JP4093355B2 - 帯電防止用シート及び粘着テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両表面に帯電した正負電荷を除去する帯電防止用シート及び粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子部品の輸送やプリント基板への実装に際しては、個々の部品を所定のシートで包装した状態や粘着テープへ貼り付けた状態によって移送することが多々行われている。具体的には、小型の電子部品用の搬送体としてテープ状支持体の上に接着剤層を設けたキャリアテープが提案されている(例えば特許文献1参照)。こうした部品を開梱しようとしたり、あるいは粘着テープから部品を取り外そうとすると、シートやテープ(以下「テープ等」という。)の表面に静電気が発生することがあり、この静電気によって部品自体が損傷することがあることが知られている。特に、近年非常に精密化されてきた電子部品では、微量の静電気の発生によっても無視できない影響を受けることがある。
【0003】
従って、このとき使用するテープ等は、帯電防止処理をしたものやテープ等の素材自体が帯電を防止できるものであることが必要となる。
【0004】
一般的に、こうしたテープ等は、2層構造のテープ等がほとんどであり、表面への帯電防止剤付与、練り込みが主である。また、基材の上に、帯電防止層、粘着剤層を順に設けることを特徴とし、テープ等の表面での静電気の発生および帯電の防止を図ろうとするテープの提案もある(例えば特許文献2等)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−105260号公報
【特許文献2】
特開2002−69395号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、帯電防止機構は十分に解明されておらず、試行錯誤で帯電防止されているのが現状である。従って、テープ等の用途が異なった場合や基材や粘着剤が特定された場合にあっては、十分な帯電防止ができない或いはその確認ができない状態でテープ等を使用することがあり、実装での静電気による問題の発生が生じるおそれがあった。
【0007】
また、帯電防止の効果の確認等においても、これまでは、テープ等の表面における特性、例えば表面抵抗率、帯電電位、電位減衰、その均一性などについてのみ電気的特性として検討されてきた。従って、構造物の組成が変わった場合やその配列を変えた場合など表面上の変化が見られないが、実際に使用した場合に静電気の発生量が大幅に異なるおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、帯電防止に効果的なテープ等を提供することにある。特に、電子部品の輸送やプリント基板への実装に際して多く用いられるチップキャリアテープ等に対して非常に実用性の高いテープ等となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す帯電防止用テープ等により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
具体的には、誘電率の異なる3層構造物からなる帯電防止用テープ等であって、各層の内で誘電率が最も小さい構造物を中央とすることを特徴とする。こうした構造を有するテープ等により、各構造物界面での内部電荷の形成が可能となり、テープ等の表面での帯電防止を好適に行うことができることとなる。
【0011】
また、上記帯電防止用テープ等であって、2番目に小さい誘電率の構造物を基材としたことを特徴とする。こうした構造を有するテープ等により、実際に電子部品等の被粘着物が接触するテープ等の面での電荷の発生を大幅に低減し、テープ等の表面からの部品等への帯電を好適に防止することができることとなる。
【0012】
また、上記帯電防止用テープ等であって、誘電率が最も小さい構造物と2番目に小さい構造物との界面に帯電防止剤を施すことを特徴とする。こうした構造を有するテープ等により、各構造物界面での内部電荷の形成を可能としつつ、発生する電荷量を低減することで、テープ等の表面での帯電防止をさらに好適に行うことができる。
【0013】
このとき、帯電防止剤に代え、電子電導性高分子材料を施すことによっても同様の効果をえることができる。電子電導性高分子材料に代えることによって、さらに湿度の変化に対しても表面抵抗が変わらないといった効果が期待できる。
【0014】
また、上記帯電防止用テープ等であって、誘電率の2番目に小さい構造物表面に帯電防止剤を施したことを特徴とする。予め帯電防止剤を施した構造物をテープ等に使用することにより、3層構造を形成するに際して工程上円滑に処理することができ、上記の好適な条件を満たすテープ等を容易に製造することができる。
【0015】
また、上記帯電防止用テープ等にあっては、誘電率の最も大きい構造物が帯電防止剤を練り込んで誘電率を上げることが好ましい。基本となる基材や粘着剤の組成を変えずに最適な誘電率を調整することができることから、帯電防止以外の機能を損なうことなく、任意の素材を用いたテープ等を供給することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る帯電防止用テープ等の実施形態について説明する。
【0017】
本発明者らは研究の結果、強固に貼り合わされた3層構造物内部の各界面には、テープ等に(帯電)電圧がかかった際に、誘導などにより電荷が形成されるという現象を見出し、また、帯電防止の効果の確認等において、空間電荷分布測定により、帯電時におけるテープ等の内部電荷が帯電防止機構に大きく影響していることを見出した。こうした研究結果を基に、更に検討を加えて完成した本発明の内容は、実施の態様として、帯電防止に効果的な内部電荷を中央部構造物(第2層構造物)の両端界面(第1層構造物と第2層構造物との界面(以下「第1界面」という。)、第2層構造物と第3層構造物との界面(以下「第2界面」という。))にそれぞれ形成することができるテープ等を提供することにある。また、当核内部電荷形成シートを帯電防止用として用いることにより、各構造物界面に内部電荷を形成して表面の帯電防止が好適に行える帯電防止方法を提供することにある。
【0018】
本発明の帯電防止用テープ等は3層構造物を有し、(帯電)電圧がかかった際に、各層の構造物の誘電率(ε)の差により、表面に帯電した同極性の電荷が各界面に形成するものである。上記において、例えば第1層構造物表面に負電荷が蓄積すると第1界面には負の誘導電荷が形成し、第3層構造物表面に正電荷が蓄積すると第2界面に正の誘導電荷が形成されるものが好ましい。また、これら構造物の誘電率の大きさが、第3層構造物の誘電率(ε3 )>第1層構造物の誘 電率(ε1 )>第2層構造物(中央部構造物)の誘電率(ε2 )であることが好ましい。
【0019】
つまり、誘電率の異なる3層構造物からなる帯電防止用テープ等であって、各層の内で誘電率が最も小さい構造物を中央とすることで、実施例の結果が示すように、両端表面に正負の電荷が帯電した場合に、中央部構造物(第2層構造物)両端に誘導電荷が発生する。これにより、1つの外層で発生した静電気を内部の構造物間の誘導電荷に変えて、表面電荷の存在を大きく低減することができる。具体的には、第1層構造物を基材とし第2、第3構造物を高分子シートとする帯電防止シートとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)やPI(ポリイミド)を基材とし、PE(ポリエチレン)やEVA(エチレンビニルアセテート)やカーボン入り樹脂をシート材として用い、第2層構造物をPEやフッ素系樹脂(cf.PVdF)とするものが挙げられる。また、第1層構造物を基材とし第2、第3構造物を粘着剤とする粘着テープとしては、例えば、PETやPPを基材とし、PIB(ポリイソブチレン系粘着剤)やPAB(アクリル系粘着剤)やカーボン入り粘着剤を粘着剤として用い、第2層構造物をそれら素材の中で最も誘電率の低いPIBや天然ゴム系粘着剤とするものが挙げられる。なお、素材の形状や誘電率については、実施例や比較例に記載されたものが一般的であるが、本発明はこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0020】
また、上記帯電防止用テープ等であって、誘電率が最も小さい構造物を中央とし、2番目に小さい誘電率の構造物を基材とすることで、好ましいテープ等の構成である、第3層構造物の誘電率(ε3 )>第1層構造物の誘電率(ε1 )>第2層構造物(中央部構造物)の誘電率(ε2 )を確保することができる。つまり、上記のような構造物の配置をすることで、一般に基材(第1層構造物)の表面で発生する負の電荷に相当する量の負の電荷を第1界面に形成せしめ、第2界面に正の電荷を形成することで、第3層構造物の空気面での表面電荷の発生を有効に低減することができる。上記の具体的例では、第1構造物(基材)として、PEやフッ素系樹脂よりも誘電率が高くEVAやカーボン入りPEよりも誘電率が低いPETやPPを基材としたシートが挙げられる。また、第1構造物(基材)として、PIBや天然ゴム系粘着剤よりも誘電率が高くPABやカーボン入り粘着剤よりも誘電率が低いPETやPPを基材とした粘着テープが挙げられる。
【0021】
さらに、上記帯電防止用テープ等であって、誘電率が最も小さい構造物と2番目に小さい構造物との界面(つまり、第1界面)に帯電防止剤を施すことが好ましい。こうした構造により、第1界面および第2界面での内部電荷の形成を可能としつつ、第1界面で形成する負(または正)の電荷量を低減することで、第2界面で形成する正(または負)の電荷を低減することができる。その結果、テープ等の表面での帯電防止をさらに好適に行うことができる。ここでいう帯電防止剤とは、例えば、導電性ポリマーや海面活性剤をいい、具体的には静電防止性コーティング剤" ボンディップ" (アルテック社製)や可溶性ポリアニリン”アニリード”(日東電工社製)を挙げることができる。
【0022】
このとき、イオン電導性帯電防止剤に代え、電子電導性高分子材料を施すことによっても同様の効果をえることができる。電子電導性高分子材料を第1界面に施すことによって、上記のような内部電荷の形成が可能となるとともに、湿度変化に対しても表面抵抗は変わらないといった効果が期待できる。ここでいう電子電導性高分子材料とは、具体的にはポリアニリンやポリピロールのような導電性高分子と金属粒子やカーボンを練り込んだ高分子材料を挙げることができる。
【0023】
また、上記帯電防止用テープ等であって、誘電率の2番目に小さい構造物表面に帯電防止剤を施すことが好ましい。例えば、3層構造物からなる帯電防止用テープ等において第1界面に帯電防止剤を施す場合、(1)第1層構造物を準備し、その表面に帯電防止剤を施す(2)第1層構造物と第2層構造物を重ね合わせながら、その中間に帯電防止剤を流し込む(3)第2層構造物の第1界面側の面に帯電防止剤を施し、その後第1層構造物と重ねる、のいずれかの工程を採用することが一般的であるが、予め帯電防止剤を施した構造物をテープ等に使用することにより、上記工程を円滑に処理するとともに、上記の好適な条件を満たすテープ等を容易に製造することができる。特に単に塗布するだけでなく、一定の深さを有する表層部に帯電防止処理を施すことが必要な場合には特に有効な手段となる。
【0024】
また、上記帯電防止用テープ等にあっては、誘電率の最も大きい構造物が帯電防止剤を練り込んで誘電率を上げることが好ましい。例えば、実施例に示すように、EVAに帯電防止剤を練り込んだ高分子シートが挙げられる。基となる高分子や粘着剤の組成を変えずに最適な誘電率を調整することができ、基となる高分子や粘着剤の特性を活かしつつ有効に静電気の影響を低減することができる。
【0025】
なお、上記帯電防止用テープ等であっては、各構造物における空間電荷分布測定によって、帯電防止の効果の確認することが可能である。本発明者は、空間電荷分布測定により、帯電時におけるテープ等の内部電荷が帯電防止機構に大きく影響していることを見出すとともに、上記のような、最適の3層構造物からなる帯電防止用テープ等を発明した。従って、逆に、空間電荷分布測定を利用すると、各種構造を有するテープ等が帯電防止効果を有するかどうかに対して明確な判断ができることを意味する。つまり、上記測定法によって、帯電防止効果の差異を的確に把握し、最適構造を有するか否か、或いは製品レベルのばらつきや不良品の発生を確実に抑えることができる。
【0026】
なお、上記の説明は、主として粘着面表面から発生する負の静電気を中心に述べるが、むろん、正の静電気の発生の場合にも同様の効果がえられることはいうまでもない。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例について説明する。
【0028】
表1に示すような構造物を有する14種類の試料について、下記の測定方法に基づいて測定を行った。なお、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0029】
【表1】
【0030】
<測定方法>
帯電防止機能を以下の2つの方法にて測定する。
【0031】
(1)電荷放射装置(Milty社製:" ZEROSTAT3" )にて、試料の一方の面に電荷を放電させ、1分後、空間電荷分布測定装置(ファイブラボ社製:" PEANUTS" ,PEA−101−BM)によって試料内部の残留電荷密度の観察を行う。結果は実施例等に示すように、テープ等の断面距離を横軸にとり、電荷密度を縦軸として表す。
【0032】
(2)試料の両面間に直流電圧を印加し、1分後、上記測定装置によって試料内部の残留電荷密度の観察を行った。結果は実施例等に示すように、テープ等の断面距離を横軸、電荷密度を縦軸として、電圧印加(10kV/mm)中の空間電荷分布を斜線なしのグラフ、電圧印加停止後1分経過後の残留電荷分布を斜線付のグラフで表す。
【0033】
(3)一部の試料について、表面電荷の減衰時間の測定を行った。試料表面の帯電電圧をモニターしつつ、電圧印加直後からその帯電電圧が10%まで減衰する時間を測定値とした。
【0034】
<試験条件A>
PETフィルム(例えば、東レ社製ルミラーS10、38μm厚、ε2 =2.7)を基材とし、粘着剤Aとしてポリイソブチレン系粘着剤(PIB:50μm厚、ε1 =1.9)、粘着剤Bとしてアクリル系粘着剤(PAB:50μm厚、ε3 =4.2)を使用し、組み合わせをいろいろ換えて粘着剤2層構造の粘着テープを作製した。
【0035】
(1)実施例1
粘着テープの構造として、基材(PET:ε2 =2.7)/粘着剤A(PIB:ε1 =1.9)/粘着剤B(PAB:ε3 =4.2)からなる試料を作製した。粘着剤面に電荷を放電させた後の粘着テープ内部の残留電荷密度(C/m3 )を観察した結果を図1に示す。
【0036】
(2)実施例2
実施例1と同一条件の試料について、直流電圧を印加した後の内部空間電荷分布および残留電荷密度(C/m3 )を観察した結果を図2に示す。
【0037】
(3)比較例1
粘着テープの構造として、基材(PET:ε2 =2.7)/粘着剤B(PAB:ε3 =4.2)/粘着剤A(PIB:ε1 =1.9)とした場合の、電荷放射後の残留電荷密度分布を図3に示す。
【0038】
(4)比較例2
比較例1と同一条件の試料について、直流電圧を印加後の内部空間電荷分布および残留電荷密度分布を図4に示す。
【0039】
(5)結果について
上記の結果から判るように、明らかに誘電率の小さいイソブチレン系粘着剤を中央部に配置した方が残留電荷密度は小さい。この場合、残留電荷が中央部両端に集中する傾向にあり、表面電荷を打ち消す効果を持つものと考えることができる。また、実施例1および2における減衰時間は、10数秒から数10秒程度が観測されている。
【0040】
<試験条件B>
更なる帯電防止効果を上げるため、PET/粘着剤界面に電子性電導材料である導電性高分子ポリアニリンの薄膜(0.1μm厚)をPET表面に塗布し、粘着剤を2層塗工した。さらに、比較例として、同じ粘着剤を2層構造に塗布した場合(1層構造粘着剤となる)どうなるかを同様に観察した。
【0041】
(1)実施例3
粘着テープの構造として、基材(PET)/ポリアニリン/粘着剤A(PIB)/粘着剤B(PAB)からなる試料を作製した。粘着剤面に電荷を放電させた後の粘着テープ内部の残留電荷密度分布(C/m3 )を図5に示す。
【0042】
(2)実施例4
実施例3と同一条件の試料について、直流電圧を印加した後の内部空間電荷分布および残留電荷密度分布(C/m3 )を図6に示す。
【0043】
(3)比較例3
粘着テープの構造として、基材(PET)/ポリアニリン/粘着剤B(PAB)/粘着剤A(PIB)からなる試料を作製した。粘着剤面に電荷を放電させた後の粘着テープ内部の残留電荷密度分布(C/m3 )を図7に示す。
【0044】
(4)比較例4
比較例3と同一条件の試料について、直流電圧を印加した後の内部空間電荷分布および残留電荷密度分布(C/m3 )を図8に示す。
【0045】
(5)比較例5
粘着テープの構造として、基材(PET)/粘着剤A(PIB)/粘着剤A(PIB)からなる試料を作製した。粘着剤面に電荷を放電させた後の粘着テープ内部の残留電荷密度分布(C/m3 )を図9に示す。
【0046】
(6)比較例6
粘着テープの構造として、基材(PET)/粘着剤B(PAB)/粘着剤B(PAB)からなる試料を作製した。粘着剤面に電荷を放電させた後の粘着テープ内部の残留電荷密度分布(C/m3 )を図10に示す。
【0047】
(7)結果について
実験条件Aと同様に、誘電率の小さいイソブチレン系粘着剤を中央部に配置した方が残留電荷密度は小さく、残留電荷が中央部両端に集中する傾向も見られ、表面電荷を打ち消す効果を持つものと考えることができる。
【0048】
また、同じ誘電率を有する構造物を重ねた比較例5および6については、その界面では電荷の蓄積は観察されなかった。つまり、同じ誘電率を有する構造物を重ねた場合には、実質的に2層構造といえることが確認された。ただ、アクリル系の粘着剤が2層となる場合、基材のPET両端に大きな残留電荷が見られた。なお、実施例3における減衰時間は、数秒程度であることが観測されている。
【0049】
<試験条件C>
一般的な粘着テープであるダンプロンテープ(日東電工製:包装用粘着テープ)について試験した。テープの構造は、基材としてPP(ポリプロピレン:60μm厚、ε=3.1)/粘着剤(PAB:30μm厚、ε=4.2)である。
【0050】
(1)比較例7
上記試料について、直流電圧を印加した後の内部空間電荷分布および残留電荷密度分布(C/m3 )を図11に示す。
【0051】
(2)結果について
試料の内部において、基材/粘着剤界面に大きな残留電荷(印加時とほぼ同じ位)が生成し、これによる両表面には誘導電荷が生じて、これが帯電現象として生じている。
【0052】
<試験条件D>
次に、帯電防止用シートにおける実施例を示す。
【0053】
(1)比較例8
帯電防止用シートの構造として、基材(PET:ε2 =2.7)/シートA(PE:13μm厚、ε1 =1.73)/シートB(EVA:15μm厚、ε3 =2.5)とした場合の、電圧印加中の空間電荷分布および1分経過後の残留電荷分布を図12に示す。
【0054】
(2)実施例5
比較例8の帯電防止用シートの構造に加え、EVAシートの中に帯電防止剤を練り込むことにより第三構造物の誘電率を大きくし(ε3 =3.8)、シート Bとした場合の、電圧印加中の空間電荷分布および1分経過後の残留電荷分布を図13に示す。
【0055】
(3)実施例6
実施例5の帯電防止用シートに、更にPETフィルム表面に帯電防止剤(例えば、アルテック社製静電防止性コーティング剤" ボンディップ" )を塗布し、その上にPEシート、EVAシートを重ねた3層構造物にした場合の、電圧印加中の空間電荷分布および1分経過後の残留電荷分布を図14に示す。
【0056】
(4)減衰時間について
比較例8、実施例5および6における減衰時間を、以下の表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
(5)結果について
表2の結果が示すように、比較例8では、PEとEVAの誘電率は近似した値であり、PE層に正の残留電荷が多く残留している。この残留電荷のためシートの両表面には誘導電荷を生じるとともに、表面での電荷減衰時間は非常に長くなり、測定不能であった。
【0059】
一方、実施例5については、残留電荷はPE両端に分かれるようになり、シートの表面での電荷減衰時間は12秒、15秒とかなり早くなった。また、実施例6については、残留電荷分布は、PET/PEシート界面、PE/EVAシート界面に集まり、表面には誘導電荷があまり形成しない形となっている。シートの両表面の電荷減衰時間は、0.88秒、0.94秒と非常に早くなった。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明の帯電防止用テープ等においては、誘電率の異なる3層構造物内で誘電率が最も小さい構造物を中央とすることにより、各構造物界面での内部電荷の形成が可能となり、テープ等の表面での帯電防止を好適に行うことができる。
【0061】
また、2番目に小さい誘電率の構造物を基材とすることにより、実際に電子部品等の被粘着物が接触するテープ等の面での電荷の発生を大幅に低減することができる。
【0062】
さらに、誘電率が最も小さい構造物と2番目に小さい構造物との界面に帯電防止剤を施すことにより、発生する電荷量を低減し、テープ等の表面での帯電防止をさらに好適に行うことができる。このとき、帯電防止剤に代え、電子電導性高分子材料を施すことによって、さらに表面抵抗が湿度の影響を受けないといった付加的効果が期待できる。
【0063】
また、誘電率の2番目に小さい構造物表面に予め帯電防止剤を施した場合には、工程上円滑に処理することができ、好適なテープ等を容易に製造することができる。
【0064】
また、誘電率の最も大きい構造物を、帯電防止剤を練り込んで誘電率を上げると、基本となる基材や粘着剤の機能を損なうことなく、帯電防止効果を得ることができる。
【0065】
なお、帯電防止の効果の確認を各構造物における空間電荷分布測定によって行うと、各層の組成や構造による帯電防止効果の差異を的確に把握することができ、製品レベルのばらつきや不良品の発生を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における内部残留電荷分布を示す説明図
【図2】本発明の第2の実施例における内部残留電荷分布を示す説明図
【図3】比較例1における内部残留電荷分布を示す説明図
【図4】比較例2における内部残留電荷分布を示す説明図
【図5】本発明の第3の実施例における内部残留電荷分布を示す説明図
【図6】本発明の第4の実施例における内部残留電荷分布を示す説明図
【図7】比較例3における内部残留電荷分布を示す説明図
【図8】比較例4における内部残留電荷分布を示す説明図
【図9】比較例5における内部残留電荷分布を示す説明図
【図10】比較例6における内部残留電荷分布を示す説明図
【図11】比較例7における内部残留電荷分布を示す説明図
【図12】比較例8における内部残留電荷分布を示す説明図
【図13】本発明の第5の実施例における内部残留電荷分布を示す説明図
【図14】本発明の第6の実施例における内部残留電荷分布を示す説明図
Claims (6)
- 誘電率の異なる3層構造物からなる帯電防止用シート及び粘着テープであって、各層の内で誘電率が最も小さい構造物を中央とすることを特徴とする帯電防止用シート及び粘着テープ。
- 上記帯電防止用シート及び粘着テープであって、2番目に小さい誘電率の構造物を基材としたことを特徴とする請求項1記載の帯電防止用シート及び粘着テープ。
- 上記帯電防止用シート及び粘着テープであって、誘電率が最も小さい構造物と2番目に小さい構造物との界面に帯電防止剤を施すことを特徴とする請求項1または2記載の帯電防止用シート及び粘着テープ。
- 上記帯電防止用シート及び粘着テープであって、誘電率が最も小さい構造物と2番目に小さい構造物との界面に電子電導性高分子材料を施すことを特徴とする請求項1または2記載の帯電防止用シート及び粘着テープ。
- 上記帯電防止用シート及び粘着テープであって、誘電率の2番目に小さい構造物表面に帯電防止剤を施したことを特徴とする請求項1または2記載の帯電防止用シート及び粘着テープ。
- 上記帯電防止用シート及び粘着テープであって、誘電率の最も大きい構造物が帯電防止剤を練り込んで誘電率を上げたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の帯電防止用シート及び粘着テープ。
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