JP4092610B2 - 通信前情報通知サービスのデータ転送方法及び該データ転送を行う交換機 - Google Patents

通信前情報通知サービスのデータ転送方法及び該データ転送を行う交換機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信前情報通知サービスのデータ転送方法及び該データ転送を行う交換機に関する。通信前情報通知サービス、即ち、該サービスを契約している被呼者に対して着信があった場合に、発信回線の電話番号等の情報を、通信開始前に契約回線を通してモデム信号により被呼者側端末に送出し、被呼者側端末に発信者情報等を表示するサービスにおいて、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI:Voice band Data Transmission Interface)により交換機から被呼者側端末へ発信者情報等のデータを転送する。
【0002】
音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送は、交換機から被呼者側端末へ転送するデータの送信タイミングの制約が厳しいため、該送信タイミングを制御する呼処理装置のソフトウェアの負担が大きく、該呼処理ソフトウェアの負担の軽減化が要求されている。
【0003】
【従来の技術】
図9は音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送サービスのシステム構成図を示す。音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送サービスの概要を説明すると、交換機における上位呼処理装置(CPR)9−1と、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置9−2と、被呼者側端末(CPE:Customer Premises Equipment )9−3、の三装置間のデータ転送シーケンスにより実現される。
【0004】
交換機の上位呼処理装置9−1は、発信者情報等の転送データを音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置9−2へ、指示信号ハイウェイSDHW▲2▼を介して送出し、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置9−2は、該発信者情報等の転送データを、被呼者側端末が識別可能なデータに変換し、上り信号ハイウェイUSHHW▲4▼及び通話路網(NW)の主信号ハイウェイ▲1▼を経由し、加入者回路SLCを介して被呼者側端末9−3へ送出する。
【0005】
音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置9−2は、上位呼処理装置9−1から送出されたデータを、上位呼処理装置9−1からの送出タイミングに基づいて、被呼者側端末9−3ヘ送出する。音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置9−2から送出された発信者情報等のデータは、被呼者側端末9−3で受信され、発信者情報等が通信開始前に表示される。
【0006】
図10は、従来の通信前通知情報のデータ転送シーケンスを示す。音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)による通信前情報通知サービスに加入している加入者に対して着信があると、交換機における上位呼処理装置は、該被呼者側端末に対して、第1の呼出し信号を送信する制御を行う(10−1)。
【0007】
上位呼処理装置は、その後、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に対して起動信号を送信し(10−2)、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、該起動信号の受信により、被呼者側端末のデータ受信機能部をデータ受信待ちの状態にする(10−3)。
【0008】
次に、上位呼処理装置は、第1面目の転送データを設定して該データを音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に送出する(10−4)。音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、起動確認信号を送信し(10−5)、上位呼処理装置は、該起動確認信号の受信後、フラグ設定を行い(10−6)、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、該フラグ設定により、転送データの第1面目を取込み、所定時間経過後第1面目の取込みを終了する。
【0009】
次に、上位呼処理装置は、第2面目の転送データを設定して該データを音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に送出し(10−7)、フラグ設定を行い(10−8)、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、該フラグ設定により、第2面目の転送データを取込む。
【0010】
以下、同様に第12面目までのデータを設定(10−9)してフラグ設定を行い(10−10)、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、該フラグ設定により、第12面目の転送データを取込む。
【0011】
その間、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、受信した第1面から第12面までの転送データを、所定のシーケンスに従って自律的に順次、被呼者側端末に送出する。
【0012】
第12面までの転送データの取込みを終了し、該データを全て被呼者側端末に送出した音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、上位呼処理装置にデータ送出完了信号を送信する(10−11)。
【0013】
データ送出完了信号を受信した上位呼処理装置は、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に開放信号を送信し(10−12)、その後、被呼者側端末に対して、第2の呼出し信号を送信し(10−13)、被呼者側端末を鳴動させて着信を通知する。
【0014】
ここで、上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へ送出するデータは、2バイトのデータを1面のデータとする面単位で送出される。従って、発信者番号等を表示するために23バイトのデータを送出するには、12面のデータを送出する必要がある。
【0015】
図11及び図12に従来の上位呼処理装置から指示信号ハイウェイSDHWを介して送出する各種のデータの一例を示す。図11の(a)は指示信号SDインタフェースを示し、指示信号SD−1aは、被呼者側端末がオンフック状態のときに、捕捉(SEIZURE )を示す“0”を送出し、FSK(Frequency Shift Keying)送信起動を行う。
【0016】
また、被呼者側端末が他の加入者と通話中等によりオフフック状態のときは、指示信号SD−1b及びSD−1cにより、捕捉(SEIZURE )を示す“0”を送出し、通話中着信時の通信前情報通知(CAS)とFSK送信起動を行う。
【0017】
指示信号SD−1e〜1hは、図11の(b)に示すように、送出するデータが奇数番の面のデータであることを示す“5”(HEX) 、又は偶数番の面のデータであることを示す“A”(HEX) のフラグ情報に使用される。
【0018】
指示信号SD−2a〜2dは、図12の(a)に示すように、FSK信号の送出レベルとCAS信号の送出レベルの設定に使用される。指示信号SD−2e,2fは、図11の(c)に示すように、伝送特性試験起動と通常サービスの切替えに使用される。
【0019】
指示信号SD−3a〜3hは、図12(b)に示すように、1バイトのアスキーコードによる転送データ(Aデータ)に使用され、指示信号SD−4a〜4hは、同じく図12(c)に示すように、1バイトのアスキーコードによる転送データ(Bデータ)に使用される。
【0020】
即ち、指示信号SD−3a〜3h及び4a〜4hにより、2バイトのデータ(Aデータ及びBデータ)が転送され、指示信号SD−0a〜0hからSD−4a〜4hのSDインターフェースデータ1面のデータとして、2バイト分のデータが転送されることとなり、発信者番号等のように23バイトのデータ転送が必要とされる場合には、12面のデータを順次転送しなければならない。
【0021】
また、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置は、通信前情報通知サービスを提供する回線対応に複数回路を備えられているが、上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へのデータ転送に使用されるチャネルは、各回線対応の回路毎に1対1に固定されていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)による通信前情報通知サービスを実行する従来の交換機は、通知データの転送制御において、以下のような問題点があった。
【0023】
(1)前述の音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送には、厳しいタイミング制約があり、従来技術では、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置の起動及びデータ送出タイミングの全てのタイミング制御を、上位呼処理装置のソフトウェア処理により行っていたため、上位呼処理装置のソフトウェア処理に大きな負担が掛かっていた。
【0024】
(2)従来技術では、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置が転送データを取込むチャネルが、通信前情報通知サービスの回線と1対1に対応した個別の固定チャネルであり、一つの面に収容される転送データ量は1チャネル分しかないため、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置にデータを取込む際に、多くの面数を使用して取込んでいた。
【0025】
従って、面毎の転送データを送出する上位呼処理装置は、面毎に転送データを書換えて送出しなければならないため、上位呼処理装置における面毎のデータ書換え回数も増大し、該データ書換えのためのソフトウェア処理負担も上位呼処理装置において大きなものであった。
【0026】
(3)また、上位呼処理装置は、通信前情報通知サービスの回線と1対1に対応した個別の固定チャネルを用いて、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へ転送データを送出していたため、データ転送時の面数が多くなり、それに伴って、面毎にヘッダとして付加しなければならない制御データも面数に比例して多くなるため、データ転送の効率低下をもたらしていた。
【0027】
本発明は、通信前情報通知サービス等の音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送において、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へ転送データを送出する上位呼処理装置におけるデータ送出タイミングの制約を緩和し、上位呼処理装置と音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置との間のデータ転送の効率を改善し、上位呼処理装置におけるソフトウェア処理の負担を軽減することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明の通信前情報通知サービスのデータ転送方法は、(1)通信前情報通知サービスのデータ転送方法において、交換機内の上位呼処理装置からの音声帯域データ伝送インタフェース装置に対する起動を、音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ取込み起動と音声帯域データ伝送インタフェース装置からのデータ送出起動とに分離し、音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ送出における上位呼処理装置からのデータ取込み起動及びデータ設定を、音声帯域データ伝送インタフェース装置から被呼者側端末へのデータ転送タイミングの制約と独立したタイミングにより行って、音声帯域データ伝送インタフェース装置に転送データを格納保持させた後、該音声帯域データ伝送インタフェース装置に対して、加入者側端末へのデータ送出起動を行うものである。
【0029】
データ送出タイミングの制約の厳しい音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送において、上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に対するデータ取込みとデータ送出の起動を、データ取り込み起動とデータ送出起動に分け、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置内にデータを格納するタイミングと、データを送出するタイミングとに分けることにより、データ送出のタイミング以外のデータ取込みにおけるタイミングの制約が緩和されるため、上位呼処理装置におけるソフトウェア処理の負担を軽減することが可能となる。
【0030】
また、(2)前記上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース装置へ、上記データを取込む際に、1回線分の通信前情報通知サービスの転送データを、各回線に対応した回線個別チャネルを複数回線分共用する共有チャネルを用いて取込むものである。
【0031】
従来、データ取り込みに使用するチャネルは、通信前情報通知サービスを受ける各回線に対して1対1で固定された個別チャネルであったが、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に対する各個別チャネルを、各回線で共用し、1回線分の通信前情報通知サービスの転送データの送出に、各個別チャネルの全てを共有チャネルとして使用することにより、1回のデータ送出に使用する一面のデータに収容されるデータ量が増えるため、上位呼処理装置におけるデータ書換え処理が減少し、データ書換えによる処理を軽減することが可能なる。
【0032】
また、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へのデータの送出を、前記共有チャネルを用いて行うことにより、1回線分の通信前情報通知サービスの転送データの送出に使用する面数が減少し、各面にヘッダとして付加する制御データが減少するため、転送データの占有率が高くなり、データ転送効率を向上させることが可能となる。
【0033】
また、本発明の通信前情報通知サービスのデータ転送を行う交換機は、(3)通信前情報通知サービスのデータ転送を行う上位呼処理装置及び音声帯域データ伝送インタフェース装置を備えた交換機において、前記上位呼処理装置は、前記音声帯域データ伝送インタフェース装置に対し、上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ取込み起動手段と、該データ取込み起動手段と分離した、音声帯域データ伝送インタフェース装置から被呼者側端末へのデータ送出起動手段とを備え、前記上位呼処理装置は、音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ取込みに関する起動及びデータ設定を、被呼者側端末へのデータ転送タイミングの制約と独立に行って、音声帯域データ伝送インタフェース装置に転送データを格納保持させた後、該音声帯域データ伝送インタフェース装置に対して、加入者側端末へのデータ送出起動を行う構成を備えたものである。
【0034】
また、(4)前記上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース装置へ、上記データを取込む際に、1回線分の通信前情報通知サービスの転送データを、各回線に対応した回線個別チャネルを複数回線分共用する共有チャネルを用いて取込む手段を備えたものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の通信前通知情報のデータ転送シーケンスを示す。音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)による通信前情報通知サービスに加入している加入者に対して着信があると、交換機における上位呼処理装置11は、該被呼者側端末13を起動する端末起動信号を送出する制御を行う(1−1)。
【0036】
上位呼処理装置11は、起動された被呼者側端末13からの応答確認信号を受信すると(1−2)、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に対して、転送すべきデータを設定し送出する(1−3)。
【0037】
続いて、上位呼処理装置11から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12ヘ、転送データが新たに書換えられたことを表すフラグデータを設定し送出する(1−4)。フラグデータは転送データ未設定時には“FF”(Hex) が設定され、転送データ設定時には転送データが新たに書換えられる度に“AA”(Hex) と“55”(Hex) とを交互に繰り返して設定される。
【0038】
次に、上位呼処理装置11は、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に転送データ取り込みを指示する起動信号を送信し(1−5)、該起動信号を音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12が受信すると、上位呼処理装置11から転送データの取り込みを開始する(1−6)。
【0039】
音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12が第1面目の転送データの取り込みを終了すると、その終了を示す第1面データ取込み終了確認信号を上位呼処理装置11に通知する(1−7)。本発明の実施形態において、一面で送出されるデータの最大数は後述するように45バイト分となるため、発信者番号通知のような通常の音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送サービスにおいて必要とされる23バイトのデータは、第1面のデータのみで送出することができる。
【0040】
45バイトを超えるデータを転送するときは、上位呼処理装置11は第1面データ取込み終了確認信号を受信した後に、第2面のデータを設定してフラグ設定をし、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12は、設定されたフラグにより転送データが新たに書換えられたことを認識して、第2面のデータを取込み、該データの取込み終了後、第2面データ取込み終了確認信号を上位呼処理装置11に通知する。
【0041】
更に多くのデータを転送するときは、上位呼処理装置11は第3面のデータを同様に設定した後フラグ設定をし、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12は、同様に第3面のデータを取込む。
【0042】
音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12が全ての転送データの取り込みを終了すると、その終了を示す全データ取込み終了確認信号を上位呼処理装置11に送信する(1−8)。
【0043】
全データ取込み終了の認識は、転送データが何面分のデータ長であるかを表す情報が該転送データのヘッダ部に付加されているため、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12は、取込むべき面数をデータ取込み開始時に認識し、最終面のデータの取込み終了の確認と同時に上位呼処理装置11に全データ取込み終了を通知する。
【0044】
上位呼処理装置11から送出された転送データは、上位呼処理装置11から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に対して、データ送出起動が掛けられるまで、該音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に格納される。
【0045】
次に、上位呼処理装置11は、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に対して、被呼者側端末へのデータ送出を開始させる起動信号を送出する(1−9)。音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12は、該起動信号を受信すると、上位呼処理装置11から既に取込んで格納保持しているデータを、被呼者側端末13が識別可能なデータに変換し、被呼者側端末13ヘデータ送出を開始する(1−10)。
【0046】
また、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12は、上記のシーケンス(1−10)において被呼者側端末13ヘの転送データ送出開始タイミングと略同時に、転送データを被呼者側端末13ヘ送出開始したことを示すデータ送出開始確認信号を上位呼処理装置11ヘ送信する(1−11)。
【0047】
音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12は、被呼者側端末13へ、データ送出開始を示す約60ms以上の“1”の連続ビットであるマークビットの送出後に転送データのビットを自律的に送出し、該データ送出が完了した約16ms後、データ送出を完了したことを示すデータ送出完了確認信号を、上位呼処理装置11ヘ送信する(1−12)。
【0048】
上位呼処理装置11は、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12からデータ送出完了確認信号を受信すると、前記シーケンス(1−9)によるデータ送出開始起動信号の送信を解除し、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12を開放するための開放信号を送信する(1−13)。
【0049】
被呼者側端末13は、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12から正常に転送データを受信したことを示す受信完了信号を上位呼処理装置11ヘ送信し(1−14)、上位呼処理装置11は該受信完了信号の受信により転送データが正常に被呼者側端末13に転送されたことを確認する。
【0050】
従来のデータ送出シーケンスでは、上位呼処理装置11による最初の起動からデータ送出までの各設定タイミングが決まっているため、各データ設定を起動タイミングからデータ送出タイミングの間に行わなければならなかった。
【0051】
従って、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12の全ての回線対応回路に対する上位呼処理装置の処理において、起動タイミングとデータ及びフラグの設定タイミングにシビアな制約があった。
【0052】
これに対し、図1に示すデータ送出シーケンスでは、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に対する起動を、上位呼処理装置11からのデータ取り込み起動と、被呼者側端末装置13へのデータ送出起動とに分離し、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に転送データを一時的に格納する機能を追加することにより、上位呼処理装置11におけるデータ取込み起動とデータ設定に関しては、被呼者側端末13への厳密なデータ転送タイミングに制約されることなく、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に対して行うことができるため、上位呼処理装置11から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12へのデータ送出のタイミング的な制約が大幅に緩和される。
【0053】
例えば、第m面分のデータ転送を行う場合、従来の上位呼処理装置11は、1回の起動とm回のデータ設定、つまり(m+1)回の送出データ設定を、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に対して行っていた。なお、mは1以上の整数である。
【0054】
この上位呼処理装置処理11による(m+1)回の全ての設定タイミングは、被呼者側端末13へのデータ転送タイミングと密接に関係していたため、送出データ設定のタイミング的制約が各(m+1)回の全ての設定において存在した。
【0055】
ここで、1回であった起動を、データ取り込み起動とデータ送出起動の2回に分けると、上位呼処理装置11における音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12に対する送出データ設定回数は、(m+2)回となるが、上記のような起動の分離により、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12でのデータ取り込みのタイミングと被呼者側端末13へのデータ送出タイミングとを、独立した無関係なタイミングとすることができる。
【0056】
そのため、結果としてはタイミング制約が存在する設定は被呼者側端末13へのデータ送出起動における設定の1回のみとなり、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12への1回のデータ取込み起動とm回のデータ設定、合計(m+1)回の設定のタイミング制約は大幅に緩和され、制約条件としては殆ど無視することができるため、事実上タイミング制約が存在する設定は1回のみとなる。即ち、タイミング制約のある設定は、従来の1/(m+1)になる。
【0057】
次に、上位呼処理装置11と音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置12との間のデータ送受における各回線対応回路毎のチャネルの共有化について説明する。図2はチャネル共有化によるデータ収容の組替えの説明図である。
【0058】
図2の(a)は従来の各回線対応回路毎のチャネルによるデータ収容を示し、(b)は本発明のチャネル共有化によるデータ収容を示している。同図は、通常の発信者番号通知のような通信前情報通知サービスにおける23バイトデータ転送を、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置の回線#0に対応した回路へ転送する例を示している。
【0059】
同図の(a)に示すように、従来は上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へデータ送出を行う際に、例えば回線#0に対応した回路へは、回線#0用の専用個別チャネルを用いてデータ送出を行っていた。各回線対応の個別チャネルは、1面で2バイトのデータしか送出することができないため、23バイトのデータ送出に12面を使って送出していた。
【0060】
これに対して、各回線対応の個別チャネルを共有化することにより、一つの面で45データ分を纏めて送出することができるようになり、同図の(b)に示すように、23バイトのデータは第1面のみを用いて送出を完了することができる。なお、同図において、網掛け部の部分は、データ送出に使用される部分を示し、「データ」の右側に付した番号は、収容されるデータが何バイト目のデータであるかを示している。
【0061】
このように、一面で送出されるデータ量が大幅に増えるため、データ転送に使用される面数が減少し、面毎に設定データの書換え処理を行う上位呼処理装置のデータ書換え処理回数も大幅に減少する。
【0062】
但し、チャネルを共有化した場合、送出チャネルが回線に対応していないため、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に向けて設定されているデータがどの回線に対するデータであるか判別するための識別信号が必要となる。
【0063】
また、複数面に亙るデータ送出が複数回線に対してほぼ同時に行われた場合、同一回線に対するデータが連続して設定されるとは限らないので、送出対象の回線を指定する識別信号と併せて、面番号を示す識別信号も必要となる。
【0064】
そのため、対象回線を指定する回線選択信号及び当該送出面データの面番号信号が必要となり、それらの識別用のデータが増加するが、転送データの送出に使用される面数の大幅な減少により、従来の各面毎に付加して送出していた多数のヘッダが一つに統合されるため、全体としてヘッダの占有率が大幅に減少し、データ占有率を増大させることができる。
【0065】
図3はチャネル共有化した場合の各チャネルと各回線の対応関係を表す回線収容表の一例を示す。上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へのデータ送出に使用する指示信号SD領域は、各回線#0〜回線#15に対して、チャネル#0〜チャネル#15を共用して使用し、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置から上位呼処理装置への監視結果信号SCN領域は、各回線#0〜回線#15に対して、それぞれ各回線に対応したチャネル#0〜チャネル#15を個々に使用する。
【0066】
また、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置から被呼者側端末へのデータ転送に使用するUSHHW音声信号領域は、各回線#0〜回線#15にそれぞれ対応したチャネル#0〜チャネル#15を個々に使用する。
【0067】
図4〜図8に指示信号SD領域のインターフェイスの一例を示す。なお、以下の説明及び図4〜図8において「#」の右に付した番号はチャネル番号を表している。図4に示すように、指示信号SD−1a(#0〜#15)は、データ取込み起動用に使用し、指示信号SD−1b(#0〜#15)は、FSK信号送出開始起動用に使用する。
【0068】
指示信号SD−2a〜2hは、図5の(a)に示すように、チャネル#0の信号を伝送特性試験用、ソフトウェア工注によるレベル設定用に使用し、チャネル#1の信号をフラグ信号に使用し、チャネル#2の信号を面番号信号、回路選択信号に使用する。チャネル#3〜チャネル#15の信号は、第1面目ではデータ1〜13、第2面目ではデータ46〜58、第3面目ではデータ91〜103の送出用に使用する。
【0069】
また、図5の(b)に示すように、指示信号SD−3a〜3hのチャネル#0〜チャネル#15の信号は、第1面目ではデータ14〜29、第2面目ではデータ59〜74、第3面目ではデータ104〜119の送出用に使用する。
【0070】
また、図6の(a)に示すように、指示信号SD−4a〜4hのチャネル#0〜チャネル#15の信号は、第1面目ではデータ30〜45、第2面目ではデータ75〜90、第3面目ではデータ120〜128の送出用に使用する。
【0071】
図6の(b)はソフトウェア工注によるFSK信号送出レベルの設定例を示している。指示信号SD−2a#0〜2d#0のビット値により、それぞれ異なるFSK信号送出レベルが設定される。このビット値と設定レベルの対応は、回線対応の各回路全てに対して共通であり、フラグ信号、回路選択信号、面番号信号に関係なく常に全回路に対して有効である。
【0072】
図7の(a)は伝送特性試験用に使用する指示信号SDの設定例を示し、指示信号SD−2e#0とSD−2f#0のビット値により、2100Hz信号送出による伝送特性試験中、1300Hz信号送出による伝送特性試験中又は通常サービス中を示す信号を送出する。
【0073】
図7の(b)はフラグ設定に使用する指示信号SDの使用例を示し、指示信号SD−2a#1〜2d#1のビット値により、面の更新を示す有効フラグ“5”(Hex )、“A”(Hex )及び無効フラグ“F”(Hex )を設定して送出する。
【0074】
図8の(a)は回路選択に使用する指示信号SDの使用例を示し、指示信号SD−2a#2〜2e#2の5ビットの値により、#0回線対応回路〜#15回線対応回路の一つを選択する16パターンと回路選択未設定を表現する1パターンの計17パターンのいずれかを設定する。
【0075】
図8の(b)は面番号設定に使用する指示信号SDの使用例を示し、指示信号SD−2f#2〜2h#2の3ビットを使用して、第1面、第2面、第3面及び面番号未設定の4パターンのいずれかが設定される。
【0076】
このように、上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置への送出データを、共有チャネルを用いて送出することにより、一面で送出されるデータ量が大幅に増えるため、一面毎に送出データを書換える上位呼処理装置におけるデータ書換え回数が最大で「1/共有チャネルに使用するチャネル数」に減少し、上位呼処理装置のソフトウェア処理の負担が低減化される。
【0077】
例えば、データ取り込みに16チャネルを各回線で共有すると、一面に従来の16倍のデータ(従来の16面分のデータ)を収容することができるため、データ量が従来の個別チャネルによる送出では「16×(n−1)〜16×n」面分に相当する場合、16チャネルを共有チャネルとして使用して送出することにより、n面分でデータ送出が可能となり、上位呼処理装置におけるデータ書換え回数は従来の1/(1〜16)になる。なお、nは1以上の整数である。
【0078】
更に、以下に述べるデータ占有率向上の効果により、実際にデータ送出に使用される面数はn面を下回り、(n−1)面となる場合もある。その場合データ書換え回数は更に減少する。
【0079】
データの送出において各面毎に制御データをヘッダとして付加して送出するが、面数が減少することによりヘッダ数が減少し、チャネル上に転送データの占める割合が高くなり、データ転送効率が向上化される。
【0080】
例えば、16チャネルを共有化した場合、共有チャネルは回線に1対1に対応しないため、ヘッダに面番号信号と回線選択信号とを追加する必要があるが、ヘッダは面毎にフラグ信号や他の制御信号を格納して付加しなければならないため、従来{16×(n−1)〜16×n}面分必要であったのが、チャネル共有化によりn面に減少すると、全体としてヘッダの占有率は大幅に減少することとなり、結果としてデータの占有率が向上する。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通信前情報通知サービス等において、交換機内の上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へのデータ転送に関する起動を、データ取込み起動とデータ送出起動とに分離し、被呼者側端末へ通信開始前に転送するデータを、一旦、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置に格納保持し、その後、該格納保持したデータを音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置から被呼者側端末へ送出することにより、音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へ転送データを送出する上位呼処理装置におけるデータ送出タイミングの制約が緩和され、上位呼処理装置の制御負担を軽減化することができる。
【0082】
また、上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置へのデータ送出に使用するチャネルを各回線で共有化することにより、1面分の送出データとして収容されるデータ量が増大し、データ送出に必要な面数が削減され、上位呼処理装置における面数毎のデータ書換え回数が減少し、上位呼処理装置の処理負担が軽減化される。
【0083】
また、同様に送出データの面数が減少することにより、各面に対応して付加するヘッダの数が減少することとなり、各面内及びチャネル上でのデータ占有率が向上し、データ転送の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通信前通知情報のデータ転送シーケンスを示す図である。
【図2】チャネル共有化によるデータ収容の組替えの説明図である。
【図3】共有チャネルと各回線の対応関係を表す回線収容表の一例を示す図である。
【図4】指示信号SD領域のインターフェイスの一例を示す図である。
【図5】指示信号SD領域のインターフェイスの一例を示す図である。
【図6】指示信号SD領域のインターフェイスの一例を示す図である。
【図7】指示信号SD領域のインターフェイスの一例を示す図である。
【図8】指示信号SD領域のインターフェイスの一例を示す図である。
【図9】音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)によるデータ転送サービスのシステム構成図である。
【図10】従来の通信前通知情報のデータ転送シーケンスを示す図である。
【図11】従来の上位呼処理装置から指示信号ハイウェイSDHWを介して送出する各種のデータの一例を示す図である。
【図12】従来の上位呼処理装置から指示信号ハイウェイSDHWを介して送出する各種のデータの一例を示す図である。
【符号の説明】
11 上位呼処理装置
12 音声帯域データ伝送インタフェース(VDTI)装置
13 被呼者側端末

Claims (2)

  1. 通信前情報通知サービスのデータ転送方法において、
    交換機内の上位呼処理装置からの音声帯域データ伝送インタフェース装置に対する起動を、音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ取込み起動と音声帯域データ伝送インタフェース装置からのデータ送出起動とに分離し、
    音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ送出における上位呼処理装置からのデータ取込み起動及びデータ設定を、音声帯域データ伝送インタフェース装置から被呼者側端末へのデータ転送タイミングの制約とは独立したタイミングにより行い、かつ、前記上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース装置へ、前記データを取込む際に、1回線分の通信前情報通知サービスの転送データを、各回線に対応した回線個別チャネルを複数回線分共用する共有チャネルを用いて取込み、音声帯域データ伝送インタフェース装置に転送データを格納保持させた後、該音声帯域データ伝送インタフェース装置に対して、加入者側端末へのデータ送出起動を行うことを特徴とする通信前情報通知サービスのデータ転送方法。
  2. 通信前情報通知サービスのデータ転送を行う上位呼処理装置及び音声帯域データ伝送インタフェース装置を備えた交換機において、
    前記上位呼処理装置は、前記音声帯域データ伝送インタフェース装置に対し、上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ取込み起動手段と、該データ取込み起動手段と分離した、音声帯域データ伝送インタフェース装置から被呼者側端末へのデータ送出起動手段とを備え、
    前記上位呼処理装置は、音声帯域データ伝送インタフェース装置へのデータ取込みに関する起動及びデータ設定を、被呼者側端末へのデータ転送タイミングの制約と独立に行い、かつ、前記上位呼処理装置から音声帯域データ伝送インタフェース装置へ、上記データを取込む際に、1回線分の通信前情報通知サービスの転送データを、各回線に対応した回線個別チャネルを複数回線分共用する共有チャネルを用いて取込み、音声帯域データ伝送インタフェース装置に転送データを格納保持させた後、該音声帯域データ伝送インタフェース装置に対して、加入者側端末へのデータ送出起動を行う構成を備えたことを特徴とする通信前情報通知サービスのデータ転送を行う交換機。
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