JP4255668B2 - ノズル装置および衛生洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置においては、使用者の好みに応じた洗浄を実現すべく各種機能が案出されてきた。例えば、使用者の好みに応じた洗浄を実現するためにノズルから噴出される洗浄水の水勢や噴出形態を調整する機能が設けられている。使用者は、自己の嗜好に応じてノズルから噴出される洗浄水の水勢や噴出形態を調整することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の人体洗浄装置は、吐水孔に連通するようにノズルに形成された旋回付与室と、旋回付与室の軸心に指向した軸心指向管路と、旋回付与室に偏心した偏心管路とを備える。この場合、旋回付与室への軸心指向管路と偏心管路との両管路から洗浄水の流入を図ることで、旋回付与室の内壁面に沿った旋回力を付与した洗浄水の吐水を行うことができ、また、軸心指向管路のみへの洗浄水の流入を図ることで、旋回力のない洗浄水の吐水を行うことができる。
【0004】
このように、従来の人体洗浄装置では、旋回力程度の可変並びに洗浄範囲の広狭設定を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】
特許3292185号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の人体洗浄装置では、旋回付与室に偏心管路を偏心して接続するために、偏心管路の直径を旋回付与室の直径に比べて小さくする必要がある。それにより、偏心管路を通して旋回付与室に供給される洗浄水の流量が小さくなる。その結果、十分な旋回力を得るためには、ノズルに洗浄水を供給するポンプの圧力を高くする必要がある。
【0007】
また、上記人体洗浄装置では、軸心指向管路を通して供給される洗浄水と偏心管路を通して供給される洗浄水とが旋回付与室の同一平面上で合流する。そのため、洗浄範囲の調節を行うに際して、両管路から旋回付与室に洗浄水を供給した場合、偏心管路から供給される洗浄水の良好な旋回流が軸心指向管路から供給される洗浄水によって乱され、良好なコーン状の分散流が得られない。このため、旋回付与室には乱された旋回流を整流するための円錐状部が必須となり、ノズルが大型化する。
【0008】
そこで、十分な旋回力を有する分散旋回流を効率的に噴出することができるとともに小型のノズル装置が望まれる。
【0009】
本発明の目的は、十分な旋回力を有する分散旋回流を効率的に噴出することができるとともに洗浄水の広がり角度を変化させることができ、さらに小型で良好な分散旋回流が得られるノズル装置およびそれを備えた衛生洗浄装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るノズル装置は、洗浄水を噴出するノズル装置であって、洗浄水を噴出するための噴出孔を有するノズル本体と、断面略円形の内周面を有し、噴出孔に連通する渦室と、渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、渦室内に洗浄水を供給する第1の流路と、渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、渦室内に洗浄水を供給する第2の流路と、第1の流路内にその第1の流路の軸方向に対して傾斜するように立設されており、洗浄水を分流させて渦室内の軸心に対して偏心した方向に導く分流壁部とを備え、分流壁部は、第1の流路のうち渦室との接続部分に配置されており、分流壁部に対向する第1の流路の内面部分は、当該分流壁部との間に間隙を有するように形成されたものである。
【0011】
本発明に係るノズル装置においては、第1の流路に供給される洗浄水が分流壁部により分流され、渦室内の軸心に対して偏心した方向に導かれる。この場合、洗浄水の一方の流れは渦室内の断面略円形の内周面に沿って供給されることにより旋回流が発生する。また、洗浄水の他方の流れが旋回流に加わることにより旋回力が強化される。それにより、渦室内で遠心力による渦状態の流れが効率良く生成される。その結果、十分な旋回力を有する分散旋回流を効率的にノズル本体の噴出孔から噴出させることができる。
【0012】
一方、第2の流路に供給される洗浄水は渦室を通して噴出孔から直線流として噴出される。第1の流路を流れる洗浄水と第2の流路を流れる洗浄水とが渦室で合流することにより、二次的に拡散した分散旋回流が噴出孔から噴出され、被洗浄部の広い面積が洗浄される。
【0013】
第1の流路に流れる洗浄水の流量および第2の流路に流れる洗浄水の流量を制御することにより、噴出孔から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させることができ、洗浄面積および洗浄感を変化させることが可能となる。
【0014】
したがって、使用者の嗜好または体調に応じて種々の洗浄感および洗浄力を得ることが可能となる。
【0015】
第1の流路と第2の流路とは、洗浄水の噴出方向に所定距離を設けて渦室に連通することとしてもよい。この場合、第1の流路を流れる洗浄水と第2の流路を流れる洗浄水とが渦室の同一平面上に供給されない。したがって、第1の流路および第2の流路を流れる洗浄水が互いに乱されないので、渦室を円錐状に形成することなく良好な分散旋回流を得ることができる。
【0016】
第1および第2の流路はノズル本体内で互いに平行に延び、ノズル本体の外周面に第1および第2の流路間の領域に沿って延びる溝部が設けられてもよい。
【0017】
この場合、ノズル本体の外周面に付着した洗浄水が溝部に沿って流れ落ちる。それにより、洗浄水がノズル本体の外周面に長時間にわたって滞留することが防止される。
【0018】
第2の発明に係る衛生洗浄装置は、給水源から供給される洗浄水を人体に噴出する衛生洗浄装置であって、給水源から供給される洗浄水を第1の経路および第2の経路のうち一方または両方に選択的に供給する経路選択手段と、経路選択手段により供給された洗浄水を噴出孔から噴出するノズル装置とを備え、ノズル装置は、洗浄水を噴出するための噴出孔を有するノズル本体と、断面略円形の内周面を有し、噴出孔に連通する渦室と、渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、渦室内に洗浄水を供給する第1の流路と、渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、渦室内に洗浄水を供給する第2の流路と、第1の流路内にその第1の流路の軸方向に対して傾斜するように立設されており、洗浄水を分流させて前記渦室内の軸心に対して偏心した方向に導く分流壁部とを備え、分流壁部は、第1の流路のうち渦室との接続部分に配置されており、分流壁部に対向する第1の流路の内面部分は、当該分流壁部との間に間隙を有するように形成され、第1の流路には第1の経路から洗浄水が供給され、第2の流路には第2の経路から洗浄水が供給されるものである。
【0019】
本発明に係る衛生洗浄装置においては、給水源から供給される洗浄水が経路選択手段により第1の経路および第2の経路のうち一方または両方に選択的に供給される。第1の経路に供給された洗浄水はノズル装置の第1の流路に供給される。第2の経路に供給された洗浄水はノズル本体の第2の流路に供給される。
【0020】
第1の流路に供給される洗浄水が分流壁部により分流され、渦室内の軸心に対して偏心した方向に導かれる。この場合、洗浄水の一方の流れは渦室内の断面略円形の内周面に沿って供給されることにより旋回流が発生する。また、洗浄水の他方の流れが旋回流に加わることにより旋回力が強化される。それにより、渦室内で遠心力による渦状態の流れが効率良く生成される。その結果、十分な旋回力を有する分散旋回流を効率的にノズル本体の噴出孔から噴出させることができる。
【0021】
一方、第2の流路に供給される洗浄水は渦室を通して噴出孔から直線流として噴出される。第1の流路を流れる洗浄水と第2の流路を流れる洗浄水とが渦室で合流することにより、二次的に拡散した分散旋回流が噴出孔から噴出され、被洗浄部の広い面積が洗浄される。
【0022】
第1の流路に流れる洗浄水の流量および第2の流路に流れる洗浄水の流量を制御することにより、噴出孔から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させることができ、洗浄面積および洗浄感を変化させることが可能となる。
【0023】
したがって、使用者の嗜好または体調に応じて種々の洗浄感および洗浄力を得ることが可能となる。
【0024】
ノズル本体は、洗浄水を収容するシリンダ部と、噴出孔ならびに第1および第2の流路を有しかつシリンダ部内に移動可能に挿入されたピストン部とを含み、供給される洗浄水の圧力によりピストン部が所定の洗浄位置までシリンダ部から突出してもよい。
【0025】
この場合、ノズル本体に供給される洗浄水がシリンダ部内に収容され、洗浄水の圧力によりピストン部が所定の洗浄位置までシリンダ部から突出する。それにより、衛生洗浄装置を大型化することなく非洗浄時に汚物がノズル本体に付着することが防止される。また、洗浄水の圧力によりシリンダ部内からピストン部が突出するため、モータ等の他の駆動装置を必要とせず、構造が簡素化する。したがって、衛生洗浄装置の小型化および低コスト化を実現することができる。
【0026】
シリンダ部の内周面とピストン部の外周面との間に環状空間が形成され、ピストン部が突出した状態でシリンダ部内に温度変動緩衝部が形成されかつ環状空間が密閉状態となるとともに温度変動緩衝部から分離され、シリンダ部は洗浄水を受け入れる第1および第2の給水口を有し、第1の流路および第1の給水口は温度変動緩衝部に連通し、第2の流路および第2の給水口は環状空間に連通してもよい。
【0027】
この場合、ピストン部がシリンダ部から突出した状態で、環状空間が密閉状態となり、温度変動緩衝部より分離される。第2の給水口より供給される洗浄水は、密閉された環状空間を通して第2の流路に導かれる。このように、第1の流路と第2の流路とが互いに独立に形成されるため、第1の流路および第2の流路を流れる洗浄水の流量をそれぞれ独立に変化させることができる。その結果、第1の流路および第2の流路の流量比を容易にかつ任意に制御することができる。
【0028】
シリンダ部は、第1の内径を有する先端側の径小部分と、第1の内径よりも大きな第2の内径を有する中間部分と、第2の内径よりも大きな内径を有する後端側の径大部分とを順に備え、先端側の径小部分と中間部分との境界に第1のストッパ面を有し、かつ中間部分と後端側の径大部分との境界に第2のストッパ面を有し、ピストン部は、シリンダ部から突出した状態で第1および第2のストッパ面にそれぞれ水密に当接する第1および第2の環状当接部を有し、シリンダ部の中間部分の内周面とピストン部の第1の環状当接部の外周面との間に第1の隙間が形成され、シリンダ部の後端側の径大部分の内周面とピストン部の第2の環状当接部の外周面との間に第2の隙間が形成され、第1の経路からの洗浄水は、第1の給水口を通して後端側の径大部分内に供給され、第2の経路からの洗浄水は、第2の給水口を通して中間部分内に供給され、第1の流路は、シリンダ部の後端側の径大部分内に連通するように設けられ、第2の流路は、シリンダ部の中間部分内に連通するように設けられてもよい。
【0029】
この場合、ピストン部がシリンダ部から突出するまでは、第1の隙間および第2の隙間が形成されるため、噴出孔からの洗浄水の噴出前に、未使用時に滞留していた洗浄水を第1および第2の隙間を通して排出することができる。それにより、新鮮な洗浄水を用いて洗浄することができる。また、シリンダ部からピストン部が突出した状態で、第1および第2のストッパ面と第1および第2の環状当接部とがそれぞれ水密に当接することにより中間部分内の環状空間が密閉状態になるとともに、後端側の径大部分内の温度変動緩衝部から分離される。それにより、第2の経路からの洗浄水が中間部分内の環状空間を通して第2の流路に流れ、第1の経路からの洗浄水が後端側の径大部分内の温度変動緩衝部を通して第1の流路に流れる。このように、第1の流路と第2流路とが互いに独立に形成されるため、第1の流路および第2流路を流れる洗浄水の流量をそれぞれ独立に変化させることができる。その結果、第1の流路および第2流路の流量比を確実かつ任意に制御することができる。
【0030】
ピストン部が洗浄位置まで突出した状態で第1の流路に洗浄水が供給されてもよい。
【0031】
この場合、ピストン部が洗浄位置まで突出した状態で、第1の流路に供給される洗浄水が噴出孔から分散旋回流として噴出される。それにより、洗浄開始時に人体に対して柔らかな洗浄が行われる。
【0032】
第1の流路および第2の流路に供給される洗浄水の流量比を制御する流量比制御手段をさらに備えてもよい。
【0033】
この場合、流量比制御手段により第1の流路および第2流路に供給される洗浄水の流量比を制御することができる。それにより、第1の流路を通して噴出孔から噴出される分散旋回流と第2の流路を通して噴出孔から噴出される直線流との混合割合を任意にかつ連続的に変化させることができ、噴出孔から噴出される洗浄水の広がり角度および洗浄面積を連続的に変化させることができる。また、使用者の嗜好または体調に応じて洗浄水の噴出形態および流量を任意に調整することが可能となる。
【0034】
流量比制御手段は、ノズル装置の噴出孔からの洗浄水の噴出の開始時に、第1の流路に供給される洗浄水の流量が第2の流路に供給される洗浄水の流量よりも大きくなるように流量比を制御してもよい。
【0035】
この場合、洗浄開始時に噴出孔から分散旋回流が噴出される。それにより、人体に対して柔らかな洗浄から開始することができる。
【0036】
流量比制御手段は、第1の流路に供給する洗浄水の流量および第2の流路に供給する洗浄水の流量の比率を連続的に制御してもよい。
【0037】
この場合、噴出孔から噴出される洗浄水の広がり角度を連続的に変化させることができる。
【0038】
経路選択手段は、流量比制御手段を含んでもよい。この場合、流量比制御手段が経路選択手段に含まれるので、流量比制御手段を別途設ける必要がなく、衛生洗浄装置の小型化および簡素化が図られる。
【0039】
経路選択手段は、第1の経路に連通する第1の洗浄水出口および第2の経路に連通する第2の洗浄水出口を有する第1の部材と、第1の部材に相対的に回動可能に設けられ、洗浄水を受け入れる洗浄水入り口ならびに第1および第2の洗浄水出口のいずれかに対向可能な孔部を有する第2の部材とを含み、第1の部材に対する第2の部材の回動量に応じて第1の経路および第2の経路に供給される洗浄水の流量比が変化してもよい。
【0040】
この場合、第2の部材を第1の部材に相対的に回動させることにより、第2の部材の孔部が第1の部材の第1および第2の洗浄水出口のいずれかに対向する。第2の部材の孔部が第1の部材の第1の洗浄水入口に対向した場合には、第2の部材の洗浄水入口に供給された洗浄水が第2の部材の孔部を通って第1の部材の第1の洗浄水出口から第1の経路に供給される。また、第2の部材の孔部が第1の部材の第2の洗浄水入口に対向した場合には、第2の部材の洗浄水入口に供給された洗浄水が第2の部材の孔部を通って第1の部材の第2の洗浄水出口から第2の経路に供給される。
【0041】
この場合、第1の部材に対する第2の部材の回動量を調整することにより、第1の経路および第2の経路に供給される洗浄水の流量比を変化させることができる。
【0042】
ノズル本体を進退移動させる進退駆動手段をさらに備えてもよい。この場合、進退駆動手段により洗浄時にノズル本体を洗浄位置まで前進させることができるとともに非洗浄時にノズル本体を収納位置まで後退させることができる。また、ノズル本体を前後へ移動させながら洗浄水を噴出させることができる。さらに、ノズル本体の前後方向における位置調整を行うことができる。したがって、ノズル装置の多機能化が図られる。
【0043】
給水源からの洗浄水を加圧してノズル装置に供給する加圧手段をさらに備えてもよい。
【0044】
この場合、給水源からの洗浄水が加圧手段により加圧されてノズル装置に供給される。それにより、噴出孔から噴出される洗浄水の流量を増加させることが可能となる。その結果、洗浄感および洗浄力が向上する。
【0045】
加圧手段は、給水源から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ加圧してノズル装置から噴出させてもよい。
【0046】
この場合、加圧手段により洗浄水を周期的に変動する圧力で吐出させることができる。したがって、噴出孔から噴出される洗浄水の噴出速度が周期的に増加する。噴出孔から噴出された洗浄水は、空気抵抗により広がりを持った粒状に変化するので、少ない流量の洗浄水でも人体に高い洗浄感および洗浄力を与えることができる。また、洗浄水の圧力変動を制御することにより使用者の嗜好または体調に応じた洗浄が可能となる。
【0047】
加圧手段は、往復運動を行う加圧部材を有するレシプロポンプを含んでもよい。この場合、レシプロポンプにより洗浄水を周期的に変動する圧力でノズル装置から噴出させることができる。
【0048】
加圧手段による圧力変動の周波数が20Hz以上60Hz以下に制御されてもよい。
【0049】
この場合、圧力変動の周波数を20Hz以上60Hz以下に制御することにより、圧力変動を体感することができ、洗浄感が向上する。
【0050】
給水源から供給される洗浄水を加熱する加熱手段をさらに備えてもよい。この場合、給水源からの洗浄水が加熱手段により加熱されるので、噴出孔から適度に加熱された洗浄水を噴出することができる。これにより、使用者に不快感を感じさせることなく人体の局部を洗浄することが可能となる。
【0051】
加熱手段は、給水源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する瞬間式加熱装置であってもよい。
【0052】
この場合、瞬間式加熱手段により洗浄水が流動されつつ加熱される。それにより、衛生洗浄装置の使用時にのみ洗浄水の加熱が行われるので、消費電力を最小限に抑えることができる。また、洗浄水を貯える貯水タンク等が不要となるため、省スペース化が実現される。さらに、洗浄時間が長くなった場合でも、洗浄水の温度の低下が生じない。
【0053】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係る衛生洗浄装置について説明する。
【0054】
図1は本実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図である。
【0055】
図1に示すように、便器600上に衛生洗浄装置100が装着される。タンク700は、水道配管に接続されており、便器600内に洗浄水を供給する。
【0056】
衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。
【0057】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉自在に取り付けられる。さらに、本体部200には、ノズル部30を含む洗浄水供給機構が設けられるとともに、制御部が内蔵されている。本体部200の制御部は、後述するように遠隔操作装置300により送信される信号に基いて、洗浄水供給機構を制御する。さらに、本体部200の制御部は、便座部400に内蔵されたヒータ、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等の制御も行う。
【0058】
図2は図1の遠隔操作装置300の一例を示す模式図である。
図2に示すように、遠隔操作装置300は、複数のLED(発光ダイオード)301a,301b,301c、複数の調整スイッチ302、おしりスイッチ303、マッサージスイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307、脱臭スイッチ308およびパワースイッチ309を備える。
【0059】
使用者により調整スイッチ302、おしりスイッチ303、マッサージスイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307、脱臭スイッチ308およびパワースイッチ309が押下操作される。それにより、遠隔操作装置300は、後述する衛生洗浄装置100の本体部200に設けられた制御部に所定の信号を無線送信する。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300より無線送信される所定の信号を受信し、洗浄水供給機構等を制御する。
【0060】
例えば、使用者が、おしりスイッチ303またはビデスイッチ306を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30が移動して洗浄水が噴出する。マッサージスイッチ304を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30から人体の局部に刺激を与える洗浄水が噴出される。パワースイッチ309を押下操作することによりノズル部30から多量の洗浄水が噴出される。停止スイッチ305を押下操作することによりノズル部30からの洗浄水の噴出が停止する。
【0061】
また、乾燥スイッチ307を押下操作することにより人体の局部に対して衛生洗浄装置100の温風供給装置(図示せず)より温風が噴出される。脱臭スイッチ308を押下操作することにより衛生洗浄装置100の脱臭装置(図示せず)により周辺の脱臭が行われる。
【0062】
調整スイッチ302は、水勢調整スイッチ302a,302b、温度調整スイッチ302c,302dおよび噴出形態調整スイッチ302e,302fを含む。
【0063】
使用者が、噴出形態調整スイッチ302e,302fを押下操作することにより図1の衛生洗浄装置100の本体部200のノズル部30より噴出される洗浄水の噴出形態が変化し、温度調整スイッチ302c,302dを押下操作することにより、ノズル部30より噴出される洗浄水の温度が変化する。また、水勢調整スイッチ302a,302bを押下操作することにより、ノズル部30より噴出される洗浄水の水勢(圧力)が変化する。水勢調整スイッチ302a,302bの押下に伴って複数のLED(発光ダイオード)301aが点灯し、温度調整スイッチ302c,302dの押下に伴って複数のLED(発光ダイオード)301cが点灯し、噴出形態調整スイッチ302e,302fの押下に伴って複数のLED(発光ダイオード)301bが点灯する。
【0064】
以下、本実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200について説明を行う。図3は本実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200の構成を示す模式図である。
【0065】
図3に示す本体部200は、制御部4、分岐水栓5、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10、熱交換器11、温度センサ12a,12b、ポンプ13、切替弁14およびノズル部30を含む。また、ノズル部30は、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3を含む。
【0066】
図3に示すように、水道配管201に分岐水栓5が介挿される。また、分岐水栓5と熱交換器11との間に接続される配管202に、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10および温度センサ12aが順に介挿されている。さらに、熱交換器11と切替弁14との間に接続される配管203に、温度センサ12bおよびポンプ13が介挿されている。
【0067】
まず、水道配管201を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓5によりストレーナ6に供給される。ストレーナ6により洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。次に、逆止弁7により配管202内における洗浄水の逆流が防止される。そして、定流量弁8により配管202内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。
【0068】
また、ポンプ13と切替弁14との間にはリリーフ管204が接続され、止水電磁弁9と流量センサ10との間には、逃がし水配管205が接続されている。リリーフ配管204には、リリーフ弁206が介挿されている。リリーフ弁206は、配管203の特にポンプ13の下流側の圧力が所定値を超えると開成し、異常時の機器の破損、ホースの外れ等の不具合を防止する。一方、定流量弁8によって流量が調節され供給される洗浄水のうちポンプ13で吸引されない洗浄水を逃がし水配管205から放出する。これにより、水道供給圧に左右されることなくポンプ13には所定の背圧が作用することになる。
【0069】
次いで、流量センサ10は、配管202内を流れる洗浄水の流量を測定し、制御部4に測定流量値を与える。また、温度センサ12aは、配管202内を流れる洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。
【0070】
続いて、熱交換器11は、制御部4により与えられる制御信号に基いて、配管202を通して供給された洗浄水を所定の温度に加熱する。温度センサ12bは、熱交換器11により所定の温度に加熱された洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。
【0071】
ポンプ13は、熱交換器11により加熱された洗浄水を制御部4により与えられる制御信号に基いて、切替弁14に圧送する。切替弁14は、制御部4により与えられる制御信号に基いて、ノズル部30のおしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれか1つに洗浄水を供給する。それにより、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれか1つより洗浄水が噴出される。また、切替弁14は、制御部4により与えられる制御信号に基いて、ノズル部30より噴出される洗浄水の流量を調整する。それにより、ノズル部30より噴出される洗浄水の流量が変化する。
【0072】
制御部4は、図1の遠隔操作装置300から無線送信される信号、流量センサ10から与えられる測定流量値および温度センサ12a,12bから与えられる温度測定値に基き止水電磁弁9、熱交換器11、ポンプ13および切替弁14に対して制御信号を与える。
【0073】
図4は熱交換器11の構造の一例を示す一部切り欠き断面図である。
図4に示すように、樹脂ケース504内に曲折された蛇行配管510が埋設されている。蛇行配管510に接触するように平板状のセラミックヒータ505が設けられている。矢印Yで示すように、洗浄水が、給水口511から蛇行配管510内に供給され、蛇行配管510中を流れる間に、セラミックヒータ505により効率よく加熱され、排出口512から排出される。
【0074】
図3の制御部4は、温度センサ12bより与えられる温度測定値に基いて、熱交換器11のセラミックヒータ505の温度をフィードバック制御する。
【0075】
本実施の形態においては、制御部4がフィードバック制御により熱交換器11のセラミックヒータ505の温度を制御することとしたが、これに限定されず、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505の温度を制御してもよく、あるいは、温度上昇時には、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505を制御し、定常時には、フィードバック制御によりセラミックヒータ505を制御する複合的な制御を行ってもよい。
【0076】
図5はポンプ13の構造の一例を示す断面図である。図5のポンプは複動型レシプロポンプである。
【0077】
図5において、本体部138内には、円柱状空間139が形成されている。円柱状空間139内には圧送ピストン136が設けられている。圧送ピストン136の外周部には、X字パッキン136aが装着されている。圧送ピストン136により円柱状空間139がポンプ室139aとポンプ室139bとに分割される。
【0078】
本体部138の一側部には洗浄水入口PIが設けられ、他側部には洗浄水出口POが設けられている。洗浄水入口PIには図3の配管203を介して熱交換器11が接続され、洗浄水出口POには配管203を介して切替弁14が接続される。
【0079】
洗浄水入口PIは、内部流路P1、小室S1および小室S3を介してポンプ室139aに連通するとともに、内部流路P2、小室S2および小室S4を介してポンプ室139bに連通している。
【0080】
ポンプ室139aは、小室S5、小室S7および内部流路P3を介して洗浄水出口POに連通している。円柱状空間139bは、小室S6、小室S8および内部流路P4を介して洗浄水出口POに連通している。
【0081】
小室S3、小室S4、小室S7および小室S8には、それぞれアンブレラパッキン137が設けられている。
【0082】
モータ130の回転軸にギア131が取り付けられ、ギア131にギア132が噛合っている。また、ギア132には、クランクシャフト133の一端が一点支持で回動可能に取り付けられ、クランクシャフト133の他端には、ピストン保持部134およびピストン保持棒135を介して圧送ピストン136が取り付けられている。
【0083】
図3の制御部4により与えられる制御信号に基いて、モータ130の回転軸が回転すると、モータ130の回転軸に取り付けられたギア131が矢印R1の方向に回転し、ギア132が矢印R2の方向に回転する。これにより、圧送ピストン136が図中の矢印Zの方向に上下運動する。
【0084】
図6はアンブレラパッキン137の動作を説明するための模式図である。例えば、図5の圧送ピストン136が、下方向に移動し、ポンプ室139aの容積を増加させた場合、小室S1の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が低くなるため、小室S3に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(b)に示すように変形する。その結果、洗浄水入口PIから供給された洗浄水が、内部流路P1、小室S1および小室S3を介してポンプ室139aに流入する。この場合、小室S7の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が低くなるため、小室S7に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。そのため、洗浄水がポンプ室139a内へ流入したり、逆に洗浄水出口POより吐出されることもない。
【0085】
一方、図5の圧送ピストン136が、上方向に移動し、ポンプ室139aの容積を減少させた場合、小室S1の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が高くなるため、小室S3に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。その結果、小室S1内の洗浄水が、ポンプ室139aに流入しない。この場合、小室S7に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(b)に示すように変形する。そのため、ポンプ室139a内の洗浄水が、小室S5、小室S7および内部流路P3を介して洗浄水出口POから吐出される。
【0086】
なお、小室S4内に設けられたアンブレラパッキン137は、圧送ピストン136が上方向に移動した場合に、図6(b)に示すように変形し、圧送ピストン136が下方向に移動した場合に、図6(a)に示す状態のまま変形しない。一方、小室S8に設けられたアンブレラパッキン137は、圧送ピストン136が上方向に移動した場合に、図6(a)に示す状態のまま変形せず、圧送ピストン136が下方向に移動した場合に、図6(b)に示すように変形する。それにより、ポンプ室139a内の洗浄水が洗浄水出口POから吐出されるときに、ポンプ室139b内に洗浄水入口PIからの洗浄水が流入し、ポンプ室139a内に洗浄水入口PIからの洗浄水が流入するときに、ポンプ室139b内の洗浄水が洗浄水出口POから吐出される。
【0087】
図7は図5のポンプ13の圧力変化を示す図である。図7の縦軸は圧力を示し、横軸は時間を示す。
【0088】
図7に示すように、ポンプ13の洗浄水入口PIに圧力Piの洗浄水が供給される。この場合、図6の圧送ピストン136が上下方向に運動することにより、ポンプ室139a内の洗浄水の圧力Paは、点線のように変化する。一方、ポンプ室139b内の洗浄水の圧力Pbは、破線のように変化する。ポンプ13の洗浄水出口POより吐出される洗浄水の圧力Poutは、太い実線で示すように、圧力Pcを中心として上下に周期的に変化する。
【0089】
なお、本実施の形態においては、ポンプ13の洗浄水出口POより吐出される洗浄水の圧力変動の周波数は、20Hz以上60Hz以下に制御される。
【0090】
このように、ポンプ13においては、圧送ピストン136が上下運動を行うことにより、ポンプ室139aまたはポンプ室139b内の洗浄水に対して交互に圧力が加えられ、洗浄水入口PIの洗浄水が昇圧されて洗浄水出口POから吐出される。また、圧力変動の周波数を20Hz以上60Hz以下に制御することにより、洗浄水の圧力変動を体感することができ、洗浄感が向上する。
【0091】
図8(a)は切替弁14の縦断面図であり、図8(b)は図8(a)の切替弁14のA−A線断面図であり、図8(c)は図8(a)の切替弁14のB−B線断面図であり、図8(d)は図8(a)の切替弁14のC−C線断面図である。
【0092】
図8に示す切替弁14は、モータ141、内筒142および外筒143により構成される。
【0093】
外筒143内に内筒142が挿入され、モータ141の回転軸が内筒142に取り付けられている。モータ141は、制御部4により与えられる制御信号に基いて回転動作を行う。モータ141が回転することにより内筒142が回転する。
【0094】
図8(a),(b),(c),(d)に示すように、外筒143の一端には、洗浄水入口143aが設けられ、側部の対向する位置に洗浄水出口143b,143cが設けられ、側部の洗浄水出口143b,143cと異なる位置に洗浄水出口143dが設けられ、側部の洗浄水出口143b,143c,143dと異なる位置に洗浄水出口143eが設けられている。内筒142の互いに異なる位置に孔142e,142f,142gが設けられている。孔142e,142fの周辺には、図8(b),(c)に示すように、曲線および直線で構成される面取り部が形成され、孔142gの周辺には、図8(d)に示すように、直線で構成される面取り部が形成されている。
【0095】
内筒142の回転により、孔142eが外筒143の洗浄水出口143bまたは143cと対向可能になっており、孔142fが外筒143の洗浄水出口143dと対向可能になっており、孔142gが外筒143の洗浄水出口143eと対向可能になっている。
【0096】
洗浄水入口143aには、図3の配管203が接続され、洗浄水出口143bには、ビデノズル2が接続され、洗浄水出口143cには、おしりノズル1の第1の流路が接続され、洗浄水出口143dには、おしりノズルの第2の流路が接続され、洗浄水出口143eには、ノズル洗浄用ノズル3が接続されている。
【0097】
図9は図8の切替弁14の動作を示す断面図である。
図9(a)〜(f)は切替弁14のモータ141がそれぞれ0度、90度、135度、180度、225度および270度回転した状態を示す。
【0098】
まず、図9(a)に示すように、モータ141を回転させない(0度)場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143bに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W1で示すように洗浄水出口143bから流出する。
【0099】
次に、図9(b)に示すように、モータ141が内筒142を90度回転させた場合には、内筒142の孔142gの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143eに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W2で示すように洗浄水出口143eから流出する。
【0100】
次いで、図9(c)に示すように、モータ141が内筒142を135度回転させた場合には、内筒142の孔142gの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143eに対向するとともに、内筒142の孔142eの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143cに対向する。したがって、少量の洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W2および矢印W3で示すように洗浄水出口143c,143eから流出する。
【0101】
次に、図9(d)に示すように、モータ141が内筒142を180度回転させた場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143cに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W3で示すように洗浄水出口143cから流出する。
【0102】
次に、図9(e)に示すように、モータ141が内筒142を225度回転させた場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143cに対向するとともに、内筒142の孔142fの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143dに対向する。したがって、少量の洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W3および矢印W4で示すように洗浄水出口143c,143dから流出する。
【0103】
また、図9(f)に示すように、モータ141が内筒142を270度回転させた場合には、内筒142の孔142fの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143dに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W4で示すように洗浄水出口143dから流出する。
【0104】
以上のように、制御部4からの制御信号に基いてモータ141が回転することにより内筒142の孔142e,142f,142gのいずれかが外筒143の洗浄水出口143b〜143eに対向し、洗浄水入口143aから流入した洗浄水が洗浄水出口143b〜143eのいずれかから流出する。
【0105】
図10は図9の切替弁14の洗浄水出口143c,143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量および洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量を示す図である。図10の横軸はモータ141の回転角度を示し、縦軸は洗浄水出口143b〜143eから流出する洗浄水の流量を示す。また、実線Q1が洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量の変化を示し、一点鎖線Q2が洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量の変化を示し、二点鎖線Q3が洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量の変化を示し、破線Q4が洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量の変化を示す。
【0106】
例えば、図10に示すように、モータ141が回転しない場合(0度)、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度が大きくなるとともに洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3が減少し、洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4が増加する。
【0107】
次いで、モータ141が90度回転した場合、洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4が減少し、洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q1が増加する。
【0108】
続いて、モータ141が180度回転した場合、洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q1は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q1が減少し、洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q2が増加する。
【0109】
続いて、モータ141が270度回転した場合、洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q2は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q2が減少し、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3が増加する。
【0110】
以上のように、制御部4が切替弁14のモータ141の回転角度を制御することにより洗浄水出口143b〜143eから流出する洗浄水の流量を制御することができる。さらに、切替弁14のモータ141の回転角度がいかなる場合でも、洗浄水出口142e,142f,142gのいずれかまたはそれらの周囲の面取り部(凹部)が洗浄水出口143b〜143eのいずれかに対向するので、洗浄水の流路が閉塞されず、洗浄水入口143aから供給された洗浄水は、洗浄水出口143b〜143eのいずれかから流出される。
【0111】
次に、図3のノズル部30について説明する。図11は図3のノズル部30および切替弁14の模式的断面図である。
【0112】
図11に示すように、切替弁14の洗浄水出口143c,143dは、おしりノズル1に接続され、切替弁14の洗浄水出口143bはビデノズル2に接続され、切替弁14の洗浄水出口143eはノズル洗浄ノズル3に接続される。
【0113】
まず、おしりノズル1の構成について説明し、次いで、ビデノズル2の構成について説明し、最後にノズル洗浄ノズル3の構成について説明する。
【0114】
おしりノズル1は、円筒状のピストン部20、円筒状のシリンダ部21、シールパッキン22a,22bおよびスプリング23により構成される。
【0115】
ピストン部20の先端近傍には、洗浄水を噴出するための噴出孔25が形成されている。ピストン部20の後端には、フランジ形状のストッパ部26a,26bが設けられている。また、ストッパ部26a,26bには、それぞれシールパッキン22a,22bが装着されている。ピストン部20の内部には、後端面から噴出孔25に連通する第1の流路27aが形成され、ストッパ部26aとストッパ部26bとの間におけるピストン部20の周面から噴出孔25に連通する第2の流路27bが形成されている。また、噴出孔25の周囲には、円筒状渦室(直線流路)29が形成されている。
【0116】
一方、シリンダ部21は、先端側の径小部分と中間の径を有する中間部分と後端側の径大部分とからなる。それにより、径小部分と中間部分との間に、ピストン部20のストッパ部26aがシールパッキン22aを介して当接可能なストッパ面21cが形成され、中間部分と径大部分との間に、ピストン部20のストッパ部26bがシールパッキン22bを介して当接可能なストッパ面21bが形成されている。シリンダ部21の後端面には、洗浄水入口24aが設けられ、シリンダ部21の中間部分の周面には、洗浄水入口24bが設けられ、シリンダ部21の先端面には、開口部21aが設けられている。シリンダ部21の内部空間が温度変動緩衝部28となる。洗浄水入口24aは、シリンダ部21の中心軸とは異なる位置に偏心して設けられている。洗浄水入口24aは、切替弁14の洗浄水出口143dに接続され、洗浄水入口24bは、切替弁14の洗浄水出口143cに接続されている。ピストン部20がシリンダ部21より最も突出した場合に、洗浄水入口24bは、第2の流路27bと連通する。この洗浄水入口24bが第2の流路27bと接続する詳細については後述する。
【0117】
ピストン部20は、ストッパ部26bが温度変動緩衝部28内に位置し、先端部が開口部21aから突出するように、シリンダ部21内に移動可能に挿入されている。
【0118】
さらに、スプリング23は、ピストン部20のストッパ部26aとシリンダ部21の開口部21aの周縁との間に配設されており、ピストン部20をシリンダ部21の後端側に付勢する。
【0119】
ピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間に微小隙間が形成され、後述するピストン部20の外周面の溝とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間に微小隙間が形成されている。
【0120】
次に、ビデノズル2は、円筒状のピストン部20e、円筒状のシリンダ部21e、シールパッキン22eおよびスプリング23eにより構成される。
【0121】
ピストン部20eの先端近傍には、洗浄水を噴出するための複数の噴出孔25eが形成されている。ピストン部20eの後端には、フランジ形状のストッパ部26eが設けられている。また、ストッパ部26eには、シールパッキン22eが装着されている。ピストン部20eの内部には、後端面から噴出孔25eに連通する第1の流路27eが形成されている。
【0122】
一方、シリンダ部21eは、先端側の径小部分と後端側の径大部分とからなる。それにより、径小部分と径大部分との間に、ピストン部20eのストッパ部26eがシールパッキン22eを介して当接可能なストッパ面21fが形成されている。シリンダ部21eの後端面には、洗浄水入口24eが設けられ、シリンダ部21eの先端面には、開口部21gが設けられている。シリンダ部21eの内部空間が温度変動緩衝部28eとなる。洗浄水入口24eは、シリンダ部21eの中心軸とは異なる位置に偏心して設けられている。洗浄水入口24eは、切替弁14の洗浄水出口143bに接続されている。
【0123】
ピストン部20eは、ストッパ部26eが温度変動緩衝部28e内に位置し、先端部が開口部21gから突出するように、シリンダ部21e内に移動可能に挿入されている。
【0124】
さらに、スプリング23eは、ピストン部20eのストッパ部26eとシリンダ部21eの開口部21gの周縁との間に配設されており、ピストン部20eをシリンダ部21eの後端側に付勢する。
【0125】
ピストン部20eのストッパ部26eの外周面とシリンダ部21eの内周面との間に微小隙間が形成され、ピストン部20eの外周面とシリンダ部21eの開口部21gの内周面との間に微小隙間が形成されている。
【0126】
次に、ノズル洗浄ノズル3は、扇状の噴出部20kにより構成される。噴出部20kの先端近傍には、おしりノズル1側に洗浄水を噴出するための噴出孔25kとビデノズル2側に洗浄水を噴出するための噴出孔25mとが形成される。噴出部20kの後端には洗浄水入口24kが設けられる。噴出部20kの後端に設けられた洗浄水入口24kから噴出孔25kおよび噴出孔25mに連通する流路27kが形成される。洗浄水入口24kは、切替弁14の洗浄水出口143eに接続されている。
【0127】
図12はノズル洗浄ノズル3の働きを説明するための模式図である。図12(a)はおしりノズル1の断面を示し、図12(b)はおしりノズル1とノズル洗浄ノズル3との関係を示す。
【0128】
図12(a)に示すように、おしりノズル1のピストン部20には、ピストン部20の上面に断面略矩形状の溝20Fが長手方向に沿って形成され、ピストン部20の下面に断面略三角形状の溝20Gが長手方向に沿って形成されている。また、ピストン部20の内部には、長手方向に沿って第1の流路27aおよび第2の流路27bが形成されている。
【0129】
図12(b)に示すように、ノズル洗浄ノズル3においては、切替弁14の洗浄水出口143eより供給された洗浄水が、噴出部20kの洗浄水入口24kから流路27kを通して噴出孔25kより噴出される。それにより、噴出孔25kより噴出された洗浄水は、おしりノズル1の溝20Fを流れておしりノズル1のピストン部20を洗浄する。また、図12(a)に示す溝20Gの働きについては後述する。
【0130】
なお、本実施の形態におけるおしりノズル1においては、溝20Fおよび溝20Gを設けることにより、第1の流路27aおよび第2の流路27bの周囲にほぼ一定の肉厚を形成できるため、製造工程での成型時にひけ現象を生じることを防止することができる。
【0131】
また、おしりノズル1の外周面に付着した洗浄水が溝20Fおよび溝20Gに沿って流れ落ちる。それにより、洗浄水がおしりノズル1の外周面に長時間にわたって滞留することが防止される。
【0132】
次いで、図11のおしりノズル1の動作について説明する。図13は図11のおしりノズル1の動作を説明するための断面図である。
【0133】
まず、図13(a)に示すように、シリンダ部21の洗浄水入口24a,24bより洗浄水が供給されない場合、ピストン部20が、スプリング23の弾性力により矢印Xの方向と逆方向に後退し、シリンダ部21内に収容されている。その結果、ピストン部20は、シリンダ部21の開口部21aより最も突出していない状態となる。このとき、シリンダ部21内には、温度変動緩衝部28が形成されない。
【0134】
次いで、図13(b)に示すように、シリンダ部21の洗浄水入口24aより洗浄水の供給が開始された場合、洗浄水の圧力によりピストン部20がスプリング23の弾性力に抗して矢印Xの方向に徐々に前進する。それにより、シリンダ部21内に温度変動緩衝部28が形成されるとともに温度変動緩衝部28に洗浄水が流入する。
【0135】
洗浄水入口24aがシリンダ部21の中心軸に対して偏心した位置に設けられているので、温度変動緩衝部28に流入した洗浄水は、矢印Vで示すように渦巻状に還流する。温度変動緩衝部28の洗浄水の一部は、ピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間を通して、ピストン部20の下面の溝20Gとシリンダ部21の開口部21aの内周面との間の微小隙間から流れ出るとともに、ピストン部20の第1の流路27aを通して円筒状渦室29に供給され、噴出孔25からわずかに噴出される。円筒状渦室29の詳細については後述する。
【0136】
ピストン部20がさらに前進すると、図13(c)に示すように、ストッパ部26a,26bがシールパッキン22a,22bを介してシリンダ部21のストッパ面21c,21bに水密に接触する。それにより、ピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間からピストン部20の下面の溝20Gとシリンダ部21の開口部21aの内周面との間の微小隙間に至る流路が遮断される。さらに、洗浄水入口24bより供給された洗浄水が、ピストン部20の第2の流路27bを通して円筒状渦室29に供給される。それにより、ピストン部20の第2の流路27bを通して円筒状渦室29に供給された洗浄水は、ピストン部20の第1の流路27aを通して供給された洗浄水と混合され、噴出孔25から噴出される。
【0137】
このように、切替弁14の洗浄水出口143c,143dより供給された洗浄水が、シリンダ部21の洗浄水入口24a,24bを介してピストン部20内の第1の流路27aおよび第2の流路27bを通して円筒状渦室29に導かれ、円筒状渦室29を通して噴出孔25から噴出される。
【0138】
図14(a)はピストン部20の先端部の横断面図であり、図14(b)は図14(a)のピストン部20のA−A線断面図であり、図14(c)は図14(a)のピストン部20のB−B線断面図である。
【0139】
図14(a)に示すように、ピストン部20の第1の流路27aは、円筒状渦室(直線流路)29にその軸心を指向して連通している。また、ピストン部20の第2の流路27bは、円筒状渦室29にその軸心を指向して連通している。図14(a)に示すように、第1の流路27aは、円筒状渦室29の周面に接続されている。
【0140】
また、図14(b)に示すように、ピストン部20の第1の流路27aには、軸方向に対して傾斜した傾斜壁31が形成される。傾斜壁31の上方には、第1の流路27aから円筒状渦室29へ連通する空間が設けられている。この傾斜壁31の働きについては後述する。
【0141】
一方、図13(c)に示すように、ピストン部20の第2の流路27bは、円筒状渦室29の底面に接続されている。
【0142】
以上により、第1の流路27aを流れる洗浄水と第2の流路27bを流れる洗浄水とが円筒状渦室29の同一平面上に供給されない。したがって、第1の流路27aから供給される洗浄水の旋回流が第2の流路27bから供給される洗浄水により乱されないので、円筒状渦室29を円錐状に形成することなく良好な分散旋回流を得ることができる。
【0143】
次に、傾斜壁31の働きについて説明する。図15(a)はピストン部20の先端部の模式的横断面図であり、図15(b)は傾斜壁31の働きを示す模式図であり、図15(c)はピストン部20の先端部の模式的縦断面図である。
【0144】
図15(a)に示すように、切替弁14の洗浄水出口143dから第1の流路27aに洗浄水が供給された場合、第1の流路27aに設けられた傾斜壁31により洗浄水が2つの流れに分岐される。2つの流れに分岐された洗浄水のうち一方の洗浄水は、円筒状渦室29の軸心に対して偏心した矢印Z1の方向に流れる。それにより、円筒状渦室29の断面略円形状の内周面に沿って洗浄水に旋回力が付与され、渦巻き状態となる。その結果、傾斜壁31の側部付近αにおいて負圧が生じる。傾斜壁31の側部付近αにおいて生じた負圧により、2つの流れに分岐された洗浄水のうち他方の洗浄水が、傾斜壁31と第1の流路27aとの間に形成された間隙を介して矢印Z2の方向に流れる。
【0145】
したがって、図15(b)に示すように、旋回力が付与され矢印Z1の方向を流れる洗浄水に、傾斜壁31に沿って矢印Z2の方向に流れる洗浄水が加わる。その結果、円筒状渦室29内において矢印Z3の方向に旋回力が効率的に強化された洗浄水が、渦巻状態で流動する。
【0146】
そして、図15(c)に示すように、第1の流路27aより供給される洗浄水の流量が第2の流路27bより供給される洗浄水の流量よりも多い場合、円筒状渦室29において混合される洗浄水は、第1の流路27aに設けられた傾斜壁31の働きにより円筒状渦室29において矢印Z3の方向の渦巻状態を維持するため、効率的に矢印Hの広がり角度で広がりつつ矢印Z3の方向に旋回する分散旋回流として噴出される。
【0147】
一方、第2の流路27bより供給される洗浄水の流量が多い場合、円筒状渦室29内の洗浄水は、渦巻状態が発生せず、直線状態を維持するため直線流として噴出される。
【0148】
以上のように、制御部4が切替弁14のモータ141を制御して洗浄水出口143c,143dの流量比を変化させることにより、噴出孔25より噴出される洗浄水の噴出形態が矢印Z3の方向の分散旋回流および直線流に変化する。
【0149】
本実施の形態では、噴出形態調整スイッチ302eを押下するたびに、洗浄水出口143cの流量が洗浄水出口143dの流量よりも徐々に大きくなり、洗浄水の噴出形態が直線流に近づく。一方、噴出形態調整スイッチ302fを押下するたびに、洗浄水出口143dの流量が洗浄水出口143cの流量よりも徐々に大きくなり、矢印Z3の方向の分散旋回流の広がり角度が大きくなる。したがって、使用者は、嗜好または体調に応じて種々の洗浄感および洗浄力を得ることが可能となる。
【0150】
さらに、マッサージスイッチ304を押下すると、噴出形態調整スイッチ302eおよび噴出形態調整スイッチ302fを交互に押下操作した状態と等しくなり、洗浄水出口143cでの洗浄水の流量が大から小へ変化するとともに、洗浄水出口143dでの洗浄水の流量が小から大へ変化する。その後、洗浄水出口143cでの洗浄水の流量が小から大へ変化するとともに、洗浄水出口143dでの洗浄水の流量が大から小へ変化する。
【0151】
それにより、洗浄水の噴出形態を矢印Z3の方向の分散旋回流、直噴流、矢印Z3の方向の分散旋回流の順に繰り返し変化させることができる。
【0152】
したがって、使用者は、マッサージ効果により被洗浄面の血行をよくして筋肉や神経機能を回復することができる。
【0153】
なお、本実施の形態においては、当初におしり洗浄スイッチ303を押下操作した場合、洗浄水出口143dからの洗浄水の流量が洗浄水出口143cからの洗浄水の流量よりも大きく設定される。その結果、洗浄開始時に、使用者に対して一方向の分散旋回流が噴出されるので、人体は柔らかな洗浄から開始できる。
【0154】
次に、図16は本実施の形態におけるおしりノズル1の噴出孔25より噴出される洗浄水の説明図である。
【0155】
図16に示すように、おしりノズル1の噴出孔25からは、表面張力により直径dnの幅を有した丸い粒状の洗浄水が噴出される。また、直径dnを有する洗浄水は、ポンプ13の圧力により流速vで被洗浄面SHに向けて噴出される。
【0156】
この場合、丸い粒状の洗浄水は、おしりノズル1の噴出孔25より距離Lwにある被洗浄面SHに到達するまでに、空気抵抗の働きにより水平方向に広がる。それにより、直径dnの幅を有した丸い粒状の洗浄水は、直径dnよりも大きい直径dwの幅を有した偏平な粒状の洗浄水に変化する。その結果、人体は、噴出孔25において少量の洗浄水が噴出されているのにもかかわらず、被洗浄面SHにおいて直径dwの幅の洗浄水を受けるため、多量の洗浄水が噴出されているような洗浄感を得ることができる。
【0157】
本実施の形態においては、ポンプ13が加圧手段に相当し、洗浄水出口143dが第1の経路に相当し、洗浄水出口143cが第2の経路に相当し、切替弁14が経路選択手段および流量比制御手段に相当し、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3がノズル本体に相当し、第1の流路27aが第1の流路に相当し、第2の流路27bが第2の流路に相当し、傾斜壁31が分流壁部に相当し、溝20Fおよび溝20Gが溝部に相当し、円筒状渦室29が渦室に相当し、熱交換器11が加熱手段および瞬間式加熱装置に相当し、洗浄水入口24aが第1の給水口に相当し、洗浄水入口24bが第2の給水口に相当し、ストッパ部26a,26bがシールパッキン22a,22bを介してシリンダ部21のストッパ面21c,21bに水密に接触する空間が環状空間に相当し、ストッパ部26a,26bが第1および第2の環状当接部に相当し、制御部4が制御手段に相当し、ピストン部20のストッパ部26aの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間が第1の隙間に相当し、ピストン部20のストッパ部26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間が第2の隙間に相当し、外筒143が第1の部材に相当し、内筒142が第2の部材に相当する。
【0158】
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200aについて説明を行う。
【0159】
図17は第2の実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200aの構成を示す模式図である。
【0160】
図17に示す本体部200aが、図3に示す本体部200と異なるのは、水圧駆動式のノズル部30の代わりに水圧駆動およびモータ駆動式のノズル部30aが設けられている点である。図17の本体部200aにおいてノズル部30aは、おしりノズル1、ビデノズル2、ノズル洗浄用ノズル3、進退用モータ15および保持台291を含む。
【0161】
また、制御部4は、図1の遠隔操作装置300から無線送信される信号、流量センサ10から与えられる測定流量値および温度センサ12,12bから与えられる温度測定値に基づき止水電磁弁9、熱交換器11、ポンプ13、切替弁14および進退用モータ15に対して制御信号を与える。それにより、第1の実施の形態と同様に、おしりノズル1およびビデノズル2には洗浄水が供給され、水圧駆動式の進退動作が行われる。さらに、第2の実施の形態においては、進退用モータ15が回転し、保持台291に保持されたおしりノズル1およびビデノズル2の進退動作を行う。この進退用モータ15の働きによりおしりノズル1およびビデノズル2が進退動作を行う詳細については後述する。
【0162】
次に、図17のノズル部30aの構成について説明する。図18は図17のノズル部30aおよび切替弁14の模式的断面図である。第2の実施の形態におけるおしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3の構成は、第1の実施の形態におけるおしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3と同様である。
【0163】
次に、進退用モータ15の構成について説明する。図18に示すように、おしりノズル1およびビデノズル2は、保持台291上に固定される。さらに、おしりノズル1およびビデノズル2は、第1の実施の形態と同様に、洗浄水が供給されることにより進退動作を行う。そして、おしりノズル1およびビデノズル2の保持台291の一端には、ギア292が設けられており、ギア292は、進退用モータ15の回転軸に固定されたギア293と噛合う。進退用モータ15が、制御部4からの制御信号に応じて矢印Yの方向に回転することにより、進退用モータ15の回転軸に固定されたギア293が回転し、ノズル保持台291の一端に設けられたギア292と噛合って、ノズル保持台291が矢印Xの方向に移動される。それにより、おしりノズル1およびビデノズル2が噴出孔25,25eより洗浄水を噴出しつつ進退動作を行う。
【0164】
それにより、広範囲な被洗浄面の洗浄が可能となるとともに、マッサージ効果を得ることができる。
【0165】
第2の実施の形態においては、使用者が、遠隔操作装置300のノズル位置調整スイッチ(図示せず)を押下操作することにより、制御部4が進退用モータ15に制御信号を与える。この場合、進退用モータ15は、制御部4より与えられた制御信号に基づいて回転し、ノズル部30aのおしりノズル1およびビデノズル2を進退移動させる。それにより、ノズル部30aの位置調整を容易に行うことができる。
【0166】
第2の実施の形態においては、進退モータ15が進退駆動手段に相当し、ポンプ13が加圧手段および圧力変動制御手段に相当し、洗浄水出口143dが第1の経路に相当し、洗浄水出口143cが第2の経路に相当し、切替弁14が経路選択手段および流量比制御手段に相当し、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3がノズル本体に相当し、第1の流路27aが第1の流路に相当し、第2の流路27bが第2の流路に相当し、傾斜壁31が分流壁部に相当し、溝20Fおよび溝20Gが溝部に相当し、円筒状渦室29が渦室に相当し、熱交換器11が加熱手段および瞬間式加熱装置に相当し、洗浄水入口24aが第1の給水口に相当し、洗浄水入口24bが第2の給水口に相当し、ストッパ部26a,26bがシールパッキン22a,22bを介してシリンダ部21のストッパ面21c,21bに水密に接触する空間が環状空間に相当し、ストッパ部26a,26bが第1および第2の環状当接部に相当し、制御部4が制御手段に相当し、ピストン部20のストッパ部26aの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間が第1の隙間に相当し、ピストン部20のストッパ部26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間が第2の隙間に相当し、外筒143が第1の部材に相当し、内筒142が第2の部材に相当する。
【0167】
(ポンプの他の例)
図19は本実施の形態に係る衛生洗浄装置に用いるポンプの他の例を示す断面図である。
【0168】
図19に示すポンプ13bは単動型レシプロポンプである。図19において、本体部には、円柱状空間235が形成されている。円柱状空間235内には圧送ピストン236が設けられている。圧送ピストン236により円柱状空間235がポンプ室235aとポンプ室235bとに分割される。
【0169】
本体部の一側部には洗浄水入口Pαが設けられ、他側部には洗浄水出口Pβが設けられている。洗浄水入口Pαには図3の配管203を介して熱交換器11が接続され、洗浄水出口Pβには配管203を介して切替弁14が接続される。
【0170】
洗浄水入口Pαは、小室S10および小室S11を介してポンプ室235aに連通している。
【0171】
ポンプ室235aは、小室S12および小室S13を介して洗浄水出口Pβに連通している。
【0172】
モータ200の回転軸にギア231が取り付けられ、ギア231にギア232が噛合っている。また、ギア232には、クランクシャフト233の一端が一点支持で回動可能に取り付けられ、クランクシャフト233の他端には、ピストン保持部234およびピストン保持棒239を介して圧送ピストン240が取り付けられている。
【0173】
図3の制御部4により与えられる制御信号に基いて、モータ200の回転軸が回転すると、モータ200の回転軸に取り付けられたギア231が矢印R3の方向に回転し、ギア232が矢印R4の方向に回転する。これにより、圧送ピストン240が図中の矢印Gの方向に上下運動する。
【0174】
また、小室S11および小室S13には、それぞれアンブレラパッキン237が設けられている。アンブレラパッキン237の構成および動作は、前述した図6に示すアンブレラパッキン137の構成および動作と同様である。
【0175】
例えば、図19の圧送ピストン240が、下方向に移動し、ポンプ室235aの容積を増加させた場合、小室S10の圧力よりもポンプ室235a内の圧力が低くなるため、小室S11に設けられたアンブレラパッキン237は、図6(b)に示すように変形する。その結果、洗浄水入口Pαから供給された洗浄水が、小室S10および小室S11を介してポンプ室235aに流入する。この場合、小室S11に設けられたアンブレラパッキン237は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。そのため、ポンプ室235a内の洗浄水が、洗浄水出口Pβより吐出されない。
【0176】
一方、図19の圧送ピストン240が、上方向に移動し、ポンプ室235aの容積を減少させた場合、小室S10の圧力よりもポンプ室235a内の圧力が高くなるため、小室S12に設けられたアンブレラパッキン237は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。その結果、小室S10内の洗浄水が、ポンプ室235aに流入しない。この場合、小室S13に設けられたアンブレラパッキン237、図6(b)に示すように変形する。そのため、ポンプ室235a内の洗浄水が、小室S12および小室S13を介して洗浄水出口Pβから吐出される。
【0177】
図20は図19のポンプの各部の圧力変化を示す図である。図20の縦軸は圧力を示し、横軸は時間を示す。
【0178】
図20に示すように、ポンプ13bの洗浄水入口Pαに圧力Pxの洗浄水が供給される。この場合、図19の圧送ピストン240が上下方向に運動することにより、ポンプ室235a内の洗浄水の圧力Pxが変化する。それにより、ポンプ13bの洗浄水出口Pβより吐出される洗浄水の圧力Poutは、太い実線で示すように、圧力Pkを中心として上下に周期的に変化する。
【0179】
このように、ポンプ13bにおいては、圧送ピストン240が上下運動を行うことにより、ポンプ室235a内の洗浄水に対して圧力が加えられ、洗浄水入口Pαの洗浄水が昇圧されて洗浄水出口Pβから吐出される。
【0180】
図19のポンプ13bを用いた場合においても、洗浄水に周期的な圧力変動を加えることにより、小さい流量の洗浄水で高い洗浄感を得ることができる。
【0181】
(ポンプのさらに他の例)
図21は本実施の形態に係る衛生洗浄装置に用いるポンプのさらに他の例を示す断面図である。
【0182】
図21のポンプ13Dは電磁ポンプである。図21のポンプ13Dにおいては、シリンダ138Dの外周面の上半部に電磁コイル132Dが巻回されている。
【0183】
シリンダ138D内には、スプリングSP1,SP3および円柱状のプランジャ136Pが設けられている。シリンダ138D内は、プランジャ136Pによりポンプ室139cとポンプ室139eとに分割される。
【0184】
ここで、円柱状のプランジャ136P内に円柱状のポンプ室139dが形成されている。ポンプ室139dは内部流路T1を介してポンプ室139cに連通し、かつ内部流路T2を介してポンプ室139eに連通している。ポンプ室139d内には、球体BおよびスプリングSP2が設けられている。
【0185】
シリンダ138Dの下端部には洗浄水入口PAが設けられ、上端部には洗浄水出口PBが設けられている。洗浄水入口PAには図3の配管203を介して熱交換器11が接続され、洗浄水出口PBには配管203を介して切替弁14が接続される。
【0186】
シリンダ138D内において、スプリングSP1はプランジャ136Pを上方へ付勢し、スプリングSP3はプランジャ136Pを下方へ付勢する。
【0187】
プランジャ136Pのポンプ室139d内において、スプリングSP2は、球体Bを下方へ付勢する。それにより、球体Bは、ポンプ室139dと内部流路T1との境界に位置する弁座BZに押し付けられている。
【0188】
以上に示す構成を有するポンプ13Dは、電磁コイル132Dに電圧を印加することにより動作する。以下に、図22に基きポンプ13Dの動作を説明する。図22はポンプ13Dの動作を示す模式的断面図である。
【0189】
図22(a)は非稼動時におけるポンプ13Dの内部状態を示す。この場合、シリンダ138D内において、プランジャ136Pは、スプリングSP1およびスプリングSP3によりシリンダ138D内の中央に保持されている。プランジャ136Pのポンプ室139d内において、スプリングSP2は、球体Bを弁座BZに押し付け、内部流路T1を介するポンプ室139dとポンプ室139cとの連通を阻止する。
【0190】
図22(b)は稼動時の電磁コイル132Dに電圧が印加されたときのポンプ13Dの内部状態を示す。この場合、シリンダ138D内において、プランジャ136Pは、スプリングSP3の弾性力に抗してシリンダ138D内を洗浄水出口PB側へ移動する。それにより、スプリングSP3が圧縮され、スプリングSP1が伸張される。なお、このとき、プランジャ136Pのポンプ室139d内において、スプリングSP2はポンプ13Dの非稼動時と同様に球体Bを弁座BZに押し付け、内部流路T2を介するポンプ室139dとポンプ室139cとの連通を阻止する。
【0191】
上記動作に伴いポンプ室139c内の圧力が低くなり、洗浄水が洗浄水入口PAより流入する。一方、上記動作に伴いポンプ室139e内の圧力が高くなり、ポンプ室139e内の洗浄水が洗浄水出口PBより流出する。このように、球体Bは逆止弁として作用する。
【0192】
図22(c)は稼動時の電磁コイル132Dに電圧が印加されないときのポンプ13Dの内部状態を示す。この場合、シリンダ138D内において、プランジャ136Pは、伸張されたスプリングSP1および圧縮されたスプリングSP3の復元力によりシリンダ138D内を洗浄水入口PA側へ移動する。それにより、スプリングSP3が伸張され、スプリングSP1が圧縮される。
【0193】
上記動作に伴いポンプ室139c内の圧力が高くなり、ポンプ室139c内の洗浄水が、プランジャ136Pの内部流路T1を通じてポンプ室139d内の球体Bを弁座BZから押し出し、ポンプ室139d内に流入する。さらに、ポンプ室139cより流入する洗浄水により、ポンプ室139d内の圧力が高くなり、ポンプ室139d内の洗浄水が、プランジャ136Pの内部流路T2を通じてポンプ室139e内へ流入し、洗浄水出口PBから吐出される。
【0194】
なお、電磁ポンプ13Dにおいては、フランジ136Pとシリンダ138Dとの間にシール部材が介在しないため、洗浄水出口PBの下流側の圧力損失により吐出流量が異なる。
【0195】
図23は図21のポンプ13Dの稼動時におけるポンプ室139e内の圧力変化および電磁コイル132Dに印加される電圧の変化を示す図である。図23(a)はポンプ13Dの圧力変化を示し、図23(b)は電磁コイル132Dに印加される電圧の変化を示す。
【0196】
図23に示すように、ポンプ13Dの洗浄水入口PΑには、圧力Pmの洗浄水が供給される。そして、電磁コイル132Dに電圧Vmが断続的に印加されることによりプランジャ136Pがシリンダ138D内で往復運動し、ポンプ13Dの洗浄水出口PBから吐出される洗浄水の圧力Ppは太い実線で示すように、点線で示す圧力Pmを中心として上下に周期的に変化する。
【0197】
以上に示すように、ポンプ13Dにおいては、電磁コイル132Dに周期的なパルス電圧が印加されることにより、ポンプ室139e内の洗浄水に対して圧力が加えられ、洗浄水入口PΑの洗浄水が昇圧されて洗浄水出口PBから吐出される。
【0198】
図21のポンプ13Dにおいては、電磁コイル132Dに印加するパルス電圧の電圧値により、プランジャ136Pの変位量(以下、稼動ストロークと呼ぶ。)が異なる。つまり、電磁コイル132Dに印加するパルス電圧の電圧Vmまたはデューティ比を変更することにより、プランジャ136Pの稼動ストロークを変更することができる。図21のポンプ13Dを用いた場合においても、洗浄水に周期的な圧力変動を加えることにより、小さい流量の洗浄水で高い洗浄感を得ることができる。
【0199】
【発明の効果】
本発明によれば、渦室内で遠心力による渦状態の流れが効率良く生成される。その結果、十分な旋回力を有する分散旋回流を効率的にノズル本体の噴出孔から噴出させることができる。
【0200】
一方、第2の流路に供給される洗浄水は渦室を通して噴出孔から直線流として噴出される。第1の流路を流れる洗浄水と第2の流路を流れる洗浄水とが渦室で合流することにより、二次的に拡散した分散旋回流が噴出孔から噴出され、被洗浄部の広い面積が洗浄される。
【0201】
第1の流路に流れる洗浄水の流量および第2の流路に流れる洗浄水の流量を制御することにより、噴出孔から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させることができ、洗浄面積および洗浄感を変化させることが可能となる。
【0202】
したがって、使用者の嗜好または体調に応じて種々の洗浄感および洗浄力を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図
【図2】図1の遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図3】本実施の形態に係る衛生洗浄装置の本体部の構成を示す模式図
【図4】熱交換器の構造の一例を示す一部切り欠き断面図
【図5】ポンプの構造の一例を示す断面図
【図6】アンブレラパッキンの動作を説明するための模式図
【図7】図5のポンプの圧力変化を示す図
【図8】切替弁の説明図
【図9】図8の切替弁の動作を示す断面図
【図10】図9の切替弁の洗浄水出口からおしりノズル、ビデノズルおよびノズル洗浄ノズルに流出する洗浄水の流量を示す図
【図11】図3のノズル部および切替弁の模式的断面図
【図12】ノズル洗浄ノズルの働きを説明するための模式図
【図13】図11のおしりノズルの動作を説明するための断面図
【図14】(a)はピストン部の先端部の横断面図、(b)は(a)のピストン部のA−A線断面図、(c)は(a)のピストン部のB−B線断面図
【図15】(a)はピストン部の先端部の模式的横断面図、(b)は傾斜壁の働きを示す模式図、(c)はピストン部の先端部の模式的縦断面図
【図16】本実施の形態におけるおしりノズルの噴出孔より噴出される洗浄水の説明図
【図17】第2の実施の形態に係る衛生洗浄装置の本体部の構成を示す模式図
【図18】図17のノズル部および切替弁の模式的断面図
【図19】本実施の形態に係る衛生洗浄装置に用いるポンプの他の例を示す断面図
【図20】図19のポンプの各部の圧力変化を示す図
【図21】本実施の形態に係る衛生洗浄装置に用いるポンプのさらに他の例を示す断面図
【図22】図22はポンプの動作を示す模式的断面図
【図23】図21のポンプの稼動時におけるポンプ室内の圧力変化および電磁コイルに印加される電圧の変化を示す図
【符号の説明】
1 おしりノズル
2 ビデノズル
3 ノズル洗浄ノズル
4 制御部
11 熱交換器
14 切替弁
15 進退モータ
20F 溝
20G 溝
24a,24b 洗浄水入口
27a 第1の流路
27b 第2の流路
29 円筒状渦室
31 傾斜壁
13,13b,13D ポンプ
30 ノズル部
130,200 モータ
131,132,231,232,132N ギア
139c,139d,139e ポンプ室
142 内筒
143 外筒
143a 洗浄水入口
143c,143d 洗浄水出口
142e 孔
200 本体部
300 遠隔操作装置
302 調整スイッチ
505 セラミックヒータ
Claims (20)
- 洗浄水を噴出するノズル装置であって、
洗浄水を噴出させるための噴出孔を有するノズル本体と、
断面略円形の内周面を有し、前記噴出孔に連通する渦室と、
前記渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、前記渦室内に洗浄水を供給する第1の流路と、
前記渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、前記渦室内に洗浄水を供給する第2の流路と、
前記第1の流路内にその第1の流路の軸方向に対して傾斜するように立設されており、洗浄水を分流させて前記渦室内の軸心に対して偏心した方向に導く分流壁部とを備え、
前記分流壁部は、前記第1の流路のうち前記渦室との接続部分に配置されており、
前記分流壁部に対向する前記第1の流路の内面部分は、当該分流壁部との間に間隙を有するように形成されていることを特徴とするノズル装置。 - 前記第1の流路と前記第2の流路とは、洗浄水の噴出方向に所定距離を設けて前記渦室に連通することを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
- 前記第1および第2の流路は前記ノズル本体内で互いに平行に延び、前記ノズル本体の外周面に前記第1および前記第2の流路間の領域に沿って延びる溝部が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載のノズル装置。
- 給水源から供給される洗浄水を人体に噴出する衛生洗浄装置であって、
前記給水源から供給される洗浄水を第1の経路および第2の経路のうち一方または両方に選択的に供給する経路選択手段と、
前記経路選択手段により供給された洗浄水を噴出孔から噴出するノズル装置とを備え、
前記ノズル装置は、
洗浄水を噴出するための噴出孔を有するノズル本体と、
断面略円形の内周面を有し、前記噴出孔に連通する渦室と、
前記渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、前記渦室内に洗浄水を供給する第1の流路と、
前記渦室にその軸心を指向して連通するように接続され、前記渦室内に洗浄水を供給する第2の流路と、
前記第1の流路内にその第1の流路の軸方向に対して傾斜するように立設されており、洗浄水を分流させて前記渦室内の軸心に対して偏心した方向に導く分流壁部とを備え、
前記分流壁部は、前記第1の流路のうち前記渦室との接続部分に配置されており、
前記分流壁部に対向する前記第1の流路の内面部分は、当該分流壁部との間に間隙を有するように形成され、
前記第1の流路には前記第1の経路から洗浄水が供給され、前記第2の流路には前記第2の経路から洗浄水が供給されることを特徴とする衛生洗浄装置。 - 前記ノズル本体は、
洗浄水を収容するシリンダ部と、
前記噴出孔ならびに前記第1および第2の流路を有しかつ前記シリンダ部内に移動可能に挿入されたピストン部とを含み、
供給される洗浄水の圧力により前記ピストン部が所定の洗浄位置まで前記シリンダ部から突出することを特徴とする請求項4記載の衛生洗浄装置。 - 前記シリンダ部の内周面と前記ピストン部の外周面との間に環状空間が形成され、前記ピストン部が突出した状態で前記シリンダ部内に温度変動緩衝部が形成されかつ前記環状空間が密閉状態となるとともに前記温度変動緩衝部から分離され、
前記シリンダ部は洗浄水を受け入れる第1および第2の給水口を有し、前記第1の流路および前記第1の給水口は前記温度変動緩衝部に連通し、前記第2の流路および前記第2の給水口は前記環状空間に連通することを特徴とする請求項5記載の衛生洗浄装置。 - 前記シリンダ部は、第1の内径を有する先端側の径小部分と、前記第1の内径よりも大きな第2の内径を有する中間部分と、前記第2の内径よりも大きな内径を有する後端側の径大部分とを順に備え、前記先端側の径小部分と前記中間部分との境界に第1のストッパ面を有し、かつ前記中間部分と前記後端側の径大部分との境界に第2のストッパ面を有し、
前記ピストン部は、前記シリンダ部から突出した状態で前記第1および第2のストッパ面にそれぞれ水密に当接する第1および第2の環状当接部を有し、
前記シリンダ部の前記中間部分の内周面と前記ピストン部の前記第1の環状当接部の外周面との間に第1の隙間が形成され、前記シリンダ部の前記後端側の径大部分の内周面と前記ピストン部の前記第2の環状当接部の外周面との間に第2の隙間が形成され、
前記第1の経路からの洗浄水は、前記第1の給水口を通して前記後端側の径大部分内に供給され、
前記第2の経路からの洗浄水は、前記第2の給水口を通して前記中間部分内に供給され、
前記第1の流路は、前記シリンダ部の前記後端側の径大部分内に連通するように設けられ、前記第2の流路は、前記シリンダ部の前記中間部分内に連通するように設けられたことを特徴とする請求項6記載の衛生洗浄装置。 - 前記ピストン部が前記洗浄位置まで突出した状態で前記第1の流路に洗浄水が供給されることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記第1の流路および前記第2の流路に供給される洗浄水の流量比を制御する流量比制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記流量比制御手段は、前記ノズル装置の前記噴出孔からの洗浄水の噴出の開始時に、前記第1の流路に供給される洗浄水の流量が前記第2の流路に供給される洗浄水の流量よりも大きくなるように前記流量比を制御することを特徴とする請求項9記載の衛生洗浄装置。
- 前記流量比制御手段は、前記第1の流路に供給する洗浄水の流量および前記第2の流路に供給する洗浄水の流量の比率を連続的に制御することを特徴とする請求項9または10記載の衛生洗浄装置。
- 前記経路選択手段は、前記流量比制御手段を含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記経路選択手段は、
前記第1の経路に連通する第1の洗浄水出口および前記第2の経路に連通する第2の洗浄水出口を有する第1の部材と、
前記第1の部材に相対的に回動可能に設けられ、洗浄水を受け入れる洗浄水入り口ならびに前記第1および第2の洗浄水出口のいずれかに対向可能な孔部を有する第2の部材とを含み、
前記第1の部材に対する前記第2の部材の回動量に応じて前記第1の経路および前記第2の経路に供給される洗浄水の流量比が変化することを特徴とする請求項12記載の衛生洗浄装置。 - 前記ノズル本体を進退移動させる進退駆動手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4〜13のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記給水源からの洗浄水を加圧して前記ノズル装置に供給する加圧手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4〜14のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記加圧手段は、前記給水源から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ加圧して前記ノズル装置から噴出させることを特徴とする請求項15記載の衛生洗浄装置。
- 前記加圧手段は、往復運動を行う加圧部材を有するレシプロポンプを含むことを特徴とする請求項16記載の衛生洗浄装置。
- 前記加圧手段による圧力変動の周波数が20Hz以上60Hz以下に制御されることを特徴とする請求項16または17記載の衛生洗浄装置。
- 前記給水源から供給される洗浄水を加熱する加熱手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4〜18のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記加熱手段は、前記給水源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する瞬間式加熱装置であることを特徴とする請求項19記載の衛生洗浄装置。
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