JP4092869B2 - 携帯電話器および出力方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は着信をメロディで報知する携帯電話器に係り、複数の音程からなる着信音の発生に好適な携帯電話器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯電話器の着信音発生装置はメモリに記憶されたメロディに対応する信号をそのままスピーカに供給していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
携帯電話は小形、軽量化を要求されるため、これに用いられる着信音用のスピーカは小形のものであり、一般には直径約20mm程度のものが用いられている。このような小形のスピーカでは周波数帯域も低い方は400Hz位から、高い方は8kHz位までに限られており、この帯域の中でも十分な音圧レベルを発生できる帯域は約600Hz〜約5kHzの範囲である。このようなスピーカに着信音のメロディに対応する信号を加えた場合、400Hzより低い範囲あるいは8kHzより高い範囲では信号が入力されても音として出力されないのに電力だけ消費されていた。一方、スピーカの入力許容電力は音として出力されない帯域の電力まで含むものであり、入力信号が400Hz〜8kHzの周波数帯域外の信号を含む場合には入力電力を許容値の範囲内にするために400Hz〜8kHzの周波数帯域内の入力信号のレベルを低くしなければならなかった。特にメロディに和音をつけようとする場合には、高音側あるいは低音側で400Hz〜8kHzの周波数帯域外の信号を含むものがあるため、入力信号のレベルは低く抑えることが必要であった。そのため、着信音の音量を大きくすることが困難であった。また、この問題を解決するために入力信号をバンドパスフィルタを介して供給することも検討されたが、メロディ中に400Hz〜8kHzの周波数帯域から外れる周波数の音程が含まれていた場合にはその音が抜けてしまい、メロディが不自然になるという問題があった。特にメロディが和音を含んでいる場合には、和音の内の一つの音が400Hz〜8kHzの周波数帯域から外れると和音が成立せず、メロディ音を聞くときに違和感を覚えることがある。
【0004】
本発明の目的は、着信を報知するメロディを音楽的データを損なわずに再生可能な携帯電話器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の携帯電話器は、メロディデータを入力する入力手段と、前記入力手段により入力されたメロディデータの周波数が所定範囲外の場合、前記入力されたメロディデータの全体を周波数シフトする制御手段と、前記入力手段により入力されたメロディデータの周波数が所定範囲内の場合は前記メロディデータを記憶し、前記入力されたメロディデータの周波数が所定範囲外の場合は前記制御手段により周波数シフトされたメロディデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶されたメロディデータに基づいて音声信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段により生成された音声信号をスピーカから出力する出力手段と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図1から図7により説明する。
【0011】
本実施の形態における携帯電話器は、図1に示されるようにアンテナ10と、アンテナ10に接続された高周波回路部20と、高周波回路部20に接続された音声回路部30と、音声回路部30に接続されたスピーカ40、受話器46、マイクロフォン(以下マイク)48を有している。音声回路部30は着信音を発生するFM音源35が含まれている。本実施の形態では携帯電話器はさらに各種の機能を制御する制御手段としてのCPU60を備え、CPU60はこれに接続されたメモリ80に記憶された制御プログラムに従って高周波回路部20および音声回路部30を制御する。CPU60には操作部70および表示部50が接続され、CPU60は制御部70からの入力によっても制御プログラムに基づいて高周波回路部20または音声回路部30の制御を行い、通信に必要な情報(電波状態、相手の電話番号、メールアドレス、受信あるいは送信されるメールデータ等)または携帯電話の使用者が必要とする情報を表示部50に表示させる。
【0012】
図2、図3に示されるように高周波回路部20、音声回路部30、CPU60、メモリ80、操作部70、表示部50、スピーカ40、受話器46、マイク48は回路基板65上に実装されている。説明の便宜上、操作部70のある面を正面、その反対側を背面とすると、回路基板65の正面には操作部70、表示部50、受話器46、マイク48が実装され、背面には高周波回路部20、音声回路部30、CPU60、メモリ80、スピーカ40が実装される。高周波回路部20はシールド20aで覆われ、シールド20aの表面にスピーカ40が弾性部材を介して装着される。回路基板65のマイク48が設けられた側の端部には充電アダプタとの接続あるいはパーソナルコンピュータ(以下パソコン)等とのデータ通信を行うためのコネクタ66が設けられる。筐体90はケース92とカバー94とで構成され、ケース92は回路基板65の背面側を覆い、カバー94は回路基板65の正面側を覆う。アンテナ10はケース92のスピーカ40が設けられる側の端部に伸縮自在に装着され、完全に収納された位置および完全に伸ばされた位置で回路基板65の背面側に設けられた接触片10aを介して高周波回路部20に接続される。ケース92のアンテナ10と反対側の端部にはコネクタ66の開口部を開閉自在に覆う蓋66aが配設される。さらにケース92の背面外側には充電式の電池93を装着するための電池装着部92aが形成されている。
【0013】
一方、カバー94には、図4に示されるようにアンテナ10が設けられた端部から蓋66aが設けられた端部に向かって、受話器46、表示部50、操作部70、マイク48が配設される。
【0014】
本実施の形態における携帯電話器は着信時にベル音の代わりにメロディを再生する機能を有している。このメロディのデータはメモリ80内のメロディ記憶部85に記憶される。このメロディには、主なものとして(1)携帯電話器の製造時にメロディ記憶部85に固定的にメロディデータを記憶させておくもの、(2)使用者が携帯電話器を購入後インターネットを介してダウンロードされたメロディデータをメロディ記憶部85に記憶させておくもの、(3)使用者が携帯電話器を購入後メールを介して転送されたメロディデータをメロディ記憶部85に記憶させておくもの、(4)使用者が携帯電話器を購入後パソコン等の端末を用いて自作したメロディデータをメロディ記憶部85に記憶させておくもの、の4種類がある。
【0015】
メロディは楽器の音色を模した音色データ、音程と音階および音の長さのデータを含む音符データを入力して構成される。音色データはピアノ、ギター、フルート、シンセサイザー等128の音色が基本として備えられている。さらに必要があれば音色データを追加して音の表現の多様性を増加させてもよい。
【0016】
図5は本実施の形態におけるスピーカの周波数特性を示す特性図である。スピーカ40は低音域ではfc1、高音域ではfc2の間の周波数帯域で入力信号を音波として出力可能であり、本実施の形態ではfc1=400Hz、fc2=8kHzである。スピーカ40は特に周波数f1〜f2の間でほぼ平坦な出力特性を有しており、さらに電話器のベル音を再生するための周波数fQには特性のピークが設定されている。本実施の形態ではf1=600Hz、f2=5kHzである。また、周波数fQは2kHz〜3kHzであり、標準ベル音(2kHz〜3kHzで1秒間ON、2秒間OFF)を95dB程度の大音量で鳴らすことができるようピークが設定される。
【0017】
この600Hz〜5kHzの間は変換効率の優れた領域であり、少ない電力でも大きな音圧レベルを得られる領域である。本実施の形態では第1の周波数fc1は400Hz、第2の周波数fc2は8kHzであり、この領域内でメロディを構成できるよう音符データを設定するものである。図6に示すように音程のコードで400Hzを超えるものは「G#3」(415.3Hz)であるが、本実施の形態では周波数が音程コード「A3」(440.0Hz)以上のものを用いて周波数fc1以下での電力消費を防止している。
【0018】
メロディを構成するには、音色データおよび音符データを記憶手段としてのメロディ記憶部85に所定の順番で記憶させる。本実施の形態ではメロディに和音がつけられて再生される。和音の音色は主旋律のメロディとは異なる楽器の音色が用いられる。この場合には、メロディ記憶部85には主旋律を演奏する楽器に対応した音色データ(第1の音色データ)と、この音色で演奏される音符データが所定の順番で記憶される。また、和音の旋律を演奏する楽器に対応した音色データ(第2の音色データ)と、この音色で演奏される音符データも所定の順番でメロディ記憶部85に記憶される。曲目によってはさらに第3の音色データで演奏される複数個の音符データ、第4の音色で演奏される複数個の音符データ、…もそれぞれ所定の順番でメロディ記憶部85に記憶される。制御手段としてのCPU60は信号発生手段としてのFM音源35に主旋律に対応する音声信号と和音の旋律に対応する音声信号を予め定められたタイミングで発生させるよう制御する。このタイミングはメロディを聴く人が和音と感じることができるタイミングであり、具体的には同時あるいは同時と感じられる程度の時間差を有するタイミングである。
【0019】
和音の音色として例えばウッドベース等低音の楽器を模した音が用いられることがあり、メロディによっては入力された音符データの音程が周波数がfc1以下となる場合がある。携帯電話器の製造時にメロディ記憶部85に固定的にメロディデータを記憶させておく場合、または使用者が携帯電話器を購入後パソコン等の端末を用いて自作したメロディデータをメロディ記憶部85に記憶させておく場合には、記憶させる音符データとしてあらかじめ低音域でも周波数が400Hz以上となるコードを選んでメロディを構成する。使用者が携帯電話器を購入後インターネットを介してダウンロードされたメロディデータをメロディ記憶部85に記憶させておく場合、または使用者が携帯電話器を購入後メールを介して転送されたメロディデータをメロディ記憶部85に記憶させておく場合には記憶部80に音程修正ソフトを記憶させておき、CPU60により図7に示すように周波数が400Hz以上となるよう音符データの音程をシフトする。すなわち、CPUが音符データを読み出して(S101)「コードA3以下があるか」を判断し(S102)、Yesならこの楽器の音色で再生される音符データの全体を半音上へ移調(周波数シフト)して(S103)再度ステップ(S102)で判断し、Yesなら半音上へ移調して再度判断するというステップ(S103)と(S102)とを繰り返し、Noになった時点で設定操作に移る(S104)。設定された音符データはメロディ記憶部の予め定められたエリアに記憶される。これにより、再生される全ての音符データが400Hz〜8kHzの間になるのでスピーカ40で消費される電力の無駄がなくなり、スピーカ40の入力電力許容値の範囲内で入力信号のレベルを上げることができる。特にメロディに和音をつけようとする場合であっても、入力される音符データが400Hz〜8kHzの周波数帯域内となるので、入力信号のレベルを低く抑えることは不要である。
【0020】
本実施の形態では、特に、低音部の少ないメロディでは和音がつけられても音符データのほとんどが600Hz〜5kHzの周波数帯域の周波数の範囲内となり、入力信号の電力を効率よく音のエネルギに変換できて、大音量でメロディを再生できる。また、低音部に和音がつけられている場合でも、音符データが400Hz〜8kHzの周波数帯域内となるので和音が全て再生され、違和感が無く自然に聴くことができるとともに、使用者がきれいな音で着信音を聴くことができる。
【0021】
本発明の第2の実施の形態を図8〜図9により説明する。本実施の形態では配信された音符データに複数のパートが含まれているので、図8に示すようにまずパートを選択し(S201)、選択されたパートに含まれる音符データを読み出し(S202)てエネルギ分析、すなわち音符データの周波数成分分析を行い(S203)、この結果により移調するか否かを判断するものである。本実施の形態では図8に示されるように、音符データが読み出されたあと、音符データの周波数成分の分布が分析される。分析の1例としては各音程の音符の分布を調べることにより分析が行われる。スピーカ40は図5に示されるように、低音域ではfc1、高音域ではfc2の間の周波数帯域で入力信号を音波として出力可能であり、例としてfc1=400Hz、fc2=8kHzである。周波数成分の分析結果に基づきfc1以下の周波数の音符が音符データ全体に対してどの位の割合を占めるかを算出してこの割合が60%以上か判断する(S204)。この割合が60%を超えると大半の音が再生されなくなるため、60%以上のときは音符データの移調を行う(S205)ようにする。この場合も第1の実施の形態と同様に選択されたパートに含まれる音符データ全体を半音上に移調し、割合が60%未満となるまでステップ(S205)と(S204)を繰り返す。割合が60%未満になると音程設定操作を行い(S206)、次に他のパートがあるか判断し(S207)、あればステップ(S201)に戻り、なければ終了する(S208)。特に着信を報知するメロディが和音を含むものである場合に、低音域の伴奏のパートがスピーカの再生可能な低音域から外れることが多い。伴奏のパートの数が増えるほどこの傾向は大きくなる。本実施の形態は伴奏のパートの数が多い場合に、パート毎に音符データの周波数成分の分布を分析し、移調を行うか否かをパート毎に判断する。例えば、主旋律のパートの他に伴奏のパートが3つあり、その中でウッドベース等の低音域のパートが図9(a)に示すようにスピーカの低音域から外れる場合にはこのパートだけ図9(b)の状態まで移調を行い、全てのパートがスピーカの再生可能な音域内に存在するようにする。各パートの音声信号は予め定められたタイミングで再生されるよう制御手段により制御される。このタイミングはメロディを聴く人が和音と感じることができるタイミングであり、具体的には同時あるいは同時と感じられる程度の時間差を有するタイミングである。これにより携帯電話機の使用者はメロディを和音で楽しむことができる。また、移調を行うのに、音符データの周波数成分の分布がスピーカの低音域から大きく外れている場合は、半音ずつではなく全音ずつあるいはそれ以上の音程で移調するようにしてもよい。
【0022】
特に、主旋律の他に3つの伴奏パートを含み4和音と呼ばれるメロディの場合、あるいはさらに多くの伴奏パートを含むものの場合は、低音域の伴奏パートが400Hz以下の音を60%以上含む可能性が大きくなる。この場合に400Hz以上に全てのパートを移調してしまうと音が単調になってしまうことがある。このような場合には再生できる周波数範囲のより広いスピーカ、例えば低音域を200Hzまで再生できるものを用いて、200Hzを判断の基準にして各パート毎に判断を行うことにより、広い音域でメロディの再生が可能となる。具体的には音程コード「A2」までの再生が可能となり、400Hzを基準とした場合に比べ1オクターブ音域を拡げることができる。
【0023】
これにより、ウッドベース等の低音域に音が70〜80%分布している伴奏パートでも移調により大半の音が再生可能となる。音域の広い楽器の伴奏パートについては、音符の分布が低音域を外れる割合も低く移調が行われないため、移調により高音域側がスピーカの再生範囲から外れてしまうのを防止できる。これにより、本実施の形態では和音の数が増加しても、各パートの音の大半をスピーカの再生範囲内に収めることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、着信を報知するメロディを音楽的データを損なわずに再生可能な携帯電話器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態における携帯電話器の回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の1実施の形態における携帯電話器の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の1実施の形態における携帯電話器の回路基板を示す斜視図である。
【図4】本発明の1実施の形態における携帯電話器の外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の1実施の形態における携帯電話器のスピーカの周波数特性を示す特性図である。
【図6】本発明の1実施の形態における携帯電話器に用いられる音符データのコードと周波数の関係を示す図である。
【図7】本発明の1実施の形態における携帯電話器の周波数シフトを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態における携帯電話器の周波数シフトを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における携帯電話器のスピーカの周波数特性と移調前後の音符データの周波数分布を示す特性図で、同図(a)は移調前の特性図、同図(b)は移調後の特性図である。
【符号の説明】
10:アンテナ、20:高周波回路部、30:音声回路部、35:FM音源、
40:スピーカ、46:受話器、48:マイクロフォン、50:表示部、
60:CPU、65:回路基板、70:操作部、80:メモリ、
85:メロディ記憶部、90:筐体

Claims (6)

  1. メロディデータを入力する入力手段と、
    前記入力手段により入力されたメロディデータの周波数が所定範囲外の場合、前記入力されたメロディデータの全体を周波数シフトする制御手段と、
    前記入力手段により入力されたメロディデータの周波数が所定範囲内の場合は前記メロディデータを記憶し、前記入力されたメロディデータの周波数が所定範囲外の場合は前記制御手段により周波数シフトされたメロディデータを記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段により記憶されたメロディデータに基づいて音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段により生成された音声信号をスピーカから出力する出力手段と、
    を備えていることを特徴とする携帯電話器。
  2. 請求項1に記載の所定範囲の周波数は、400Hz以上8kHz以下であることを特徴とする携帯電話器。
  3. 請求項1に記載の入力手段は、インターネットあるいはメールを介してメロディデータを入力することを特徴とする携帯電話器。
  4. スピーカを備えた携帯電話器においてメロディ音を出力する出力方法であって、
    メロディデータを入力し、
    入力されたメロディデータの周波数が所定範囲外の場合は前記入力されたメロディデータの全体を周波数シフトし、
    前記周波数シフトされたメロディデータを記憶し、
    記憶されたメロディデータに基づいて音声信号を生成し、
    生成された音声信号を前記スピーカから出力することを特徴とする出力方法。
  5. 請求項4に記載の出力方法において、入力されたメロディデータの周波数が所定範囲内の場合は前記入力されたメロディデータを記憶することを特徴とする出力方法。
  6. 請求項4に記載の所定範囲の周波数は、400Hz以上8kHz以下であることを特徴とする出力方法。
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