JP4090046B2 - クローズドフェースリール - Google Patents

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本発明は、ハンドル回転で連動回転するロータの外周に、釣糸をスプールに案内するピックアップピンを出没自在に設けると共に、前記スプール及びロータを覆うカバーを備えたクローズドフェースリールに関する。
一般的に、上記したタイプのクローズドフェースリールは、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、リール本体の後部に設けたプッシュボタンの押込み操作や、脚部に設けたレバーの引き上げ操作等によって、先端部にロータが固定された回転軸を前方側にシフトさせるように構成されている。このように、回転軸が上記した操作によって前方側にシフトされると、ロータの外周にバネ力に抗して径方向外方に突出するように装着されたピックアップピンの突出規制状態が解除されて、バネ力によってピックアップピンがロータ内側に入り込む状態(クラッチOFF状態)に移行され、釣糸が放出可能となる。
そして、ハンドルの回転操作でロータが回転操作されることにより、ピックアップピンがロータ外周の径方向外方に突出されてクラッチON状態に自動的に切り換えられる。すなわち、実際の魚釣り時では、クラッチOFF状態で所定のポイントへ釣糸を放出した後、ハンドルを巻き取り方向に回転してクラッチON状態(ピックアップピン突出状態)にし、魚の当たりを待つ態勢となる。
実公昭59−20058号公報 実公平4−25972号公報
ところが、場合によっては、釣糸を放出している段階で(仕掛けの繰り出し中や仕掛け着水時等)魚が食い付くことがあり、この場合、釣人は咄嗟にハンドルを巻き取り回転操作してクラッチをONにした後、竿の合わせ操作を行なう必要がある。この一連の操作は非常にやり難く、魚の食い付きに対してタイムリーな合わせ操作が容易に行なえず、釣果に影響を及ぼす問題がある。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、釣糸放出位置にあるピックアップピンを釣り糸巻き取り位置に容易に切換え操作することを可能にするクローズドフェースリールを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明に係るクローズドフェースリールは、ハンドル回転で連動回転する回転軸の先端部に取り付けられたロータに、釣糸をスプールに案内するピックアップピンが前記回転軸に直交する方向に移動可能に装着され、リール本体に設けた操作部材の操作により前記回転軸方向に移動可能な摺動軸を前記スプール側に移動することで前記ピックアップピンの先端部を、前記ロータの外周面より径方向外方に突出して釣糸を係止する釣糸巻き取り位置から前記ロータ内部に没しロータ外周面から径方向外方に突出しない釣糸放出位置に切換え可能とした構成において、前記操作部材の操作により前記摺動軸をリール本体側に移動することで釣糸放出位置にある前記ピックアップピンを、前記ロータの外周壁から突出して釣糸を係止する釣糸巻き取り位置に切換え可能としたことを特徴とする。
上記した構成では、リール本体に設けられた操作部材を操作することで、クラッチOFF(ピックアップピンがロータ内に没した状態)にし、この状態で仕掛けの放出操作を行なう。そして、仕掛け放出中に魚が食い付いたような場合、リール本体を握持している手の指によって操作部材を操作することにより、直ちにクラッチON状態への切換えが行なえる。このため、素早い竿の合わせ操作が確実かつ容易に行なえるようになる。
本発明によれば、リール本体を握持している手の指でクラッチの切換え操作が行なえるため、釣糸放出状態で魚が食い付いても、手の指を動かすという簡単な操作でクラッチON状態に素早く切換え操作でき、素早い竿の合わせ操作を確実かつ容易に行なえ、釣果の向上が図れる。
図1〜図6は、本発明に係るクローズドフェースリールの第1の実施形態を示す図であり、図1は、釣糸巻き取り時における内部構成を示す図、図2は、図1のA−A線に沿った断面図、図3は、操作部材を引き上げ操作した際の内部構成を示す図、図4は、図3のB−B線に沿った断面図、図5は、操作部材を初期位置に戻した際の内部構成を示す図、そして、図6は、操作部材を押し下げ操作した際の内部構成を示す図である。
クローズドフェースリール1のリール本体2には、前方に向けて突出するスプール支持筒2aが形成されており、その外周側には、釣糸が巻回されるスプール3が回転可能に支持されている。なお、スプール支持筒2aの外周には、雄ネジ部2bが形成されており、ここに螺合される抜け止め部材5によってスプール3は抜け止めされている。また、この雄ネジ部2bの外周には、制動装置7が配設されており、釣糸が繰り出された際にスプール3に対して所定の制動力を付与するようになっている。
前記リール本体2内には、回転操作されるハンドル(図示せず)を装着したハンドル軸10が回転可能に支持されており、そこにはフェースギヤ11が取り付けられている。また、リール本体2内には、一対の軸受13を介して前記ハンドル軸と直交する方向に延出する筒軸(回転軸)15が回転可能に支持されており、この筒軸の基端側には、前記フェースギヤ11と噛合するようにピニオン15aが形成されている。
前記筒軸15とリール本体2との間には、前記一対の軸受間において、筒軸15を一方向のみに回転可能とするように一方向クラッチ17が設けられている。また、リール本体2には、筒軸15内に挿通するように、摺動軸20が軸方向に移動可能で、かつ回転不能となるように設けられており、その後端部には、クラッチ付勢バネ22が配設されて、摺動軸20を、常時、後方側に向けて付勢している。
この摺動軸20の前方側には、後述するピックアップピンを強制的に釣糸巻き取り位置から釣糸放出位置に切換える切換え部材25が固定されている。この切換え部材25は、略円錐台形状に形成されており、その前方側となる表面25aにおいて、釣糸放出操作時に、後述するカバー部材の内面との間で釣糸Sを挟持するように構成されている。また、裏面25bの中央領域には、凹所25cが形成されており、釣糸巻き取り操作時において、以下に述べるロータ固定用のナットが位置するように構成されている。
前記筒軸15の先端側には、スプール側に開口する蓋状に形成されたロータ30が、ナット31によって筒軸15と一体回転且つ軸方向に移動不能となるように取り付けられており、ハンドルを回転操作することで、前記フェースギヤ11及びピニオン15aを介して、その円周壁30aがスプール3の周りを回転するようになっている。なお、ロータ30の中央領域には、凹所30cが形成されており、釣糸巻き取り操作時に、この凹所内に前記切換え部材25が位置するように構成されている。
前記ロータ30の円周壁30aには、その表面から出没自在となるように、ピックアップピン35が配設されている。
本実施形態におけるピックアップピン35は、ロータ内に位置する本体部35aと、円周壁30aに形成された孔30d内に位置し、釣糸をピックアップするピン35bとによって構成されており、本体部35aには径方向に延出する長孔35cが形成されている。そして、この長孔35cには、ロータ30の前面壁30bに螺入される支持ネジ36が配設されており、これにより、ピックアップピン35は、径方向(筒軸15と直交する方向)に移動可能となるようにロータ30に支持されている。
前記本体部35aの両側には、前記凹所30cを規定する壁部30eを囲繞するようにリング形状のプレート37が配置されており、本体部35aは、その両側において、プレート37に形成された保持部37aによって挟着保持されている。前記プレート37は、ピックアップピン35が保持される位置から両側略90°の位置で、引張バネ38によって、回転軸に対して直交する方向(前記長孔35c方向)にスライド可能となるように支持されている。すなわち、図2及び図4に示すように、ロータ30の前面壁30bの両サイドに形成された厚肉部30fに、それぞれ一端が固定され、各他端が前記プレート37の突部37bに固定された引張バネ38の伸縮によって、プレート37は、回転軸に対して直交する方向にスライドされるようになっている。
この場合、厚肉部30fには、突部37bの上下位置を規制するための凹状切欠き31が形成されており、引張バネ38によってプレート37が引き上げられた状態では、上方規制部31aに当て付く(このとき、ピックアップピン35のピン35bは、ロータ30の外周面から所定量突出した状態が維持される;クラッチON状態)。また、プレート37が、上記した切換え部材25によって、強制的に下方にスライドされた状態では、下方規制部31bに当て付く(このとき、ピックアップピン35のピン35bは、ロータ30内部に没した状態となる;クラッチOFF状態)。
また、前記プレート37の下端位置には、前方側かつロータの径方向内方へ向けて延設された傾斜舌片37cが形成されており、この傾斜舌片37cは、前記壁部30eの下端領域に形成された切欠き30gを介して前方側に露出しており、前記切換え部材25が前方に向けて移動された際、その表面25aと面接触して、その傾斜関係により、プレート37を下方に押し下げる役目を有している。
また、リング状のプレート37に一体形成された傾斜舌片37cの先端部には、水平方向に折り曲げられた押し下げ面37dが形成されており、この押し下げ面37dが摺動軸20と共に前方に移動された切換え部材25の外周面25dに乗り上がるように構成されている。なお、外周面25dに押し下げ面37dが乗り上がる際、プレート37は、切換え部材25の表面25aと面接触して前記引張バネ38の付勢力に抗して下方に押し下げられ、この状態でピックアップピン35は、図3及び図4に示すように、ロータ内に没した状態が維持される。
前記リール本体2の前方側には、スプール3及びロータ30を覆うと共に、前方において釣糸Sを導出するための釣糸挿通孔40aが形成されたカバー部材40が着脱可能に配設されている。この場合、スプール3に巻回された釣糸Sは、ロータ30の円周壁30aとカバー部材40の内面との間の隙間を通って釣糸挿通孔40aから導出される。
前記リール本体2には、支軸42を介してクラッチ操作レバー(以下、操作部材)43が回動可能に軸支されている。この操作部材43の一端側は、リール本体の支軸部分から前方に向けて延出しており、その端部に釣竿を握持した状態で操作可能な操作部43aが形成されている。また、操作部材43の他端側は、支軸部分からリール本体内に延出しており、その端部に上記した摺動軸20の後端に突設されたピン部材20aに嵌る切欠き溝43bが形成されている。
そして、前記リール本体2には、操作部材43の端部と協働する当て付け機構50が設けられている。この当て付け機構50は、操作部材43を引き上げ操作、及び押し下げ操作した際に駆動されるようになっており、操作部材43を離した際にクラッチOFF状態を維持する機能を有する。以下、この当て付け機構50の構成について説明する。
当て付け機構50は、屈曲されたL字状の回動部材51を備えており、その中心部で支軸51aによって回動可能に支持され、一方の片52、及び、他方の片53が、それぞれ当て付け部及び回動操作部として、交互に機能するべく構成されている。一方の片52には、操作部材43の後端面43cが当接され、他方の片53には、操作部材43の係合部43dが係合可能となっている。なお、操作部材43の後端面43cと係合部43dとの間には、上記したピン部材20aに嵌る切欠き溝43bが形成されており、操作部材43の回動操作(引き上げ操作/押し下げ操作)は、直接、摺動軸20に作用するようになっている。
また、前記した回動部材51は、振り分けバネ55によって、図1に示す位置と図3に示す位置との間で振り分け保持されるようになっており、その振り分け位置は、一方の片52、及び他方の片53が、それぞれリール本体2の規制面2e,2fに当て付くことによって、その回動が規制され、振り分け保持される。
なお、振り分けバネ55の付勢力は、前記付勢バネ22の付勢力よりも大きく設定されている。また、上記した当て付け機構50の回動部材51と、摺動軸20と共に移動する切換え部材25の下面25dが乗り上がる押し下げ面37dとは、操作部材43を一旦引き上げ操作して、指を離した際、切換え部材25の下面25dが押し下げ面37dに乗ったままで、後端面43cが回動部材51の一方の片52に当て付くように設定されている(振り分けバネ55の付勢力>付勢バネ22の付勢力のため、後端面43cの一方の片52に対する当て付け状態は維持される;クラッチOFF状態の維持)。
以上のように構成されたクローズドフェースリールの作用効果について説明する。
図1は、釣糸巻き取り可能状態であり、釣糸Sは、ピックアップピン35のピン35bに係止され、ロータ30が回転駆動されることによって、スプール3に巻回される状態となっている。このとき、ピックアップピン35のピン35bは、引張バネ38による付勢力によってロータ30の円周壁30aの表面から突出した状態に維持されている。また、このとき、ピックアップピンの本体部35aは、切換え部材25の外周から離間した位置に保持しておくことが可能となり、これにより、釣糸巻き取り操作しても、ピックアップピン35に摩擦抵抗力が作用することなく、軽快な巻き取り操作が行えるようになる。
そして、この状態から、操作部材43の操作部43aを引き上げて回動操作すると、操作部材43は、時計回り方向に回動され、図3に示すように、摺動軸20は付勢バネ22の付勢力に抗してスプール側に移動される。このとき、操作部材43の係合部43dが回動部材51の他方の片53に当接しながら回動部材51を回動(図1において反時計回り方向)させ、一方の片52を、釣糸放出状態を維持する位置へ回動させる(図3参照)。また、これに伴い、切換え部材25も一体的に移動され、その表面25aがプレートの傾斜舌片37cと面接触するようになり、その傾斜関係により、プレート37を下方に押し下げると共に、最終的に、切換え部材25の外周面25dに傾斜舌片37cの押し下げ面37dが乗り上げる。
このとき、プレート37は、引張バネ38の付勢力に抗して押し下げられた状態にあり、ロータ30の円周壁30aから突出した状態にあるピン35bは、強制的に釣糸放出位置となるロータ30の内部に沈み込み、その状態が維持される。なお、切換え部材25は釣糸挟持機能を備えていることから、釣糸Sは、切換え部材の表面25aとカバー部材40の内面との間で挟持された状態で、釣糸挿通孔40aから導出される。
この状態で、釣竿をキャスティングしながら操作部材43の操作部43aから指を離すと、釣糸の挟持状態が解消されて、仕掛けが放出される。このとき、摺動軸20及び操作部材43は、付勢バネ22の付勢力によって、図5に示す状態に戻されており、切換え部材25は、その外周面25dに押し下げ面37dが乗ったままで、操作部材43の後端面43cが回動部材51の一方の片52に当て付き、その状態が維持されている(釣糸放出状態が維持される)。
そして、この状態で、操作部材43の操作部43aを押し下げ操作すると、摺動軸20は、リール本体側に移動され、切換え部材25の外周面25dは、押し下げ面37dから外れる(図6参照)。このとき、ピックアップピン35は、プレート37に固定された引張バネ38の付勢力により、プレート37と共に押し上げられ、これと共に回動部材51は、一方の片52に当て付いている操作部材43の後端面43cにより回動されて、図1に示す釣糸巻き取り状態に振り分け保持される。
上記した構成によれば、リール本体2に設けられた操作部材43を操作してクラッチOFF(ピックアップピンがロータ内に没した状態)にし、仕掛けの放出操作を行なっているときに魚が食い付いたとしても、リール本体を握持している手の指で、そのまま操作部材43を押し下げ操作することで、直ちにクラッチON状態へ切換えることが可能となる。このため、仕掛けの放出中であっても、迅速にクラッチONに切換えて、素早い竿の合わせ操作を確実かつ容易に行なえるようになる。
また、ロータ外周面より径方向外方に突出する方向に付勢されたピックアップピン35を、リール本体に設けた操作部材43の操作によって、ロータ外周面から突出しない釣糸放出位置に付勢力に抗して強制的に切換えるようにしているため、ロータ外周面からのピックアップピン35の突出量が常時安定するようになり、この結果、巻き取り操作時における釣糸のピックアップ不良が確実に防止できる。また、ロータ外周面から突出しているピックアップピン35は、切換え部材25によって強制的に釣糸放出位置に切換えられるため、釣糸によってピックアップピンに負荷が加わっている場合でも、確実にロータ外周面からピックアップピンを引っ込めることができ、釣糸が放出できなくなる問題を回避することが可能となる。
さらに、釣糸巻き取り操作時におけるロータ回転時において、ピックアップピン35の本体部35aを切換え部材等に対して、接触しないように離間保持させることが可能となるため、ハンドル巻き取り操作時に、ピックアップピンに摩擦抵抗が加わることがなくなって、ハンドルの軽快な巻き取り操作が行なえると共に、ピックアップピンが磨耗することも防止できる。
本発明は、クラッチOFF状態からクラッチON状態への切換えを、リール本体に設けた操作部材の操作によって行なえるように、すなわち、リール本体を握持している手の指で行なえるように構成されたものであれば良く、リールの全体構成や、操作部材の構成については、適宜変形することが可能である。以下、本発明の別の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態では、前記した実施形態と同様な機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
図7〜図12は、本発明に係るクローズドフェースリールの第2の実施形態を示す図であり、図7は、釣糸巻き取り時における内部構成を示す図、図8は、図7のC−C線に沿った断面図、図9は、操作部材を引き上げ操作した際の内部構成を示す図、図10は、図9のD−D線に沿った断面図、図11は、操作部材を初期位置に戻した際の内部構成を示す図、そして、図12は、操作部材を押し下げ操作した際の内部構成を示す図である。
この実施形態は、ピックアップピン35のロータからの出没動作を、振り分けバネを利用して行なうように構成したものである。
図7に示すように、上記した実施形態と同様に摺動軸20の前端部に固定される切換え部材25の後端面側には、リール本体側に向かって下方に傾斜する傾斜案内面(カム面)25eが形成されている。このカム面25eは、切換え部材25が付勢バネ22の付勢力によって後方に移動された際、その移動途中でロータ内に没した状態にあるピックアップピン35の本体部35aと係合可能であり、さらに強制的に摺動軸20を後方に移動させることで、そのカム面25eにより、本体部35aを上方に押し上げできるように構成されている。なお、ピックアップピン35は、上記した第1実施形態と同様、リング状のプレート37によって保持されている。
この場合、プレート37は、ピックアップピン35が保持される位置から両側略90°の位置で、振り分けバネ48によって回転軸に対して直交する方向(長孔35c方向)に移動可能となるように支持されている。すなわち、図8及び図10に示すように、ロータ30の前面壁30bの両サイドに形成された厚肉部30fに、それぞれ一端が固定され、各他端が前記プレート37に固定された振り分けバネ48によって、プレート37は、回転軸に対して直交する方向で2つの位置で振り分け保持されるようになっている。なお、振り分け保持される位置は、振り分けバネのデッドポイントを境にして、ピックアップピン35の本体部35aが前記切換え部材のカム面25eの外周から所定間隔をおいて離間する位置(図8参照)と、係合可能な位置(図10参照)に設定される。すなわち、本体部35aが前記カム面25eから所定間隔をおいて離間保持される位置では、ピン35bは、ロータの円周壁から突出した状態にあり、カム面25eと係合可能に保持されている位置では、ピン35bは、ロータの円周壁の内部に没した状態にある。
また、前記プレート37の下端位置には、上記実施形態と同様、前方側に向けて次第に上昇するように傾斜舌片37cが形成されており、この傾斜舌片37cは、前記壁部30eの下端領域に形成された切欠き30gを介して前方側に露出しており、前記切換え部材25が前方に向けて移動された際、その表面25aと面接触して、その傾斜関係により、プレート37を下方に押し下げる役目を有している。
前記操作部材43の端部側には、摺動軸20に突設されたピン部材20aに嵌る切欠き溝43bが形成されており、操作部材43の回動操作(引き上げ操作/押し下げ操作)は、直接、摺動軸20に作用するようになっている。
上記した構成のクローズドフェースリールの作用効果について説明する。
図7は、釣糸巻き取り可能状態であり、釣糸Sは、ピックアップピン35のピン35bに係止され、ロータ30が回転駆動されることによって、スプール3に巻回される状態となっている。このとき、ピックアップピン35の本体部35aは、振り分けバネ48によるプレート37の振り分け保持によって切換え部材25のカム面25eから離間した状態にあり、ピン35bは、ロータ30の円周壁30aの表面から突出している。
この状態から、操作部材43の操作部43aを引き上げて回動操作すると、操作部材43は、操作部材を常時反時計回り方向に付勢している付勢バネ45の付勢力に抗して時計回り方向に回動され、摺動軸20を付勢バネ22の付勢力に抗してスプール側に移動させる。これに伴い、切換え部材25も一体的に移動され、その表面25aがプレート37の傾斜舌片37cと面接触するようになり、その傾斜関係により、プレート37を下方に押し下げる。このプレート37の押し下げ作用によって、振り分けバネ48のデッドポイントを超え、ロータ30の円周壁30aから突出した状態にあるピン35bは、ロータ30の内部に沈み込む(図10参照)。
なお、切換え部材25は釣糸挟持機能を備えていることから、釣糸Sは、切換え部材の表面25aとカバー部材40の内面との間で挟持された状態で、釣糸挿通孔40aから導出される。
この状態で、釣竿をキャスティングしながら操作部材43の操作部43aから指を離すと、釣糸の挟持状態が解消されて、仕掛けが放出される。このとき、摺動軸20及び操作部材43は、各付勢バネ22,45の付勢力によって、図11に示す状態に戻されており、切換え部材25は、そのカム面25eがピックアップピンの本体部35aに当て付いてカム作用(押し上げ作用)を与えることが可能な状態となっている。
そして、この状態で、図12に示すように、操作部材43の操作部43aを押し下げ操作すると、摺動軸20は、リール本体側に移動され、本体部35aは、カム面25eのカム作用によって、プレート37と共に押し上げられる。そして、さらにカム作用によって押し上げられると、振り分けバネ48のデッドポイントを超え、図8に示す状態に戻される。このとき、ピックアップピンは、ロータ30の円周壁30aから突出して釣糸Sをピックアップできる状態に保持されると共に、本体部35aは、振り分けバネ48によるプレートの振り分け保持によって、切換え部材25の外周から離間した状態にある。
このような構成においても、クラッチOFFからクラッチONへの復帰は、リール本体を握持している手の指で直ちに行なうことが可能であり、上記した実施形態と同様、仕掛けの放出中であっても、迅速にクラッチONに切換えて、素早い竿の合わせ操作を確実かつ容易に行なえるようになる。
また、本実施形態の構成によれば、振り分けバネ48を用いたことにより、全体的な構成が簡略化されると共に、釣糸巻き取り操作時におけるロータ回転時において、ピックアップピン35の本体部35aを切換え部材に対して、接触しないように離間保持させることが可能になるため、ハンドル巻き取り操作時に、ピックアップピンに摩擦抵抗が加わることがなくなって、ピックアップピンが磨耗することなく、ハンドルの軽快な巻き取り操作が行なえるようになる。
図13〜図20は、本発明の第3の実施形態を示す図であり、図13は、釣糸巻き取り時における内部構成を示す図、図14は、図13のE−E線に沿った断面図、図15は、操作部材を押し込み操作した際の内部構成を示す図、図16は、図15に示す状態から操作部材をさらに押し込み操作して釣糸を挟着した際の内部構成を示す図、図17は、釣糸放出状態の内部構成を示す図、図18は、図17のF−F線に沿った断面図、図19は、操作部材を初期位置に戻した際の内部構成を示す図、そして、図20は、図19のG−G線に沿った断面図である。
上述した実施形態では、ロータを前後動させることなく、摺動軸20の先端に切換え部材を装着していたが、本実施形態のように、ロータ自体を摺動軸20に装着して前後動させるような構成のクローズドフェースリールにも適用することが可能である。
図13に示すように、リール本体2内には、釣糸が巻回されるスプール3が固定されており、このスプール3には、軸方向に貫通孔が形成されて、ここに、軸受13及び一方向クラッチ17を介して、釣糸巻き取り方向に回転可能な摺動軸20が軸方向に移動可能に支持されている。この摺動軸20の基端側には、ハンドルの回転操作と共に回転するフェースギヤ11と噛合するようにピニオン15aが装着されており、また、摺動軸20の基端部には、クラッチ付勢バネ22が配設されて、摺動軸20を、常時、後方側に向けて付勢している。
リール本体2の後方側には、支軸59を介してプッシュ式の操作部材60が回動可能に軸支されており、操作部材60の端部側には、摺動軸20に突設されたピン部材20aに嵌る切欠き溝60aが形成されている。これにより、操作部材60の手前側の操作部60bを押し込み操作することで、摺動軸20を付勢バネ22の付勢力に抗して前方側に摺動させることができ、また、上方側に突出形成された復帰操作部60cを押し込み操作することで、摺動軸20を後方側に摺動させることが可能となっている。すなわち、操作部材60の操作部60b及び復帰操作部60cを押し込む回動操作は、直接、摺動軸20に作用するようになっている。
また、摺動軸20の前方側には、制動装置63を介在させてスプール側に開口する蓋状に形成されたロータ30が回転可能に装着されており、摺動軸20の回転と共に、ロータ30が回転可能となっている。ロータ30の前面には、釣糸放出操作時に、後述するカバー部材の内面との間で釣糸を挟持するようにリング状の挟着部材65が取着されている。
前記ロータ30の円周壁30aには、その表面から出没自在となるように、ピックアップピン35が配設されている。
本実施形態におけるピックアップピン35は、ロータ内に位置する本体部35aと、円周壁30aに形成された孔30d内に位置し、釣糸をピックアップするピン35bとによって構成されており、本体部35aには径方向に延出する長孔35cが形成されている。そして、この長孔35cには、ロータ30の前面壁30bに螺入される支持ネジ36が配設されており、これにより、ピックアップピン35は、径方向に移動可能となるようにロータ30に支持されている。
また、本体部35aには、図14に示すように、略半リング形状のプレート67が固定されている。このプレート67は、ロータ30の前面壁30bにスライド可能に装着されており、その両サイドにおいて、それぞれ前記本体部35aに形成された長孔35cと同方向に延出形成された長孔67aに、案内ピン68を装着することで、長孔に沿ってスライド可能となっている。また、プレート67の両端(ピックアップピン35が保持される位置から両側略90°の位置)には、ロータの前面壁との間で振り分けバネ70が取り付けられており、プレート67は、その振り分けバネ70によって、摺動軸に対して直交する方向で2つの位置で振り分け保持されるようになっている。
この場合、振り分け保持される位置は、振り分けバネのデッドポイントを境にして、ピックアップピン35がロータから突出する位置(クラッチON位置)と、ピックアップピン35がロータ内に沈み込む位置(クラッチOFF位置)に設定されている。そして、前記スプール3の前面には、前方側に向けて次第に縮径する傾斜面(カム面)3aが形成されている。このカム面3aは、ロータ30が付勢バネ22の付勢力によって後方に移動された際、その移動途中でロータ内に没した状態にあるピックアップピン35の本体部35aと係合可能であり、さらに強制的に摺動軸20を後方に移動させることで、そのカム面3aにより、本体部35aを上方に押し上げできるように構成されている。
前記リール本体2の前方側には、スプール3及びロータ30を覆うと共に、前方において釣糸Sを導出するための釣糸挿通孔80aが形成されたカバー部材80が着脱可能に配設されている。このカバー部材80には、その内面に、前記ロータ30が前方に移動された際、ロータから突出するピン35bに係合して、ピックアップピン35を下方に押し下げる傾斜面80bが形成されている。
上記したように構成されたクローズドフェースリールの作用効果について説明する。
図13及び図14は、釣糸巻き取り可能状態であり、釣糸Sは、ピックアップピン35のピン35bに係止され、ロータ30が回転駆動されることによって、スプール3に巻回される。このとき、ピックアップピン35の本体部35aは、振り分けバネ70によるプレート67の振り分け保持によって、スプール3の前面に一体形成されたカム面3aからは離間した状態にあり、ピン35bは、ロータ30の円周壁30aの表面から突出している。
この状態から、操作部材60の操作部60bを押圧操作することで、摺動軸20を付勢バネ22の付勢力に抗してスプール側に移動させる。これに伴い、ロータ30も一体的に移動され、ピン35bは、カバー部材80の内面に形成された傾斜面80bにより押し下げられる(図15参照)。そして、この押し下げ作用によって、それと共に移動するプレート67は、振り分けバネ70のデッドポイントを超え、ロータ30の円周壁30aから突出した状態にあるピン35bは、ロータ30の内部に沈み込んだ状態に保持される(図16参照)。また、このとき、釣糸Sは、挟着部材65とカバー部材80の内面との間で挟持された状態で、釣糸挿通孔80aから導出される。
この状態で、釣竿をキャスティングしながら操作部材60から指を離すと、釣糸の挟持状態が解消されて、仕掛けが放出される(図17,図18参照)。このとき、摺動軸20は、付勢バネ22の付勢力によって、リール本体側に移動され、ピックアップピンの本体部35aはスプール前面に形成されたカム面3aに当て付いて後方への移動が規制された状態となっている(クラッチOFF状態の維持)。
そして、この状態で、図19に示すように、操作部60の復帰操作部60cを押圧操作すると、ピックアップピン35は、本体部35aとカム面3aとのカム作用によってプレート67と共に押し上げられる。そして、さらにカム作用によって押し上げられると、振り分けバネ70のデッドポイントを超え(図20参照)、ロータ30の円周壁30aから突出して釣糸Sをピックアップできる状態に振り分け保持される(図13参照)。
なお、このとき、ピックアップピン35の本体部35aは、振り分けバネ70によるプレート67の振り分け保持によってカム面3aから離間した状態にある。そして、ハンドルを巻き取り操作することで、釣糸は、ロータ30のピン35bに案内されながらスプール3に巻回されて行く。
このような構成においても、クラッチOFFからクラッチONへの復帰は、リール本体を握持している手の指で直ちに行なうことが可能であり、上記した実施形態と同様、仕掛けの放出中であっても、迅速にクラッチONに切換えて、素早い竿の合わせ操作を確実かつ容易に行なえるようになる。また、本実施形態においても、釣糸巻き取り操作時におけるロータ回転時において、ピックアップピン35の本体部35aは、カム面3aに摩擦接触しないで回転可能であるため、ハンドル巻き取り操作時に、ピックアップピンに摩擦抵抗が加わることがなくなって、ハンドルの軽快な巻き取り操作が行なえると共に、ピックアップピンが磨耗することがなくなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、リール本体に設けた操作部材の操作によって、クラッチONからOFFへの切換え、及びクラッチOFFからONへの切換えができるように構成されていれば、その操作部材の形状、支持方法等、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。また、リール本体の各種構成部材については、適宜変形することが可能である。
本発明に係るクローズドフェースリールの第1の実施形態を示す図であり、釣糸巻き取り時における内部構成を示す図。 図1のA−A線に沿った断面図。 操作部材を引き上げ操作した際の内部構成を示す図。 図3のB−B線に沿った断面図。 操作部材を初期位置に戻した際の内部構成を示す図。 操作部材を押し下げ操作した際の内部構成を示す図。 本発明に係るクローズドフェースリールの第2の実施形態を示す図であり、釣糸巻き取り時における内部構成を示す図。 図7のC−C線に沿った断面図。 操作部材を引き上げ操作した際の内部構成を示す図。 図9のD−D線に沿った断面図。 操作部材を初期位置に戻した際の内部構成を示す図。 操作部材を押し下げ操作した際の内部構成を示す図。 本発明に係るクローズドフェースリールの第3の実施形態を示す図であり、釣糸巻き取り時における内部構成を示す図。 図13のE−E線に沿った断面図。 操作部材を押し込み操作した際の内部構成を示す図。 図15に示す状態から操作部材をさらに押し込み操作して釣糸を挟着した際の内部構成を示す図。 釣糸放出状態の内部構成を示す図。 図17のF−F線に沿った断面図。 操作部材を初期位置に戻した際の内部構成を示す図。 図19のG−G線に沿った断面図。
符号の説明
1 クローズドフェースリール
2 リール本体
3 スプール
25 切換え部材
30 ロータ
35 ピックアップピン
43,60 操作部材

Claims (1)

  1. ハンドル回転で連動回転する回転軸の先端部に取り付けられたロータに、釣糸をスプールに案内するピックアップピンが前記回転軸に直交する方向に移動可能に装着され、リール本体に設けた操作部材の操作により前記回転軸方向に移動可能な摺動軸を前記スプール側に移動することで前記ピックアップピンの先端部を、前記ロータの外周面より径方向外方に突出して釣糸を係止する釣糸巻き取り位置から前記ロータ内部に没しロータ外周面から径方向外方に突出しない釣糸放出位置に切換え可能としたクローズドフェースリールにおいて、
    前記操作部材の操作により前記摺動軸をリール本体側に移動することで釣糸放出位置にある前記ピックアップピンを、前記ロータの外周壁から突出して釣糸を係止する釣糸巻き取り位置に切換え可能としたことを特徴とするクローズドフェースリール。
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