JP4087845B2 - 超伝導装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転中心軸線を中心に回転可能に支持された回転子と、冷凍ユニットとを備え、前記回転子が少なくとも1つの超伝導巻線を有し、該巻線の導体が巻線保持体に配置され、前記冷凍ユニットが前記巻線に熱的に結合された少なくとも1つの低温ヘッドを備える超伝導装置に関する。この装置は米国特許第5482919号明細書で公知である。
極低温遷移温度Tcを有し、従って低(Low)Tc超伝導材料又はLTS材料とも呼ばれる、例えばNbTiやNb3Sn等の古くから知られている金属超伝導材料の他に、1987年以来、77K以下の遷移温度を持つ金属酸化物超伝導材料も知られている。後者の材料は、高(High)Tc超伝導材料又はHTS材料とも呼ばれ、原理的に、液体窒素(LN2)による冷却技術を可能にしている。
このHTS材料を利用した導体で、超伝導材料巻線を作ることも試みられている。しかし、従来公知の導体は、テスラ範囲の磁場では誘導により非常に低い電流担持容量しか有さないことが解っている。このため、利用する材料の高い遷移温度にも係わらず、そのような巻線の導体を例えば数テスラ級の高い磁場強さで大きな電流を担持可能とすべく、77K以下の温度レベル、例えば10〜50Kに保たねばならない。そのような温度レベルは、Nb3Sn又はNbTi等の公知の金属超伝導材料を冷却する液体ヘリウム(LHe)の沸騰温度4.2Kよりかなり高いレベルにある。
従って、HTS導体を備えた巻線を冷却すべく、上述の温度範囲で、好適には密閉加圧ヘリウムガス回路付きのクライオクーラの形をした冷凍ユニットが利用される。そのようなクライオクーラは、特にガイホードマクマホン型クーラ又はスターリング型クーラとして、又は所謂パルス管クーラとして構成されている。かかる冷凍ユニットは、押しボタンで冷却が可能であり、極低温液体の取扱いを省けるという利点を有する。この種冷凍ユニットを利用する際、例えば磁石巻線や変圧器巻線等の超伝導装置は、冷凍機の低温ヘッドへの熱伝導だけで間接的に冷却される(例えば、1997年、Elsevier Science出版の、1996年5月24日、北九州市で開催の「第16回、Cryog.Engng国際会議の議事録」〔ICEC16〕″の第1109〜1129頁参照)。
この冷却技術は、米国特許第5482919号明細書で公知の電機の超伝導回転子にも利用される。該回転子はHTS導体から成る回転巻線を有し、その巻線は、スターリング型クーラ、ガイホードマクマホン型クーラ又はパルス管クーラとして設計された冷凍ユニットによって、30〜40Kの所望の運転温度に保たれる。そのため、冷凍ユニットは、特別な実施形態では、上述の文献に詳述されていない連動回転低温ヘッドを有し、該ヘッドの低温側が、熱伝導要素を介して巻線に熱的に間接的に連結されている。更に公知の機械の冷凍ユニットは、その回転子の外に圧縮機ユニットを有し、該ユニットが、詳述していない適当な搬送ユニットの回転継手を経て低温ヘッドに必要な作動ガスを供給する。更に、その継手は、2つのスリップリングを経て、低温ヘッドに一体化された冷凍ユニットの弁駆動装置に必要な電気エネルギを供給する。この構想では、搬送ユニットに少なくとも2つのガス接続管を同軸的に導き、少なくとも2つの電気スリップリングを設ける。また冷凍ユニットの連動回転部分と、特に機械の回転子内における弁駆動装置への接近が妨げられ、このため必要な点検時に、回転子ハウジングを開けねばならない。更に通常の弁駆動装置の機能は、同期電動機又は発電機で生ずる高速回転時には保証されない。
本発明の課題は、従来技術から出発して、冒頭に述べた形式の装置を、冷却段階中並びに77K以下の温度範囲における回転子の停止中と回転中に、非常に低減された構造的経費で冷凍ユニットの確実で経済的な運転を保証できるように改良することにある。
この課題は、本発明に基づいて請求項1に記載の処置によって解決される。それに応じて、超伝導装置は、回転中心軸線を中心に回転可能に支持された回転子と冷凍ユニットとを有し、前記回転子は少なくとも1つの超伝導巻線を有し、該巻線の導体は巻線保持体に配置され、前記冷凍ユニットは前記巻線に熱的に結合された少なくとも1つの低温ヘッドを備える。この超伝導装置は、本発明に基づき次の特徴を有する。即ち、
a)巻線保持体に軸方向に延びる少なくとも1つの中央中空室が設けられ、この中空室が、巻線保持体範囲から横に出ている横側中空室に接続され、
b)低温ヘッドが回転子の外に固定して存在し、低温面で、別個の凝縮室における第1冷媒および少なくとももう1つの冷媒を凝縮するための凝縮装置に熱的に結合され、それらの冷媒がその凝縮温度について異なり、
c)第1冷媒に対する第1の固定ヒートパイプおよび少なくとももう1つの冷媒に対する少なくとももう1つの固定ヒートパイプが、凝縮装置から、連動回転する横側中空室の中に延び、および場合によっては中央中空室の範囲迄延びており、
d)片側端が開いた第1ヒートパイプと横側中空室と中央中空室に、第1冷媒が封入され、装置の運転段階中に、サーモサイフォン効果を利用して、凝縮冷媒が中央中空室に送られ、そこで加熱されて、場合によって気化された冷媒が、第1ヒートパイプを介してその凝縮室に戻され、
e)少なくとももう1つのヒートパイプが、中央中空室内で片側端が閉じられ少なくとももう1つの冷媒が封入された冷却フィンガとして形成され、冷却段階中に、サーモサイフォン効果を利用して、ヒートパイプの凝縮室内で凝縮した冷媒が、中央中空室の範囲で加熱されて気化され、そのようにして気化した冷媒が、凝縮室に戻される。
その結果、本発明に基づいて超伝導装置を構成した場合、冷凍ユニット全体が場合によってその可動部分と共に、回転子の外に配置され、いつでも容易に接近できる。冷却力の準備又は固定低温ヘッドから回転子への熱搬送は、機械的可動部品なしに各冷媒の搬送を保証するヒートパイプを介して行える。その場合、連続運転又は運転段階に対して用意された第1冷媒は、低温ヘッドに熱良導的に結合された凝縮装置における周期的プロセスで熱を放出しながら凝縮する。続いて、その液化凝縮液は、そのために用意された第1ヒートパイプを経て、回転子の横側中空室内に流れ、そこから、回転子の中央中空室内に、又は回転子に直接流れる。第1ヒートパイプを経た凝縮液の搬送は、重力の影響下で、所謂サーモサイフォン効果および場合によってはヒートパイプの内側壁の毛細管力で行われる。そのために、このパイプは公知のように「芯材」として作用する。この機能は、内側壁の適当な形成又は被覆によってなお最良にされる。凝縮液は、第1ヒートパイプの先端で所定の中空室内に滴下するか流れ込む。巻線の範囲に存在する凝縮液は、そこで、熱を吸収しながら少なくとも部分的に気化する。第1冷媒は、それから第1ヒートパイプの内部を通って凝縮装置に戻る。その還流は、蒸発器部分として作用する中央中空室内における凝縮装置の凝縮器として作用する部分に比べての僅かな過圧によって生ずる。蒸発器でのガス発生および凝縮器での液化により発生する負圧は、所望の冷媒還流を生じさせる。それに応じた冷媒流は所謂「ヒートパイプ」で知られている。
別種の冷媒として、例えば窒素、アルゴン又は炭化水素等の高温で既に凝縮するガスを封入した少なくとももう1つのヒートパイプが、中央中空室内に突出し、そこで先端が閉じた冷却フィンガとなっている。冷却段階中の熱伝達は、そのパイプ端迄、サーモサイフォン効果を利用し、その別種冷媒の凝縮と気化で行われる。中央中空室の範囲で、パイプ端から回転子の被冷却部分への熱伝達は、対流で行われる。その際冷却フィンガ先端と中央中空室の壁との間に生ずる数Kの温度差は、予冷目的にそのまま利用できる。
即ち、本発明に基づく超伝導装置は、2種類の冷却方法を組み合わせている。純粋なサーモサイフォン冷却方式である第1の方法は、運転段階中に冷却するための第1冷媒として作動ガスを利用する。通常冷却のこの第1方法と組み合わせて初めて、別のガス(即ち少なくとももう1つの冷媒)によるもう1つのサーモサイフォン、従って異なる作動温度が、同時に、回転子の被冷却部分に熱的に結合される(=別の方法)。この結果、低温ヘッドの冷却力を良好に利用して、効果的で経済的な予冷が可能となる。
超伝導装置の本発明に基づく構成の他の利点は、特に冷媒を循環するための、例えばファンやポンプ等の可動部品が不要であることにある。更に、冷凍ユニットは機械据付けの種々の要件に容易に合わせられる。特に、設計に応じ、数mの長さを持つヒートパイプが利用でき、これに伴い、例えば冷凍機は、その点検を容易にすべく接近し易い個所に取り付け、他方で本来の電動機又は発電機は、近寄り難くも構成できる。即ち、本発明に基づく形態では、熱搬送又は冷却力の準備は、特に簡単で経済的である。
本発明に基づく超伝導装置の有利な実施態様を従属請求項に示す。
即ち、凝縮温度が異なる異種の冷媒が各々封入され冷却フィンガとして形成された複数のヒートパイプを利用することも勿論可能である。かくして、多段冷却が可能となる。
更に、中央中空室の片側を巻線保持体により閉じ、横側中空室を低温ヘッド側で連動回転部分付きシール装置により密封することで、冷媒室を特に簡単にシールできる。その際、シール装置として、強磁性流体パッキン(Ferrofluiddichtung)、ラビリンスパッキン又は隙間パッキンから成る少なくとも1つのパッキンを利用するとよい。
冷凍ユニットとして、実際に所定の温度レベルにある低温ヘッドを持つ、全ての形式の冷凍機が利用できる。特に密閉加圧ヘリウム回路を備えたクライオクーラが好適である。これは、構造が単純で、本発明に基づく超伝導装置におけるような間接的な冷却技術に特に適する。再生クライオクーラとも呼ばれるこのクーラは、クライオクーラの通常の分類に応じ、再生器又は再生作動サイクルを持つ(上述の議事録、第33〜44頁参照)。
特に、低温ヘッドを多段に形成すると有利である。その比較的温かい第2段で、特に効果的な予冷ができる。
更に被冷却巻線、従ってその超伝導材料を、低温ヘッドで77K以下の温度に保ち、HTS材料の利用時、20〜50Kの温度に保つとよい。即ち公知のHTS材料は、抑制した冷却費で保てるこの温度範囲で、通常の用途に対し十分な臨界電流密度を示す。本発明による超伝導装置では、必要な冷却力が簡単に得られる。それは、例えば機械出力が1〜数10MWの大きさの同期機に対し、20K〜30Kの場合に数10Wの範囲にある。
更に、横側中空室を中央中空室の方向に向かって広がるよう形成するとよい。その場合は、第1冷媒を搬送すべく、場合によっては重力の他に、遠心力も補助的に利用する。
本発明の超伝導装置の他の有利な実施態様は、上述しない従属請求項に示す。
以下図を参照し、本発明による超伝導装置の実施例を詳細に説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付している。
以下に図を参照して説明する本発明に基づく超伝導装置は、それぞれ特に(同期)電動機又は(同期)発電機である。その超伝導装置は、原理的に金属LTS材料(低Tc超伝導材料)又は酸化物HTS材料(高Tc超伝導材料)の利用を許す超伝導回転巻線を有している。超伝導材料としてはMgB2も利用できる。以下の実施例では、(Bi、Pb)2Sr2Ca2Cu3x等のHTS材料を使用する。巻線は1つのコイル又は2極、4極又は他の多極配列におけるコイル系統から成っている。例えば同期機を形成するそのような超伝導装置の回転子の範囲に存在する部分の原理的構造を、図1に示す。それはそのような機械の公知の形態に由来している(例えば上述の米国特許第5482919号明細書又は国際公開第00/13296号パンフレット参照)。
全体を符号2で表し、一部のみを図示するこの装置は、固定子巻線4を備え、室温状態にある固定外部ハウジング3を備える。この外部ハウジング3の内部に固定子巻線4で包囲されて、回転子5が回転軸線Aを中心に回転可能に軸受6に支持されている。該軸受6は通常の機械軸受又は磁気軸受である。回転子は片側に、適当な軸受で支持された中実の回転子軸部5aを備える。更に、この回転子は真空容器7を有し、この容器7内において、トルク伝達する、例えば中空円筒状の懸架要素8に、HTS巻線10付きの巻線保持体9が保持されている。この保持体に、回転軸線Aに対し同心的に、軸方向に延びる円筒状中空室が存在する。該中空室を以後中央中空室12と呼ぶ。巻線保持体はこの中空室に対し真空密に形成されている。巻線保持体は中空室の回転子軸部5aの側でその中空室を密閉している。中央中空室12に、その反対側に軸方向に延びる非常に小さな直径の横側中空室13が続く。即ちその横側中空室13に移行している。この横側中空室13は、巻線保持体の範囲から外に向けて外部ハウジング3の範囲から出ている。前記中空室13を包囲し、軸受6で支持された管状回転子軸部を符号5bで示す。
超伝導装置2は、更に熱伝導要素を経て巻線10を間接的に冷却すべく、図2に詳細を示す冷凍ユニットを備える。全体を符号15で示すこのユニットは、少なくとも1つの低温ヘッド16を有する。該冷却ユニットは、特にガイホードマクマホン型のクライオクーラである。再生クライオクーラとして、パルス管クーラやスプリットスターリング型クーラが適する。その際、低温ヘッド、従って冷凍ユニットにおける他の全ての主要部分は、回転子5および外部ハウジング3の外に位置している。例えば温熱圧力平衡タンク、封入毛細管、加熱時における過圧に対する系統保護用のリリーフ弁等の低温ヘッド付き冷凍ユニットの利用に必要な補機は図示しないが、一般に知られている。回転子5から例えば0.5〜数m離して横に配置された低温ヘッド16は熱伝達体で、例えば真空容器23の真空V′内に突出し、その低温端に低温面又は熱交換面17を備える。この低温面に、少なくとも2本の真空絶縁された固定ヒートパイプ19、20が熱的に結合する。これらヒートパイプは、その低温面17に隣接する範囲が、大きな熱交換断面積に広がり、そこで、大きな凝縮室19a又は20aを形成している。即ち、それらの凝縮室は低温面17と共に、冷媒凝縮装置又は冷媒凝縮ユニット18と見なせる。
以下ではヒートパイプ19、20の内、一方のパイプ20を第1ヒートパイプ、他方のパイプ19を第2ヒートパイプと呼ぶ。これらヒートパイプは横に軸方向範囲が、回転子の連動回転する横側中空室13内に突出している。そのために、以下で差込み管又は組立管と呼ぶ、軸線Aに関して同心的な場所固定の管24を設けている。該管24はヒートパイプ19、20を少なくとも横側中空室13の範囲迄包囲している。この組立管は、横に中空室13内に挿入せねばならない。横側中空室13を境界づける管状回転子軸部5bに対し組立管24を半径方向に密封すべく、図示しないシール装置21を用いる。このシール装置21は、例えば強磁性流体パッキン(Ferrofluiddichtung)および/又はラビリンスパッキンおよび/又は隙間パッキンとして形成される。組立管内は真空Vにされ、その真空Vは、例えば真空容器23内の真空V′に連通している。
もう1つのヒートパイプ19により、回転子5の被冷却部分の予冷を行うとよい。そのため、このヒートパイプを冷却フィンガとして中央中空室12内に突出させ、パイプの先端19bを閉じる。該パイプ19には、一般に巻線10に利用する超伝導材料の運転温度以上である第2凝縮温度Tk2を持つ別種の冷媒k2、例えばN2を封入する。この別種の冷媒k2は冷却段階で、冷凍ユニット15の凝縮装置18の凝縮室19a内で凝縮する。該冷媒を、サーモサイフォン効果を利用して中央中空室12の範囲で加熱し、ヒートパイプ19を経て凝縮装置18に戻す。
中央中空室12は、第1ヒートパイプ20および横側中空室13を経て、凝縮装置18の熱交換範囲に、外に向けて気密に漏れ止めして接続されている。この空間内に封入された例えばNe等の第1冷媒は、循環過程中に低温ヘッド16の低温面17で、凝縮装置18の範囲で放熱しつつ凝縮する。続いて、液化し、符号k1を付して図中に太い線で示す凝縮液は、それから第1ヒートパイプ20を通ってまず横側中空室13の範囲に流れ、そこから、中央中空室12内に流れる。ヒートパイプによる凝縮液の搬送は、重力の影響下でサーモサイフォン効果によって行われる。そのため、ヒートパイプ20の開放端からの液化冷媒k1の流出を支援すべく、ヒートパイプ20は回転軸線Aに対し幾分(数度の傾斜角)傾けておくとよい。場合によっては、「芯材」として働くヒートパイプの内側壁の毛管力によっても、冷媒搬送を支援できる。かかる芯材の機能は、表面積を増大するための縦リブや溝等の適当な形成や、パイプ内側壁の被覆によっても最適にされる。第1ヒートパイプ20の先端20bから中空室12への冷媒k1の流出は、ヒートパイプ端の特別な構成、例えば滴下縁としての形成により強化できる。またその形成は、回転中における冷媒のガス状部分の風による回転内部空間内におけるガス運動によって滴下が支援されるようにも形成できる。
ヒートパイプ20が横側中空室13の範囲で既に終えているとき、冷媒k1の中央中空室12への搬送は、場合により横側中空室13を中央中空室12に向けてその直径が拡大する管として形成することで、重力および/又は遠心力を利用して一層支援できる。
回転子の内部で、第1の液化冷媒又は凝縮液k1が気化する。蒸気状冷媒を符号k1′で示す。熱を吸収しながら気化した冷媒k1′は、第1ヒートパイプ20の内部を経て、凝縮装置18の凝縮室20aに還流する。この場合の還流は、蒸発器として作用する中空室12の、凝縮装置に比べて僅かな過圧によって起る。この僅かな過圧は、蒸発器内でのガス発生および凝縮装置における液化によって発生する。気化した冷媒k1′は、管状回転子軸部5bと組立管24との間における隙間も、シール装置21迄充填する。
即ち、本発明に基づく超伝導装置では、第1ヒートパイプを冷凍機に固定して連結している。この結果、冷媒の極低温範囲への移送が起り、固定部分と回転部分との間の移行は滴下液、帰還は流れるガスにより行われる。
本発明に基づき、運転段階での予冷と冷却のため、異なる沸騰又は凝縮温度(Tk)を持つ少なくとも2種類の冷媒k1、k2を利用する。別種の冷媒k2と呼ぶ冷媒は、通常超伝導巻線の連続運転に対して考慮すべき運転温度より高い第2凝縮温度Tk2を有する。その運転温度に応じ、この別種の冷媒k2として、例えば窒素(定格圧力で凝縮温度77.4K、65Kで三重点、125Kと22バールで臨界点)、又はアルゴン(定格圧力で凝縮温度87.3K、85Kで三重点、145Kと38バールで臨界点)が利用できる。これに対し、第1冷媒k1は比較的低い凝縮温度Tk1を持つ。この温度は、超伝導巻線の運転温度がその凝縮温度よりほんの僅か、例えば20K迄しか高くないように選ぶ。従って第1冷媒k1として、水素(定格圧力で凝縮温度20.4K、14Kで三重点、30Kと8バールで臨界点)又はネオン(定格圧力で凝縮温度27.1K、25Kで三重点、42Kと20バールで臨界点)を利用するとよい。冷媒対k1−k2の適当な例は、ネオン(Tk1=27.1K)−アルゴン(Tk2=87.3K)、ネオン−窒素(Tk2=77.4K)又は運転温度がTk2以下で例えば約25Kであるなら、水素(Tk1=20.4K)−窒素である。即ち、その運転温度において、ヒートパイプ19内の少なくとも1つの別種の冷媒k2が凍結し、場合によっては液化する。
冷却段階中の冷却過程に対し、同様に冷凍機15に固定して連結した別のヒートパイプ19が用いられる。以下、この冷却過程について詳細に説明する。本発明に基づき、異なる凝縮温度を持つ少なくとも2種類の冷媒を使用するので、低温ヘッドの徐冷時に、まず少なくとも、最高凝縮温度(ここではTk2)を持つ冷媒k2が凝縮し、第1冷媒の場合のように密閉サーモサイフォン回路で、回転子の被冷却部分への熱伝達に関与する。該被冷却部分をその別種冷媒のほぼ三重点温度迄予冷した後、その別種冷媒は凝縮装置の範囲で凍結し、その後で、次の(第1)冷媒の凝縮温度迄冷却される。かくして、冷媒を適当に選択した場合、低温ヘッドの冷却力を最良に利用して、準連続冷却を実現できる。
冷却フィンガとして形成した複数のヒートパイプによる段階的な予冷も、勿論可能である。これらヒートパイプには、凝縮温度が異なる異種の冷媒を封入する。
上述の超伝導装置2の場合、その少なくとも1つの冷凍ユニット15が単段低温ヘッド16を備えることを前提とする。これは、冷却力を用意するために唯一の段を用意又は利用することを意味する。しかしなお、各段が異なった温度レベルにある多段に形成した低温ヘッドも、勿論同様に良好に適用できる。即ち、例えば2段低温ヘッドの場合、第2(温熱)段が第2冷媒k2に対する別(第2)のヒートパイプ19の凝縮室19aに接続され、比較的低温に保たれた第1段に、第1冷媒k1に対する第1ヒートパイプ20の凝縮室20aを熱的に結合する。かくして、効果的な予冷が可能となる。
場合によっては、この2段低温ヘッドの第2(温熱)段によっても、電流リード又は放射線シールドを冷却できる。
超伝導装置2の場合、その巻線保持体9は十分に熱伝導的に形成され、その中央中空室12に対する壁と巻線10との間に熱良導性部分を有している。かくして、巻線は、巻線保持体9、冷媒k1、k1′および凝縮装置18の凝縮室20aを経て、冷凍ユニット15の低温ヘッド16の低温面17に、熱的に単純な様式で連結される。その熱伝達を改善すべく、場合によっては、冷媒k1、k1′に関して熱交換面積を増大する処置、例えば中央中空室12の巻線保持体壁に円周方向にリブが設けられる。
冷媒k1、k1′を封じ込める部品/小容器は、熱伝導を防止せねばならない。即ち熱絶縁のため、真空囲いを利用し、場合によっては真空室内に、追加的に例えば超絶縁剤又は絶縁泡等の絶縁媒体を入れる。図1に、真空容器7で封じ込んだ真空を符号Vで示す。該真空は、更に横側中空室13を取り囲みシール装置21迄延びる組立管24を包囲する。ヒートパイプ19、20並びに凝縮装置18の凝縮室19a、20aおよび少なくとも低温ヘッド16の低温面17を包囲する真空を符号V′で示す。更に、場合によっては、回転子5を取り囲み外部ハウジング3で包囲された空間22内に、負圧も発生させる。
図3は、図示しない冷凍ユニット15を備えた超伝導装置2′の、特別な実施例における横側中空室13′から中央中空室12への移行範囲を示す。横側中空室13′は、図2に示す実施例と異なり、範囲13aにおいて中央中空室12の方向に向かって円錐状に広がっている。組立管24はその拡大範囲で終え、第1冷媒k1又は別種の冷媒k2に対する2本のヒートパイプ20′、19が、その組立管24から突出している。もう1つのヒートパイプであるパイプ19は、図2に応じて、中央中空室12の範囲で終えている。これに対し第1ヒートパイプ20′と見なせるパイプは、拡大範囲13a内に開放端20bを持つ。該開放端から、第1冷媒k1が液化状態で流出する。第1冷媒k1′の蒸気は、ヒートパイプ20′を経て、図2に応じた様式で、再凝縮のために凝縮装置に導かれる。
図示の回転子5付き超伝導装置2、2′の実施例の場合、冷媒が封じ切られている。冷凍ユニットが停止し、低温部分が温まった場合には、配管系統又は中空室系統における圧力は、冷媒の気化によって上昇する。その最終圧力は、それぞれの系統の封じ切られた体積と封入冷媒量に左右される。第1冷媒として例えばネオンを約1バールの圧力と27Kの温度で最少液量で利用した場合、約300Kの室温に加熱された後、圧力は12バール以上になることが予想される。この圧力が回転シール装置12に加わるので、場合によっては、温かい外部緩衝体積を設けるとよい。その体積が冷媒k1、k1′の低温体積のn倍をであるなら、かくして、温熱時における圧力上昇は1/(n+1)に減少する。
本発明に基づく超伝導装置における回転子の実施例の概略断面図。 回転子用の冷凍ユニットの概略断面図。 本発明に基づく、異なった超伝導装置の一部断面図。
符号の説明
2 超伝導装置、3 外部ハウジング、4 固定子巻線、5 回転子、7 真空容器、9 巻線保持体、12 中央中空室、13 横側中空室、15 冷凍ユニット、16 低温ヘッド、17 低温面、18 凝縮装置、19、20 ヒートパイプ、k1、k2 冷媒、A 回転子の回転軸線

Claims (15)

  1. 回転中心軸線を中心に回転可能に支持された回転子と、冷凍ユニットとを備え、前記回転子が少なくとも1つの超伝導巻線を有し、該巻線の導体が巻線保持体に配置され、前記冷凍ユニットが前記巻線に熱的に結合された少なくとも1つの低温ヘッドを有する超伝導装置において、
    a) 巻線保持体(9)に軸方向に延びる少なくとも1つの中央中空室(12)が設けられ、該中央中空室(12)が、巻線保持体範囲から横に出ている横側中空室(13)に接続され、
    b) 低温ヘッド(16)が回転子(5)の外に固定して存在し、低温面(17)で、別個の凝縮室(20a、19a)における第1冷媒(k1、k1′)および少なくとももう1つの冷媒(k2)を凝縮するための凝縮装置(18)に熱的に結合され、それら冷媒の凝縮温度が互いに異なり、
    c) 第1冷媒(k1)に対する第1の固定ヒートパイプ(20)および少なくとももう1つの冷媒(k2)に対する少なくとももう1つの固定ヒートパイプ(19)が、凝縮装置(18)から、連動回転する横側中空室(13)内に延び、場合によっては更に中央中空室(12)の範囲迄延び、
    d) 片側端が開いた第1ヒートパイプ(20)と横側中空室(13)と中央中空室(12)に、第1冷媒(k1、k1′)が封入され、装置(2、2′)の運転段階中に、サーモサイフォン効果を利用して、凝縮冷媒(k1)が中央中空室(12)に送られ、そこで加熱されて、場合によって気化された冷媒(k1′)が、第1ヒートパイプ(20)を介してその凝縮室(20a)に戻され、
    e) 少なくとももう1つのヒートパイプ(19)が、中央中空室(12)内で片側端が閉じられ少なくとももう1つの冷媒(k2)が封入された冷却フィンガとして形成され、冷却段階中に、サーモサイフォン効果を利用して、パイプ(19)の凝縮室(19a)内で凝縮した冷媒(k2)が、中央中空室(12)の範囲で加熱されて気化され、そのようにして気化した冷媒が、凝縮室(19a)に戻される、
    ことを特徴とする超伝導装置。
  2. 凝縮温度が異なっている異種の冷媒が各々封入され冷却フィンガとして形成された複数のヒートパイプが利用されることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 中央中空室(12)の片側が巻線保持体(9)によって閉じられ、横側中空室(13)が低温ヘッド(16)側において連動回転部分付きシール装置(21)によって密封されたことを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
  4. シール装置(21)が、強磁性流体パッキン、ラビリンスパッキン又は隙間パッキンの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項3記載の装置。
  5. 低温ヘッド(16)を有する冷凍ユニット(15)が少なくとも1つの特別な再生クライオクーラを有することを特徴とする請求項1から4の1つに記載の装置。
  6. クライオクーラが、パルス管クーラ、スプリットスターリング型クーラ又はガイホードマクマホン型クーラであることを特徴とする請求項5記載の装置。
  7. 低温ヘッドが多段に形成されたことを特徴とする請求項1から6の1つに記載の装置。
  8. 低温ヘッドが2つの冷却段を有し、その第2段が、電流リード又は放射線シールドに熱的に結合され、比較的低い温度にある第1段が、ヒートパイプ(19、20)の凝縮室(19a、20a)に熱的に結合されたことを特徴とする請求項7記載の装置。
  9. 低温ヘッドが2つの冷却段を有し、その第2段が、もう1つのヒートパイプ(19)の凝縮室(19a)に熱的に結合され、比較的低い温度の第1段が、第1ヒートパイプ(20)の凝縮室(20a)に熱的に結合されたことを特徴とする請求項7記載の装置。
  10. 超伝導巻線(10)が低温ヘッド(16)によって77K以下の温度に保たれることを特徴とする請求項1から9の1つに記載の装置。
  11. 巻線(10)の導体が、低Tc超伝導材料又は高Tc超伝導材料を含むことを特徴とする請求項1から10の1つに記載の装置。
  12. 第1ヒートパイプ(20)の、横側中空室(13)又は中央中空室(12)内に突出した開放端(20a)が、滴下縁として形成されたことを特徴とする請求項1から11の1つに記載の装置。
  13. 横側中空室(13)が中央中空室(12)の方向に向かって広がって形成されたことを特徴とする請求項1から12の1つに記載の装置。
  14. 回転子(5)の少なくとも低温部分とヒートパイプ(19、20)が真空絶縁されたことを特徴とする請求項1から13の1つに記載の装置。
  15. 冷媒対(k1−k2)として、ネオン−窒素又はネオン−アルゴン又は水素−窒素が利用されることを特徴とする請求項1から14の1つに記載の装置。
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