JP4087951B2 - 管腔内留置物および管腔内留置物セット - Google Patents

管腔内留置物および管腔内留置物セット Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば血管のような生体の管腔内に挿入、留置される管腔内留置物および管腔内留置物セットに関する。
【0002】
【従来の技術】
動脈瘤は、通常、動脈硬化症患者で腎動脈下部において発生する。動脈瘤は、最終的には瘤の破裂を生じ、致命的な出血を生じる。
【0003】
従来、この動脈瘤の治療法としては、外科的に動脈瘤を切除し、その部分に人工血管(人工的な材料で作製された管体)を移植する方法が行われていた。
【0004】
しかしながら、この外科的治療法は、死亡率が高く、手術後の回復期間が長い。また、手術の侵襲による患者の負担が大きく、特に慢性病を有する老人にとっては大きな負担に耐えられないため、適用できない場合があった。
【0005】
そこで、このような外科的手術をせず、経皮的にステントグラフトを留置、移植して動脈瘤を治療する器具および方法が提案されている。
【0006】
このステントグラフトには、大別して、▲1▼外力を付与しない自然状態では拡径しており、これに径方向の圧縮力を加え、縮径させた状態、すなわちチューブ内に入れて拡径を規制した状態で動脈内の目的部位(動脈瘤が形成された治療部位)まで移送し、ここで前記圧縮力を除去して自己拡径させ、そこへ留置する所謂セルフエクスパンドタイプのものと、▲2▼外力を付与しない自然状態では縮径しており、この状態で動脈内の目的部位まで移送した後、別途挿入されたバルーンカテーテルのバルーンを膨張させて、ステントグラフトの端部に設置された金属部材を拡張させ、該拡張に伴う金属部材の塑性変形によりその拡張状態を維持する構成の所謂バルーンエクスパンドタイプのものとがある。
【0007】
しかしながら、これらのステントグラフトは、いずれも、ステントグラフトを動脈内の目的部位まで挿入する方法、目的部位に固定する方法が複雑であり、しかも、血流の抵抗を受け易く、目的部位への位置決めがしにくいため、ステントグラフトの留置位置(移植位置)を正確に定めることができないという欠点がある。
【0008】
また、たとえ正確な位置に留置できたとしても、固定が不安定であるため、その後ステントグラフトが血流に押されて移動する(マイグレーション)等の問題がある。
【0009】
さらに、バルーンエクスパンドタイプの場合、膨張したバルーンが血流を遮断するため、心臓への負担が大きい。そのため、補助的にIABP等を行って血流を確保する必要が生じる場合もあり、操作がより複雑となるとともに、患者の負担が大きい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、その目的は、管腔内への挿入、留置を簡単な操作で行うことができ、また、その留置位置を正確に定めることができる管腔内留置物および管腔内留置物セットを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(18)の本発明により達成される。
【0012】
(1) 線状体を湾曲または屈曲させてチューブ状に形成した構造体であって、自然状態での第1の外径と、前記第1の外径より大きい第2の外径とに変形可能な構造体と、
前記構造体を前記第2の外径の状態に維持する維持手段とを有し、
前記維持手段は、伸縮自在なガイド管と、前記ガイド管内に挿通されたロッドとを備え、
前記ロッドは、その一端部に前記ガイド管の端部と係合する係合部を有し、
前記ロッドの牽引により前記ガイド管を収縮させ、これにより前記構造体の外径を前記第2の外径とし、前記係合部の係合により前記ガイド管の収縮状態を維持するよう構成されていることを特徴とする管腔内留置物。
【0013】
) 前記ガイド管は、弾性材料よりなるコイルで構成されている上記()に記載の管腔内留置物。
【0014】
(3) 前記維持手段が前記構造体の骨格の一部を形成している上記(1)または(2)に記載の管腔内留置物。
【0015】
(4) 前記維持手段は、前記構造体の長手方向に延在し、これらが前記構造体の周方向に沿って複数配置されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0018】
) 前記ガイド管は、その長手方向に、互いに収縮率が異なる箇所を有する上記(1)ないし()のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0019】
) 前記線状体は、螺旋状、リング状または網状をなすストラットである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0020】
) 前記構造体は、その端部が複数に分岐した構造をなしている上記(1)ないし()のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0021】
) 前記構造体の少なくとも一部に膜が接合されている上記(1)ないし()のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0022】
) 導入シース内に第1の外径以下の外径で収納された状態で移送される上記(1)ないし()のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0023】
10) 血管内に留置されるステントまたはステントグラフトとして用いられる上記(1)ないし()のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0024】
11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の管腔内留置物と、前記管腔内留置物の前記構造体の外径を前記第1の外径から前記第2の外径にする外径拡張手段とを備える管腔内留置物セット。
【0025】
12) 前記外径拡張手段は、前記ロッドを牽引する機能を有する上記(11)に記載の管腔内留置物セット。
【0026】
13) 前記外径拡張手段は、前記維持手段に対し着脱自在である上記(11)または(12)に記載の管腔内留置物セット。
【0027】
14) 前記外径拡張手段は、外管と、前記外管内に挿通される牽引ワイヤと、前記外管の端部に設置され、前記維持手段との接続部を構成する接続部材とを備える上記(11)ないし(13)のいずれかに記載の管腔内留置物セット。
【0028】
15) 前記牽引ワイヤの移動量を示す表示手段を有する上記(14)に記載の管腔内留置物セット。
【0029】
16) 前記外径拡張手段は、前記構造体の外径拡張動作後、前記維持手段に接続されたままの状態で前記維持手段の維持動作開始を許容するよう構成されている上記(11)ないし(15)のいずれかに記載の管腔内留置物セット。
【0030】
17) 前記外径拡張手段は、前記維持手段の数に対応して設けられている上記(11)ないし(16)のいずれかに記載の管腔内留置物セット。
【0031】
18) 前記外径拡張手段のうちの少なくとも一部は、前記維持手段と接続される側と反対側の端部に、管腔内で把持される把持部を有している上記(17)に記載の管腔内留置物セット。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の管腔内留置物を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の管腔内留置物をステントグラフトに適用した場合の実施例を示す図、図2および図3は、それぞれ、図1に示すステントグラフトにおける維持手段の構成を示す斜視図、図4〜図7は、それぞれ、維持手段および外径拡張手段の動作を示す部分断面側面図、図8は、外径拡張手段の一端部の構成を示す斜視図である。なお、図1〜図8中の上側を「上」または「上端」、下側を「下」または「下端」として説明する。
【0034】
図1に示すように、本発明のステントグラフト(管腔内留置物)1は、大動脈内に挿入・留置(移植)されるものであり、その輪郭がチューブ状に形成された構造体(三次元構造体)2を有する。この構造体2は、本体チューブ21と、本体チューブ21から二股に分岐した2本の分岐チューブ22、23とで構成されている。分岐チューブ22、23の外径は、本体チューブ21の外径より小さい。
【0035】
また、本体チューブ21の上端および両分岐チューブ22、23の下端には、それぞれ、開口24、25および26が形成されている。
【0036】
構造体2は、主に、螺旋状に巻かれた複数本のストラット(線状体)27で構成されている。この場合、1つのストラット27と他のストラット27とは、その螺旋が互いに逆方向に巻かれている。これらのストラット27は、構造体2の骨格を形成している。
【0037】
なお、ストラット27の形状、形態は、螺旋状のものに限らず、その他、例えばリング状(特に複数のリングを連結した形状)のものや網状のものでもよい。
【0038】
ストラット27の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni-Ti 合金、Cu-Zn 合金、Ni-Al 合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、タンタル等の各種金属や、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが挙げられるが、このなかでも、特に、ステンレス鋼またはステンレス鋼を芯材とするものが好ましい。
【0039】
また、ストラット27の構成材料は、前記各種金属のようなX線造影性を有するものであるのが好ましい。
【0040】
また、ストラット27の線径は、特に限定されないが、好ましくは0.03〜2mm程度とすることができる。より好ましくは0.1〜1mm程度とすることができる。
【0041】
構造体2の本体チューブ21は、外力の作用によってその外径が変化する。すなわち、本体チューブ21は、自然状態(外力を作用させない状態)では、第1の外径である(以下、この状態を「縮径状態」と言う)が、後述する外径拡張手段5a〜5fを作動させると、前記第1の外径より大きい第2の外径となる(以下、この状態を「拡径状態」と言う)。
【0042】
この場合、第1の外径は、ステントグラフト1が大動脈内で移動できる程度のものであり、第2の外径は、ステントグラフト1の本体チューブ21の部分が大動脈の内壁に十分に密着できる程度のものである。なお、本体チューブ21の外径(以下「構造体2の外径」と言う)の変化に伴い、分岐チューブ22、23も同様に外径の変化を生じる。
【0043】
また、構造体2には、その長手方向に沿って延在する棒状の維持手段3a〜3fが設置されている。この維持手段は、構造体2の外径を第2の外径に維持する機能を有し、構造体2の周方向に沿って、複数配置されているのが好ましい。
【0044】
すなわち、本体チューブ21と分岐チューブ22とを縦断する2つの維持手段3a、3bと、本体チューブ21と分岐チューブ23とを縦断する2つの維持手段3c、3dと、分岐チューブ22を縦断する維持手段3eと、分岐チューブ23を縦断する維持手段3fとを有している。これにより、本体チューブ21では、4本の維持手段3a〜3dがチューブ周方向に沿ってほぼ等間隔で設置され、分岐チューブ22では、3本の維持手段3a、3b、3eがチューブ周方向に沿ってほぼ等間隔で設置され、分岐チューブ23では、3本の維持手段3c、3d、3fがチューブ周方向に沿ってほぼ等間隔で設置されている。
【0045】
維持手段3a〜3dの各上端部35および下端部36、ならびに維持手段3e、3fの下端部36には、ストラット27の端部が固定されている。また、維持手段3e、3fの上端部35同士は固定され、かつこの近傍にはストラット27の途中の部位が固定されている。また、維持手段3a〜3fの途中のストラット27と交差する部位およびストラット27同士の交差部位も同様に固定されている。
【0046】
これらの固定は、例えば接着剤による接着、半田付け等のろう接、溶接、結紮等によりなされる。
【0047】
ここで、維持手段3a〜3fの中間部に対するストラット27の固定や、ストラット27同士の交差部位の固定は、交差角度が可変となるようなルーズな固定が好ましい。これにより、ステントグラフト1の拡張、収縮をより円滑に行うことができる。
【0048】
なお、ストラット27は、維持手段3a〜3fに対しては、そのガイド管31に固定される(図2、図3参照)。
【0049】
このように、維持手段3a〜3fは、ストラット27と共に、構造体2の骨格の一部を形成している。特に、維持手段3a〜3fは、構造体2の長手方向に延在する主柱の役割を果たしている。これにより、構造体2の構造を複雑化することなく、必要かつ十分な強度や弾性、特に均一な強度、弾性を確保することができる。
【0050】
このような構造体2の内面および/または外面には、膜4(図1中では記載を省略)が被覆されている。この膜4は、構造体2の外径の変化に伴い伸縮するもの、または折り畳まれた状態から広がるものが好ましい。
【0051】
この膜4は、例えば、織編物、不織布、紙材のような繊維性多孔質膜、その他非繊維性多孔質膜、高分子シートのような緻密膜のいずれでもよい。
【0052】
膜4の素材(繊維)としては、例えば、セルロース繊維、綿、リンター、カポック、亜麻、大麻、ラミー、絹、羊毛等の天然繊維、ナイロン(ポリアミド)、テトロン、レーヨン、キュプラ、アセテート、ビニロン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリプロピレン等の化学繊維、またはこれら天然および化学繊維のうちの2以上の組み合わせ(混紡等)を挙げることができる。
【0053】
また、膜4の素材(高分子シート)の他の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴム、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0054】
また、膜4は、同一または異なる材料による2層以上の積層体であってもよい。
膜4に対しては、親水化処理または疎水化処理が施されていてもよい。
【0055】
膜4の構造体2に対する設置箇所は、構造体2の全体でも、一部分でもよいが、好ましくは本体チューブ21の長手方向中央部分、より好ましくは本体チューブ21のほぼ全体の内面または外面を被覆しているのが好ましい。
【0056】
図9〜図13に示す実施例では、本体チューブ21および分岐チューブ22、23のほぼ全長に渡り、その外周に筒状の膜4を被せている。
【0057】
また、膜4の構造体2に対する固定方法は、特に限定されず、膜4の収縮力により構造体2に圧着させる他、例えば、維持手段3a〜3fやストラット27に対し接着剤による接着、融着(熱融着、超音波融着等)、縫合、結紮等の方法により複数箇所で固定することができる。
【0058】
維持手段3a〜3fの下端部には、それぞれ、対応する外径拡張手段5a〜5fが着脱自在に接続(連結)される。外径拡張手段5a〜5fは、縮径状態の構造体2を拡径状態にすると共に、対応する維持手段3a〜3fを作動させるためのものである。
【0059】
以下、維持手段3a〜3fおよび外径拡張手段5a〜5fの構造について説明する。なお、各維持手段3a〜3fおよび各外径拡張手段5a〜5fは、それぞれ、ほぼ同様の構成であるため、以下、図2〜図7に基づき、維持手段3cおよびこれに接続される外径拡張手段5cについて代表的に説明する。
【0060】
維持手段3cは、伸縮自在なガイド管31と、ガイド管31の内径より小さい外径を有すロッド32とで構成され、ロッド32はガイド管31内に挿通されている。
【0061】
ガイド管31は、弾性材料よりなるコイル(コイルバネ)で構成されている。このガイド管31は、自然状態では伸長しているが、ロッド32の牽引操作により収縮させることができる。
【0062】
前述したように、ガイド管31にはストラット27が固定されている。図2に示すように、ガイド管31が伸長状態のときには、ガイド管31に固定されたストラット27も軸方向に引き延ばされ、構造体2は縮径状態となる。また、図3に示すように、ロッド32の牽引によりガイド管31が収縮すると、ガイド管31に対するストラット27の固定点間の軸方向の距離が縮まり、ストラット27が径方向に拡張し、構造体2は拡径状態となる。
【0063】
なお、ガイド管31の収縮率は、ガイド管31の全長にわたって同一でもよいが、ガイド管31は、長手方向に互いに収縮率が異なる箇所を有するものでもよい。この場合には、ガイド管31に対するストラット27の固定点の位置や固定点間の距離を選択して、構造体2の拡径率(=第2の外径/第1の外径)を部分的に変えることができる。その結果、構造体2の拡径状態における形状を任意に設定することができ、管腔の留置部位への追従性、適合性をより向上させること等が可能となる。
【0064】
ガイド管31に異なる収縮率を与える方法としては、例えば機械的特性(バネ弾性率等)が異なる複数の単位ガイド管を長手方向に接続して1つのガイド管31とする方法や、1本のガイド管に対し、コイル巻線の条件(密度(巻数)、コイル外径等)を変えて弾性率を異ならせる方法等が挙げられる。
【0065】
ロッド32は、線材で構成され、その上端には、ガイド管31の上端と係合するフック(ストッパー)321が形成されている。なお、フック321は、ガイド管31の上端部に対し、前記と同様の方法により固定されていてもよい。
【0066】
また、ロッド32の下端部には、ロッド32をループ状に折り曲げて形成された係合部322を有している。この係合部322は、ガイド管31の下端に係合し、これによりガイド管31の収縮状態を維持する(図6参照)。
【0067】
また、ロッド32の下端、すなわち係合部322のループ部分には、リング33が係合(連結)または固定されている。このリング33は、ロッド32と牽引ワイヤ52とを連結する連結部材である。なお、リング33は、ロッド32に対し、別体でも一体化されたものでもよい。
【0068】
ガイド管31を形成するコイルの材料としては、前記ストラット27の構成材料として挙げたものと同様のものが挙げられる。また、ガイド管31の外径は、特に限定されず、ステントグラフト1の外径にもよるが、体腔へ挿入する際の患者の負担と強度とを考慮して、通常は、0.2〜2.5mm程度が好ましく、0.4〜1.2mm程度がより好ましい。
【0069】
なお、ガイド管31のコイルの断面形状は、円形に限らず、楕円形、四角形(扁平形状)等、いかなるものでもよい。
【0070】
ロッド32の構成材料としては、前記ストラット27の構成材料として挙げたものと同様のものが挙げられる。また、ロッド32の線径は、特に限定されないが、通常、0.05〜1.5mm程度が好ましく、0.2〜0.8mm程度がより好ましい。
【0071】
リング33の構成材料としては、前記ストラット27の構成材料として挙げたものと同様のものが挙げられる。また、リング33の線径は、特に限定されないが、別体によるリング33の場合、十分な柔軟性を得るために比較的細いものが好ましく、具体的には、0.03〜0.3mm程度が好ましく、0.08〜0.15mm程度がより好ましい。
【0072】
外径拡張手段5cは、外管51と、外管51内に挿通される牽引ワイヤ52と、外管51の上端部に設置され、維持手段3cとの接続部を構成する接続部材(スペーサー)53とを備えている。この外径拡張手段5cは、維持手段3cに対し着脱自在に接続(連結)される。
【0073】
外管51は、適度な剛性、すなわちロッド32を牽引してガイド管31を収縮させたとき、軸方向に生じる圧縮力に抗し、折れ曲がり等を生じない程度の剛性と、適度な可撓性(柔軟性)とを有するものであり、例えば樹脂製チューブや、ガイド管31と同様のコイル材料よりなる密巻コイルで構成されたものが挙げられる。
【0074】
牽引ワイヤ52は、その外径が外管51の内径より小さく、外管51内を円滑に摺動することができる。牽引ワイヤ52の上端部には、フック521が設けられている。このフック521は、リング33に係合される。
【0075】
また、牽引ワイヤ52の下端側は、外管51の下端開口から所定長さ突出しており、その下端部には、図示しない牽引操作部が形成されている。この牽引操作部を操作して牽引ワイヤ52を下方ヘ牽引する。
【0076】
フック521がリング33に係合している状態で、牽引ワイヤ52を下方へ引くと、リング33を介してロッド32が下方へ牽引され、ガイド管31が収縮して構造体2が拡径状態となる。
【0077】
また、牽引ワイヤ52の下端側の所定位置には、牽引ワイヤ52の移動量(牽引量)を示す表示手段として、マーカー522、523が付されている。本実施例では、色彩または形状が異なる等により区別可能な少なくとも2つのマーカー522、523が付されている。
【0078】
これらのマーカー522、523は、種々の目的で利用される。例えば、図4に示すように、係合部322がガイド管31内にあり未だガイド管31の下端と係合しておらず、ガイド管31の伸縮を自由に行うことができる状態であること、図5に示すように、係合部322がガイド管31の下端と係合しまたは係合直前の状態であること等を知ることができる。マーカー522、523は、それぞれ、これらの状態に対応した位置に付されており、外管51の下端開口から出没するマーカー522、523を区別することにより前記状態を認識することができる。
【0079】
なお、表示手段の他の例としては、牽引ワイヤ52やその牽引手段(巻き取りリール等)に牽引ワイヤ52の移動量に対応した目盛りを付すことが挙げられる。
【0080】
図8に示すように、接続部材53は、扁平形状をなす箱状の部材で構成されており、その上端中央部には、対向する一対の突部531が上方に向かって突出形成されている。この突部531には、ガイド管31の下端が当接または嵌合する。
【0081】
接続部材53の上方の内部には、維持手段3cと外径拡張手段5cとの接続状態で係合部322の通過を許容する内部空間530が形成されている。
【0082】
また、接続部材53の上端部の両側部には、それぞれ切欠き532が形成されている。
【0083】
維持手段3cと外径拡張手段5cとが接続された状態で、係合部322は内部空間530に侵入し、その端部323が切欠き532を通過してガイド管31の外方へ突出し、ガイド管31の下端への係合を可能とする。すなわち、接続部材53は、維持手段3cと外径拡張手段5cとが接続された状態のままで、維持手段3cによる構造体拡径状態維持の動作の開始を許容する。従って、構造体2の拡径およびその拡径状態の維持のための操作の操作性が向上する。
【0084】
なお、図示の構成では、接続部材53の平面形状は長方形であるが、これに限らず、例えば楕円形であってもよい。
【0085】
接続部材53の外管51に対する固定は、単に嵌合されているだけでもよいが、接着剤による接着、融着、ろう接、溶接等により固定されていてもよい。
【0086】
外管51の下端部には、束ね部材54が設置されている。この束ね部材54は、外径拡張手段5c、5d、5f(分岐チューブ23上にある維持手段3c、3d、3fに対応するもの)の3本の外管51を1つに束ねるものである。
【0087】
この束ね部材54は、3本の外管51より拡径している。従って、束ね部材54は、後述するように、血管(大動脈)内で把持器具9により把持される把持部を構成している。
【0088】
束ね部材54の具体例としては、ゴム製のバンド(Oリング)、紐(糸)、金属製または樹脂製のクリップ(挟持部材)等が挙げられる。
【0089】
なお、外径拡張手段5a、5b、5e(分岐チューブ22上にある維持手段3a、3b、3eに対応するもの)の各外管51に対しては、このような束ね部材54は、装着されていても、装着されていなくてもよい。
【0090】
外管51の外径は、特に限定されず、ステントグラフト1の外径にもよるが、体腔へ挿入する際の患者の負担と強度とを考慮して、通常は、0.2〜2.5mm程度が好ましく、0.4〜1.2mm程度がより好ましい。
【0091】
牽引ワイヤ52の構成材料としては、前記ストラット27の構成材料として挙げたものと同様のものが挙げられる。また、牽引ワイヤ52の線径は、特に限定されないが、通常、0.1〜1.5mm程度が好ましく、0.2〜0.8mm程度がより好ましい。
【0092】
接続部材53としては、金属管を所望の形状に変形させたものや、樹脂成形体等が挙げられる。接続部材53を構成する金属材料としては、例えば、鉄または鉄系合金(ステンレス鋼等)、銅または銅系合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金が挙げられる。接続部材53を構成する樹脂材料としては、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0093】
維持手段3cおよび外径拡張手段5cを以上のような構造としたことにより、操作性が優れるとともに、維持手段および外径拡張手段としての機能を十分に発揮しつつ、細径化することができる。これにより、管腔への挿入の際の患者の負担の軽減に寄与する。また、細径化により、従来挿入が困難であった部位に対しても可能となり、生体の各所への適用範囲を広げることができる。
【0094】
次に、維持手段3cおよび外径拡張手段5cの動作(作用)について、図4〜図7に基づき説明する。
【0095】
図4に示すように、まず、維持手段3cに外力が作用していない状態では、維持手段3cのガイド管31は伸長状態であり、これにより、構造体2は縮径状態となっている。このとき、係合部322は、ガイド管31内に収納されている。また、ロッド32と牽引ワイヤ52とは、リング33により連結され、張力が伝達可能とされている。
【0096】
次に、図5に示すように、外管51を保持しつつ牽引ワイヤ52を下方へ引くと、まず、接続部材53の突部532がガイド管31の下端に当接または嵌合する。さらに牽引ワイヤ52を下方へ引くと、ロッド32が牽引され、ガイド管31が収縮し、構造体2は拡径状態となる。また、ガイド管31が収縮することにより係合部322がガイド管31の下端開口から露出し、接続部材53の内部空間530内に侵入する。このとき、係合部322の端部323が切欠き532を通過してガイド管31より外方へ突出する。
【0097】
次に、牽引ワイヤ52の張力を弱め、牽引ワイヤ52を上方へわずかに戻すと、図6に示すように、係合部322の端部323がガイド管31の下端に係合する。これにより、ガイド管31の収縮状態、すなわち構造体2の拡径状態が維持される。
【0098】
なお、上記構造体2の縮径状態から拡径状態となり、それが維持されるまでの動作は、マーカー522、523等の位置を視認することにより、術者が体外で把握することができる。
【0099】
次に、図6〜図7に示すように、牽引ワイヤ52の上方への移動や回転等の操作を行ってリング33からフック521を外し、その後、牽引ワイヤ52を再度下方へ移動してフック521を接続部材53の内部空間530内に収納する。これにより、維持手段3cから外径拡張手段5cが切り離される。
【0100】
以上のような操作は、維持手段3cおよび外径拡張手段5c以外の維持手段および外径拡張手段に対しても同様に行われる。術者は、このような操作を、容易かつ円滑に、短時間で行うことができる。
【0101】
次に、本発明のステントグラフト1の管腔内への挿入・留置(移植)方法の一例について説明する。
【0102】
図9〜図13は、それぞれ、ステントグラフト1を大動脈内に経皮的に挿入・留置する際の手順を模式的に示す図、図14および図15は、それぞれ、把持器具の構成例を示す斜視図、図16は、ステントグラフト1を導入シースの先端部に挿入した状態を示す縦断面図である。なお、図9、図10では、導入シース7の先端部の外径等は誇張して描かれている。
【0103】
[1] まず、準備として、図16に示すように、ステントグラフト1を導入シース7の先端部に挿入しておく。導入シース7は、ステントグラフト1を支持しつつ大動脈100内まで導入するための器具であり、可撓性を有するチューブで構成されている。
【0104】
なお、導入シース7内に収納されたステントグラフト1は、導入シース7の内周面より圧縮力を受けて、前記第1の外径より若干小さな外径(第1の外径以下の外径)となっている。
【0105】
また、導入シース7内には、チューブ状のプッシャー8が挿入されている。プッシャー8の先端は、ステントグラフト1の下端に当接しており、また、プッシャー8の基端部(手元側)は、導入シース7の基端開口より突出している(図9参照)。
【0106】
導入シース7内に収納されたステントグラフト1の分岐チューブ22上にある維持手段3a、3b、3eに接続された外径拡張手段5a、5b、5eは、プッシャー8の内部を通り、プッシャー8の基端開口より突出している(図9、図16参照)。
【0107】
また、分岐チューブ23上にある維持手段3c、3d、3fに接続された外径拡張手段5c、5d、5fは、プッシャー8の内部を通り、その途中で折り返されてステントグラフト1のある先端方向へ戻り、ステントグラフト1の外面と導入シース7の内面との間を通り、導入シース7の先端開口71から所定長さ突出している(図16参照)。この場合、前述したように、外径拡張手段5c、5d、5fの下端部は、束ね部材54により束ねられている。
【0108】
[2] 一方、外径拡張手段5c、5d、5fの束ね部材54の部分を把持する把持器具9を用意する。図14および図15に示すように、この把持器具9は、可撓性を有するチューブ91と、該チューブ91の内部に挿通されるトラップワイヤ92とで構成されている。
【0109】
トラップワイヤ92は、その中間で2つに折り曲げられ、この折り曲げ部分にループ(輪)93が形成されている。このループ93は、チューブ91の先端開口から突出している。また、トラップワイヤ92のループ93と反対側の端部(両端部)は、チューブ91の基端開口から突出している。
【0110】
なお、この把持器具9による外径拡張手段5c、5d、5fの把持は、体内で次のようにして行われる。十分に大きなループ93を形成した状態(図14参照)で、ループ93内に外径拡張手段5c、5d、5fの下端部を挿入し、チューブ91を固定した状態でトラップワイヤ92をチューブ91の基端方向(図15中矢印方向)に引くと、ループ93が縮小し、外径拡張手段5c、5d、5fの外周に巻き付く。これにより、束ね部材54が縮小したループ92に係合し、把持される(図15参照)。
【0111】
[3] 以上のような準備が終了したら、図9に示すように、例えばセルジンガー法により、左大腿動脈140にシース10を、右大腿動脈150にシース6をそれぞれ挿入、留置する。
【0112】
[4] そして、シース6を介して、プッシャー8およびステントグラフト1を収納した導入シース7を導入するとともに、シース10を介して、把持器具9を導入する。導入シース7および把持器具9を、それぞれ、右腸骨動脈130および左腸骨動脈120内で血流と逆方向に進め、それらの先端部を大動脈100の下端付近に位置させる。
【0113】
[5] 次に、大動脈10内において、前述したようにして、把持器具9により外径拡張手段5c、5d、5fの束ね部材54の部分を把持するとともに、導入シース7および把持器具9をさらに血流の上流側に進める。
【0114】
[6] 次に、プッシャー8を固定したまま導入シース7を徐々に引き抜く。これにより、図10に示すように、ステントグラフト1は、プッシャー8の先端に押圧されて導入シース7の先端開口71より露出する。
【0115】
ステントグラフト1全体が導入シース7内から押し出されると、ステントグラフト1は、縮径状態(第1の外径)となり、大動脈100の動脈瘤(治療部位)110付近またはそれより若干上流側(図11中上方)に位置する。このとき、ステントグラフト1は、縮径状態であるため、大動脈100内で移動可能(変位可能)である。
【0116】
[7] この状態で、導入シース7、プッシャー8および把持器具9を体外へ抜き取る。把持器具9を抜き取る際には、把持器具9の先端部に把持されている外径拡張手段5c、5d、5fの下端部も左腸骨動脈120およびシース10を通って体外に引き出され、図11に示す状態となる。
【0117】
[8] 次に、体外で外径拡張手段5a、5b、5eおよび外径拡張手段5c、5d、5fを所定の張力で引くことにより、ステントグラフト1を血流の下流側へ牽引、移動し、位置決めを行う。すなわち、図12に示すように、このステントグラフト1の移動により、本体チューブ21の下端(分岐チューブ22および23の交わる部分)が大動脈100の下端の分岐部に当接し、ステントグラフト1の分岐チューブ22および23は、それぞれ、右腸骨動脈130および左腸骨動脈120内に挿入され、本体チューブ21は、大動脈100内の動脈瘤110をカバーするような位置に配置される。
【0118】
外径拡張手段5a、5b、5eおよび外径拡張手段5c、5d、5fを引く際の張力を微妙に変化させることにより、ステントグラフト1の位置を所望の位置に調整することができる。
【0119】
[9] 以上のようにしてステントグラフト1の位置決めがなされたら、前述した方法により、外径拡張手段5a〜5fの各牽引ワイヤ52を操作して構造体2を拡径させ(第2の外径とし)、かつ、維持手段3a〜3fの作用によりその拡径状態を維持する。
【0120】
これにより、図13に示すように、ステントグラフト1は、適正な位置に確実に固定される。すなわち、本体チューブ21は、大動脈100の動脈瘤110より上流側および下流側の内壁に密着し、分岐チューブ22および23は、それぞれ、右腸骨動脈130および左腸骨動脈120の内壁に密着する。
【0121】
大動脈100内の血流(図13中上方から下方に向けて流れる)は、その大半がステントグラフト1の内部を通過して、右腸骨動脈130および左腸骨動脈120に分流される。
【0122】
[10] 以上のようにしてステントグラフト1の挿入・留置が完了したら、前述した方法により、外径拡張手段5a〜5fを維持手段3a〜3fから切り離し、体外へ抜き取る。
なお、前記工程[2]〜[10]における操作は、X線透視下で行われる。
【0123】
[11] 最後に、シース6および10を除去し、手技を終える。
前述した従来のセルフエクスパンドタイプのものでは、導入シースから大動脈内に押し出されたと同時に自己拡径し、大動脈の内面に密着して固定されるため、位置合わせを行うことができず、よって、ステントグラフトの留置位置は、それを導入シースから押し出す位置に依存する。
【0124】
これに対し、本発明のステントグラフト1では、前記工程[6]〜[8]で述べたように、ステントグラフト1が導入シース7から大動脈100内に押し出されたときには、ステントグラフト1は縮径状態で、移動可能であるため、その位置決めを自由に行うことができる。従って、ステントグラフト1の留置位置を正確に定めることができる。
【0125】
また、前述した従来のバルーンエクスパンドタイプのものでは、大動脈内でのバルーンの膨張により血流を遮断するため、心臓へ大きな負担がかかり、また、血液の大きな圧力を受けてステントグラフトが位置ズレを起こし、動脈瘤に圧迫力を与える等の弊害が生じる。
【0126】
これに対し、本発明のステントグラフト1では、前記工程[6]〜[10]の最中において、縮径状態、拡径状態にかかわらず、ステントグラフト1の内部を血液が流れることができるため、血流を遮断しない。従って、安全性が高く、ステントグラフト1の拡径後の固定の安定性も高く、位置ズレおよびこれにより生じる弊害を防止することができる。
【0127】
以上、本発明の管腔内留置物および管腔内留置物セットを図示の実施例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、管腔内留置物の各部の構成要素、特に、維持手段や外径拡張手段は、同様の機能を発揮し得る任意の形状、構造のものと置換することができる。
【0128】
また、管腔内留置物の形状は、分岐チューブ22、23のような分岐部分を有さず、単なる円筒状のものでもよい。
【0129】
また、血管内に留置されるものとしては、前記のようなステントグラフトに限らず、その他、例えば血管狭窄部を拡張するためのステントであってもよい。この場合、膜4に相当するものは存在しなくてもよい。
【0130】
また、本発明の管腔内留置物は、血管内に留置されるものに限らず、その他、例えば、胆管、リンパ管、気管、消化管、尿道管、腟等の各種管腔(体腔)内に挿入、留置されるものに適用することができる。
【0131】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、管腔内への挿入、留置を簡単な操作で行うことができ、また、管腔内の目的部位への位置決めを容易かつ正確に行うことができる。
【0132】
また、留置後の安定性も高く、位置ズレ(移動)等が生じ難い。特に、拡径時の形状や外径(第2の外径)を予め測定した管腔の留置部形状や管腔径(血管径)に対応して正確に設定することができるので、留置後、管腔内面との密着性に優れたものとすることができ、これにより、固定の安定性向上や治療効果の向上に寄与する。
【0133】
また、管腔内留置物の挿入、留置操作の最中に血流を止めるようなこともないため、安全性が高く、低侵襲で、患者の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管腔内留置物をステントグラフトに適用した場合の実施例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す管腔内留置物における維持手段の構成(構造体が縮径状態)を示す斜視図である。
【図3】図1に示す管腔内留置物における維持手段の構成(構造体が拡径状態)を示す斜視図である。
【図4】本発明における維持手段および外径拡張手段の動作を示す部分断面側面図である。
【図5】 本発明における維持手段および外径拡張手段の動作を示す部分断面側面図である。
【図6】 本発明における維持手段および外径拡張手段の動作を示す部分断面側面図である。
【図7】 本発明における維持手段および外径拡張手段の動作を示す部分断面側面図である。
【図8】外径拡張手段の一端部の構成を示す斜視図である。
【図9】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図10】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図11】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図12】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図13】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図14】把持器具の構成例を示す斜視図である。
【図15】把持器具の構成例(把持状態)を示す斜視図である。
【図16】図1に示す管腔内留置物を導入シースの先端部に挿入した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ステントグラフト
2 構造体
21 本体チューブ
22 分岐チューブ
23 分岐チューブ
24〜26 開口
27 ストラット
3a〜3f 維持手段
31 ガイド管
32 ロッド
321 フック
322 係合部
323 端部
33 リング
4 膜
5a〜5f 外径拡張手段
51 外管
52 牽引ワイヤ
521 フック
522、523 マーカー
53 接続部材
530 内部空間
531 突部
532 切欠き
54 束ね部材
6 シース
7 導入シース
71 先端開口
8 プッシャー
9 把持器具
91 チューブ
92 トラップワイヤ
93 ループ
10 シース
100 大動脈
110 動脈瘤
120 左腸骨動脈
130 右腸骨動脈
140 左大腿動脈
150 右大腿動脈

Claims (18)

  1. 線状体を湾曲または屈曲させてチューブ状に形成した構造体であって、自然状態での第1の外径と、前記第1の外径より大きい第2の外径とに変形可能な構造体と、
    前記構造体を前記第2の外径の状態に維持する維持手段とを有し、
    前記維持手段は、伸縮自在なガイド管と、前記ガイド管内に挿通されたロッドとを備え、
    前記ロッドは、その一端部に前記ガイド管の端部と係合する係合部を有し、
    前記ロッドの牽引により前記ガイド管を収縮させ、これにより前記構造体の外径を前記第2の外径とし、前記係合部の係合により前記ガイド管の収縮状態を維持するよう構成されていることを特徴とする管腔内留置物。
  2. 前記ガイド管は、弾性材料よりなるコイルで構成されている請求項1に記載の管腔内留置物。
  3. 前記維持手段が前記構造体の骨格の一部を形成している請求項1または2に記載の管腔内留置物。
  4. 前記維持手段は、前記構造体の長手方向に延在し、これらが前記構造体の周方向に沿って複数配置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の管腔内留置物。
  5. 前記ガイド管は、その長手方向に、互いに収縮率が異なる箇所を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の管腔内留置物。
  6. 前記線状体は、螺旋状、リング状または網状をなすストラットである請求項1ないし5のいずれかに記載の管腔内留置物。
  7. 前記構造体は、その端部が複数に分岐した構造をなしている請求項1ないし6のいずれかに記載の管腔内留置物。
  8. 前記構造体の少なくとも一部に膜が接合されている請求項1ないし7のいずれかに記載の管腔内留置物。
  9. 導入シース内に第1の外径以下の外径で収納された状態で移送される請求項1ないし8のいずれかに記載の管腔内留置物。
  10. 血管内に留置されるステントまたはステントグラフトとして用いられる請求項1ないし9のいずれかに記載の管腔内留置物。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の管腔内留置物と、前記管腔内留置物の前記構造体の外径を前記第1の外径から前記第2の外径にする外径拡張手段とを備える管腔内留置物セット。
  12. 前記外径拡張手段は、前記ロッドを牽引する機能を有する請求項11に記載の管腔内留置物セット。
  13. 前記外径拡張手段は、前記維持手段に対し着脱自在である請求項11または12に記載の管腔内留置物セット。
  14. 前記外径拡張手段は、外管と、前記外管内に挿通される牽引ワイヤと、前記外管の端部に設置され、前記維持手段との接続部を構成する接続部材とを備える請求項11ないし13のいずれかに記載の管腔内留置物セット。
  15. 前記牽引ワイヤの移動量を示す表示手段を有する請求項14に記載の管腔内留置物セット。
  16. 前記外径拡張手段は、前記構造体の外径拡張動作後、前記維持手段に接続されたままの状態で前記維持手段の維持動作開始を許容するよう構成されている請求項11ないし15のいずれかに記載の管腔内留置物セット。
  17. 前記外径拡張手段は、前記維持手段の数に対応して設けられている請求項11ないし16のいずれかに記載の管腔内留置物セット。
  18. 前記外径拡張手段のうちの少なくとも一部は、前記維持手段と接続される側と反対側の端部に、管腔内で把持される把持部を有している請求項17に記載の管腔内留置物セット。
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