JP4091309B2 - 衛生洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置においては、人体に不快感を与えないようにするため洗浄に用いる洗浄水を適切な温度に調整する加熱装置が備えられている。このような加熱装置には、主に貯湯式加熱装置または瞬間式加熱装置がある。
【0003】
貯湯式加熱装置は、予め所定量の洗浄水を貯えるとともに内蔵した加熱ヒータにより洗浄水を所定の温度に加熱する温水タンクを備え、人体の局部を洗浄する際に、予め温水タンク内で所定の温度に加熱した洗浄水を水道圧を利用するかもしくはポンプ等により圧送してノズルより噴出させる方法を採用している。
【0004】
この貯湯式加熱装置においては、人体の局部を洗浄する際まで、予め温水タンク内の洗浄水を所定の温度に維持し続けなければならない。そのため、加熱ヒータに常時電力を供給する必要があることから消費電力が大きくなる。また、複数の人が連続して局部を洗浄し、予め温水タンク内で所定の温度に加熱した洗浄水の量以上を使用した際、温水タンク内の洗浄水の温度が所定の温度以下に低下して人体に不快感を与えてしまう。
【0005】
一方、瞬間式加熱装置は、人体の局部を洗浄する際に、洗浄水を昇温速度に優れたセラミックヒータ等の加熱ヒータにより所定の温度に加熱し、水道圧を利用するかもしくはポンプ等により圧送してノズルより噴出させる方法を採用している。
【0006】
そのため、瞬間式加熱装置においては、予め洗浄水を所定の温度に維持し続ける必要がなく、使用時のみ加熱ヒータに電力を供給すればよいので消費電力を抑制することができる。また、長時間の洗浄や、トイレの連続使用等により多量の洗浄水を人体の局部の洗浄に用いた際でも、洗浄水の温度が所定の温度以下に低下して人体に不快感を与えることを防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、瞬間式加熱装置を用いた衛生洗浄装置では、冬季など水温が低い場合、一般家庭のコンセントの容量の上限から洗浄水の温度を所定の温度に加熱する能力が不足する。例えば、人体の洗浄に適した洗浄水の温度は、約40℃であるが、一般家庭のコンセント容量(15A)で0℃近い水温を40℃まで昇温させるためには、加熱ヒータに供給する洗浄水の流量を0.5L/分にする必要がある。しかし、この流量は、一般的な貯湯式加熱装置を用いた衛生洗浄装置の流量の半分以下である。その結果、使用者は、所望の洗浄感および洗浄力を得ることができず、不快感を感じることがあった。
【0008】
そこで、洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつノズルから噴出させる衛生洗浄装置が提案されている。
【0009】
それにより、ノズルから噴出される洗浄水の洗浄力が高まり、人体に不快感を与えることが防止される。
【0010】
しかしながら、洗浄水に周期的な圧力変動を与えることにより洗浄力および洗浄感を高めた衛生洗浄装置においても、ポンプまたは配管内に空気が残留していると、洗浄水に与えられる圧力変動が減衰し、所望の洗浄力および洗浄感が得られない場合がある。
【0011】
本発明の目的は、洗浄水に与える圧力変動の減衰を防止することにより、安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することが可能な衛生洗浄装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る衛生洗浄装置は、給水源から供給される洗浄水を噴出する衛生洗浄装置であって、洗浄水を噴出する複数のノズルを含む噴出手段と、給水源から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ洗浄水を加圧して噴出手段から噴出させる洗浄動作を行う加圧手段と、複数のノズルのうち洗浄動作を行うノズルを設定する設定手段と、設定手段の設定に基づいて加圧手段と複数のノズルとの間を選択的に連通させる流路切替手段と、洗浄動作の開始を指示する指示手段と、指示手段の指示に応答して加圧手段に滞留空気の排出動作をさせた後、洗浄動作へ移行させる制御手段とを備え、制御手段は、排出動作時に、加圧手段と設定手段により設定されたノズル以外のノズルとが連通するように流路切替手段を切り替え、排出動作後に、加圧手段と設定手段により設定されたノズルとが連通するように流路切替手段を切り替えるものである。
【0013】
本発明に係る衛生洗浄装置においては、指示手段による洗浄動作の開始の指示に応答して、制御手段が加圧手段に滞留空気の排出動作をさせる。これにより、給水源から供給された洗浄水が加圧手段により周期的な圧力変動を与えられつつ加圧され、洗浄水中の滞留空気とともに噴出手段から排出される。その後、制御手段が加圧手段を排出動作から洗浄動作へ移行させることにより、洗浄水が噴出手段から噴出される。
【0014】
したがって、洗浄水に与える圧力変動が滞留空気により減衰することを防止することができ、安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出手段から噴出することが可能となる。
また、排出動作時において、加圧手段と洗浄動作を行うノズル以外のノズルとが流路切替手段により連通され、洗浄動作を行うノズルに設定された以外のノズルから滞留空気が排出される。さらに、排出動作後に加圧手段と洗浄動作を行うノズルとが流路切替手段により連通され、洗浄動作を行うノズルから洗浄水が噴出される。
それにより、洗浄動作を行うノズルに滞留空気が流入することがなくなり、洗浄水に与える圧力変動の減衰が防止される。その結果、洗浄動作を行うノズルから安定した洗浄感および洗浄力を有する洗浄水を噴出することが可能となる。
【0015】
第2の発明に係る衛生洗浄装置は、第1の発明に係る衛生洗浄装置の構成において、加圧手段は、洗浄動作時よりも低い流速で噴出手段に洗浄水を供給することにより排出動作を行うものである。
【0016】
この場合、滞留空気の排出動作時において、洗浄水が加圧手段により洗浄動作時よりも低い流速で噴出手段に供給される。これにより、洗浄水の流路内の断面積変化部に流れの渦が生じない。したがって、流路内に滞留した空気を確実に効率よく噴出手段から排出することができる。
【0017】
第3の発明に係る衛生洗浄装置は、第1または第2の発明に係る衛生洗浄装置の構成において、加圧手段は、洗浄動作時よりも低い圧力で噴出手段に洗浄水を供給することにより排出動作を行うものである。
【0018】
この場合、加圧手段の上流側が突発的に負圧になることが回避されるので、流路の連結部等から流路内へ空気が流入することを防止することができるとともに、流路の破損等の不具合を防止することが可能となる。
【0019】
第4の発明に係る衛生洗浄装置は、第3の発明に係る衛生洗浄装置の構成において、加圧手段は、洗浄水を加圧する圧力を時間経過とともに増加させるものである。
【0020】
この場合、洗浄水の圧力が時間経過とともに増加するので、滞留空気が短時間で噴出手段から排出される。これにより、滞留空気の排出動作から洗浄動作への移行を短時間で円滑に行うことが可能となる。
【0021】
第5の発明に係る衛生洗浄装置は、第1〜第4のいずれかの発明に係る衛生洗浄装置の構成において、時間の経過を計測する計時手段をさらに備え、制御手段は、計時手段により計測された時間に基づいて加圧手段による排出動作を終了させ、洗浄動作へ移行させるものである。
【0022】
この場合、常に一定時間の排出動作の後に洗浄動作を行うことができる。
第6の発明に係る衛生洗浄装置は、第5の発明に係る衛生洗浄装置の構成において、制御手段は、計時手段により計測された時間が所定時間を経過したとき加圧手段による排出動作を終了させ、所定時間は、給水源から供給された洗浄水が噴出手段から排出までに要する時間以上に設定されるものである。
【0023】
この場合、給水源から噴出手段までの流路内に滞留した空気および洗浄水が確実に噴出手段から排出される。
【0024】
第7の発明に係る衛生洗浄装置は、第1〜第6のいずれかの発明に係る衛生洗浄装置の構成において、供給源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する加熱手段をさらに備えたものである。
【0025】
この場合、供給源から供給される洗浄水が流動しつつ加熱手段により加熱されることにより、瞬間的に洗浄水が加熱される。このとき、常温の洗浄水が極短時間に温度上昇することで洗浄水中の溶存空気が気泡となって出現する。このような場合においても、加熱される洗浄水が常に流動しているので、出現した気泡は、対流することなく洗浄水の流れに乗って排出される。
【0026】
第8の発明に係る衛生洗浄装置は、第1〜第7のいずれかの発明に係る衛生洗浄装置の構成において、加熱手段により加熱された洗浄水の温度を検知する温度検知手段をさらに備え、制御手段は、温度検知手段により検知された温度に基づいて加圧手段の排出動作を終了させ、洗浄動作へ移行させるものである。
【0027】
この場合、加熱手段により加熱された洗浄水の温度が温度検知手段により検知される。検知された温度に基いて制御手段により加圧手段の排出動作が終了されるとともに、洗浄動作へ移行される。それにより、加熱手段により加熱される洗浄水の温度が所定の温度に達するまで滞留空気の排出動作が継続される。その結果、加熱手段による洗浄水の加熱開始時に発生する気泡を確実に排出することができる。
【0031】
の発明に係る衛生洗浄装置は、第1〜8のいずれかの発明に係る衛生洗浄装置の構成において、複数のノズルは、人体洗浄に用いられる第1のノズルと、人体洗浄以外に用いられる第2のノズルとを含み、制御手段は、設定手段により第1のノズルが設定された場合に、排出動作時に、加圧手段と第2のノズルとが連通するように流路切替手段を切り替え、排出動作後に、加圧手段と第1のノズルとが連通するように流路切替手段を切り替えるものである。
【0032】
この場合、排出動作時において加圧手段と人体洗浄以外に用いられる第2のノズルとが連通するように流路切替手段が切り替えられ、第2のノズルから滞留空気が排出される。排出動作後、加圧手段と人体洗浄に用いられる第1のノズルとが連通するように流路切替手段が切り替えられ、洗浄水が第1のノズルから噴出される。
【0033】
それにより、人体洗浄に用いられる第1のノズルに滞留空気が流入することがなくなり、洗浄水に与える圧力変動の減衰が防止される。その結果、人体洗浄に用いられる第1のノズルから安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することが可能となる。
【0034】
10の発明に係る衛生洗浄装置は、第の発明に係る衛生洗浄装置の構成において、噴出手段は、加圧手段から第1のノズルに洗浄水を供給する第1の流路と、加圧手段から第2のノズルに洗浄水を供給する第2の流路とをさらに含み、第2の流路は、第1の流路よりも低い圧力損失を有するものである。
【0035】
この場合、排出動作において、洗浄水は第1の流路よりも低い圧力損失を有する第2の流路に供給され、滞留空気とともに第2のノズルから排出される。これにより、滞留空気を洗浄水とともに第2の流路内を円滑に移動させることができ、第2のノズルから確実に排出することが可能となる。
【0036】
11の発明に係る衛生洗浄装置は、第9または第10の発明に係る衛生洗浄装置の構成において、制御手段は、複数のノズルのうち一のノズルによる洗浄動作中に設定手段により他のノズルが設定された場合に、加圧手段に再度滞留空気の排出動作をさせた後に、加圧手段と設定手段により設定された他のノズルとが連通するように流路切替手段を切り替えるものである。
【0037】
この場合、一のノズルによる洗浄動作中に空気が流路内に徐々に蓄積される。このような状態でノズルが切り替えられた場合にも、他のノズルによる洗浄動作の前に滞留空気の排出動作が行われることにより、流路内の滞留空気が確実に排出される。
【0038】
12の発明に係る衛生洗浄装置は、第1〜第11のいずれかの発明に係る衛生洗浄装置の構成において、加圧手段と噴出手段との間の流路内の圧力が所定値を越えた場合に、加圧手段と噴出手段との間の流路を開放する流路開放手段をさらに備えたものである。
【0039】
この場合、加圧手段の下流側の圧力が異常に上昇した場合に、流路開放手段により流路が開放される。それにより、加圧手段と噴出手段との間の流路における損傷が防止される。
【0040】
13の発明に係る衛生洗浄装置は、第1〜第12のいずれかの発明に係る衛生洗浄装置の構成において、噴出手段は、加圧手段から供給された洗浄水を収容するシリンダ部と、シリンダ部内に移動可能に挿入されるとともにシリンダ部から突出可能に設けられたピストン部とを含み、ピストン部の外周面とシリンダ部の内周面との間に所定の隙間が設けられたものである。
【0041】
この場合、空気は水に比べて粘性が低いため、シリンダ部からピストン部が突出する際に、滞留空気がシリンダ部とピストン部との間に設けられた所定の隙間から排出される。これにより、噴出手段に空気が滞留することを防止することが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る衛生洗浄装置について説明する。
【0043】
図1は本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図である。
【0044】
図1に示すように、便器600上に衛生洗浄装置100が装着される。タンク700は、水道配管に接続されており、便器600内に洗浄水を供給する。
【0045】
衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。
【0046】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉自在に取り付けられる。さらに、本体部200には、ノズル部30を含む洗浄水供給機構が設けられるとともに、制御部が内蔵されている。本体部200の制御部は、後述するように遠隔操作装置300により送信される信号に基いて、洗浄水供給機構を制御する。さらに、本体部200の制御部は、便座部400に内蔵されたヒータ、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等の制御も行う。
【0047】
図2は図1の遠隔操作装置300の一例を示す模式図である。
図2に示すように、遠隔操作装置300は、複数のLED(発光ダイオード)301および複数の操作スイッチ800を備える。複数の操作スイッチ800は、複数の調整スイッチ302a〜302f、おしりスイッチ303、刺激スイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307および脱臭スイッチ308からなる。
【0048】
使用者により調整スイッチ302a〜302f、おしりスイッチ303、刺激スイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307および脱臭スイッチ308が押下操作される。それにより、遠隔操作装置300は、後述する衛生洗浄装置100の本体部200に設けられた制御部に所定の信号を無線送信する。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300より無線送信される所定の信号を受信し、洗浄水供給機構等を制御する。
【0049】
例えば、使用者が、おしりスイッチ303またはビデスイッチ306を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30が移動して洗浄水が噴出する。刺激スイッチ304を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30から人体の局部に刺激を与える洗浄水が噴出される。停止スイッチ305を押下操作することによりノズル部30からの洗浄水の噴出が停止する。
【0050】
また、乾燥スイッチ307を押下操作することにより人体の局部に対して衛生洗浄装置100の温風供給装置(図示せず)より温風が噴出される。脱臭スイッチ308を押下操作することにより衛生洗浄装置100の脱臭装置(図示せず)により周辺の脱臭が行われる。
【0051】
使用者が、調整スイッチ302a,302bを押下操作することにより、図1の衛生洗浄装置100の本体部200のノズル部30の位置が変化し、調整スイッチ302c,302dを押下することにより、ノズル部30より噴出される洗浄水の温度が変化し、調整スイッチ302e,302fを押下操作することにより、ノズル部30より噴出される洗浄水の水勢(圧力)が変化する。また、調整スイッチ302の押下に伴って複数のLED(発光ダイオード)301が点灯する。
【0052】
以下、本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200について説明を行う。図3は本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200の構成を示す模式図である。
【0053】
図3に示す本体部200は、制御部4、分岐水栓5、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10、熱交換器11、温度センサ12a,12b、ポンプ13、切替弁14およびノズル部30を含む。また、ノズル部30は、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3を含む。
【0054】
図3に示すように、水道配管201に分岐水栓5が介挿される。また、分岐水栓5と熱交換器11との間に接続される配管202に、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10および温度センサ12aが順に介挿されている。さらに、熱交換器11と切替弁14との間に接続される配管203に、温度センサ12bおよびポンプ13が介挿されている。
【0055】
まず、水道配管201を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓5によりストレーナ6に供給される。ストレーナ6により洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。次に、逆止弁7により配管202内における洗浄水の逆流が防止される。そして、定流量弁8により配管202内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。
【0056】
次いで、流量センサ10は、配管202内を流れる洗浄水の流量を測定し、制御部4に測定流量値を与える。また、温度センサ12aは、配管202内を流れる洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。
【0057】
続いて、熱交換器11は、制御部4により与えられる制御信号に基いて、配管202を通して供給された洗浄水を所定の温度に加熱する。温度センサ12bは、熱交換器11により所定の温度に加熱された洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。
【0058】
ポンプ13は、熱交換器11により加熱された洗浄水を制御部4により与えられる制御信号に基いて、切替弁14に圧送する。切替弁14は、制御部4により与えられる制御信号に基いて、ノズル部30のおしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれか1つに洗浄水を供給する。それにより、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれか1つより洗浄水が噴出される。
【0059】
制御部4は、図1の遠隔操作装置300から無線送信される信号、流量センサ10から与えられる測定流量値および温度センサ12a,12bから与えられる温度測定値に基き止水電磁弁9、熱交換器11、ポンプ13および切替弁14に対して制御信号を与える。
【0060】
また、ポンプ13と切替弁14との間にはリリーフ管204が接続され、止水電磁弁9と流量センサ10との間には、逃がし水配管205が接続されている。リリーフ配管204には、リリーフ弁206が介挿されている。リリーフ弁206は、配管203の特にポンプ13の下流側の圧力が所定値を超えると開成し、異常時の機器の破損、ホースの外れ等の不具合を防止する。例えば、切替弁14が誤動作し、熱交換機11より与えられた洗浄水の流路が遮断され、ポンプ13の下流側の圧力が上昇した場合、リリーフ弁206が開成する。
【0061】
一方、定流量弁8によって流量が調節され供給される洗浄水のうちポンプ13で吸引されない洗浄水を逃がし水配管205から放出する。これにより、水道供給圧に左右されることなくポンプ13には所定の背圧が作用することになる。
【0062】
図4は熱交換器11の構造の一例を示す一部切り欠き断面図である。
図4に示すように、樹脂ケース504内に曲折された蛇行配管510が埋設されている。蛇行配管510に接触するように平板状のセラミックヒータ505が設けられている。矢印Yで示すように、洗浄水が、給水口511から蛇行配管510内に供給され、蛇行配管510中を流れる間に、セラミックヒータ505により効率よく加熱され、排出口512から排出される。
【0063】
図3の制御部4は、温度センサ12bより与えられる温度測定値に基いて、熱交換器11のセラミックヒータ505の温度をフィードバック制御する。
【0064】
本実施の形態においては、制御部4がフィードバック制御により熱交換器11のセラミックヒータ505の温度を制御することとしたが、これに限定されず、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505の温度を制御してもよく、あるいは、温度上昇時には、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505を制御し、定常時には、フィードバック制御によりセラミックヒータ505を制御する複合的な制御を行ってもよい。
【0065】
図5はポンプ13の構造の一例を示す断面図である。図5のポンプは複動型レシプロポンプである。
【0066】
図5において、本体部138内には、円柱状空間139が形成されている。円柱状空間139内には圧送ピストン136が設けられている。圧送ピストン136の外周部には、X字パッキン136aが装着されている。圧送ピストン136により円柱状空間139がポンプ室139aとポンプ室139bとに分割される。
【0067】
本体部138の一側部には洗浄水入口PIが設けられ、他側部には洗浄水出口POが設けられている。洗浄水入口PIには図3の配管203を介して熱交換器11が接続され、洗浄水出口POには配管203を介して切替弁14が接続される。
【0068】
洗浄水入口PIは、内部流路P1、小室S1および小室S3を介してポンプ室139aに連通するとともに、内部流路P2、小室S2および小室S4を介してポンプ室139bに連通している。
【0069】
ポンプ室139aは、小室S5、小室S7および内部流路P3を介して洗浄水出口POに連通している。ポンプ室139bは、小室S6、小室S8および内部流路P4を介して洗浄水出口POに連通している。
【0070】
小室S3、小室S4、小室S7および小室S8には、それぞれアンブレラパッキン137が設けられている。
【0071】
モータ130の回転軸にギア131が取り付けられ、ギア131にギア132が噛合っている。また、ギア132には、クランクシャフト133の一端が一点支持で回動可能に取り付けられ、クランクシャフト133の他端には、ピストン保持部134およびピストン保持棒135を介して圧送ピストン136が取り付けられている。
【0072】
図3の制御部4により与えられる制御信号に基いて、モータ130の回転軸が回転すると、モータ130の回転軸に取り付けられたギア131が矢印R1の方向に回転し、ギア132が矢印R2の方向に回転する。これにより、圧送ピストン136が図中の矢印Zの方向に上下運動する。
【0073】
図6はアンブレラパッキン137の動作を説明するための模式図である。例えば、図5の圧送ピストン136が、下方向に移動し、ポンプ室139aの容積を増加させた場合、小室S1の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が低くなるため、小室S3に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(b)に示すように変形する。その結果、洗浄水入口PIから供給された洗浄水が、内部流路P1、小室S1および小室S3を介してポンプ室139aに流入する。この場合、小室S7の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が低くなるため、小室S7に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。そのため、洗浄水がポンプ室139a内へ流入したり、逆に洗浄水出口POより吐出されることもない。
【0074】
一方、図5の圧送ピストン136が、上方向に移動し、ポンプ室139aの容積を減少させた場合、小室S1の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が高くなるため、小室S3に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。その結果、小室S1内の洗浄水が、ポンプ室139aに流入しない。この場合、小室S7に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(b)に示すように変形する。そのため、ポンプ室139a内の洗浄水が、小室S5、小室S7および内部流路P3を介して洗浄水出口POから吐出される。
【0075】
なお、小室S4内に設けられたアンブレラパッキン137は、圧送ピストン136が上方向に移動した場合に、図6(b)に示すように変形し、圧送ピストン136が下方向に移動した場合に、図6(a)に示す状態のまま変形しない。一方、小室S8に設けられたアンブレラパッキン137は、圧送ピストン136が上方向に移動した場合に、図6(a)に示す状態のまま変形せず、圧送ピストン136が下方向に移動した場合に、図6(b)に示すように変形する。それにより、ポンプ室139a内の洗浄水が洗浄水出口POから吐出されるときに、ポンプ室139b内に洗浄水入口PIからの洗浄水が流入し、ポンプ室139a内に洗浄水入口PIからの洗浄水が流入するときに、ポンプ室139b内の洗浄水が洗浄水出口POから吐出される。
【0076】
図7は図5のポンプ13の圧力変化を示す図である。図7の縦軸は圧力を示し、横軸は時間を示す。
【0077】
図7に示すように、ポンプ13の洗浄水入口PIに圧力Piの洗浄水が供給される。この場合、図6の圧送ピストン136が上下方向に運動することにより、ポンプ室139a内の洗浄水の圧力Paは、点線のように変化する。一方、ポンプ室139b内の洗浄水の圧力Pbは、破線のように変化する。ポンプ13の洗浄水出口POより吐出される洗浄水の圧力Poutは、太い実線で示すように、圧力Pcを中心として上下に周期的に変化する。
【0078】
このように、ポンプ13においては、圧送ピストン136が上下運動を行うことにより、ポンプ室139aまたはポンプ室139b内の洗浄水に対して交互に圧力が加えられ、洗浄水入口PIの洗浄水が昇圧されて洗浄水出口POから吐出される。
【0079】
図8は、設定された水勢の違いによるポンプ13の圧力変化を示す図である。図8の縦軸はポンプ13の吐出圧力を示し、横軸は時間を示す。
【0080】
図8(a)は、使用者が図2の調整スイッチ302eを押下し、水勢を「強」に設定した場合のポンプ13の吐出圧力を示す図である。この場合、制御部4はポンプ13のモータ130の回転数を大きくする。これにより、図6の圧送ピストン136の上下方向の運動周期が短くなる。その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動周波数が高くなる。また、吐出圧力の変動中心Poが高くなり、かつ、吐出圧力の変動幅が大きくなる。
【0081】
また、図8(b)は、使用者が図2の調整スイッチ302eまたは302fをを押下し、水勢を「中」に設定した場合のポンプ13の吐出圧力を示す図である。この場合、制御部4はモータ130の回転数を中程度にする。これにより、図6の圧送ピストン136の上下方向の運動周期が中程度となる。その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動周波数が中程度となる。また、吐出圧力の変動中心Poが中程度となり、かつ、吐出圧力の変動幅が中程度となる。
【0082】
さらに、図8(c)は、使用者が図2の調整スイッチ302fを押下し、水勢を「弱」に設定した場合のポンプ13の吐出圧力を示す図である。この場合、制御部4はモータ130の回転数を小さくする。これにより、図6の圧送ピストン136の上下方向の運動周期が長くなる。その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動中心Poが低くなり、かつ、吐出圧力の変動幅が小さくなる。
【0083】
このように、本実施の形態の衛生洗浄装置では、洗浄水に周期的な圧力変動を与えることにより、洗浄力および洗浄感を高めることができる。
【0084】
図9(a)は切替弁14の縦断面図であり、図9(b)は図9(a)の切替弁14のA−A線断面図であり、図9(c)は図9(a)の切替弁14のB−B線断面図である。
【0085】
図9に示す切替弁14は、モータ141、内筒142および外筒143により構成される。
【0086】
外筒143内に内筒142が挿入され、モータ141の回転軸が内筒142に取り付けられている。モータ141は、制御部4により与えられる制御信号に基いて回転動作を行う。モータ141が回転することにより内筒142が回転する。
【0087】
図9(a),(b),(c)に示すように、外筒143の一端には、洗浄水入口143aが設けられ、側部の対向する位置に洗浄水出口143b,143cが設けられ、側部の洗浄水出口143b,143cと異なる位置に洗浄水出口143dが設けられている。内筒142の互いに異なる位置に孔142e,142fが設けられている。孔142eの周辺には、図9(b)に示すように、面取り部が形成されている。内筒142の回転により、孔142eが外筒143の洗浄水出口143bまたは143cと対向可能になっており、孔142fが外筒143の洗浄水出口143dと対向可能になっている。
【0088】
洗浄水入口143aには、図3の配管203が接続され、洗浄水出口143bには、おしりノズル1が接続され、洗浄水出口143cには、ビデノズル2が接続され、洗浄水出口143dには、ノズル洗浄用ノズル3が接続されている。
【0089】
図10は図9の切替弁14の動作を示す断面図である。
図10(a)に示すように、モータ141が回転せず、内筒142の孔142eが外筒143の洗浄水出口143dと同じ側にある場合、内筒142の孔142eが外筒143の洗浄水出口143b,143cのいずれにも対向せず、かつ内筒142の孔142fが外筒143の洗浄水出口143dに対向しない。したがって、洗浄水が洗浄水出口143b,143c,143dのいずれからも流出しない。
【0090】
また、図10(b)に示すように、モータ141が内筒142を90度回転させた場合には、内筒142の孔142eが外筒143の洗浄水出口143bに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W2で示すように洗浄水出口143bから流出する。
【0091】
さらに、モータ141が内筒142を270度回転させた場合には、内筒142の孔142eが外筒143の洗浄水出口143cに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して洗浄水出口143cから流出する。
【0092】
また、モータ141が内筒142を180度回転させた場合には、内筒142の孔142fが外筒143の洗浄水出口143dに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して洗浄水出口143dから流出する。
【0093】
以上のように、制御部4からの制御信号に基いてモータ141が回転することにより内筒142の孔142e,142fのいずれかが外筒143の洗浄水出口143b〜143dのいずれかに対向した場合には洗浄水が流出し、内筒142の孔142e,142fのいずれもが外筒143の洗浄水出口143b〜143dのいずれにも対向しない場合には洗浄水が流出しない。
【0094】
次に、図3のノズル部30のおしりノズル1について説明する。図11は図3のノズル部30のおしりノズル1の断面図である。なお、図3のノズル部30のビデノズル2の構成および動作は図11のおしりノズル1と同様である。
【0095】
図11に示すように、おしりノズル1は、円筒状のピストン部20、円筒状のシリンダ部21、シールパッキン22およびスプリング23により構成される。
【0096】
ピストン部20の先端近傍には、洗浄水を噴出するための噴出孔25が形成されている。ピストン部20の後端には、フランジ形状のストッパ部26が設けられている。また、ストッパ部26には、シールパッキン22が装着されている。ピストン部20の内部には、後端面から噴出孔25に連通する流路27が形成されている。
【0097】
一方、シリンダ部21は、先端側の径小部分と後端側の径大部分とからなる。それにより、径小部分と径大部分との間に、ストッパ部26がシールパッキン22を介して当接可能なストッパ面21bが形成されている。シリンダ部21の後端面には、洗浄水入口24が設けられ、シリンダ部21の先端面には、開口部21aが設けられている。シリンダ部21の内部空間が温度変動緩衝部28となる。洗浄水入口24は、シリンダ部21の中心軸とは異なる位置に偏心して設けられている。洗浄水入口24は、図3の切替弁14の洗浄水出口143bに接続されている。
【0098】
ピストン部20は、ストッパ部26が温度変動緩衝部28内に位置し、先端部が開口部21aから突出するように、シリンダ部21内に移動可能に挿入されている。
【0099】
さらに、スプリング23は、ピストン部20のストッパ部26とシリンダ部21の開口部21aの周縁との間に配設されており、ピストン部20をシリンダ部21の後端側に付勢する。
【0100】
ピストン部20のストッパ部26の外周面とシリンダ部21の内周面との間に微小隙間が形成され、ピストン部20の外周面とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間に微小隙間が形成されている。
【0101】
次いで、図11のおしりノズル1の動作について説明する。図12は図11のおしりノズル1の動作を説明するための断面図である。
【0102】
まず、図12(a)に示すように、シリンダ部21の洗浄水入口24より洗浄水が供給されない場合、ピストン部20が、スプリング23の弾性力により矢印Xの方向と逆方向に後退し、シリンダ部21内に収容されている。その結果、ピストン部20は、シリンダ部21の開口部21aより最も突出していない状態となる。このとき、シリンダ部21内には、温度変動緩衝部28が形成されない。
【0103】
次いで、図12(b)に示すように、シリンダ部21の洗浄水入口24より洗浄水の供給が開始された場合、洗浄水の圧力によりピストン部20がスプリング23の弾性力に抗して矢印Xの方向に徐々に前進する。それにより、シリンダ部21内に温度変動緩衝部28が形成されるとともに温度変動緩衝部28に洗浄水が流入する。
【0104】
洗浄水入口24がシリンダ部21の中心軸に対して偏心した位置に設けられているので、温度変動緩衝部28に流入した洗浄水は、矢印Vで示すように渦巻状に還流する。温度変動緩衝部28の洗浄水の一部は、ピストン部20のストッパ部26の外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間を通して、ピストン部20の外周面とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間の微小隙間から流れ出るとともに、ピストン部20の流路27を通して噴出孔25から噴出される。
【0105】
ピストン部20がさらに前進すると、図12(c)に示すように、ストッパ部26がシールパッキン22を介してシリンダ部21のストッパ面21bに水密に接触する。それにより、ピストン部20のストッパ部26の外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間からピストン部20の外周面とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間の微小隙間に至る流路が遮断される。したがって、温度変動緩衝部28の洗浄水が、ピストン部20内の流路27を通して噴出孔25のみから噴出される。
【0106】
上記のように、図3の熱交換器11から供給される洗浄水がシリンダ部21内の温度変動緩衝部28内に貯えられた後に、ピストン部20の流路27を通して噴出孔25から噴出されるので、温度変動緩衝部28内で洗浄水の温度変動が緩衝される。それにより、噴出孔25から噴出される洗浄水の温度変動が平滑化されて急激な温度変動が抑制される。
【0107】
特に、洗浄水入口24がシリンダ部21の中心軸に対して偏心した位置に設けられているので、温度変動緩衝部28内で洗浄水が渦巻き状に還流する。それにより、洗浄水の温度変動が効果的に緩衝される。したがって、温度変動緩衝部28の容積が小さい場合でも、洗浄水の温度変動の高い緩衝効果が得られる。
【0108】
図13は、衛生洗浄装置の流路内の滞留空気の有無によるポンプ13の吐出圧力の違いを示す図である。図13(a)は、流路内に空気が滞留していない場合におけるポンプ13の吐出圧力を示し、図13(b)は、流路内に空気が滞留している場合におけるポンプ13の吐出圧力を示す。
【0109】
ここで、流路とは、配管202,203、熱交換機11およびポンプ13を含む。
【0110】
図13(a)、(b)に示すように、ポンプ13の吐出圧力の変動中心Po(平均圧力)が同じであっても、流路内に空気が滞留している場合においては、流路内に空気が滞留していない場合にくらべて、吐出圧力の変動幅が小さくなる。
【0111】
図14は、時間の経過に伴うポンプ13の吐出圧力の変化を示す図である。図14において、横軸は洗浄処理開始からの時間の経過を示す。例えば、T1は、洗浄処理開始から10秒後であり、T2は、洗浄処理開始から30秒後、T3は、洗浄処理開始から60秒後である。
【0112】
図14に示すように、洗浄処理を開始からの時間の経過に伴い、ポンプ13の吐出圧力の変動幅が小さくなる。これは、熱交換器11により常温の洗浄水が加熱されることにより洗浄水中に溶存する空気が気泡となって出現し、洗浄処理の時間の経過とともに流路中に滞留するためである。
【0113】
本実施の形態における衛生洗浄装置では、後述する滞留空気の排出動作により、流路内の滞留空気が排出される。
【0114】
図15は、衛生洗浄装置の流路内に滞留した気泡の移動を示す図である。
流路内の気泡は流路内の断面積変化部に滞留しやすい。例えば、図15(a),(b)に示すように、気泡Bは、流路150,151の断面積変化部15に滞留する確率が高い。断面積変化部15は、例えば、切替弁14の洗浄水入り口143aとシリコンホースとの接続部である。
【0115】
図15(a)に示すように、流路150,151内を流れる洗浄水Wの流速が低い場合(流量が少ない場合)、気泡Bは断面積変化部15に滞留することなく流路150,151の内壁に沿って下流へと洗浄水とともに流出する。
【0116】
一方、図15(b)に示すように、流路150,151内を流れる洗浄水Wの流速が高い場合(流量が多い場合)、断面積変化部15において洗浄水の流れに渦が生じる。そのため、断面積変化部15に滞留した気泡Bは下流へと洗浄水とともに流出することができず、断面積変化部15に滞留し続ける。
【0117】
したがって、後述するように、ポンプ13の回転数を小さくして吐出圧力を低くすることにより、洗浄水の流速(流量)を低下させた場合、流路内の滞留空気を排出することが可能となる。
【0118】
図16は、本発明の実施の形態における衛生洗浄装置の動作を示すフローチャートである。図1、図2、図3および図16を用いて衛生洗浄装置の動作を説明する。
【0119】
衛生洗浄装置100の本体部200の制御部4は、遠隔操作装置300の操作スイッチ800が押下されたか否かを判別する(ステップS1)。操作スイッチ800が押下された場合、制御部4は、押下された操作スイッチ800がおしりスイッチ303であるか否かを判別する(ステップS2)。おしりスイッチ303が押下された場合、おしり洗浄処理を行う(ステップS3)。おしり洗浄処理における衛生洗浄装置100の詳細な動作については後述する。
【0120】
おしり洗浄処理開始後、制御部4は、停止スイッチ305が押下されたか否かを判別する(ステップS4)。停止スイッチ305が押下された場合、制御部4は、おしり洗浄処理を停止する(ステップS5)。
【0121】
また、ステップS2において、押下された操作スイッチ800がおしりスイッチ303でない場合、制御部4は、ビデスイッチ306が押下されたか否かを判別する(ステップS6)。ビデスイッチ306が押下された場合、ビデ洗浄処理を行う(ステップS7)。ビデ洗浄処理における衛生洗浄装置100の詳細な動作については後述する。
【0122】
ビデ洗浄処理開始後、制御部4は、停止スイッチ305が押下されたか否かを判別する(ステップS8)。停止スイッチ305が押下された場合、制御部4は、ビデ洗浄処理を停止する(ステップS5)。
【0123】
なお、ステップS5において、押下された操作スイッチ800がビデスイッチ306でない場合、他の処理を行う(ステップS9)。
【0124】
図17は、図16のおしり洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第1の例を示すフローチャートである。
【0125】
衛生洗浄装置100の本体部200の制御部4は、おしりスイッチ303が押下されると、切替弁14をノズル洗浄ノズル3側に切り替える(ステップS3−1)。
【0126】
さらに、制御部4は、止水電磁弁9を開き、熱交換機11に洗浄水を供給する(ステップS3−2)。次に、制御部4は、熱交換器11をオンし、洗浄水の加熱を開始する(ステップS3−3)。
【0127】
次に、制御部4は、ポンプ13を低速運転する(ステップS3−4)。それにより、止水電磁弁9から供給された洗浄水が低い流速で熱交換機11からポンプ13を経由してノズル洗浄ノズル3に流れる。その結果、流路内の滞留空気が洗浄水とともにノズル洗浄ノズル3の噴出孔から排出される。ステップS3−4の動作が滞留空気の排出動作に相当する。さらに、制御部4は、所定時間経過したか否かを判別する(ステップS3−5)。
【0128】
所定時間経過したことを判別すると、制御部4は、切替弁14をおしりノズル1側に切り替える(ステップS3−6)。それにより、洗浄水がおしりノズル1に供給され、洗浄水の圧力によりおしりノズル1のピストン部20がシリンダ部21より突出する。その後、制御部4は、ポンプ13を通常速度で運転する(ステップS3−7)。この場合、制御部は、使用者が調整スイッチ302a,302bにより設定した水勢に応じた回転数でポンプ13を運転する。それにより、おしりノズル1の噴出孔25から洗浄水が噴出し、おしり洗浄が行われる。ステップS3−7の動作が、洗浄動作に相当する。
【0129】
なお、ステップS3−5における所定時間は、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3までの洗浄水がすべて入れ替わるように設定することが好ましい。例えば、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔の洗浄水の流路の容積が20ccであり、洗浄水の流量が毎分250ccである場合、約4.8秒で上記流路の洗浄水がすべて入れ替わる。したがって、この場合における所定時間は、5秒とすることが望ましい。
【0130】
以上のように、ポンプ13を通常速度で運転する前に低速度で運転することにより、衛生洗浄装置100の止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔までの流路に滞留している空気および洗浄水がノズル洗浄ノズル3から排出される。
【0131】
その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止され、おしりノズル1から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0132】
また、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している洗浄水をノズル洗浄ノズルから排出することにより、使用開始時に低温となった洗浄水が噴出されることが防止される。
【0133】
さらに、おしり洗浄処理の後に続けてビデ洗浄処理を行う場合など、複数の洗浄処理を連続的に行う場合おいても、各々の洗浄処理の間にポンプ13を低速で運転することにより、洗浄処理時に発生した滞留空気および洗浄水を排出することができ、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止される。
【0134】
その結果、洗浄処理を連続的に行う場合おいても、おしりノズル1およびビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0135】
図18は、図16のおしり洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第2の例を示すフローチャートである。
【0136】
衛生洗浄装置100の本体部200の制御部4は、おしりスイッチ303が押下されると、切替弁14をノズル洗浄ノズル3側に切り替える(ステップS3−10)。
【0137】
さらに、制御部4は、止水電磁弁9を開き、熱交換器11に浄水を供給する(ステップS3−11)。次に、熱交換器11をオンし、洗浄水の加熱を開始する(ステップS3−12)。
【0138】
次に、制御部4は、ポンプ13を低速運転する(ステップS3−13)。それにより、止水電磁弁9から供給された洗浄水が低い流速で熱交換器11からポンプ13を経由してノズル洗浄ノズル3に流れる。ステップS3−13の動作が滞留空気の排出動作に相当する。その結果、流路内の滞留空気が洗浄水とともにノズル洗浄ノズル3の噴出孔から排出される。
【0139】
さらに、制御部4は、ポンプ13の回転数を増加させる(ステップS3−14)。これにより、熱交換器11へ流入する洗浄水の流量が増加する。
【0140】
次に、制御部4は、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS3−15)。所定時間経過したことを判別すると、制御部4は、切替弁14をおしりノズル1側に切り替える(ステップS3−16)。それにより、洗浄水がおしりノズル1に供給され、洗浄水の圧力によりおしりノズル1のピストン部20がシリンダ部21より突出する。
【0141】
その後、制御部4は、ポンプ13を通常速度で運転する(ステップS3−17)。この場合、制御部4は、使用者が、調整スイッチ302a,302bにより設定した水勢に応じた回転数でポンプ13を運転する。それにより、おしりノズル1の噴出孔25から洗浄水が噴出し、おしり洗浄が行われる。ステップS3−17の動作が洗浄動作に相当する。
【0142】
なお、ステップS3−14において、ポンプ13の回転数を連続的または段階的に増加させ、熱交換機11へ流入する洗浄水の流量を増加させることにより、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔までの洗浄水を短時間ですべて入れ替えることが可能となる。例えば、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル1の噴出孔までの洗浄水の流路の容積が20ccであり、流入開始時の洗浄水の流量が毎分250ccの洗浄水である場合、ポンプ13の回転数を除々に増加させ、洗浄水の流量を450ccとすると、約3.5秒で上記流路の洗浄水をすべて入れ替えることが可能となる。
【0143】
それにより、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している空気および洗浄水を短時間でノズル洗浄ノズル3から排出することができる。その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止され、おしりノズル1から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を効率良く噴出することができる。
【0144】
また、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している洗浄水をノズル洗浄ノズルから排出することにより、使用開始時に低温となった洗浄水が噴出されることが防止される。
【0145】
さらに、おしり洗浄処理の後に続けてビデ洗浄処理を行う場合など、複数の洗浄処理を連続的に行う場合おいても、各々の洗浄処理の間にポンプ13を低速で運転することにより、洗浄処理時に発生した滞留空気および洗浄水を排出することができ、吐出圧力の変動幅の減衰が防止される。
【0146】
その結果、洗浄処理を連続的に行う場合おいても、おしりノズル1およびビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0147】
図19は、図16のおしり洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第3の例を示すフローチャートである。
【0148】
衛生洗浄装置100の本体部200の制御部4は、おしりスイッチ303が押下されると、切替弁14をノズル洗浄ノズル3側に切り替える(ステップS3−20)。
【0149】
さらに、制御部4は、止水電磁弁9を開き、熱交換機11に洗浄水を供給する(ステップS3−21)。次に、制御部4は、熱交換器11をオンし、洗浄水の加熱を開始する(ステップS3−22)。
【0150】
次に、制御部4は、ポンプ13を低速運転する(ステップS3−23)。それにより、止水電磁弁9から供給される洗浄水が低い流速で熱交換器11からポンプ13を経由してノズル洗浄ノズル3に流れる。その結果、流路内の滞留空気が洗浄水とともにノズル洗浄ノズル3の噴出孔から排出される。ステップS3−23の動作が滞留空気の排出動作に相当する。さらに、温度センサ12bにより、洗浄水の温度が所定温度に達したか否かを判別する(ステップS3−24)。
【0151】
洗浄水の温度が所定温度に達したことを判別すると、制御部4は、切替弁14をおしりノズル1側に切り替える(ステップS3−25)。それにより、洗浄水がおしりノズル1に供給され、洗浄水の圧力によりおしりノズル1のピストン部20がシリンダ部21より突出する。その後、制御部4は、ポンプ13を通常速度で運転する(ステップS3−26)。この場合、制御部4は、使用者が調整スイッチ302a,302b2より設定した水勢に応じた回転数でポンプ13を運転する。それにより、おしりノズル1の噴出孔25から洗浄水が噴出し、おしり洗浄が行われる。ステップS3−26の動作が洗浄動作に相当する。
【0152】
なお、ステップS3−25における所定温度とは、おしりノズル1の噴出孔25から噴出される洗浄水の温度が使用者に不快感を与えない温度となるように設定することが好ましい。
【0153】
以上のように、ポンプ13を通常速度で運転する前に低速度で運転することにより、衛生洗浄装置100の止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔までの流路に滞留している空気および洗浄水がノズル洗浄ノズル3から排出される。
【0154】
その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止され、おしりノズル1から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0155】
また、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している洗浄水をノズル洗浄ノズルから排出することにより、使用開始時に低温となった洗浄水が噴出されることが防止される。
【0156】
さらに、おしり洗浄処理の後に続けてビデ洗浄処理を行う場合など、複数の洗浄処理を連続的に行う場合おいても、各々の洗浄処理の間にポンプ13を低速で運転することにより、洗浄処理時に発生した滞留空気および洗浄水を排出することができ、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止される。
【0157】
その結果、洗浄処理を連続的に行う場合おいても、おしりノズル1およびビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0158】
なお、ステップS3−24で洗浄水の温度が所定温度に達したか否かを判断する代わりに、洗浄水の温度の変化率が所定値以下(例えばほぼ一定)になったか否かを判別することにより滞留空気の排出動作を終了してもよい。
【0159】
図20は、図16のビデ洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第1の例を示すフローチャートである。
【0160】
衛生洗浄装置100の本体部200の制御部4は、ビデスイッチ306が押下されると、切替弁14をノズル洗浄ノズル3側に切り替える(ステップS6−1)。
【0161】
さらに、制御部4は、止水電磁弁9を開き、熱交換機11に洗浄水を供給する(ステップS6−2)。次に、制御部4は、熱交換器11をオンし、洗浄水の加熱を開始する(ステップS6−3)。
【0162】
次に、制御部4は、ポンプ13を低速運転する(ステップS6−4)。それにより、止水電磁弁9から供給された洗浄水が低い流速で熱交換機11からポンプ13を経由してノズル洗浄ノズル3に流れる。その結果、流路内の滞留空気が洗浄水とともにノズル洗浄ノズル3の噴出孔から排出される。ステップS6−4の動作が滞留空気の排出動作に相当する。さらに、制御部4は、所定時間経過したか否かを判別する(ステップS6−5)。
【0163】
所定時間経過したことを判別すると、制御部4は、切替弁14をビデノズル2側に切り替える(ステップS6−6)。それにより、洗浄水がビデノズル2に供給され、洗浄水の圧力によりビデノズル2のピストン部がシリンダ部より突出する。その後、制御部4は、ポンプ13を通常速度で運転する(ステップS6−7)。この場合、制御部は、使用者が調整スイッチ302a,302bにより設定した水勢に応じた回転数でポンプ13を運転する。それにより、ビデノズル2の噴出孔から洗浄水が噴出し、ビデ洗浄が行われる。ステップS6−7の動作が洗浄動作に相当する。
【0164】
なお、ステップS6−5における所定時間は、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3までの洗浄水がすべて入れ替わるように設定することが好ましい。例えば、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔までの洗浄水の流路の容積が20ccであり、洗浄水の流量が毎分250ccである場合、約4.8秒で上記流路の洗浄水がすべて入れ替わる。したがって、この場合における所定時間は、5秒とすることが望ましい。
【0165】
以上のように、ポンプ13を通常速度で運転する前に低速度で運転することにより、衛生洗浄装置100の止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔までの流路に滞留している空気および洗浄水がノズル洗浄ノズル3から排出される。
【0166】
その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止され、ビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0167】
また、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している洗浄水をノズル洗浄ノズルから排出することにより、使用開始時に低温となった洗浄水が噴出されることが防止される。
【0168】
さらに、ビデ洗浄処理の後に続けておしり洗浄処理を行う場合など、複数の洗浄処理を連続的に行う場合おいても、各々の洗浄処理の間にポンプ13を低速で運転することにより、洗浄処理時に発生した滞留空気および洗浄水を排出することができ、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止される。
【0169】
その結果、洗浄処理を連続的に行う場合おいても、おしりノズル1およびビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0170】
図18は、図16のビデ洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第2の例を示すフローチャートである。
【0171】
衛生洗浄装置100の本体部200の制御部4は、ビデスイッチ306が押下されると、切替弁14をノズル洗浄ノズル3側に切り替える(ステップS6−10)。
【0172】
さらに、制御部4は、止水電磁弁9を開き、熱交換器11に浄水を供給する(ステップS6−11)。次に、熱交換器11をオンし、洗浄水の加熱を開始する(ステップS6−12)。
【0173】
次に、制御部4は、ポンプ13を低速運転する(ステップS6−13)。それにより、止水電磁弁9から供給された洗浄水が低い流速で熱交換器11からポンプ13を経由してノズル洗浄ノズル3に流れる。その結果、流路内の滞留空気が洗浄水とともにノズル洗浄ノズル3の噴出孔から排出される。ステップS6−13の動作が滞留空気の排出動作に相当する。
【0174】
さらに、制御部4は、ポンプ13の回転数を増加させる(ステップS6−14)。これにより、熱交換器11へ流入する洗浄水の流量が増加する。
【0175】
次に、制御部4は、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS6−15)。所定時間経過したことを判別すると、制御部4は、切替弁14をビデノズル3側に切り替える(ステップS6−16)。それにより、洗浄水がビデノズル2に供給され、洗浄水の圧力によりビデノズル2のピストン部がシリンダ部より突出する。
【0176】
その後、制御部4は、ポンプ13を通常速度で運転する(ステップS6−17)。この場合、制御部4は、使用者が、調整スイッチ302a,302bにより設定した水勢に応じた回転数でポンプ13を運転する。それにより、ビデノズル2の噴出孔から洗浄水が噴出し、ビデ洗浄が行われる。ステップS6−17の動作が洗浄動作に相当する。
【0177】
なお、ステップS6−14において、ポンプ13の回転数を連続的または段階的に増加させ、熱交換機11へ流入する洗浄水の流量を増加させることにより、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔までの洗浄水を短時間ですべて入れ替えることが可能となる。例えば、止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル1の噴出孔までの洗浄水の流路の容積が20ccであり、流入開始時の洗浄水の流量が毎分250ccの洗浄水である場合、ポンプ13の回転数を徐々に増加させ、洗浄水の流量を450ccとすると、約3.5秒で上記流路の洗浄水をすべて入れ替えることが可能となる。
【0178】
それにより、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している空気および洗浄水を短時間でノズル洗浄ノズル3から排出することができる。その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止され、ビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を効率良く噴出することができる。
【0179】
また、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している洗浄水をノズル洗浄ノズル3から排出することにより、使用開始時に低温となった洗浄水が噴出されることが防止される。
【0180】
さらに、ビデ洗浄処理の後に続けておしり洗浄処理を行う場合など、複数の洗浄処理を連続的に行う場合おいても、各々の洗浄処理の間にポンプ13を低速で運転することにより、洗浄処理時に発生した滞留空気および洗浄水を排出することができ、吐出圧力の変動幅の減衰が防止される。
【0181】
その結果、洗浄処理を連続的に行う場合おいても、おしりノズル1およびビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0182】
図22は、図16のビデ洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第3の例を示すフローチャートである。
【0183】
衛生洗浄装置100の本体部200の制御部4は、ビデスイッチ306が押下されると、切替弁14をノズル洗浄ノズル3側に切り替える(ステップS6−20)。
【0184】
さらに、制御部4は、止水電磁弁9を開き、熱交換機11に洗浄水を供給する(ステップS6−21)。次に、制御部4は、熱交換器11をオンし、洗浄水の加熱を開始する(ステップS6−22)。
【0185】
次に、制御部4は、ポンプ13を低速運転する(ステップS6−23)。それにより、止水電磁弁9から供給される洗浄水が低い流速で熱交換器11からポンプ13を経由してノズル洗浄ノズル3に流れる。その結果、流路内の滞留空気が洗浄水とともにノズル洗浄ノズル3の噴出孔から排出される。ステップS6−23の動作が滞留空気の排出動作に相当する。さらに、温度センサ12bにより、洗浄水の温度が所定温度に達したか否かを判別する(ステップS6−24)。
【0186】
洗浄水の温度が所定温度に達したことを判別すると、制御部4は、切替弁14をビデノズル2側に切り替える(ステップS6−25)。それにより、洗浄水がビデノズル2に供給され、洗浄水の圧力によりビデノズル2のピストン部がシリンダ部より突出する。その後、制御部4は、ポンプ13を通常速度で運転する(ステップS6−26)。この場合、制御部4は、使用者が調整スイッチ302a,302b2より設定した水勢に応じた回転数でポンプ13を運転する。それにより、ビデノズル2の噴出孔から洗浄水が噴出し、ビデ洗浄が行われる。ステップS6−26の動作が洗浄動作に相当する。
【0187】
なお、ステップS3−25における所定温度とは、ビデノズル2の噴出孔から噴出される洗浄水の温度が使用者に不快感を与えない温度となるように設定することが好ましい。
【0188】
以上のように、ポンプ13を通常速度で運転する前に低速度で運転することにより、衛生洗浄装置100の止水電磁弁9からノズル洗浄ノズル3の噴出孔までの流路に滞留している空気および洗浄水がノズル洗浄ノズル3から排出される。
【0189】
その結果、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止され、ビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0190】
また、衛生洗浄装置100の流路内に滞留している洗浄水をノズル洗浄ノズルから排出することにより、使用開始時に低温となった洗浄水が噴出されることが防止される。
【0191】
さらに、おしり洗浄処理の後に続けてビデ洗浄処理を行う場合など、複数の洗浄処理を連続的に行う場合おいても、各々の洗浄処理の間にポンプ13を低速で運転することにより、洗浄処理時に発生した滞留空気および洗浄水を排出することができ、ポンプ13の吐出圧力の変動幅の減衰が防止される。
【0192】
その結果、洗浄処理を連続的に行う場合おいても、おしりノズル1およびビデノズル2から安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出することができる。
【0193】
なお、ステップS6−24で洗浄水の温度が所定温度に達したか否かを判別する代わりに、洗浄水の温度の変化率が所定値以下(例えばほぼ一定)になったか否かを判別することにより滞留空気の排出動作を終了してもよい。
【0194】
図23は、本発明の衛生洗浄装置に用いるポンプの他の例を示す断面図である。
【0195】
図23に示すポンプ13bは単動型レシプロポンプである。図23において、本体部には、円柱状空間235が形成されている。円柱状空間235内には圧送ピストン236が設けられている。圧送ピストン236により円柱状空間235がポンプ室235aとポンプ室235bとに分割される。
【0196】
本体部の一側部には洗浄水入口Pαが設けられ、他側部には洗浄水出口Pβが設けられている。洗浄水入口Pαには図3の配管203を介して熱交換器11が接続され、洗浄水出口Pβには配管203を介して切替弁14が接続される。
【0197】
洗浄水入口Pαは、小室S10および小室S11を介してポンプ室235aに連通している。
【0198】
ポンプ室235aは、小室S12および小室S13を介して洗浄水出口Pβに連通している。
【0199】
モータ230の回転軸にギア231が取り付けられ、ギア231にギア232が噛合っている。また、ギア232には、クランクシャフト233の一端が一点支持で回動可能に取り付けられ、クランクシャフト233の他端には、ピストン保持部234およびピストン保持棒239を介して圧送ピストン240が取り付けられている。
【0200】
図3の制御部4により与えられる制御信号に基いて、モータ230の回転軸が回転すると、モータ230の回転軸に取り付けられたギア231が矢印R3の方向に回転し、ギア232が矢印R4の方向に回転する。これにより、圧送ピストン240が図中の矢印Qの方向に上下運動する。
【0201】
また、小室S11および小室S13には、それぞれアンブレラパッキン237が設けられている。アンブレラパッキン237の構成および動作は、前述した図6に示すアンブレラパッキン137の構成および動作と同様である。
【0202】
例えば、図23の圧送ピストン240が、下方向に移動し、ポンプ室235aの容積を増加させた場合、小室S10の圧力よりもポンプ室235a内の圧力が低くなるため、小室S11に設けられたアンブレラパッキン237は、図6(b)に示すように変形する。その結果、洗浄水入口Pαから供給された洗浄水が、小室S10および小室S11を介してポンプ室235aに流入する。この場合、小室S11に設けられたアンブレラパッキン237は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。そのため、ポンプ室235a内の洗浄水が、洗浄水出口Pβより吐出されない。
【0203】
一方、図23の圧送ピストン240が、上方向に移動し、ポンプ室235aの容積を減少させた場合、小室S10の圧力よりもポンプ室235a内の圧力が高くなるため、小室S12に設けられたアンブレラパッキン237は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。その結果、小室S10内の洗浄水が、ポンプ室235aに流入しない。この場合、小室S13に設けられたアンブレラパッキン237、図6(b)に示すように変形する。そのため、ポンプ室235a内の洗浄水が、小室S12および小室S13を介して洗浄水出口Pβから吐出される。
【0204】
図24は、図23のポンプの各部の圧力変化を示す図である。図24の縦軸は圧力を示し、横軸は時間を示す。
【0205】
図24に示すように、ポンプ13bの洗浄水入口Pαに圧力Pxの洗浄水が供給される。この場合、図23の圧送ピストン240が上下方向に運動することにより、ポンプ室235a内の洗浄水の圧力Pxが変化する。それにより、ポンプ13bの洗浄水出口Pβより吐出される洗浄水の圧力Poutは、太い実線で示すように、圧力Pkを中心として上下に周期的に変化する。
【0206】
このように、ポンプ13bにおいては、圧送ピストン240が上下運動を行うことにより、ポンプ室235a内の洗浄水に対して圧力が加えられ、洗浄水入口Pαの洗浄水が昇圧されて洗浄水出口Pβから吐出される。
【0207】
本実施の形態においては、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3が噴出手段に相当し、熱交換器11が加熱手段に相当し、ポンプ13が加圧手段に相当し、制御部4が制御手段および計時手段に相当する。
【0208】
また、おしりスイッチ303およびビデスイッチ306が指示手段および設定手段に相当し、温度センサ126が温度検知手段に相当し、切替弁14が流路切替手段に相当し、リリーフ弁206が流路開放手段に相当する。
【0209】
本実施の形態におけるノズル洗浄ノズル3の洗浄水の流路の径は、おしりノズル1およびビデノズル2における洗浄水の流路の径よりも大きくすることが望ましい。これにより、ノズル洗浄ノズル3の流路内における圧力損失を抑制することができ、滞留した空気および洗浄水を効率よくノズル洗浄ノズル3の噴出孔から排出することが可能となる。
【0210】
また、本実施の形態においては、ポンプ13として、複動型レシプロポンプおよび単動型レシプロポンプを用いる場合について説明したが、これに限定されず、回転型ポンプまたは他の往復型ポンプを用いてもよい。
【0211】
【発明の効果】
本発明によれば、指示手段による洗浄動作の開始の指示に応答して、制御手段が加圧手段に滞留空気の排出動作をさせる。これにより、給水源から供給された洗浄水が加圧手段により周期的な圧力変動を与えられつつ加圧され、洗浄水中の滞留空気とともに噴出手段から噴出される。その後、制御手段が加圧手段を排出動作から洗浄動作へ移行させることにより、洗浄水が噴出手段から噴出される。
【0212】
したがって、洗浄水に与える圧力変動が滞留空気により減衰することを防止することができ、安定した洗浄力および洗浄感を有する洗浄水を噴出手段から噴出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図
【図2】図1の遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図3】本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置の本体部の構成を示す模式図
【図4】熱交換器の構造の一例を示す一部切り欠き断面図
【図5】ポンプの構造の一例を示す断面図
【図6】アンブレラパッキンの動作を説明するための模式図
【図7】図5のポンプの各部の圧力変化を示す図
【図8】ノズルから噴出される洗浄水の水勢の違いによるポンプ13の圧力変化を示す図
【図9】(a)切替弁の縦断面図、(b)切替弁のA−A線断面図、(c)切替弁のB−B線断面図
【図10】図9の切替弁の動作を示す断面図
【図11】図3のノズル部のおしりノズルの断面図
【図12】図11のおしりノズルの動作を説明するための断面図
【図13】衛生洗浄装置の流路内の滞留空気の有無におけるポンプ13の吐出圧力の違いを示す図
【図14】図14は、時間の経過におけるポンプ13の圧力変化を示す図
【図15】衛生洗浄装置の流路内に滞留した気泡の移動を示す図
【図16】本発明の実施の形態における衛生洗浄装置の動作を示すフローチャート
【図17】図16のおしり洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第1の例を示すフローチャート
【図18】図16のおしり洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第2の例を示すフローチャート
【図19】図16のおしり洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第3の例を示すフローチャート
【図20】図16のビデ洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第1の例を示すフローチャート
【図21】図16のビデ洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第2の例を示すフローチャート
【図22】図16のビデ洗浄処理における衛生洗浄装置の詳細な動作の第3の例を示すフローチャート
【図23】本発明の衛生洗浄装置に用いるポンプの他の例を示す断面図
【図24】図23のポンプの各部の圧力変化を示す図
【符号の説明】
1 おしりノズル
2 ビデノズル
3 ノズル洗浄用ノズル
4 制御部
5 分岐水栓
6 ストレーナ
7 逆止弁
8 定流量弁
9 止水電磁弁
10 流量センサ
11 熱交換器
12a,12b 温度センサ
13 ポンプ
14 切替弁
20 ピストン部
21 シリンダ部
21a 開口部
21b ストッパ面
22 シールパッキン
23 スプリング
24 洗浄水入口
25 噴出孔
26 ストッパ部
27 流路
28 温度変動緩衝部
30 ノズル部
100 衛生洗浄装置
200 本体部
300 遠隔操作装置
400 便座部
500 蓋部
600 便器
700 タンク

Claims (13)

  1. 給水源から供給される洗浄水を噴出する衛生洗浄装置であって、
    洗浄水を噴出する複数のノズルを含む噴出手段と、
    前記給水源から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ洗浄水を加圧して前記噴出手段から噴出させる洗浄動作を行う加圧手段と、
    前記複数のノズルのうち前記洗浄動作を行うノズルを設定する設定手段と、
    前記設定手段の設定に基づいて前記加圧手段と前記複数のノズルとの間を選択的に連通させる流路切替手段と、
    前記洗浄動作の開始を指示する指示手段と、
    前記指示手段の指示に応答して前記加圧手段に滞留空気の排出動作をさせた後、前記洗浄動作へ移行させる制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記排出動作時に、前記加圧手段と前記設定手段により設定されたノズル以外のノズルとが連通するように前記流路切替手段を切り替え、前記排出動作後に、前記加圧手段と前記設定手段により設定されたノズルとが連通するように前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする衛生洗浄装置。
  2. 前記加圧手段は、前記洗浄動作時よりも低い流速で前記噴出手段に洗浄水を供給することにより前記排出動作を行うことを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
  3. 前記加圧手段は、前記洗浄動作時よりも低い圧力で前記噴出手段に洗浄水を供給することにより前記排出動作を行うことを特徴とする請求項1または2記載の衛生洗浄装置。
  4. 前記加圧手段は、洗浄水を加圧する圧力を時間経過とともに増加させることを特徴とする請求項3記載の衛生洗浄装置。
  5. 時間の経過を計測する計時手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記計時手段により計測された時間に基づいて前記加圧手段による前記排出動作を終了させ、前記洗浄動作へ移行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
  6. 前記制御手段は、前記計時手段により計測された時間が所定時間を経過したとき前記加圧手段による前記排出動作を終了させ、
    前記所定時間は、前記給水源から供給された洗浄水が前記噴出手段から排出されるまでに要する時間以上に設定されることを特徴とする請求項5記載の衛生洗浄装置。
  7. 前記供給源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する加熱手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
  8. 前記加熱手段により加熱された洗浄水の温度を検知する温度検知手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記温度検知手段により検知された温度に基づいて前記加圧手段の前記排出動作を終了させ、前記洗浄動作へ移行させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
  9. 前記複数のノズルは、人体洗浄に用いられる第1のノズルと、人体洗浄以外に用いられる第2のノズルとを含み、
    前記制御手段は、前記設定手段により前記第1のノズルが設定された場合に、前記排出動作時に、前記加圧手段と前記第2のノズルとが連通するように前記流路切替手段を切り替え、前記排出動作後に、前記加圧手段と前記第1のノズルとが連通するように前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
  10. 前記噴出手段は、
    前記加圧手段から前記第1のノズルに洗浄水を供給する第1の流路と、
    前記加圧手段から前記第2のノズルに洗浄水を供給する第2の流路とをさらに含み、
    前記第2の流路は、前記第1の流路よりも低い圧力損失を有することを特徴とする請求項記載の衛生洗浄装置。
  11. 前記制御手段は、前記複数のノズルのうち一のノズルによる前記洗浄動作中に前記設定手段により他のノズルが設定された場合に、前記加圧手段に再度滞留空気の前記排出動作をさせた後に、前記加圧手段と前記設定手段により設定された前記他のノズルとが連通するように前記流路切替手段を切り替えることを特徴とする請求項9または10記載の衛生洗浄装置。
  12. 前記加圧手段と前記噴出手段との間の流路内の圧力が所定値を越えた場合に、前記加圧手段と前記噴出手段との間の流路を開放する流路開放手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
  13. 前記噴出手段は、
    前記加圧手段から供給された洗浄水を収容するシリンダ部と、
    前記シリンダ部内に移動可能に挿入されるとともに前記シリンダ部から突出可能に設けられたピストン部とを含み、
    前記ピストン部の外周面と前記シリンダ部の内周面との間に所定の隙間が設けられたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
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