JP4088075B2 - 水処理プロセスハイブリッド水質計測装置及びこれを有する水処理システム - Google Patents

水処理プロセスハイブリッド水質計測装置及びこれを有する水処理システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理水の水質要素のうち水処理に関わる所定の水質要素の量を計測、推定する水処理プロセスハイブリッド水質計測装置及びこれを有する水処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
汚染が進んだ下水、廃水等の被処理水は、被処理水に含まれる水質要素を所定の水処理プロセスにおいて除去して浄化した後に、河川に放流される。
【0003】
このような被処理水の水処理は、化学的酸素要求量(COD : Chemical Oxygen Demand)や生物化学的酸素要求量(BOD : Biochemical Oxygen Demand)と呼ばれる有機物量の測定値が法律等で定められた所定の基準値以下となるように、管理され制御されている。
【0004】
被処理水の水処理は、微生物の代謝を利用した通常活性汚泥法によって、被処理水のCODやBODの値を低下させることにより行われるのが一般的である。
【0005】
この活性汚泥法は、微生物が有機物と酸素を利用した呼吸により増殖することを利用して、被処理水の有機物を微生物自身の細胞要素に変換し、この微生物を汚泥として水処理プロセスから引き抜くことによって行われる。この時、曝気と呼ばれる空気(酸素)の被処理水への供給量を適切に管理および制御することにより、微生物の増殖を調整して、被処理水のCODやBODの値を低下させている。
【0006】
また、最近では、湖、沼、湾等の閉鎖性水域において生じている赤潮等の原因となる窒素やリン等の特定物質の除去が求められており、放流水の特定物質の量が法規制されるようになってきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、被処理水から有機物や特定物質(窒素、リン等)等の水質要素を適切に除去することが求められている。
【0008】
窒素やリン等の水質要素を被処理水から適切に除去するためには、各水質要素の除去メカニズムを詳しく把握することが必要である。例えば、窒素やリンの除去は、有機物と酸素を利用した微生物の増殖というプロセスの他に、様々なプロセスが相互に影響し合って行われる。このため、単に曝気を行っても窒素やリンを被処理水から適切に除去することはできない。従って、窒素やリンの除去は、原理的には有機物と同様に微生物の代謝を利用して行われるが、窒素やリンを適切に除去するためには微生物の代謝メカニズムを詳細に知る必要がある。
【0009】
このような背景の下で、窒素やリンの生物学的除去メカニズムの研究から得られた知見を集約した活性汚泥モデルNo.1〜No.3(ASM1〜ASM3)が、国際水環境学会(IWA:International Water Association)で公表されている。このASM1〜ASM3は、水処理プロセスへの理解、設計の支援、シナリオシミュレーション、水処理プロセスの異常/機能診断、水処理プロセスの挙動予測による運転管理、水処理プロセス制御、等への利用が期待されている。
【0010】
このように、水質要素の除去を対象とした水処理プロセスの理解が進み、そのメカニズムを数式により表現したモデルが開発され、実プロセスに対するモデルの利用方法や適用範囲の検討が進展している。
【0011】
このような研究開発を背景に、実際にモデルを利用する場合には、特定の水質要素の除去に関わる各水質要素の同定、各水質要素の量の推定、といった水質要素の特定を行う必要がある。特に、水処理によって被処理水から効果的に水質要素を除去するためには、水処理対象の被処理水の水質要素を正確に特定することが非常に重要となる。なお、ここでいう「水質要素の量」とは、水質要素の絶対量あるいは濃度を表す。
【0012】
例えば、被処理水から有機物、窒素、およびリンの除去を効果的に行うためには、以下の水質要素の絶対量や濃度等の量をできる限り正確に知ることが好ましい。すなわち、有機物、窒素、およびリンの除去に関する(a)溶存酸素濃度(DO)、(b)易生物分解性非酢酸系有機物、(c)易生物分解性酢酸系有機物、(d)難生物分解性有機物、(e)非活性溶解性有機物、(f)非活性浮遊性有機物、(g)アンモニア、(h)硝酸、(i)窒素、(j)リン酸、(k)アルカリ度、(l)硝化菌(独立栄養性細菌の一種)、(m)脱窒菌(従属栄養性細菌の一種)、(n)リン蓄積菌(従属栄養性細菌の一種)、(o)ポリヒドロキシアルカノエート(リン蓄積菌の体内貯蔵物質)、(p)ポリリン酸(リン蓄積菌の体内貯蔵物質)、等の水質要素の量をできる限り正確に知ることが好ましい。
【0013】
このように、被処理水の水質要素の量をできる限り正確に知ることによって、モデルを用いた実プロセスの挙動解析をさらに精度良く行うことが可能となる。これにより、上述のASM1〜ASM3等のモデルを実プロセスに適切に適用することができる。また、被処理水の水質要素の量を定量的に知ることができれば、モデルを利用した解析を行わなくても、この水質要素の量のみによって、水処理プロセスの処理能力をある程度把握することも可能となり、各水処理プロセスの運転管理を円滑に行うことができる。
【0014】
従って、実際の水処理プロセスの運転管理、制御、診断、設計等を適切に行うためには、被処理水の水質要素の特定を適切に行うことが、非常に重要となる。このように、「特定の水質要素」の除去に着目した実際の水処理プロセスの運転管理等においては、この「特定の水質要素」に関連する「複数の水質要素」の特定が非常に重要となる。
【0015】
一般に、被処理水の水質要素の特定は、生物学的・化学的な水質分析と、プロセスモデリングを利用したシミュレーションと、によって行われている。例えば、有機物量は、微生物の呼吸速度を計測する呼吸速度計から求められる酸素消費測度を利用して特定されることが多い(J.Keppeler and W.Guijer, "Estimation of Kinetic Parameters of Heterotrophic Biomass Under Acrobic Conditions and Characterization of Wastewater for Activated Sludge Modelling", Wat. Sci. Tech., Vol.25, No.6, pp125-139(1992)(文献1))。また、リンの除去に関わる酢酸系の有機物(揮発性脂肪酸)の量は、ガスクロマトグラフィーを用いて計測されることが多い。また、生物学的・化学的な方法では計測が難しい一部の水質要素(計測不可能水質要素)の量の推定は、モデルを用いて、様々な値を設定したシミュレーションを繰り返し行う。そして、生物学的・化学的な方法で計測が可能な計測可能水質要素の量値は、上述のシミュレーションにより得られる値と適合するようにして、推定されることが多い(文献1参照)。
【0016】
しかしながら、上述の水質要素分析方法によって被処理水の水質要素を特定する場合には、次のことが考えられる。
【0017】
すなわち、上述の水質要素分析方法では、水質要素の1回の分析に比較的長時間を要する。このため、時々刻々と変化する被処理水の水質要素をオンラインで計測することが難しく、被処理水の水質要素の特定をオンラインで行うことが難しい。他方、特に水処理プロセスの運転管理を行う際には、ある固定された時刻における水質要素の状態よりも、水質要素の時間的な状態変化を知ることが重要な場合が多い。このため、被処理水の水質要素の計測は、オンラインで行われることが好ましい。
【0018】
また、上述の水質要素分析方法は、コストパフォーマンスの面で必ずしも優れてはいない。例えば、化学的な方法で分析する場合には、一サンプルの分析に対しても相当なコストが必要となる。このため、連続的に水質要素を計測する場合に、化学的な分析を用いることは、コストパフォーマンスの面から得策とは言えない。また、生物学的・化学的な方法で分析する場合には、基本的に、全ての水質要素を個別に特定する方法が用いられる。しかしながら、例えば、目的が水処理プロセスの運転管理である場合には、全ての水質要素を同等の精度で厳密に計測する必要はない。従って、このような場合には、その目的に応じた水質要素のみを精度良く厳密に計測することも可能である。このため、運転管理に対して重要な情報を持つ水質要素については直接計測し、他の水質要素については間接計測する等の工夫によって、水処理プロセスの運転管理に関するコストの低減を図ることができる。
【0019】
また、上述の水質要素分析方法のうちシミュレーションを繰り返して水質要素を特定する方法は、試行錯誤的であるため、オンラインで水質要素の特定を行う場合には、必ずしも好ましい方法であるとは言えない。また、原因と結果が一対一に対応していない場合には、特定の対象となっている被処理水の「特定の水質要素」の計測値に影響を与える「複数の水質要素」を正確に推定することができずに、「複数の水質要素」の互いに異なる複数の推定値に対しても「特定の水質要素」の計測値が同一となる場合がある。このため、「特定の水質要素」のシミュレーション値と実測値との誤差が小さく、結果が正しいと思われる場合であっても、「特定の水質要素」の計測値に影響を与える「複数の水質要素」の推定値が真値に近いとは限らない。従って、このような方法で「特定の水質要素」を特定することが適切でない場合も考え得る。
【0020】
他方、社会的には、より安全性が高く、より質の高い水が求められている。このため、被処理水の水質要素を正確に特定して水処理を行うことは、処理水の安全性や質の向上を図る観点からは非常に重要である。
【0021】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、被処理水の水質要素の量を正確に特定することができる水処理プロセスハイブリッド水質計測装置およびこれを有する水処理システムを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性汚泥法により被処理水の水処理を行う生物反応槽を備えた水処理システムに使用される水処理プロセスハイブリッド水質計測装置であって、活性汚泥法を用いた被処理水の水処理プロセスを表す生物反応モデルを含む水処理プロセスモデルを構築する水処理プロセスモデル供給手段と、生物反応槽内の被処理水の水処理プロセスモデルに関わる水質要素のうち、所定の計測可能水質要素の量を計測する水質計測手段と、水質計測手段が計測した計測可能水質要素計測データを収集保持する水質データ収集保持手段と、水処理プロセスモデル供給手段からの水処理プロセスモデルと、水質データ収集保持手段に収集保持されている計測可能水質要素計測データと、に基づいて、水処理プロセスモデルの入力となる計測不可能水質要素を含む水処理プロセスモデルに関わる被処理水の水質要素のうち所定の計測不可能水質要素の量を推定する水質要素推定手段と、を備え、水質要素推定手段は、被処理水の溶存酸素濃度が0であると仮定し、かつ、被処理水中の微生物濃度が0であると仮定し、かつ、推定対象である水処理プロセスモデルの入力となる計測不可能水質要素の量が一定である又は周期的に変動すると仮定して、水処理プロセスモデル供給手段によって構築された生物反応モデルを含む非線形の水処理プロセスモデル自身に基づき外乱オブザーバを構成し、当該外乱オブザーバを適用することを特徴とする水処理プロセスハイブリッド水質計測装置である。
【0023】
本発明によれば、被処理水の水処理プロセスを表す水処理プロセスモデルに関わる水質要素のうち、計測可能水質要素の量は水質計測手段により計測され、計測不可能水質要素の量は水質要素推定手段により推定される。
【0024】
本発明は、被処理水が流入する流入部と、流入部からの被処理水の水処理を行う生物反応槽と、上記の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置と、水処理プロセスハイブリッド水質計測装置の水質計測手段で計測された計測可能水質要素の計測データ、および水質要素推定手段で推定された計測不可能水質要素の推定データ、のうち少なくともいずれか一方を提示する水質値提示手段と、を備えたことを特徴とする水処理システムである。
【0025】
本発明によれば、水処理プロセスハイブリッド水質計測装置により計測され及び/又は推定された被処理水の水質要素の計測データ及び/又は推定データが提示される。従って、提示された計測データ及び/又は推定データを、反応槽における適切な水処理に役立てることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、下水処理プロセスを行う水処理システムを用いて本発明の実施の形態について説明するが、本発明の実施の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、下水処理プロセスの他に、廃水処理プロセス、上水処理プロセス等の様々な水処理プロセスに対して応用することが可能である。
【0027】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す図であり、下水処理プロセスを行う水処理システム全体の構成を示す概略図である。
【0029】
図1に示すように、水処理システム1は、下水(被処理水)が流入する流入部2と、流入部2の下流側に接続され、流入部2からの下水を生物反応により浄化処理(水処理)を行う生物反応槽(反応槽)3と、を備えている。
【0030】
生物反応槽3には、反応槽用撹拌機31および反応槽水質量センサ13が設置されている。反応槽用撹拌機31は、生物反応槽3内の下水を撹拌するようになっており、下水の生物浄化処理の均一化を促進している。また、反応槽水質量センサ13は、生物反応槽3で浄化処理された下水に含まれる水質要素のうち計測可能な一部の水質要素の絶対量や濃度(量)を示す反応槽水質データを計測するものである。
【0031】
なお、反応槽水質量センサ13で計測される水質要素は、後述する水処理プロセスモデル供給手段4が下水処理プロセスモデルを構築する際に決定した関連する水質要素のうち、計測可能な水質要素(計測可能水質要素)に対応している。本実施の形態では、反応槽水質量センサ13が計測する反応槽水質データは溶存酸素濃度(DO)に関するものとなっている。
【0032】
流入部2と生物反応槽3との間には流入下水水量センサ11および流入下水水質量センサ12が設けられている。流入下水水量センサ11は、流入部2から生物反応槽3へ流入する下水(流入下水)の流入量である流入水量データを計測するようになっている。また、流入下水水質量センサ12は、流入下水が含む水質要素のうち計測可能な一部の水質要素の絶対量および/または濃度(量)を示す流入水質データを計測するものである。なお、反応槽水質量センサ13で計測される水質要素は、後述する水処理プロセスモデル供給手段4が下水処理プロセスモデルを構築する際に決定した水質要素に対応している。本実施の形態では、反応槽水質量センサ13は、いずれの水質要素も計測しないようになっている。
【0033】
反応槽水質量センサ13は反応槽水質データ収集保持手段23に接続しており、この反応槽水質データ収集保持手段23は、反応槽水質量センサ13が計測した反応槽水質データを、所定の計測周期で収集して時系列的に保持している。また、流入下水水質量センサ12は流入水質データ収集保持手段22に接続しており、この流入水質データ収集保持手段22は、流入下水水質量センサ12が計測した流入水質データを、所定の計測周期で収集して時系列的に保持している。また、流入下水水量センサ11は流入水量データ収集保持手段21に接続しており、この流入水量データ収集保持手段21は、流入下水水量センサ11が計測した流入水量データを、所定の計測周期で収集して時系列的に保持している。なお、反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22、流入水量データ収集保持手段21のそれぞれは、予め定められたそれぞれのフォーマットに従って各種データを保持するようになっている。
【0034】
反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22、流入水量データ収集保持手段21は、それぞれ、水質要素推定手段5に接続するとともに、水質値提示手段6に接続している。また、水質要素推定手段5には、当該水処理システム1において行われる下水処理プロセスのモデルを構築する水処理プロセスモデル供給手段4も接続している。
【0035】
水処理プロセスモデル供給手段4は、物理化学的な知見に基づいて、当該水処理システム1の下水処理プロセスに必要とされる水質要素を決定し、この決定した水質要素に基づいて、下水処理プロセスを表す下水処理プロセスモデルを構築するようになっている。なお、当該下水処理プロセスモデルは、決定された各水質要素を適切に相関させたものであり、通常、非線形の微分方程式によって表される。
【0036】
水質要素推定手段5は、下水処理プロセスモデルに関わる水質要素のうち、反応槽水質量センサ13および流入下水水質量センサ12によって計測することができない水質要素(計測不可能水質要素)の量を推定する。
【0037】
この時、水質要素推定手段5は、反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22、流入水量データ収集保持手段21のそれぞれから時系列的に送られてくる反応槽水質データ、流入水質データ、流入水量データと、水処理プロセスモデル供給手段4から送られてくる下水処理プロセスモデルと、に基づいて、計測不可能水質要素の量を推定して推定データを作成するようになっている。なお、水質要素推定手段5による推定の詳細については後述する。
【0038】
水質要素推定手段5は水質値提示手段6に接続しており、推定した計測不可能水質要素の量を推定データとして時系列的に水質値提示手段6に送るようになっている。
【0039】
水質値提示手段6は、水質要素推定手段5から送られてくる推定データを提示するとともに、反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22、流入水量データ収集保持手段21のそれぞれから時系列的に送られてくる反応槽水質データと流入水質データと流入水量データを提示して、水処理システム1の管理者や運転員等に知らせるようになっている。
【0040】
この時、水質値提示手段6は、CRT等のディスプレイを介して管理者や運転員に各種データを提示するようになっており、また、時系列データとして表したトレンドグラフや数値表示等を利用して提示することも可能となっている。
【0041】
なお、流入下水水量センサ11、流入下水水質量センサ12、反応槽水質量センサ13は、各センサの測定部を被処理水に直接浸して計測するインライン方式を採用している。
【0042】
そして、流入下水水量センサ11と、流入下水水質量センサ12と、反応槽水質量センサ13とにより、本発明の水質計測手段が構成されている。また、反応槽水質データ収集保持手段23と、流入水質データ収集保持手段22と、流入水量データ収集保持手段21とにより、本発明の水質データ収集保持手段が構成されている。また、流入水量データと、流入水質データと、反応槽水質データとにより、本発明の計測した計測可能水質要素計測データが構成されている。更に、水処理プロセスモデル供給手段と、流入下水水量センサ11と、流入下水水質量センサ12と、反応槽水質量センサ13と、反応槽水質データ収集保持手段23と、流入水質データ収集保持手段22と、流入水量データ収集保持手段21と、水質要素推定手段5によって、本発明の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置が構成されている。
【0043】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0044】
水処理プロセスモデル供給手段4は、水処理システム1の下水処理プロセスにおいて必要とされる水質要素を決定する。本実施の形態では、溶存酸素濃度(DO)と化学的酸素要求量(COD)と微生物濃度とを下水処理プロセスにおいて必要とされる水質要素として決定する。
【0045】
そして、水処理プロセスモデル供給手段4は、決定した水質要素から適切な下水処理プロセスモデルを構築する。
【0046】
この時、水処理プロセスモデル供給手段4は、「IAWQ Task Group on Mathematical Modeling for Design and Operation of Biological Wastewater Treatment Processes, "Activated Sludge Model No.2", IAWQ Scientific Technical Report No.3(1995)」(文献2)、における記法に従って、下記の表1に示す生物反応槽3における生物反応モデルを定義する。
【0047】
【表1】
Figure 0004088075
表1において定義された生物反応モデルに、下水の流入および流出を表す水理学的モデルを付加することにより、水処理プロセスモデル供給手段4は下水処理プロセスモデルを構築する。このように水処理プロセスモデル供給手段4で構築される下水処理プロセスモデルは、以下の式(1)〜(4)によって表される。
【0048】
【数1】
Figure 0004088075
なお、式(1)〜(4)において、Yは収率を、μmaxは最大比増殖速度を、Kは酸素濃度に関する半飽和定数を、bは死滅速度を、それぞれ表すパラメータであり、予め与えられている。なお、予め与えることができない場合であっても、後述する適応則によって、これらのパラメータを推定することが可能である。
【0049】
また、SO2は生物反応槽3の下水の溶存酸素濃度を、Sは生物反応槽3の下水の化学的酸素要求量を、Xは生物反応槽3の下水の微生物濃度を、それぞれ表す状態変数である。また、各状態変数に添え字の「IN」を付したものは、流入下水における各状態変数(溶存酸素濃度、化学的酸素要求量、微生物濃度)を表している。また、Vは生物反応槽3の水量を示し、一定値であるとする。Q(t)は流入部2から生物反応槽3への流入量を示す。また、y(t)は、反応槽水質量センサ13によって計測される水質要素を示し、本実施の形態では、生物反応槽3の下水の溶存酸素濃度SO2に関して計測する(式(4)参照)。
【0050】
式(1)〜(4)で表される下水処理プロセスモデルは、水処理プロセスモデル供給手段4から水質要素推定手段5に送られる。
【0051】
他方、図1に示すように、水処理システム1に供給される下水は、まず流入部2に流入して、その後、流入部2から生物反応槽3に送られる。
【0052】
この時、流入下水水量センサ11により、流入部2から生物反応槽3へ送られる流入下水の水量が計測される。また、流入下水水質量センサ12は、流入下水に含まれるいずれの水質要素も計測しない。
【0053】
生物反応槽3に供給された下水は、反応槽用撹拌機31により撹拌され、曝気装置33により曝気される。これにより、生物反応槽3の下水は、生物反応による水処理プロセスを経て浄化される。
【0054】
このように浄化された生物反応槽3の下水は、水処理プロセスモデル供給手段4が下水処理プロセスモデルに関わる水質要素のうち、計測可能な水質要素の量に関する反応槽水質データが、反応槽水質量センサ13により計測される。すなわち、下水処理プロセスモデルに関わる水質要素のうち、計測可能な水質要素である生物反応槽3の下水の溶存酸素濃度SO2のみが、反応槽水質データとして計測される。
【0055】
生物反応槽3で浄化され反応槽水質量センサ13により反応槽水質データが計測された下水は、生物反応槽3から後段に送られ、他の処理槽に送られたり河川に放流されたりしている。
【0056】
ところで、流入下水水量センサ11によって計測された流入水量データは、所定の周期で流入水量データ収集保持手段21に送られて、流入水量データ収集保持手段21に時系列的に収集保持される。また、反応槽水質量センサ13によって計測された反応槽水質データは、所定の周期で反応槽水質データ収集保持手段23に送られて、反応槽水質データ収集保持手段23に時系列的に収集保持される。なお、流入下水水質量センサ12は、何も計測していない旨を所定の周期で流入水質データ収集保持手段22に送って、流入水質データ収集保持手段22は、流入下水水質量センサ12が何も計測していない旨を時系列的に収集保持する。
【0057】
流入水量データ収集保持手段21、反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22のそれぞれに保持されている流入水量データ、反応槽水質データ、流入水質データは、水質要素推定手段5に送られるとともに、水質値提示手段6に送られる。
【0058】
水質要素推定手段5は、流入水量データ収集保持手段21、反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22のそれぞれから時系列的に送られてくる流入水量データ、反応槽水質データ、流入水質データと、水処理プロセスモデル供給手段4から送られてくる下水処理プロセスモデルとに基づいて計測不可能水質要素の量を推定する。
【0059】
この時、以下に示すH1〜H3の要件を満たす場合、水質要素推定手段5は、水処理プロセスモデル供給手段4から送られた下水処理プロセスモデルに基づいて外乱オブザーバを構成する(「岩井善太他、”オブザーバ”、コロナ社、1988」(文献3)参照)。
【0060】
(H1) 流入下水の未知な水質要素の数は、計測している水質要素の数と同じかそれ以下である。
【0061】
(H2) 未知な水質要素の変動の波形を自律系の微分方程式で記述することができる。
【0062】
(H3) 計測可能水質要素とプロセスモデルに基づいてオブザーバを構成することができる。
【0063】
計測されている水質要素は、生物反応槽3の下水の溶存酸素濃度(So2)のみである。従って、上記H1の要件を満たすためには、流入下水の未知な水質要素は1つ以下でなければならない。通常、流入下水の溶存酸素濃度(So2iN)はゼロに近いので、So2IN=0、とすることができる。また、微生物の流入はほとんど無いと考えられため、流入下水の微生物濃度(XhIN)もゼロに近く、XhIN=0、とすることができる。従って、本実施の形態では、下水処理プロセスモデルに関わる水質要素のうち、流入下水の未知な水質要素の数は、化学的酸素要求量(ScIN)のみの1つとなるため、H1の要件を満たす。
【0064】
また、流入下水の水質要素の変動があまりない場合、未知な水質要素である化学的酸素要求量(ScIN)の変動はほぼ一定と考えられる。この場合、以下の式(4a)が成立する。
【0065】
【数2】
Figure 0004088075
また、未知な水質要素である化学的酸素要求量(ScIN)が周期的に変動することが分かっている場合は、いくつかの正弦波の重ね合わせることにより、未知の水質要素である化学的酸素要求量(ScIN)の変動を記述することができる。この場合には、化学的酸素要求量(ScIN)の変動を自律系の微分方程式で記述することができる。従って、H2の要件を満たす。
【0066】
さらに、計測する水質要素を適切に選べばプロセスモデルを可観測にすることができるので、計測可能水質要素とプロセスモデルに基づいてオブザーバを構成することができる。従って、H3の要件も満たす。なお、非線形のプロセスモデルであっても、プロセスモデルの線形近似モデルを局所的に可観測にすることは比較的容易であるため、少なくとも局所的にはオブザーバを構成することができる。
【0067】
このように、本実施のにおいて、上述のH1〜H3の要件を満たすことは、具体的には下記の要件HH1およびHH2を満たすことに相当する。
【0068】
(HH1) 流入下水の未知な水質要素は化学的酸素要求量(ScIN)のみであり、計測している水質要素は生物反応槽3の下水の溶存酸素濃度(So2)のみである。
【0069】
(HH2) 流入下水の水質要素のうち化学的酸素要求量(ScIN)の値は未知であるが一定値であることが分かっている。
【0070】
水質要素推定手段5は、上述のHH1、HH2の要件の下で、以下の式(5)〜(8)で表される非線形の外乱オブザーバを構成する。
【0071】
【数3】
Figure 0004088075
また、k1〜k4はオブザーバゲインであり、例えば、式(5)〜(8)の線形近似モデルに対する最適オブザーバやカルマンフィルタアルゴリズムなどを適用することによって設計することができる。
【0072】
【数4】
Figure 0004088075
なお、式(5)〜(8)ではk1〜k4を定数ゲインとしているが、これを定数ゲインとする必然性は無く、適切な非線形オブザーバの構成方法によって非線形関数としてk1〜k4のゲインを設定してもよい。あるいは式(5)〜(8)に対する推定誤差を用いてリアプノフ関数の候補を構成し、このリアプノフ関数は候補の時間微分が負になるように、Q(t)等の利用可能な信号と定数を用いてk1〜k4を時変ゲインとして設定してもよい。
【0073】
【数5】
Figure 0004088075
ただし、溶存酸素濃度So2(t)は、直接計測されているので推定する必要はない。従って、計測されている生物反応槽3の下水の溶存酸素濃度So2(t)を用いることにより、オブザーバの次数を一つ減らすことができ、低次元(最小次元)の外乱オブザーバを構成することも可能である。
【0074】
また、水質要素推定手段5は、特に、上述の要件H1〜H3を満たしているが下水処理プロセスモデルを表す式(1)〜(3)に未知な項目を含む場合には、ロバスト適応外乱オブザーバを構成する。
【0075】
下水処理プロセスモデルに未知な項目を含む状況は、現実の下水処理プロセスでは、例外的なものではなく標準的なものである。例えば、現実の下水処理プロセスにおける生物反応槽3における反応速度は、水温、pHやアルカリ度、微生物の代謝に用いられる物質であって反応を促進あるいは阻害させる各種の基質、等の各種要素が複雑に絡み合って決定されている。このため、実際の生物反応槽3における反応速度を、正確に認識することが難しい場合もある。従って、表1に示す反応速度は、例えば、表2や表3に示すようになっていると考えられる。
【0076】
【数6】
Figure 0004088075
【表2】
Figure 0004088075
【表3】
Figure 0004088075
本実施の形態では、表3に示すように反応速度の関数形が未知であり、その他の条件は、上述した式(5)〜(8)で表される外乱オブザーバを適用する場合を想定する。
【0077】
【数7】
Figure 0004088075
このような場合、水質要素推定手段5はロバスト適応外乱オブザーバを構成して適用することができる。推定パラメータを含む下水処理プロセスモデルは、外乱である流入下水の化学的酸素要求量を一つの状態変数とみなして拡大系によって表現すると、以下の式(9)〜(13)で表すことができる。
【0078】
【数8】
Figure 0004088075
このように、未知状態変数と未知パラメータを減らすことができる理由は、次の(a)と(b)による。
【0079】
(a)いくつかの水質要素を直接計測しているため、計測されているこれらの水質要素を推定する必要が無い。
【0080】
(b)下水処理プロセスの生物反応槽3における生物反応モデルでは物質収支が保たれているため、この性質を利用できる。例えば、生成物質量と消費物質量の和を表す変数Xtc(t)(Xtc(t):=X(t)+S(t)−So2(t))は、生物反応によって不変であるため未知パラメータを含まない。従って、このような状態変数の変換は未知パラメータを減らすために有効である。
【0081】
式(14)〜(16)は、見かけ上、未知パラメータを含む線形系として表現されているため、通常の適応オブザーバの設計法を適用することができる。
【0082】
但し、未知パラメータは、表3からも分かるように一定値であるとは考えられないので、各種のロバストな適応則を用いる必要がある。例えば、バックステッピングやハイオーダチューニングに代表される本質的にロバストな適応則を用いることは一つの手段である。
【0083】
【数9】
Figure 0004088075
水質要素推定手段5は、要件H1〜H3の条件の下で下水処理プロセスモデルに未知な項目を含む場合にも、上述の外乱オブザーバ、ロバスト適応外乱オブザーバを用いて、計測不可能水質要素の量を推定することができる。すなわち、本実施の形態においては、水質要素推定手段5は、流入下水の化学的酸素要求量を推定するとともに、生物反応槽3の下水の化学的酸素要求量、微生物濃度を推定する。なお、流入下水中の溶存酸素濃度(So2IN)と微生物濃度(XhIN)は、So2IN=XhIN=0と仮定しているので、この流入下水中の溶存酸素濃度(So2IN)と微生物濃度(XhIN)を推定する必要はない。
【0084】
このように推定された推定データは、水質要素推定手段5から水質値提示手段6に時系列的に送られる。
【0085】
水質値提示手段6は、水質要素推定手段5から送られてくる全ての推定データと、流入水量データ収集保持手段21、反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22から送られてくる全ての流入水量データ、反応槽水質データ、流入水質データと、を当該水処理システム1の管理者や運転員に提示する。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態によれば、水処理システム1の下水処理プロセスに関係する被処理水の水質要素のうち、計測可能水質要素は流入下水水量センサ11と反応槽水質量センサ13とによって計測され、計測不可能水質要素は水質要素推定手段5によって推定される。このため、水処理システム1の下水処理プロセスに関係する水質要素を精度良く求めることができる。特に、計測することが原理的に困難な場合や、例えば化学分析等のために多大な時間を要する場合であって連続計測が困難な場合や、例えば下水が汚れすぎていてセンサーを実装することが困難である等の実装上の問題がある場合であっても、比較的簡単に計測することができる水質要素の量や下水処理プロセスモデルを用いて、同定及び/又は推定が困難な水質要素の量を推定することができる。そして、この水質要素の計測データおよび推定データを下水処理プロセスモデルに入力することにより、各種水質要素の挙動を把握することができる。
【0087】
これにより、水質予測、プロセス監視、プロセス異常診断、プロセス機能診断、プロセス制御等を、定量的、効率的、かつ効果的に行うことが可能となる。
【0088】
また、下水処理プロセスの関連対象となる各水質要素の性質が、下水処理プロセスモデルによって、予めオフラインで十分に解析されている場合には、本発明の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置によって計測、推定された各水質要素の量計測データや量推定データの時間変化を、単に監視することによってもプロセスの運転管理等を行うことができる。
【0089】
また、水質要素推定手段が外乱オブザーバを構成して、これを適用することにより、流入下水が極端に汚れている場合等であって水質要素の量の計測が難しい状況であっても、流入下水に比べて比較的計測し易い反応槽内の下水の水質要素の一部を計測するだけで、流入水質に対する一定の事前情報が入手可能であるという前提のもとで、流入下水の水質要素と反応槽内の下水の計測されていない残りの水質要素を推定することができる。従って、例えば「流入下水の水質要素の値は一定値である」、「流入下水の水質要素は正弦波状に変化する」等の情報であって、一般に強制入力項を持たない自由応答のみからなる自律系の微分方程式で記述することができ、その微分方程式の形が分かっているという事前情報が入手可能であるという前提のもとで、流入下水の水質要素と反応槽内の下水の計測されていない残りの水質要素を推定することができる。
【0090】
このため、下水処理の対象となる流入下水の水質要素の量値を定量的に推定することができ、プロセス監視、プロセス異常診断、プロセス機能診断、プロセス制御等を行うための有益な情報源として活用することができる。
【0091】
また、水質要素推定手段がロバスト適応外乱オブザーバを構成して、これを適用することにより、現実の下水処理プロセスでは避けて通ることの出来ない不確定要素の存在下においても、この不確定要素を推定および/または補償しながら、流入下水の水質要素と反応槽内の下水の計測されていない残りの水質要素を推定することができる。
【0092】
また、水質要素推定手段が構成するオブザーバに適応機能を持たせることにより、水処理プロセスモデル供給手段が構築した下水処理プロセスモデルと現実の下水処理プロセスのズレをオンラインで(実時間で)修正することができる。これにより、水質要素の量の推定精度を向上させることができる。
【0093】
また、計測したデータと推定したデータを同時に提示することにより、ハイブリッドな装置を提供することができる。さらに、本発明の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置は、(1)プロセスの理解、(2)設計の支援、(3)シナリオシュミレーション、(4)プロセス異常/機能診断、(5)プロセス挙動予測による運転管理、(6)プロセス制御、等に役立てられる。
【0094】
なお、下水処理プロセスモデルの構築の際に必要とされる水質要素は、被処理水(下水)の水質要素うち溶存酸素濃度(DO)、化学的酸素要求量(COD)、微生物濃度に限定されるものではない。すなわち、水処理プロセスモデル供給手段4は、水処理システム1に供給される下水の性状や反応槽3における下水の浄化処理態様に応じて、他の水質要素に基づいて下水処理プロセスモデルを構築することも可能である。
【0095】
従って、例えば、生物反応槽3における生物反応モデルの定義方法が変わる等して生物反応槽の反応態様が変わったり(表1〜表3参照)、被処理水(下水)の含有する水質要素の種類や割合が変わった場合には、このような下水処理プロセスに適合した下水処理プロセスモデルを構築することも可能である
このため、計測対象となる水質要素も、構築された下水処理プロセスモデルに応じて変える必要がある。従って、溶存酸素濃度(DO)の他に、MLSS、NH−N、NO−N、PO−P等が計測される場合もある。
【0096】
更に、式(4)のy(t)は、各センサで計測する水質要素によって変形する。従って、例えば、MLSS(SS)を計測する場合に、MLSS:=Sc+Xh、で表されると仮定すると、y(t)は以下の式(17)で表すことができる。
【0097】
【数10】
Figure 0004088075
なお、本実施の形態の下水処理プロセスでは、溶存酸素濃度、化学的酸素要求量、微生物濃度のみが必要な水質要素されており、比較的簡単な下水処理プロセスが想定されている。しかしながら、推定すべき水質要素が比較的多い場合(文献2参照)にも、本発明を適用することができる。そして、本発明が本質的に威力を発揮するのは、水処理システム1が、本実施の形態で説明した比較的簡単な下水処理プロセスを行う場合よりも、推定すべき水質要素が比較的多い下水処理プロセスを行う場合である。
【0098】
なお、上述のH1の要件は、厳密な意味では更に付加的な条件が必要となる(文献3参照)。
【0099】
次に、本実施の形態の第1の変形例について説明する。
【0100】
上記の要件H1〜H3を満たさない場合には、水質要素推定手段5は、式(5)〜(8)で表される外乱オブザーバを構成することができない。
【0101】
このような場合であって、以下の要件H1’〜H3’を満たす場合について述べる。
【0102】
(H1’) 生物反応槽3の下水のいくつかの水質要素と、流入下水のいくつかの水質要素とを計測している。
【0103】
(H2’) 流入下水の計測していない残りの水質要素は、計測した水質要素の適当な比率(按分)で与えられ、その比率は一定もしくは非常に緩やかに変化する。
【0104】
(H3’) 計測可能水質要素とプロセスモデルを用いてオブザーバを構成できる。
【0105】
本変形例では、流入部2と生物反応槽3との間に下水のUV値を計測するUV計15が設けられている。このUV計15は、流入水質データ収集保持手段22に接続しており、UV計15から流入水質データ収集保持手段22を介して水質要素推定手段5へ計測値が送られるようになっている。水質要素推定手段5では、送られてきたUV計15の計測値に基づいて、流入下水の化学的酸素要求量が計算されるようになっている。また、本変形例において、水質要素推定手段5は、後述するようにして計測不可能水質要素の量を推定する。他の構成は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0106】
本変形例において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0107】
上記のH1’〜H3’の要件は非常に現実的なものである。すなわち、流入下水の有機物は化学的酸素要求量で捕捉されることがあり、上述の文献2では、化学的酸素要求量で捕捉される有機物を更に細かく分類したものを、被処理水の複数の水質要素として定義している。流入下水の化学的酸素要求量はUV値との相関を用いて求められる。従って、流入部2から生物反応槽3へ流れる流入下水のUV値をUV計15で計測して、この計測値は流入水質データ収集保持手段22を介して水質要素推定手段5へ計測値が送られる。そして、水質要素推定手段5は、送られてきたUV計15の計測値に基づいて、流入下水の化学的酸素要求量を求める。この場合、複数の水質要素を化学的酸素要求量に対する比率で与えることが合理的であり、かつ現実的である。また、流入下水の水質要素の比率(組成比率)はそれほど劇的に変化するとは考えられず、一定あるいは非常に緩やかな変化と考えて差し支えない場合も多い。従って、このような場合には、上記の要件H1’とH2’を満たす。すなわち、生物反応槽3の下水の水質要素のうち溶存酸素濃度(So2)が上述の第1の実施の形態と同様にして求められ、流入下水の水質要素のうち化学的酸素要求量(SCIN)がUV計15を用いて水質要素推定手段5において求められる。従って、上記の要件H1’を満たす。また、本変形例では、流入下水の水質が非常に安定している状態を想定しているので、流入下水の水質要素の比率はあまり変化しておらず、その変化は非常に緩やかなものとなっている。従って、上記の要件H2’を満たす。
【0108】
また、水質要素推定手段5は、計測可能水質要素とプロセスモデルに基づいてオブザーバを構成することができるので、上記の要件H3’も満たす。
【0109】
このような本変形例において、上述のH1’〜H3’を満たすことは、下記の要件HH1’およびHH2’を満たすことに相当する。
【0110】
(HH1’) 流入下水の浮遊固形物濃度SS(XssIN)と、反応槽内の下水の化学的酸素要求量(S)と溶存酸素濃度(So2)とが計測されている。
【0111】
(HH2’) 流入下水の溶存酸素濃度はゼロである。また、流入下水の化学的酸素要求量(ScIN)と微生物濃度(XhIN)は、それぞれ、ScIN=αXssIN,XhIN=(1−α)XssINと表すことができ、αの値は未知であるが、一定あるいは極めて緩やかに変化する。
【0112】
水質要素推定手段5は、上述のH1’〜H3’、HH1’、HH2’の要件の下で、以下の式(18)〜(20)で表される非線形適応オブザーバを構成する。
【0113】
【数11】
Figure 0004088075
ここで、k1とk2はオブザーバゲインであり、適切な方法によって設計される。また、式(20)は適応則と呼ばれるものであり、αの値を推定するために用いられる。
【0114】
式(20)におけるg(・)に古典的な適応則を適用する場合には、勾配型適応則、最小二乗型適応則、各種のロバスト適応則(σ−修正法、射影法、不感帯付き適応則等)を用いることができる。また、適応性を高めたい場合には、近年開発されたバックステッピングやハイオーダーチューニング等の収束性とロバスト性の高い適応則を用いることもできる。εは、古典的な適応則を用いる場合には拡張誤差信号と呼ばれるものに対応しており、一種の誤差信号を表す(上記文献4参照)。
【0115】
【数12】
Figure 0004088075
【数13】
Figure 0004088075
ここで、k1’とk2’は後に設計するパラメータである。リアプノフ関数を以下の式(27)で示すように選択し、これを式(22)〜(24)の解軌道に沿って時間微分を行うと、以下の式(28)を得ることができる。
【0116】
【数14】
Figure 0004088075
また、流入下水が有界な信号であることを考慮すると、e(t)→0 as t→∞、となり、また、ess(t)→0 as t→∞、となる。
【0117】
このようなアドホック(adhoc)な方法が、より一般的な複雑な水処理プロセスモデルに対していつでも適用できるわけではないが、そのような場合には、例えばバックステッピング等のシステマティックな方法に基づいて、適応則を導出することができる。
【0118】
以上のような方法によって、要件H1’〜H3’が満たされているような状況下では、流入下水の水質要素の比率αと生物反応槽3の下水の計測していない水質要素である微生物濃度Xとを同時に推定することができる。流入下水の水質要素の比率αが分かれば、計測している流入下水の水質要素にその比率を乗じることによって、流入下水の計測していない水質要素の値を推定することができる。但し、αの値を正確に推定するためには、適応則に含まれる水質要素の時系列データが、時系列データを示す信号の変化のランダムさを表す持続的励振性と呼ばれる条件であって、より詳しくは、N個の推定すべきパラメータに対して2N次の持続的励振性という条件を満たしている事が必要になる。
【0119】
この持続的励振性と呼ばれる条件は、概説すれば、適応則に含まれる水質要素の時系列データが、ある程度ランダムに変動していることを要求している。下水処理プロセスは、流入下水の水質によって駆動されるシステムと考えることができる。従って、持続的励振条件を保つためには、流入下水の水質要素がある程度激しくランダムに変化している必要がある。この事は、水質要素推定手段5が適応オブザーバを構成する場合の制約になる。しかしながら、流入下水の水質があまり変化しない場合は、上述の第1の実施の形態で説明した要件H1〜H3が満たされていると考えられる。従って、このような場合、水質要素推定手段5は、第1の実施の形態のように外乱オブザーバを構成して、これを適用すればよい。
【0120】
特に、下水処理プロセスモデルが表3に示す未知な項目を含んでいる場合には、水質要素推定手段5は、ロバスト適応オブザーバを構成して、これを適用することができる。本変形例では、下水処理プロセスモデルが表3に示す未知な項目を含んでいる。このため、水質要素推定手段5は、以下の式(30)〜(33)で表されるロバスト適応オブザーバを構成することができる。
【0121】
【数15】
Figure 0004088075
ここで、k1とk2はオブザーバゲインを示す。また、適応則である式(32)と式(33)の右辺の関数の形を、前記のstep1〜step3に従って決定すると、例えば、以下の式(34)および式(35)を導くことができる。
【0122】
【数16】
Figure 0004088075
従って、step1〜step3を採用して非ロバストな通常の適応則を用いると推定値が発散してしまう可能性がある。このため、実際にはロバストな適応則を用いる必要がある。また、バックステッピング等のシステマティックかつロバストな方法によって適応則を決定してもよい。
【0123】
水質要素推定手段5は、上述の適応オブザーバ、ロバスト適応オブザーバを用いて、要件H1’〜H3’の条件の下で下水処理プロセスモデルに未知な項目を含む場合にも、計測不可能水質の量を推定する。すなわち、水質要素推定手段5は、流入下水の化学的酸素要求量、微生物濃度を推定するとともに、生物反応槽3の下水の微生物濃度を推定する。
【0124】
この推定データは、水質要素推定手段5から水質値提示手段6に送られる。
【0125】
以上説明したように、本変形例によれば、水質要素推定手段が適応オブザーバを構成して、これを適用することにより、事前情報が得られない場合であっても、一部の流入下水の水質要素の時間的変化が既知であるような状況では、適応オブザーバを用いることにより、流入下水の水質要素と反応槽内の下水の計測されていない残りの水質要素を推定することができる。例えば、流入下水が激しくランダムに変化して自律系の微分方程式で記述できずに事前情報を得ることができない場合であっても、下水処理プロセスの流入下水のCOD濃度やCODと強い相関を持つUVが連続計測されている場合が多い状況では、適応オブザーバを用いることにより、流入下水の水質要素と反応槽内の下水の計測されていない残りの水質要素を推定することができる。
【0126】
また、水質要素推定手段がロバスト適応オブザーバを構成して、これを適用することにより、現実の下水処理プロセスでは不可避な不確定要素が存在する場合であっても、ロバスト適応オブザーバを適用することにより、この不確定要素の推定および/または補償を行いながら、流入下水の水質要素と反応槽内の下水の計測されていない残りの水質要素を推定することができる。
【0127】
次に、本実施の形態の第2の変形例について説明する。
【0128】
水処理プロセスモデル供給手段4は、以下のstep 1'〜step 5' に従って、下水処理プロセスモデルを構築してもよい。
【0129】
(step1') 計則可能な水質要素の種類と数を調査し決定する。
【0130】
(step2') 適当な水処理プロセスモデルを作成する。ここでは、上記文献2で提案されているASM2等の既存のモデルを用いてもよい。
【0131】
(step3') step1の水質要素を出力とするstep2のプロセスモデル、つまり出力付きのプロセスモデルの可観測性を調べる。非線形のプロセスモデルを用いる場合には、適当な動作点で線形化してもよいし、可能であれば非線形プロセスのままで調べてもよい。
【0132】
(step4') もし可観測性が失われていれば、いくつかの水質要素を一つにまとめるなどして水処理モデルの簡単化を行う。例えば、ASM2では水質要素として、易生物分解性溶解性有機物を酢酸系のものSと非酢酸系のものSに分けているが、可観測性が失われている場合には、S=S+S、として一つの水質要素にまとめる。逆に可観測性が失われていない場合には、さらに細かい水質要素を推定できるので、必要に応じて、水質要素を更に細かく分類する。
【0133】
(step5') step4を繰り返すことによって、プロセスモデルが不可観測になる場合と可観測になる場合の境界見つけ、この境界に最も近い可観測な下水処理プロセスモデルを、水処理プロセスモデル供給手段4のプロセスモデルとする。
【0134】
上述の step1'〜step5' に従って下水処理プロセスモデルを構築することにより、簡単な下水処理プロセスだけでなく、様々な特定物質を除去する複雑な下水処理プロセスを表す下水処理プロセスモデルを構築することができる。
【0135】
すなわち、水質要素を良好に推定可能か否かは、モデル自身の信頼性だけではなく、計測している水質要素の種類と数にも依存する。従って、水処理プロセスモデル供給手段4で供給する下水処理プロセスモデルは、計測している水質要素の種類と数を併せて決定する必要がある。このため、例えば、上記の文献2で提案されているASM1〜ASM3というモデルに含まれる水質要素の数は10〜20程度になる。このASM1〜ASM3が何らかの意味で信頼性が十分なものであったとしても、計測している水質要素の種類と数が適切なものでなければ、このASM1〜ASM3を水処理プロセスモデル供給手段4で直接用いることは必ずしも適切ではない。
【0136】
なお、水処理プロセスモデル供給手段4がstep1'〜step5' に従って構築した下水処理プロセスモデルは、可観測性が失われない範囲で最大の数の水質要素を有している。しかしながら、可観測と不可観測の境界である限界を基準とすると、推定精度が劣化する場合がある。従って、例えば、非線形の場合は可観測量関数で表される可観測グラミアンなどを調べることにより、ある一定以上の強さの可観測性を持っている場合を規準に、step1'〜step5'に従って下水処理プロセスモデルを選択することができる。
【0137】
従って、水処理プロセスモデル供給手段4は、上述のstep1'〜step5'に従って、水質要素を良好に推定するのに必要な水質要素の数および種類を決定して、下水処理プロセスモデルを構築することができる。
【0138】
水質要素推定手段5は、このように構築した下水処理プロセスモデルを用いて精度良く計測不可能水質要素の量を推定する。
【0139】
以上説明したように、本変形例によれば、水処理プロセスモデル供給手段は、可観測性という基準を用いて、計測可能な水質要素の数や種類が少ない場合はそれに応じて簡単な下水処理プロセスモデルを構築し、計測可能な水質要素の数や種類が多い場合には複雑な下水処理プロセスモデルを構築することができる。このため、合理的な下水処理プロセスモデルの構築が可能になり、水質要素推定手段は、必要かつ十分な範囲で水質要素の量を推定することができる。このため、水質要素の量を推定する際の不必要な計算を低減することができるばかりでなく、水質要素の推定精度を向上させることも可能になる。
【0140】
上述によれば、原理的には、推定することが可能であって信頼性の高い推定を行うことができる水質要素を適切に定義するとができる。従って、結果的に、水質要素の量の推定精度を向上させることができ、推定データの信頼性も向上させることができる。
【0141】
近年では、単なる有機物の他に、窒素やリン、難分解性有機物、いわゆる環境ホルモン物質、等の各種物質を被処理水から除去することが求められており、このような要求を満たす下水処理プロセスモデルは、一般に、かなり複雑なものとなる。しかしながら、本変形例によれば、このような複雑な下水処理プロセスモデルであっても適切に構築することが可能である。
【0142】
なお、水処理プロセスモデル供給手段は、計測可能水質要素の数および/または種類の可観測性に基づくものであればよい。
【0143】
次に、本実施の形態の第3の変形例について説明する。
【0144】
水質要素推定手段5は、以下の(M1)あるいは(M2)に基づいてオブザーバを構成し、計測不可能水質要素の量を推定するとともに、計測可能水質要素の量も推定することができる。
【0145】
(M1)最小次元オブザーバを用いずに、全状態オブザーバを用いることにより、計測していない水質要素の推定を行うとともに、計測している水質要素の推定も行う。
【0146】
(M2)計測している水質要素の計測値に重畳しているノイズの量が、ある程度わかる場合には、その量を除去するようなフィルタを設計し、ある水質要素の計測値にフィルタを通した値をその水質要素の推定値とする。そして、この推定値を入力として、最小次元オブザーバを構成する。
【0147】
(M2)は、例えば、比較的高周波のノイズが重畳されている場合や、定期的なセンサの洗浄により水質要素の値が周期的な変動を持つ場合などに、移動平均などの単純なローパスフィルタや、バターワースフィルタやチェビシェフフィルタなどの古典的なプロトタイプフィルタから変換したフィルタを通した値を計測している水質要素の推定値として、最小次元オブザーバを構成することをいう。
【0148】
水質要素推定手段5は、上述の(M1)や(M2)に基づいてオブザーバを構成して、このオブザーバを用いることにより、計測可能水質要素の量も推定することができる。そして、このように推定された計測不可能水質要素および計測可能水質要素の推定値は、推定データとして、水質要素推定手段5から水質値提示手段6に送られて、水質値提示手段6において運転員や管理者に提示される。
【0149】
水質要素推定手段5は、原理的には計測不可能水質要素の量の推定を行えばよく、計測可能水質要素の量をあえて推定する必要は無い。しかしながら、現実の下水処理プロセスで計測される水質センサの信頼性はあまり良いものとは言えず、各水質要素の量の計測値には、かなりのノイズが重畳されている場合が多い。
【0150】
従って、水質要素推定手段5が、上述の(M1)や(M2)に基づいて、計測可能水質要素の量を推定することにより、計測可能水質要素の計測値にノイズが重畳されているような場合であっても、計測可能水質要素の量を精度良く求めることができる。
【0151】
特に、計測値に重畳するノイズの量がある程度分かるのであれば、求められる計測水質要素の量の値の信頼性を向上させることができ、さらに、これから推定される計測不可能水質要素および計測可能水質要素の推定値の精度を向上させることができる。なお、直接的には計測可能水質要素のノイズを除去することができるので計測可能水質要素の推定値の精度を向上させることができるが、計測不可能水質要素は、計測可能水質要素の推定値を使って推定されるので、計測不可能水質要素の推定値の精度も向上させることができる。
【0152】
以上説明したように、本変形例によれば、計測可能な水質要素の量を推定することにより、この計則可能水質要素の量を計測して得られる時系列データにノイズが重畳されている場合であっても、水質要素を有効に同定および/または推定することができる。すなわち、計測可能水質要素の量に関する各センサ11、12、13の計測値にノイズが重畳されているような場合であっても、水質要素推定手段5における計測可能水質要素の推定データに基づいて適切にノイズを取り除くことができる。これにより、より信頼性の高い水質要素の量の同定および/または推定を行うことが可能となる。
【0153】
次に、本実施の形態の第4の変形例について説明する。
【0154】
水質値提示手段6は、水質要素推定手段5から送られてくる推定データと、流入水量データ収集保持手段21、反応槽水質データ収集保持手段23、流入水質データ収集保持手段22から送られてくる流入水量データ、反応槽水質データ、流入水質データとを、必ずしもそのまま提示する必要はない。
【0155】
すなわち、例えば、水質要素推定手段5で推定すべき水質要素が比較的多い場合、全ての水質要素の計測値、推定値を同時に表示すると、本水処理システム1を監視している管理者や運転員にとって、却って分かりにくい情報となる場合がある。
【0156】
このような場合、水質要素の計測値、推定値のうちのいくつかをピックアップして表示してもよいが、ピックアップするのであれば、全ての水質要素を計測、推定する意味が無くなる。また、例えば、画面(WINDOW)を複数に分けて、計測、推定した水質要素を複数のグループに分けて表示してもよいが、下水処理プロセスの状態を一見で把握したい場合は、複数の画面を用いた表示は好ましくない。
【0157】
このため、水質値提示手段6は、以下のstep1''〜step3''に従って、本水処理システム1の下水処理プロセスに関する情報を提示してもよい。
【0158】
(step1'') 計則あるいは推定したN個の水質要素の全ての時系列データに対して、主成分分析(PCA)を行いN個の主成分に変換する。
【0159】
(step2'') step1''で得られた第1主成分〜第N主成分のN個の主成分から、情報量の高いいくつかの主成分を抽出する。抽出する基準は、主成分分析の際に現れる特異値の値に適当な基準を設ければよい。
【0160】
(step3'') step2''で抽出した主要な主成分を水質値提示手段のディスプレイ等に表示する。
【0161】
上述のstep1''〜step3''における主成分分析は、一般には互いに相関を持つN個の時系列データを、相関を持たないN個の時系列データに変換して、さらにN個よりも少ないいくつかの主成分を得る方法である。このため、主要ないくつかの主成分は運転管理にとって主要な情報源となる。従って、運転員や管理者は、この少ない数の主成分データを監視しているだけで、下水処理プロセスの状態を把握することができる。
【0162】
以上説明したように、本変形例によれば、計則あるいは推定したN個の水質要素の全ての時系列データは、主成分分析によって、N個よりも少ない主成分に変換され、このN個よりも少ない主成分が水質値提示手段において提示される。従って、計測あるいは推定した水質要素が多数存在し、全ての水質要素を提示対象とすると、これを見た運転管理者等が却って混乱をする様な場合であっても、主成分分析を用いて数がより少ない主要な情報を表す主成分を提示する。これにより、計測および/または推定した水質要素に関するデータを、運転管理者等にとって有効な情報として役立てることができ、容易にかつ効果的に、現実の水処理システムの管理を行うことができる。
【0163】
第2の実施の形態
次に、図2を用いて本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0164】
図2は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、下水処理プロセスを行う水処理システム1全体の構成を示す概略図である。
【0165】
図2に示す第2の実施の形態では、流入部2と生物反応槽3の間に採水装置41と採水槽42とが設けられている。
【0166】
採水装置41は、流入部2から生物反応槽3へ送られる下水の一部を採水して、採水した下水を採水槽42へ送るようになっている。
【0167】
採水槽42には、採水槽42内の下水を撹拌する採水槽用撹拌機32と、採水槽水質センサ類14とが設けられている。採水槽水質センサ類14は、採水槽42内の下水の各水質要素の量からなる採水槽水質データを計測するものである。採水槽水質センサ類14は、具体的には、溶存酸素濃度(DO)を計測する溶存酸素濃度センサと、浮遊固形物量(MLSS)を計測する浮遊固形物濃度センサとを具備している。
【0168】
そして、採水槽水質センサ類14は、採水槽水質データ収集保持手段24に接続している。
【0169】
採水槽水質データ収集保持手段24は、予め定められたフォーマットに従って、採水槽水質センサ類14が計測した採水槽水質データを、所定の周期で収集して時系列的に保持している。この採水槽水質データ収集保持手段24は、水質要素推定手段5に接続するとともに、水質値提示手段6に接続している。
【0170】
このように、本実施の形態では、採水装置41と、採水槽42と、採水槽用撹拌機32と、採水槽水質センサ類14とから、本発明の採水部が構成されている。また、採水槽水質センサ類14によって本発明の水質計測手段が構成され、採水槽水質データによって本発明の計測可能水質要素計測データが構成されている。さらに、採水槽水質データ収集保持手段24によって本発明の水質データ収集保持手段が構成されている。
【0171】
他の構成は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。ただし、本実施の形態の水処理システム1は、第1の実施の形態の流入下水水量センサ11と、流入下水水質量センサ12と、反応槽水質量センサ13と、流入水量データ収集保持手段21と、流入水質データ収集保持手段22と、反応槽水質データ収集保持手段23とを具備していない。
【0172】
図2において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0173】
図2に示す第2の実施の形態において、水処理プロセスモデル供給手段4は、本水処理システム1で行われる下水処理プロセスにおいて必要とされる水質要素を決定する。具体的には、溶存酸素濃度(DO)と化学的酸素要求量(COD)と微生物濃度とを、本水処理システム1の下水処理プロセスに必要な水質要素として決定する。
【0174】
そして、水処理プロセスモデル供給手段4は、決定した水質要素に基づいて、下水処理プロセスモデルを構築する。上記の表1によって生物反応槽3における生物反応モデルが定義されている場合、水処理プロセスモデル供給手段4は、微分方程式を用いて以下の式(36)〜(38)で示される下水処理プロセスモデルを構築する。
【0175】
【数17】
Figure 0004088075
このように構築された式(36)〜(38)で表される下水処理プロセスモデルは、水処理プロセスモデル供給手段4から水質要素推定手段5に送られる。
【0176】
他方、本水処理システム1に供給される下水は、まず、流入部2に流入する。流入部2の下水は、その一部が、採水装置41によって採水されて採水槽42に送られ、その他は、生物反応槽3に送られる。
【0177】
採水槽42に送られた下水は、採水槽用撹拌機32によって撹拌されて均一化される。そして、採水槽水質センサ類14の溶存酸素濃度センサによって溶存酸素濃度が計測され、浮遊固形物濃度センサによって浮遊固形物濃度が計測される。このように、溶存酸素濃度センサおよび浮遊固形物濃度センサからなる採水槽水質センサ類14により計測された採水槽水質データは、採水槽水質データ収集保持手段24に送られて時系列的に収集保持される。そして、採水槽水質データ収集保持手段24に保持されている採水槽水質データは、水質要素推定手段5に送られるとともに、水質値提示手段6に送られる。
【0178】
採水槽水質センサ類14による計測を終えた下水は、採水槽42から生物反応槽3に戻される。そして、下水は、生物反応槽3で生物反応による浄化処理が施された後に、本水処理システム1の後段に送られる。
【0179】
ところで、採水装置41は、予め定められた所定の周期T1で、流入部2からの下水を採水して採水槽42に送るようになっている。また、採水槽水質センサ類14は、採水装置41の採水周期T1よりも非常に短い周期T2で、採水槽42内の下水の水質要素を計測するようになっている。さらに、採水槽水質データ収集保持手段24は、採水装置41の採水周期T1よりも非常に短い周期であって、採水槽水質センサ類14の計測周期T2以上の周期T3で、採水槽水質データを収集保持するようになっている。従って、T1〜T3の各周期は、T2≦T3<<T1、という関係を有している。
【0180】
このため、採水装置41が採水する1周期(T1)の間、採水槽42に新たな下水が流入することはない。従って、採水装置41が採水する1周期(T1)の間、採水槽水質センサ類14は、外乱とみなされる採水槽42への下水の流入がない状態で、採水槽42の下水の水質要素を計測することができる。
【0181】
このため、水処理プロセスモデル供給手段4は、上記の式(36)〜(38)で表されるような自律系の微分方程式を用いて、下水処理プロセスモデルを構築することができる。
【0182】
水質要素推定手段5は、水処理プロセスモデル供給手段4から送られてくる下水処理プロセスモデルと、採水槽水質データ収集保持手段24から送られてくる採水槽水質データと、に基づいて、下水処理プロセスモデルを構築する際に決定した水質要素のうち計測不可能な水質要素の量を推定する。
【0183】
この時、以下に示すA1の要件を満たす場合には、水質要素推定手段5は、自律系に対するオブザーバを構成する。
【0184】
(A1) 計測可能な水質要素のデータとプロセスモデルを用いてオブザーバを構成することができる。
【0185】
A1の要件は、前述の第1の実施の形態における要件H1〜H3と比較して、極めて緩い要件である。つまり、プロセスモデルに計測している水質要素を表す出力方程式を付加した出力付きプロセスモデルが可観測/可検出になるように水質要素を計測して、オブザーバを構成することができれば、他の水質要素を必ず推定することができる。
【0186】
この要件A1の下で、水質要素推定手段5は、計測可能な水質要素のデータである採水槽水質データと、水処理プロセスモデル供給手段からの下水処理プロセスモデルとを用いてオブザーバを構成する。この時、水質要素推定手段5は、例えば以下の式(39)〜(41)で表される非線形性のオブザーバを構成することができる。
【0187】
【数18】
Figure 0004088075
ここで、k11〜k32はオブザーバゲインであり、前述の第1の実施の形態におけるオブザーバゲインk1〜k4と同様に、式(39)〜(41)の線形近似モデルに対する最適オブザーバやカルマンフィルタアルゴリズム等を適用することにより設計することができるが、特に、以下の点に注意する必要がある。
【0188】
すなわち、本実施の形態では、所定の周期T1で採水した下水に含まれる計測不可能水質要素を推定しているため、周期T1毎に、推定する水質要素が変化する。従って、周期T1内で水質要素の推定を終了する必要がある。そのためには、できる限りオブザーバゲインをハイゲインにして誤差の収束性を高めておくことが好ましい。もし、計測可能水質要素の計測値にノイズが重畳されていて、オブザーバゲインをハイゲインとすることが好ましくないような場合には、周期T1内に推定が終了するようなデッドビート(有限制定)オブザーバなどを構成してもよい。また、式(39)〜(41)は全状態オブザーバであり、3次の微分方程式から構成されているが、本実施の形態では、採水槽水質センサ類14によって2つの水質要素(DO、MLSS)を計測しているので、1次の最小次元オブザーバとして構成することもできる。
【0189】
このようにして、水質要素推定手段5は、採水槽42に採水された下水の計測不可能な水質要素の値を推定することができる。
【0190】
また、水質要素推定手段5は、特に、上述の要件A1を満たしているが、下水処理プロセスモデルが表2や表3に示されている未知な項目を含む場合に、自律系に対するロバスト適応オブザーバを構成する。ここで、下水処理プロセスモデルが表3に示す未知な項目を含む場合を想定すると、以下の式(42)〜(44)で表され未知パラメータを含むロバスト適応オブザーバが構成される。
【0191】
【数19】
Figure 0004088075
水質要素推定手段5は、上述の自律系に対するオブザーバ、自律系に対するロバスト適応オブザーバを用いて、周期T1毎に、計測不可能水質要素の量を推定する。すなわち、周期T1毎に、水質要素推定手段5は、流入下水の化学的酸素要求量と、微生物濃度とを推定する。
【0192】
このようにして推定された計測不可能水質要素の量は、推定データとして、水質要素推定手段5から水質値提示手段6に送られる。
【0193】
水質値提示手段6は、水質要素推定手段5から送られてくる推定データと、採水槽水質データ収集保持手段24から送られてくる採水槽水質データとを、当該水処理システム1の管理者や運転員に提示する。このとき、水質値提示手段6は、周期T1毎に、推定データと採水槽水質データとを提示して、例えば、周期T1毎の時系列データとしてトレンドグラフにプロットするようになっている。
【0194】
以上説明したように、本実施の形態によれば、流入下水の一部を周期T1毎に、間欠的に採水した採水槽42内の下水の水質要素を計測しており、この1周期(T1)内では、採水槽42には連続的な下水の流入がない。このように、連続的にあるいは非常に短い周期で水質要素の量を推定するということを行わずに、所定の周期毎の間欠的な推定方法を採用することにより、各周期内には外乱要素である下水の流入が存在しない環境を作りだすことができる。これにより、水質要素推定手段5は、外乱オブザーバよりも精度の面で各段に信頼の高い自律系のオブザーバを用いることができ、水質要素の推定精度を向上させることができる。
【0195】
また、水質要素推定手段5がロバスト適応オブザーバを構成して、これを適用することにより、現実の下水処理プロセスでは不可避な不確定要素が存在する場合であっても、ロバスト適応オブザーバを適用することにより、この不確定要素の推定および/または補償を行いながら、流入下水の水質要素と反応槽内の下水の計測されていない残りの水質要素を推定することができる。
【0196】
なお、本実施の形態では、オンライン方式を採用している。オンライン方式とは、流路を流れる被処理水を採水して、この被処理水の水質要素の量をセンサ等で計測した後に、再度、被処理水を流路に戻すような仕組みをいう。本実施の形態では、流入部2から生物反応槽3への流路を流れる下水を採水して、計測した後、再度、流路に戻すオンライン方式を採用している。なお、この時、被処理水の水質要素の量を測定するセンサをオンラインセンサといい、本実施の形態では採水槽水質センサ類14がオンラインセンサとして働いている。
【0197】
なお、採水槽水質センサ類14は、水処理プロセスモデル供給手段4が下水処理プロセスモデルを構築する際に決定する水質要素に応じて可変となっている。従って、採水槽水質センサ類14は、溶存酸素濃度センサ、浮遊固形物濃度センサに限定されるものでなく、下水処理プロセスモデルを構築する際に決定した水質要素に応じて各種センサを加えたり削除したりすることも可能である。
【0198】
また、特に第1の実施の形態の第2の変形例〜第4の変形例のそれぞれを、本実施の形態に適用することも可能である。
【0199】
すなわち、水処理プロセスモデル供給手段は、可観測性という基準を用いて様々な下水処理プロセスモデルを構築することができ、水質要素の量を推定する際の不必要な計算を低減し、水質要素の推定精度を向上させることが可能になる(第1の実施の形態の第2の変形例を参照)。また、水質要素推定手段5によって計測可能な水質要素の量を推定することにより、この計則可能水質要素の量を計測して得られる時系列データにノイズが重畳されている場合であっても、水質要素推定手段5における計測可能水質要素の推定データに基づいて適切にノイズを取り除いて、信頼性の高い同定および/または推定を行うことができる(第1の実施の形態の第3の変形例を参照)。さらに、計則あるいは推定したN個の水質要素の全ての時系列データに対して主成分分析を行って得られる、より数の少ない主要な情報を表す主成分を提示して、運転管理者等にとって有効な情報として役立てることができる(第1の実施の形態の第4の変形例を参照)。
【0200】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置によって被処理水の水質要素の量を正確に特定することができる。また、本発明の水処理システムは、水処理プロセスハイブリッド水質計測装置によって特定された水質要素の量を利用して被処理水を効率的に水処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図であり、下水処理プロセスを行う水処理システム全体の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す図であり、下水処理プロセスを行う水処理システム1全体の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 水処理システム
2 流入部
3 生物反応槽
4 水処理プロセスモデル供給手段
5 水質要素推定手段
6 水質値提示手段
11 流入下水水量センサ
12 流入下水水質量センサ
13 反応槽水質量センサ
14 採水槽水質センサ類
15 UV計
21 流入水量データ収集保持手段
22 流入水質データ収集保持手段
23 反応槽水質データ収集保持手段
24 採水槽水質データ収集保持手段
31 反応槽用撹拌機
32 採水槽用撹拌機
33 曝気槽
41 採水装置
42 採水槽

Claims (5)

  1. 活性汚泥法により被処理水の水処理を行う生物反応槽を備えた水処理システムに使用される水処理プロセスハイブリッド水質計測装置であって、
    活性汚泥法を用いた被処理水の水処理プロセスを表す生物反応モデルを含む水処理プロセスモデルを構築する水処理プロセスモデル供給手段と、
    生物反応槽内の被処理水の水処理プロセスモデルに関わる水質要素のうち、所定の計測可能水質要素の量を計測する水質計測手段と、
    水質計測手段が計測した計測可能水質要素計測データを収集保持する水質データ収集保持手段と、
    水処理プロセスモデル供給手段からの水処理プロセスモデルと、水質データ収集保持手段に収集保持されている計測可能水質要素計測データと、に基づいて、水処理プロセスモデルの入力となる計測不可能水質要素を含む水処理プロセスモデルに関わる被処理水の水質要素のうち所定の計測不可能水質要素の量を推定する水質要素推定手段と、を備え、
    水質要素推定手段は、被処理水の溶存酸素濃度が0であると仮定し、かつ、被処理水中の微生物濃度が0であると仮定し、かつ、推定対象である水処理プロセスモデルの入力となる計測不可能水質要素の量が一定である又は周期的に変動すると仮定して、水処理プロセスモデル供給手段によって構築された生物反応モデルを含む非線形の水処理プロセスモデル自身に基づき外乱オブザーバを構成し、当該外乱オブザーバを適用することを特徴とする水処理プロセスハイブリッド水質計測装置。
  2. 水質要素推定手段の構成する非線形の水処理プロセスモデル自身を用いた外乱オブザーバは、ロバスト適応外乱オブザーバであることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド水質計測装置。
  3. 水質要素推定手段は、さらに、前記水質計測手段によって計測された所定の計測可能水質要素の量を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置。
  4. 水質値提示手段は、水質計測手段で計測された計測可能水質要素の計測データ、および水質要素推定手段で推定された被処理水の計測不可能水質要素の推定データのうち少なくともいずれか一方に対して主成分分析を行い、前記主成分分析によって得られる主成分を提示することを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか一項に記載の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置。
  5. 被処理水が流入する流入部と、
    流入部からの被処理水の水処理を行う生物反応槽と、
    請求項1乃至のうちいずれか一項に記載の水処理プロセスハイブリッド水質計測装置と、
    水処理プロセスハイブリッド水質計測装置の水質計測手段で計測された計測可能水質要素の計測データ、および水質要素推定手段で推定された計測不可能水質要素の推定データ、のうち少なくともいずれか一方を提示する水質値提示手段と、
    を備えたことを特徴とする水処理システム。
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