JP2004111091A - 誘導加熱調理器及び誘導加熱調理器用鍋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】誘導加熱調理器において、異常発熱を検知する手段として、感温鍋がずれた事を検知する鍋ズレ検知手段と、鍋の材質が所定のキュリー温度を有する感温金属を用いた鍋であることを検知(負荷材質検知)する手段を有する。また感温鍋自身においても、側面部が直接加熱されないように、加熱コイルからの距離を確保し、誘導加熱されにくい素材を側面に用いる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自己温度制御機能を有する調理用鍋に対応し、鍋ずれ時にも安全性を確保した誘導加熱調理器および誘導加熱調理器用鍋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、誘導加熱調理器はその安全性や使いやすさ、高熱効率という優れた特徴が理解され、一般家庭に広く普及されつつある。
【0003】
従来の誘導加熱調理器について図面を参照にしながら説明する。図7において、1は交流電源、2は加熱コイル、3はトッププレート、4はスイッチング素子、5は交流電源1からの入力電流を検知する入力電流検知回路、6はスイッチング素子4をオンオフすることにより加熱コイル2に高周波電流を供給するインバーター回路、7はキュリー点が高い第1の磁性金属7aであるSUS430からなる鍋本体の加熱コイル側に、アルミニウムからなる非磁性金属7bを介して、Fe−Ni合金からなり約260℃のキュリー点を有する第2の磁性金属7c(以下「感温金属」と称する)が一体化された被加熱鍋(以下「感温鍋」と称する)、8は感温鍋の温度を検知する温度センサ、9は制御部でスイッチング素子4のオンオフを制御するが、インバーター回路6の内部信号、例えばスイッチング素子4に発生する電圧や素子電流と入力電流検知回路5からの信号により、無負荷や加熱に適さない小物、アルミ鍋等の負荷検知機能をも有する。
【0004】
このような構成であるので、被加熱鍋が異常加熱にならないように、加熱状態を制御しやすい特性がある。また前述の所定のキュリー点を有する感温鍋(例えば、特許文献1、特許文献2参照)を用いると、鍋自身に温度制御機能がある為、必要以上に温度が上がらず、安心して使用することが出来る。
【0005】
しかしながら図7のような感温鍋では重量が重く、またFe−Ni合金のコストが比較的高い為、図8に示すような、側面部を第1の磁性金属7aからのみなる構成の感温鍋も考案されている。
【0006】
しかしこのような構成の感温鍋を用いると、図8のように感温鍋側面が誘導加熱調理器の加熱コイル中央に対向する位置に置かれた場合、側面部の温度が異常に上昇するという現象が発生する。
【0007】
感温金属を用いていない被加熱鍋では、加熱し続けると鍋全体の温度が上昇し、それに応じて温度センサの温度も上昇する。最終的には誘導加熱調理器本体の温度過昇防止機能により通電が停止されるので、被加熱物の温度が極端に上がりすぎることはない。
【0008】
しかし図8のように感温金属を底面にのみ用いた被加熱鍋の場合、温度センサに対向する底面は、感温金属の効果により所定の温度以上に温度が上昇しないため、温度センサの温度もそれほど上がらず、誘導加熱調理器本体の温度過昇防止機能がなかなか作動しない。一方、被加熱鍋側面は感温金属の効果が得られないので、入力がいつまでも続き、結果的に局部的に温度が異常に上昇するという現象が生じる。
【0009】
このような状態が起こると、例えばフライパンにおいて市場の要望が強いフッ素コーティングを施している場合、局部的に温度が上昇した部分のフッ素コーティングが劣化・変色してしまうという課題があった。
【0010】
【特許文献1】
特許第2917526号公報
【特許文献2】
特許第3079573号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の課題に鑑み本発明が解決しようとする課題は、被加熱鍋側面に感温金属を一体化しない軽量タイプの感温鍋においても、局部的に温度が異常上昇することなく、感温鍋の安全性を充分に生かすことが出来る誘導加熱調理器及び誘導加熱調理器用鍋を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、感温鍋からなる被加熱鍋の鍋ズレ及び異常温度上昇を検知し、その検知結果に応じて加熱状態を制御することにより、鍋ズレによる側面部の異常発熱を防止したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
前記した本発明の目的は、各請求項に記載した構成を実施する形態とすることにより達成できるので、以下には各請求項の構成に、その構成による作用を併記し、併せて請求項記載の構成のうち説明を必要とする特定用語については詳細な説明を加えて、本発明の実施の形態の説明とする。
【0014】
請求項1記載に係わる発明は、加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバーター回路と、被加熱鍋の材質を検知する材質検知手段と、前記加熱コイルの出力を制御する制御部とを備え、前記制御部は、キュリー点の高い第1の磁性金属からなる鍋本体の加熱コイル側で、加熱コイルに略対応した部分に非磁性金属を介してキュリー点の低い第2の磁性金属を一体化させた被加熱鍋を前記加熱コイルに載置して誘導加熱した場合において、前記第2の磁性金属の周囲に位置する前記第1の磁性金属が部分的に異常発熱したことを検知すると前記加熱コイルの出力を制御して異常発熱を防止するものである。
【0015】
このような構成にすることにより、被加熱体の材質を検知する材質検知手段を有するので、キュリー点の高い第1の磁性金属からなる鍋本体の加熱コイル側で、加熱コイルに略対応した部分に、非磁性金属を介してキュリー点の低い第2の磁性金属を一体化させた被加熱鍋を、加熱コイルに対して正常な位置に載置して加熱すると、キュリー点に依存した温度で透磁率が低下した非磁性金属の特性を、材質検知手段が検知し、出力が低下する。これにより、いわゆる鍋自身による自動温度制御が可能となる。
【0016】
また、第2の磁性金属の周囲に位置する前記第1の磁性金属が部分的に異常発熱したことを検知する、異常発熱検知手段を具備することにより、上記の非加熱鍋が、加熱コイルに対して横方向にずらされて置かれた場合に、加熱コイルからの磁束が第2の磁性金属部分の一部と周囲の第1の磁性金属部分に多く交錯し、第1の磁性金属が異常発熱するので、その旨を表示手段で報知したり、或いは加熱出力を抑制若しくは停止することができる。
【0017】
したがって、使用者が、上記のような構成の鍋を使用した場合に、フッ素加工などが第1の磁性金属の内側に塗布されている場合には、その劣化を防止することができる。或いは異常な発熱による火傷などの危険を防止することができる。
【0018】
請求項2記載に係わる発明は、請求項1記載に係わる発明において、異常発熱検知手段は、被加熱鍋がずれたことを検知する鍋ズレ検知手段の検知結果と、負荷の材質を検知する負荷材質検知手段の検知結果から第1の磁性金属の異常発熱を検知するものである。
【0019】
被加熱鍋の側面が局部的に異常発熱されるのは、従来の技術でも説明したように、加熱コイルに略対応した部分にのみ感温金属が配置され、被加熱鍋の側面がキュリー温度の高い磁性金属のみの構成で、且つ被加熱鍋の側面が加熱コイルの中心部に略対応した部分に配置された、いわゆる正規の位置から鍋がずれた場合に発生する。すなわちこのような局部的な異常発熱を防止するためには、加熱コイルに略対応する被加熱鍋が感温金属であることと、鍋がずれたことを検知し、加熱状態をコントロールする必要がある。すなわち前述のような構成にすることにより、上記のようないずれの状態をも検知することができ、それに応じて加熱状態をコントロールすることにより、被加熱鍋の局部的な異常発熱の発生を防止することができる。
【0020】
請求項3記載に係わる発明は、請求項2記載に係わる発明において、負荷材質検知手段はインバーター回路に発生する高周波出力電圧または電流の変化を識別して、第2の磁性金属の有無を検知する構成としたものである。
【0021】
ここで第2の磁性金属、すなわち感温金属の有無を検知できる理由を具体的に説明する。
【0022】
例えば図8のような構成の感温鍋である被加熱鍋を加熱コイルに載置して誘導加熱を行った場合の、感温金属温度Tに対する、感温金属の比透磁率μsa、インバーター回路が発生する高周波電圧Va、感温鍋への入力消費電力Waの関係を、図2の実線に示した。ここで感温金属温度の上昇に伴う、各値の変化状態を説明する。
【0023】
感温金属温度Tが常温からA地点までは一定の磁性を示し、VaやWaも特に変化なく作動している。感温金属温度TがA地点を超えると、比透磁率μsaが徐々に低下してくる。
【0024】
しかしその低下に応じて、Vaが上昇し一定のWaを確保している。B地点に到達するとインバーター回路等のリミッターが作動しVaの上昇が止まる。これ以降はμsaの低下に伴ってWaも低下し、やがて本体の小物検知が作動し(C地点)これ以上温度が上がらなくなる。このように感温鍋はいわゆるキュリー温度であるC地点以上に温度が上がらないという特徴があるが、インバーター回路が発生する電圧Vaはキュリー温度よりも低い温度で変化し始める。従ってVaの変化を制御的に確認することにより、キュリー温度まで上昇する時間よりも早めに被加熱鍋が感温鍋であるかどうか検知することができる。従って前述のような構成にすることにより、負荷の材質を検知し、被加熱鍋の異常発熱を防ぐことができる。
【0025】
請求項4記載に係わる発明は、請求項2記載に係わる発明において、鍋ズレ検知手段は被加熱鍋の温度を測定すべく、加熱コイル近傍に設けた温度検知手段の検知結果に基づき、鍋ズレを判断するものである。
【0026】
請求項5記載に係わる発明は、請求項2記載に係わる発明において、鍋ズレ検知手段は被加熱鍋の位置を測定すべく、被加熱物の下部または上部に設けた鍋位置検知手段の検知結果に基づき、鍋ズレを判断するものである。
【0027】
請求項6記載に係わる発明は、請求項2記載に係わる発明において、鍋ズレ検知手段は被加熱鍋周辺の磁力線の変化を測定すべく、加熱コイル近傍に設けた磁界センサの測定結果に基づき、鍋ズレを判断するものである。
【0028】
鍋ズレ検知の方法としては、例えば加熱コイルの中心及び前後左右の計5箇所に被加熱鍋の温度を検知するための温度センサを配置する。この温度センサの測定結果を検知・比較することにより鍋ズレを検知することが可能である。具体的には、前後左右のいずれか1ヵ所の温度が他と比較して一定温度以上低い場合は、その部分の鍋の当たり方が他の部分と異なることになるので、鍋ズレと判断する。
【0029】
なお、鍋ズレ検知手段には図3に示した鍋位置検知手段(位置センサ)を用いたり、図4に示した磁界センサにより磁力線の変化度合いから判断する方法もあり、検知の理屈としては先に説明した温度センサを用いた場合と同様である。このようないずれかの構成にすることにより、局部的な異常発熱が発生するための条件の1つである、被加熱鍋の位置ズレが確実に検知できるようになり、被加熱鍋の異常発熱を防ぐことができる。
【0030】
請求項7記載に係わる発明は、第1の磁性金属からなる鍋本体の少なくとも加熱コイル側に非磁性金属を介して第2の磁性金属を一体化させた被加熱鍋で、前記非磁性金属の厚みを5mm以上としたものである。
【0031】
一般的に磁性金属である被加熱鍋が加熱コイルから離れる程、加熱に寄与する被加熱鍋への入力消費電力は低下する。すなわち、このような構成にすることにより、前記第1の磁性金属と加熱コイルとの距離が確実に確保できる為、第1の磁性金属での加熱を確実に低減することが出来る。一方、両磁性金属の間を介する被磁性金属は比重の軽いアルミニウム合金などを用いることが多いので、多少厚めにしても、重量的にはそれほど増加しない。
【0032】
請求項8記載に係わる発明は、第1の金属として1mm以上のオーステナイト系ステンレスの非磁性金属からなる鍋本体の少なくとも加熱コイル側に、非磁性金属を介して前記第2の磁性金属を一体化させたものである。オーステナイト系ステンレスは、1mm以上の厚みになると加熱されにくくなるので、このような構成とすることにより、鍋側面部での誘導加熱は大きく押えられ、局部的な異常発熱の発生を少なくすることが出来る。また本来オーステナイト系ステンレスは前記第2の磁性金属である感温金属との膨張率の差がより大きくなるが、板厚アップによる剛性アップの効果が勝り、全体として加熱時の反りが発生しにくい鍋を提供することが出来る。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
図1において、1は交流電源、2は加熱コイル、3はトッププレート、4はスイッチング素子、5は交流電源1からの1からの入力電流を検知する入力電流検知回路、6はスイッチング素子4をオンオフすることにより加熱コイル2に高周波電流を供給するインバーター回路、7はキュリー点が高い第1の磁性金属であるSUS430からなる鍋本体7aの加熱コイル側にアルミニウム7bを介して感温金属7cが一体化された感温鍋である。ここで感温金属はキュリー点が260℃のものを用いた。
【0035】
また鍋内面にはフッ素コーティングを施した。8は感温鍋の温度分布を検知する温度センサで、中心及び加熱コイルの前後左右の計5箇所で、トッププレートの下側に取りつけて、感温鍋の温度を測定するようにしている。9はスイッチング素子4のオンオフ等を制御することで加熱コイル2の加熱量を制御する制御部、10は鍋ズレ検知手段、11は負荷材質検知手段である。
【0036】
上記のように構成された誘導加熱調理器において、以下その動作を説明する。
(a)まず通常の使用状態として、図8で説明した感温鍋と同様の形状の調理用鍋が、加熱コイルに対向して同心円状の正規の位置に置かれて加熱された場合、調理用鍋の温度が260℃まで上昇しそれ以上は上がらなくなる。このときの感温金属温度Tに対して、感温金属の比透磁率μsa、インバーター回路が発生する高周波電圧Va、被加熱鍋への入力消費電力Waの変化の状態は前述したように図2の実線のような動きを示す。この場合感温金属の温度はA地点で約150℃、B地点で約200℃、C地点で約260℃であった。このように感温金属の磁性の変化は、キュリー点前後で連続的に変化している。
【0037】
(b)一方この感温鍋を加熱コイルに対向する正規の位置に対してずらして置かれた場合の動作を説明する。今回は約50mmずらした。
【0038】
まず鍋ズレ検知手段10及び負荷材質検知手段11が作動しない場合、感温金属温度Tに対するインバーター回路が発生する電圧Vb、消費電力Wbの変化の状態を図2の破線で示す(一部実線と重複)。
【0039】
なお比透磁率μsbに付いては、加熱コイルに対向する底面の感温金属の比透磁率と同じく側面のSUS430の比透磁率を合わせた平均的な比透磁率になっている。最初のA地点までは実施例1(a)と同様に一定の磁性を示し、それに応じてVbやWbも一定であった。A地点を超えたところで感温金属の磁性は低下をはじめるが、この場合のμsbはμsaに対して比透磁率の低下が小さい。これはμsbの中には、この程度の温度では磁性が変化しない側面部の磁性も含まれているからである。Vbはμsbに応じて変化するので、Vaよりも変化量が少なくなっている。以降B、C地点も多少後ろにずれる形になる(B’、C’で表示)。ここで加熱コイルに対向する側面部に着目してみると、小物検知により被加熱鍋への通電が停止するまで、側面部は通電量が低下することなく、通電されつづける。この場合フッ素コーティングの熱劣化を起こす約400℃を超えることがあった。場所的にはトッププレートから5mmまでの高さの部分で劣化した。5mm以上の高さで劣化が起こらないのは、加熱コイルから距離が遠くなると磁力線による発熱量が小さくなるためである。
【0040】
このような状態に対して、鍋ズレ検知手段10及び負荷材質検知手段11が作動した場合について説明する。まず負荷材質検知については、図2示した、インバーター回路が発生する電圧Vの変化より検知する。すなわちVが変化するということは、鍋底面に感温金属が使用されていることであり、またすでに鍋の温度が必要以上に上昇していることを示す。制御部9は、この変化を検知すると、鍋がずれていれば側面部に異常発熱が発生していると判断する。
【0041】
次に鍋ズレ検知については、加熱コイルの中心及び前後左右の計5箇所の温度より検知した。前述したように前後左右のいずれか1ヵ所の温度が他と比較して一定温度以上低い場合は、その部分の鍋の当たり方が他の部分と異なることになるので、鍋ズレと判断する。
【0042】
このように負荷の材質に少なくとも感温金属を含み、しかも比透磁率変化の発生の確認により、必要以上の温度まで上昇している事を検知し、更に鍋ズレも合わせて検知した場合は側面部が異常発熱する可能性があると判断し、鍋ズレの旨を表示するとともに、感温鍋への入力を段階的に落としていく設定とした。
【0043】
なお、鍋ズレについては図2示したグラフにおいて、正規の位置に置かれた場合のVaのA地点以降の傾きに対して、Vbの傾きが小さければ、加熱コイルに対向する部分に感温金属以外の部分が含まれる、すなわち鍋がずれていると判断する事も出来る。
【0044】
ここで、感温鍋の比透磁率の変化を、インバーター回路が発生する電圧の変化を検知することにより、検知しているが、これは入力値の変化から判断するよりも早いタイミングで出来るため、側面温度のオーバーシュートを考えて、余裕を持たせるためである。
【0045】
なお、ここではインバーター回路が発生する電圧の変化を検知しているが、電流の変化で検知しても同様の効果が得られる。
【0046】
このような構成にすることにより、図3のような構成の感温鍋を図のようにずらしておいた状態で加熱しても、鍋側面の局部的な異常発熱は発生せず、鍋内面に加工しているフッ素コートも異常過熱による劣化もなく、良好に調理することができた。
【0047】
なお、鍋ズレ検知手段には図3に示した鍋位置検知手段(位置センサ)を用いたり図4に示した磁界センサにより磁力線の変化度合いから判断する方法もある。
【0048】
(実施例2)
図5において、感温鍋7は実施例1と同様の構成であるが、中間層のアルミニウム7bの厚みt1を5mmとした。その他の構成は実施例1と同様である。このようにすることで加熱コイルに対向する部分から鍋をずらして置いても、鍋側面の異常発熱は発生しなかった。これはアルミニウム7bの厚みによって、7aの層は加熱コイルより十分離されるので発熱することがない。すなわちこのような構成にすることにより、鍋ズレ時の側面異常発熱を防止することが出来る。
【0049】
なおアルミの厚みについては厚い方が有利であるが、トッププレートの厚みによっても変わってくる。実施例1の結果からも5mm以上あれば効果があるが、さらには10mm以上確保すると本体の構成に影響されることなく有効に作用した。
【0050】
(実施例3)
図6において、感温鍋7は構成素材として、鍋本体の7aに非磁性金属であるオーステナイト系ステンレスのSUS304で板厚t2が1mmのものを用いた。その他の構成は実施例1と同様である。このようにすることにより、加熱コイルに対向する部分から鍋をずらしても、鍋側面の異常発熱は発生しなかった。これはオーステナイト系ステンレスの板厚が厚くなれば、誘導加熱により発熱しにくくなるため、鍋ズレ時の側面異常発熱も防止することが出来る。
【0051】
なお、SUS304の板厚と発熱量の関係は1mmで定格の80%程度、1.5mmで定格の50%程度であった。1mmの板厚でも定格の発熱量に満たない為、結果的には異常発熱には至らなかったが、より安全性を高める為には1.5mm以上確保した方が望ましい。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、キュリー点の高い第1の磁性金属からなる鍋本体の加熱コイル側に、非磁性金属を介して、キュリー点の低い第2の磁性金属を一体化させた被加熱鍋を誘導加熱した場合、インバーター回路が発生する高周波出力電流または電圧の変化から、前記第2の磁性金属が感温金属であり、且つ温度が必要以上に上昇していることを認識し、また被加熱鍋の温度分布の検知結果等によって鍋ズレを検知することにより、前記被加熱鍋の第1の磁性金属が部分的に異常発熱した事を検知出来る誘導加熱調理器を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す誘導加熱調理器の略断面図
【図2】本発明の第1の実施例に於ける被加熱鍋の比透磁率の変化、入力消費電力、インバーターが発生する高周波電圧の変化を示す特性図
【図3】本発明の第1の実施例に於ける他の構成を示す誘導加熱調理器の略断面図
【図4】本発明の第1の実施例に於けるもう一つの構成を示す誘導加熱調理器の略断面図
【図5】本発明の第2の実施例を示す誘導加熱調理器用鍋の略断面図
【図6】本発明の第3の実施例を示す誘導加熱調理器用鍋の略断面図
【図7】従来の誘導加熱調理器及び誘導加熱調理器用鍋の構成を示す略断面図
【図8】従来の誘導加熱調理器及び他の誘導加熱調理器用鍋の構成を示す略断面図
【符号の説明】
2 加熱コイル
6 インバーター回路
7 被加熱鍋
7a 第1の磁性金属
7b 非磁性金属
7c 第2の磁性金属
8 温度センサ
10 鍋ズレ検知手段
11 負荷材質検知手段
12 鍋位置検知手段
13 磁界センサ
Claims (8)
- 加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバーター回路と、被加熱鍋の材質を検知する材質検知手段と、前記加熱コイルの出力を制御する制御部とを備え、前記制御部は、キュリー点の高い第1の磁性金属からなる鍋本体の加熱コイル側で、前記加熱コイルに略対応した部分に非磁性金属を介してキュリー点の低い第2の磁性金属を一体化させた被加熱鍋を、前記加熱コイルに載置して誘導加熱したとき、前記第2の磁性金属の周囲に位置する前記第1の磁性金属が部分的に異常発熱したことを検知すると前記加熱コイルの出力を制御して異常発熱を防止する誘導加熱調理器。
- 制御部は、被加熱鍋がずれたことを検知する鍋ズレ検知手段の検知結果と、負荷の材質を検知する負荷材質検知手段の検知結果から第1の磁性金属の異常発熱を検知する請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 負荷材質検知手段はインバーター回路に発生する高周波出力電圧または電流の変化を識別して、第2の磁性金属の有無を検知してなる請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 鍋ズレ検知手段は被加熱鍋の温度を測定すべく、加熱コイル近傍に設けた温度検知手段の検知結果に基づき、鍋ズレを判断してなる請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 鍋ズレ検知手段は被加熱鍋の位置を測定すべく、被加熱物の下部または上部に設けた鍋位置検知手段の検知結果に基づき、鍋ズレを判断してなる請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 鍋ズレ検知手段は被加熱鍋周辺の磁力線の変化を測定すべく、加熱コイル近傍に設けた磁界センサの測定結果に基づき、鍋ズレを判断してなる請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 前記第1の磁性金属からなる鍋本体の少なくとも加熱コイル側に非磁性金属を介して前記第2の磁性金属を一体化させた被加熱鍋で、前記非磁性金属の厚みを5mm以上とした誘導加熱調理器用鍋。
- 前記第1の金属として1mm以上のオーステナイト系ステンレスの非磁性金属からなる鍋本体の少なくとも加熱コイル側に、非磁性金属を介して前記第2の磁性金属を一体化させた誘導加熱調理器用鍋。
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