JP4091663B2 - B型肝炎インヒビター - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、B型肝炎ウイルス感染の診断、処置、または予防に特異的なペプチド組成物に関する。
B型肝炎ウイルス(「HBV」)は、非常に高い割合でヒトに感染する。少なくとも約300,000,000人がHBVの慢性的キャリアであると推定される。広範な調査にもかかわらず、追加の安全かつ有効な治療は同定されなければならない。
したがって、HBV感染は、主な公衆衛生問題を世界中で表し続ける。ウイルスでの感染は、小さいインフルエンザ様症状から死亡までの範囲のあらゆる臨床的症状を生じる。HBVキャリアの血清から産生した利用可能なワクチンは、限定された供給源および関連の生産コストのため、世界中で病気を制御および撲滅するために適切な手段を提供しない。組換えDNA技法に基づいて産生されたワクチンはこれらの不利点のいくつかを克服するが、HBVウイルスを制御および撲滅するためのさらなる手段の必要性がいまだ存在する。
HBVの生物学、構造、および免疫化学、ならびにそのDNAゲノムの遺伝機構は公知である。Ganem, D., Varmus, H.E., Ann. Rev. Biochem. 56:651-693(1987)。ウイルスは、3つの一般的メカニズムによって伝染される:(1)感染した血液もしくは体液での接種によって、(2)親しい家族もしくは性的接触によって、または(3)妊娠中の感染によって、ここで母体はその子供にウイルスを伝染させる。HBVは、ヌクレオキャプシド、小さい3.2-kb DNAゲノム、およびウイルスのコア抗原によって包まれるウイルスポリメラーゼからなり、HBV表面抗原(HBsAg)によって囲まれる。ウイルスエンベロープは、3つの異なるが関連するHBsAgポリペプチドを含み、これらはそのカルボキシル末端から広範に重複し、そして連続するオープンリーディングフレーム内の異なる点で開始トリプレットの可変的使用から生じる。長いポリペプチド(Lポリペプチド)は、全体のリーディングフレームの産物であり、そしてそのアミノ末端に108アミノ酸(または、ウイルスサブタイプに依存して、119)のプレSlドメイン、次いで、55アミノ酸のプレS2ドメイン、および226アミノ酸の短いポリペプチド(Sポリペプチド)領域を含む。中間の長さのポリペプチド(Mポリペプチド)は、そのアミノ末端にプレS2ドメイン、次いでS領域を有するが、最も豊富な形態であるSポリペプチドは、S領域のみからなる。プレS領域は、ウイルスアセンブリおよび宿主細胞への付着の両方で役割を果たすと考えられる。S形態は、ウイルスにおいてHBsAgのMおよびL形態よりも豊富であり、そしてグリコシル化および非グリコシル化の両方の形態で生じる。ウイルスエンベロープでの存在に加えて、HBsAgは、球状および糸状の両方の粒子として感染した個体の血清に大量に見られ、そしてこれらの3つの形態におけるL、M、およびSポリペプチドの割合はかなり変化する。
HBV感染の免疫学的マーカーには、表面抗原(HBsAg)、コア抗原(HBcAg)、「e」抗原(HBeAg)、およびそれらのそれぞれの抗体、ならびにウイルスポリメラーゼおよびX抗原(「HBxAg」)が挙げられる。HBsAgに対する抗体は、HBV感染に対して防御的である。
B型肝炎ウイルスヌクレオキャプシドは、感染性「Dane」粒子の産生に中心的役割を果たす。ウイルスの形成の間、コア粒子は、その構造に、ウイルス複製の必須成分、プレゲノムRNA、およびウイルス逆転写酵素を入れなければならない。その完了時に、コア粒子は、小胞体へ移動しなければならず、ここでウイルス表面抗原および脂質は、連続的に、エンベロープ構造にアセンブリされ、そして分泌経路によって細胞外環境へ送達される。したがって、感染性ビリオンの形成は、アセンブリする表面タンパク質を「捕獲し」そして分泌経路を通過するために、ヌクレオキャプシドを必要とする。
タンパク質に対する抗体は、予め選択されたタンパク質フラグメントの配列に対応するアミノ酸配列を有する短いペプチドでの免疫によって産生されている。Nimaら,PNAS USA, 80:4949-4953(1983)。それにもかかわらず、天然のままのタンパク質を認識する抗体の産生は、他の因子の中でも特に、合成ペプチド免疫原の適切なコンホメーションに依存し得る。Neurathら,PNAS, 79:7871-7875(1982)。この理由について、種々のウイルスタンパク質の合成ペプチドアナログでの免疫は、ウイルスタンパク質自体によって誘起されるものに匹敵するウイルス中和抗血清の産生をまれにのみ生じた。したがって、インタクトなウイルスの抗原決定基を模倣する合成免疫原の調製は、チャレンジのままである。
一般的に、ヌクレオキャプシドがエンベロープ糖タンパク質の非存在下で輸出され得るレトロウイルスアセンブリで観察される状況とは逆に、HBVコアが、エンベロープタンパク質の発現のない細胞から放出されないことが示唆されている。Brussら,PNAS, 88 1062-1063(1991)。
B型肝炎ウイルスのエンベロープのプレS遺伝子コード領域内の少なくとも6連続アミノ酸のアミノ酸鎖を有するペプチドを含む特定のワクチンが、記載されている。米国特許第5,204,096号。しかし、これらのペプチドは、ウイルスのアセンブリを阻害しないようである。
B型肝炎感染に現在利用可能な安全かつ有効な治療処置はなく、そしてヌクレオシドアナログのような有望な抗ウイルス剤の臨床的探究は、例えば、無特異的体内分布から生じる顕著な副作用のため、妨げられる。
したがって、HBVの感染および関連する病気に対する有効な治療および/または予防薬剤の必要性がある。ワクチン誘導した抗体によって中和されないHBVの逃避変異体(escape mutant)の近年の出現の点で、必要性はよりさらに緊急になった。
発明の要旨
したがって、本発明は、新規ペプチド、およびHBVに関連する病気の処置の方法に関し、これは、関連技術の限定および不利点による1つ以上の問題を実質的に除去する。本明細書で教示および記載されたペプチドおよび小分子は、HBVのアセンブリを阻害するために特に有用であり、それによって病気および感染の蔓延を防止する。
本発明のさらなる特徴および有利点は、以下の説明に記載され、そして一部は説明から明らかであるか、あるいは本発明の実施によって習得され得る。本発明の目的および他の有利点が認識され、そして記載された説明および請求の範囲、ならびに添付の図面に特に指摘される組成物および方法によって達成される。
これらおよび他の有利点を達するために、および本発明の目的に従って、本明細書に包含されそして広く記載されるように、本発明は、単離され生成されたペプチドに関し、これは、ウイルスのコア抗原に結合することによってB型肝炎ウイルスのアセンブリを阻害し、そのためコア抗原の表面抗原への結合を妨げる。詳細には、本発明は、約5μM未満、好ましくは2μM未満、より好ましくは約1μM未満、および最も好ましくは約0.5μM未満の半最大濃度(half maximal concentratlon)(IC50)を有するペプチドに関する。好ましいペプチドとしては、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)、またはそれらから誘導されるペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施態様では、本発明は、上記のペプチドを含むB型肝炎ウイルスのアセンブリを阻害するための組成物に関する。さらなる実施態様は、処置および予防の方法、ならびにワクチンのような薬学的組成物を包含する。
上記の一般的説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示および説明であり、そして請求の範囲のような本発明のさらなる説明を提供することを意図することが理解されるべきである。
詳細な説明
参考文献は、ここでは、本発明の現在の好ましい実施態様を詳細にし、その実施例は、付随する図面に記載される。
本発明は、HBVウイルスのアセンブリを阻害することに有用なペプチドおよび他の小分子を提供する。本発明はまた、組み合わせまたは単独で、ウイルスアセンブリを阻害し得る追加のペプチドまたは小分子を同定するための手段を提供する。さらに、本発明は、治療およびワクチン組成物に有用であり得るペプチド、ならびにこれらの組成物を製造する方法、および感染した個体を処置する方法を提供する。出願人らのこれまでの研究では、B型肝炎ウイルスのコア抗原(HBcAg)に結合するペプチド配列を、ランダムファージ提示ライブラリーからの選択によって同定し、そして溶液中でのその親和性をファージ結合形態で決定した。選択された融合ファージ配列に由来する遊離ペプチドALLGRMKG(配列番号:16)は、10μMの半最大濃度(IC50)で長いB型肝炎ウイルス表面抗原(L HBsAg)とHBcAgとの間の相互作用を阻害し得た。
改良されたインヒビターを見い出すための試みでは、ペプチドALLGRMKG(配列番号:16)の一連の改変体は、Drs. S. AdamsおよびH. Cuervo(Biogen Inc.)によって提供された。しかし、これらの改変体は、開始配列よりも改良されなかった。
本発明は、HBcAgに結合するL HBsAgの改良されたインヒビターの同定への代わりのアプローチを記載し、そして約5未満の半最大濃度(IC50)を有するペプチドを包含する。好ましくは、本発明のペプチドは、約2μM未満、より好ましくは約1μM未満、および最も好ましくは約0.5μM未満のIC50を有する。
本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」とは、単独または組み台わせて、HBVウイルスのアセンブリを阻害することに有用である、ペプチド、フラグメント、およびそのアナログをいう。好ましくは、ペプチドは、約2と約20アミノ酸長の間である。より好ましくは、ペプチドは、約3と約12アミノ酸長との間である。このようなペプチドは、以下の表で同定された特定のペプチド、ならびにそのフラグメントおよびアナログを含み得る。
本明細書で使用される場合、用語「フラグメント」とは、由来するペプチドインヒビターよりも短いアミノ酸配列であるが、元のペプチドと実質的に同一の生物学的活性を保持するアミノ酸配列をいう。好ましくは、このようなフラグメントは、少なくとも2アミノ酸長である。
本明細書で使用される場合、用語「アナログ」とは、インヒビターペプチドのアミノ酸配列の改変をいい、これは、代表的には、1つのみから約4アミノ酸変化までによって異なるアナログを含み得る。アナログの他の例には、本明細書に開示されたインヒビターからの小さいアミノ酸改変を有するペプチドが含まれる。特に、保存的アミノ酸置換、すなわち、その側鎖に関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換を含むペプチドは、本発明のアナログを構成する。
遺伝子コードされたアミノ酸は、一般的に、4つのファミリーに分けられる:(1)酸性:アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性:リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性:グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、ときどき、芳香族アミノ酸として連帯して分類される。本発明では、例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの単離された置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との置換、スレオニンのセリンとの置換、あるいはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との類似の保存的置換は、その活性に著しい効果がない。
本明細書で使用される場合、用語「相同ペプチド」には、アミノ酸レベルで少なくとも60パーセントの同一性、および好ましくは75パーセントの同一性、および関連ペプチドと実質的に類似の生物学的活性を共有するペプチドフラグメントが含まれる。これらの好ましいパーセンテージは、ペプチドの小さいサイズを反映する。
本発明に特に適切なペプチドフラグメントを表1に示す。
必要に応じて融合パートナーと会合した、ペプチド、フラグメント、およびそのアナログは、好ましくは、従来の合成技法を使用して、例えば化学合成技法によって合成される。あるいは、当業者は、例えば、t-BOC化学(L.A. Carpino, J. Am. Chem. Society, 79:4427(1957)を参照のこと、その開示は参考として本明細書に援用される)のような標準的化学を使用する自動化ペプチド合成機を使用することによって、本発明のペプチドのいずれをも合成し得る。
あるいは、本発明のペプチドおよび他の構築物は、公知の遺伝子操作技法、例えば、選択されたペプチドまたは構築物についてのコード配列を有するDNAフラグメントを、宿主微生物または細胞内でクローニングおよび発現させることによる組換えDNA技法によって、調製され得る。ペプチド、フラグメント、および融合タンパク質についてのコード配列は、合成によって調製され得、あるいは公知の技法によってウイルスRNAに、または利用可能なcDNA含有プラスミドに由来し得る。
本発明の組成物および方法における使用については、上記のペプチド、フラグメント、およびそのアナログが、ペプチドの産生を増強するために、またはHBcAgへの結合を増強してそれによってHBVアセンブリを阻害するために、従来の公知のまたは代わりの構築物に設計され得ることが予測される。例えば、ペプチドは、必要に応じて、タンパク質またはペプチド融台パートナーに融合され得る。したがって、当業者は、本発明の他のペプチドのような、選択された融合パートナーに関連したペプチド、あるいはインヒビターペプチドに所望の特徴を与える他のペプチドまたはタンパク質を設計し得る。同様に、当業者には、抗体またはそのフラグメントとの融合物として本発明のペプチドを操作することが可能である。
従って、種々の微生物および細胞(例えば、E-coli、バチルス属、ストレプトマイシス属、酵母菌属、哺乳動物、酵母、および昆虫細胞を含む)、および適切なベクターにおいて、本発明のペプチドをクローニングおよび発現させるためのシステムは公知であり、そして個人的および公的研究所および寄託所からならびに市販業者から入手可能である。
組換え産生または合成のいずれにせよ、本発明のペプチドは、従来の精製手段を使用して精製され得る。当業者は、ペプチドが使用されるべきである所望の適用に必要とされる適切なレベルの純度を容易に決定し得る。
本発明のこれらのペプチドおよびフラグメントはまた、B型肝炎感染の処置に有用な診断試薬およびワクチン成分として有用である。本明細書に開示のペプチドおよび分子はまた、このような分子と会合したペプチドが、元のペプチドと実質的に同じ生物学的活性によって特徴づけられる場合には、診断標識、化学マーカー、トキシン、あるいは他のタンパク質またはペプチドと会合され得る。
本発明はまた、B型肝炎ウイルスのアセンブリを阻害し得る追加のペプチドを同定するための手段を提供する。この方法によれば、当業者はまた、HBcAgとHBsAgとの間の相互作用を阻害し、それによってウイルス形成を妨害する点で、本明細書に開示されるペプチドと類似の生物学的活性を有する追加のペプチドを同定するために、HBsAg調製物を使用し得る。当業者に公知の技法を使用して、本明細書の開示が、他の適切なペプチドを同定することを当業者に可能にすることが予測される。
本発明のペプチドは、診断遊離薬剤ならびに治療剤として有用であり得る。詳細には、ペプチドは、単独であるいは他の組成物または化合物を組み合わせて、試料中のB型肝炎ウイルスの存在を示す検出可能なシグナルを提供し得る従来の標識と会合され得る。例えば、アッセイにおいて分光学的シグナルを示すために操作される種々の酵素系が、従来技術に記載されており、例えば、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシド、テトラメチルベンザジン系(tmb)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(hrp)系、および他の類似の酵素系がある。本発明の方法で利用され得る他の標識システムは、他の手段、例えば、着色したラテックス微粒子、磁性ビーズ、蛍光化合物、放射性化合物または元素、あるいは免疫電極によって検出可能である。
本発明の診断アッセイに有用なペプチドまたは構築物への付加のための検出可能な標識は、診断アッセイの当業者に公知および容易に利用可能な多くの組成物の中から容易に選択され得る。本発明の診断方法およびペプチドは、特定の検出可能標識または用いられる標識システムによって限定されない。
多くの従来のアッセイ形式、特にイムノアッセイ形式が、HBV感染の検出に本発明のペプチドまたは構築物を利用するために設計され得ることが、当業者に理解される。したがって、本発明は、特定にアッセイ形式の選択によって限定されず、そして当業者に公知のアッセイ形式を包含すると考えられる。便宜上、本発明によるアッセイ用の試薬は、キットの形態で提供され得る。これらのキットには、ペプチドまたは構築物が予め吸着されているマイクロタイタープレート、種々の希釈剤および緩衝剤、特異的に結合したペプチドの検出のための標識された結合体、ならびに酵素基質、補因子、および色素原のような他のシグナル生成試薬が含まれ得る。これらのキットの他の成分は、当業者によって容易に決定され得る。
本発明はまた、HBVに感染した個体の治療的処置に、またはHBV感染を予防するためのワクチン接種に有用な組成物を提供する。このような組成物は、本発明のペプチド、そのフラグメントまたはアナログを含み、そしてこのような感染の処置のための投与に適切な薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤をさらに含み得る。このような組成物には、哺乳動物におけるB型肝炎の処置のための薬学的製剤が含まれ、前記製剤は、HBcAgに結合することができ、且つHBcAg及びHB s Agとの会合を妨げる、治療的に有効な量のペプチド、並びに薬学的に受容可能なキャリアを含む。適切な薬学的に受容可能なキャリアは、ペプチドの投与を容易にするが、生理学的に不活性および/または非有害性である。多くのキャリアは当該技術分野で公知であり、そして所望の適用に基づいて選択され得る。代表的キャリアには、滅菌生理食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストリン、寒天、ペプチン、ピーナツ油、オリーブ油、ゴマ油、および水が含まれるが、これらに限定されない。さらに、キャリアまたは希釈剤は、単独でまたはワックスと組み合わせて、モノステアリン酸グリセロールまたはジステアリン酸グリセロールのような時間遅延物質を含み得る。さらに、例えば、可溶性ガラスを含む、公知の徐放性ポリマー処方物が使用され得る。
特定の実施態様では、ワクチン組成物は、B型肝炎感染の処置または予防に有用な複数の試薬の「カクテル」を含み得る。例えば、カクテルは、インターフェロン、ヌクレオシドアナログ、および/またはN-アセチルシステインのような他の試薬を含み得る。
必要に応じて、ワクチン組成物は、さらに従来のアラムベースのアジュバント、またはムラミルジペプチドのようなアジュバント、保存剤、化学安定化剤、または他の抗原性タンパク質を含み得る。代表的には、安定化剤、アジュバント、および保存剤などは、所望の適用における効率について最良の処方を決定するために最適化される。適切な保存剤には、クロリルブチノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、プロピルガラド(gallage)、パラベン、グリセリン、およびフェノールが挙げられ得る。
これらの組成物の適切な量は、所望の応答のレベルに基づいて決定され得る。一般に、ワクチン組成物は、1ngと1000mgとの間のペプチドを含み得る。本発明のワクチン組成物の適切な投与量は、同様に容易に決定され得る。一般的に、適切な用量は、0.1と5ミリリットルとの間のワクチン組成物である。投与量はまた、処置される患者の体重、年齢、性別、および/または一般的健康のような通常の因子に基づいて、当業者に容易に決定され得る。
本発明はまた、本発明の組成物の有効量を被験体に投与する予防方法を提供する。例えば、HBV感染の予防については、本発明の組成物は、ウイルスへの曝露の可能性に依存する頻度で投与され得るワクチンとして投与され得る。所望ならば、ブースターが同時投与され得る。ワクチンは、例えば、非経口投与、特に筋肉内または皮下、ならびに経口投与のような、任意の適切な経路によって投与され得る。したがって、本発明は、HBVによる感染に対する受動免疫を提供することに有用な薬学的組成物を提供する。
本明細書に請求されるペプチドは、体内でウイルスの増殖を阻害、減少、または遅延させるために、HBV感染した個体の能動治療に使用され得る。治療組成物は、ウイルスのアセンブリメカニズムを無能に、阻害、または抑制し得る、請求されるペプチドを含む。このような治療組成物は、キャリアまたは希釈剤、および1つ以上の本発明のペプチドを含むように処方され得る。このようなキャリアおよび希釈剤は、ある他の組成物に関して上で論議され、そして当業者には容易に同定可能である。必要に応じて、組成物は、B型肝炎感染に対して有用な他の治療剤を含み得る。
本発明のペプチドは、ペプチドをコードする核酸配列で形質転換した宿主細胞における組換えDNA技術によって、または化学合成によって、またはある限定された状況では、タンパク質の化学的切断もしくは他の方法によって、産生され得る。組換え技術によって産生される場合、ペプチドをコードする核酸で形質転換された宿主細胞は、細胞に適切な培地中で培養され、そして組換えペプチドは、当該技術分野で公知の技術を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、または両方から精製される。本発明の組換えペプチドは、ペプチドが組換えDNA技術によって産生される場合は細胞性物質もしくは培養培地を実質的に含まないように、または化学的に合成されるかまたはタンパク質の化学的切断によって得られる場合は、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないように単離される。
活性成分としてペプチド配列を含むワクチンの調製は、当該技術分野で十分に理解される。代表的には、このようなワクチンは、液体溶液または懸濁液のいずれかとして、注射可能なワクチンとして調製される。注射前に液体に溶解または懸濁するのに適切な固体形態もまた、調製され得る。調製物は、特定の実施態様では、乳化されるかまたはリポソームにカプセル化され得る。活性成分は、1つまたは複数の活性成分と薬学的に受容可能および適合性である任意の数の賦形剤と混合され得る。
実施例
実施例1
ファージ会合形態の選択されたペプチドLLGRMK(配列番号:36)を、融合タンパク質の配列が以下の通りに始まるようにgpIIIのN末端で融合した:
ADGALLGRMKGA...gpIII配列(配列番号:1)
ランダム変異誘発を、fdファージのgpIIIコートタンパク質内で融合したペプチドLLGRMKG(配列番号:17)をコードするDNAで行った。最初に、これを、隣接アミノ酸AおよびGをランダムにするために設計されたプライマーとともに変異誘発のKunkel方法(4)を使用して行った。ファージライブラリーを、最初のファージ変異体を増殖すること、および記載のようにニトロセルロースディスクでのHBcAgに対してこれをパンニングすることによって、調製した。DysonおよびMurray, PNAS 92:2194-2198(1995)。3回のパンニングの後、結合しているファージを単離し、配列決定し、そして解離定数測定のために精製した。Dysonら,Nucl. Acids Res. 23:1531-1535(1995)。HBcAgへの最も効果的なバインダーは、N末端隣接アラニンがセリンに変異しているものであった(ファージ3)。これは、1.7nMの相対解離定数(KD Rel)を示し、そして元の「野生型」配列(ファージB1)を超える結合親和性のかなりの改良であり、152nMのKD Relを有した(表I)。この改良は、ヒドロキシ基の付加によって生じ、そしてこれがHBcAgとの水素結合に関連し得ると仮定し得る。
ランダム変異の第2の生成を、gpIIIに融合したペプチドADGSLLGRMKGA(配列番号:6)をコードするDNAにおけるKunkel変異誘発によって行った。N末端およびC末端のAに隣接して配置されるGをランダムにするように設計されたプライマーを用いて、HBcAgに対してパンニングされた第2のファージディスプレイライブラリーを構築した。これを、パンニングがポリスチレンウェル中で室温にて起こること以外は、既述のように行った。この場合における最大の親和性を有するファージは、N末端に隣接するグリシンがアルギニンに変異しているファージ2A-8であった。これは、1.1nMのKD Relを提示した(表I)。プライマーも用いて、N末端に隣接するGおよびS残基についてのコドンと、C末端でのGおよびAについてのコドンとの間に、ランダム9マーヌクレオチドを挿入した。これらのプライマーに由来するファージライブラリーを使用するパンニング実験は、N末端に隣接して挿入されたトリペプチドMHRを有する増強した親和性を有するファージ(ファージ4A-15)を生じ、0.55nMのKD Relを有した(表I)。
遊離のペプチドは、改良された親和性を有するこれらのファージに基づいて合成されており(S.AdamsおよびH.Cuervo)、そしてこれらは、表1および2に示されるようにHBcAgに結合するL HBsAgを阻害する能力についてアッセイされている。これまでで最良のインヒビターは、1μMより下のIC50を提示する10マーペプチドRSLLGRMKGA(配列番号:31)であり、元のALLGRMKG(配列番号:16)ペプチドの40倍を超える改良を示す。ペプチドAcSLLGRMKG(配列番号:29)を合成して、肝ガン細胞膜輸送を補助した。このペプチドは、トランスフェクトされた肝ガン細胞の培養物中のHBVアセンブリの阻害についてテストするために、H.Takahashiおよび共同研究者ら(Harvard Medical School)によって使用されている。ペプチドSLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)を、R.A.Cowther博士(University of Cambridge, England)との共同研究で低温電子顕微鏡法によってHBcAgキャプシドの表面に結合しているペプチドを可視化するために、金標識を行なった。
実施例2
HBVのコア抗原(HBcAg)に結合するペプチドリガンドは、繊維状ファージで提示されるランダムヘキサペプチドライブラリーから選択されている(DysonおよびMurray, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:2194-2198, 1995)。これらのペプチドは、HBcAgとウイルス表面抗原(HBsAg)との間の相互作用をインビトロで阻害する。この研究では、本発明者らは、融合ファージの1つによって運ばれた配列LLGRMK(配列番号:36)を含むペプチドによる、トランスフェクトされた肝ガン細胞でHBV産生の阻害を研究した。方法:Hep G2肝臓芽細胞腫細胞を、複製可能HBV DNA構築物(pHBV)でトランスフェクトした。細胞を、Trans-Port試薬(GIBCO BRL)で一時的に透過性にし、そしてpHBV DNAおよび合成ペプチドで同時に処理した。(透過性の程度を、トリパンブルー染色によってモニターした。)Hep G2細胞をまた、リン酸カルシウム法によってトランスフェクトし、そして透過性ありまたはなしでペプチドを用いて処理した。トランスフェクトした細胞でのHBV産生を検出するために、培養液のテスト試料中のHBV粒子を、HBsAgに特異的なモノクローナル抗体で免疫沈降し、次いで、HBV DNAを、ポリメラーゼ連鎖反応によって分析した。結果:HBV産生は、トランスフェクトされたHep G2細胞において、これらの細胞が処理中に一時的に浸透化される場合、配列LLGRMK(配列番号:36)に由来するペプチドによって実質的に阻害された。この効果は、HBcAgとHBsAgとの間の相互作用をブロックし得ないコントロールポリペプチドによって観察されなかった。結論:これらの知見は、小ペプチドベースの試薬が、抗ウイルス活性について効果的であり得るか、またはこのような薬剤に有用なリードを提供し得るという提案を支持する。
HBsAgのHBcAgとの会合のインヒビター。HBsAgとHBcAgとの間の相互作用のインヒビターについて開発されたアッセイシステムは、HBcAgコートしたウェルにおいて精製した膜に挿入された35S-標識したLポリペプチドをインキュベートする工程、およびシンチレーションカウンティングによって結合したタンパク質を定量する工程を含んでいた。この相互作用の特異性を、種々の抗体によるその阻害によって確立した。抗HBcAGポリクローナル血清は、同じウサギからの免疫前のポリクローナル血清よりも2対数高い希釈で、L HBsAgのHBcAgとの会合を阻害した。変性したS HBsAgに対して惹起したポリクローナル血清は、天然のS HBsAgに対するポリクローナル血清よりも1.5対数高い希釈で、会合反応を阻害した。天然の粒子状S HBsAgに対するポリクローナル抗体についての主な標的は、アミノ酸110とアミノ酸150との間にある(31-33)。変性したS HBsAgに対する抗血清は、HBcAgとL HBsAgとの間の相互作用を効果的に阻害したが、天然の(S)HBsAgに対する抗体は阻害しなかった。これはおそらく活性形態では通常隠される膜結合したS HBsAgの細胞質に配置されたエピトープに特異的な抗体の存在を反映する。興味深いことに、2つの抗原間の相互作用の最も効果的なインヒビターは、プレS1ドメインのアミノ末端、アミノ酸20-23(4,34)に接近し、これまでウイルス形成(35)に必要と考えられなかった領域に特異的なモノクローナル抗体(18/7)であった。しかし、免疫グロブリンのような大きな分子は、それらが結合する任意の化合物においてかなりの距離にわたって立体障害を生じ得る。
融合ファージライブラリーによってHBcAgに対するリガンドとして同定された、合成ペプチドALLGRMKG(配列番号:16)は、10μMのペプチド濃度で観察された50%阻害で、L HBsAgとHBcAgとの間の反応を阻害した。ペプチドGRMKG(配列番号:19)およびALLTRILG(配列番号:37)(後者はS領域のアミノ酸21-27を含む)は、HBcAgへの融合ファージの結合を阻害できないことと一致して、阻害特性を示さなかった。しかし、プレSlドメインに対するモノクローナル抗体(18/7)によって認識されるエピトープ(残基20-23)を含む、LDPAFR(配列番号:38)は、阻害したが、約360μMで半最大効果を有した。
結果は、HBcAgへの結合について融合ファージライブラリーから選択された配列が、実際、L HBsAgの細胞質領域を模倣するという証拠を提供する。モノクローナル抗体18/7、またはそのエピトープを含むペプチドによる阻害の観察をまとめて考えると、これらの結果は、HBcAgについての接触領域の少なくとも一部が、プレSlドメイン内にあることを示す。阻害は、HBsAg結合に正常に関連するHBcAgのペプチド結合残基とともに直接的であり得るか、またはペプチドは、代わりの部位に結合しそしてHBcAg結合に正常に関連したLHBsAgのコンホメーションを変化し得るか、またはペプチドは、代わりの位置に結合しそしてアロステリック様式でL HBcAg結合ドメインのコンホメーションを変化し得る。L HBsAgの認識に関連し得るHBcAgの特定のアミノ酸を同定するために、化学的架橋によって、HBcAgにおける選択されたペプチドの結合部位をマッピングすることが、現在可能であるべきである。L HBsAg調製物との等価な一連の実験は、HBcAgの結合ドメインの対応するミモトープを同定し得る。このアプローチは、一般的に、ウイルスアセンブリだけでなく、リボソーム、スプライセオソーム(spliceosome)、ヌクレオソーム、プロテアソーム、および転写複合体のような他の複雑な生物学的アセンブリにも適用可能であるべきである。
HBV形態発生の本発明者らの理解に寄与する他に、選択されたペプチドALLGRMKG(配列番号:16)は、ウイルスアセンブリの阻害で標的されるリード抗ウイルス剤を示し得;発明者らは、ウイルスを産生する形質転換肝ガン細胞においてこれを評価することを試みている。このような化合物は、慢性的感染で有用であり得る。HBVに関連する疾患に対して効果的な治療剤の検索は、ワクチンで誘導した抗体によって中和されないHBVのエスケープ変異体の最近の出現でより緊急になった。これらのアプローチは、ウイルス成分から採取したペプチドが、インフルエンザ、シンドビス、および水疱性口内炎ウイルス形成を阻害し得るという最近の証明によって促進される。
実施例3
材料。ヘキサペプチド融合ファージライブラリー(1)およびE.coli株K91KanをG. Smith(University of Missouri, Columbia)から得た。モノクローナル抗体18/7(精製したIgG)を、K.H.Heermannおよび
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から得た。ペプチドALLGRMKG(配列番号:16)、ALLTRILG(配列番号:37)、GRMKG(配列番号:19)、およびLDPAFR(配列番号:38)を、Chemistry Department at the University of Edinburghから得た。
それぞれHBsAgのLおよびS形態をコードする、プラスミドpMDHBs3およびpMDHBs4を、インビトロ転写反応についてのテンプレートとして使用した。両方とも、プラスミドpHBV130(17)のからのEcoRI-SalI DNAフラグメントとして生成したHBsAgコード領域の5’に、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、次いで脳心筋炎ウイルスRNA5’非コード領域の586bpコピー(参考文献16;Novagen)を含んだ。PCR増幅を使用して、L-およびS-コードフラグメントについてそれぞれA922→GおよびT923→AまたはG1415→AおよびG1419→Cのいずれかでの二重変異によってEcoRI標的、および両方のフラグメントに共通のSalI(A2274→G)についての下流部位を生成した。
全長または短縮型HBcAgを含む粒子の精製。細胞抽出物を、硫酸アンモニウム(35%飽和)によって沈殿し、TBS(50mM Tris-HCl、pH7.5/150mM NaCl)に対して透析し、8〜40%スクロースグラジエント(12ml;TBS)にアプライし、そして100,000×g(TH641ローター、Sorvall)で4℃にて5時間遠心分離したこと以外は、HBcAgを、種々のプラスミドを有する。E. coli RB 791から精製した(Murray K.ら,EMBO J. 3:645-650(1984))。HBcAgを含む画分をプールし、そしてタンパク質をSDS/PAGEにおけるデンシトメトリー、分析的スクロースグラジエント遠心分離、および免疫反応性によって>90%純粋であると判断した。短縮型HBcAgの変性を、試料(1mg/ml)を85℃まで5分間加熱することによって達成し、遠心分離によって澄明にし、そして可溶性タンパク質濃度を再測定した。
HBcAgに結合するファージの単離。ニトロセルロースメンブラン(BioBlot-NC,0.45μM孔サイズ、Costar)を、15%(vol/vol)メタノール/25mM Tris塩基/250mMグリシンに15分間浸し、そしてドットブロット装置に置いた;次いで、HBc Ag[20μl;リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中0.25mg/ml]を、メンブランを通して洗浄した。切り出したサークルを、ブロッキング緩衝液[400μl;10mg/ml/0.5%Tween/0.02%NaN3/TBSにてウシ血清アルブミン(BSA)]を含むシリコン処理したマイクロ遠心チューブに入れ、そして6℃にて一晩放置した。ファージライブラリーのアリコート[5×1010プラーク形成ユニット(pfu)]を、TBS(400μl)/BSA(0.1mg/ml)/Tween(0.5%)とともに6℃にて1時間インキュベートして、BSAを結合するファージを吸収した。次いで、ディスクをファージライブラリーを含む同じ緩衝液中に入れ、そして6℃にて4時間回転させ、そして洗浄緩衝液A(0.5%Tween/TBS)または洗浄緩衝液B(0.5%Tween/50mM Tris・HCl, pH 7.5/0.5M NaCl)で6回、各洗浄の間を10分間隔で洗浄した。最後に、溶出緩衝液(400μl;0.1MHCl、1mg/mlで固体グリシン/BSAの添加によってpH2.2まで滴定した)を添加し、そして10分後、溶出物をTris・HCl(38μl,1M,pH9)の添加によって中和し、滴定し、そして増幅した。増幅した溶出物を、親和性富化のさらなる2ラウンドにかけた。DNAを、個々のファージクローンから単離し、そしてヌクレオチド配列を、プライマー5’-AGTTTTGTCGTCTTTCC-3’を使用することによって決定した(22)。選択したファージプラークを、500ml培養物で増幅し、PEG沈殿および31%(wt/wt)CsCl/TBSでの平衡化遠心分離によって精製した。
溶液中でのファージ結合アッセイ。種々の濃度(0.3〜10μM)でのHBcAgを、TBS/BSA(0.2mg/ml)/NaN3(0.02%)中で融合ファージB1(109pfu/ml)と6℃にて18時間インキュベートした。各混合物のアリコート(100μl)を、HBcAgでコートされている(PBS中20μg/ml;ウェル当たり125μl)ポリスチレンウェル(no.258 5、Coster)に移した。6℃にて1時間後、ウェルを0.2mg/mlのTBS/BSAで10回洗浄した。結合したファージを回収し、そして上記の項で記載のように滴定した。すべてのアッセイを3連で行った。HBcAg濃度範囲は、ファージB2およびB3での実験については1.58〜50μMであり、そしてファージB4での実験については0.63〜20μMであった。ペプチド阻害実験については、融合ファージ(109pfu/ml;200μl)を、HBcAgコートしたウェル中の種々の濃度のペプチド(1mM〜10nM)とともに6℃にて90分間インキュベートした。
インビトロ転写、翻訳、および転座。転写のためのテンプレートを、SalIでの切断によって直線化した。転写反応を、T7 RNAポリメラーゼ(Promega)を使用することによって記載のように行った(23)。合成RNAを、4μlアリコートで−70℃にて保存した。翻訳を、ミクロコッカスヌクレアーゼ処理したウサギ網状赤血球溶解液(Flexi rabbit reticulocyte Lysate system, Promega)を使用することによって30℃にて2時間行った。反応液(18μl)は、転写反応物の1:10希釈の2μl、ウサギ網状赤血球溶解液の10μl、20μMのメチオニンを含まないアミノ酸混合物、0.7μlの[35S]メチオニン(1Ci/mol、Amersham;1Ci=37GBq)、0.6mM Mg(OAc)2、120mM KCl、および2mMジチオトレイトールを含んだ。反応を、0.1μgのHBcAgおよび1.3μlのイヌ膵臓ミクロソーム膜(2等量/μl;Promega)の存在または非存在下で行った。
免疫沈降法。翻訳混合物(5μl)を、2mMジチオトレイトールを含むNET-ゲル緩衝液(50mM Tris-HCl, pH 7.5/150mM NaCl/0.1%Nonidet P-40/1mM EDTA/0.25%ゼラチン/0.02%NaN3)で200μlまで希釈した。未希釈の抗HBsAg(抗天然および抗変性HBsAg血清の1:1混合物)または抗HBcAgウサギポリクローナル血清の1:10希釈物のいずれか(1.5μl)を、混合物に添加した。プロテインA-Sepharoseでの免疫沈降およびSDS/PAGEによる分析を、記載のように行った(24)。
抗体およびペプチドによるHBcAgへの膜に挿入したL-タンパク質結合の阻害。標識したタンパク質を含むイヌ膵臓ミクロソーム膜を、遠心分離(50,000rpm、4℃にて2時間;Sorvall model TsT 60.4ローター)による分画のために20mM Hepes(NaOHでpH7.5に調節した)/2mMジチオトレイトールを含む77%(wt/vol)、30%、20%、および10%スクロースの1ml間隔の4ml段階的グラジエントで、翻訳混合物(60μl)を層にすることによって精製した。SDS/PAGEは、膜結合したLタンパク質を主として77%/30%スクロース界面に位置を示した。スクロースグラジエント精製したLタンパク質(4μl)を、阻害アッセイのために種々の希釈の抗体またはペプチドのいずれかを含むNET-ゲル緩衝液(100μl)で希釈した。混合物を、HBcAgコートしたウェル(HBcAgに結合するファージの単離の段落と同様)中で4℃にて21/2時間インキュベートし、そしてNET-ゲル緩衝液で5回、10分間隔で洗浄した。ウェルを、放射能の定量のためにEcoscint A(5ml;National Diagnostics)を含むシンチレーションバイアルに入れた。
種々の改変および変更が、本発明の意図または範囲から逸脱せずに本発明のペプチドおよび方法で行われ得ることは、当業者に明らかである。したがって、これらが添付の請求の範囲およびその同等物の範囲内に入るならば、本発明が本発明の改変および変更をカバーすることが意図される。
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Claims (34)

  1. B型肝炎ウイルスのコア抗原に結合し、そして該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨げることによって、インビボでのB型肝炎ウイルスのアセンブリを阻害する、単離精製されたペプチドであって、LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、5μM未満のIC50を有する、ペプチド。
  2. B型肝炎ウイルスのコア抗原に結合し、そして該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨げることによって、インビボでのB型肝炎ウイルスのアセンブリを阻害する、単離精製されたペプチドであって、SLLGRMKGA(配列番号:25)、DGSLLGRMKGAA(配列番号:27)、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)からなる群より選択され、5μM未満のIC50を有する、ペプチド。
  3. 前記ペプチドが1μM未満のIC50を有する、請求項1に記載のペプチド。
  4. 前記ペプチドが0.5μM未満のIC50を有する、請求項3に記載のペプチド。
  5. B型肝炎ウイルスのビリオンのアセンブリを阻害するための組成物であって、
    a)B型肝炎ウイルスのコア抗原に結合し、該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害するペプチドであって、LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、5μM未満のIC50を有するペプチドであり、そして前記組成物中に前記会合を妨害するのに十分な量で存在するペプチド;および
    b)薬学的に受容可能なキャリア
    を含む、組成物。
  6. B型肝炎ウイルスのビリオンのアセンブリを阻害するための組成物であって、
    a)B型肝炎ウイルスのコア抗原に結合し、該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害するペプチドであって、SLLGRMKGA(配列番号:25)、DGSLLGRMKGAA(配列番号:27)、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)からなる群より選択され、5μM未満のIC50を有し、そして前記組成物中に前記会合を妨害するのに十分な量で存在するペプチド;および
    b)薬学的に受容可能なキャリア
    を含む、組成物。
  7. 前記ペプチドが1μM未満のIC50を有する、請求項5に記載の組成物。
  8. 前記ペプチドが0.5μM未満のIC50を有する、請求項7に記載の組成物。
  9. インターフェロン、ヌクレオシドアナログ及びN-アセチル-システインから選択される試薬の治療的有効量をさらに含む、請求項5または6に記載の組成物。
  10. 前記ペプチドが乳化されているか、またはリポソーム中にカプセル化されている、請求項5または6に記載の組成物。
  11. 前記ペプチドが1μM未満のIC50を有する、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記ペプチドが0.5μM未満のIC50を有する、請求項11に記載の組成物。
  13. B型肝炎ウイルスに感染した哺乳動物の処置に使用するための組成物であって、
    a)LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、5μM未満のIC50を有するペプチドであって、B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして前記コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害し、そしてそれによって該ウイルスのアセンブリを妨げる、治療的有効量のペプチド、
    を含む組成物。
  14. B型肝炎ウイルスに感染した哺乳動物の処置に使用するための組成物であって、B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害する治療的有効量のペプチドを含み、前記ペプチドが、SLLGRMKGA(配列番号:25)、DGSLLGRMKGAA(配列番号:27)、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)からなる群より選択され、5μM未満のIC50を有する、組成物。
  15. 前記ペプチドが1μM未満のIC50を有する、請求項13に記載の組成物。
  16. 前記ペプチドが0.5μM未満のIC50を有する、請求項15に記載の組成物。
  17. B型肝炎の処置のための薬学的組成物を調製する方法であって、
    a)B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害し、LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、5μM未満のIC50を有するペプチドであって、前記会合を妨害するのに十分な量で前記組成物中に存在するペプチドを単離および精製する工程;および
    b)該ペプチドを薬学的に受容可能なキャリアと合わせる工程、
    を包含する、方法。
  18. B型肝炎の処置のための薬学的組成物を調製する方法であって、
    a)B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害するペプチドであって、SLLGRMKGA(配列番号:25)、DGSLLGRMKGAA(配列番号:27)、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)からなる群より選択され、5μM未満のIC50を有するペプチドを単離および精製する工程、および
    b)該ペプチドを薬学的に受容可能なキャリアと合わせる工程、
    を包含する、方法。
  19. 前記ペプチドが1μM未満のIC50を有する、請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記ペプチドが0.5μM未満のIC50を有する、請求項19に記載の方法。
  21. イン・ヴィトロにおいて試料中のB型肝炎ウイルスを検出するための診断用キットであって、
    a)LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、5μM未満のIC50を有するペプチドであって、B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして前記コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害し、そしてそれによって該ウイルスのアセンブリを妨げるペプチド;および
    b)前記ペプチドのB型肝炎ウイルスコア抗原への結合を検出するための1またはそれ以上の試薬
    を含むキット。
  22. イン・ヴィトロにおいて試料中のB型肝炎ウイルスを検出するための診断用キットであって、
    a)B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害するペプチドであって、SLLGRMKGA(配列番号:25)、DGSLLGRMKGAA(配列番号:27)、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)からなる群より選択され、5μM未満のIC50を有するペプチド
    を含むキット。
  23. 前記ペプチドが1μM未満のIC50を有する、請求項21に記載の診断用キット。
  24. 前記ペプチドが0.5μM未満のIC50を有する、請求項23に記載の診断用キット。
  25. イン・ヴィトロにおいて試料中のB型肝炎ウイルスを検出するための方法であって、
    a)前記試料を、LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、5μM未満のIC50を有するペプチドであって、B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして前記コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害し、そしてそれによって該ウイルスのアセンブリを妨げるペプチドと、前記試料中で前記ペプチドがB型肝炎ウイルスのいずれかのコア抗原との結合を許す条件下で、接触させる工程;および
    b)前記ペプチドのB型肝炎ウイルスコア抗原への結合を検出する工程
    を含む方法。
  26. イン・ヴィトロにおいて試料中のB型肝炎ウイルスを検出するための方法であって、
    a)前記試料を、B型肝炎ウイルスコア抗原に結合し、そして該コア抗原とB型肝炎ウイルスの表面抗原との会合を妨害するペプチドであって、SLLGRMKGA(配列番号:25)、DGSLLGRMKGAA(配列番号:27)、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)からなる群より選択され、5μM未満のIC50を有するペプチドと接触させる工程
    を含む方法。
  27. 前記ペプチドが1μM未満のIC50を有する、請求項25に記載の方法。
  28. 前記ペプチドが0.5μM未満のIC50を有する、請求項27に記載の方法
  29. LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、ALLGRMKG(配列番号:16)ではない、5μM未満のIC 50 を有する、単離されたペプチド。
  30. SLLGRMKGA(配列番号:25)、DGSLLGRMKGAA(配列番号:27)、SLLGRMKG(β-A)C(配列番号:30)、RSLLGRMKGA(配列番号:31)、HRSLLGRMKGA(配列番号:32)、MHRSLLGRMKGA(配列番号:33)、およびRSLLGRMKGA(β-A)C(配列番号:34)からなる群より選択されるペプチド。
  31. a)LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、ALLGRMKG(配列番号:16)ではない、5μM未満のIC 50 を有するペプチド;および
    b)薬学的に受容可能なキャリア
    を含む組成物。
  32. B型肝炎ウイルスに感染した哺乳動物を処置するための薬剤の製造方法であって、前記薬剤が、治療的有効量のLLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、ALLGRMKG(配列番号:16)ではない、5μM未満のIC 50 を有するペプチドを含む、方法。
  33. イン・ヴィトロにおいて、試料中のB型肝炎ウイルスを検出するための診断用キットであって、
    a)LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、ALLGRMKG(配列番号:16)ではない、5μM未満のIC 50 を有するペプチド;および
    b)前記ペプチドのB型肝炎ウイルスコア抗原への結合を検出するための1またはそれ以上の試薬
    を含むキット。
  34. イン・ヴィトロにおいて、試料中のB型肝炎ウイルスを検出するための方法であって、
    a)前記試料を、LLGRMKG(配列番号:17)の配列を含み、ALLGRMKG(配列番号:16)ではない、5μM未満のIC 50 を有するペプチドと接触させる工程;および
    b)前記ペプチドのB型肝炎ウイルスコア抗原への結合を検出する工程
    を含む方法。
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