JP4086803B2 - フレキシブルプリント回路基板の製造方法 - Google Patents
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また、厚み10μm以下の高精細回路パターンの形成方法においては、特に高精細回路パターンとフィルム基板との貼り合わせ工程内での取扱が難しく、皺の発生や不純物の付着等の問題があった。
また、蒸着・メッキ法により、プラスチックフィルム基板上に銅薄膜を形成する方法が検討されているが、メッキ処理の際に酸処理を行う必要があるため、この処理のときは蒸着膜が剥離するという問題があった。
図15は、特公昭57−33718号公報に開示されたプリント回路基板の構成を示す断面図である。図15に示すように、特公昭57−33718号公報には、プラスチックフィルム基板11上に中間層12として、ニッケル、コバルト、パラジウムなどの金属を蒸着し、その蒸着処理の後、更に銅薄膜13を蒸着して製造されたプリント回路基板が開示されている。このように製造することによりフレキシブルプリント回路基板の剥離強度を改善していた。しかし、電解銅メッキを行った後にそのプリント回路基板を過飽和水蒸気2気圧120℃の環境に静置した場合には、所望の剥離強度を維持できないとい問題があった。また、この製造方法においては、中間層12である金属の成膜工程が必要であり、そのためにエッチング処理や排水処理を行わなければならず、コストが増大するという問題があった。
プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程と、
真空中に窒素とアルゴンを含む混合ガスを導入する工程と、
銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させる工程と、
安定放電手段により前記プラスチックフィルム基板に高周波電力を印加し、グロー放電を発生させる工程と、を有し、
前記グロー放電を発生させる工程において、導入された前記混合ガスをイオン化し、前記金属を前記プラスチックフィルム基板に金属薄膜を形成する。
少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを導入し、前記プラスチックフィルム基板に安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させ、前記第1の混合ガスをイオン化する工程と、
前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧でイオン化された前記第1の混合ガスにより、前記プラスチックフィルム基板をプラズマ処理する工程と、
引き続きアルゴンを含む第2の混合ガスを導入し、所定の真空度で、前記プラスチックフィルム基板に前記安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させるとともに、銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させて前記プラスチックフィルム基板に銅薄膜を形成する工程と、を有する。
本発明によれば、プラスチックフィルムの少なくとも片面に銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜を直接接着したフレキシブルプリント回路基板において、成膜するべきプラスチックフィルム基板表面の状態を制御し、銅薄膜の成膜条件を最適化することにより、プラスチックフィルムと銅薄膜との界面構造及び引き続き成長させる銅薄膜の結晶構造を制御し、密着性が非常に強固でエッチングによる高精細回路パターン化が可能なフレキシブルプリント回路基板を安価に提供することができる。
本発明に係るフレキシブルプリント回路基板におけるプラスチックフィルム基板1として使用されるポリイミドフィルムは、登録商標のカプトン(東レ・デュポン(株))、登録商標のユーピレックス(宇部興産(株))、登録商標のアピカル(鐘淵化学工業(株))などの商品名として市場で入手できるフィルムを用いることができる。また、テフロン(登録商標)としてはテフロン(登録商標)樹脂PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)、テフロン(登録商標)樹脂PFA(パーフロロアルコキシ樹脂)(いずれもデュポン社(株)、又は三井・デュポンフロロケミカル(株))の商品名で市場において入手できるフィルムを用いることができる。液晶ポリマーとしては、登録商標のべクスター((株)クラレ)などの商品名で市場において入手できるフィルムを用いることができる。
本発明においては、フレキシブルプリント回路基板に用いるフィルムのガラス転移温度を考慮して真空中で、プラスチックフィルムから発生する水分量が分圧10−3Pa以下となるように脱水処理を行う。この脱水処理は、フレキシブルプリント回路基板の使用温度を以下で行われる。具体的な脱水処理としては、プラスチックフィルム基板1を加熱する加熱処理を行うか、不活性ガスを導入してプラズマ処理を行うか、あるいはこれらの処理を併用する方法があり、併用する方法がより短い時間で脱水処理を行うことが可能である。
銅薄膜の形成工程において、プラスチックフィルム基板1の表面に介在する水分がプラスチックフィルム基板1上に成長する銅薄膜の結晶状態に強く影響を与えることを発明者らは見出した。
図2はポリイミドフィルムのプラスチックフィルム基板1に銅を主成分とする合金からなる銅薄膜を約50nm成膜した場合の銅薄膜の粒子径(直径)と水分圧との関係を示すグラフである。
ポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成するために、発明者らは安定放電手段によりポリイミドフィルムに高周波電力を印加できる成膜装置を用いた。まず、ポリイミドフィルムであるプラスチックフィルム基板1を成膜装置に入れ、到達真空度10−3Pa以下まで真空排気した。水分圧は4重極質量分析器を用いて水分圧を測定した。所定の水分圧を達成したとき、銅の含有量99.99%の銅金属を溶融させた。さらに、ガスの窒素の容積比が5%を含むアルゴンガスを導入し、成膜装置内の圧力を10−2Paとした。
ポリイミドフィルムのプラスチックフィルム基板1上に銅薄膜を形成するための他の製造方法においては、プラスチックフィルム基板1に銅薄膜を成膜する工程の前に、少なくとも窒素を含む混合ガスが導入され、安定放電手段によりプラスチックフィルム基板1に高周波電力が印加される。高周波電力の印加により、グロー放電が生じ、窒素を含む混合ガスがイオン化される。さらに、プラスチックフィルム基板1に誘起される負の直流電圧により、イオン化された窒素を含むガスにより、プラスチックフィルム基板1はプラズマ処理される。具体的には、窒素の容積比が約50%から約100%である混合ガスを用い、真空度10−3Paから10−1Paの範囲で、周波数13.56MHzの高周波電力150Wから1KWを印加する。この状態において、グロー放電が発生し、プラスチックフィルム基板1近傍には約200Vから約1000Vの負の誘起直流電圧が生じる。このグロー放電下でイオン化された窒素を含む混合ガスは、プラスチックフィルム基板1を構成する原子をたたき、例えば炭素と水素の結合や、窒素と水素の結合を切るためにプラスチックフィルム基板1上に官能基を形成できる。なお、窒素に添加されるガスとしては、アルゴン、キセノン、クリプトンのような不活性ガス、好ましくはアルゴンを用いる。
プラスチックフィルム基板1に接する底面層3とその上層である表面層4との合計膜厚は、100nmから500nmとなるように成膜する。底面層3の蒸着時の成膜速度は、底面層3を構成する銅薄膜構造と相関がある。
一方、底面層3の成膜速度が0.1nm/秒より遅い速度では生産性が上がらないという問題がある。したがって、銅薄膜の底面層3の蒸着速度は、0.1nm/秒から0.5nm/秒が好ましい。この条件で、底面層3の銅薄膜は球状の多結晶で構成され、球状多結晶の直径は10nmから80nmとなる。しかも、この条件で形成された底面層3上に引き続き成長する銅薄膜の表面層4は、均一で緻密な柱状の結晶構造で構成される。
成膜条件を変えてフレキシブルプリント回路基板を形成し、それぞれのフレキシブルプリント回路基板に関して、結晶格子面指数(200)のピーク強度と結晶格子面指数(111)のピーク強度とのX線相対強度比(200)/(111)と、銅薄膜の剥離強度を検討した。その結果、X線相対強度比(200)/(111)の減少とともに剥離強度が増大することを発明者らは発見した。剥離強度の測定は、上記のように製造されたフレキシブルプリント回路基板に電気メッキで銅を厚み約20μm付けて、JIS・C6481(180度ピール)に準じて行った。
図5は走査型電子顕微鏡観察による本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の表面構造を模式的に表している。前述の図1において符号2は銅合金の球状多結晶を示し、この球状多結晶2の集合体が底面層3を構成している。表面層4は柱状の銅結晶構造5で構成されいる。図1に示すように表面層4における柱状結晶構造の粒子径6を柱状結晶構造における短い方の粒子径とすると、この粒子径6は図5の走査型電子顕微鏡観察による表面構造に表されている粒子径7に相当する。
プラスチックフィルム基板1とその上に形成された薄膜との付着力は、アンカー効果のような物理的結合の状態と原子同士の化学結合の状態とにより大きく左右される。プラスチックフィルム基板1の種類が同じ場合には、プラスチックフィルム基板1の表面状態や、及び粒子の衝突時のエネルギーが銅薄膜の剥離強度に大きく影響を与えている。各蒸着方法における粒子のエネルギーを比較すると、真空蒸着法では熱運動エネルギーで0.5eV程度であり、従来の製造方法であるカソードスパッタリング蒸着法では約5eV(最高で50eV)程度である。
プラズマ生成ガスとして酸素を用いる場合には、酸素ラジカル(酸素基)が高分子の水素結合を切り官能基を生成する。窒素を含む混合ガスを用いる場合には、プラズマ励起種である窒素ラジカル(窒素基)がプラスチックフィルムの水素結合を切り官能基を生成するだけでなく、自らアミド結合を形成して、高分子に入り込み官能基となる。したがって、フレキシブルプリント回路基板の製造において、窒素を含む混合ガスを用いた場合、従来のアルゴンを基本としたプラズマ生成ガスを用いた場合に比べてプラスチックフィルムの官能基の密度を格段に高く生成することができる。このように、アルゴンを酸素や窒素に変更して、プラズマ励起種を変えることにより、官能基の面密度をより増加させて、プラスチックフィルムを構成する原子と金属との化学的な結合の数を増やすことが可能となる。したがって、スパッタリング蒸着法に比べてより強固に結合力を有する銅薄膜の底面層3を形成することができる。官能基の面密度は、底面層3を構成する多結晶銅薄膜の球状構造を有する球状多結晶2の直径に反映している。
図6に示すように、結晶粒5の粒子径の減少とともに、引き剥がし強度は増大する傾向を示す。また、粒子径が約80nmにおいて引き剥がし強度1kg/cm以上を達成し、さらに粒子径を減少させると引き剥がし強度は緩やかに増大し飽和する傾向を示している。なお、粒子径20nmでは、底面層3の成膜時の成膜速度を遅くし、粒子径20nm以下の直径球状の多結晶構造を形成する必要があり、生産性が悪くなるので好ましくない。
図7に示すように、底面層3を構成する球状多結晶2の直径が小さくなるに従い引き剥がし強度が向上している。このように、球状多結晶2の直径が小さくなるに従い引き剥がし強度が向上する理由は、球状多結晶構造において球状多結晶2の直径の減少するとともに球状多結晶2の密度が上がり、互いの接触面積が増大することにより、引き剥がし強度が向上すると解釈される。これは、前述した官能基の密度増加の効果と一致する。
なお、発明者は底面層3とプラスチックフィルム1との境界面における凹凸面の振れ幅(ピークからピークまで)は、0.5nmから10nmが好ましいことを実験により確認している。図8は銅薄膜の底面層3とポリイミドフィルムのプラスチックフィルム1との境界面Aの凹凸を示す拡大断面図である。図8において、記号”L”で示す長さが境界面Aにおける凹凸面の振れ幅である。発明者の実験においては、振れ幅Lが5nm以下であった。
図9に示すように、底面層3の膜厚を100nm以上とすると180°引き剥がし強度が1kg/cm未満である。これは、底面層3が100nm以上となると表面層4の柱状構造の結晶粒5が十分成長できず、結晶粒5の間に多結晶層が存在するためと考えられる。なお、膜厚100nm以上の底面層3を有するフレキシブルプリント回路基板では、耐薬品性が劣化するという問題がある。
本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法の実施例1における成膜装置としては、高周波発振器からの高周波電力が陰極となるプラスチックフィルム基板に印加され、蒸発金属がプラズマ雰囲気においてイオン化されて真空蒸着する成膜装置を用いた。
図10は、実施例1において用いた成膜装置の概略構成を示す断面図である。図10において、チャンバー23内には蒸発源となるタングステンボード25、及び陰極電極となる導電性基板ホルダ32が所定位置に設けられている。この導電性基板ホルダ32は被蒸着物であるプラスチックフィルム基板22を保持できるよう構成されている。導電性基板ホルダ32には安定放電回路29を介して高周波発振器28からの高周波電力を入力するための高周波導入ケーブル30が接続されている。高周波導入ケーブル30はチャンバー23において絶縁支持部31により電気的に絶縁されて保持されている。図10に示すように、チャンバー23にはガス導入口21と排気口26が形成されており、チャンバー23内に所定ガスにより所定圧に設定できるよう構成されている。
まず、プラスチックフィルム基板22を導電性基板ホルダ32に装着し、到達真空度10−3Pa以下まで真空排気する。次に、プラスチックフィルム基板22の水分圧が10−4Pa以下となるまで脱水処理を行う。
次に、成膜装置において、真空中に容積比5%の窒素を含むアルゴンガスをガス導入口21から導入し、真空度1x10−2Paとする。タングステンボード25に99.99%の銅27を配置して加熱して溶融させる。銅27を溶融させた状態において、安定放電回路29によりプラスチックフィルム基板22に周波数13.56MHzの高周波電力を印加し、グロー放電を発生させる。ここで用いた安定放電回路29の具体的な回路構成を図11に示す。図11に示すように、安定放電回路29はチョークコイル41と可変コンデンサ42により構成されている。但し、本発明において用いる安定放電回路としてはこのような構成に限定されるものではなく、高周波整合器として一般的に用いられているものを使用することが可能である。
実施例1において安定放電回路29による投入電力は300Wであった。このとき、プラスチックフィルム基板近傍の導電性基板ホルダ32に自己誘起される負の直流電圧は420Vであった。
タングステンボード25に流れる電流を制御して底面層3となる銅薄膜の膜厚を60nm成膜する。その結果、直径40nmの球状多結晶からなる銅薄膜の底面層3を形成した。
上記の製造方法により得られた銅薄膜をX線回折パターンで観察した結果が図3のグラフである。
図3に示すように、2θ=42°〜53°の走査範囲に結晶格子面指数(111)のメインピークと(200)のサーブピークが見られる。さらに両ピークピーク強度比(200)/(111)は、約10%以下である。なお、結晶格子面指数(111)の面はプラスチックフィルム基板の表面に平行である。
さらに、上記製造方法により得られたフレキシブルプリント回路基板の断面を122万倍の透過型電子顕微鏡で観察したところ、図1に概念的に示したような構造を有し、その表面層の結晶粒は短い方の粒子径が約60nmの柱状結晶であることがわかった。
さらに、実施例1で製造したフレキシブルプリント回路基板に電気メッキ銅を約20μm厚付けし、2規定塩酸水溶液に5分間浸漬した後、水洗し、環境温度110°で10分間乾燥後、同じくJIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度1.1kg/cmが得られた。
次に、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法の実施例2における成膜装置としては、高周波発振器からの高周波電力が陰極となるプラスチックフィルム基板に印加され、蒸発金属がプラズマ雰囲気においてイオン化されて真空蒸着する成膜装置を用いた。実施例2の成膜装置は前述の成膜装置と同じものを使用した。
次に、成膜装置において、容積比99.99%の窒素を含む混合ガスを用いて真空度10−2Paで、プラスチックフィルム基板に安定放電手段により周波数13.56MHzの高周波電力300Wを印加する。このように高周波電力300Wを印加して、前記混合ガスをイオン化し、5分間グロー放電させる。このとき、プラスチックフィルム基板近傍の導電性基板ホルダーに自己誘起される負の直流電圧は320Vであった。
その結果、イオン化した窒素がプラスチックフィルム基板をたたき、窒素イオンが通常有するスパッタ効果による炭素に結合した水素との結合を切ることに加えて、窒素イオンは窒素に結合した水素も切る機能を有する。したがって、実施例2の製造方法によれば、高密度の官能基をプラスチックフィルム基板上に生成できる。
本発明に係る実施例2で製造したフレキシブルプリント回路基板に電気めっき銅を約20μm厚付けして、JIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、約1.1kg/cmの180°引き剥がし強度が得られた。
次に、比較例1として製造した、フレキシブルプリント回路基板の製造方法について説明する。
成膜装置において、比較例1のフレキシブルプリント回路基板は、脱水処理の水分圧を10−2Paとした以外は、前述の実施例1の製造方法と同じ条件で製造した。銅薄膜の底面層の膜厚は約60nmであり、銅薄膜の表面層の膜厚は約240nmであった。このように形成されたフレキシブルプリント回路基板に電解メッキ銅を約20μm厚付けし、JIS C6481(180°ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度は、約0.7kg/cmであった。
また、上記のように形成したフレキシブルプリント回路基板に電気めっき銅を約20μm厚付けし、2規定塩酸水溶液に5分間浸漬した後、水洗して環境温度110°で10分間乾燥した。この10分間乾燥の後、同じくJIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度は、0.3kg/cmであった。このように比較例1のフレキシブルプリント回路基板は、著しく、引き剥がし強度が低下していた。
さらに、比較例1の銅薄膜表面層の粒子径を調べたところ、粒子径は約130nmであった。また、比較例1のフレキシブルプリント回路基板における断面構造を19万倍透過型電子顕微鏡で観察したところ、底面層を構成する球状直径は約120nmであり、しかも、球状多結晶の間に非晶質銅が形成されていることがわかった。
次に、比較例2として製造した、フレキシブルプリント回路基板の製造方法について説明する。
成膜装置において、比較例2のフレキシブルプリント回路基板は、プラズマ処理、及び銅薄膜を成膜するときに、窒素ガスを用いず、容積比99.99%のアルゴンを用いて製造した。比較例2において、他の成膜条件は前述の実施例1の製造方法と同じであった。銅薄膜の底面層の膜厚は約60nmであり、銅薄膜の表面層の膜厚は約240nmであった。このように形成されたフレキシブルプリント回路基板に電解メッキ銅を約20μm厚付けし、JIS C6481(180°ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度は0.3kg/cmであった。比較例2のフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜の表面層の粒子径を調べたところ、粒子径は約120nmであった。
また、比較例2のフレキシブルプリント回路基板における断面構造を19万倍透過型電子顕微鏡で観察したところ、底面層を構成する球状直径は約110nmであった。
図14の上側の顕微鏡写真は走査電子顕微鏡(SEM)により実施例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板における表面層の銅薄膜を3万倍で撮影した写真である。図14の下側の顕微鏡写真は走査電子顕微鏡(SEM)により比較例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板における表面層の銅薄膜を3万倍で撮影した写真である。図14の顕微鏡写真から明らかなように本発明の製造方法による表面層の銅薄膜は粒子径が小さく形成されている。
なお、発明者は底面層3とプラスチックフィルム1との境界面における凹凸面の振れ幅L(図8)は、0.5nmから10nmが好ましいことを実験により確認しており、特に好ましいのは振れ幅Lが5nm以下であった。
2 球状多結晶
3 底面層
4 表面層
5 結晶粒
6 粒子径
7 粒子径
8 円柱状結晶
9 多角形柱状結晶
10 針状構造
11 プラスチックフィルム基板
12 中間層
13 銅薄膜
21 ガス導入口
22 プラスチックフィルム基板
23 チャンバー
25 タングステンボード
26 排気口
27 銅
28 高周波発振器
29 安定放電回路
32 導電性基板ホルダ
Claims (8)
- プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程と、
真空中に窒素とアルゴンを含む混合ガスを導入する工程と、
銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させる工程と、
安定放電手段により前記プラスチックフィルム基板に高周波電力を印加し、グロー放電を発生させる工程と、を有し、
前記グロー放電を発生させる工程において、導入された前記混合ガスをイオン化し、前記金属を前記プラスチックフィルム基板に金属薄膜を形成するフレキシブルプリント回路基板の製造方法。 - プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程と、
少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを導入し、前記プラスチックフィルム基板に安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させ、前記第1の混合ガスをイオン化する工程と、
前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧でイオン化された前記第1の混合ガスにより、前記プラスチックフィルム基板をプラズマ処理する工程と、
引き続きアルゴンを含む第2の混合ガスを導入し、所定の真空度で、前記プラスチックフィルム基板に前記安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させるとともに、銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させて前記プラスチックフィルム基板に銅薄膜を形成する工程と、
を有することを特徴とするフレキシブルプリント回路基板の製造方法。 - プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程は、前記プラスチックフィルム基板から発生する水分量が分圧が10−3Pa以下となるように脱水する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
- 少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを用いて実施するプラズマ処理する工程は、真空度を10−3Paから10−1Paの範囲で、且つ前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧が200Vから1000Vであることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
- 少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを用いて実施するプラズマ処理する工程は、ガス全体に占める窒素の容積比が50%から99.99%の間に設定されている窒素及び不活性ガスを含む混合ガスであることを特徴とする請求項2又は4のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
- 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程において、窒素を含む混合ガスは、ガス全体に占める窒素の容積比が約1%から約20%の間に設定されている窒素及び不活性ガスを含む混合ガスであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
- 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程は、真空度を10−3Paから10−1Paの範囲で、且つ前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧が200Vから1000Vであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
- 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程において、蒸着初期には蒸着速度を0.1nm/秒から0.5nm/秒で膜厚10nmから100nmの銅薄膜を成膜し、引き続き蒸着速度を0.5nm/秒から10nm/秒で成膜し、銅薄膜の全膜厚が100nmから500nmであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
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