JPH11319110A - 管腔内留置物 - Google Patents

管腔内留置物

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JPH11319110A
JPH11319110A JP15234398A JP15234398A JPH11319110A JP H11319110 A JPH11319110 A JP H11319110A JP 15234398 A JP15234398 A JP 15234398A JP 15234398 A JP15234398 A JP 15234398A JP H11319110 A JPH11319110 A JP H11319110A
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guide tube
tube
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政幸 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】管腔内への挿入、留置を簡単な操作で行うこと
ができ、また、用手的に意図した位置で拡張でき、その
留置位置を正確に定めることができる管腔内留置物を提
供すること。 【解決手段】ステントグラフト(管腔内留置物)1は、
大動脈内に挿入・留置(移植)されるものであり、その
輪郭がチューブ状に形成された構造体2を有する。この
構造体2は、本体チューブ21と、本体チューブ21か
ら二股に分岐した2本の分岐チューブ22、23とで構
成されている。構造体2は、螺旋状に巻かれた複数本の
ストラット27で構成されており、外力を作用させない
自然状態では、第1の外径(縮径状態)であるが、外径
拡張手段を作動させると、拡径して第2の外径(拡径状
態)となる。構造体2には、その長手方向に沿って延在
する棒状の維持手段3a〜3fが設置されている。これ
らの維持手段は、構造体2の外径を第2の外径に維持す
る機能を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、例えば血管のよう
な生体の管腔内に挿入、留置される管腔内留置物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】動脈瘤は、通常、動脈硬化症患者で腎動
脈下部において発生する。動脈瘤は、最終的には瘤の破
裂を生じ、致命的な出血を生じる。
【0003】従来、この動脈瘤の治療法としては、外科
的に動脈瘤を切除し、その部分に人工血管(人工的な材
料で作製された管体)を移植する方法が行われていた。
【0004】しかしながら、この外科的治療法は、死亡
率が高く、手術後の回復期間が長い。また、手術の侵襲
による患者の負担が大きく、特に慢性病を有する老人に
とっては大きな負担に耐えられないため、適用できない
場合があった。
【0005】そこで、このような外科的手術をせず、経
皮的にステントグラフトを留置、移植して動脈瘤を治療
する器具および方法が提案されている。
【0006】このステントグラフトには、大別して、
外力を付与しない自然状態では拡径しており、これに径
方向の圧縮力を加え、縮径させた状態、すなわちチュー
ブ内に入れて拡径を規制した状態で動脈内の目的部位
(動脈瘤が形成された治療部位)まで移送し、ここで前
記圧縮力を除去して自己拡径させ、そこへ留置する所謂
セルフエクスパンドタイプのものと、外力を付与しな
い自然状態では縮径しており、この状態で動脈内の目的
部位まで移送した後、別途挿入されたバルーンカテーテ
ルのバルーンを膨張させて、ステントグラフトの端部に
設置された金属部材を拡張させ、該拡張に伴う金属部材
の塑性変形によりその拡張状態を維持する構成の所謂バ
ルーンエクスパンドタイプのものとがある。
【0007】しかしながら、これらのステントグラフト
は、いずれも、ステントグラフトを動脈内の目的部位ま
で挿入する方法、目的部位に固定する方法が複雑であ
り、しかも、血流の抵抗を受け易く、目的部位への位置
決めがしにくいため、ステントグラフトの留置位置(移
植位置)を正確に定めることができないという欠点があ
る。
【0008】また、たとえ正確な位置に留置できたとし
ても、固定が不安定であるため、その後ステントグラフ
トが血流に押されて移動する(マイグレーション)等の
問題がある。
【0009】さらに、バルーンエクスパンドタイプの場
合、膨張したバルーンが血流を遮断するため、心臓への
負担が大きい。そのため、補助的にIABP等を行って
血流を確保する必要が生じる場合もあり、操作がより複
雑となるとともに、患者の負担が大きい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題に鑑みなされたもので、その目的は、管腔内への挿
入、留置を簡単な操作で行うことができ、また、その留
置位置を正確に定めることができる管腔内留置物を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(20)の本発明により達成される。
【0012】(1) 線状体を湾曲または屈曲させてチ
ューブ状に形成した構造体であって、自然状態での第1
の外径と、前記第1の外径より大きい第2の外径とに変
形可能な構造体と、前記構造体を前記第2の外径の状態
に維持する維持手段とを有することを特徴とする管腔内
留置物。
【0013】(2) 前記線状体は、螺旋状、リング状
または網状をなすストラットである上記(1)に記載の
管腔内留置物。
【0014】(3) 前記維持手段が前記構造体の骨格
の一部を形成している上記(1)または(2)に記載の
管腔内留置物。
【0015】(4) 前記維持手段は、前記構造体の長
手方向に延在し、これらが前記構造体の周方向に沿って
複数配置されている上記(1)ないし(3)のいずれか
に記載の管腔内留置物。
【0016】(5) 前記維持手段は、伸縮自在なガイ
ド管と、前記ガイド管内に挿通されたロッドとを備え、
前記ロッドの牽引により前記ガイド管を収縮させ、これ
により前記構造体の外径を前記第2の外径とするよう構
成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載
の管腔内留置物。
【0017】(6) 前記ロッドは、その一端部に前記
ガイド管の端部と係合する係合部を有し、この係合部の
係合により前記ガイド管の収縮状態を維持する上記
(5)に記載の管腔内留置物。
【0018】(7) 前記ガイド管は、弾性材料よりな
るコイルで構成されている上記(5)または(6)に記
載の管腔内留置物。
【0019】(8) 前記ガイド管は、その長手方向
に、互いに収縮率が異なる箇所を有する上記(5)ない
し(7)のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0020】(9) 前記構造体の外径を前記第1の外
径から前記第2の外径にする外径拡張手段を備える上記
(1)ないし(8)のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0021】(10) 前記構造体を前記第1の外径の状
態から前記第2の外径の状態にする外径拡張手段であっ
て、前記ロッドを牽引する機能を有する外径拡張手段を
備える上記(5)ないし(8)のいずれかに記載の管腔
内留置物。
【0022】(11) 前記外径拡張手段は、前記維持手
段に対し着脱自在である上記(9)または(10)に記載
の管腔内留置物。
【0023】(12) 前記外径拡張手段は、外管と、前
記外管内に挿通される牽引ワイヤと、前記外管の端部に
設置され、前記維持手段との接続部を構成する接続部材
とを備える上記(9)ないし(11)のいずれかに記載の
管腔内留置物。
【0024】(13) 前記牽引ワイヤの移動量を示す表
示手段を有する上記(12)に記載の管腔内留置物。
【0025】(14) 前記外径拡張手段は、前記構造体
の外径拡張動作後、前記維持手段に接続されたままの状
態で前記維持手段の維持動作開始を許容するよう構成さ
れている上記(9)ないし(13)のいずれかに記載の管
腔内留置物。
【0026】(15) 前記外径拡張手段は、前記維持手
段の数に対応して設けられている上記(9)ないし(1
4)のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0027】(16) 前記外径拡張手段のうちの少なく
とも一部は、前記維持手段と接続される側と反対側の端
部に、管腔内で把持される把持部を有している上記(1
5)に記載の管腔内留置物。
【0028】(17) 前記構造体は、その端部が複数に
分岐した構造をなしている上記(1)ないし(16)のい
ずれかに記載の管腔内留置物。
【0029】(18) 前記構造体の少なくとも一部に膜
が接合されている上記(1)ないし(17)のいずれかに
記載の管腔内留置物。
【0030】(19) 導入シース内に第1の外径以下の
外径で収納された状態で移送される上記(1)ないし
(18)のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0031】(20) 血管内に留置されるステントまた
はステントグラフトとして用いられる上記(1)ないし
(19)のいずれかに記載の管腔内留置物。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の管腔内留置物を添
付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0033】図1は、本発明の管腔内留置物をステント
グラフトに適用した場合の実施例を示す図、図2および
図3は、それぞれ、図1に示すステントグラフトにおけ
る維持手段の構成を示す斜視図、図4〜図7は、それぞ
れ、維持手段および外径拡張手段の動作を示す部分断面
側面図、図8は、外径拡張手段の一端部の構成を示す斜
視図である。なお、図1〜図8中の上側を「上」または
「上端」、下側を「下」または「下端」として説明す
る。
【0034】図1に示すように、本発明のステントグラ
フト(管腔内留置物)1は、大動脈内に挿入・留置(移
植)されるものであり、その輪郭がチューブ状に形成さ
れた構造体(三次元構造体)2を有する。この構造体2
は、本体チューブ21と、本体チューブ21から二股に
分岐した2本の分岐チューブ22、23とで構成されて
いる。分岐チューブ22、23の外径は、本体チューブ
21の外径より小さい。
【0035】また、本体チューブ21の上端および両分
岐チューブ22、23の下端には、それぞれ、開口2
4、25および26が形成されている。
【0036】構造体2は、主に、螺旋状に巻かれた複数
本のストラット(線状体)27で構成されている。この
場合、1つのストラット27と他のストラット27と
は、その螺旋が互いに逆方向に巻かれている。これらの
ストラット27は、構造体2の骨格を形成している。
【0037】なお、ストラット27の形状、形態は、螺
旋状のものに限らず、その他、例えばリング状(特に複
数のリングを連結した形状)のものや網状のものでもよ
い。
【0038】ストラット27の構成材料としては、例え
ば、ステンレス鋼、Ni-Ti 合金、Cu-Zn 合金、Ni-Al 合
金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン
合金、タンタル等の各種金属や、ポリアミド、ポリイミ
ド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素
系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これ
らを適宜組み合わせたものが挙げられるが、このなかで
も、特に、ステンレス鋼またはステンレス鋼を芯材とす
るものが好ましい。
【0039】また、ストラット27の構成材料は、前記
各種金属のようなX線造影性を有するものであるのが好
ましい。
【0040】また、ストラット27の線径は、特に限定
されないが、好ましくは0.03〜2mm程度とすること
ができる。より好ましくは0.1〜1mm程度とすること
ができる。
【0041】構造体2の本体チューブ21は、外力の作
用によってその外径が変化する。すなわち、本体チュー
ブ21は、自然状態(外力を作用させない状態)では、
第1の外径である(以下、この状態を「縮径状態」と言
う)が、後述する外径拡張手段5a〜5fを作動させる
と、前記第1の外径より大きい第2の外径となる(以
下、この状態を「拡径状態」と言う)。
【0042】この場合、第1の外径は、ステントグラフ
ト1が大動脈内で移動できる程度のものであり、第2の
外径は、ステントグラフト1の本体チューブ21の部分
が大動脈の内壁に十分に密着できる程度のものである。
なお、本体チューブ21の外径(以下「構造体2の外
径」と言う)の変化に伴い、分岐チューブ22、23も
同様に外径の変化を生じる。
【0043】また、構造体2には、その長手方向に沿っ
て延在する棒状の維持手段3a〜3fが設置されてい
る。この維持手段は、構造体2の外径を第2の外径に維
持する機能を有し、構造体2の周方向に沿って、複数配
置されているのが好ましい。
【0044】すなわち、本体チューブ21と分岐チュー
ブ22とを縦断する2つの維持手段3a、3bと、本体
チューブ21と分岐チューブ23とを縦断する2つの維
持手段3c、3dと、分岐チューブ22を縦断する維持
手段3eと、分岐チューブ23を縦断する維持手段3f
とを有している。これにより、本体チューブ21では、
4本の維持手段3a〜3dがチューブ周方向に沿ってほ
ぼ等間隔で設置され、分岐チューブ22では、3本の維
持手段3a、3b、3eがチューブ周方向に沿ってほぼ
等間隔で設置され、分岐チューブ23では、3本の維持
手段3c、3d、3fがチューブ周方向に沿ってほぼ等
間隔で設置されている。
【0045】維持手段3a〜3dの各上端部35および
下端部36、ならびに維持手段3e、3fの下端部36
には、ストラット27の端部が固定されている。また、
維持手段3e、3fの上端部35同士は固定され、かつ
この近傍にはストラット27の途中の部位が固定されて
いる。また、維持手段3a〜3fの途中のストラット2
7と交差する部位およびストラット27同士の交差部位
も同様に固定されている。
【0046】これらの固定は、例えば接着剤による接
着、半田付け等のろう接、溶接、結紮等によりなされ
る。
【0047】ここで、維持手段3a〜3fの中間部に対
するストラット27の固定や、ストラット27同士の交
差部位の固定は、交差角度が可変となるようなルーズな
固定が好ましい。これにより、ステントグラフト1の拡
張、収縮をより円滑に行うことができる。
【0048】なお、ストラット27は、維持手段3a〜
3fに対しては、そのガイド管31に固定される(図
2、図3参照)。
【0049】このように、維持手段3a〜3fは、スト
ラット27と共に、構造体2の骨格の一部を形成してい
る。特に、維持手段3a〜3fは、構造体2の長手方向
に延在する主柱の役割を果たしている。これにより、構
造体2の構造を複雑化することなく、必要かつ十分な強
度や弾性、特に均一な強度、弾性を確保することができ
る。
【0050】このような構造体2の内面および/または
外面には、膜4(図1中では記載を省略)が被覆されて
いる。この膜4は、構造体2の外径の変化に伴い伸縮す
るもの、または折り畳まれた状態から広がるものが好ま
しい。
【0051】この膜4は、例えば、織編物、不織布、紙
材のような繊維性多孔質膜、その他非繊維性多孔質膜、
高分子シートのような緻密膜のいずれでもよい。
【0052】膜4の素材(繊維)としては、例えば、セ
ルロース繊維、綿、リンター、カポック、亜麻、大麻、
ラミー、絹、羊毛等の天然繊維、ナイロン(ポリアミ
ド)、テトロン、レーヨン、キュプラ、アセテート、ビ
ニロン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(ポリ
エステル)、ポリプロピレン等の化学繊維、またはこれ
ら天然および化学繊維のうちの2以上の組み合わせ(混
紡等)を挙げることができる。
【0053】また、膜4の素材(高分子シート)の他の
例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリテトラフルオロエチレン、天然ゴム、イソプレ
ンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、
ラテックスゴム等の各種ゴム、ポリアミド系、ポリエス
テル系、ポリウレタン系等の各種熱可塑性エラストマー
等が挙げられる。
【0054】また、膜4は、同一または異なる材料によ
る2層以上の積層体であってもよい。膜4に対しては、
親水化処理または疎水化処理が施されていてもよい。
【0055】膜4の構造体2に対する設置箇所は、構造
体2の全体でも、一部分でもよいが、好ましくは本体チ
ューブ21の長手方向中央部分、より好ましくは本体チ
ューブ21のほぼ全体の内面または外面を被覆している
のが好ましい。
【0056】図9〜図13に示す実施例では、本体チュ
ーブ21および分岐チューブ22、23のほぼ全長に渡
り、その外周に筒状の膜4を被せている。
【0057】また、膜4の構造体2に対する固定方法
は、特に限定されず、膜4の収縮力により構造体2に圧
着させる他、例えば、維持手段3a〜3fやストラット
27に対し接着剤による接着、融着(熱融着、超音波融
着等)、縫合、結紮等の方法により複数箇所で固定する
ことができる。
【0058】維持手段3a〜3fの下端部には、それぞ
れ、対応する外径拡張手段5a〜5fが着脱自在に接続
(連結)される。外径拡張手段5a〜5fは、縮径状態
の構造体2を拡径状態にすると共に、対応する維持手段
3a〜3fを作動させるためのものである。
【0059】以下、維持手段3a〜3fおよび外径拡張
手段5a〜5fの構造について説明する。なお、各維持
手段3a〜3fおよび各外径拡張手段5a〜5fは、そ
れぞれ、ほぼ同様の構成であるため、以下、図2〜図7
に基づき、維持手段3cおよびこれに接続される外径拡
張手段5cについて代表的に説明する。
【0060】維持手段3cは、伸縮自在なガイド管31
と、ガイド管31の内径より小さい外径を有すロッド3
2とで構成され、ロッド32はガイド管31内に挿通さ
れている。
【0061】ガイド管31は、弾性材料よりなるコイル
(コイルバネ)で構成されている。このガイド管31
は、自然状態では伸長しているが、ロッド32の牽引操
作により収縮させることができる。
【0062】前述したように、ガイド管31にはストラ
ット27が固定されている。図2に示すように、ガイド
管31が伸長状態のときには、ガイド管31に固定され
たストラット27も軸方向に引き延ばされ、構造体2は
縮径状態となる。また、図3に示すように、ロッド32
の牽引によりガイド管31が収縮すると、ガイド管31
に対するストラット27の固定点間の軸方向の距離が縮
まり、ストラット27が径方向に拡張し、構造体2は拡
径状態となる。
【0063】なお、ガイド管31の収縮率は、ガイド管
31の全長にわたって同一でもよいが、ガイド管31
は、長手方向に互いに収縮率が異なる箇所を有するもの
でもよい。この場合には、ガイド管31に対するストラ
ット27の固定点の位置や固定点間の距離を選択して、
構造体2の拡径率(=第2の外径/第1の外径)を部分
的に変えることができる。その結果、構造体2の拡径状
態における形状を任意に設定することができ、管腔の留
置部位への追従性、適合性をより向上させること等が可
能となる。
【0064】ガイド管31に異なる収縮率を与える方法
としては、例えば機械的特性(バネ弾性率等)が異なる
複数の単位ガイド管を長手方向に接続して1つのガイド
管31とする方法や、1本のガイド管に対し、コイル巻
線の条件(密度(巻数)、コイル外径等)を変えて弾性
率を異ならせる方法等が挙げられる。
【0065】ロッド32は、線材で構成され、その上端
には、ガイド管31の上端と係合するフック(ストッパ
ー)321が形成されている。なお、フック321は、
ガイド管31の上端部に対し、前記と同様の方法により
固定されていてもよい。
【0066】また、ロッド32の下端部には、ロッド3
2をループ状に折り曲げて形成された係合部322を有
している。この係合部322は、ガイド管31の下端に
係合し、これによりガイド管31の収縮状態を維持する
(図6参照)。
【0067】また、ロッド32の下端、すなわち係合部
322のループ部分には、リング33が係合(連結)ま
たは固定されている。このリング33は、ロッド32と
牽引ワイヤ52とを連結する連結部材である。なお、リ
ング33は、ロッド32に対し、別体でも一体化された
ものでもよい。
【0068】ガイド管31を形成するコイルの材料とし
ては、前記ストラット27の構成材料として挙げたもの
と同様のものが挙げられる。また、ガイド管31の外径
は、特に限定されず、ステントグラフト1の外径にもよ
るが、体腔へ挿入する際の患者の負担と強度とを考慮し
て、通常は、0.2〜2.5mm程度が好ましく、0.4
〜1.2mm程度がより好ましい。
【0069】なお、ガイド管31のコイルの断面形状
は、円形に限らず、楕円形、四角形(扁平形状)等、い
かなるものでもよい。
【0070】ロッド32の構成材料としては、前記スト
ラット27の構成材料として挙げたものと同様のものが
挙げられる。また、ロッド32の線径は、特に限定され
ないが、通常、0.05〜1.5mm程度が好ましく、
0.2〜0.8mm程度がより好ましい。
【0071】リング33の構成材料としては、前記スト
ラット27の構成材料として挙げたものと同様のものが
挙げられる。また、リング33の線径は、特に限定され
ないが、別体によるリング33の場合、十分な柔軟性を
得るために比較的細いものが好ましく、具体的には、
0.03〜0.3mm程度が好ましく、0.08〜0.1
5mm程度がより好ましい。
【0072】外径拡張手段5cは、外管51と、外管5
1内に挿通される牽引ワイヤ52と、外管51の上端部
に設置され、維持手段3cとの接続部を構成する接続部
材(スペーサー)53とを備えている。この外径拡張手
段5cは、維持手段3cに対し着脱自在に接続(連結)
される。
【0073】外管51は、適度な剛性、すなわちロッド
32を牽引してガイド管31を収縮させたとき、軸方向
に生じる圧縮力に抗し、折れ曲がり等を生じない程度の
剛性と、適度な可撓性(柔軟性)とを有するものであ
り、例えば樹脂製チューブや、ガイド管31と同様のコ
イル材料よりなる密巻コイルで構成されたものが挙げら
れる。
【0074】牽引ワイヤ52は、その外径が外管51の
内径より小さく、外管51内を円滑に摺動することがで
きる。牽引ワイヤ52の上端部には、フック521が設
けられている。このフック521は、リング33に係合
される。
【0075】また、牽引ワイヤ52の下端側は、外管5
1の下端開口から所定長さ突出しており、その下端部に
は、図示しない牽引操作部が形成されている。この牽引
操作部を操作して牽引ワイヤ52を下方ヘ牽引する。
【0076】フック521がリング33に係合している
状態で、牽引ワイヤ52を下方へ引くと、リング33を
介してロッド32が下方へ牽引され、ガイド管31が収
縮して構造体2が拡径状態となる。
【0077】また、牽引ワイヤ52の下端側の所定位置
には、牽引ワイヤ52の移動量(牽引量)を示す表示手
段として、マーカー522、523が付されている。本
実施例では、色彩または形状が異なる等により区別可能
な少なくとも2つのマーカー522、523が付されて
いる。
【0078】これらのマーカー522、523は、種々
の目的で利用される。例えば、図4に示すように、係合
部322がガイド管31内にあり未だガイド管31の下
端と係合しておらず、ガイド管31の伸縮を自由に行う
ことができる状態であること、図5に示すように、係合
部322がガイド管31の下端と係合しまたは係合直前
の状態であること等を知ることができる。マーカー52
2、523は、それぞれ、これらの状態に対応した位置
に付されており、外管51の下端開口から出没するマー
カー522、523を区別することにより前記状態を認
識することができる。
【0079】なお、表示手段の他の例としては、牽引ワ
イヤ52やその牽引手段(巻き取りリール等)に牽引ワ
イヤ52の移動量に対応した目盛りを付すことが挙げら
れる。
【0080】図8に示すように、接続部材53は、扁平
形状をなす箱状の部材で構成されており、その上端中央
部には、対向する一対の突部531が上方に向かって突
出形成されている。この突部531には、ガイド管31
の下端が当接または嵌合する。
【0081】接続部材53の上方の内部には、維持手段
3cと外径拡張手段5cとの接続状態で係合部322の
通過を許容する内部空間530が形成されている。
【0082】また、接続部材53の上端部の両側部に
は、それぞれ切欠き532が形成されている。
【0083】維持手段3cと外径拡張手段5cとが接続
された状態で、係合部322は内部空間530に侵入
し、その端部323が切欠き532を通過してガイド管
31の外方へ突出し、ガイド管31の下端への係合を可
能とする。すなわち、接続部材53は、維持手段3cと
外径拡張手段5cとが接続された状態のままで、維持手
段3cによる構造体拡径状態維持の動作の開始を許容す
る。従って、構造体2の拡径およびその拡径状態の維持
のための操作の操作性が向上する。
【0084】なお、図示の構成では、接続部材53の平
面形状は長方形であるが、これに限らず、例えば楕円形
であってもよい。
【0085】接続部材53の外管51に対する固定は、
単に嵌合されているだけでもよいが、接着剤による接
着、融着、ろう接、溶接等により固定されていてもよ
い。
【0086】外管51の下端部には、束ね部材54が設
置されている。この束ね部材54は、外径拡張手段5
c、5d、5f(分岐チューブ23上にある維持手段3
c、3d、3fに対応するもの)の3本の外管51を1
つに束ねるものである。
【0087】この束ね部材54は、3本の外管51より
拡径している。従って、束ね部材54は、後述するよう
に、血管(大動脈)内で把持器具9により把持される把
持部を構成している。
【0088】束ね部材54の具体例としては、ゴム製の
バンド(Oリング)、紐(糸)、金属製または樹脂製の
クリップ(挟持部材)等が挙げられる。
【0089】なお、外径拡張手段5a、5b、5e(分
岐チューブ22上にある維持手段3a、3b、3eに対
応するもの)の各外管51に対しては、このような束ね
部材54は、装着されていても、装着されていなくても
よい。
【0090】外管51の外径は、特に限定されず、ステ
ントグラフト1の外径にもよるが、体腔へ挿入する際の
患者の負担と強度とを考慮して、通常は、0.2〜2.
5mm程度が好ましく、0.4〜1.2mm程度がより好ま
しい。
【0091】牽引ワイヤ52の構成材料としては、前記
ストラット27の構成材料として挙げたものと同様のも
のが挙げられる。また、牽引ワイヤ52の線径は、特に
限定されないが、通常、0.1〜1.5mm程度が好まし
く、0.2〜0.8mm程度がより好ましい。
【0092】接続部材53としては、金属管を所望の形
状に変形させたものや、樹脂成形体等が挙げられる。接
続部材53を構成する金属材料としては、例えば、鉄ま
たは鉄系合金(ステンレス鋼等)、銅または銅系合金、
アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチ
タン合金が挙げられる。接続部材53を構成する樹脂材
料としては、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテ
ルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタ
ール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオ
ロエチレン等が挙げられる。
【0093】維持手段3cおよび外径拡張手段5cを以
上のような構造としたことにより、操作性が優れるとと
もに、維持手段および外径拡張手段としての機能を十分
に発揮しつつ、細径化することができる。これにより、
管腔への挿入の際の患者の負担の軽減に寄与する。ま
た、細径化により、従来挿入が困難であった部位に対し
ても可能となり、生体の各所への適用範囲を広げること
ができる。
【0094】次に、維持手段3cおよび外径拡張手段5
cの動作(作用)について、図4〜図7に基づき説明す
る。
【0095】図4に示すように、まず、維持手段3cに
外力が作用していない状態では、維持手段3cのガイド
管31は伸長状態であり、これにより、構造体2は縮径
状態となっている。このとき、係合部322は、ガイド
管31内に収納されている。また、ロッド32と牽引ワ
イヤ52とは、リング33により連結され、張力が伝達
可能とされている。
【0096】次に、図5に示すように、外管51を保持
しつつ牽引ワイヤ52を下方へ引くと、まず、接続部材
53の突部532がガイド管31の下端に当接または嵌
合する。さらに牽引ワイヤ52を下方へ引くと、ロッド
32が牽引され、ガイド管31が収縮し、構造体2は拡
径状態となる。また、ガイド管31が収縮することによ
り係合部322がガイド管31の下端開口から露出し、
接続部材53の内部空間530内に侵入する。このと
き、係合部322の端部323が切欠き532を通過し
てガイド管31より外方へ突出する。
【0097】次に、牽引ワイヤ52の張力を弱め、牽引
ワイヤ52を上方へわずかに戻すと、図6に示すよう
に、係合部322の端部323がガイド管31の下端に
係合する。これにより、ガイド管31の収縮状態、すな
わち構造体2の拡径状態が維持される。
【0098】なお、上記構造体2の縮径状態から拡径状
態となり、それが維持されるまでの動作は、マーカー5
22、523等の位置を視認することにより、術者が体
外で把握することができる。
【0099】次に、図6〜図7に示すように、牽引ワイ
ヤ52の上方への移動や回転等の操作を行ってリング3
3からフック521を外し、その後、牽引ワイヤ52を
再度下方へ移動してフック521を接続部材53の内部
空間530内に収納する。これにより、維持手段3cか
ら外径拡張手段5cが切り離される。
【0100】以上のような操作は、維持手段3cおよび
外径拡張手段5c以外の維持手段および外径拡張手段に
対しても同様に行われる。術者は、このような操作を、
容易かつ円滑に、短時間で行うことができる。
【0101】次に、本発明のステントグラフト1の管腔
内への挿入・留置(移植)方法の一例について説明す
る。
【0102】図9〜図13は、それぞれ、ステントグラ
フト1を大動脈内に経皮的に挿入・留置する際の手順を
模式的に示す図、図14および図15は、それぞれ、把
持器具の構成例を示す斜視図、図16は、ステントグラ
フト1を導入シースの先端部に挿入した状態を示す縦断
面図である。なお、図9、図10では、導入シース7の
先端部の外径等は誇張して描かれている。
【0103】[1] まず、準備として、図16に示す
ように、ステントグラフト1を導入シース7の先端部に
挿入しておく。導入シース7は、ステントグラフト1を
支持しつつ大動脈100内まで導入するための器具であ
り、可撓性を有するチューブで構成されている。
【0104】なお、導入シース7内に収納されたステン
トグラフト1は、導入シース7の内周面より圧縮力を受
けて、前記第1の外径より若干小さな外径(第1の外径
以下の外径)となっている。
【0105】また、導入シース7内には、チューブ状の
プッシャー8が挿入されている。プッシャー8の先端
は、ステントグラフト1の下端に当接しており、また、
プッシャー8の基端部(手元側)は、導入シース7の基
端開口より突出している(図9参照)。
【0106】導入シース7内に収納されたステントグラ
フト1の分岐チューブ22上にある維持手段3a、3
b、3eに接続された外径拡張手段5a、5b、5e
は、プッシャー8の内部を通り、プッシャー8の基端開
口より突出している(図9、図16参照)。
【0107】また、分岐チューブ23上にある維持手段
3c、3d、3fに接続された外径拡張手段5c、5
d、5fは、プッシャー8の内部を通り、その途中で折
り返されてステントグラフト1のある先端方向へ戻り、
ステントグラフト1の外面と導入シース7の内面との間
を通り、導入シース7の先端開口71から所定長さ突出
している(図16参照)。この場合、前述したように、
外径拡張手段5c、5d、5fの下端部は、束ね部材5
4により束ねられている。
【0108】[2] 一方、外径拡張手段5c、5d、
5fの束ね部材54の部分を把持する把持器具9を用意
する。図14および図15に示すように、この把持器具
9は、可撓性を有するチューブ91と、該チューブ91
の内部に挿通されるトラップワイヤ92とで構成されて
いる。
【0109】トラップワイヤ92は、その中間で2つに
折り曲げられ、この折り曲げ部分にループ(輪)93が
形成されている。このループ93は、チューブ91の先
端開口から突出している。また、トラップワイヤ92の
ループ93と反対側の端部(両端部)は、チューブ91
の基端開口から突出している。
【0110】なお、この把持器具9による外径拡張手段
5c、5d、5fの把持は、体内で次のようにして行わ
れる。十分に大きなループ93を形成した状態(図14
参照)で、ループ93内に外径拡張手段5c、5d、5
fの下端部を挿入し、チューブ91を固定した状態でト
ラップワイヤ92をチューブ91の基端方向(図15中
矢印方向)に引くと、ループ93が縮小し、外径拡張手
段5c、5d、5fの外周に巻き付く。これにより、束
ね部材54が縮小したループ92に係合し、把持される
(図15参照)。
【0111】[3] 以上のような準備が終了したら、
図9に示すように、例えばセルジンガー法により、左大
腿動脈140にシース10を、右大腿動脈150にシー
ス6をそれぞれ挿入、留置する。
【0112】[4] そして、シース6を介して、プッ
シャー8およびステントグラフト1を収納した導入シー
ス7を導入するとともに、シース10を介して、把持器
具9を導入する。導入シース7および把持器具9を、そ
れぞれ、右腸骨動脈130および左腸骨動脈120内で
血流と逆方向に進め、それらの先端部を大動脈100の
下端付近に位置させる。
【0113】[5] 次に、大動脈10内において、前
述したようにして、把持器具9により外径拡張手段5
c、5d、5fの束ね部材54の部分を把持するととも
に、導入シース7および把持器具9をさらに血流の上流
側に進める。
【0114】[6] 次に、プッシャー8を固定したま
ま導入シース7を徐々に引き抜く。これにより、図10
に示すように、ステントグラフト1は、プッシャー8の
先端に押圧されて導入シース7の先端開口71より露出
する。
【0115】ステントグラフト1全体が導入シース7内
から押し出されると、ステントグラフト1は、縮径状態
(第1の外径)となり、大動脈100の動脈瘤(治療部
位)110付近またはそれより若干上流側(図11中上
方)に位置する。このとき、ステントグラフト1は、縮
径状態であるため、大動脈100内で移動可能(変位可
能)である。
【0116】[7] この状態で、導入シース7、プッ
シャー8および把持器具9を体外へ抜き取る。把持器具
9を抜き取る際には、把持器具9の先端部に把持されて
いる外径拡張手段5c、5d、5fの下端部も左腸骨動
脈120およびシース10を通って体外に引き出され、
図11に示す状態となる。
【0117】[8] 次に、体外で外径拡張手段5a、
5b、5eおよび外径拡張手段5c、5d、5fを所定
の張力で引くことにより、ステントグラフト1を血流の
下流側へ牽引、移動し、位置決めを行う。すなわち、図
12に示すように、このステントグラフト1の移動によ
り、本体チューブ21の下端(分岐チューブ22および
23の交わる部分)が大動脈100の下端の分岐部に当
接し、ステントグラフト1の分岐チューブ22および2
3は、それぞれ、右腸骨動脈130および左腸骨動脈1
20内に挿入され、本体チューブ21は、大動脈100
内の動脈瘤110をカバーするような位置に配置され
る。
【0118】外径拡張手段5a、5b、5eおよび外径
拡張手段5c、5d、5fを引く際の張力を微妙に変化
させることにより、ステントグラフト1の位置を所望の
位置に調整することができる。
【0119】[9] 以上のようにしてステントグラフ
ト1の位置決めがなされたら、前述した方法により、外
径拡張手段5a〜5fの各牽引ワイヤ52を操作して構
造体2を拡径させ(第2の外径とし)、かつ、維持手段
3a〜3fの作用によりその拡径状態を維持する。
【0120】これにより、図13に示すように、ステン
トグラフト1は、適正な位置に確実に固定される。すな
わち、本体チューブ21は、大動脈100の動脈瘤11
0より上流側および下流側の内壁に密着し、分岐チュー
ブ22および23は、それぞれ、右腸骨動脈130およ
び左腸骨動脈120の内壁に密着する。
【0121】大動脈100内の血流(図13中上方から
下方に向けて流れる)は、その大半がステントグラフト
1の内部を通過して、右腸骨動脈130および左腸骨動
脈120に分流される。
【0122】[10] 以上のようにしてステントグラ
フト1の挿入・留置が完了したら、前述した方法によ
り、外径拡張手段5a〜5fを維持手段3a〜3fから
切り離し、体外へ抜き取る。なお、前記工程[2]〜
[10]における操作は、X線透視下で行われる。
【0123】[11] 最後に、シース6および10を
除去し、手技を終える。前述した従来のセルフエクスパ
ンドタイプのものでは、導入シースから大動脈内に押し
出されたと同時に自己拡径し、大動脈の内面に密着して
固定されるため、位置合わせを行うことができず、よっ
て、ステントグラフトの留置位置は、それを導入シース
から押し出す位置に依存する。
【0124】これに対し、本発明のステントグラフト1
では、前記工程[6]〜[8]で述べたように、ステン
トグラフト1が導入シース7から大動脈100内に押し
出されたときには、ステントグラフト1は縮径状態で、
移動可能であるため、その位置決めを自由に行うことが
できる。従って、ステントグラフト1の留置位置を正確
に定めることができる。
【0125】また、前述した従来のバルーンエクスパン
ドタイプのものでは、大動脈内でのバルーンの膨張によ
り血流を遮断するため、心臓へ大きな負担がかかり、ま
た、血液の大きな圧力を受けてステントグラフトが位置
ズレを起こし、動脈瘤に圧迫力を与える等の弊害が生じ
る。
【0126】これに対し、本発明のステントグラフト1
では、前記工程[6]〜[10]の最中において、縮径
状態、拡径状態にかかわらず、ステントグラフト1の内
部を血液が流れることができるため、血流を遮断しな
い。従って、安全性が高く、ステントグラフト1の拡径
後の固定の安定性も高く、位置ズレおよびこれにより生
じる弊害を防止することができる。
【0127】以上、本発明の管腔内留置物を図示の実施
例について説明したが、本発明は、これに限定されるも
のではなく、管腔内留置物の各部の構成要素、特に、維
持手段や外径拡張手段は、同様の機能を発揮し得る任意
の形状、構造のものと置換することができる。
【0128】また、管腔内留置物の形状は、分岐チュー
ブ22、23のような分岐部分を有さず、単なる円筒状
のものでもよい。
【0129】また、血管内に留置されるものとしては、
前記のようなステントグラフトに限らず、その他、例え
ば血管狭窄部を拡張するためのステントであってもよ
い。この場合、膜4に相当するものは存在しなくてもよ
い。
【0130】また、本発明の管腔内留置物は、血管内に
留置されるものに限らず、その他、例えば、胆管、リン
パ管、気管、消化管、尿道管、腟等の各種管腔(体腔)
内に挿入、留置されるものに適用することができる。
【0131】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、管
腔内への挿入、留置を簡単な操作で行うことができ、ま
た、管腔内の目的部位への位置決めを容易かつ正確に行
うことができる。
【0132】また、留置後の安定性も高く、位置ズレ
(移動)等が生じ難い。特に、拡径時の形状や外径(第
2の外径)を予め測定した管腔の留置部形状や管腔径
(血管径)に対応して正確に設定することができるの
で、留置後、管腔内面との密着性に優れたものとするこ
とができ、これにより、固定の安定性向上や治療効果の
向上に寄与する。
【0133】また、管腔内留置物の挿入、留置操作の最
中に血流を止めるようなこともないため、安全性が高
く、低侵襲で、患者の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管腔内留置物をステントグラフトに適
用した場合の実施例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す管腔内留置物における維持手段の構
成(構造体が縮径状態)を示す斜視図である。
【図3】図1に示す管腔内留置物における維持手段の構
成(構造体が拡径状態)を示す斜視図である。
【図4】本発明における維持手段および外径拡張手段の
動作を示す部分断面側面図である。
【図8】外径拡張手段の一端部の構成を示す斜視図であ
る。
【図9】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・留
置する際の手順を模式的に示す図である。
【図10】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図11】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図12】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図13】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図14】把持器具の構成例を示す斜視図である。
【図15】把持器具の構成例(把持状態)を示す斜視図
である。
【図16】図1に示す管腔内留置物を導入シースの先端
部に挿入した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ステントグラフト 2 構造体 21 本体チューブ 22 分岐チューブ 23 分岐チューブ 24〜26 開口 27 ストラット 3a〜3f 維持手段 31 ガイド管 32 ロッド 321 フック 322 係合部 323 端部 33 リング 4 膜 5a〜5f 外径拡張手段 51 外管 52 牽引ワイヤ 521 フック 522、523 マーカー 53 接続部材 530 内部空間 531 突部 532 切欠き 54 束ね部材 6 シース 7 導入シース 71 先端開口 8 プッシャー 9 把持器具 91 チューブ 92 トラップワイヤ 93 ループ 10 シース 100 大動脈 110 動脈瘤 120 左腸骨動脈 130 右腸骨動脈 140 左大腿動脈 150 右大腿動脈
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管腔内留置物をステントグラフトに適
用した場合の実施例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す管腔内留置物における維持手段の構
成(構造体が縮径状態)を示す斜視図である。
【図3】図1に示す管腔内留置物における維持手段の構
成(構造体が拡径状態)を示す斜視図である。
【図4】本発明における維持手段および外径拡張手段の
動作を示す部分断面側面図である。
【図5】本発明における維持手段および外径拡張手段の
動作を示す部分断面側面図である。
【図6】本発明における維持手段および外径拡張手段の
動作を示す部分断面側面図である。
【図7】本発明における維持手段および外径拡張手段の
動作を示す部分断面側面図である。
【図8】外径拡張手段の一端部の構成を示す斜視図であ
る。
【図9】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・留
置する際の手順を模式的に示す図である。
【図10】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図11】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図12】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図13】図1に示す管腔内留置物を大動脈内に挿入・
留置する際の手順を模式的に示す図である。
【図14】把持器具の構成例を示す斜視図である。
【図15】把持器具の構成例(把持状態)を示す斜視図
である。
【図16】図1に示す管腔内留置物を導入シースの先端
部に挿入した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】 1 ステントグラフト 2 構造体 21 本体チューブ 22 分岐チューブ 23 分岐チューブ 24〜26 開口 27 ストラット 3a〜3f 維持手段 31 ガイド管 32 ロッド 321 フック 322 係合部 323 端部 33 リング 4 膜 5a〜5f 外径拡張手段 51 外管 52 牽引ワイヤ 521 フック 522、523 マーカー 53 接続部材 530 内部空間 531 突部 532 切欠き 54 束ね部材 6 シース 7 導入シース 71 先端開口 8 プッシャー 9 把持器具 91 チューブ 92 トラップワイヤ 93 ループ 10 シース 100 大動脈 110 動脈瘤 120 左腸骨動脈 130 右腸骨動脈 140 左大腿動脈 150 右大腿動脈

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線状体を湾曲または屈曲させてチューブ
    状に形成した構造体であって、自然状態での第1の外径
    と、前記第1の外径より大きい第2の外径とに変形可能
    な構造体と、 前記構造体を前記第2の外径の状態に維持する維持手段
    とを有することを特徴とする管腔内留置物。
  2. 【請求項2】 前記線状体は、螺旋状、リング状または
    網状をなすストラットである請求項1に記載の管腔内留
    置物。
  3. 【請求項3】 前記維持手段が前記構造体の骨格の一部
    を形成している請求項1または2に記載の管腔内留置
    物。
  4. 【請求項4】 前記維持手段は、前記構造体の長手方向
    に延在し、これらが前記構造体の周方向に沿って複数配
    置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の管腔
    内留置物。
  5. 【請求項5】 前記維持手段は、伸縮自在なガイド管
    と、前記ガイド管内に挿通されたロッドとを備え、前記
    ロッドの牽引により前記ガイド管を収縮させ、これによ
    り前記構造体の外径を前記第2の外径とするよう構成さ
    れている請求項1ないし4のいずれかに記載の管腔内留
    置物。
  6. 【請求項6】 前記ロッドは、その一端部に前記ガイド
    管の端部と係合する係合部を有し、この係合部の係合に
    より前記ガイド管の収縮状態を維持する請求項5に記載
    の管腔内留置物。
  7. 【請求項7】 前記ガイド管は、弾性材料よりなるコイ
    ルで構成されている請求項5または6に記載の管腔内留
    置物。
  8. 【請求項8】 前記ガイド管は、その長手方向に、互い
    に収縮率が異なる箇所を有する請求項5ないし7のいず
    れかに記載の管腔内留置物。
  9. 【請求項9】 前記構造体の外径を前記第1の外径から
    前記第2の外径にする外径拡張手段を備える請求項1な
    いし8のいずれかに記載の管腔内留置物。
  10. 【請求項10】 前記構造体を前記第1の外径の状態か
    ら前記第2の外径の状態にする外径拡張手段であって、
    前記ロッドを牽引する機能を有する外径拡張手段を備え
    る請求項5ないし8のいずれかに記載の管腔内留置物。
  11. 【請求項11】 前記外径拡張手段は、前記維持手段に
    対し着脱自在である請求項9または10に記載の管腔内
    留置物。
  12. 【請求項12】 前記外径拡張手段は、外管と、前記外
    管内に挿通される牽引ワイヤと、前記外管の端部に設置
    され、前記維持手段との接続部を構成する接続部材とを
    備える請求項9ないし11のいずれかに記載の管腔内留
    置物。
  13. 【請求項13】 前記牽引ワイヤの移動量を示す表示手
    段を有する請求項12に記載の管腔内留置物。
  14. 【請求項14】 前記外径拡張手段は、前記構造体の外
    径拡張動作後、前記維持手段に接続されたままの状態で
    前記維持手段の維持動作開始を許容するよう構成されて
    いる請求項9ないし13のいずれかに記載の管腔内留置
    物。
  15. 【請求項15】 前記外径拡張手段は、前記維持手段の
    数に対応して設けられている請求項9ないし14のいず
    れかに記載の管腔内留置物。
  16. 【請求項16】 前記外径拡張手段のうちの少なくとも
    一部は、前記維持手段と接続される側と反対側の端部
    に、管腔内で把持される把持部を有している請求項15
    に記載の管腔内留置物。
  17. 【請求項17】 前記構造体は、その端部が複数に分岐
    した構造をなしている請求項1ないし16のいずれかに
    記載の管腔内留置物。
  18. 【請求項18】 前記構造体の少なくとも一部に膜が接
    合されている請求項1ないし17のいずれかに記載の管
    腔内留置物。
  19. 【請求項19】 導入シース内に第1の外径以下の外径
    で収納された状態で移送される請求項1ないし18のい
    ずれかに記載の管腔内留置物。
  20. 【請求項20】 血管内に留置されるステントまたはス
    テントグラフトとして用いられる請求項1ないし19の
    いずれかに記載の管腔内留置物。
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