホールICに対向して複数の磁石30が輸送側油種キー23上に配設される。例えば、石油製品の種類が4種類でハッチ部8の数が7つの場合には、5個の磁石のN極とS極の組合わせによりハッチ部8の位置情報及びそのハッチ部8に収容される石油製品の種類を示す情報が与えられ、これら磁石がホールICに対向して配設される。また、後述する挿入口28aへのキー挿入時に輸送側キー情報検出手段23aを構成するリードスイッチの何れか一つに対向して磁石31が輸送側油種キー23上に配設される。磁石30に対向したホールICは、その磁石の磁力と極により、例えばS極では「1」、N極では「0」のバイナル信号として磁力を電気信号に置き換え、複数個のホールICから出力される信号「1」と「0」の組合わせによりバイナリー信号を輸送側キー情報検出手段23aに送る。
【0026】
給油所5は、石油製品の種類毎に地下タンク15を備えている。図1の例では、石油製品の種類がレギュラーガソリン、高オクタン価ガソリン、軽油、灯油の4種類なので、4つの地下タンク15a〜15dを備えている。各地下タンク15の注油口16(16a〜16d)には、前述した輸送側油種キー14と同一形状のカード状の貯蔵側油種キー17(17a〜17d)が着脱可能にそれぞれ取り付けられている。これら貯蔵側油種キー17は、該当する地下タンク15に貯蔵される石油製品の種類を示す情報を有している。この石油製品の種類を示す情報は、前述した輸送側油種キー14と同様に、磁気情報として与えられる。
【0027】
具体的には、N極とS極を有した磁石32を複数組合わせ、後述する挿入口28bへのキー挿入時に貯蔵側キー情報検出手段23bを構成する個々のホールICに対向して複数の磁石32が配設される。例えば、貯蔵される石油製品の種類が4種類の場合には、2個の磁石のN極とS極の組合わせによりハッチ部8の位置情報が与えられ、これら磁石がホールICに対向して配設される。磁石32に対応したホールICは、その磁石の磁力と極により発生する「1」と「0」とからなる電気信号を組合わせたバイナリー信号として貯蔵側キー情報検出手段23bへ送る。
【0028】
各地下タンク15の給油口16には、規制手段としての邪魔板18が取り付けられている。この邪魔板18を手動で解除すると、荷卸し用ホース19が接続されないように給油口16を閉塞している貯蔵側油種キー17が給油口16から外れる。また、外れた貯蔵側油種キー17を給油口16に差し込むと、邪魔板18が元の位置に復帰して貯蔵側油種キー17が給油口16に固定されるようになっている。
【0029】
この給油所5では、石油製品の種類毎に設けられた地下タンク15の何れかの給油口16と、タンクローリー車3の共通配管部10(10c)の終端部に設けられた吐出口11(図2では11a)との間を荷卸し用ホース19で接続し、ハッチ部8の底弁9が開放された状態で吐出口11のハンドル(不図示)を開操作することにより、ハッチ部8から共通配管部10に導出されている石油製品が地下タンク15に貯蔵される。
【0030】
各地下タンク15には、タンク内の油量を検出する光センサ33が設けられている。光センサ33は、図3に示すように、1本の光ファイバ芯線34を中央で折曲して折曲部分の先端を検出部33aとし、折曲部分をポリカーボネートなどの光透過性を有するチューブ35で覆い、ステンレス製の金属管36に挿通し、検出部33aを除く金属管36の周囲をテフロンなどのチューブ37で更に覆って検出部33aを保護している。そして、二股に分かれた一方を光が入射される光入力部33bとし、他方を反射光を出力する光出力部33cとしている。
【0031】
光センサ33は、タンク内の油量の満タン位置に検出部33aが位置して地下タンク15毎に設けられる。光センサ33の光入力部33bには、後述する副制御器45の光源46から光が入射される。そして、光センサ33は、地下タンク15内の油量が満タン位置に達しておらず、検出部33aが油面に浸っていなければ、光入力部33bに入射された光が検出部33aから出射されて周囲に拡散され、検出部33aを介して光ファイバ芯線34に戻る反射光がほとんどない。これに対し、地下タンク15内の油量が満タン位置に達し、光センサ33の検出部33aが油面に浸ったときには、光入射部33bに入射された光が検出部33aから出射され、その光が油(油面)で反射されて検出部33aを介して光ファイバ芯線34に戻る。上記光の出射に伴う反射光は、光センサ33の光出力部33cを介して後述する副制御器45の光/電気変換手段47に入力される。
【0032】
次に、図4〜図6に基づいて本実施の形態のシステムに用いられる主制御器20と副制御器45の構成について説明する。
【0033】
主制御器20は、図5に示す筐体の操作パネル21に設けられた操作スイッチ22の他、図6に示すキー情報検出手段23、制御手段(CPU)24、駆動手段25、表示器26、表示駆動手段27、無線機41を備えて概略構成され、タンクローリー車3のバッテリーから電源(例えば5V)を得ている。
【0034】
図5に示すように、操作スイッチ22は、電源を供給するための電源スイッチ22a、荷卸しのスタートを指示するスタートスイッチ22bを備えている。
【0035】
キー情報検出手段23は、図5に示す輸送側油種キー14と貯蔵側油種キー17が挿入される2つの挿入口28(28a,28b)を有するカードリーダーで構成される。
【0036】
図6に示すように、キー情報検出手段23は、輸送側キー情報検出手段23aと貯蔵側キー情報検出手段23bを備えている。輸送側キー情報検出手段23aは、挿入口28aに挿入された輸送側油種キー14のハッチ位置情報と石油製品の種類を示す情報を検出している。
【0037】
具体的には、輸送側油種キー14が挿入口28aに挿入された状態で、石油製品の種類を示す情報をなす個々の磁石に対向してホールICが配設される。また、輸送側油種キー14の挿入方向と直交する方向に所定間隔おきにハッチ部8と同数のリードスイッチが配設される。
【0038】
そして、ハッチ位置情報として輸送側油種キー14に配設される磁石と、この磁石と対向するリードスイッチとを番号付けしておき、挿入口28aへの輸送側油種キー14の挿入時に、磁石の磁界によってリードスイッチがオンすることでハッチ位置情報を得ることができる。
【0039】
貯蔵側キー情報検出手段23bは、挿入口28bに挿入された貯蔵側油種キー17の石油製品の種類を示す情報を検出している。具体的には、貯蔵側油種キー17が挿入口28bに挿入された状態で、石油製品の種類を示す情報をなす個々の磁石に対向してホールICが配設される。
【0040】
制御手段(CPU)24は、輸送側キー情報検出手段23aが検出した石油製品の種類を示す情報と、貯蔵側キー情報検出手段23bが検出した石油製品の種類を示す情報とを識別して比較照合し、そのときの比較照合結果、無線機49の受信情報及び輸送側キー情報検出手段23aが検出したハッチ情報に基づいてハッチ底弁9の開閉、吐出口11のハンドルロック・解除を制御するための指令を駆動手段25に出力している。
【0041】
更に説明すると、制御手段24では、無線機41が副制御器45の無線機49から地下タンク15が満タンの旨を示す信号を受信せず、比較照合の結果、両者の石油製品の種類を示す情報が一致し、スタートスイッチ22bが押下されると、ハッチ情報が示すハッチ部8のハッチ底弁9を開する指令、吐出口11のハンドルロックを解除する指令を駆動手段25に出力する。同時に、荷卸しを許容する旨の制御信号を表示駆動手段27に出力している。
【0042】
これに対し、スタートスイッチ22bが押下されても、無線機41が副制御器45の無線機49から地下タンク15が満タンの旨を示す信号を受信したり、両者の石油製品の種類を示す情報が不一致と識別されたときには、各ハッチ部8のハッチ底弁9の閉状態を維持する指令、吐出口11のハンドルロックを維持する指令が駆動手段25に出力される。
【0043】
駆動手段25は、制御手段24からの指令に基づいて各ハッチ部8のハッチ底弁9と吐出口11を作動させている。具体的には、制御手段24からハッチ部8のハッチ底弁9を開する指令、吐出口11のハンドルロックを解除する指令が入力されたときには、該当するハッチ部8のハッチ底弁9を自動的に開状態にするとともに、吐出口11のハンドルロックを解除する。
【0044】
これに対し、制御手段24からハッチ部8のハッチ底弁9の閉状態を維持する指令、吐出口11のハンドルロックを維持する指令が入力されたときには、各ハッチ部8のハッチ底弁9を閉状態に維持するとともに、吐出口11のハンドルロックを維持する。
【0045】
表示器26は、操作パネル21に設けられ、挿入口28aから挿入された輸送側油種キー14がどのハッチ部8に関するものかを、例えばタンクローリー車3の運転席側から番号付けして表示するハッチ番号表示ランプ26a、荷卸しを許容するときに点灯する荷卸し表示ランプ26b、現在荷卸ししている地下タンク15が満タンのときに点灯する満タン表示ランプ26cを備えている。
【0046】
表示駆動手段27は、輸送側キー情報検出手段21aが検出したハッチ情報に基づいて該当するハッチ部8の番号を示すハッチ番号表示ランプ26aを点灯駆動している。また、表示駆動手段27は、制御手段24から荷卸しを許容する旨の制御信号が入力されたときに、荷卸し表示ランプ26bを点灯駆動している。さらに、表示駆動手段27は、制御手段24から現在荷卸ししている地下タンク15の油量が満タンの旨の制御信号が入力されたときに、満タン表示ランプ26cを点灯駆動している。
【0047】
無線機41は、給油所5側に設けられた副制御器45の無線機49から送信される荷卸し対象の地下タンク15が満タンの旨を示す信号を受信したときに、その受信信号を制御手段24に出力している。
【0048】
副制御器45は、給油所5側(例えば事務所、管理室など)に設けられ、光源46、光/電気変換手段47、制御手段(CPU)48、無線機49を備えて概略構成される。
【0049】
光源46は、電源投入後、制御手段48からの指令により各地下タンク15の光センサ33の光入力部33bに所定波長の光を入射している。
【0050】
光/電気変換手段47は、各光センサ33の光出力部33cに接続されており、光入力部33bへの光の入射に伴い、検出部33aを介して光出力部33cに戻ってくる反射光の光量に応じた電気信号に変換して制御手段48に出力している。
【0051】
制御手段(CPU)48は、各光/電気変換手段47からの反射光量に応じた検出信号が入力しており、各検出信号のレベルが設定レベルを越えるか否かによって荷卸し対象の地下タンク15内の油量が満タンか否かを判別している。そして、油量が満タンと判別したときには、無線機49から油量が満タンの旨を示す信号を送信させている。
【0052】
次に、上記のように構成されるシステムの一連の動作について説明する。
ここでは、タンクローリー車3の運転席側から2番目に位置するハッチ部8bに高オクタン価ガソリン(H)を供給して給油所5で荷卸しする場合を例にとって説明する。尚、この動作では、図2における共通配管部10cの中間仕切弁12は開状態、左側の吐出弁11bは閉状態のままとする。
【0053】
まず、高オクタン価ガソリン(H)が貯蔵されたタンクのローディング・アームに吊下されているキー(種別標示手段)7をタンクローリー車3の2番目のハッチ部8bのキーボックス13の挿入口28aに差し込む。これにより、差し込まれたキー7の石油製品の種類を示す情報と同一情報が与えられた輸送側油種キー(2H)がキーボックス13から外れる。このとき外れた輸送側油種キー(2H)は、給油所5へ持参される。そして、タンクローリー車3の2番目のハッチ部8bに高オクタン価ガソリン(H)が貯蔵されたタンクのホース6aを介して高オクタン価ガソリンを供給する。この給油作業が完了すると、タンクローリー車3を運転して給油所5まで搬送する。
【0054】
そして、給油所5に到着したら、持参した輸送側油種キー14a(2H)を主制御器20の挿入口28aに差し込む。次に、給油所5において高オクタン価ガソリンを貯蔵する地下タンク15aの給油口16aの邪魔板18を手動で解除する。これにより、地下タンク15aの給油口16aに固定された貯蔵側油種キー17a(H)が外れ、給油口16aに荷卸し用ホース19の一端が接続できるようになる。そして、このとき外れた貯蔵側油種キー17aを主制御器20の挿入口28bに差し込み、電源スイッチ22aをオンする。その際、吐出口11aには荷卸し用ホース19の他端を接続しておく。
【0055】
主制御器20の制御手段24では、2枚の油種キー(輸送側油種キー14a、貯蔵側油種キー17a)が挿入口28に差し込まれると、両油種キー14a,17aに与えられた石油製品の種類を示す情報を比較し、高オクタン価ガソリンを示す情報で一致すれば、表示駆動手段27を制御して表示器26の荷卸し表示ランプ26bを点灯する。この状態で、スタートスイッチ22bが押下され、無線機41が副制御器45の無線機49から荷卸し対象の地下タンク15が満タンの旨を示す信号を受信しなければ、該当するハッチ部8bのハッチ底弁9bが自動的に開く。また同時に、吐出口11aのハンドルロックが解除され、吐出口11aの弁を手動で開くことができるようになる。この状態で、吐出口11aの弁を開くと、ハッチ底弁9bの開いたハッチ部8bから高オクタン価ガソリンが共通配管部10を通って吐出口11aに導出され、荷卸し用ホース19を介して給油口16aより地下タンク15aに給油される。
【0056】
そして、主制御器20の制御手段24は、上記荷卸し中において、無線機41が副制御器45の無線機49から荷卸し対象の地下タンク15が満タンの旨を示す信号を受信すると、この受信した信号に該当する地下タンク15aに対するハッチ部8bからの給油を停止制御する。すなわち、ハッチ部8bのハッチ底弁9bが自動的に閉じる。
【0057】
このように、上記実施の形態では、給油所5の地下タンク15への石油製品の荷卸し中に、荷卸し対象の地下タンク15の油量が満タンになると、ハッチ部8から地下タンク15への給油が自動的に停止されるので、地下タンク15への石油製品の給油状態を常時監視することなく、地下タンク15のオバーフローを確実に防止して安全化を図ることができる。
【0058】
また、油槽所2でのハッチ部8への給油時には、その石油製品の種類に対応した輸送側油種キー14が該当するハッチ部8のキーボックス13から外れるようになっている。そして、この外れた輸送側油種キー14の石油製品の種類を示す情報と、給油所5の地下タンク15の給油口16から外された貯蔵側油種キー17の石油製品の種類を示す情報とを比較照合し、そのときの比較照合結果、無線機49の受信情報及び輸送側キー情報検出手段23aが検出したハッチ情報に基づいてハッチ底弁9の開閉、吐出口11のハンドルロック・解除を制御している。
【0059】
従って、各ハッチ部8に収容された石油製品は、輸送側油種キー14の石油製品の種類を示す情報と、貯蔵側油種キー17の石油製品の種類を示す情報とが一致し、無線機41が副制御器45の無線機49から地下タンク15が満タンの旨を示す信号を受信しないときのみ、その石油製品を貯蔵する地下タンク15に荷卸しされるので、異なる種類の石油製品の混入を確実に防止することができる。また、異なる情報が与えられた油種キー14,17を挿入口28a,28bに挿入したり、無線機41が副制御器45の無線機49から地下タンク15が満タンの旨を示す信号を受信した状態で、誤ってスタートスイッチ22bが押下されたとしても、ハッチ底弁9が開くことはなく、しかも吐出口11はハンドルロックがかかったままとなるので、石油製品の荷卸しの際の人為的なミスを未然に防ぐことができる。
【0060】
ところで、上記実施の形態において、給油所5側に設けられる副制御器45は、地下タンク15毎に設けられた光センサ33の検出信号を入力として地下タンク15の油量が満タンと判別したときに、その旨の信号を無線機49より送信し、タンクローリー車3側に設けられる主制御器20は、副制御器45の無線機49から地下タンク15の油量が満タンの旨の信号を受信したときに、ハッチ部8から地下タンク15への給油を停止制御する構成としているが、この構成に限られるものではない。
【0061】
すなわち、主制御器20は、荷卸し用ホース19が接続されている状態で制御手段24から無線機41に指令を与え、無線機41から予め設定した所定の周期で副制御器45に呼出信号を送信する構成とする。また、副制御器45は、光センサ33の検出信号を入力として地下タンク15内の油量が満タンか否かを判別し、油量が満タンと判別され、かつ主制御器20の無線機41から呼出信号を受信したときに、油量が満タンの旨を示す応答信号を無線で出力する構成とする。この場合、主制御器20の制御手段24は、呼出信号に対して予め設定された時間(任意に設定可能な時間で例えば3秒)内に副制御器45の無線機49から油量が満タンの旨を示す応答信号を無線機41が受信したときに、ハッチ部8から地下タンク15への給油が停止制御される。
【0062】
また、上記実施の形態では、地下タンク15内の油量を検出する光センサ33を地下タンク15(15a〜15d)毎に設けた構成について説明したが、給油所5によっては地下タンク15毎に油面計が設けられている場合がある。油面計は、例えば地下タンク15内に支柱を立設してフロートを上下動自在に取り付け、油面の変化に連動して上下動するフロートの移動量を空気圧の変化として捕らえて油面の位置情報を得るものである。
【0063】
その場合には、光センサ33に代えて、地下タンク15毎の油面計の検出信号を副制御器45の制御手段48に入力する構成とすれば、光センサ33を別途付設する必要がなく、既存の構成を生かして地下タンク15のオーバーフローを防止することができる。
【0064】
上記実施の形態では、タンクローリー車3の2番目のハッチ部8bのみに石油製品を供給して給油所5に荷卸しするものとして説明したが、他のハッチ部8a,8c〜8gにも石油製品を供給して給油所5に荷卸しすることができる。その場合、各ハッチ部8への給油時にハッチ部8毎にキーボックス13から外れる輸送側油種キー14を持参して上記動作が実行されることになる。
【0065】
また、上記実施の形態では、1つの吐出口11aからハッチ部8に収容された石油製品の荷卸しを行う構成について説明したが、図2に示すタンクローリー車3の構成を採用し、2つの吐出口11a,11b及び操作パネル21に別途設けられる中間仕切弁スイッチ(不図示)の指示により中間仕切弁12の開閉を行ってハッチ部8に収容された石油製品の荷卸しを行うようにしてもよい。
【0066】
例えば複数のハッチ部8に同一種類の石油製品が収容されている場合には、中間仕切弁12が開状態のまま吐出口11a,11bの何れか一方を閉状態に制御すれば、複数のハッチ部8に収容された石油製品を一度に荷卸しすることができる。また、輸送側油種キー14と貯蔵側油種キー17の情報を検出するキー情報検出手段23を2組設け、中間仕切弁スイッチの指示により中間仕切弁12を閉状態に制御し、2つの吐出口11a,11bから石油製品の荷卸しを行うようにすれば、更に作業の効率化を図ることができる。但し、上記動作は、何れも輸送側油種キー14と貯蔵側油種キー17の情報が一致していることを前提として実行される。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、給油所の地下タンクへの石油製品の荷卸し時において、荷卸し対象の地下タンクの油量が満タンになると、ハッチ部から地下タンクへの給油が自動的に停止されるので、地下タンクへの石油製品の給油状態を常時監視することなく、地下タンクのオバーフローを確実に防止して安全化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による地下タンクのオーバーフロー防止システムが適用される油送システムの全体構成図
【図2】図1の油送システムに適用されるタンクローリー車の概略図であり、給油所の地下タンクに石油製品を荷卸ししている状態を示す図
【図3】給油所の各地下タンク毎に設けられる光センサの構成図
【図4】図2のタンクローリー車に設けられる主制御器と給油所に設けられる副制御器のブロック図
【図5】図4の主制御器の外観図
【図6】図4の主制御器の内部構成を示すブロック図
【図7】従来の地下タンクの混油、漏油防止装置の概略図
【図8】図7の装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…油送システム、2…油槽所、3…タンクローリー車、5…給油所、8…ハッチ部、15…地下タンク、20…主制御器、24,48…制御手段(CPU)、41,49…無線機、45…副制御器。

Claims (2)

  1. 油槽所に貯蔵された石油製品を油種別にタンクローリー車のハッチ部に給油して荷受けし、荷受けした前記ハッチ部内の石油製品を、吐出口から荷卸し用ホースを介して油種毎に給油所の地下タンクに給油して荷卸しする油送システムにおいて、
    前記地下タンク毎に設けられ、該地下タンク内の油面位置を検出し、その油面位置に応じた検出信号を出力する油面計と、
    前記タンクローリー車に設けられ、荷卸し対象の地下タンク内の油量が満タンと判別されたかを確認するための呼出信号を、前記荷卸し用ホースが接続されている状態で予め設定した所定周期で無線で出力する無線機を有する主制御器と、
    前記給油所に設けられ、前記油面計からの検出信号を入力として前記荷卸し対象の地下タンク内の油量が満タンか否かを判別する制御手段と、該制御手段によって油量が満タンと判別され、かつ前記主制御器の無線機から前記呼出信号を受信したときに、油量が満タンの旨を示す応答信号を無線で出力する無線機とを有する副制御器とを備え、
    さらに、前記主制御器は、前記副制御器に無線で出力される前記呼出信号に対して予め設定された時間内に前記副制御器から前記応答信号を受信したときに、その受信した応答信号に該当する地下タンクに対するハッチ部からの給油を停止制御する制御手段を有することを特徴とする油送システム。
  2. 油槽所に貯蔵された石油製品を油種別にタンクローリー車のハッチ部に給油して荷受けし、荷受けした前記ハッチ部内の石油製品を、吐出口から荷卸し用ホースを介して油種毎に給油所の地下タンクに給油して荷卸しする油送システムにおいて、
    前記地下タンク毎に設けられ、該地下タンク内の油面に向けて光を出射し、その光の出射に伴う反射光量に応じた検出信号を出力する光センサと、
    前記タンクローリー車に設けられ、荷卸し対象の地下タンク内の油量が満タンと判別されたかを確認するための呼出信号を、前記荷卸し用ホースが接続されている状態で予め設定した所定周期で無線で出力する無線機を有する主制御器と、
    前記給油所に設けられ、前記光センサからの検出信号を入力として前記荷卸し対象の地下タンク内の油量が満タンか否かを判別する制御手段と、該制御手段によって油量が満タンと判別され、かつ前記主制御器の無線機から前記呼出信号を受信したときに、油量が満タンの旨を示す応答信号を無線で出力する無線機とを有する副制御器とを備え、
    さらに、前記主制御器は、前記副制御器に無線で出力される前記呼出信号に対して予め設定された時間内に前記副制御器から前記応答信号を受信したときに、その受信した応答信号に該当する地下タンクに対するハッチ部からの給油を停止制御する制御手段を有することを特徴とする油送システム。
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