JPH08305408A - 外乱オブザーバーを用いた制御装置及び制御方法 - Google Patents

外乱オブザーバーを用いた制御装置及び制御方法

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JPH08305408A
JPH08305408A JP12897595A JP12897595A JPH08305408A JP H08305408 A JPH08305408 A JP H08305408A JP 12897595 A JP12897595 A JP 12897595A JP 12897595 A JP12897595 A JP 12897595A JP H08305408 A JPH08305408 A JP H08305408A
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disturbance
controlled object
function
compression
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JP12897595A
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Ietoshi Itou
家年 伊藤
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外乱オブザーバーを用いた制御において、制
御対象に係るモデル誤差を含む外乱を圧縮してフィード
バック制御により除去するとともに、ループの安定性を
保証する。 【構成】 制御対象3に対するモデル化によって得られ
る標準モデル部4を制御対象3に対して並列に設定し、
標準モデル部4及び制御対象3にそれぞれ指令信号を送
る。そして、制御対象3と標準モデル部4との間の出力
差を求める。標準モデル部4に対して設定される動的補
償部7の構成に基づいてループのオープン関数を計算す
るとともに、標準モデル部4の伝達関数を計算し、両関
数の比に基づいて外乱圧縮部8の圧縮関数を求める。出
力差を圧縮関数で圧縮してから、制御対象3及び標準モ
デル部4にフィードバックする。その際、ループ安定化
パラメータε(0<ε≦1)を圧縮関数内に導入して圧
縮の度合を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御対象に対するモデ
ル化に誤差を伴う外乱オブザーバーを用いた制御装置及
び制御方法において、モデル化による誤差を含む外乱を
圧縮してフィードバック制御により除去することができ
る新規な外乱オブザーバーを用いた制御装置及び制御方
法を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】外力等の未知のパラメーター変動やモデ
ルの不確かさに対してロバスト(頑健)な制御を可能と
する、所謂「外乱オブザーバー」を用いた制御が知られ
ており、外乱トルクや速度等を推定することによって慣
性モーメントの変動や剛性の低下等に対して有効な制御
系の構成が模索されている。
【0003】例えば、制御対象としてロボットのマニピ
ュレータを取り挙げた場合には、その制御性の劣化要因
として、慣性モーメントや重力の変動や、遠心力及びコ
リオリ力、粘性抵抗等、各種の要因が考えられるが、軸
駆動用モータによるトルクや角度位置を入力として、モ
ータ軸にかかる外乱トルクや回転速度等を推定してフィ
ードバック制御を行うようにすると、モータ軸にかかる
外乱が打ち消されることが期待される。
【0004】図10は、制御対象を伝達関数で記述した
場合のプラントの構成を示すシグナルフロー線図を示す
ものである。
【0005】ここで、ロボット系にとってのプラントと
は単にロボット自体を意味するものではなく、軸駆動用
のモータやアーム、負荷を含む広い概念である。
【0006】図中の「TREF」はプラントへのトルク
指令値を示し、「T」は実際のトルクを示している。ま
た、「G(s)」はプラントの「標準モデル」の伝達
関数を示しており、「ΔG(s)」は実際のプラントと
「標準モデル」との間のズレを示すものであり(以下、
「モデル誤差」という。)、プラント全体の伝達関数を
「G(s)」とすると、Gは下式のように表され
る。
【0007】
【数1】
【0008】また、「θ」はプラントの実際の位置変数
を示し、「θ」は「標準モデル」についての位置変数
を示しており、「d」は位置の次元にまで変換された外
乱を示している。
【0009】ここにいう「標準モデル」とは、実際のプ
ラントの完全なモデル化が困難又は不可能な場合、ある
いは、実際のプラントが制御上複雑な要因を含んでいる
場合に、これをモデル化により簡単化することで制御を
容易に行うことができるように設定されるものであり、
従って、実際のプラントと標準モデルとの間にはモデル
誤差が常につきまとうことになる。
【0010】標準モデルの1構成例としては、図11の
シグナルフロー線図に示すように、トルクTから加速
度、速度、位置が順次に得られるにように、つまり、ト
ルクTを慣性モーメントの標準値「J」で除することで
加速度θ (2)(以下では、関数Xの時間tによるn
階の導関数を「X(n)」で表現する。)が得られ、そ
の積分により速度θ (1)が、さらにその積分により
位置θが得られるように定義すると、伝達関数G
(s)は下式のようになる。
【0011】
【数2】
【0012】尚、位置θとしては、アクチュエータ等に
関する状態変数を採ることができ、例えば、モータで
は、θを角度変位とすると、θ(1)が角速度、θ
(2)が角加速度に相当する(尚、これらに「」をつ
けると、標準モデルに係る量となる。)。
【0013】上記G(s)の具体的な形としては、2
慣性系の共振を一例にした場合に、下式[数3]によう
に表すことができる。尚、「2慣性系」とは、例えば、
2つの物体がバネの両端部にそれぞれ結ばれて振動する
系として抽象化されるものであり、モータ軸やロボット
のツール先端部等は通常、2慣性系の共振を含む制御対
象とみなすことができる。
【0014】
【数3】
【0015】尚、上式中において、各周波数「ω」、
「ω」やQ値「Q」、「Q」は全て定数であり、
(1+ΔG)のf(周波数)特性は、図12に破線で示
すように、f(=ω/2π)でボトム値を示し、f
(=ω/2π)でピーク値を示すというように大き
く変動するため、これが制御の高速化にとって障害とな
っている。
【0016】図10に示す構成では、トルク指令T
REFを受けた場合に、ノードTから分岐した標準モデ
ルGとそのモデル誤差に相当するG・ΔG、そし
て、外乱dがノードθに合流するようになっており、モ
デル誤差及び外乱を含む実際のプラントについての一般
的な構成となっている。
【0017】即ち、モデルの記述が完全でありモデル誤
差がゼロの場合にはG・ΔGのような経路は余分なも
のとなるが、そうすることが可能であるのは、対象とな
る系があらゆる状況について理論上疑義のないレベルま
で解明されている極く少数の事例についてだけであり、
モデル化による近似には誤差を伴うことになる。
【0018】図13は、外乱オブザーバーを用いた制御
装置の構成を示すものであり、指令部aから発せられる
指令信号はノードAで分岐して制御対象bと標準モデル
部cに送られる。
【0019】制御対象bの出力はノードBでの外乱によ
る影響を受けた後外乱推定部dに送られ、また、標準モ
デル部cの出力は外乱推定部dに送られる。
【0020】外乱推定部dは、これらの情報や標準モデ
ル部cを利用して得られる情報に基づいて外乱を打ち消
すための出力をノードAに送出する。
【0021】このように外乱オブザーバーでは、モデル
誤差や外乱を推定してその影響を打ち消すことによっ
て、制御対象としてあたかも標準モデルを取り扱ってい
るかのように制御することを目的としている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の外乱
オブザーバーを利用した制御においては、上記したモデ
ル誤差について充分に考慮しいないため、制御が容易で
なく、除去しきれない外乱(機械系の共振等)が制御の
高速化を阻む原因となっているというという問題があ
る。
【0023】つまり、上式「G=G・(1+Δ
G)」における「1+ΔG」という誤差因子について
は、これを慣性モーメントの標準値Jにかかる単なる定
数として扱っていたり(G=1/(α・J・s)、
但し、αは定数。)、或は「1+ΔG」が周波数特性を
もっているとした場合であってもこれを陽に取り扱わず
に単に加法的な外乱とみなしているため、これまで充分
な議論がなされていない。
【0024】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明外乱オブ
ザーバーを用いた制御装置は、上記した課題を解決する
ために、制御対象に対して状態変数に係る指令を発する
指令部と、制御対象に対してモデル化された構成を有
し、該制御対象に対して並列に設けられるとともに指令
部から制御対象に対して発せられる指令と同一又は同種
の指令を受ける標準モデル部と、外乱を含む制御対象と
標準モデル部との間の出力差を求める差動部と、標準モ
デル部の動的安定性を補償するために設けられる動的補
償部と、動的補償部の構成により規定されるループのオ
ープン関数と標準モデル部の伝達関数との比に基づいて
その圧縮関数が規定される外乱圧縮部とを設け、外乱圧
縮部の出力が、制御対象及び標準モデル部にフィードバ
ックされるようにしたものである。
【0025】また、本発明外乱オブザーバーを用いた制
御方法は、下記(1)乃至(5)の手順で制御を行うよ
うにしたものである。
【0026】(1)制御対象に対するモデル化によって
得られる標準モデル部を制御対象に対して並列に設定
し、標準モデル部及び制御対象に指令信号を送る。
【0027】(2)標準モデル部に対して設定される動
的補償部の構成に基づいてループのオープン関数を計算
するとともに、標準モデル部の伝達関数を計算する。
【0028】(3)制御対象と標準モデル部との間の出
力差を求める。
【0029】(4)(2)のオープン関数と標準モデル
部の伝達関数との比に基づいて圧縮関数を求める。
【0030】(5)(3)の出力差を(4)の圧縮関数
により圧縮したものを、制御対象及び標準モデル部にフ
ィードバックする。
【0031】
【作用】本発明によれば、モデル誤差を含む外乱を圧縮
してこれを打ち消すように制御対象及び標準モデル部に
フィードバックすることによって、制御対象を標準モデ
ル部に転化させる(つまり、誤差因子「1+ΔG」を1
又は1に近い値に帰着させて制御対象に係る伝達関数を
標準モデル部の伝達関数に変換し又は近づける)ことが
できる。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の詳細を図示した実施例に従
って説明する。
【0033】先ず、本発明の基本構成を、図1に示す。
【0034】制御装置1は、状態変数に係る指令を発す
るための指令部2を有しており、該指令はノードAで分
岐して制御対象3及び標準モデル部4にそれぞれ送出さ
れる。
【0035】制御対象3は、前記のプラントと同義の概
念であり、駆動源や機械的な構成部品、負荷等を含む系
を意味している。
【0036】また、制御対象3に対して並列に設けられ
る標準モデル部4は、上述した「標準モデル」を具体化
することによって実現されるものであり、その構成は制
御対象3の如何に左右される。即ち、標準モデル部4
は、ある制御対象を取り扱う場合には、当該制御対象に
近い構成をもったモデルを制御装置の内部に構成すれば
良いという「内部モデル原理」に呼応するものである。
【0037】制御対象3の出力はノードBで外乱の影響
を受けた後、差動部5に送出され、また、標準モデル部
4の出力がそのまま差動部5に送出されるようになって
おり、差動部5は両出力の差を求めてこれを外乱推定部
6に送出する。
【0038】外乱推定部6は、標準モデル部4に対する
動的補償部7と外乱圧縮部8とから構成されており、モ
デル誤差や外乱についての推定値を圧縮した上でノード
Aに送出して負のフィードバックをかけるために設けら
れている。
【0039】動的補償部7は、標準モデル部4の動的安
定化を図るために必要であり、例えば、モータ等のアク
チュエータに対するフィードバック制御でゲインの上昇
によるループの不安定化を避けるために位相補償手段が
設けられるのに対応する。尚、この動的補償部7は、基
本的には標準モデル部4に対して設けられるものであっ
て、実際の制御対象3に対して設けらける動的補償手段
は制御対象3に事前に包含されている。よって、動的補
償部7の構成は制御対象3内の動的補償手段に対応した
構成をもつ場合が多い(この場合には、動的補償部7
を、制御対象3についての動的補償手段に兼用すること
で構成の簡単化を図ることができる。)が、両者の構成
が常に一致するとは限らない。
【0040】外乱圧縮部8は、後述するように標準モデ
ル部4や動的補償部7の構成によって規定される圧縮関
数によって特徴付けられ、その出力はノードAに送られ
る。このように、推定外乱を圧縮する形式のオブザーバ
ーを、以下では「外乱圧縮オブザーバー」と呼ぶことに
する。尚、図1の制御装置1において、制御対象3の除
いた部分が計算機によるソフトウェア処理で実現可能な
部分である。但し、これに限らず、例えば、処理の高速
化のためにある部分(標準モデル部4等)をハードウェ
ア化することができることは勿論である。
【0041】図2は外乱圧縮関数について説明するもの
であり、図2(a)は、指令部2からの指令値が標準モ
デル部4に送られた後、標準モデル部4の出力は、差動
部5に相当するノードCに送出されて、ここで制御対象
3からの外乱を含む出力との間の差Δθ(=θ−
θ)が求められて、動的補償部7を介して標準モデル
部4にフィードバックされるループ構成を示している。
尚、図中の「TREF」は指令部2の指令値(例えば、
トルク指令)、「θ」は標準モデル部4の出力(例え
ば、位置変数)、「θ」は制御対象3からの外乱を含む
出力(例えば、位置変数)をそれぞれ示しており、「Δ
θ」は「Δθ=θ−θ」で定義される差を示して
いる。尚、外乱オブザーバーに係る変数には「」を付
すという約束を採用し、以下の説明において、例えば、
制御対象3に係る変数を「x」とするとき、これに対応
する外乱オブザーバー内の変数を「x」と記すことに
する。
【0042】図2(a)において、Δθから標準モデ
ル部4へのフィードバックループのオープン関数を「g
op」とした時、等価変換によってループを展開し
て、「1/(1+g op)」で置き換えたものが、図
2(b)に破線で囲まれた部分である。 圧縮関数は、
これを「F(s)」とし、標準モデル部4の伝達関数
を「G(s)」とした時、下式のように定義される。
【0043】
【数4】
【0044】以上に示した装置の構成は、これを図3に
示すようなシグナルフロー線図によって解析的に表現す
ることができる。
【0045】図3(a)において、破線で囲んだ部分
が、外乱圧縮オブザーバーの本体であり、それ以外の部
分は、図10に示したプラントの構成そのものである。
【0046】即ち、指令値TREFはノードTにおいて
3つに分岐し、そのうちの2系統は制御対象3に送出さ
れ、残りの1系統が外乱圧縮オブザーバー内に送出され
る。つまり、制御対象3は、標準モデル部4に関する伝
達関数G(s)と、これにモデル誤差ΔGを掛けたG
(s)・ΔGとの和で表すことができる。制御対象3
の出力はノードθにおいて外乱dの影響を受けた後、ノ
ードDで外乱圧縮オブザーバー内の標準モデル部4を通
った後の出力「−θ 」と合流する。そして、ノード
DからノードΔθに至る間に上記した因子「1/(1
+g op)」(但し、「g 」がノードΔθ
らオブザーバー内Gへのフィードバックループにかか
るオープン関数であることに注意する。)がかかり、さ
らに、圧縮関数「−F(s)」を介してノードTに戻
される。尚、上記したΔθの定義式から分かるよう
に、標準モデル部4の出力「−θ 」における負の係
数は、外乱圧縮オブザーバーが差動構造を本質とするこ
とに起因している。また、圧縮関数「−F(s)」に
おける符号は負のフィードバックによる。
【0047】図3(b)は、図3(a)に構成をノード
θにおいて等価変換したものであり、図3(c)は、図
3(b)で圧縮関数を含むループをさらに等価変換によ
って展開したものである。
【0048】上述のように外乱圧縮オブザーバーにおい
ては、ノードΔθからノードTに至る経路上で圧縮関
数による負のフィードバックをかけており、この部分を
抽出すると図4に示すようになる。
【0049】このループについてのオープン特性を関数
「G op(s)」とすると、下式のように表すことが
できる。
【0050】
【数5】
【0051】このループの安定性について調べるため
に、[数5]式に[数4]式を代入すると下式にように
なる。
【0052】
【数6】
【0053】尚、ここで、「g op」の特性について
は安定に設計されているものとし(その具体例について
は後述する。)、また、ΔGについては不安定極や不安
定零点を持たないものとする。
【0054】[数6]式において、「g op/(1+
op)」は、オブザーバー自体のループの閉特性を
表しており、g opの周波数特性内において充分大き
な値にすることができるので、[数6]式は常に成立す
ることが分かる。この式から外乱圧縮オブザーバーの安
定性はモデル誤差ΔGに大小によって決定されることが
明らかとなる。
【0055】そこで、ΔGが大きい場合であってもG
op(s)の安定化を図ることができるように、ループ
安定化パラメータεを導入し、圧縮関数「F(s)」
を下式のように再定義する。
【0056】
【数7】
【0057】このようにループ安定化パラメータεの設
定により如何なるΔGに対しても外乱圧縮オブザーバー
の安定化が可能となる。尚、ε=0は外乱圧縮オブザー
バーが全く働いておらず、ループが切断された状態であ
り、他方、[数7]式でε=1とおいたものが[数4]
式に相当し、この時に圧縮が最も効果的であることが分
かる。
【0058】ところで、制御対象3に係る伝達関数G
(s)は、[数1]式に示したように、誤差因子「1+
ΔG」を含んでおり、このままでは制御しづらいもので
ある。 他方、外乱圧縮をかけた場合には、G(s)
は変換されて新たな対象G op(s)となることが示
される。
【0059】即ち、G op(s)は、図3(c)に示
すように、ノードTから制御対象3に至る線上の係数
を、[数1]式の右辺に掛けた下式のようになる。
【0060】
【数8】
【0061】上式のF(s)に[数7]式を代入する
と、下式のようになる。
【0062】
【数9】
【0063】上式においてパラメーターε=1の場合に
は外乱圧縮効果により、下式のようにG opが標準モ
デル部4の伝達関数Gに略等しくなる。
【0064】
【数10】
【0065】即ち、制御対象3が標準モデルに近いもの
となり、これを制御にとって大変好都合な結果である。
換言すれば、パラメーターεが零に近い場合には、設定
した標準モデルが制御対象3から遊離したものとなって
おり、[数9]式にε=0を代入してみれば明らかなよ
うに、G(s)は何等の変わらないままである。
【0066】尚、[数9]式における式変形の過程にお
いては、g op>>1が仮定されているが、これは、
opのサンプリング周波数を、「1+ΔG」の周波
数特性に対して充分大きく選ぶことによって保証するこ
とができる。例えば、図12に示す2慣性系共振では、
opを図に実線で示すグラフ曲線に示すように
(「f 」はグラフ曲線がゼロデシベルラインをクロ
スするカット周波数を示す。)設定して、g opのサ
ンプリング周波数(これを「f 」とする。)を、例
えば、共振周波数(f)の数十倍(例えば、15〜2
0倍)以上に選べば良い。
【0067】また、ループ安定化パラメーターεは、外
乱圧縮オブザーバーの設計後に、制御対象3の動作範囲
内でループが発振を起さないように実験的に決定され、
例えば、図1に示すように、指定手段9により外乱圧縮
部8に対して指定されるが、その数は一つであるため、
測定による調整は容易である。勿論、ループ安定化パラ
メーターεが常に固定した値である場合には、指定手段
9によることなく最初から外乱圧縮部8の圧縮関数内に
組み込んでおいても良い。
【0068】また、制御対象3の動作状況が予め分かっ
ている場合には、装置の初期調整時に制御対象3に所定
の動作を行わせてパラメーターεを0から1に向かって
変化させていき、ループの安定限界を見極めるための処
理をソフトウェアで実現すれば、自動設定が可能であ
る。そして、パラメーターεのより積極的な活用として
は、例えば、制御対象3の動作状態に応じてパラメータ
値を変化させること等が挙げられ、外乱圧縮効果を必要
としないか又は弱くても良い状況では、εをゼロ近傍に
指定し、逆に外乱圧縮効果を最大限に発揮させた場合に
はεをその最大値又はその近傍に指定すれば良い。ま
た、パラメーターεについての指定範囲を複数の範囲に
区分して選択的に指定することも可能である。
【0069】次に、関数g op(s)及び圧縮関数F
(s)について具体例を挙げて説明する。
【0070】図5は標準モデル部4と動的補償部7の構
成例として3次の構造を示すシグナルフロー線図であ
り、図5(b)は、図5(a)の構成を等価変換したも
のであり、図5(c)は図5(b)をさらに等価変換し
てループを展開した状態を示すものである。尚、図にお
いて、「K 」、「K 」、「K」はオブザーバ
ーのサーボパラメーターである。また、「K 」の係
数「1/4」は計算の便宜上の導入したものである。
【0071】図5(a)に示すように、指令値TREF
はノードTに入った後、標準モデル部4を通り、その
出力θがノードΔθにおいて制御対象3からのθと
合流して両者の差分が計算される。そして、2つに分岐
したΔθの一方がs/fsを介してさらに2分され
て、その一方が「K 」、「K /4」を経てノー
ドTに至り、他方が「K」、「1/K」、「f
/s」、「K /4」を経てノードTに至る。ま
た、残りのΔθが「1/K」、「f /s」、
「K /4」を経てノードTに至るように構成され
ている。
【0072】関数g op(s)は、図5(b)におい
てノードΔθにおける3つのループを図5(c)のよ
うに等価変換して「1/(1+g op)」とおくこと
によって求めることができ、下式のようになる。
【0073】
【数11】
【0074】よって、上式及び「G(s)=1/(J
・s)」を、[数7]式に代入すると、外乱圧縮関
数F(s)は下式ようになる。
【0075】
【数12】
【0076】尚、この例では次数を3にしたが、これに
限らずn=1、2、4、・・・等、別の次数にすること
は容易である。また、サーボパラメーターについては、
オブザーバーのループ構造におけるs平面上の極配置に
依存するが、その具体的な形は、本発明の趣旨と直接関
係が無いので説明を省略する。
【0077】次に、外乱圧縮特性について説明する。
【0078】図3において、状態変数θにおける外乱d
による成分を「θd」とすると、図3(c)の構成か
ら、θdが下式のように求まる。
【0079】
【数13】
【0080】そして、上式に[数7]式を代入すると、
下式のようになる。
【0081】
【数14】
【0082】上式において、モデル誤差ΔGが大きくな
い場合に、ε=1とおくと次式のようになる。
【0083】
【数15】
【0084】[数15]式の分母第2項g opに[数
11]式のg opを代入すると、下式が得られる。
【0085】
【数16】
【0086】よって、ΔGが具体的に与えられれば、θ
dを計算することができる。尚、ΔG≒0の場合には、
図6に示すように、低域程大きな外乱圧縮作用を得るこ
とができる。例えば、2慣性系共振では、誤差因子「1
+ΔG」の周波数特性における共振周波数がf に比
して充分小さければ、共振外乱を強力に圧縮して、不要
振動を低減することができる。尚、この例では、3次の
微分圧縮特性について議論したが、一般には、必要に応
じてn(自然数)次の特性に言及することができる。
【0087】オブザーバーの使用目的の中には、測定不
可能な状態変数xの推定値xを求めるという状態推定
機能を挙げられるが、以下では外乱圧縮オブザーバーの
状態推定機能について説明する。
【0088】状態変数としてθを例にすると、θ
は、図3(b)から下式のようになる。
【0089】
【数17】
【0090】上式に[数7]式を代入することによっ
て、下式が得られる。尚、式変形時において「θ−d=
・(1+ΔG)・TREF」を用いていることに注
意する。
【0091】
【数18】
【0092】よって、モデル誤差が「ΔG<<
op」の場合、つまり、ΔGの周波数特性に比して
opが充分大きい場合(図12参照。)には、下式
のようになって、充分な推定精度を得ることができる。
【0093】
【数19】
【0094】以上に示した外乱圧縮オブザーバーの構成
の全体像を具体的に示したものが、図7であり、図に1
点鎖線で囲んだ部分が制御対象3の本体部であり、その
周辺部が動的補償に係る部分であり(前記したように、
この部分に動的補償部7を兼用することができる。)、
また、破線で示す部分が標準モデル部4の構成を示し、
その周辺部が動的補償部7の構成を示している。そし
て、ノードΔθからノードTに至る経路が外乱圧縮部
8の構成を示している。
【0095】この例では、制御対象3に係るループ構成
と同様のループ構成がオブザーバー内に用意されてこれ
が計算機上でのソフトウェア処理によって実現されてい
る。尚、図において、「K」、「K」、「K」は、
制御対象3において「K 」、「K 」、「K
にそれぞれ対応するサーボパラメーターであり、「θ
REF」は「θ」に係る指令値である。
【0096】また、図中の「J」は標準モデル部4内
のゲインであり、制御対象3におけるJに相当するもの
であるが、JとJとがかけ離れているとモデル誤差Δ
Gが大きくなってしまう。[数6]式から分かるように
ΔGは外乱圧縮オブザーバーにおけるループの安定性を
支配するものであるから、JとJとはなるべく近い
(正確にはJ/(f がJに近い。)方が好ま
しい。
【0097】そこで、両者間の調整方法として、図8に
示すように、制御対象3及び標準モデル部4におけるノ
ードTREFに所定周波数fの正弦波(図にsin(2
πft)の信号源で示す。)を外乱として同時に与え
る。但し、この時、F(s)=0として、ノードΔθ
からノードTREFへのフィードバックはカットして
おく。そして、周波数fの成分に対してθとθとが一
致するように、Jに対してJの値を手動又は自動によ
って調整すれば良い。尚、調整後におけるJの誤差分
については、モデル誤差としてループ安定化パラメータ
ーεの設定によって最終的に除去することができる。
【0098】最後に、本発明に係る制御方法についてま
とめると、図9に示すようになる。即ち、制御を開始し
て最初のステップS1では、指令部2から制御対象3及
び標準モデル部4に指令信号を送出し、次ステップS2
において、外乱を含んだ制御対象3の出力θと標準モデ
ル部4の出力θとの差Δθを、関数g op、G
を用いて計算する。そして、次ステップS3で外乱圧縮
関数F(s)の値を計算し、ステップS4で、−F
(s)にΔθを掛けたものを標準モデル部4に対する
フィードバックのために指令入力のノードTに送り、ス
テップS2に戻ってステップS2乃至S4をΔθ=0
になるまで繰り返す。
【0099】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなよう
に、請求項1、請求項3に係る発明によれば、指令部に
関して制御対象と標準モデル部とを並列に設け、制御対
象と標準モデルとの間の出力差を求めるとともに、標準
モデル部に係る動的補償部の構成に基づくループのオー
プン関数や、標準モデル部の伝達関数を計算し、これら
の関数の比に基づいて圧縮関数を求めて、これにより上
記出力差を圧縮したものを、制御対象及び標準モデル部
にフィードバックすることによってモデル誤差を含む外
乱を推定して圧縮し、制御対象の伝達関数を標準モデル
部の伝達関数に等しいか又はこれに近いものに転化さ
せ、指令部はあたかも標準モデル部に対して命令を発し
ているかように制御を行うことができるので、制御性の
向上や制御の高速化を図ることができる。
【0100】また、請求項2、請求項4に係る発明によ
れば、フィードバックループにおける安定性を保証する
ためにループ安定化のための一のパラメータε(0<ε
≦1)を導入して、圧縮の度合いを加減することがで
き、また、実際の制御におけるパラメータ調整におい
て、ループ安定化のための一のパラメータε(0<ε≦
1)を指定すれば良いので、調整作業が非常に簡単とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御装置の構成を示すブロック図
である。
【図2】圧縮関数について説明するための図であり、
(a)は標準モデル部と動的補償部とのループ構成を示
す図、(b)は(a)のループを展開したときの構成を
示す図である。
【図3】外乱圧縮オブザーバーに係る制御構成を示すシ
グナルフロー線図であり、(a)は基本構成を示し、
(b)は(a)の構成を等価変換した状態を示し、
(c)は(b)の構成をさらに等価変換した状態を示
す。
【図4】ノードΔθからノードTに戻るフィードバッ
クループを抽出して示す図である。
【図5】関数g opの具体例を示すシグナルフロー線
図であり、(a)は3次の構成を示し、(b)は(a)
の構成を等価変換した状態を示し、(c)は(b)の構
成をさらに等価変換した状態を示す。
【図6】圧縮成分θdの周波数特性を概略的に示すグラ
フ図である。
【図7】外乱圧縮オブザーバーについての具体的な構成
例を示すシグナルフロー線図である。
【図8】ゲインJの調整について説明するための図で
ある。
【図9】制御方法について説明するためのフローチャー
ト図である。
【図10】制御対象の構成を示すシグナルフロー線図で
ある。
【図11】標準モデルの構成例を示すシグナルフロー線
図である。
【図12】2慣性系共振についての伝達関数と関数g
opの周波数特性との関係を示すグラフ図である。
【図13】外乱オブザーバーを用いた制御装置の構成例
を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 制御装置 2 指令部 3 制御対象 4 標準モデル部 5 差動部 7 動的補償部 8 外乱圧縮部 9 指定手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象に係る外乱や制御対象のモデル
    化による誤差を圧縮してフィードバック制御を行う外乱
    オブザーバーを用いた制御装置であって、 制御対象に対して状態変数に係る指令を発する指令部
    と、 制御対象に対してモデル化された構成を有し、該制御対
    象に対して並列に設けられるとともに、指令部から制御
    対象に対して発せられる指令と同一又は同種の指令を受
    ける標準モデル部と、 外乱を含む制御対象と標準モデル部との間の出力差を求
    める差動部と、 標準モデル部の動的安定性を補償するために設けられる
    動的補償部と、 動的補償部の構成により規定されるループのオープン関
    数と標準モデル部の伝達関数との比に基づいてその圧縮
    関数が規定される外乱圧縮部とを備え、 外乱圧縮部の出力が、制御対象及び標準モデル部にフィ
    ードバックされるようにした、 ことを特徴とする外乱オブザーバーを用いた制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の外乱オブザーバーを用
    いた制御装置において、 外乱圧縮部の圧縮関数が、動的補償部の構成により規定
    されるループのオープン関数と標準モデル部の伝達関数
    との比にループ安定化のパラメータε(0<ε≦1)を
    乗じたものとされており、制御前又は制御時に該パラメ
    ータεが指定手段によって指定されるようにしたことを
    特徴とする外乱オブザーバーを用いた制御装置。
  3. 【請求項3】 制御対象に係る外乱や制御対象のモデル
    化による誤差を圧縮してフィードバック制御を行う外乱
    オブザーバーを用いた制御方法であって、 (1)制御対象に対するモデル化によって得られる標準
    モデル部を制御対象に対して並列に設定し、標準モデル
    部及び制御対象に指令信号を送り、 (2)標準モデル部に対して設定される動的補償部の構
    成に基づいてループのオープン関数を計算するととも
    に、標準モデル部の伝達関数を計算し、 (3)制御対象と標準モデル部との間の出力差を求め、 (4)(2)のオープン関数と標準モデル部の伝達関数
    との比に基づいて圧縮関数を求め、 (5)(3)の出力差を(4)の圧縮関数により圧縮し
    たものを、制御対象及び標準モデル部にフィードバック
    するようにした、 ことを特徴とする外乱オブザーバーを用いた制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の外乱オブザーバーを用
    いた制御方法において、 圧縮関数が、動的補償部の構成により規定されるループ
    のオープン関数と標準モデル部の伝達関数との比にルー
    プ安定化のためのパラメータε(0<ε≦1)を乗じた
    ものによって規定され、制御前又は制御時に該パラメー
    タを指定するようにしたことを特徴とする外乱オブザー
    バーを用いた制御方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003225650A (ja) * 2002-02-01 2003-08-12 Toshiba Corp 水処理プロセスハイブリッド水質計測装置及びこれを有する水処理システム

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