JP4092852B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料噴射装置の燃料噴射性能の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射装置として、筒内への燃料噴射用のインジェクタが、ポンプから圧送された燃料を蓄えるコモンレールにより燃料の供給を受けるようにしたものはコモンレール式として知られている。インジェクタは、先端に噴孔が形成されたノズル内に、噴孔を開閉するニードルがその後端部で摺動自在に保持され、前記コモンレールからの燃料がニードルの先端部の外周に形成された油溜まり室に導入される。この導入燃料は噴射燃料として供されるともに、またニードルを離座方向に作用する付勢力を発生する制御油として供される。前記コモンレールからの燃料はまた、ニードルの後端面を室壁面とする背圧室に導入され、ニードルを着座方向に作用する付勢力を発生する制御油として供される。ニードルは背圧室の燃料圧力が低下してニードルに対する離座方向の付勢力が優勢となると離座し、その状態から背圧室の燃料圧力が上昇して着座方向の付勢力が優勢となると着座する。
【0003】
図6に、背圧室の燃料圧力を切り換える背圧制御弁の構造の一例を示す。背圧制御弁は、前記背圧室と常時連通する弁室901を有し、弁室901内にはボール902が配設され、弁室901の天井面に開口端を有する孔903を閉鎖可能となっている。孔903は低圧の燃料タンクと連通している。弁室901の上方にシリンダ904が上下方向に形成され、シリンダ904内には、摺動径の異なる2つのピストン905,906が配設されている。下側のピストン905は、ピン状の下端部9051が孔903の前記開口端から前記弁室901内に突出し前記弁体902を押圧自在であり、上側のピストン906は上方から図示しないピエゾスタックにより押圧駆動される。両ピストン905、906の間は燃料が導入され油圧室907となっている。
【0004】
図示の状態は燃料噴射前の状態で、ボール902が上記孔903を閉じて上記背圧室と低圧の燃料タンクの間は遮断され、背圧室の燃料圧力は略コモンレール圧力に等しい圧力となっている。この状態から上側のピストン906が下方に変位すると、油圧室907の燃料を介して下側のピストン905が下方に駆動されて、ボール902による上記孔903の閉鎖状態が解消されて上記背圧室が低圧の燃料タンクに通じ、背圧室の圧力は低下する。かかる背圧制御弁の開閉制御により燃料噴射時期および噴射量が制御される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンが停止状態の時はニードルはスプリングの力で着座状態にあり、一方、背圧制御弁はピエゾスタックが縮小状態であるとともに、ボールが自重により弁室の底まで降りている。この状態から、イグニッションスイッチがオンし、ポンプのコモンレールへの燃料圧送が開始されると、ニードルに対し離座方向に作用する燃料圧力およびボールに対し上方(着座方向)に作用する燃料圧力が上昇していく。先ず、ボールが上方変位して着座して背圧制御弁が閉弁し、背圧室の燃料圧力が急上昇して、ニードルに作用する離座方向の燃料圧力がスプリング力および背圧室の燃料圧力よりも優勢となる前にニードルを着座状態に保持する。
【0006】
しかしながら、エンジンが停止してから長時間が経過していると、その間に下側ピストンが設置されたスプリングあるいは自重でボールと当接するまで油圧室への燃料の流入を伴いながら下方変位する。
【0007】
かかる状態になると、再びポンプからの圧送が開始されてコモンレール圧力が上昇しボールが上方変位を開始すると、油圧室内の燃料は圧縮により圧力が上昇してボールの上方変位を妨げる力を発生する。これによりボールが速やかに着座することができず、ニードルに対し着座方向に作用する背圧室の燃料圧力が急上昇するタイミングが遅れる。その間にも、油溜まり室の燃料圧力は上昇するから、ニードルに作用する離座方向の燃料圧力が着座方向の力よりも優勢となって、噴射指令が出されていないのにニードルが離座し燃料を噴射してしまう。
【0008】
別の構造のインジェクタとして、図7に示すように、下側ピストン905に対して上向きに作用するスプリング908を設け、ピエゾスタックが縮小すると下側ピストン905が所定の初期位置に戻るようにしたものがあり、かかる異常噴射が起きることはない。
【0009】
しかしながら、この構造ではボール902とそのシート901aとの密着性を確保するべく、下側ピストン905が上記初期位置にあるとき、ボール902と下側ピストン905との間が当接しているか僅かなギャップHを有している。このギャップHは製造時の個体差、下側ピストン905の熱膨張・熱収縮、経時的なボール902および下側ピストン905の磨耗に起因して一定せず、噴射時期のばらつきや燃料噴射量のばらつきとなって現れ、将来的な燃料噴射制御のより高い精度要請に応え得ない。
【0010】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、燃料噴射の精度が高く、しかも始動時に噴射指令が出されていないのに燃料噴射がなされるのを防止することのできる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、ポンプから圧送された燃料を蓄えるコモンレールにより燃料の供給を受けるインジェクタは、ノズル内に配設されたニードルに対して着座方向に付勢するスプリングを有し、前記コモンレールからの燃料が、前記ニードルに対して燃料圧力が離座方向に作用する油溜まり室と、前記ニードルに対して燃料圧力が着座方向に作用する背圧室とに供給され、背圧制御弁が開弁すると前記背圧室と低圧源とが連通して前記ニードルが離座するように構成される。
前記背圧制御弁は、前記背圧室と常時連通する弁室と、前記低圧源と連通するとともに前記弁室の天井面に開口端を有する孔と、前記弁室内に配設され前記孔を閉鎖する弁体と、前記弁室の上方に上下方向に形成されたシリンダと、該シリンダ内に配設され、ピン状の下端部が前記孔の前記開口端から前記弁室内に突出し前記弁体を押圧自在な下側のピストンと、該ピストンの上方で前記シリンダ内に配設されピエゾスタックの伸縮で上下に変位する上側のピストンと、2つの前記ピストンで挟まれた空間に燃料を充填してなり上側ピストンの変位を下側ピストンに伝える油圧室とを有し、前記ピエゾスタックが充電して伸長すると前記下側ピストンの押圧で前記弁体が下方変位して前記弁室が前記孔を介して前記低圧源と連通するように構成される。
そして、前記コモンレールの燃料圧力を検出する圧力検出手段を具備する。
かつ、前記ピエゾスタックの充放電を切り換え前記インジェクタの噴射制御を行うインジェクタ制御手段を、イグニッションスイッチがオンされた後、最初の燃料噴射が行われるまでの制御において、予め前記ピエゾスタックを伸長状態としておき、前記コモンレールの燃料圧力から知られる前記弁体に作用する燃料圧力が、前記ポンプの圧送開始による前記コモンレールの燃料圧力の上昇で前記弁体の上方変位が可能な燃料圧力まで上昇すると前記ピエゾスタックを縮小せしめるように構成する。
前記インジェクタを、前記下側ピストンを上方に付勢する力を前記弁体からの押圧力のみで発生する構成とするとともに、前記ニードルを離座し得る前記油溜まり室内の最低の燃料圧力を、前記弁体に作用する燃料圧力が前記弁体の上方変位が可能な燃料圧力に達した時の前記油溜まり室内の燃料圧力以上に設定する。
【0012】
ピエゾスタックが予め伸長することで、背圧制御弁における弁体、下側ピストン、上側ピストン、ピエゾスタックが実質的に燃料噴射時の状態となる。次いで行われるピエゾスタックの縮小はこの状態でなされることになるが、ピエゾスタックの縮小は弁体に上向きに作用する燃料圧力が十分に上昇した後になされるから、燃料噴射停止時と同様に弁体はピエゾスタックの縮小に追随して速やかに上方変位して低圧源に通じる孔を閉鎖する。これにより、ニードルを着座方向に付勢する背圧室の燃料圧力が急上昇し、ニードルを着座状態に保持して通常の燃料噴射待機状態となる。弁体が上方変位するタイミングでは未だニードルを離座方向に付勢する油溜まり室の燃料圧力はニードルを離座し得る圧力に達していないから、噴射指令が出されていないのに燃料噴射がなされるのを防止することができる。
【0013】
したがって、弁体を上方に付勢するスプリング等は不要である。
【0014】
そして、下側ピストンを上方に付勢する力は前記弁体からの押圧力のみで発生し、下側ピストンを着座状態の弁体から引き離すようにはなっていないので、弁体と下側ピストンのギャップに起因する燃料噴射時期や噴射量のばらつきを低減することができる。
【0015】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記インジェクタ制御手段を、前記ポンプの圧送開始に先立って前記ピエゾスタックを伸長状態としておくように設定する。
【0016】
前記ポンプの圧送開始に先立って前記ピエゾスタックを伸長状態とすれば、ニードルに離座方向に作用する油溜まり室の燃料圧力は略常圧であり、ニードルを離座可能な燃料圧力には確実に達しておらず、コモンレール圧力の監視負担が軽減されて制御が容易となる。
【0017】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記下側ピストンを下方に付勢するスプリングを具備せしめる。
【0018】
弁体と下側ピストンの当接状態を確実にすることができ、さらに燃料噴射時期や噴射量のばらつきを低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用したディーゼルエンジンのコモンレール式の燃料噴射装置を示す。ディーゼルエンジンの気筒数分のインジェクタ1が各気筒に対応して設けられ(図例ではインジェクタ1は1つのみ図示)、供給ライン74を介して連通する共通のコモンレール73から燃料の供給を受けるようになっている。コモンレール73には燃料タンク71の燃料がポンプである高圧サプライポンプ72により圧送されて高圧で蓄えられる。
【0020】
インジェクタ1は、ECU811、ECU811とともにインジェクタ制御手段81を構成する駆動回路812、さらに圧力センサ82等により制御される。駆動回路812はECU811の指令信号を受けてインジェクタ1の後述するピエゾスタック68を充放電し、例えば必要な時期に必要な時間だけインジェクタ1から各気筒の燃焼室内に略コモンレール圧力に等しい噴射圧力で燃料を噴射するようになっている。
【0021】
圧力センサ82はコモンレール73に設けられて上記コモンレール圧力を検出し、その検出結果に基づいてECU811が高圧サプライポンプ72を制御してコモンレール73への燃料の圧送量を調整し、コモンレール圧力を他のセンサ入力等により知られる運転条件に応じた適正な噴射圧となるように制御する。
【0022】
また、コモンレール73からインジェクタ1に供給された燃料は、上記燃焼室への噴射用の他、インジェクタ1の制御油圧等としても用いられ、インジェクタ1から低圧のドレーンライン75を経て燃料タンク71に還流するようになっている。
【0023】
インジェクタ1はエンジンの図略の燃焼室壁を貫通し図中下端部が燃焼室内に突出するように取り付けられ、下端部から順にノズル部11、背圧制御弁12が構成される。インジェクタ1は棒状体2を有し、上記各部11,12を構成する各部品を格納する穴や燃料が流通する通路が形成される。
【0024】
ノズル部11は、棒状体2の下端部2aにサック部42が形成され、サック部42形成壁を貫通して燃料噴射用の噴孔43が形成される。棒状体2の下端部2aはまた、サック部の上方に、供給ライン74に通じる高圧通路31とつながる縦穴21が形成されてノズル2aとなっている。
【0025】
縦穴21の上側部分には段付きのノズルニードル61が先端を下側に向けて配設され、後端部であるその上側大径部612で摺動自在に保持されている。ノズルニードル61の先端部である下側小径部611の外周には環状の油溜まり室41が形成され、油溜まり室41は常時高圧通路31と連通しコモンレール73からの高圧燃料が供給されている。
【0026】
ノズルニードル61は下降状態では円錐形の下端部がサック部42の上端開口縁をシート部として着座してサック部42を閉じ、噴孔43からの燃料噴射を禁止し、燃料を噴射する時は上昇してサック部42の上記上端開口縁から離座してサック部42を開くようになっている。
【0027】
油溜まり室41の高圧燃料はノズルニードル61の段面61aおよび円錐状の先端面61bに上向きに作用しノズルニードル61を離座方向に付勢する。
【0028】
ノズルニードル61の上方でその後端面61cおよび縦穴21の壁面により画成される空間53は、高圧通路31からインオリフィス51を介して制御油としての燃料が導入されており、ノズルニードル61の背圧を発生する背圧室53としてある。この背圧はノズルニードル61に下向きに作用し、背圧室53内に収納されたスプリング62とともにノズルニードル61を着座方向に付勢する。
【0029】
背圧室53はアウトオリフィス54を介して常時、弁室55と連通している。弁室55は天井面552が円錐状に形成されており、天井面552の最上部には細孔22が開口している。細孔22は後述する縦穴23を介してドレーンライン75に通じる低圧通路32とつながっており、縦穴23に配設される後述する小径ピストン64の外周に形成される環状空間56を介して低圧通路32と常時連通している。
【0030】
弁室55の底面551には高圧通路31と連通する高圧制御通路52が開口している。
【0031】
弁室55内には、下側部分を水平にカットしたボール63が配設されている。ボール63は上下動可能な弁体であり、下降時には、上記カット面で弁座としての弁室底面(以下、高圧側シートという)551に着座し弁室55を高圧制御通路52と遮断し、上昇時には弁座としての上記天井面(以下、低圧側シートという)552に着座し細孔22を閉じて弁室55を前記低圧通路32と遮断する。これにより、ボール63下降時には背圧室53がアウトオリフィス54、弁室55、孔である細孔22を介して低圧通路32と連通し、ノズルニードル61の背圧が低下してノズルニードル61が離座する。一方、上昇時には背圧室53がアウトオリフィス54、弁室55、高圧制御通路52を介して高圧通路31と連通し、ノズルニードル61の背圧が上昇してノズルニードル61が着座する。
【0032】
ボール63はピエゾアクチュエータ121により押圧駆動される。ピエゾアクチュエータ121は、棒状体2に弁室55の上方に上下方向に形成されたシリンダである前記縦穴23を有し、縦穴23に、これと同軸に下側から、下側のピストンである小径ピストン64、スプリング66、皿ばね67、上側のピストンである大径ピストン65、ピエゾスタック68が配設されてなる。縦穴23は下端面に前記細孔22の上端が開口するとともに、下端部231が小径となる段付きに形成されて、下端部(以下、小径部という)231には小径ピストン64が、小径部231の上方の大径部232には大径ピストン65がそれぞれ摺動自在に保持されている。
【0033】
小径ピストン64は縦穴小径部231の周面と摺接する等径部644の下方が鍔部643となっており、さらにその下は下側ほど縮径する円錐部642となっている。さらにその下は上記細孔22を貫通して上記ボール63と対向し、ボール63を押圧するプレッシャピン641としてある。プレッシャピン641は細孔22よりも小径に形成される。
【0034】
環状空間56には小径ピストン鍔部643よりも上方で小径ピストン64の外周にスプリング66が配設され、小径ピストン64を下方に付勢しており、ボール63とプレッシャピン641とが確実に当接するようになっている。
【0035】
大径ピストン65は小径ピストン64よりも大径の円形部材で、皿ばね67からは上方に、ピエゾスタック68からは下方に付勢可能である。
【0036】
小径ピストン64と大径ピストン65との間は燃料が充填されて油圧室である変位拡大室57としてあり、ピエゾスタック68が伸長して大径ピストン65を押圧すると、その押圧力が変位拡大室57の燃料を介して小径ピストン64に伝えられる。ここで、小径ピストン64は大径ピストン65よりも小径としているので、ピエゾスタック68の伸長量が拡大されて小径ピストン64の変位に変換される。変位拡大室57は常時十分な燃料が満たされるようにチェック弁321を介して低圧通路32と通じている。チェック弁321は低圧通路32から変位拡大室57に向かう方向を順方向として設けられており、ピエゾスタック68の伸長により大径ピストン65が押圧された時に閉じて燃料を変位拡大室57に閉じ込めるようになっている。
【0037】
燃料噴射が順次行われる通常運転時において、ピエゾスタック68が放電状態で縮小しているときは、ボール63は、低圧側シート552の面積分に相当するボール63の受圧面だけ弁室55内の高圧燃料が上方に付勢することにより、低圧側シート552に着座している。一方、ピエゾスタック68が充電され伸長するとピストン64,65を押し下げ、ボール63を高圧側シート551に着座せしめる。
【0038】
ピエゾスタック68の充放電を行う駆動回路812は、インジェクタに搭載されたピエゾスタック駆動用の公知の構成のもので、DC−DC回路、ピエゾスタック68への充放電電流を制限するインダクタ、ピエゾスタック68における電荷の移動を制御するスイッチ回路等からなり、ピエゾスタック68の充電保持期間の設定は、ECU811からの指令信号により上記スイッチ回路等の制御を行うことで可能としてある。
【0039】
燃料噴射時には、先ず、ピエゾスタック68が所定の電荷量まで充電されてピエゾスタック68が伸長することにより、プレッシャピン641が下降してボール63を押し下げる。これによりボール63は低圧側シート552から離間するとともに高圧側シート551に着座して弁室55の燃料圧が低下し、ニードル61に離座方向に作用する力の方が着座方向に作用する力よりも優勢となって、ニードル61が離座して燃料噴射が開始される。噴射停止は反対にピエゾスタック68の放電によりピエゾスタック68を縮小してボール63への押し下げ力を解除する。弁室55内は低圧通路32に通じる細孔22が開口する天井面551側が低圧となっており、またボール63の底面には高圧制御通路52から高圧の燃料圧力が作用しているから、ボール63には全体としては上向きの燃料圧が作用し、前記ボール63への押し下げ力の解除により、ボール63が高圧側シート551から離間するとともに再び低圧側シート552に着座して弁室55の燃料圧力が上昇するため、ニードル61が着座し噴射が停止する。そして、ピエゾスタック68の充電保持期間を設定することで、充電保持期間に対応した一定の期間、インジェクタ1から燃料が噴射される。
【0040】
ECU811はマイクロコンピュータ等で構成される。
【0041】
図2に、エンジンの始動の際のECU811における制御の一部を示し、図3、図4、図5に、始動の際の背圧制御弁12における経時変化を示し、これら図にしたがいECU811において実行される制御とともに、本燃料噴射装置の作動を説明する。図3はエンジン停止後しばらくした時のもので、運転者により始動されるまでこの状態である。インジェクタ1およびコモンレール73内は低圧で均一の燃料圧力になっており、ボール63は自重で弁室底面552まで降りている。また、小径ピストン64も、自重とスプリング66の下向き付勢力によりプレッシャピン641がボール63と当接する位置まで降りている。小径ピストン64の下降に伴い、変位拡大室57は低圧通路32から燃料が導入されるとともに容積が拡大している。
【0042】
ステップS01ではイグニッションスイッチがオンされたか否かを判断し、イグニッションスイッチがオンされると、ステップS02でピエゾスタック68を充電する。図4はピエゾスタック68の充電時のもので、ピエゾスタック68が伸長し、変位拡大室57内の燃料のピストン64,65の外周からの漏出をともないながら大径ピストン65がピエゾスタック68への供給電荷量に応じた位置まで下方変位し、変位拡大室57の容積が縮小する。この時のボール63およびピエゾアクチュエータ121の状態は、背圧制御弁12が開弁状態、すなわち通常運転時の燃料噴射時の状態と実質的に同じである。
【0043】
ステップS03では従来のエンジンと同様に始動する。すなわち、クランキングが開始され、これにより高圧サプライポンプ72の圧送が開始され、コモンレール73に通じるインジェクタ1の各部の燃料圧力が上昇する。ノズルニードル61に離座方向に作用する油溜まり室41の燃料圧力が上昇する。一方、ノズルニードル61に着座方向に作用する背圧室53の燃料圧力も漸次上昇するが、背圧制御弁12が開いているので、全体としてノズルニードル61に離座方向に作用する力が増大する。
【0044】
また、低圧通路32と連通する細孔22に近接する弁室55内の上部と、弁室55内の下部とで燃料圧力差が拡大することにより、また、高圧制御通路52の燃料圧力が上昇することにより、ボール63に対し上方に作用する力が増大する。
【0045】
ステップS04では圧力センサ82から読み込まれるコモンレール圧力が予め設定した所定値に達したか否かを判断し、コモンレール圧力が所定値に達するとステップS05に進んでピエゾスタック68を放電し縮小する。
【0046】
ここで、ステップS04における前記所定値は次のように設定される。上記のごとくボール63を囲む燃料の圧力はボール63に対し上方に作用しているが、これが一定以上の大きさになると、ピエゾスタック68を放電してピエゾアクチュエータ121によるボール63に対する下向きの付勢力を解消したとき、小径ピストン64の自重等に打ち勝ってボール63をピエゾスタック68の縮小作動に追随して上方に変位せしめることができる。前記所定値は、ピエゾスタック68の伸長状態を解除した(ステップS05)ときにボール63の上方変位が可能な弁室55や高圧制御通路52の燃料圧力の最低値よりもやや高めの圧力を与えるコモンレール圧力に設定される。
【0047】
また、上記のごとく、ステップS05においてピエゾスタック68を放電するまでの状態は燃料噴射時と実質的に同じであるので、ピエゾスタック68が縮小してボール63が低圧側シート552に着座するまではノズルニードル61が着座状態を保持するように、ノズルニードル61に作用する離座方向の付勢力を規定するノズルニードル61のシート径、着座方向の付勢力を規定するスプリング62の弾発力を設定しておく。
【0048】
しかして、ステップS05でピエゾスタック68の放電が実行されると、ピエゾスタック68の縮小に追随してボール63が小径ピストン64とともに上方変位し低圧側シート552に着座し、弁室55と低圧通路32とが遮断されて背圧室53の圧力が上昇し、ノズルニードル61に着座方向に作用する力が増大してノズルニードル61が着座状態を保つ。
【0049】
このように、コモンレール圧力が上昇してノズルニードル61が離座する前にボール63が低圧側シート552に着座するので、小径ピストン64が自重で下方変位するのを防止するスプリングを設けなくとも燃料の異常噴射が生じることはない。
【0050】
以降は通常運転に移行する(ステップS06)。すなわち、ボール63は着座状態にあるから所定のタイミングでピエゾスタック68を充電して伸長せしめることによりボール63が下方へ押圧駆動されて背圧制御弁12が開弁しノズルニードル61が離座して燃料噴射が行われる。そして指令噴射量に対応した時間の後ピエゾスタック68を放電して縮小せしめることにより、ボール63がこれに作用する上向き燃料圧力により上方へ変位して背圧制御弁12が閉弁し、ノズルニードル61が着座して燃料噴射が停止する。
【0051】
本燃料噴射装置では、小径ピストン64を上方へ押し上げる手段として燃料圧力以外に備えていないので、小径ピストン64は、ボール63により押し上げられ、ボール63が低圧側シート552へ着座した後は、さらに上方へ変位することはなくボール63と当接しており、スプリング66によりその状態が確実に保持される。したがって、ピエゾスタック68が充電して伸長を開始すると同時にボール63が低圧側シート552からの離座作動に入る。すなわち、ピエゾスタック68の充電タイミングに対するノズルニードル61の離座作動の応答時間は個体差や経時変化等で変化せず、燃料噴射時期や燃料噴射量がばらつくことが防止される。
【0052】
なお、ピエゾスタック68の充電時期を高圧サプライポンプ72の圧送開始に先立って行っているが、同時でもよいし、圧送開始後であってもピエゾスタック68の充電の後、油溜まり室41の燃料圧力がノズルニードル61を離座可能な燃料圧力に達する前にピエゾスタック68を放電可能であればよい。例えば、常時、圧力センサ82の検出信号によりコモンレール圧力を監視し、コモンレール圧力が上記設定値よりも低い別の設定値に達したらピエゾスタック68を充電する。
【0053】
また、小径ピストン64を下方に付勢するスプリング66は省略した構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料噴射装置の一部断面構成図である。
【図2】上記燃料噴射装置を構成するECUにおける制御内容を示すフローチャートである。
【図3】上記燃料噴射装置を構成するインジェクタの第1のタイミングにおける部分図である。
【図4】上記燃料噴射装置を構成するインジェクタの第2のタイミングにおける部分図である。
【図5】上記燃料噴射装置を構成するインジェクタの第3のタイミングにおける部分図である。
【図6】従来の燃料噴射装置の問題点を説明するインジェクタの部分図である。
【図7】従来の別の燃料噴射装置のインジェクタの部分図である。
【符号の説明】
1 インジェクタ
11 ノズル部
12 背圧制御弁
121 ピエゾアクチュエータ
2a ノズル
22 細孔(孔)
41 油溜まり室
43 噴孔
53 背圧室
55 弁室
57 変位拡大室(油圧室)
61 ノズルニードル(ニードル)
63 ボール(弁体)
64 小径ピストン(下側ピストン)
641 プレッシャピン(下端部)
65 大径ピストン(上側ピストン)
66 スプリング
68 ピエゾスタック
71 燃料タンク(低圧源)
73 コモンレール
81 インジェクタ制御手段
811 ECU
812 駆動回路
82 圧力センサ(圧力検出手段)

Claims (3)

  1. ポンプから圧送された燃料を蓄えるコモンレールにより燃料の供給を受けるインジェクタと該インジェクタの噴射制御を行うインジェクタ制御手段とからなり、
    前記インジェクタは、ノズル内に配設されたニードルに対して着座方向に付勢するスプリングを有し、前記コモンレールからの燃料が、前記ニードルに対して燃料圧力が離座方向に作用する油溜まり室と、前記ニードルに対して燃料圧力が着座方向に作用する背圧室とに供給され、背圧制御弁が開弁すると前記背圧室と低圧源とが連通して前記ニードルが離座するように構成され、
    前記背圧制御弁は、前記背圧室と常時連通する弁室と、前記低圧源と連通するとともに前記弁室の天井面に開口端を有する孔と、前記弁室内に配設され前記孔を閉鎖する弁体と、前記弁室の上方に上下方向に形成されたシリンダと、該シリンダ内に配設され、ピン状の下端部が前記孔の前記開口端から前記弁室内に突出し前記弁体を押圧自在な下側のピストンと、該ピストンの上方で前記シリンダ内に配設されピエゾスタックの伸縮で上下に変位する上側のピストンと、2つの前記ピストンで挟まれた空間に燃料を充填してなり前記上側ピストンの変位を前記下側ピストンに伝える油圧室とを有し、前記ピエゾスタックが充電して伸長すると前記下側ピストンの押圧で前記弁体が下方変位して前記弁室が前記孔を介して前記低圧源と連通するように構成され、
    前記インジェクタ制御手段は、前記ピエゾスタックの充電と放電とを切り換え自在に構成された燃料噴射装置において、
    前記コモンレールの燃料圧力を検出する圧力検出手段を具備し、
    かつ、前記インジェクタ制御手段を、イグニッションスイッチがオンされた後、最初の燃料噴射が行われるまでの制御において、予め前記ピエゾスタックを伸長状態としておき、前記コモンレールの燃料圧力から知られる前記弁体に対し作用する燃料圧力が、前記ポンプの圧送開始による前記コモンレールの燃料圧力の上昇で前記弁体の上方変位が可能な燃料圧力まで上昇すると前記ピエゾスタックを縮小せしめるように構成し、
    前記インジェクタを、前記下側ピストンを上方に付勢する力を前記弁体からの押圧力のみで発生する構成とするとともに、前記ニードルを離座し得る前記油溜まり室内の最低の燃料圧力を、前記弁体に作用する燃料圧力が前記弁体の上方変位が可能な燃料圧力に達した時の前記油溜まり室内の燃料圧力以上に設定したことを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 請求項1記載の燃料噴射装置において、前記インジェクタ制御手段を、前記ポンプの圧送開始に先立って前記ピエゾスタックを伸長状態としておくように設定した燃料噴射装置。
  3. 請求項1または2いずれか記載の燃料噴射装置において、前記下側ピストンを下方に付勢する別のスプリングを具備せしめた燃料噴射装置。
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