JP4088481B2 - 硬化性樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性でなおかつ一液で安定に優れるという水溶性高分子化合物の特徴を維持しつつ、水分が除去された後に耐水性に優れるという特徴を有する硬化性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物は、接着剤、繊維処理剤、乳化剤、バインダー、新聞の刷版材、農業用ボトル、衣料用包装材、液晶ディスプレー等に広く用いられているが、耐水性に劣るという欠点がある。水溶性高分子化合物の一つにアミン変性水溶性高分子化合物があるが、このアミン変性水溶性高分子化合物の耐水性を向上させる手法としては、該化合物にアルデヒド化合物、メチロール化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、酸化剤等の反応試剤を反応させる方法が知られている。
【0003】
しかし、これらの手法では、アミン変性水溶性高分子化合物の使用時には、アミン変性水溶性高分子化合物を含有する液と、上記反応試剤を含有する液の2液を用いる必要があり、作業性に制限があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水溶性の段階において貯蔵安定性に優れ、水分が蒸発した後に、優れた耐水性を発現し得る一液性の硬化性樹脂を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、アミン変性又はメルカプト変性水溶性高分子化合物を、(メタ)アクリロイル基及び反応性珪素基を有する化合物、又は分子内にイソシアネート基及反応性珪素基を有する化合物を反応させて得た高分子化合物が、本発明の目的を達成し得ることを見出だし、本発明を完成するに到った。
【0006】
すなわち、本発明は、分子内にアミノ基又はメルカプト基を有する水溶性高分子化合物(化合物(a))と分子内にアクリロイル基若しくはメタクリロイル基及び反応性珪素基を有する化合物(化合物(b))又は分子内にイソシアネート基及び反応性珪素基を有する化合物(化合物(c))との反応生成物からなる硬化性樹脂を要旨とする。
又、本発明の硬化性樹脂は、化合物(a)が、第一級アミノ基含有ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
又、本発明の硬化性樹脂は、化合物(b)が、その分子内にマイケル付加反応由来の窒素原子及び/又は硫黄原子を含有する化合物であることを特徴とする。又、本発明の硬化性樹脂は、化合物(c)が、その分子内にウレタン結合、チオウレタン結合、尿素結合及び置換尿素結合から選ばれる1種又は2種以上の結合を有する化合物であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる化合物(a)は、その分子内にアミノ基又はメルカプト基を有する水溶性高分子化合物である。該アミノ基は、第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基である。化合物(a)としては、アミン変性ポリビニルアルコール、メルカプト変性ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン等を代表例として挙げることができる他、N−ビニル−2−ピロリドンとアリルアミンとの共重合体等を挙げることができる。
【0008】
アミン変性ポリビニルアルコール、メルカプト変性ポリビニルアルコール及びポリアリルアミンは、広く市販されているので、それら市販品を用いるのが好適である。アミン変性ポリビニルアルコールの市販品としては、例えば、第一級アミノ基含有ポリビニルアルコールである株式会社クラレ製、商品名:AG1−001L、AG1−002L等が、メルカプト変性ポリビニルアルコールの市販品としては、例えば、株式会社クラレ製、商品名:M05、M215、M115等が、ポリアリルアミンの市販品としては、例えば、日東紡績株式会社製、商品名:PAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−15、PAA−15B、PAA−10C、PAA−H−10C等が挙げられる。これらの中でも特に、第一級アミノ基含有ポリビニルアルコールが好ましい。
【0009】
化合物(b)は、その分子内にアクリロイル基若しくはメタクリロイル基及び反応性珪素基を有する化合物であり、下記に例示する化合物を用いることができる。
化合物(b)としては、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は市販されているので、それら市販品を用いることが好適である。
【0010】
本発明においては、化合物(b)は、特に下記一般式(1)で示される多価 (メタ)アクリレート系化合物と、下記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物を反応させる方法で得られるマイケル付加由来の窒素原子及び/又は硫黄原子を含有する化合物が好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
但し、Aは分子末端に下記一般式(2)(a)で示される基と他の分子末端に下記一般式(2)(b)で示される基を有する(メタ)アクリル系化合物の残基を、R1 は水素原子又はメチル基を、R2 は水素原子又はメチル基を、m及びnは1〜3の整数をそれぞれ示す。
【0013】
【化2】
但し、一般式(2)におけるR1 及びR2 は上記と同意義である。
【0014】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0015】
上記一般式(3)〜(10)におけるR3 は水素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基を、R4 は水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を、qは1〜3の整数を、R5 は炭素数1〜10個の側鎖があっても良いアルキレン基又はアリーレン基を、R6 は水素原子又は式−COOR7 で示される基(R7 は分子量500以下の有機基を示す。)を、R8 は水素原子又はメチル基を、R9 はフェニル基、シクロヘキシル基又は炭素数1〜20個の置換又は非置換の一価の有機基を、R10は炭素数1〜20個のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を、R11は水素原子、フェニル基又は炭素数1〜20個の置換若しくは非置換の一価の有機基を、R12は分子量500以下の置換又は非置換の二価の有機基をそれぞれ示す。
【0016】
又、Zは水素原子、OR13、R13又はNH2 であり、R13は水素原子、分子量500以下の有機基又は下記一般式(11)で示される基を示し、
【化11】
(R3 、R4 及びR5 は上記と同意義であり、qは1〜3の整数をそれぞれ示す。)
V1 、W1 及びV2 は下記一般式(12)、(13)、(14)又は(15)で示される基を、それぞれ示し、W2 は、V2 が一般式(12)のとき一般式(12)、(13)、(14)又は(15)、V2 が一般式(13)のとき一般式 (12)、(13)、(14)又は(15)、V2 が一般式(14)のとき一般式(12)、(13)又は(14)、V2 が一般式(15)のとき水素原子をそれぞれ示す。
【0017】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
但し、上記一般式(12)、(13)、(14)及び(15)におけるR6 、R8 、R9 、R10及びZは上記と同意義である。
【0018】
上記一般式(1)で示される多価(メタ)アクリレート系化合物は、ブタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオール化合物のポリアクリレート若しくはポリメタクリレートであり、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、上記ポリオール化合物のポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物として市販されている共栄化学株式会社製、商品名:エポキシエステル40EM、70PA、200PA、80MF、3002M、30002A等も使用可能である。
【0019】
以下、上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)及び(10)で示される化合物について述べる。
【0020】
上記一般式(3)で示される化合物は、下記一般式(16)で示される化合物と下記一般式(17)で示される化合物を反応することにより製造することができる。下記一般式(16)におけるR3 、R4 、R5 及びq並びに下記一般式 (17)におけるR6 、R8 及びZは前記と同意義である。一般式(16)で示される化合物と一般式(17)で示される化合物の反応は、20〜100℃で1〜200時間行われる。
【0021】
【化16】
【化17】
【0022】
一般式(16)で示される化合物(以下、化合物(d)という。)としては、第一級アミノ基及び加水分解性基含有珪素基をそれぞれ一つ持つ化合物であるγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
一般式(17)で示される化合物は、(メタ)アクリル化合物、その他の化合物等(以下、これらを化合物(e)という。)及びマレイン酸ジエステル(以下、化合物(f)という。)の中から任意の化合物を選択することができ、それらは1種に限らず、2種以上を用いることができる。
【0024】
化合物(e)としては、(メタ)アクリル化合物である、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−オクチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の他、東亞合成化学工業株式会社製の商品名:アロニックスM−102,M−111,M−114,M−117、日本化薬株式会社製の商品名:カヤハード TC110S,R629,R644、大阪有機化学株式会社製の商品名:ビスコート3700等が挙げられる。
【0025】
更に、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグルシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート等の多官能性化合物及び該多官能性化合物の市販品としての、三菱化学株式会社製の商品名:ユピマーUV,SA1002,SA2007、大阪有機化学株式会社製の商品名:ビスコート700、日本化薬株式会社製の商品名:カヤハード R604,DPCA−20,DPCA−30,DPCA−60,DPCA−120,HX−620,D−310,D−330、東亞合成化学工業株式会社製の商品名:アロニックスM−210,M−215,M−315,M−325等が挙げられる。
【0026】
上記の化合物の他、アルコキシシリル基を有するγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
その他の化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、クロトン酸、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
【0028】
上記化合物の他、その内部に弗素原子、硫黄原子又はリン原子を含む化合物も含まれる。弗素原子を含む化合物としては、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等が、リン原子を含む化合物としては、(メタ)アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0029】
上記化合物(e)の中でも、反応のし易さ、広く市販され入手の容易さの点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が好ましい。
【0030】
化合物(f)(マレイン酸ジエステル)としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、マレイン酸ジオクチル等が挙げられ、これらは1種又は2種以上使用できる。これらの中でも、反応のし易さ、広く市販され入手の容易さの点から、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシルが好ましい。
【0031】
上記一般式(4)で示される化合物は、前記一般式(16)で示される化合物とアクリロニトリルを反応することにより製造することができる。両者の反応は、20〜100℃で1〜200時間行われる。
【0032】
上記一般式(5)で示される化合物は、前記一般式(16)で示される化合物と下記一般式(18)で示される化合物を反応することにより製造することができる。下記一般式(18)におけるR9 は、前記と同意義である。両者の反応は、20〜100℃で1〜200時間行われる。
【0033】
一般式(18)で示される化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、ヒドロキシフェニルモノマレイミド、N−ラウレルマレイミド、ジエチルフェニルモノマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド等が挙げられる。
【0034】
【化18】
【0035】
上記一般式(6)で示される化合物は、前記一般式(16)で示される化合物と式 R10NCOで示されるモノイソシアネート化合物を反応することにより製造することができる。上記式におけるR10は、前記と同意義である。両者の反応は、20〜100℃で1〜200時間行われる。モノイソシアネート化合物としては、イソシアン酸エチル、イソシアン酸n−ヘキシル、イソシアン酸n−デシル、イソシアン酸p−トルエンスルホニル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸2−メトキシフェニル等が挙げられる。
【0036】
上記一般式(7)で示される化合物としては、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ナフチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ナフチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(n−ブチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチル−γ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0037】
上記一般式(8)及び(9)で示される化合物は、下記一般式(19)で示される化合物と上記一般式(17)で示される化合物、アクリロニトリル、上記一般式(18)で示される化合物又は上記モノイソシアネート化合物を反応することにより製造することができる。該反応は、20〜100℃で1〜200時間行われる。
【0038】
【化19】
【0039】
一般式(19)におけるR3 、R4 、R5 、R12及びqは、前記と同意義である。第一級アミノ基、第二級アミノ基及び加水分解性基含有珪素基をそれぞれ一つ持つ一般式(19)で示される化合物(以下、化合物(g)という。)としては、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N− (2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、この他特殊アミノシランである信越化学工業株式会社製、商品名:KBM6063、X−12−896、KBM576、X−12−565、X−12−580、X−12−5263、KBM6123、X−12−575、X−12−562、X−12−5202、X−12−5204、KBE9703等が挙げられる。
【0040】
上記の化合物(g)の中でも、反応のし易さ、広く市販され入手の容易さの点から、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。これらは1種に限らず、2種以上を用いることができる。
【0041】
上記一般式(10)で示される化合物としては、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
上記一般式(1)で示される多価(メタ)アクリレート系化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物との反応は、20〜100℃で1〜200時間行われるが、200時間を超えて反応させても何ら問題はない。この際、場合によっては、重合禁止剤を存在させても良い。これらの反応(マイケル付加反応とマイケル付加反応由来の窒素原子又は硫黄原子の生成)の反応式の例を以下に示す。
【0043】
【化20】
【0044】
化合物(c)は、その分子内にイソシアネート基及び反応性珪素基を有する化合物である。化合物(c)としては、特に下記の(1)〜(5)で示される方法で得られるその分子内にウレタン結合、チオウレタン結合、尿素結合及び置換尿素結合から選ばれる1種又は2種以上の結合を有する加水分解性珪素基含有不飽和化合物が好ましい。
【0045】
(1)分子内に下記一般式(20)又は(21)で示される基及びイソシアネート基を有するモノイソシアネート化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)又は(9)で示される化合物を反応させる方法(製造方法1)。
【0046】
【化21】
【化22】
上記一般式(20)におけるR14は水素原子又はメチル基を示す。
【0047】
(2)下記一般式(22)で示される化合物と、下記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物を反応させる方法(製造方法2)。
【0048】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0049】
但し、上記一般式(22)におけるR3 、R4 、R5 及びqは上記と同意義である。又、上記一般式(23)、(24)及び(25)におけるR15は分子量1,000以下の置換又は非置換の二価の有機基を、R16は下記一般式(26)又は(27)で示される基を、上記一般式(25)におけるR17は水素原子又は分子量500以下の置換又は非置換の一価の有機基を、それぞれ示す。
【0050】
【化27】
【化28】
(R18は水素原子又はメチル基を示す。)
【0051】
(3)下記一般式(28)で示される化合物と上記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物を反応させることによって得られる下記一般式 (29)で示される化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、 (7)、(8)又は(9)で示される化合物を反応させる方法(製造方法3)。
【0052】
【化29】
【化30】
【0053】
但し、上記一般式(28)及び一般式(29)におけるR19は分子量500以下の置換又は非置換の二価の有機基を、上記一般式(29)におけるR20は下記一般式(30)、(31)又は(32)で示される基を示す。
【0054】
【化31】
【化32】
【化33】
【0055】
但し、上記一般式(30)、(31)又は(32)におけるR15及びR16は上記と同意義であり、上記一般式(32)におけるR17は上記と同意義である。
【0056】
(4)上記一般式(28)で示される化合物と上記一般式(3)、(4)、 (5)、(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物を反応させることによって得られる下記一般式(33)で示される化合物と、上記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物を反応させる方法(製造方法4)。
【0057】
【化34】
【0058】
但し、上記一般式(33)におけるにおけるR19は上記と同意義であり、R21は下記一般式(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)、(40)又は(41)で示される基を示す。
【0059】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【0060】
但し、上記一般式(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)、(40)及び(41)におけるR3 、R4 、R5 及びqは前記と同意義であり、上記一般式(34)におけるR6 、R8 、一般式(36)におけるR9 、一般式(37)におけるR10、一般式(38)におけるR11、一般式(39)と(40)におけるR12、一般式(39)におけるV1 及びW1 、一般式(40)におけるV2 及びW2 は前記と同意義である。
【0061】
(5)一般式 R22NCOで示される化合物(R22は、分子量300以下の不飽和結合を有する有機基を示す。)と上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(6)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物を反応させる方法(製造方法5)。
【0062】
製造方法1は、上記一般式(20)又は(21)で示される基及びイソシアネート基を有するモノイソシアネート化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)又は(9)で示される化合物を反応させる方法である。上記一般式(20)又は(21)で示される基及びイソシアネート基を有するモノイソシアネート化合物としては、例えば、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート等が挙げられ、これらは、市販品を用いることができる。
【0063】
分子内に上記一般式(20)又は(21)で示される基及びイソシアネート基を有するモノイソシアネート化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、 (6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物との反応は、20〜50℃で1〜200時間なされるが、200時間を超えて反応させても何ら問題はない。この際、場合によっては、重合禁止剤を存在させても良い。
【0064】
分子内に上記一般式(20)又は(21)で示される基及びイソシアネート基を有するモノイソシアネート化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、 (6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物との反応(置換尿素結合の生成)の一例を以下に示す。
【0065】
【化43】
【0066】
製造方法2は、上記一般式(22)で示される化合物と、上記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物を反応させることからなる。
【0067】
一般式(22)で示される化合物としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0068】
一般式(23)で示される化合物としては、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシプロピルアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、N−メチルロールアクリルアミド等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、アリルアルコール、アリルフェノール、オイゲノール、ヒドロキシスチレン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、プロパルギルアルコール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、ウンデシレン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−ブテン酸、フルフリルアルコール、9−デセノ−ル−1、5−ヘキセン−1−オール、2−ヒドロキシエチルビニルエ−テル、4−ヒドロキシブチルビニルエ−テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0069】
一般式(24)で示される化合物としては、フルフリルメルカプタン、アリルメルカプタン等が挙げられる。
【0070】
一般式(25)で示される化合物としては、アクリルアミド、アリルアミン、アリルアミンとモノ(メタ)アクリル化合物とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0071】
一般式(22)で示される化合物と、上記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物との反応は、20〜100℃で1〜200時間行われる。
【0072】
製造方法3は、上記一般式(28)で示される化合物と上記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物を反応させることによって得られる上記一般式(29)で示される化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)又は(9)で示される化合物を反応させることからなる。
【0073】
一般式(28)で示されるジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。以下、それらの具体例を挙げる。
【0074】
脂肪族ジイソシアネート化合物:トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等。
【0075】
脂環式ジイソシアネート化合物:1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等。
【0076】
芳香脂肪族ジイソシアネート化合物:1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン又はそれらの混合物等。
【0077】
芳香族ジイソシアネート化合物:m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等。
【0078】
一般式(28)で示されるジイソシアネート化合物と上記一般式(23)、 (24)又は(25)で示される化合物とを反応させて上記一般式(29)で示される化合物を製造する方法は、20〜100℃で1〜100時間行われる。又、一般式(29)で示される化合物と、上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)又は(9)で示される化合物との反応は、20〜100℃で1〜200時間行われるが、200時間を超えて反応させても何ら問題はない。この際、場合によっては、重合禁止剤を存在させても良い。
【0079】
製造方法4は、上記一般式(28)で示される化合物と上記一般式(3)、 (4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物を反応させることによって得られる上記一般式(33)で示される化合物と、上記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物を反応させることからなる。
【0080】
一般式(28)で示される化合物と上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物との反応は、20〜100℃で1〜200時間行われる。又、一般式(33)で示される化合物と、上記一般式(23)、(24)又は(25)で示される化合物との反応は、20〜100℃で1〜200時間行われるが、200時間を超えて反応させても何ら問題はない。この際、場合によっては、重合禁止剤を存在させても良い。
【0081】
製造方法5は、上記一般式 R22NCOで示される化合物と上記一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で示される化合物を反応させることからなる。
【0082】
上記一般式 R22NCOで示される不飽和結合を有するモノイソシアネート化合物としては、例えば、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
【0083】
上記のようにして得られた本発明の硬化性樹脂は、更に、充填材、各種添加剤等を目的性能に応じて添加することができる。
【0084】
充填材としては、炭酸カルシウム、各種処理炭酸カルシウム、フュームドシリカ、クレー、タルク、各種バルーン、金属水酸化物等が挙げられる。
各種添加剤としては、老化防止剤、チキソ性付与剤、紫外線吸収剤、顔料、各種タッキファイアー、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ビスフェノールA型やビスフェノールF型等のエポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤としては、特にアミノシランが好ましい。
【0085】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0086】
(実施例1)
(1)AG1−002L(商品名、株式会社クラレ製、第一級アミノ基含有ポリビニルアルコール)100gに水900gを加え、90℃で1時間の条件で溶解させ、アミン変性水溶性樹脂(1)を得た。
(2)KBM903(商品名、信越化学工業株式会社製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)を179.3g、メチルアクリレートを86.1gの割合で窒素雰囲気下混合しながら、23℃で7日間反応させて反応物(AS−1)を得た。
(3)KBM902(商品名、信越化学工業株式会社製、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)を163.3g、2−エチルヘキシルアクリレートを184.3gの割合で窒素雰囲気下混合しながら、23℃で7日間反応させて反応物(AS−2)を得た。
(4)窒素雰囲気下、反応物(AS−1)100g、反応物(AS−2)95gに、ネオペンチルグリコールジアクリレート(商品名:NKエステルA−NPG、新中村化学株式会社製)を141g及び3−メチルアミノプロピルアミンを5g加え、40℃で1週間反応させて反応物(AS−3)を得た。
(5)アミン変性水溶性樹脂(1)100gを反応容器に入れ、撹拌しながら反応物(AS−3)を3g加え、40℃で2日間養生して水溶性樹脂を得た。
【0087】
(参考例2)
(1)スミジュールT−80(商品名、住友バイエルウレタン株式会社製、トリレンジイソシアネート)174.2gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、撹拌混合しながら、反応物(AS−1)132.7g及び反応物(AS−2)173.8gの混合物を3時間かけて滴下し、更に室温で1時間反応させて反応物(AS−4)を得た。
(2)アミン変性水溶性樹脂(1)100gを反応容器に入れ、撹拌しながら反応物(AS−4)を2g加えて均一なるまで混合撹拌して水溶性樹脂を得た。
【0088】
(実施例3)
(1)AG1−001L(商品名、株式会社クラレ製、第一級アミノ基含有ポリビニルアルコール)100gに水900gを加え、90℃で1時間の条件で溶解させ、アミン変性水溶性樹脂(2)を得た。
(2)KBM903を17.9g、シクロヘキシルマレイミドを18.0gの割合で窒素雰囲気下混合しながら、23℃で7日間反応させて反応物(AS−5)を得た。
(3)KBM602(商品名、信越化学工業株式会社製、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)を20.6g、イソアミルアクリレートを13.8gの割合で窒素雰囲気下混合しながら、23℃で7日間反応させて反応物(AS−6)を得た。
(4)窒素雰囲気下、反応物(AS−5)17.2g、反応物(AS−6)18.0gに、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステルA−HD、新中村化学株式会社製)22.6gを加え、40℃で10日間反応させて反応物(AS−7)を得た。
(5)アミン変性水溶性樹脂(2)100gを反応容器に入れ、撹拌しながら反応物(AS−7)を3.5g加え、40℃で14日間養生して水溶性樹脂を得た。
【0089】
(実施例4)
(1)KBE603(商品名、信越化学工業株式会社製、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を26.5g、n−ブチルアクリレートを24.5gの割合で窒素雰囲気下混合しながら、50℃で7日間反応させて反応物(AS−8)を得た。
(2)窒素雰囲気下、反応物(AS−8)51.0gに、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(NKエステルA−HD)を22.6g加え、50℃で10日間反応させて反応物(AS−9)を得た。
(3)PAA−10C(商品名、日東紡績株式会社製、アリルアミン系重合物)(アミン変性水溶性樹脂(3))100gを反応容器に入れ、撹拌しながら反応物(AS−9)を2.5g加え、40℃で6日間養生して水溶性樹脂を得た。
【0090】
(実施例5)
KBM5103(商品名、信越化学工業株式会社製、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)2.3gを、アミン変性水溶性樹脂(3)100gに、撹拌しながら加えて40℃で12日間養生して水溶性樹脂を得た。
【0091】
(参考例6)
(1)N−ビニル−2−ピロリドン48gとアリルアミン2gを、450gの水に溶解して溶液を得た。この溶液の内100gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下撹拌しながら、90℃に昇温した。上記の溶液の残り400gに、アゾ系重合開始剤(商品名:VA−085、和光純薬株式会社製)2gを1時間かけて滴下した。更に、VA−085を1g加えて90℃で2時間反応させてアミン変性水溶性樹脂(4)を合成した。
(2)3官能イソシアネート化合物(商品名:LTI、協和発酵株式会社製)26.7gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下撹拌しながらKBM802(商品名:信越化学工業株式会社製、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン)を18.0g、反応物(AS−2)を45.0g加え、50℃で7日間反応させて反応物(AS−10)を得た。
(3)(1)で合成したアミン変性水溶性樹脂(4)100gを反応容器に入れ、撹拌しながら反応物(AS−10)を1.8g加え、40℃で2日間養生して水溶性樹脂を得た。
【0092】
(参考例7)
(1)M115(商品名、株式会社クラレ製、メルカプト基含有ポリビニルアルコール)100gに水900gを加え、90℃で1時間の条件で溶解させ、メルカプト変性水溶性樹脂(1)を得た。
(2)メルカプト変性水溶性樹脂(1)100gを反応容器に入れ、撹拌しながら反応物(AS−3)を3g加え、50℃で7日間養生して水溶性樹脂を得た。
【0093】
(性能評価)
実施例1、3〜5、参考例2、6〜7で得られた水溶性樹脂、上記で得られたアミン変性水溶性樹脂 (1)〜(4)及びメルカプト変性水溶性樹脂(1)を各20g計り取り、離型紙の上に塗り広げた後、相対湿度50%、温度23℃の条件で10日間養生し、硬化皮膜を形成させた。
【0094】
実施例1、3、参考例2の水溶性樹脂の硬化皮膜並びにアミン変性水溶性樹脂(1)及びアミン変性水溶性樹脂(2)の硬化皮膜を、それぞれ80℃の熱水中にゆっくり撹拌しながら30分間放置したところ、アミン変性水溶性樹脂(1)及びアミン変性水溶性樹脂(2)の硬化皮膜は完全に溶解したのに対して、実施例1、3、参考例2の水溶性樹脂の硬化皮膜は5時間経過後膨潤したものの、溶解しなかった。
【0095】
又、実施例4〜5、参考例6の水溶性樹脂の硬化皮膜並びにアミン変性水溶性樹脂(3)及びアミン変性水溶性樹脂(4)の硬化皮膜を、それぞれ23℃の水中にゆっくり撹拌しながら30分間放置したところ、アミン変性水溶性樹脂(3)及びアミン変性水溶性樹脂(4)の硬化皮膜は完全に溶解したのに対して、実施例4〜5、参考例6の水溶性樹脂の硬化皮膜は5時間経過後膨潤したものの、溶解しなかった。
【0096】
更に、参考例7の水溶性樹脂の硬化皮膜及びメルカプト変性水溶性樹脂(1)の硬化皮膜を、それぞれ80℃の熱水中にゆっくり撹拌しながら30分間放置したところ、参考例7の水溶性樹脂の硬化皮膜は60%しか溶出しなかったのに対して、メルカプト変性水溶性樹脂(1)の硬化皮膜は完全に溶解した。
【0097】
なお、実施例1、3〜5、参考例2、6〜7で得られた水溶性樹脂、上記で得られたアミン変性水溶性樹脂(1)〜(4)及びメルカプト変性水溶性樹脂(1)を、それぞれ密閉容器に入れ、40℃で一か月貯蔵したが、それら樹脂の貯蔵前の粘度に対する貯蔵後の粘度の増加率は、いずれも1.5倍以下であった。
【0098】
【発明の効果】
本発明の硬化性樹脂は、貯蔵性に優れると共に、水分が除去されて形成した皮膜は耐水性や耐熱水性に優れている。しかも一液性であるので、その使用が簡易でり、作業性に富むという利点を有している。
Claims (3)
- 分子内に第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基を有する水溶性高分子化合物(化合物(a))と、分子内にアクリロイル基若しくはメタクリロイル基及び一般式(11)で示される反応性珪素基を有する化合物(化合物(b))との反応生成物からなる硬化性樹脂であって、
前記反応生成物は、化合物(a)の第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基と、化合物(b)のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基とを介して反応したものであり、
化合物(a)が、アミン変性ポリビニルアルコールまたはポリアリルアミンであることを特徴とする硬化性樹脂。
- 化合物(a)が、第一級アミノ基含有ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂。
- 化合物(b)が、その分子内にマイケル付加反応由来の窒素原子及び/又は硫黄原子を含有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂。
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