JP4087342B2 - 電磁調理器 - Google Patents
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Description
このような電磁調理器は,プレート下面の温度検出素子による検出温度が異常検出用設定温度を超えた場合に,加熱コイルの通電を停止する(或いは抑制する)異常過熱防止機能を備えるものが一般的である。
ここで,前記温度検出素子はプレートの下面側に設けられるため,その検出温度は,前記被加熱器具の実際の温度よりも低い温度となる。このため,前記異常検出用設定温度は,異常温度として検知したい被加熱器具の実際の温度よりも低めの温度に設定され,これを超えると過熱状態であると判定する。
また,特許文献1には,検出温度上昇の傾きによって過熱判定を行うことによって鍋の反りの有無によらず過熱状態を検知する電磁調理器が,さらに,特許文献2には,加熱コイルの平均半径周上にサーミスタを配置することによって反り鍋と平底鍋との鍋の加熱検知温度差を低減する誘導加熱調理器(電磁調理器に相当)がそれぞれ示されている。
この問題を解消するために,前記異常検出用設定温度をさらに低い温度とする,或いは検出温度上昇の傾きで過熱判定を行う場合,誤検知(誤判定)のおそれが生じる。さらに,検出温度上昇の傾きで精度の高い過熱判定を行うためには,複雑な推定演算等を伴って演算負荷が高くなるという問題点も生じる。
ここで,後述するように,プレート下面の前記温度検出素子の温度検出位置を予備加熱し,正常な調理(加熱)が行われている時点における前記温度検出素子の近傍の温度を比較的高い温度に保持すれば,その温度から前記異常検出用設定温度までの温度差を小さくできるので,被加熱器具が異常過熱となった場合に,それをわずかな遅れで検知でき,加熱コイルの通電を停止する(或いは抑制する)までの時間遅れを小さくできる。
しかしこの場合,加熱調理中でない場合も常に予備加熱を行っていると,予備加熱に電力が無駄に消費される。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,異常過熱の発生を極力遅れなく検知して加熱コイルの通電を停止する(或いは抑制する)とともに,無駄な電力消費を極力抑えることができる電磁調理器を提供することにある。
これにより,正常な調理(加熱)が行われている時点における前記温度検出素子の近傍の温度が比較的高い温度に保持され,その温度から前記異常検出用設定温度までの温度差を小さくできるので,前記被加熱器具が異常過熱となった場合に,それをわずかな遅れで検知でき,加熱コイルの通電を停止する(或いは抑制する)までの時間遅れを小さくできる。さらに,前記加熱コイルによる加熱開始の操作入力後に前記予備加熱手段による予備加熱を開始させるので,加熱調理中でないときの予備加熱による無駄な電力消費をなくすことができる。
前記予備加熱手段の加熱停止については,例えば,前記加熱コイルによる加熱停止の操作入力後に前記予備加熱手段による予備加熱を停止させる予備加熱停止制御手段を具備するものも考えられる。
ここで,前記加熱コイルによる加熱開始とほぼ同時に前記予備加熱手段による予備加熱を開始しても,予備加熱を行わない場合に比べれば,異常過熱の検知遅れを小さくできる。しかし,例えば,前記被加熱器具が初めから空焚き状態であるような場合等には,加熱開始直後から急激に温度上昇するので,予め予備加熱を行っている場合に比べると,予備加熱の効果(検知遅れの短縮効果)が薄れる。
本発明においては,前記予備加熱手段による予備加熱開始後に前記加熱コイルによる加熱を開始させるので,予備加熱の消費電力抑制と異常過熱の検出遅れ防止とを両立させる上でより好適である。
一方,温度検出素子には,所定の温度範囲では一定方向の電気的特性を示すが,その温度範囲を超えると,その電気的特性の方向性が崩れて逆特性を示すものがある。例えば,温度検出素子の一例であるサーミスタの場合,ある温度範囲では,温度が上昇するほど抵抗値が増大するが,ある上限温度を超えると,逆に抵抗値が低下するものがある。このような温度検出素子を用いる場合,検出値からは,実際の温度は前記上限温度未満で低いのか,或いは前記上限温度を超えた高温であるのかの区別がつかない。
さらに,温度検出素子が,検出可能温度な上限温度を超えた温度になると破損にもつながる。例えば,上限温度を超えると急激に抵抗値が下がるサーミスタの場合,定電圧を印加していると急激に大きな電流が流れて破損につながりやすい。
このような温度検出素子を,プレート下面の前記温度検出素子として用いる場合,前記異常検出用設定温度を,検出可能な上限温度に対して十分に余裕のある温度に設定しなければ,温度検出素子の破損につながってしまう。しかし,このような余裕を設けることは
,異常過熱の検出が早すぎる結果,誤検出につながる,或いは温度検出素子の選定の自由度が狭まる。
そこで,前記温度検出素子がサーミスタであり,そのサーミスタによる検出温度が前記異常検出用設定温度を超えた場合に(即ち,前記通電制御手段による前記加熱コイルへの通電の抑制又は停止が行われた際に),前記サーミスタへの通電を一時中断又は一時抑制させる温度検出素子通電制御手段や,同じ場合に前記予備加熱手段による予備加熱(通電)を一時中断又は一時抑制させる予備加熱制御手段を具備するものが考えられる。
このように,異常過熱の発生後に,前記予備加熱手段による予備加熱を一時中断又は一時抑制することにより,その後の前記温度検出素子の温度上昇を最小限に抑えることができる。このため,前記異常検出用設定温度を前記温度検出素子の検出可能上限温度により近づけつつ,前記温度検出素子の破損を防止することができる。
また,異常過熱の発生後に,前記温度検出素子への通電を一時中断又は一時抑制することにより,該温度検出素子の検出可能な温度範囲にプレート下面の温度が下がるまで通電を行わないようにできる。
これにより,前記異常検出用設定温度を前記温度検出素子の検出可能上限温度により近づけつつ,一定方向の電気的特性を示す上限温度を超えた状況での通電による前記温度検出素子の破損を防止できる。
ここで,前記被加熱器具の熱容量の違い等の状況の違いにより,異常高温となって加熱が停止された後,前記温度検出素子の検出可能温度範囲に下がるまでの時間は異なる。このため,前記一時中断の時間を予め一定の時間に設定する場合には,最も悪い条件に合わせた時間(最も長い時間)に設定する必要があり,異常過熱発生後,温度検出復帰までの時間が長くなる。通常,プレート下面の温度変化速度は,主に前記被過熱器具の熱容量等により定まるため,異常過熱発生の前と後の温度変化速度は相関が高い。
そこで,温度検出素子通電制御手段及び/又は前記予備加熱制御手段が,前記一時中断又は前記一時抑制の前における前記温度温度検出素子の検出温度の変化が緩やかであるほど前記一時中断又は前記一時抑制の時間を長く設定するものであれば,状況に応じて最短の一時中断時間又は一時抑制時間(即ち,最短の復帰時間)を設定することが可能となる。
これにより,前記温度検出素子を前記予備加熱手段として兼用できるので,構成がよりシンプルとなる。
この場合,前記温度検出素子が,前記異常検出用設定温度未満の温度域にキュリー点を有する正温度係数サーミスタであれば,前記異常検出用設定温度の温度領域では前記温度検出素子の温度変化に対する抵抗変化が急峻であるため,前記異常検出用設定温度を超えたことの検出感度を高くできる。
さらに,予備加熱の消費電力抑制と異常過熱の検出遅れ防止とを両立させることができる。
また,前記温度検出素子による検出温度又は他の温度検出手段により検出される前記プレートの周辺温度に基づいて前記予備加熱手段による加熱量を変化させるものであれば,予備加熱前の周囲温度が低温の場合であっても,加熱量を増大させることによって早急に予備加熱温度を上昇させることができ,異常過熱の検出遅れを防止できる。
また,前記温度検出素子による検出温度が異常検出用設定温度を超えた場合に(即ち,加熱コイルへの通電の抑制又は停止が行われた際に),前記温度検出素子による温度検出及び/又は前記予備加熱手段による予備加熱(通電)を一時中断させることにより,加熱停止後の前記温度検出素子の温度上昇を最小限に抑えることができ,異常検出用設定温度を前記温度検出素子の検出可能上限温度により近づけつつ,異常過熱発生による加熱停止後の温度上昇を最小限に抑えるとともに,検出可能上限温度を超えた状況での通電による前記温度検出素子の破損を防止できる。
この場合,前記一時中断の前における前記温度温度検出素子の検出温度の変化速度に基づいて中断時間を設定すれば,状況に応じて最短の中断時間(最短の復帰時間)を設定することが可能となる。
ここに,図1は本発明の第1実施形態に係る電磁調理器Xの概略断面図,図2は電磁調理器Xのプレートを下側から見た概略図,図3は電磁調理器Xの構成を表すブロック図,図4は電磁調理器Xが備えるサーミスタの温度・抵抗特性の一例を表すグラフ,図5は電磁調理器Xにおいて緩やかな温度変化で加熱が行われた場合の鍋温度及びプレート温度の変化を表すグラフ,図6は電磁調理器Xにおいて急な温度変化で加熱が行われた場合の鍋温度及びプレート温度の変化を表すグラフ,図7は電磁調理器Xにおける予備加熱開始前後のプレート温度の変化を表すグラフ,図8は電磁調理器Xにおける異常過熱検出による加熱停止後のプレート温度の変化を表すグラフ,図9は常時予備加熱を行う場合のプレート温度の変化を表すグラフ,図10は加熱コイルによる加熱と予備加熱とを同時に開始した場合の加熱開始前後のプレート温度の変化を表すグラフ,図11は電磁調理器Xが備えるサーミスタの温度・抵抗特性の一例を表すグラフ,図12は本発明の第2実施形態に係る電磁調理器X’の構成を表すブロック図である。
図1に示すように,電磁調理器Xは,筐体6に支持されて鍋やフライパン等の被加熱器具7が載置されるプレート3と,該プレートの下側に設けられ前記プレート上に載置された前記被加熱器具7を電磁加熱する加熱コイル1と,前記プレート下面の複数の所定位置それぞれに接して設けられ,その温度を検出する複数の温度検出素子であるサーミスタ4と,該サーミスタ4の近傍(温度検出位置)を予備加熱する予備加熱ヒータ5(前記予備加熱手段の一例)と,前記加熱コイル1や前記予備加熱ヒータ5への通電等を制御する制御部2とを具備している。
前記プレート3上に載置された前記被加熱器具7は,前記加熱コイル4による電磁誘導で加熱され,加熱された前記被加熱器具7の熱が,前記プレート3を介した熱伝達により前記プレート3の下面に伝達し,その熱伝達によって変化する温度が前記サーミスタ4により検出される。
図1では,前記サーミスタ4及び前記予備加熱ヒータ5の組を複数組設けているが,代表的な温度を示す1箇所に1組(予備加熱ヒータ1つとサーミスタ1つ)を設けたものも考えられる。
図2は,前記プレート3を下側から見た図である。便宜上,前記加熱コイル1を破線で表している。
図2に示すように,前記サーミスタ4は,前記プレート3の下側から見て前記加熱コイル1が形成する円(帯状の円)に対してその平均半径rcのほぼ円周上に90°間隔で4つ配置されている。ここで,平均半径rcは,前記加熱コイル1が形成する帯状の円周の中心線が形成する円の半径を表す。
特許文献2の図3のグラフ等に示されるように,前記加熱コイル1の加熱により前記プレート3に温度分布が生じるが,その温度分布は,前記加熱コイル1が形成する円(帯状の円)に対してその平均半径rcの円周上が相対的に高温となり,その他の部分(前記加熱コイル1が形成する円の中心付近や外側の部分)は相対的に低温となることが知られている。従って,図2に示すような位置に前記サーミスタ4を配置すれば,異常高温となったことを感度高く検知することができる。
図3(a)に示すように,電磁調理器Xを構成する前記制御部2は,電磁調理器X全体に電力供給を行うか否かを切り替える電源スイッチ11と,電磁調理器Xの電力供給源となる外部の商用交流電源Gに接続され,前記電源スイッチ11の切り替え状態に従って商用交流電源Gからの電力を電磁調理器Xの内部へ通電させるか否かを切り替える電源制御回路12と,該電源制御回路12から前記加熱コイル1への給電(通電)を制御するコイル通電制御回路13と,前記サーミスタ4への通電制御を行うとともに前記サーミスタ4の抵抗値変化に応じた温度検出を行う温度制御回路14と,前記予備加熱ヒータ5への通電制御を行う予備加熱制御回路15と,前記加熱コイル1による加熱開始操作と加熱停止操作の操作入力手段である加熱キー16と,該加熱キー16の操作状態を検出して他の回路(前記コイル通電制御回路13,前記温度制御回路14及び前記予備加熱制御回路15)へ伝送する出力設定回路17とを具備している。
ここで,説明の簡単化のため,加熱開始及び加熱停止の操作入力手段を前記加熱キー16としたが,複数の入力の組合せによるものや複数の操作入力手段からの入力のOR条件をとるもの等も考えられる。例えば,加熱量調節ダイアルを調理器本体から引出されたことを検出するセンサ入力を第1入力とし,さらにそのダイアルが加熱開始位置まで回されたことを検出するセンサ入力を第2入力とし,これらの両入力があったときに加熱開始操作があったと判別するもの等であってもよい。
また,前記温度制御回路14は,前記サーミスタ4による検出温度が後述する異常検出用設定温度を超えた場合に,前記サーミスタ4への通電を一時中断する回路構成も有する(前記温度検出素子通電制御手段の一例)。
さらに,前記温度制御回路14は,前記加熱コイル1への通電停止中(例えば,通電開始前)に,前記サーミスタ4に通電し,そのときの検出電圧値や検出電流値によって前記サーミスタ4の故障を検知する故障検知機能を有している。 前記予備加熱制御回路15は,初期状態(前記電源スイッチ11をOFFからONされた状態)では,前記予備加熱ヒータ5への通電を停止させる回路構成を有している。そして,前記加熱キー16から,前記加熱コイル1による加熱開始の操作入力がなされたことを前記出力設定回路17を介して検出すると,その後直ちに前記予備加熱ヒータ5(予備加熱手段)に対する通電を行い,予備加熱を開始させる(前記予備加熱開始制御手段の一例)。
また,前記予備加熱制御回路15は,前記加熱キー16から,前記加熱コイル1による加熱停止の操作入力がなされたことを前記出力設定回路17を介して検出すると,その後直ちに前記予備加熱ヒータ5(予備加熱手段)への通電を停止して,予備加熱を停止させる(前記予備加熱停止制御手段の一例)。
さらに,前記予備加熱制御回路15は,前記サーミスタ4による検出温度が後述する異常検出用設定温度を超えた場合に,前記予備加熱ヒータ5への通電を一時中断する(予備加熱を一時中断する)回路構成も有する(前記予備加熱制御手段の一例)。
前記コイル通電回路13は,前記加熱キー16から,前記加熱コイル1による加熱停止の操作入力がなされたことを前記出力設定回路17を介して検出すると,予め調整された時間の経過後にスイッチがOFFからONに切り替わる遅延回路により,所定時間経過後に前記加熱コイル1に給電を行って加熱を開始させる。これにより,前記予備加熱ヒータ5(予備加熱手段)による予備加熱開始後に前記加熱コイル1による加熱を開始させることになる(前記コイル加熱開始制御手段の一例)。その詳細については後述する。
さらに,前記コイル通電制御回路13は,前記サーミスタ4(温度検出素子)による検出温度を前記温度制御回路14を介して入力し,その検出温度が予め定められた設定温度Ts(異常検出用設定温度の一例)を超えた場合に前記加熱コイル1への通電を停止する(前記通電制御手段の一例)。これにより,前記被加熱器具7が過熱状態となることを防止する。或いは,前記設定温度Tsを超えた場合に,前記加熱コイル1への通電量(供給電力)を通常よりも小さく抑制する回路構成や,前記設定温度Tsを複数段階に設定し,相対的に低い前記設定温度Tsを超えた時点では前記加熱コイル1への通電量を抑制し,最も高い前記設定温度Tsを超えた時点で通電を停止するといった,多段階での通電制御を行う回路構成とすることも考えられる。
また,前記コイル通電制御回路13は,前記温度制御回路14により,前記サーミスタ4の故障が検知されている場合は,前記加熱コイル1への通電を行わない制御を行う。
図4は,前記サーミスタ4の温度・抵抗特性を表すグラフであり,縦軸(抵抗値)は指数目盛りとなっている。
前記サーミスタ4は,所定温度Toで最低抵抗値Rminを示し,To以上の温度域において正の温度係数を有するPTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor:正温度係数サーミスタ)であり,キュリー点Tcという特定の温度で起こる相転移により,キュリー点Tc(>To)以上の温度域ではその抵抗値が急激に増大する性質を持つ。前記キュリー点Tcは,例えば前記最低抵抗値Rminの2倍の抵抗値Rc(=2Rmin)を示すときの温度等として定義される。
さらに,前記サーミスタ4は,異常として検知したい前記設定温度Ts未満の温度域にキュリー点Tcを有する正温度係数サーミスタである。これにより,前記設定温度Tsの温度領域ではサーミスタの温度変化に対する抵抗変化が急峻であるため,前記設定温度Tsを超えたことの検出感度を高くできる。これら複数の前記サーミスタ4は,電気的に直列接続されている。
前記サーミスタ4としては,例えば,チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とするチタン酸バリウム系酸化物半導体等を用いることが考えられる。図4は,チタン酸バリウム系酸化物半導体の温度・抵抗特性を表したものである。
例えば,n個の前記サーミスタ4が直列接続されている場合,その両端への微小印加電圧をV,異常として検知したい前記設定温度をTs,温度がTsであるときの前記サーミスタ4の抵抗値をRsとすると,前記コイル通電制御回路13は,前記加熱コイル1への通電中に,前記温度制御回路14によりV/(n・Rs)を下回る電流値が検出された場合
に,前記サーミスタ4による検出温度が前記設定温度Tsを超えた過熱状態であると判定し,前記加熱コイル1への通電(電流出力)を停止する。
このように,複数の前記サーミスタ4を電気的に直列接続して電圧印加を1系統にまとめることにより,回路がシンプルとなる。
ここで,前記被加熱器具7の載置位置が前記加熱加熱コイル1の中心から大きくずれている場合等,複数の前記サーミスタ4のうち一部のものの温度しか異常高温にならない場合がある。この場合,温度変化に対してほぼ一定の抵抗値変化を示す(温度係数がほぼ一定の)サーミスタを直列接続して温度検出した場合,複数のサーミスタの合計抵抗値(抵抗値の和)が十分に変化せず,一部のサーミスタに生じた異常高温を検知できない事態が生じる。
しかし,本電磁調理器Xに用いる前記サーミスタ4は,異常として検知したい前記設定温度Ts未満の温度域にキュリー点Tcを有する正温度係数サーミスタを用いるため,異常高温となっていない,即ち,前記設定温度Tsよりも十分低い温度の前記サーミスタ4については,所定の温度変化に対する抵抗値の変化幅が小さい一方,複数の前記サーミスタ4の1つでも前記設定温度Tsを超えると,その抵抗値が指数関数的に増大するため,合計抵抗値も急激に増大する。このため,複数の前記サーミスタ4のうちの一部のみに異常高温が発生した場合に,その異常高温の検知漏れが発生しない。
もちろん,前記サーミスタ4それぞれに独立して微小電圧Vを印加し,そのサーミスタ4のいずれかにおいて,V/Rsを下回る電流値が検出された場合に,加熱状態であると判定して前記加熱コイル1への通電(電流出力)を停止するものであってもよい。
この予備加熱の作用効果について,図5及び図6を用いて説明する。
図5及び図6は,電磁調理器Xにおいて,それぞれ緩やかな温度変化,及び急な温度変化で加熱が行われた場合の前記被加熱器具7(ここでは調理鍋7)の温度及び前記サーミスタ4の配置位置における前記プレート3下面の温度の変化を表すグラフである。図5及び図6において,太い実線で表すグラフが前記被加熱器具7の温度(以下,鍋温度Tnという),細い実線で表すグラフが前記予備加熱ヒータ5による予備加熱を行わない(予熱無)場合における前記サーミスタ4の配置位置の前記プレート3の下面温度(以下,予熱無しプレート温度Tp1という),太い破線で表すグラフが前記予備加熱ヒータ5による予備加熱を行う(予熱有)場合における前記サーミスタ4の配置位置の前記プレート3の下面温度(以下,予熱有りプレート温度Tp2という)を表す。
調理鍋7を前記プレート3上に載せた状態で,前記コイル通電制御回路13によって前記加熱コイル1に電流が流されると磁束が発生し,この磁束により調理鍋7に渦電流が流れ,鍋材質の抵抗に応じて調理鍋7は発熱する。
ここで,前記加熱コイル1への出力電流を低く抑えて加熱した場合,前記鍋温度Tnは常温Taから緩やかな勾配で徐々に上昇し,この温度上昇に対して時間遅れをもって前記予熱無しプレート温度Tp1は常温Taからより緩やかな勾配で徐々に上昇する。また,前記予熱有りプレート温度Tp2も,前記鍋温度Tnの上昇に対して時間遅れをもって常温Taよりも高い所定の予熱温度Tprから緩やかな勾配で徐々に上昇する。
そして,十分な時間t1の経過後には,前記鍋温度Tnと前記予熱無しプレート温度Tp1及び前記予熱有りプレート温度Tp2とは,相互にほぼ一定の差を保って推移する。また,予備加熱が行われている分だけ,前記予熱有りプレート温度Tp2の方が前記予熱無しプレート温度TP1よりも高い温度で推移する。この状態では,前記調理鍋鍋7から前記プレート3を介したサーミスタへの伝熱のロスがほぼ一定となった状態にある。このときの前記鍋温度Tnと前記予熱無しプレート温度Tp1及び前記予熱有りプレート温度Tp2との各温度差ΔTu,ΔTsを,前記鍋温度Tnが異常であるとする過熱温度Txから差し引いた温度をそれぞれ予熱を行わない場合の前記設定温度Tu及び予熱(予備加熱)を行う場合の前記設定温度Ts(異常検出用設定温度)とする。
次に,水の沸騰中(t2〜t3)は,前記鍋温度Tnは一定温度となり,これにやや遅れて各プレート温度Tp1,Tp2も一定となる。この間も,予備加熱が行われている分だけ,前記予熱有りプレート温度Tp2の方が前記予熱無しプレート温度Tp1よりも高い温度で推移する。
そして,前記調理鍋7内の全ての水が蒸発した時点t3から,前記鍋温度Tnは急上昇する。いわゆる空焚き状態である。これに対し,各プレート温度Tp1,Tp2も時間遅れをもって追従して温度上昇する。
さらに温度上昇が継続し,前記鍋温度Tnが前記過熱温度Txに到達(T4)すると,これに遅れて前記予熱有りプレート温度Tp1が前記設定温度(予熱有)Tsに到達(T5)し,さらに遅れて前記予熱無しプレート温度Tp2が前記設定温度(予熱無)Tuに到達(T6)する。即ち,前記予熱有りプレート温度Tp2が前記設定温度Tsに到達する時間の方が前記予熱無しプレート温度Tp1が前記設定温度Tuに到達する時間よりも短く,過熱検知の時間遅れが小さい。
これは,予備加熱を行った場合,前記鍋温度Tnの急上昇開始時点t3,即ち,正常な調理が行われている時点における前記予熱有りプレート温度Tp2が比較的高い温度に保持され,その温度から前記設定温度(予熱有)Tsまでの温度差を小さくできるためである。即ち,前記鍋温度Tnの急上昇開始時点t3における前記予熱有りプレート温度Tp2と前記予熱無しプレート温度Tp1との温度差ΔT1が,予備加熱有りのときと無しのときの前記設定温度の温度差ΔTsu(即ち,前記鍋温度Tnが過熱温度Tx付近であるときの平衡状態での前記予熱有りプレート温度Tp2と前記予熱無しプレート温度Tp1との温度差(図5参照))よりも大きいためである。
このことから,前記予熱温度Tprを可能な範囲で高くするほど,異常過熱をより早期に検知することができるといえる。但し,前記予熱温度Tprを前記サーミスタ4の抵抗値が急峻に変化する領域に設定すると,わずかな温度変化に対して検出温度が大きく変化するため誤検知の要因となる。
従って,前述したように,前記予備加熱ヒータ5により,前記加熱コイル1への通電停止状態において前記サーミスタ4(温度検出素子)の抵抗値が最小抵抗値となる温度To又はその近傍温度である前記予熱温度Tprに予備加熱すれば,正常状態(通常の調理時)における温度変化に対する抵抗値の変化が緩やかであるので誤検知を防止できる。
また,以上の過熱検知は,温度の実際値(実際の検出値)に対して動作するものであり,温度が過熱温度レベルに達しないうちに推定演算等により過熱検知するものではないため,油,水,食料品などの負荷(被加熱物)の種類や被加熱器具(鍋等)の種類,底の形状等に左右されずに,過熱検知を確実に行うことができる。
これにより,より幅広い条件変化に対応して,過熱検知の遅れを防止できる。
ここで,電磁調理器Xにける前記予備加熱ヒータ5への通電開始制御について説明する前に,前記予備加熱ヒータ5に対し,常時通電を行う場合と,前記加熱コイル1と前記予備加熱ヒータ4との通電開始を同時に行う場合とについて説明する。
以下,図7〜図10に示すグラフにおいて,時間軸(横軸)上のt1,t11,t21は前記電源スイッチ11がONされた(電源オンの)時点,t4,t14,t24及びt34は前記加熱キー16から加熱開始の操作がなされた時点,t5,t15,t25及びt35は前記加熱コイル1に対する通電が開始された時点を各々表す。
図9は,常時予備加熱を行う場合のプレート温度の変化を表すグラフである。
図9に示すように,電源オンt1後すぐに,前記予備加熱ヒータ5への通電を開始t2して常時予備加熱を行った場合,前記サーミスタ4の温度検出位置が昇温して前記予熱温度Tprに達し(図中,予熱完了t3の時点),その後,前記加熱コイル1による加熱が開始t5されるまで,その予熱温度Tprが維持される。
そして,前記加熱キー9から加熱開始操作の入力がされた後すぐに前記加熱コイル1への通電を開始t5すると,ほぼ同時に前記鍋温度Tnの昇温が始まり,これにやや遅れて前記予熱有り時のプレート温度(以下,プレート下面温度Tpという)の昇温も始まる。
このように,常時予備加熱を行うと,前記加熱コイル1による加熱開始の際に,既に,前記プレート下面温度Tpが前記予備加熱温度Tprに達しているため,前述したように異常過熱の検出遅れを防止できる。しかし,前記プレート下面温度Tpが前記予熱温度Tprに達してから,前記加熱コイル1への通電が開始されるまでの加熱調理を行っていない長時間の期間において,前記予備加熱ヒータ5が消費する電力が全く無駄になる。
図10のグラフに示すように,前記加熱キー9から加熱開始の操作入力がなされた後すぐに,前記加熱コイル1への通電と前記予備加熱ヒータ5への通電とをほぼ同時に開始せると,加熱調理を行っていない長時間の期間における前記予備加熱ヒータ5による無駄な電力消費がなくなり,大幅な省電力効果が得られる。
この場合も,時間の経過とともに前記プレート下面温度Tpが前記予熱温度Tprに達するので,それ以降は,異常過熱の検出遅れを十分に防止できる。
この図10に示すような予備加熱の開始制御を,前記予備加熱制御回路15により行われるよう構成しても一定の効果は得られる(前記予備加熱開始制御手段の一例)。
しかし,前記被加熱器具7(鍋)が初めから空焚き状態であるような場合等,図10に示すように,前記加熱ヒータ1による加熱開始直後から急激に前記鍋温度Tnが上昇した場合,予め予備加熱を行っている場合に比べると,予備加熱の効果(検知遅れの短縮効果)が薄れる。
本電磁調理器Xでは,図10に示したのと同様に,前記予備加熱制御回路15により,前記加熱コイル1による加熱開始の操作入力が前記加熱キー16からなされた時点t24の直後に,前記予備加熱ヒータ5(予備加熱手段)への通電を開始して予備加熱を開始させる(前記予備加熱開始制御手段の一例)。
さらに,前記コイル通電制御回路13により,前記遅延回路等によって前記予備加熱ヒータ5への通電開始(予備加熱手段による予備加熱開始)から一定時間後に,前記加熱コイル1への通電を開始t26して加熱を開始させる(前記コイル加熱開始制御手段の一例)。
このような制御により,前記加熱コイル1による加熱に先行させて予備加熱を行うことにより,前記被加熱器具7(鍋)が初めから空焚き状態であるような場合等,前記加熱ヒータ1による加熱開始直後から急激に前記鍋温度Tnが上昇した場合であっても,異常過熱の検出遅れを十分に防止できる。
ここで,前記予備加熱制御回路15は,前記加熱キー16による加熱開始操作がなされた直後の前記サーミスタ4による検出温度を前記温度制御手段14を介して入力し,この検出温度に基づいて前記予備加熱ヒータ5に供給する電力,即ち加熱量を変化させる(前記予備加熱量制御手段の一例)。
より具体的には,前記検出温度が予め設定された温度よりも低い場合には,通常よりも加熱量(供給電力)を大きくし,一定時間後に通常の加熱量に戻す。これにより,これにより,周囲温度が低温の場合等により前記プレート下面温度Tpが低い場合であって,加熱調理開始後の比較的短時間のうちに異常過熱が生じるような場合であっても,早急に前記プレート下面温度Tpを前記予備加熱温度Tprまで上昇させることができるので,異常過熱の検出遅れを最小限に留めることができる。
図3(b)は,このような前記加熱ヒータ5への供給電力の切り替え制御を行う前記予備加熱制御回路15の構成を表すものである。
前記予備加熱制御回路15は,前記商用交流電源Gからの1次側電源電圧を絶縁するとともに,前記予備加熱ヒータ5に供給する2段階のレベルの2次側電源電圧に変換する交流トランス21と,前記出力設定回路17からの前記加熱キー16の操作状態と前記温度制御回路14からの前記サーミスタ4による検出温度とを入力する通信制御部23と,該通信制御部23による入力情報に基づいて前記交流トランス21の2次側電源電圧のいずれのレベルの電源電圧を前記予備加熱ヒータ5に供給するか,或いは電力供給をしないかを切り替える(加熱量を変化させる)電圧切替制御部22(前記予備加熱量制御手段の一例)とを具備している。
前記電圧切替制御部22は,前記加熱キー16から加熱開始操作がなされたことを検出すると,そのときの前記サーミスタ4による検出温度が予め設定された温度以下である場合には,前記2次側電源電圧のうち高電圧側を予め設定された時間だけ前記加熱ヒータ5に出力した後,低電圧側へ切り替える。それ以外の場合には前記2次側電源電圧のうち低電圧側(通常時の電圧)を出力する。
また,前記電圧切替制御部22は,前記加熱キー16から加熱停止操作がなされたことを検出すると前記加熱ヒータ16への電力供給を停止する。
ここでは,前記予備加熱ヒータ5への供給電力を2段階切り替えによって変化させる例を示したが,これに限るものでなく,前記サーミスタ4の検出温度に応じてより多段階に切り替えるものや,前記サーミスタ4の検出温度に応じてアナログ的に出力調節を行うもの等も考えられる。
また,加熱量変更に用いる温度としては,前記サーミスタ4以外の他の温度検出手段(サーミスタ等)により検出される前記プレート3の周辺温度を用いても同様の作用効果を奏する。
図11は,電磁調理器Xに用いるサーミスタの一例である正温度係数サーミスタの温度−抵抗値特性を表すグラフである。
図11に示すように,正温度係数サーミスタは,下限温度Toから上限温度Tyの範囲が検出可能温度範囲である。この範囲では,サーミスタの電気的特性(温度変化に対する抵抗値の変化特性)は一定方向の特性を示す。図11に示すサーミスタでは,前記検出可能温度範囲(To〜Ty)では,温度が上昇するほど抵抗値が上昇するが,上限温度Tyを超えると逆に抵抗値が低下する。
このような温度検出素子を用いる場合,検出値からは,実際の温度は前記上限温度未満で低いのか,或いは前記上限温度を超えた高温であるのかの区別がつかない。
さらに,正温度係数サーミスタが,前記上限温度Toを超えた温度になると,急激に抵抗値が下がるため,定電圧を印加していると急激に大きな電流が流れて自己発熱し,短絡破損に至ってしまう。通常,どのような温度検出素子でも,検出可能温度範囲の上限値と素子破壊の上限値が存在する。
このような温度検出素子(サーミスタ)を,プレート下面の温度検出素子として用いる場合,前記設定温度Ts(異常検出用設定温度)を,前記上限温度Toに対して十分に余裕のある温度に設定しなければ,温度検出素子の破損につながってしまう。しかし,このような余裕を設けることは,異常過熱の検出が早すぎる結果,誤検出につながる,或いは温度検出素子の選定の自由度(設計自由度)が狭まる。
図8は,異常過熱検出による加熱停止後のプレート温度の変化を表すグラフである。
図8に示すように,前記サーミスタ4による検出温度が前記設定温度Ts(異常検出用設定温度)を超えた場合(過熱検知:t36)に,前記コイル通電制御回路13によって前記加熱コイル1への通電を停止させると,前記鍋温度Tnが下降する。しかし,前記プレート3を介した熱伝達の遅れ等の影響により,前記プレート下面温度Tpは,加熱停止後直ちには下降せず,しばらく温度上昇を続けた後に下降し始める(t37の時点)。このため,前記設定温度Ts(異常検出用設定温度)を前記サーミスタ4の検出可能上限温度Ty未満に設定しても,この温度Tyを超えた温度(最高温度Tpc)まで上昇してしまうことが生じる。この場合,前記サーミスタ4に通電を継続していると,過電流による前記サーミスタ4の破損の原因となる。
さらに前記温度制御回路14により,前記サーミスタ4による検出温度が前記設定温度Ts(異常検出用設定温度)を超えた場合に,前記サーミスタ4への通電(温度検出)を一時中断する(前記温度検出素子通電制御手段の一例)。これにより,前記サーミスタ4の破損を防止する。
これらの中断制御により,前記設定温度Ts(異常検出用設定温度)を前記サーミスタ4の検出可能上限温度Tyにより近づけつつ,異常過熱発生による加熱停止後の温度上昇を最小限に抑えるとともに,検出可能上限温度を超えた状況での通電による前記サーミスタ4の破損を防止できる。
そこで,電磁調理器Xでは,前記温度制御回路14及び前記予備加熱制御回路15各々により,温度検出及び予備加熱の一時中断を行う前における前記サーミスタ4の検出温度の変化速度に基づいて一時中断する時間(或いは,後述する一時抑制の時間)を設定する
。
より具体的には,例えば,前記設定温度Tsよりも低い変化検出用設定温度Tssを超えてから前記設定温度Tsを超えるまでの時間をタイマーで計時し,その計時時間が長いほど(即ち,温度変化が緩やかであるほど)一時中断時間を長く設定し,前記計時時間が短いほど(即ち,温度変化が急であるほど)一時中断時間を短く設定する。計時時間から一時中断時間への変換は,予め設定された変換テーブルや変換式に基づいて行う。これにより,状況に応じて最短の中断時間(最短の復帰時間)を設定することが可能となる。
また,前記第1実施形態では,前記サーミスタ4に自己発熱しない程度の微少電圧を印加し,前記予備加熱ヒータ5により前記サーミスタ4近傍を加熱するものであったが,前記サーミスタ4を温度検出素子と予備加熱手段とを兼ねたものとすることも考えられる。
例えば,前記予備加熱制御回路15から正温度係数サーミスタである前記サーミスタ4に,該サーミスタ4が自己発熱するのに十分な電圧を印加(通電)し,前記サーミスタ4(正温度係数サーミスタ)を発熱させることにより予備加熱を行うものである(前記予備加熱手段の一例)。印加電圧は,自己発熱した前記サーミスタ4が所望の前記予熱温度Tprに保持される電圧を予めの調節によって設定する。
また,このときに正温度係数サーミスタの内部温度を高めることで発熱量を大きくし,異常過熱を早期に検知することもできる。
図4に示す特性のサーミスタに比較的大きな電圧印加をおこなった場合,例えば,前記加熱コイル1による加熱がなされていない状態でサーミスタは温度Tfおよび抵抗Rfとなる(図4参照)。その状態から,前記加熱コイル1により鍋が加熱されて過熱温度Txとなったときに,サーミスタは温度Tgおよび抵抗Rgとなり,過熱を検知することができる(発熱量が小さいときにはサーミスタの内部温度と周囲温度はほぼ等しいが,発熱量が大きいほどサーミスタの内部温度と周囲温度は違ってくる)。このような動作時には,鍋温度変化に従ってサーミスタの抵抗がRf→Rgと単調増加するので,鍋温度の連続的な変化を検出することが容易となる。
但し,このように大きな電圧印加によって過熱状態になる前から正温度係数領域を用いる場合,複数のサーミスタを直列接続すると,あるサーミスタの抵抗増加が他のサーミスタの電流増加を抑えて,他のサーミスタの抵抗が増加しなくなるため,直列接続で過熱検出をおこなうことは不可能となる。
以上により,前記予備加熱ヒータ5を別途設ける必要がなくなり,よりシンプルな構成となる。
図12は,前記サーミスタ4を前記予備加熱ヒータ5と兼用した本発明の第2実施形態に係る電磁調理器X’の構成を表すブロック図である。前記電磁調理器Xと同じ構成要素については,同じ図番を記している。
電磁調理器X’における温度制御回路14’は,前記サーミスタ4(兼前記予備加熱ヒータ5)に基づく温度検出専用回路となり,予備加熱制御回路15’が,前記予備加熱制御回路15に相当する予備加熱ヒータとしての前記サーミスタ4の制御回路と,前記温度制御回路14が有していた前記サーミスタ4(兼予備加熱ヒータ5)への通電制御回路(通電開始・停止の制御回路,及び異常過熱発生時の前記サーミスタ4への通電の一時中断の制御回路)を兼用する回路として構成される。
2…制御部
3…プレート
4…サーミスタ(温度検出素子)
5…予備加熱ヒータ(予備加熱手段)
6…筐体
7…被加熱器具(鍋)
11…電源スイッチ
12…電源制御回路
13…コイル通電制御回路(通電制御手段,コイル加熱開始制御手段)
14…温度制御回路
14’…温度制御回路
15…予備加熱制御回路(予備加熱開始制御手段,予備加熱停止制御手段,予備加熱量制御手段,予備加熱制御手段)
15’…予備加熱制御回路(温度検出素子通電制御手段,予備加熱開始制御手段,予備加熱停止制御手段,予備加熱量制御手段,予備加熱制御手段)
16…加熱キー
17…出力設定回路
G…商用交流電源
Claims (8)
- プレート上に載置された被加熱器具を前記プレートの下側に設けられた加熱コイルにより電磁加熱する電磁調理器において,
前記プレート下面の温度を検出する1又は複数の温度検出素子と,
前記温度検出素子の温度検出位置を予備加熱する予備加熱手段と,
前記加熱コイルによる加熱開始の操作入力後に前記予備加熱手段による予備加熱を開始させる予備加熱開始制御手段と,
前記予備加熱手段による予備加熱開始後に前記加熱コイルによる加熱を開始させるコイル加熱開始制御手段と,
前記温度検出素子による検出温度が異常検出用設定温度を超えた場合に前記加熱コイルへの通電を抑制又は停止する通電制御手段と,
を具備してなることを特徴とする電磁調理器。 - 前記加熱コイルによる加熱停止の操作入力後に前記予備加熱手段による予備加熱を停止させる予備加熱停止制御手段を具備してなる請求項1に記載の電磁調理器。
- 前記温度検出素子による検出温度又は他の温度検出手段によって前記加熱コイルによる加熱開始の操作入力直後に検出される前記プレートの周辺温度が低いほど,前記予備加熱手段による加熱量を大きく設定する予備加熱量制御手段を具備してなる請求項1又は2のいずれかに記載の電磁調理器。
- 前記温度検出素子がサーミスタであり,該サーミスタによる検出温度が前記異常検出用設定温度を超えた場合に,前記サーミスタへの通電を一時中断又は一時抑制させる温度検出素子通電制御手段を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載の電磁調理器。
- 前記温度検出素子通電制御手段が,前記一時中断又は前記一時抑制の前における前記温度検出素子の検出温度の変化が緩やかであるほど前記一時中断又は前記一時抑制の時間を長く設定してなる請求項4に記載の電磁調理器。
- 前記温度検出素子による検出温度が前記異常検出用設定温度を超えた場合に,前記予備加熱手段による予備加熱を一時中断又は一時抑制させる予備加熱制御手段を具備してなる請求項1〜5のいずれかに記載の電磁調理器。
- 前記予備加熱制御手段が,前記一時中断又は前記一時抑制の前における前記温度検出素子の検出温度の変化が緩やかであるほど前記一時中断又は前記一時抑制の時間を長く設定してなる請求項6に記載の電磁調理器。
- 前記温度検出素子が正温度係数サーミスタであり,前記予備加熱手段が,前記正温度係数サーミスタに通電して該正温度係数サーミスタを発熱させることにより前記予備加熱を行うものである請求項1〜7のいずれかに記載の電磁調理器。
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