JP4088625B2 - 生体検知装置および方法並びに生体検知機能を有する認証装置 - Google Patents

生体検知装置および方法並びに生体検知機能を有する認証装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば指紋,掌紋,血管パターン等の生体情報を用いて個人認証を行なう認証装置において、生体情報を取得されるべき被検体が生体であるか否かを検知するための装置および方法に関する。
また、本発明は、例えば指紋,掌紋,血管パターン等の生体情報を用いて個人認証を行なう認証装置に関し、特に、被認証者から生体情報を取得する際に生体取得対象である被検体が生体であるか否かを検知する生体検知機能を有する認証装置に関する。
携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの小型情報機器は、近年の高機能化に伴い、ネットワークに接続されたり大量の個人情報などを格納したりすることができるようになり、これらの機器におけるセキュリティ性能の向上の要求が極めて高くなっている。
このような機器においてセキュリティを確保するするために、従来から広く用いられているパスワードやID(IDentification)カードなどによる個人認証を採用することが考えられる。しかし、パスワードやIDカードは盗用される危険性が高いので、より信頼性の高い個人認証(機器のユーザが、予め登録されたユーザ本人であることの認証)を実現することが強く望まれている。このような要望に対し、生体情報(バイオメトリクス情報)による個人認証は、信頼性が高く、上述の要望に応えられるものと考えられる。特に、生体情報として指紋を用いた場合には利便性も高い。
生体情報として指紋を用いて個人認証を行なう場合、静電容量式指紋センサや光学式指紋センサにより、被認証者の指から指紋(指紋センサの採取面に接触しうる隆線と同採取面に接触しない谷線とから成る紋様)を画像情報として採取する。そして、その指紋画像の前景(例えば隆線像)から特徴情報(例えば分岐点や端点の位置情報)を抽出し、抽出された特徴情報と予め登録されている被認証者の登録特徴情報とを照合することにより、被認証者が本人であるか否かの判定つまり個人認証を行なっている。
ところで、上述のごとく指紋を用いて個人認証を行なうシステムにおいては、より信頼性の高い個人認証を行なう上での問題の一つとして、偽造指紋を用いた不正利用が指摘されている。つまり、指紋を用いたシステムでは、偽造指紋を有する指を人工的に作製し、その人工指を用いた成りすましが行なわれる可能性があり、その成りすまし行為による不正利用が、システムの信頼性劣化を招くおそれがある。
人工指の素材としてシリコンやゴムが用いられた場合、これらの素材は電気を通さないため、静電容量式指紋センサではシリコン製人工指やゴム製人工指から指紋画像を採取する作用が無いため、上述のような不正利用を行なうことはできない。また、光学式指紋センサも、基本的にはシリコン製人工指やゴム製人工指から指紋画像を採取することができない。
しかし、人工指の素材として、人間の表皮の組成に極めて近いグミ(ゼラチン水溶液をゲル化させたもの)を用いると、グミは電気を通すため、静電容量式指紋センサや光学式指紋センサがグミ製人工指から指紋画像を採取することができてしまい、成りすまし行為による不正利用が可能になることが指摘されている。
偽造指紋による不正利用を排除する技術については、例えば特開2000-123143号公報,特開平10-302047号公報,特開2000-194848号公報,特開2000-172833号公報などに開示されている。
しかし、特開2000-123143号公報や特開平10-302047号公報に開示された技術では、被検体の電流値,静電容量,電気抵抗等により被検体が生体であるか否かを判定しているため、上述のように電気を通すグミ製人工指の偽造指紋を排除することができない。また、特開2000-194848号公報に開示された技術では、静電容量式センサが反応するか否かによって偽造指紋を判定し、特開2000-172833号公報に開示された技術では、電気的特性であるインピーダンスの周波数特性によって偽造指紋を判定しているため、いずれの技術によっても、電気を通すグミ製人工指の偽造指紋を排除することができない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、被検体が生体であるか否かを確実に検知できるようにして、例えばグミ製人工指等の非生体を確実に識別することを可能にした、生体検知装置および方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、例えば指紋,掌紋等の生体情報を用いて個人認証を行なうべく被認証者から生体情報を取得する際に、生体取得対象である被検体が生体であるか否かを確実に検知できるようにして、例えばグミ製人工指を確実に識別し、偽造指紋を用いた成りすまし行為による不正利用を確実に排除し、より信頼性の高い個人認証を実現した、生体検知機能を有する認証装置を第2の目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の生体検知装置は、採取面に接触しながら移動する被検体の外皮表面の画像を連続的に採取する画像採取手段と、該画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像に基づいて、前記外皮の外分泌腺から分泌される分泌物の存在を検出する分泌物検出手段とをそなえて構成されたことを特徴としている。
また、本発明の生体検知方法は、画像採取手段の採取面に接触しながら移動する被検体の外皮表面の画像を該画像採取手段により連続的に採取する画像採取ステップと、該画像採取ステップで連続的に採取された複数の画像に基づいて、前記外皮の外分泌腺から分泌される分泌物を検出する分泌物検出ステップとを含むことを特徴としている。
さらに、本発明の生体検知機能を有する認証装置は、採取面に接触しながら移動する被認証者の外皮表面の画像を連続的に採取する画像採取手段と、該画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像に基づいて、前記外皮の外分泌腺から分泌される分泌物の存在を検出する分泌物検出手段と、該画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像から得られる前記被認証者の採取特徴情報と予め登録されている前記被認証者の登録特徴情報とを照合することにより前記採取特徴情報と前記登録特徴情報とが一致するか否かを判断する照合手段と、該分泌物検出手段により前記分泌物の存在が検出され、且つ、該照合手段により前記採取特徴情報と前記登録特徴情報とが一致すると判断された場合、前記被認証者が本人であることを認証する認証手段とをそなえて構成されたことを特徴としている。
なお、該画像採取手段や前記画像採取ステップにおいて、前記外皮上に形成された、該採取面に接触しうる隆線と該採取面に接触しない谷線とから成る紋様を、該採取面に付着した前記分泌物とともに、前記外皮表面の画像として採取してもよい。このとき、該分泌物検出手段や分泌物検出ステップにおいて、該画像採取手段によって連続的に採取される複数の画像の重み付き平均画像を算出し、算出された重み付き平均画像の時間的変化に基づいて前記分泌物の存在を検出してもよく、その場合、前記重み付き平均画像中において時間経過に伴う感度値の変化を用いて、前記分泌物が該採取面に付着した部分として認識することにより、前記分泌物の存在を検出してもよい。
また、該画像採取手段としては、静電容量式センサに代表される接触式の半導体センサあるいは光学式センサを用いてもよい。さらに、前記紋様が指紋で且つ前記外分泌腺が汗腺であってもよく、この場合、前記被検体としての指(前記被認証者の指)を該採取面に対し相対的に移動させながら当該指の指紋の部分画像を連続的に採取するスウィープ型指紋センサを、該画像採取手段として用いてもよい。
上述した本発明の生体検知装置および方法によれば、グミ製人工指のような非生体には、汗,皮脂,水蒸気といった分泌物を分泌する外分泌腺(汗腺)が存在しないことに着目し、生体であればその外皮の外分泌腺から必ず分泌される分泌物の有無を、画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像に基づいて調べ、分泌物の存在が検出された場合に被検体が生体であることを検知している。これにより、被検体が生体であるか否かを確実に検知でき、例えばグミ製人工指等の非生体を確実に識別することが可能になる。
また、上述した、本発明の生体検知機能を有する認証装置によれば、例えば指紋,掌紋,血管パターン等の生体情報を用いて個人認証を行なうべく被認証者から生体情報を取得する際に、上述した生体検知装置や方法と同様の手法を用いて分泌物の有無を調べ、分泌物の存在が検出され且つ採取特徴情報と登録特徴情報とが一致すると判断された場合に被認証者が本人であることが認証される。これにより、生体取得対象である被検体が生体であるか否かを確実に検知でき、例えばグミ製人工指を確実に識別し、偽造指紋を用いた成りすまし行為による不正利用を確実に排除し、より信頼性の高い個人認証を実現することができる。
このとき、本発明の認証装置によれば、生体情報を採取するための既存の画像採取手段をそのまま用いて生体検知を行なうことができるので、生体検知を行なうための機器(ハードウェア)を新たに追加する必要がなく、設備コスト等の増大を招くことなく生体検知機能を実現することができる。
図1は本発明の一実施形態としての生体検知機能を有する認証装置の構成を示すブロック図である。 図2(A)〜図2(D)は、いずれも本実施形態における生体検知手法(汗検知手法)の原理を説明するための図であり、図2(A)〜図2(C)はそれぞれスウィープ型指紋センサによって得られる部分画像の例を示す図、図2(D)は図2(A)〜図2(C)に示す部分画像の重み付き平均画像(重畳画像)を示す図である。 図3は、本実施形態における生体検知手法(汗検知手法)の原理を説明すべく、スウィープ型指紋センサによって得られる、指紋および汗についての画像強度(感度値)の時間変化を示すグラフである。 図4は本実施形態の認証装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図5は本実施形態における生体検知手順(汗検知部の動作)を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態としての生体検知機能を有する認証装置の構成を示すブロック図である。この図1に示す本実施形態の認証装置は、被認証者の指紋(生体情報)を用いてこの被認証者が本人であることを認証するためのもので、静電容量式スウィープ型指紋センサ(画像採取手段)10,汗検知部(分泌物検出手段)20,指紋照合部(照合手段)30,認証部(認証手段)40,指紋データ生成部50および登録指紋データ記憶部60をそなえて構成されている。
静電容量式スウィープ型指紋センサ(画像採取手段)10は、採取面(センサ面)11に接触しながら移動する、被認証者の外皮表面の画像を連続的に採取するもので、より具体的には、被認証者の指100を採取面11に対し相対的に移動させながらその指100の指紋の部分画像を連続的に採取するものである。
ここで、指紋は、被認証者の外皮(指;被検体)上に形成されており、採取面11に接触しうる隆線(接触部分)と採取面11に接触しない谷線(非接触部分/空隙部分)とから成る紋様である。指紋センサ10は、採取面11に接触する隆線部分と採取面11に接触しない谷線部分とで検知感度が異なることを利用して、指紋画像を多値画像として採取している。静電容量式センサでは、センサからの距離に応じて輝度が異なっており、通常はセンサとの距離が近い隆線部分が低輝度で表示され、センサとの距離が比較的遠い谷線部分が高輝度で表示される。
このとき、生体である指100の表面上(隆線上)には、多数の汗腺(外分泌腺)が開口しており、これらの汗腺から、常時、汗,皮脂,水蒸気といった分泌物が分泌されている。このため、指紋画像を採取すべく指100を採取面11に対して接触移動させると、その指が生体であれば間違いなく汗腺からの分泌物が採取面11に付着する。指紋センサ10は、上述のごとく採取面11に付着した分泌物を、隆線部分と同様に映像化し、上記部分画像中においては低輝度のパターンとして採取することになる。
ところで、被認証者から指紋画像を採取する一般的な指紋センサは、通常、指の大きさよりも大きいセンサ面(採取面)を有している。しかし、近年、指紋センサを携帯電話やPDAといった小型情報機器に搭載するために、センサ面の大きさを指の大きさよりも小さくし、そのセンサ面を通じて連続的に採取された複数の部分画像を統合して指紋全体の画像を得ることが行なわれている。本実施形態で用いられる静電容量式スウィープ型指紋センサ10は、このような状況に対応したもので、図1に示すごとく、指100の長さよりも十分に短く、小面積の矩形採取面(センサ面/撮像面)11を有している。
そして、指100を採取面11に対して移動させるか、または、採取面11(指紋センサ10)を指100に対して移動させるかしながら、指紋センサ10によって、指100の指紋について複数の部分画像を連続的に採取し、指紋データ生成部50が、採取された複数の部分画像から、指100の指紋画像の全体を再構成するようになっている。上述のような、採取面11に対する指100の相対的移動のことを、「スウィープ(sweep)」と呼ぶ。
指紋データ生成部50は、上述のごとく指紋画像の全体を再構成し、その指紋画像から、特徴点(隆線の分岐点や端点)の情報を、照合に必要な指紋データ(被認証者の採取特徴情報)として抽出・生成する。
一方、汗検知部(分泌物検出手段)20は、指紋センサ10によって連続的に採取された複数の部分画像に基づいて、指100の外分泌腺(汗腺)から分泌される分泌物の存在を検出するためのもので、上記複数の部分画像の重み付き平均画像を算出し、算出された重み付き平均画像の時間的変化に基づいて分泌物の存在を検出するものである。静電容量式センサを用いた場合では、算出された前記重みつき平均画像中において隆線や分泌物は周囲と比べて低輝度値となるので、画像の輝度が低いほど分泌物に対する感度高いと定義する。光学式センサを用いた場合では、隆線や分泌物は周囲と比べて高輝度値となるので、画像の輝度が高いほど分泌物に対する感度が高いと定義する。このとき、本実施形態の汗感知部20は、算出された前記重み付き平均画像中において時間経過に伴い高感度値から低感度値への変化が周囲と比べて緩やかである部分を、分泌物が採取面11に付着した部分として認識し、分泌物の存在を検出している。なお、分泌物としては、上述した通り、汗,皮脂,水蒸気などが考えられるが、ここでは汗に代表させ、以下、分泌物のことを「汗」と記述する。
ここで、本実施形態の汗検知部20による汗検知手法(生体検知手法)の原理について、図2(A)〜図2(D)および図3を参照しながら説明する。なお、図2(A)〜図2(C)は、それぞれ、時刻T,T+t,T+k(k>t>0)に指紋センサ10によって撮像された部分画像の例を示す図、図2(D)は図2(A)〜図2(C)に示す部分画像の重み付き平均画像(つまり、時刻T〜T+kに得られた部分画像の重み付き平均画像)を示す図である。また、図3は、指紋センサ10によって得られる、指紋および汗についての画像強度(感度値)の時間変化を示すグラフである。
汗検知部20は、隆線のように移動する像ではないパターンを、生体(指100)から分泌された汗等が採取面11に付着したものとして検知すべく、複数の部分画像の重み付き平均画像を用い、指紋センサ10により撮像した複数の指紋部分画像において、指紋画像(隆線画像)と汗画像とを分離している。本実施形態では、汗検知部20により汗画像(分泌物)が分離され汗画像の存在が検出・確認された場合、被認証者の指が生体であることが検知される。
本実施形態の指紋センサ10で指紋画像を採取する際、指100が時間とともに移動しているので、図2(A)〜図2(C)に示すように、隆線画像は時々刻々位置を変える。このため、各部分画像上の同じ位置に同じパターン(隆線画像)が出現する可能性は著しく低く、図2(D)に示すように、複数の部分画像から得られた重み付き平均画像(重畳画像)において、隆線に対応する画像は平均化され、隆線の画像情報(画像強度)は薄れることになる。
これに対し、分泌物である汗(あるいは皮脂,水蒸気など)が採取面11に一旦付着すると、図2(A)〜図2(C)に示すように、汗はスウィープ動作に伴いそのスウィープ方向へ引き摺られて広がる。そして、その汗が指100によって拭い去られるかもしくは採取面11から蒸発するまでの間、各部分画像の同じ位置に、汗によるパターン(汗画像)が出現したままとなる。このため、図2(D)に示すように、複数の部分画像から得られた重み付き平均画像(重畳画像)において、汗に対応する画像は、周囲と比べて強調されることになる。
ただし、前述した通り、採取面11に付着した汗等は、時間が経過するにつれてスウィープ動作に伴い指100で拭い去られるかもしくは採取面11から蒸発することにより、映像化されなくなるので、古い画像の情報は無意味となる。そのため、常に新しい部分画像を用いて、移動しないパターン(つまり汗画像)を反映した重み付き平均画像G(i,j,K)を算出するには、例えば下式(1)を用いる。
G(i,j,K) = wF(i,j,K-k) + (1-w) G(i,j,K-1) (1)
ここで、0 < w < 1
このような式(1)を用い、入力画像F(i,j,K-k)に対して重みw(k)を乗じてn枚の部分画像についての重み付き平均画像G(i,j,K)を演算したものを、移動していないパターン(つまり汗画像)とみなす。ここで、nは所定時間内に取得される画像枚数と定義してもよいし、所定距離内に取得される画像枚数と定義してもよい。また、重みw(k)は、新しい部分画像ほど(つまりkが小さいほど)大きくなるように設定されている。
そして、本実施形態の汗検知部20は、式(1)によって算出された重み付き平均画像G(i,j,K)中において時間経過に伴い低感度値から高感度値に変化する部分を、汗等が採取面11に付着した部分として認識し、分泌物の存在を検出する。
このとき、演算時間と使用メモリ量とを低減するために、上式(1)に代え、例えば下式(2)を用いて重み付き平均画像G(i,j,K)を算出してもよい。
G(i,j,K) = Σ[w(k)・F(i,j,K-1)+G(i,j,K-1)] (2)
なお、静電容量式スウィープ型指紋センサ10を用いて指紋画像を採取する際、通常、図1に示す矢印Aのごとく、指100を、その腹の部分から指先へ向けて移動させることになる。一般に、指100の腹の部分では、隆線がスウィープ方向(図1の矢印A方向)とほぼ平行に存在し、指100の先端部分では、隆線がスウィープ方向と交わる方向に存在する傾向にある。
従って、上述のごとく平均画像を算出した場合、図3に示すように、指100の腹側の平均画像では隆線の画像強度が極めて高く汗画像の強度が低いため、汗画像を部分画像から分離することは困難である。
これに対し、図3に示すように、指100の先端側では、隆線の画像強度が低く汗画像の強度が高くなるため、汗画像を部分画像から容易に分離・認識することが可能になる。このため、本実施形態の汗検知部20では、隆線画像の影響を受けない指先側の部分画像群を用いて重み付き平均画像を算出し、汗(分泌物)の存在を検出することが望ましい。
指紋照合部(照合手段)30は、指紋データ生成部50によって得られた採取指紋データ(被認証者の採取特徴情報)と、登録指紋データ記憶部60に予め登録されている被認証者の登録指紋データ(登録特徴情報)とを照合することにより、これらの採取指紋データと登録指紋データとが一致するか否かを判断するものである。
認証部(認証手段)40は、汗検知部20により汗等(分泌物)の存在が検出され、且つ、照合部30により採取指紋データと登録指紋データとが一致すると判断された場合、被認証者が本人であることを認証するものである。つまり、本実施形態の認証部40は、汗検知部20により汗等の分泌物の存在が検出されていない場合(採取面11に接触した被検体が生体であることを確認できない場合)、照合部30による指紋照合結果に関わらず、常に認証失敗(被認証者が本人ではないという非認証情報)を出力するようになっている。
なお、上述した本実施形態の認証装置は、例えばパーソナルコンピュータに静電容量式スウィープ型指紋センサ10を付設することにより実現される。その際、汗検知部20,指紋照合部30,認証部40および指紋データ生成部50としての機能は、所定のプログラムをパーソナルコンピュータ内のCPU(Central Processing Unit)で実行することにより実現され、登録指紋データ記憶部60としての機能は、パーソナルコンピュータ内の記憶装置(例えばハードディスク,RAM,ROM等)あるいはパーソナルコンピュータに外付けされた記憶装置などによって実現される。
次に、上述のごとく構成された、本実施形態の認証装置の動作を、図4に示すフローチャート(ステップS10〜S100)に従って説明する。
図4に示すように、はじめに指紋センサ10の初期調整を行なう(ステップS10)。この初期調整としては、例えば、指情報を適切に検出するためのゲイン調整などを行なう。この後、被認証者は指(被検体)100を指紋センサ10の採取面11に接触させながら所定方向へ移動させ、指紋センサ10が、採取面11に接触しながら移動する指100の指紋画像を連続的に採取する(ステップS20)。このとき、被検体が生体であれば汗腺等の外分泌腺から必ず分泌される汗等の分泌物が採取面11に付着し、付着した分泌物の像が、指紋の部分画像とともに撮像され、部分画像中に含まれている。
そして、汗検知部20では、後述するような生体検知処理(汗検知処理;ステップS30)を実行し、指紋センサ10により連続的に採取された部分画像に基づいて、指100の外分泌腺(汗腺)から分泌される汗が存在するか否かを検知する。
ここで、図5に示すフローチャート(ステップS31〜S38)を参照しながら、汗検知部20の動作(生体検知処理/汗検知処理)について説明する。
汗検知部20では、指紋センサ10により採取された部分画像を一つずつ取り込み(ステップS31)、その部分画像が指100の先端側に属するものか否かを判定する(ステップS32)。このような判定を行なう理由は、図3を参照しながら前述したように、汗(分泌物)の存在を確実に検出するためには、隆線画像の影響を受けない指先側の部分画像群を用いることが望ましいからである。なお、ステップS32での判定は、例えば、指紋採取開始後の経過時間が所定時間に達したか否か、あるいは、採取した部分画像の数が所定数に達したか否かを判定することにより行なわれる。
部分画像が指100の先端側に属していない場合(ステップS32のNOルート)、ステップS31に戻って次の部分画像を取り込み、ステップS32による判定を行なう。一方、部分画像が指100の先端側に属している場合(ステップS32のYESルート)、上式(1)もしくは上式(2)を用いて重み付き平均画像を算出する(ステップS33)。
そして、所定数(上式(1),(2)ではn個)の部分画像に基づいて重み付き平均画像が算出されたか否かを判定し(ステップS34)、算出に用いられた部分画像の数が所定数に達していない場合(ステップS34のNOルート)、ステップS31に戻って次の部分画像を取り込み、上述と同様の処理(ステップS32〜S34)を行なう。
ステップS33での算出に用いられた部分画像の数が所定数に達している場合(ステップS34のYESルート)、今回得られた重み付き平均画像中において、前回得られた重み付き平均画像よりも画像強度(感度値)が所定値以上大きくなった部分(低感度値から高感度値へ変化した部分)が存在するか否かを判定する(ステップS35)。
このような変化部分は、図2(A)〜図2(D)を参照しながら説明した通り、汗等の分泌物が採取面11に付着して撮像された画像(汗画像)に対応する部分である。従って、上記変化部分の存在判定を行なうことは、汗等の分泌物が被検体(指100)から分泌されているか否かを判定すること、つまりは、被検体(指100)が生体であるか否かを判定することになる。
上記変化部分が存在する場合(ステップS35のYESルート)、汗の存在を検出した旨(つまり被検体の指100が生体である旨)を認証部40に通知する(ステップS36)。
一方、上記変化部分が存在しない場合(ステップS35のNOルート)、最後の部分画像を取り込んだか否かを判定し(ステップS37)、最後まで取り込んでいない場合(ステップS37のNOルート)、ステップS31に戻り上述と同様の処理(ステップS31〜S37)を繰り返し実行する。また、部分画像を最後まで取り込んだ場合(ステップS37のYESルート)、汗の存在を検出できなかった旨(つまり被検体の指100が生体でない旨)を認証部40に通知する(ステップS38)。
汗検知部20で上述のような汗検知処理を実行するのと並行して、指紋データ生成部50では、指紋センサ10により連続的に採取された部分画像から指紋画像の全体が再構成され、その指紋画像から特徴点(隆線の分岐点や端点)の情報が照合に必要な指紋データ(被認証者の採取特徴情報)として抽出・生成される(ステップS40)。
そして、認証部40では、汗検知部20からの通知に基づいて被検体(指100)が生体か否かを認識する(ステップS50)。汗検知部20から、汗の存在を検知できなかった旨の通知を受けた場合、被検体(指100)が生体ではないと認識され(ステップS50のNOルート)、認証に失敗した旨(被認証者が本人ではないという非認証情報)が、被認証者やシステム管理者等に通知される(ステップS100)。このとき、被検体(指100)が生体ではなかった旨、つまり偽造指紋が使用された旨をシステム管理者等に通知するようにしてもよい。
汗検知部20から、汗の存在を検知した旨の通知を受けた場合、被検体(指100)が生体であると認識され(ステップS50のYESルート)、指紋照合部30による指紋照合が実行される。つまり、指紋照合部30において、登録指紋データ記憶部60から被認証者の登録指紋データが読み出され(ステップS60)、この登録指紋データと、指紋データ生成部50(ステップS40)からの採取指紋データとが照合され(ステップS70)、これらの採取指紋データと登録指紋データとが一致するか否かが判断される(ステップS80)。
これらの指紋データが一致した場合(ステップS80のYESルート)、被認証者が本人であることが認証され、その旨が被認証者やシステム管理者等に通知される(ステップS90)。また、採取指紋データと登録指紋データとが不一致であった場合(ステップS80のNOルート)、認証に失敗した旨(被認証者が本人ではないという非認証情報)が、被認証者やシステム管理者等に通知される(ステップS100)。
このように本発明の一実施形態によれば、グミ製人工指のような非生体には、汗を分泌する汗腺(外分泌腺)が存在しないことに着目し、生体であればその外皮の汗腺から必ず分泌される汗の有無を、静電容量式スウィープ型指紋センサ10によって連続的に採取された複数の画像に基づいて調べ、汗の存在が検出された場合に被検体(被認証者の指100)が生体であることを検知している。これにより、被検体が生体であるか否かを確実に検知でき、例えばグミ製人工指等の非生体を確実に識別することが可能になる。
また、本実施形態のように指紋を用いて個人認証を行なうべく被認証者から指紋画像を取得する際に、汗の有無を調べ、汗の存在が検出され且つ照合結果が一致すると判断された場合に被認証者が本人であることが認証される。従って、生体取得対象である被検体(指100)が生体であるか否かを確実に検知でき、例えばグミ製人工指を確実に識別し、偽造指紋を用いた成りすまし行為による不正利用を確実に排除し、より信頼性の高い個人認証を実現することができる。
このとき、本実施形態の認証装置によれば、指紋画像を採取するための静電容量式スウィープ型指紋センサ10をそのまま用いて生体検知を行なうことができるので、生体検知を行なうための機器(ハードウェア)を新たに追加する必要がなく、設備コスト等の増大を招くことなく生体検知機能を実現することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、被検体が人の指であり生体情報として指紋画像を採取する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、被検体としての掌から、掌紋画像や血管パターン画像等を生体情報として採取する場合にも上述と同様に適用され、上述と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明は、被検体として牛等の鼻から、鼻紋画像を生体情報として採取する場合にも上述と同様に適用され、上述と同様の作用効果を得ることができる。
また、上述した実施形態では、指紋センサが静電容量式である場合について説明したが、光学式のものを用いてもよい。
さらに、上述した実施形態では、指紋センサとして、小面積の矩形採取面を有するスウィープ型の指紋センサを用いているが、指の大きさよりも大きい採取面を有する一般的な指紋センサを用いてもよい。ただし、この場合、指を静止させた状態で指紋画像全体を採取するのとは別に、指紋センサの採取面上で指を適当量だけ移動させることにより、汗等の分泌物の存在を上述と同様にして検出し、生体検知を行なうことになる。
以上のように、本発明によれば、生体であればその外皮の外分泌腺から必ず分泌される分泌物の有無を、画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像に基づいて調べ、分泌物の存在が検出された場合に被検体が生体であることを検知する。これにより、被検体が生体であるか否かを確実に検知でき、例えばグミ製人工指等の非生体を確実に識別し、偽造指紋を用いた成りすまし行為による不正利用を確実に排除し、より信頼性の高い個人認証を実現することができる。
従って、本発明は、例えば指紋,掌紋等の生体情報を用いて個人認証を行なう認証装置に適用して好適であり、その有用性は極めて高いものと考えられる。

Claims (24)

  1. 採取面に接触しながら移動する被検体の外皮表面の画像を連続的に採取する画像採取手段と
    該画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像に基づいて、前記外皮の外分泌腺から分泌される分泌物の存在を検出する分泌物検出手段とをそなえて構成されたことを特徴とする、生体検知装置。
  2. 該画像採取手段が、前記外皮上に形成された、該採取面に接触しうる隆線と該採取面に接触しない谷線とから成る紋様を、該採取面に付着した前記分泌物とともに、前記外皮表面の画像として採取することを特徴とする、請求項1記載の生体検知装置。
  3. 該分泌物検出手段が、該画像採取手段によって連続的に採取される複数の画像の重み付き平均画像を算出し、算出された重み付き平均画像の時間的変化に基づいて前記分泌物の存在を検出することを特徴とする、請求項2記載の生体検知装置。
  4. 該分泌物検出手段が、前記重み付き平均画像中において時間経過に伴い低感度値から高感度値に変化する部分を、前記分泌物が該採取面に付着した部分として認識することにより、前記分泌物の存在を検出することを特徴とする、請求項3記載の生体検知装置。
  5. 該画像採取手段が、静電容量式センサに代表される接触式の半導体センサであることを特徴とする、請求項1請求項4のいずれか一項に記載の生体検知装置。
  6. 該画像採取手段が、光学式センサであることを特徴とする、請求項1請求項4のいずれか一項に記載の生体検知装置。
  7. 前記紋様が指紋であり、前記外分泌腺が汗腺であることを特徴とする、請求項1請求項6のいずれか一項に記載の生体検知装置。
  8. 該画像採取手段が、前記被検体としての指を該採取面に対し相対的に移動させながら当該指の指紋の部分画像を連続的に採取するスウィープ型指紋センサであることを特徴とする、請求項7記載の生体検知装置。
  9. 画像採取手段の採取面に接触しながら移動する被検体の外皮表面の画像を、該画像採取手段により連続的に採取する画像採取ステップと、
    該画像採取ステップで連続的に採取された複数の画像に基づいて、前記外皮の外分泌腺から分泌される分泌物を検出する分泌物検出ステップとを含むことを特徴とする、生体検知方法。
  10. 前記画像採取ステップにおいて、前記外皮上に形成された、該採取面に接触しうる隆線と該採取面に接触しない谷線とから成る紋様を、該採取面に付着した前記分泌物とともに、前記外皮表面の画像として採取することを特徴とする、請求項9記載の生体検知方法。
  11. 前記分泌物検出ステップにおいて、前記画像採取ステップで連続的に採取される複数の画像の重み付き平均画像を算出し、算出された重み付き平均画像の時間的変化に基づいて前記分泌物の存在を検出することを特徴とする、請求項10記載の生体検知方法。
  12. 前記分泌物検出ステップにおいて、前記重み付き平均画像中において時間経過に伴い低感度値から高感度値に変化する部分を、前記分泌物が該採取面に付着した部分として認識することにより、前記分泌物の存在を検出することを特徴とする、請求項11記載の生体検知方法。
  13. 前記画像採取手段が、静電容量式センサに代表される接触式の半導体センサであることを特徴とする、請求項9請求項12のいずれか一項に記載の生体検知方法。
  14. 該画像採取手段が、光学式センサであることを特徴とする、請求項9請求項12のいずれか一項に記載の生体検知方法。
  15. 前記紋様が指紋であり、前記外分泌腺が汗腺であることを特徴とする、請求項9請求項14のいずれか一項に記載の生体検知方法。
  16. 該画像採取手段が、前記被検体としての指を該撮像面に対し相対的に移動させながら当該指の指紋の部分画像を連続的に採取するスウィープ型指紋センサであることを特徴とする、請求項15記載の生体検知方法。
  17. 採取面に接触しながら移動する、被認証者の外皮表面の画像を連続的に採取する画像採取手段と
    該画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像に基づいて、前記外皮の外分泌腺から分泌される分泌物の存在を検出する分泌物検出手段と
    該画像採取手段によって連続的に採取された複数の画像から得られる前記被認証者の採取特徴情報と、予め登録されている前記被認証者の登録特徴情報とを照合することにより、前記採取特徴情報と前記登録特徴情報とが一致するか否かを判断する照合手段と
    該分泌物検出手段により前記分泌物の存在が検出され、且つ、該照合手段により前記採取特徴情報と前記登録特徴情報とが一致すると判断された場合、前記被認証者が本人であることを認証する認証手段とをそなえて構成されたことを特徴とする、生体検知機能を有する認証装置。
  18. 該画像採取手段が、前記外皮上に形成された、該採取面に接触しうる隆線と該採取面に接触しない谷線とから成る紋様を、該採取面に付着した前記分泌物とともに、前記外皮表面の画像として採取することを特徴とする、請求項17記載の生体検知機能を有する認証装置。
  19. 該分泌物検出手段が、該画像採取手段によって連続的に採取される複数の画像の重み付き平均画像を算出し、算出された重み付き平均画像の時間的変化に基づいて前記分泌物の存在を検出することを特徴とする、請求項18記載の生体検知機能を有する認証装置。
  20. 該分泌物検出手段が、前記重み付き平均画像中において時間経過に伴い低感度値から高感度値に変化する部分を、前記分泌物が該採取面に付着した部分として認識することにより、前記分泌物の存在を検出することを特徴とする、請求項19記載の生体検知機能を有する認証装置。
  21. 該画像採取手段が、静電容量式センサに代表される接触式の半導体センサであることを特徴とする、請求項17請求項20のいずれか一項に記載の生体検知機能を有する認証装置。
  22. 該画像採取手段が、光学式センサであることを特徴とする、請求項17請求項20のいずれか一項に記載の生体検知機能を有する認証装置。
  23. 前記紋様が指紋であり、前記外分泌腺が汗腺であることを特徴とする、請求項17請求項22のいずれか一項に記載の生体検知機能を有する認証装置。
  24. 該画像採取手段が、前記被認証者の指を該採取面に対し相対的に移動させながら当該指の指紋の部分画像を連続的に採取するスウィープ型指紋センサであることを特徴とする、請求項23記載の生体検知機能を有する認証装置。
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