JP4088047B2 - 加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸ユニットに装着された工具をガイドブッシュで支持した状態で、前記工具によりワークを加工する加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
工具として、例えば、ボーリングバーやガンドリル等の長尺なツールバーを用い、ワークに対して穴開け加工を行う加工装置が用いられている。この種の加工装置では、ツールバーの軸長さが長尺であるために、加工作業時にこのツールバーをガイドブッシュに挿入して前記ツールバーの芯出しを行う必要がある。
【0003】
ところが、複数のツールバーを収容し、各ツールバーを主軸に対して自動的に交換可能な自動工具交換装置(ATC)が採用されている場合、それぞれのツールバーに対応した専用のガイドブッシュを複数用意し、各ガイドブッシュを自動的に使い分けるための自動ブッシュ割り出し装置が必要となっている。これにより、装置全体の構造が複雑かつ大型化するという不具合が指摘されている。
【0004】
そこで、例えば、特開平6−79568号公報に開示されているように、各ツールバーには、それぞれのツールバー専用のガイドブッシュを予め挿入して支持させる一方、ガイドヘッドには前記ガイドブッシュをチャッキングするチャックを設けておき、ツール交換時に切削加工ユニットから除去されるツールバーおよびツール交換によって切削加工ユニットに装着された直後のツールバーを、前記切削加工ユニット毎に前進後退動作させながら前記チャックを開閉動作させることにより、前記ガイドヘッドに対するガイドブッシュの着脱並びにガイドヘッドとツールバーとの間の該当するガイドブッシュの受け渡しを行うツール交換方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、ガイドヘッドがワークに近接して固定されており、まず、ツールバーを前進させて予めこのツールバーに挿入支持されているガイドブッシュを前記ガイドヘッドに受け渡した後、前記ツールバーを後退させてワークを搬入し、再度、前記ツールバーを前進させることにより、前記ワークの加工作業を行っている。
【0006】
このように、予めツールバーに支持されているガイドブッシュをガイドヘッドに受け渡してチャッキングする作業と、このチャッキング作業を行うべく前進したツールバーを一旦後退させるとともに、ワークをパレット上に搬入する作業と、前記ツールバーを前進させて前記ワークを加工する作業とが必要になり、作業全体が煩雑化するとともに、時間のかかるものとなってしまう。
【0007】
しかも、ツールバーに支持されているガイドブッシュを、固定式のガイドヘッドに挿入しなければならず、前記ツールバーを前記ガイドベッドに対して高精度に位置合わせする必要がある。これにより、ガイドブッシュをガイドヘッドに円滑に受け渡す作業が困難であるとともに、構造が複雑化するという問題が指摘されている。
【0008】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単な構成で、工具に嵌挿されたガイドブッシュをワークに対して良好かつ迅速に配置し、効率的な加工作業を遂行することが可能な加工装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る加工装置では、予めガイドブッシュが嵌挿され、軸線方向がワークに水平に対向する工具が主軸ユニットに装着されており、ガイドブッシュ保持ユニットが、前記ガイドブッシュを保持したまま、第2駆動機構の作用下にワークに近接して配置された状態で、前記主軸ユニットが第1駆動機構の作用下に前記ワーク側に移動することにより、前記工具が前記ガイドブッシュに支持されたまま、該ワークを加工している。従って、主軸ユニットを介して回転駆動される工具は、ワークの近傍でガイドブッシュにより確実に支持されるため、前記工具にぶれ等が発生することがなく、このワークを良好かつ円滑に加工することができる。
【0010】
しかも、ガイドブッシュを保持するガイドブッシュ保持ユニットは、第2駆動機構の作用下に主軸ユニットとは個別にワークに対して進退する。このため、ガイドブッシュ保持ユニットの移動作用下にガイドブッシュがワークの近傍に配置された後、主軸ユニットに装着されている工具を介して前記ワークの加工を即座に開始することができ、加工作業全体の効率化が容易に遂行可能となる。
【0011】
また、ガイドブッシュにホルダ部材が設けられるとともに、ガイドブッシュ保持ユニットには、前記ホルダ部材を着脱可能なクランプ機構が設けられている。従って、ガイドブッシュが嵌挿された工具を、ガイドブッシュ保持ユニットに対して容易に着脱させることができ、自動工具交換装置を用いる際にも有効に対応することが可能になる。
【0012】
さらにまた、主軸ユニットおよびガイドブッシュ保持ユニットを、第1および第2駆動機構による進退方向に直交する方向に一体的に進退させる第3駆動機構を備えている。これにより、ワークの任意の部位に対し加工処理を施す際には、第3駆動機構を駆動させるだけでよく、前記ワークに対する所望の加工作業が効率的かつ容易に遂行可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る加工装置10の概略斜視説明図であり、図2は、前記加工装置10の一部断面側面図であり、図3は、前記加工装置10の一部断面平面図である。
【0014】
加工装置10は、予めガイドブッシュ12が挿通されている工具14を装着する主軸ユニット16と、前記主軸ユニット16を基台18上でワークWに対して矢印Z方向に進退させる第1駆動機構20と、前記工具14に挿通されている前記ガイドブッシュ12を保持するガイドブッシュ保持ユニット22と、前記ガイドブッシュ保持ユニット22を前記基台18上で前記主軸ユニット16とは個別に矢印Z方向に進退させる第2駆動機構24と、前記基台18を前記第1および第2駆動機構20、24による進退方向に直交する矢印X方向に進退させる第3駆動機構26とを備える。
【0015】
加工装置10を構成するベース部材28上には、互いに平行して矢印X方向に延在するX軸レール30a、30bが設けられるとともに、前記X軸レール30a側に近接して第3駆動機構26を構成するX軸モータ32が固定される。図4に示すように、X軸モータ32の回転駆動軸32aには、ボールねじ34の一端が連結されるとともに、前記ボールねじ34が矢印X方向に延在しており、その両端がベース部材28にベアリング36を介して回転自在に支持される。ボールねじ34にはナット部材38が螺合しており、このナット部材38は、基台18の下部に設けられている。
【0016】
図2に示すように、基台18の下部には、X軸レール30a、30bに係合するレールガイド40a、40bが固定される。この基台18には、第1駆動機構20を構成するZ軸モータ42が装着され、このZ軸モータ42の回転駆動軸42aにボールねじ44が連結される。ボールねじ44の両端部は、基台18にベアリング46を介して回転自在に支持されるとともに、前記ボールねじ44にナット部材48が噛合する。
【0017】
ナット部材48は、第1テーブル50の下部に設けられるとともに、この第1テーブル50は、基台18上に互いに平行して矢印Z方向に延在する第1Z軸レール52a、52bに摺動自在に支持される。第1テーブル50には主軸ユニット16が装着されており、この主軸ユニット16は、モータ51を介して回転駆動される主軸53を備える。この主軸53には、工具14が工具ホルダ54を介して取り外し自在に装着される。
【0018】
工具14には、ガイドブッシュ12が予め嵌挿されるとともに、前記ガイドブッシュ12にブッシュホルダ(ホルダ部材)56が固定されている。このブッシュホルダ56の外周部には、例えば、図示しない自動工具交換装置(ATC)の爪部により、前記ブッシュホルダ56および工具14を一体的に把持するための溝部58a、58bが設けられている。
【0019】
図1および図3に示すように、第2駆動機構24は第2Z軸モータ60を備え、この第2Z軸モータ60が第1テーブル50に装着される。第2Z軸モータ60の回転駆動軸60aには、矢印Z方向に延在するボールねじ62の一端が連結されるとともに、前記ボールねじ62が有底円筒状のケーシング64内に収容されている。
【0020】
ボールねじ62にナット部材66が螺合しており、このナット部材66がガイドブッシュ保持ユニット22を構成する第2テーブル68に設けられている。第2テーブル68は、第1Z軸レール52a、52bの案内作用下に、第1テーブル50とは個別に矢印Z方向に進退可能である。
【0021】
ガイドブッシュ保持ユニット22の先端部には、ブッシュホルダ56を着脱可能なクランプ機構70が設けられる。図5に示すように、クランプ機構70は、ブッシュホルダ56を仮クランプするためのボールプランジャ72と、スプリング74を介して主軸53側に付勢される円筒状の引き込み部材76とを備える。この引き込み部材76の端部には孔部78が形成され、この孔部78に挿入されるボール80が、ブッシュホルダ56の外周面に形成されるテーパ面82に係合自在である。
【0022】
このように構成される加工装置10の動作について、以下に説明する。
【0023】
図1乃至図3に示すように、主軸ユニット16を構成する主軸53には、予めガイドブッシュ12およびブッシュホルダ56が嵌挿された工具14を取り付けており、このブッシュホルダ56がクランプ機構70を介してガイドブッシュ保持ユニット22に連結されている。
【0024】
そこで、ワークWが図示しない搬送手段を介して加工位置に搬送され、図示しないクランプ構造により位置決め保持された後、まず、第2駆動機構24が駆動される。このため、第2駆動機構24を構成する第2Z軸モータ60を介してボールねじ62が回転され、このボールねじ62に噛合するナット部材66が設けられている第2テーブル68は、工具14の軸線方向に平行して矢印Z1方向(ワークWに近接する方向)に移動する。
【0025】
ここで、ガイドブッシュ保持ユニット22には、クランプ機構70を介してブッシュホルダ56が連結されており、前記ブッシュホルダ56およびガイドブッシュ12は、工具14に嵌挿された状態で、このガイドブッシュ保持ユニット22を構成する第2テーブル68と一体的に、矢印Z1方向に移動する。
【0026】
図6に示すように、ガイドブッシュ12がワークWの加工位置近傍まで移動すると、第2駆動機構24を構成する第2Z軸モータ60の駆動が停止される。次いで、第1駆動機構20の駆動作用下に、主軸ユニット16に装着されている工具14を介してワークWの加工が開始されるとともに、第2駆動機構24の駆動作用下に、ガイドブッシュ12が前記ワークWの近傍の一定位置に停止して前記工具14を案内する。
【0027】
すなわち、第1駆動機構20を構成するZ軸モータ42の駆動作用下に、ボールねじ44が回転すると、このボールねじ44に螺合するナット部材48を介して第1テーブル50が矢印Z1方向に移動する。この第1テーブル50には主軸ユニット16が装着されており、前記主軸ユニット16を構成するモータ51が駆動される。このため、主軸53に取り付けられている工具14が、前記主軸53と一体的に回転し、ワークWに、例えば、穴開け加工が開始される(図7参照)。
【0028】
一方、第1テーブル50上には、第2駆動機構24を構成する第2Z軸モータ60が配設されており、前記第1テーブル50が矢印Z1方向に移動する際に、第2テーブル68に支持されているガイドブッシュ12をワークWの近傍で一定位置に停止させるため、前記第2Z軸モータ60が上記とは逆方向に駆動される。これにより、第2テーブル68は、ボールねじ62およびナット部材66を介して第1テーブル50に対して矢印Z2方向に移動し、前記ガイドブッシュ12を一定位置に保持している。
【0029】
そして、図8に示すように、工具14を介してワークWの加工が終了すると、第1および第2駆動機構20、24が駆動され、第1および第2テーブル50、68がワークWから離間する方向(矢印Z2方向)に移動する。
【0030】
このように、本実施形態では、予めガイドブッシュ12およびブッシュホルダ56を嵌挿している工具14が主軸ユニット16に装着されており、前記ブッシュホルダ56がガイドブッシュ保持ユニット22に連結されるとともに、前記ガイドブッシュ保持ユニット22は、第2駆動機構24を介して前記主軸ユニット16とは個別に矢印Z方向に進退可能に構成されている。
【0031】
このため、工具14を介してワークWの加工を行う際には、まず、第2駆動機構24の作用下に、ガイドブッシュ保持ユニット22を介してガイドブッシュ12を前記ワークWの近傍に移動させた後、第1駆動機構20の作用下に、前記主軸ユニット16を矢印Z1方向に移動させながら前記工具14を回転駆動するだけでよい。
【0032】
これにより、本実施形態では、ガイドブッシュ12をワークWの所定の位置に配置した後、工具14を介して前記ワークWの所望の位置に迅速かつ円滑に加工作業を開始することができ、前記加工作業全体の効率化が容易に図られるという効果が得られる。
【0033】
さらに、本実施形態では、ワークWの任意の箇所に加工作業を施す際に、容易かつ迅速に対応することが可能になる。すなわち、図4に示すように、第3駆動機構26を構成するX軸モータ32が駆動され、ボールねじ34の回転作用下に、ナット部材38を介して基台18が矢印X方向に移動される。そして、工具14がワークWの所定の加工部位に対応して配置される際、X軸モータ32の駆動を停止すれば、前記工具14およびガイドブッシュ保持ユニット22が前記ワークWの所定の加工部位に対応して配置されることになる。従って、ワークWの任意の箇所に所望の加工作業が迅速かつ円滑に遂行されるとともに、汎用性に優れるという利点がある。
【0034】
また、工具14を主軸ユニット16に対して着脱する際には、図5に示すように、ブッシュホルダ56に設けられている溝部58a、58bに、例えば、図示しないATCの爪部が係合するとともに、クランプ機構70がガイドブッシュ保持ユニット22を介して矢印Z2方向に移動される。このため、引き込み部材76の端面が主軸ユニット16の先端面に当接し、前記引き込み部材76の孔部78に挿入されているボール80がブッシュホルダ56のテーパ面82から離脱し、該ブッシュホルダ56のクランプ作用が解除される。
【0035】
次に、第1および第2駆動機構20、24の作用下に、主軸ユニット16およびガイドブッシュ保持ユニット22が矢印Z2方向に移動すると、クランプ機構70からブッシュホルダ56が取り外されるとともに、工具14が主軸53から取り出される。そこで、新たなガイドブッシュ12が嵌挿されている新たな工具14が主軸ユニット16に装着されるとともに、クランプ機構70を介して前記新たなガイドブッシュ12に固定されている新たなブッシュホルダ56がガイドブッシュ保持ユニット22に連結される。
【0036】
なお、本実施形態では、基台18を介して主軸ユニット16およびガイドブッシュ保持ユニット22を一体的に矢印X方向に進退させるための第3駆動機構26を備えているが、これに限定されるものではなく、前記主軸ユニット16および前記ガイドブッシュ保持ユニット22を図示しないY軸方向(X軸およびZ軸方向に直交する方向)にも進退可能なように構成してもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る加工装置では、ガイドブッシュ保持ユニットがガイドユニットを保持してワークに近接配置された状態で、主軸ユニットが前記ワーク側に移動することにより、前記ガイドブッシュに支持される工具を介して該ワークの加工作業が迅速かつ円滑に遂行される。これにより、ガイドブッシュを介して工具を確実に支持することができ、ワークに対して所望の加工作業が高精度に遂行されるとともに、加工作業全体の効率化が容易に図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る加工装置の概略斜視説明図である。
【図2】前記加工装置の一部断面側面図である。
【図3】前記加工装置の一部断面平面図である。
【図4】前記加工装置の一部断面背面図である。
【図5】前記加工装置を構成するガイドブッシュ、ブッシュホルダおよびクランプ機構の説明図である。
【図6】前記ガイドブッシュをワークに近接する位置に移動する際の動作説明図である。
【図7】前記ワークに加工を行っている際の動作説明図である。
【図8】前記ワークの加工が終了した際の説明図である。
【符号の説明】
10…加工装置 12…ガイドブッシュ
14…工具 16…主軸ユニット
18…基台 20、24、26…駆動機構
22…ガイドブッシュ保持ユニット 30a、30b…X軸レール
32…X軸モータ 34、44、62…ボールねじ
42、60…Z軸モータ 50、68…テーブル
51…モータ 52a、52b…Z軸レール
54…工具ホルダ 56…ブッシュホルダ
70…クランプ機構

Claims (3)

  1. 予めガイドブッシュが嵌挿され、軸線方向がワークに水平に対向する工具を装着する主軸ユニットと、
    基台上を前記工具の軸線方向に沿って摺動するとともに、前記主軸ユニットを支承する第1テーブルと、
    前記第1テーブルを前記ワークに対して進退させる第1駆動機構と、
    前記工具に嵌挿されている前記ガイドブッシュを保持するガイドブッシュ保持ユニットと、
    前記ガイドブッシュ保持ユニットの下部を保持するとともに、前記基台上を前記工具の軸線方向に沿って摺動する第2テーブルと、
    前記第2テーブルを、前記第1テーブルとは個別に前記ワークに対して進退させる第2駆動機構と、
    を備え、ガイドブッシュ保持ユニットが、前記ガイドブッシュを保持したまま、前記第2駆動機構の作用下に前記ワークに近接して配置された状態で、前記主軸ユニットが前記第1駆動機構の作用下に前記ワーク側に移動することにより、前記工具が前記ガイドブッシュに支持されたまま、該ワークを加工することを特徴とする加工装置。
  2. 請求項1記載の加工装置において、前記ガイドブッシュにホルダ部材が設けられるとともに、
    前記ガイドブッシュ保持ユニットには、前記ホルダ部材を着脱可能なクランプ機構が設けられることを特徴とする加工装置。
  3. 請求項1または2記載の加工装置において、前記主軸ユニットおよび前記ガイドブッシュ保持ユニットを、前記第1および第2駆動機構による進退方向に直交する方向に一体的に進退させる第3駆動機構を備えることを特徴とする加工装置。
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