JP4086803B2 - フレキシブルプリント回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、ノートブック型パソコン、デジタル・スチル・カメラ、液晶ディスプレイ等の電子回路に利用されるフレキシブルプリント回路基板の製造方法に関するものである。
現在、携帯型電子機器に使用されるフレキシブル銅張積層板としては、ポリイミドやポリエステルフィルムの表面に銅箔を接着剤で固着した材料が主流である。近年、携帯電子機器は小型軽量化及び高機能化により、高精細回路パターンを有する、高周波特性の優れたフレキシブル回路基板が要求されている。例えば、高精細回路パタ−ンのライン・スペースとしては25μm以下といった形状が要求され、またベアチップ実装に対応するよう高精度化の要求も高まっている。プラスチックフィルムに銅箔を貼り合わせる従来のフィルムにおいては、接着剤の耐熱性向上や銅箔の薄型化により高密度細線化に対応しているが、軽量化や高機能化に対しては充分なものではなく、接着剤の使用に起因する寸法精度の低下や電気特性の低下等の解決すべき課題があった。
また、厚み10μm以下の高精細回路パターンの形成方法においては、特に高精細回路パターンとフィルム基板との貼り合わせ工程内での取扱が難しく、皺の発生や不純物の付着等の問題があった。
上記の従来における問題を解決するために、プラスチックフィルム基板上に銅を直接成膜する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及び銅メッキ法が検討されている。これらの成膜方法によれば、フィルム基板と銅薄膜との間に接着剤が介在しないために、前述の接着剤に起因する欠点がなくなるとともに、電気絶縁性や誘電率などの電気特性が優れたプリント回路基板が得られるという効果を有している。しかしながら、これらの成膜方法は必要な厚み5〜10μmを形成するのに時間がかかること、及びプラスチックフィルム基板と銅薄膜との密着強度が充分でないという問題があった。
また、蒸着・メッキ法により、プラスチックフィルム基板上に銅薄膜を形成する方法が検討されているが、メッキ処理の際に酸処理を行う必要があるため、この処理のときは蒸着膜が剥離するという問題があった。
以下、従来のフレキシブルプリント回路基板の製造方法について簡単に説明する。
図15は、特公昭57−33718号公報に開示されたプリント回路基板の構成を示す断面図である。図15に示すように、特公昭57−33718号公報には、プラスチックフィルム基板11上に中間層12として、ニッケル、コバルト、パラジウムなどの金属を蒸着し、その蒸着処理の後、更に銅薄膜13を蒸着して製造されたプリント回路基板が開示されている。このように製造することによりフレキシブルプリント回路基板の剥離強度を改善していた。しかし、電解銅メッキを行った後にそのプリント回路基板を過飽和水蒸気2気圧120℃の環境に静置した場合には、所望の剥離強度を維持できないとい問題があった。また、この製造方法においては、中間層12である金属の成膜工程が必要であり、そのためにエッチング処理や排水処理を行わなければならず、コストが増大するという問題があった。
特開平8−330728号公報には、フィルム中に錫を0.02〜1重量%含有するポリイミドフィルムにクロム、クロム合金等を蒸着後その上に銅蒸着を行う方法が提案されている。しかし、この方法ではポリイミドフィルムに錫が存在するために絶縁性が低下し、また、銅蒸着のためにアンカー蒸着層が必要になりエッチング効率も悪くなるという問題があった。さらにこの方法もクロム系合金の成膜コスト及び排水処理コストがかかるともに、環境負荷が大きいという解決すべき課題があった。
特許2982851号には、プラスチックフィルム基板と銅薄膜との接着力を向上させるために、窒素の容積比約0.09%から約50%を含む雰囲気中で、銅のスパッタリングを行う製造方法を開示している。しかしながら、スパッタリングでは銅原子の運動エネルギはせいぜい5eV(最高で50eV)であり、プラスチックフィルムの表面状態により剥離強度のばらつきもあり、製品目標とする剥離強度1kg/cmを得られないという問題があった。
特開平5−251511号公報には、酸素等の混合ガスを用いてポリイミド表面にドライエッチングを実施して粗化面(微細凹凸)を形成した後、当該粗化面に窒素を含むガスを用いて放電プラズマ処理することにより、銅との結合作用が強い官能基をポリイミド表面に生成させる製造方法が提案されている。このように、銅との結合作用が強い官能基をポリイミド表面に生成させた後、その表面に銅を蒸着して銅薄膜を形成している。この製造方法によれば、確かに剥離強度は向上する傾向があるが、ポリイミドの表面状態によりエッチング特性やプラズマ処理の効果が異なっている。すなわち、ポリイミドの表面状態によりエッチングで形成される凹凸の度合いがばらついたり、官能基の生成の度合いも異なっている。したがって、特開平5−251511号公報で開示された製造方法により製造されたポリイミドフレキシブルプリント回路基板では、銅薄膜の剥離強度がばらつき、所望の強度を満足しない場合があった。さらに、開示された製造方法においては、反応性イオンエッチング装置を用いてプラズマ処理を行っているが、このような製造方法では、イオン化された窒素プラズマの運動エネルギーはせいぜい5eVから10eVであり、官能基の生成が十分でなく、かつ運動エネルギーが低いため、プラスチックフィルムの表面状態により官能基の生成がより強く依存し、プラスチックフィルム上に確実に官能基を生成するという点で問題があった。
特許0890408(特開昭49−061031号公報)の薄膜製造装置においては、基板を取りつける導電性基板ホルダーにコンデンサーを介して高周波電力を印加し、実質的に負の自己誘起電圧を生ぜしめ剥離強度を向上させる薄膜成膜装置が用いられている。しかし、特許0890408には、プラスチックフィルムにおける金属薄膜の具体的な成膜条件と、プラスチックフィルムと金属薄膜との剥離強度の関係、及び剥離強度が強い膜構造と成膜条件との関連については一切開示されていない。
特開2001−151916号公報には、酸化アルミニウム又はニ酸化ケイ素を含むポリイミドフィルムにプラズマ処理を実施し、圧力勾配型放電によるイオンプレーティング法で銅薄膜を形成する製造方法が開示されている。特開2001−151916号公報に開示された製造方法においては、イオンプレーティング法で銅薄膜を形成する際に、銅薄膜を結晶格子面指数(200)/(111)でのX線相対強度比が0.37〜0.46であることを規定している。しかし、酸化アルミニウム又はニ酸化ケイ素が高精細回路パターン上に現われる場合にはパターン欠陥となる。また、結晶格子面指数(200)と(111)の結晶が混在するために、両方の結晶間に多数の粒界が発生し、耐薬品性が劣るという問題があった。また、各結晶及び粒界によりそれぞれエッチング速度が異なるために高精細回路パターンの寸法精度はばらつくという問題があった。
本発明の目的は、以上のような各種従来技術における問題点を解決するものであり、銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜をプラスチックフィルムに強固に直接接着する技術を提供することである。特に、本発明の目的は、プラスチックフィルムの少なくとも片面に銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜を直接接着したフレキシブルプリント回路基板において、成膜するプラスチックフィルム基板の状態を制御し、銅薄膜の成膜条件を最適化することにより、プラスチックフィルムと銅薄膜との界面構造及び引き続き成長させる銅薄膜の結晶構造を制御し、密着性が非常に強固でエッチングによる高精細回路パターン化が可能な安価なフレキシブルプリント回路基板の製造方法を提供することにある。
本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、上記の目的を達成するために、以下のように構成した。
(1) 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、
プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程と、
真空中に窒素とアルゴンを含む混合ガスを導入する工程と、
銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させる工程と、
安定放電手段により前記プラスチックフィルム基板に高周波電力を印加し、グロー放電を発生させる工程と、を有し、
前記グロー放電を発生させる工程において、導入された前記混合ガスをイオン化し、前記金属を前記プラスチックフィルム基板に金属薄膜を形成する。
(2) プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程と、
少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを導入し、前記プラスチックフィルム基板に安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させ、前記第1の混合ガスをイオン化する工程と、
前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧でイオン化された前記第1の混合ガスにより、前記プラスチックフィルム基板をプラズマ処理する工程と、
引き続きアルゴンを含む第2の混合ガスを導入し、所定の真空度で、前記プラスチックフィルム基板に前記安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させるとともに、銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させて前記プラスチックフィルム基板に銅薄膜を形成する工程と、を有する。
(3) プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程は、前記プラスチックフィルム基板から発生する水分量が分圧が10−3Pa以下となるように脱水する工程を含むことが好ましい。
(4) 少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを用いて実施するプラズマ処理する工程は、真空度を10−3Paから10−1Paの範囲で、且つ前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧が200Vから1000Vであることが好ましい。
(5) 少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを用いて実施するプラズマ処理する工程は、ガス全体に占める窒素の容積比が50%から99.99%の間に設定されている窒素及び不活性ガスを含む混合ガスであることが好ましい。
(6) 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程において、窒素を含む混合ガスは、ガス全体に占める窒素の容積比が約1%から約20%の間に設定されている窒素及び不活性ガスを含む混合ガスであることが好ましい。
(7) 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程は、真空度を10−3Paから10−1Paの範囲で、且つ前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧が200Vから1000Vであることが好ましい。
(8) 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程において、蒸着初期には蒸着速度を0.1nm/秒から0.5nm/秒で膜厚10nmから100nmの銅薄膜を成膜し、引き続き蒸着速度を0.5nm/秒から10nm/秒で成膜し、銅薄膜の全膜厚が100nmから500nmであることが好ましい。
本発明によれば、銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜をプラスチックフィルムに強固に直接接着することが可能となる。
本発明によれば、プラスチックフィルムの少なくとも片面に銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜を直接接着したフレキシブルプリント回路基板において、成膜するべきプラスチックフィルム基板表面の状態を制御し、銅薄膜の成膜条件を最適化することにより、プラスチックフィルムと銅薄膜との界面構造及び引き続き成長させる銅薄膜の結晶構造を制御し、密着性が非常に強固でエッチングによる高精細回路パターン化が可能なフレキシブルプリント回路基板を安価に提供することができる。
本発明に係るフレキシブルプリント回路基板は、密着性が非常に強固でエッチングによる高精細パターンを有することが可能となる。また、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法によれば、密着性が非常に強固でエッチングによる高精細パターンを形成することが可能となり低コストでフレキシブルプリント回路基板を製造することが可能となる。このため、本発明のフレキシブルプリント配線用基板はあらゆるエレクトロニクス分野に活用でき、汎用性の高い電気電子部品を提供することができる。たとえば、一般的なフレキシブルプリント回路基板からTAB(Tape Automated Bounding)、COF(Chip on Film)、PGA(Package Gate Array)等のボンディングが必須の配線版にも適用が可能である。また、本発明によれば、この分野の高密度配線板や、高周波基板等の電気電子部品を提供することが可能なフレキシブルプリント回路基板を実現できる。
図1は本発明に係る好ましい実施の形態によるフレキシブルプリント回路基板の断面構造を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板は、プラスチックフィルム基板1の上に銅合金の球状多結晶2の集合体で構成された底面層3が形成されており、この底面層3の上にさらに表面層4が積層されている。この表面層4は柱状の銅結晶構造で構成されている。
本発明に係るフレキシブルプリント回路基板におけるプラスチックフィルム基板1として使用されるポリイミドフィルムは、登録商標のカプトン(東レ・デュポン(株))、登録商標のユーピレックス(宇部興産(株))、登録商標のアピカル(鐘淵化学工業(株))などの商品名として市場で入手できるフィルムを用いることができる。また、テフロン(登録商標)としてはテフロン(登録商標)樹脂PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)、テフロン(登録商標)樹脂PFA(パーフロロアルコキシ樹脂)(いずれもデュポン社(株)、又は三井・デュポンフロロケミカル(株))の商品名で市場において入手できるフィルムを用いることができる。液晶ポリマーとしては、登録商標のべクスター((株)クラレ)などの商品名で市場において入手できるフィルムを用いることができる。
まず、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法について説明する。
本発明においては、フレキシブルプリント回路基板に用いるフィルムのガラス転移温度を考慮して真空中で、プラスチックフィルムから発生する水分量が分圧10−3Pa以下となるように脱水処理を行う。この脱水処理は、フレキシブルプリント回路基板の使用温度を以下で行われる。具体的な脱水処理としては、プラスチックフィルム基板1を加熱する加熱処理を行うか、不活性ガスを導入してプラズマ処理を行うか、あるいはこれらの処理を併用する方法があり、併用する方法がより短い時間で脱水処理を行うことが可能である。
銅薄膜の形成工程において、プラスチックフィルム基板1の表面に介在する水分がプラスチックフィルム基板1上に成長する銅薄膜の結晶状態に強く影響を与えることを発明者らは見出した。
図2はポリイミドフィルムのプラスチックフィルム基板1に銅を主成分とする合金からなる銅薄膜を約50nm成膜した場合の銅薄膜の粒子径(直径)と水分圧との関係を示すグラフである。
以下、図2に示した実験結果を得るために発明者らが行ったプラスチックフィルム基板1であるポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成するための具体的な製造方法について説明する。
ポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成するために、発明者らは安定放電手段によりポリイミドフィルムに高周波電力を印加できる成膜装置を用いた。まず、ポリイミドフィルムであるプラスチックフィルム基板1を成膜装置に入れ、到達真空度10−3Pa以下まで真空排気した。水分圧は4重極質量分析器を用いて水分圧を測定した。所定の水分圧を達成したとき、銅の含有量99.99%の銅金属を溶融させた。さらに、ガスの窒素の容積比が5%を含むアルゴンガスを導入し、成膜装置内の圧力を10−2Paとした。
次に、安定放電手段によりプラスチックフィルム基板1に周波数13.56MHzの高周波電力300Wを印加してグロー放電を発生させた状態で、成膜速度0.2nm/秒で約50nmの銅薄膜をプラスチックフィルム基板1上に成膜した。水分圧以外の成膜条件は全て同じ条件を用いた。このようにして得られたプラスチックフィルム基板1上の銅薄膜は球状の多結晶銅薄膜であった。上記の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板のポリイミドフィルム上の銅薄膜の表面状態を30万倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、銅薄膜を構成する球状多結晶構造の直径を測定した。
図2のグラフから理解できるように、水分圧が減少して、水分圧10−3Pa以下で、多結晶球状直径は80nm以下となり、水分圧の減少とともに、直径が飽和する傾向を有する。なお、後述のように上記50nmの銅薄膜上に、引き続き銅の成膜速度を変え、0.5nm/秒から10nm/秒で、約250nmの銅薄膜をポリイミドフィルム上に積層した後、この銅薄膜に電気メッキ銅を20μm厚付けした。このポリイミドフィルム上に積層した銅薄膜に対して、JIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行ったところ、直径の減少に伴い引き剥がし強度が増大し、直径80nm以下でほぼ製品目標とする強度1kg/cmが得られることがわかった。他のプラスチックフィルムである液晶ポリマー、フッ素樹脂でも同じ実験を行い同様の傾向が得られた。水はプラスチックフィルムに含有あるいは付着しているだけではなく、治具や反応槽からも供給される場合があり、いずれの場合でも、成膜直前に成膜装置において水分圧10−3Pa以下とすることが好ましく、より安定に剥離強度を実現するには水分圧10−4Pa以下がより好ましい。
前述のように、水分圧10−3Pa以下に脱水処理した後、真空中に窒素を含む混合ガスを導入し、真空度を10−3Pa〜10−1Paとし、銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させる。銅又は銅を主成分とする合金からなる金属は、好ましくは銅の全重量比に占める割合が99.99%以上の合金を用いる。窒素を含む混合ガスは、窒素の容積比が約1%から20%を含む不活性ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、アルゴン、キセノン、又はクリプトンのような不活性ガス、好ましくはアルゴンを用いる。
次に、安定放電手段によりプラスチックフィルム基板1に高周波電力を印加し、グロー放電を発生させる。ここで安定放電手段としては、例えば可変コンデンサ、抵抗、又はチョークコイルで構成される市販の高周波用整合器が使用できる。ここで用いる周波数は低い周波数の場合には十分なバイアスが得られない。一方、高い周波数の場合には取扱が困難である。通常、市販の5MHzから100MHzの周波数帯が使用可能である。発明者らの実験においては、高周波電源として工業用周波数帯13.56MHzを用いた。投入電力は150Wから1KWが適当である。安定放電手段によりプラスチックフィルムに高周波電力が印加されることにより、プラスチックフィルム基板1近傍に配置された導電性基板ホルダーには負の自己誘起電圧が生ずる。このとき、前記投入電力により導電性基板ホルダーには200Vから1000Vの負の自己誘起直流電圧を発生させることができる。したがって、導電性基板ホルダーに近接するプラスチックフィルム基板1にもほぼ同様の負の自己誘起電圧が印加されると考えてよい。
次に、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の他の製造方法について説明する。
ポリイミドフィルムのプラスチックフィルム基板1上に銅薄膜を形成するための他の製造方法においては、プラスチックフィルム基板1に銅薄膜を成膜する工程の前に、少なくとも窒素を含む混合ガスが導入され、安定放電手段によりプラスチックフィルム基板1に高周波電力が印加される。高周波電力の印加により、グロー放電が生じ、窒素を含む混合ガスがイオン化される。さらに、プラスチックフィルム基板1に誘起される負の直流電圧により、イオン化された窒素を含むガスにより、プラスチックフィルム基板1はプラズマ処理される。具体的には、窒素の容積比が約50%から約100%である混合ガスを用い、真空度10−3Paから10−1Paの範囲で、周波数13.56MHzの高周波電力150Wから1KWを印加する。この状態において、グロー放電が発生し、プラスチックフィルム基板1近傍には約200Vから約1000Vの負の誘起直流電圧が生じる。このグロー放電下でイオン化された窒素を含む混合ガスは、プラスチックフィルム基板1を構成する原子をたたき、例えば炭素と水素の結合や、窒素と水素の結合を切るためにプラスチックフィルム基板1上に官能基を形成できる。なお、窒素に添加されるガスとしては、アルゴン、キセノン、クリプトンのような不活性ガス、好ましくはアルゴンを用いる。
その後に、アルゴンを含む混合ガスに変えて導入し、真空度10−3Paから10−1Paの範囲で、安定放電手段によりプラスチックフィルム基板1に高周波電力を印加する。高周波電力の印加によりグロー放電を発生させた状態で、銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させる。銅又は銅を主成分とする合金からなる金属は、好ましくは銅の全重量比に占める割合が99.99%以上の合金を用いる。高周波電力は周波数が13.56MHzを用い、投入電力は150Wから1KWが適当である。安定放電手段によりプラスチックフィルム基板1に前記高周波電力を印加することにより、プラスチックフィルム基板1近傍に窒素とアルゴンガスの場合と同様に200Vから1000Vの負の自己誘起直流電圧が発生する。
プラスチックフィルム基板1に銅薄膜を蒸着する窒素を含む混合ガス及びアルゴンを含む混合ガスを用いたいずれの成膜工程においても、成膜速度は、抵抗加熱方式では銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させるタングステンボードに流れる電流を制御するか、電子ビーム蒸着方式ではエミッタに流れる電流を制御する。この成膜工程において、銅又は銅を主成分とする合金の蒸着速度を0.1nm/秒から0.5nm/秒とし、プラスチックフィルム基板1に接する底面層3の銅薄膜を膜厚10nmから100nmで成膜する。その後、引き続き連続して、電流を上げ0.5nm/秒から10nm/秒の成膜速度で表面層4となる銅薄膜を成膜する。
プラスチックフィルム基板1に接する底面層3とその上層である表面層4との合計膜厚は、100nmから500nmとなるように成膜する。底面層3の蒸着時の成膜速度は、底面層3を構成する銅薄膜構造と相関がある。
底面層3の成膜速度が0.5nm/秒を越えると、底面層3を構成する粒子径が大きくなり、引き続き成膜する銅薄膜の表面層4の銅合金の粒子径も大きくなる。この結果、プラスチックフィルム基板1と銅薄膜との剥離強度が弱くなる。また、このように形成されたフレキシブルプリント回路基板は、耐薬品性や、エッチング時の寸法精度も悪くなる。
一方、底面層3の成膜速度が0.1nm/秒より遅い速度では生産性が上がらないという問題がある。したがって、銅薄膜の底面層3の蒸着速度は、0.1nm/秒から0.5nm/秒が好ましい。この条件で、底面層3の銅薄膜は球状の多結晶で構成され、球状多結晶の直径は10nmから80nmとなる。しかも、この条件で形成された底面層3上に引き続き成長する銅薄膜の表面層4は、均一で緻密な柱状の結晶構造で構成される。
図3は、前述の本発明に係る製造方法において得られたプラスチックフィルム基板1上の銅薄膜のX線回折パターンである。図3のX線回折パターンを観察すると、2θ=43°〜44°において結晶格子面指数(111)のメインピークが見られ、2θ=50°〜51°において結晶格子面指数(200)のサーブピークが見られる。
成膜条件を変えてフレキシブルプリント回路基板を形成し、それぞれのフレキシブルプリント回路基板に関して、結晶格子面指数(200)のピーク強度と結晶格子面指数(111)のピーク強度とのX線相対強度比(200)/(111)と、銅薄膜の剥離強度を検討した。その結果、X線相対強度比(200)/(111)の減少とともに剥離強度が増大することを発明者らは発見した。剥離強度の測定は、上記のように製造されたフレキシブルプリント回路基板に電気メッキで銅を厚み約20μm付けて、JIS・C6481(180度ピール)に準じて行った。
図4はX線相対強度比(200)/(111)と180°引き剥がし強度[kg/cm]との関係を示すグラフである。図4のグラフに示されているように、X線相対強度比(200)/(111)の減少とともに180°引き剥がし強度が増加し、特にX線相対強度比(200)/(111)=0.1以下で剥離強度1kg/cm以上が得られることがわかった。これは結晶格子面指数(111)の銅結晶が優先配向で成長しているためである。このような構造は最充填構造であり、X線相対強度比(200)/(111)=0.1以下とは、表面層4の銅薄膜の90%以上が結晶格子面指数(111)の結晶で均一に構成されることである。粒子径がより小さい程、より高密度で最充填構造の結晶格子面指数(111)が形成され、銅原子同士の電子雲がお互いに十分重なり耐薬品性に優れた銅薄膜を実現できる。したがって、このような最充填構造を有する銅薄膜は、エッチングの均一性も向上し、高精細回路パターンの寸法精度を向上させることが可能となる。
本発明に係る製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板の断面構造を122万倍の透過型電子顕微鏡で観察したところ、最充填構造を有する銅薄膜の結晶構造は、結晶粒の長い方がプラスチックフィルムに垂直となるような柱状構造を有することがわかった。
図5は走査型電子顕微鏡観察による本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の表面構造を模式的に表している。前述の図1において符号2は銅合金の球状多結晶を示し、この球状多結晶2の集合体が底面層3を構成している。表面層4は柱状の銅結晶構造5で構成されいる。図1に示すように表面層4における柱状結晶構造の粒子径6を柱状結晶構造における短い方の粒子径とすると、この粒子径6は図5の走査型電子顕微鏡観察による表面構造に表されている粒子径7に相当する。
図5に示したように、本発明に係る製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板の銅薄膜の表面構造を30万倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、柱状結晶構造における粒子径の短い方(プラスチックフィルム基板1の表面と実質的に平行な面の方向)の断面形状が、例えば円柱状結晶8、多角形柱状結晶9、又はそれらの混合された形状の結晶であることがわかった。
本発明に係る製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板の縦断面を透過型電子顕微鏡で注意深く観察したところ、図1に模式図で示すように、結晶構造を有する表面層4を構成する結晶格子面指数(111)の柱状結晶粒は、プラスチックフィルム基板1に接する底面層3の銅薄膜側が針状10となることがわかった。
本発明に係る製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板の層構成の結晶構造において、(111)の結晶格子面指数を有する柱状の結晶粒は、該結晶格子面指数(111)の面がプラスチックフィルム基板表面に平行に優先配向することがわかった。これは、透過型電子顕微鏡の観察から得られたフレキシブルプリント回路基板の断面構造において、銅の柱状構造がプラスチックフィルム基板1の表面に対して垂直に立設して形成されていることと一致する。
さらに、図1に示すように、プラスチックフィルム基板1上の銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜において、プラスチックフィルム基板1と結晶粒との間に多結晶からなる底面層3が形成されていることがわかった。該多結晶の銅薄膜の底面層3は、プラスチックフィルム基板1と銅薄膜の格子緩和を行うとともに、銅薄膜の表面層4が成長する際の結晶粒5の結晶核(プリカーサ)としても作用する。
次に、本発明に係る製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板の薄膜が従来の製造方法に比較して大きな付着強度を得ることができる理由について説明する。
プラスチックフィルム基板1とその上に形成された薄膜との付着力は、アンカー効果のような物理的結合の状態と原子同士の化学結合の状態とにより大きく左右される。プラスチックフィルム基板1の種類が同じ場合には、プラスチックフィルム基板1の表面状態や、及び粒子の衝突時のエネルギーが銅薄膜の剥離強度に大きく影響を与えている。各蒸着方法における粒子のエネルギーを比較すると、真空蒸着法では熱運動エネルギーで0.5eV程度であり、従来の製造方法であるカソードスパッタリング蒸着法では約5eV(最高で50eV)程度である。
本発明に係る製造方法においては、イオン化された粒子のエネルギーは、プラスチックフィルム基板1の近傍に配置される導電性基板ホルダーに印加する高周波電力により自由に制御可能である。150Wから1000Wの範囲の高周波電力を導電性基板ホルダーに印加することにより、イオン化された粒子のエネルギーを200eVから1000eV程度まで高エネルギー化可能である。さらに、本発明に係る製造方法においては、通常のスパッタリングに比べて1桁以上高真空であるために、粒子の平均自由工程が長く、イオン化された粒子の密度が高いという特徴を有する。このような大きなエネルギーを有し、イオン化された粒子の密度が高い場合には、それらの粒子がプラスチックフィルム基板1の原子間に侵入し、薄膜生成と同時に、スパッタリング現象を伴い結合の弱い銅原子を叩き出すという現象が生じる。その結果、本発明に係る製造方法によれば、フレキシブルプリント回路基板において強固な膜を生成することが可能となる。
次に、フレキシブルプリント回路基板の製造方法において、プラズマ生成ガスの違いによる効果について説明する。
プラズマ生成ガスとして酸素を用いる場合には、酸素ラジカル(酸素基)が高分子の水素結合を切り官能基を生成する。窒素を含む混合ガスを用いる場合には、プラズマ励起種である窒素ラジカル(窒素基)がプラスチックフィルムの水素結合を切り官能基を生成するだけでなく、自らアミド結合を形成して、高分子に入り込み官能基となる。したがって、フレキシブルプリント回路基板の製造において、窒素を含む混合ガスを用いた場合、従来のアルゴンを基本としたプラズマ生成ガスを用いた場合に比べてプラスチックフィルムの官能基の密度を格段に高く生成することができる。このように、アルゴンを酸素や窒素に変更して、プラズマ励起種を変えることにより、官能基の面密度をより増加させて、プラスチックフィルムを構成する原子と金属との化学的な結合の数を増やすことが可能となる。したがって、スパッタリング蒸着法に比べてより強固に結合力を有する銅薄膜の底面層3を形成することができる。官能基の面密度は、底面層3を構成する多結晶銅薄膜の球状構造を有する球状多結晶2の直径に反映している。
前述の本発明に係る製造方法において、形成される銅薄膜の底面層3は、表面層4を構成する銅結晶の結晶核(プリカーサ)となる機能を有する。表面層4の形成においては、球状多結晶2の境界、又は他の多結晶やこれらの混合物で形成された底面層3側の境界で銅が成長していき、やがて針状10となる柱状の結晶粒5が形成される。このように形成された結晶粒5の集合体が銅薄膜の表面層4となる。
図6は、結晶粒5の短い方の粒子径[nm](例えば図1において符号6で示す粒子径)とJIS・C6481(180度ピール)に準じて行った180°引き剥がし強度[kg/cm]との関係を示すグラフである。なお、180°引き剥がし強度試験は、本発明に係る製造方法において、銅薄膜の表面層4の成膜条件を変え種々の粒子径の異なるフレキシブルプリント回路基板を作製し、係るフレキシブルプリント回路基板に電気メッキ銅を20μm厚付けし、180°引き剥がし強度試験を行った。
図6に示すように、結晶粒5の粒子径の減少とともに、引き剥がし強度は増大する傾向を示す。また、粒子径が約80nmにおいて引き剥がし強度1kg/cm以上を達成し、さらに粒子径を減少させると引き剥がし強度は緩やかに増大し飽和する傾向を示している。なお、粒子径20nmでは、底面層3の成膜時の成膜速度を遅くし、粒子径20nm以下の直径球状の多結晶構造を形成する必要があり、生産性が悪くなるので好ましくない。
本発明に係る製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図1に模式的に示した断面図に表されているように、プラスチックフィルム基板1上の銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜は少なくとも2層構造を有している。プラスチックフィルム基板1の表面に接する銅薄膜の底面層3は球状多結晶2の集合体構造であり、底面層3上の銅薄膜の表面層4は柱状構造の結晶粒5の集合体で構成されている。底面層3の結晶粒の直径が、表面層4の柱状構造の結晶粒5の粒子径6に比べて小さい場合に、180°引き剥がし強度が増大し、好ましくは、底面層3の銅薄膜が球状多結晶2の集合体でである。発明者らは、底面層3の球状多結晶2の直径が10nmから80nmであるとき、この銅薄膜の180°引き剥がし強度が1kg/cmを満足することを実験により確認した。
図7は底面層3を構成する球状多結晶2の直径[nm]と銅薄膜の180°引き剥がし強度[kg/cm]との関係を示すグラフである。この実験において、底面層3の成膜条件以外は全て同じ条件で製造した。また、底面層3と表面層4の銅薄膜の全膜厚を約300nmとした。180°引き剥がし強度試験は、前述の図6に結果を示した実験と同様に、300nmの銅薄膜に電気メッキ銅を約20μm厚付けして強度試験を行った。
図7に示すように、底面層3を構成する球状多結晶2の直径が小さくなるに従い引き剥がし強度が向上している。このように、球状多結晶2の直径が小さくなるに従い引き剥がし強度が向上する理由は、球状多結晶構造において球状多結晶2の直径の減少するとともに球状多結晶2の密度が上がり、互いの接触面積が増大することにより、引き剥がし強度が向上すると解釈される。これは、前述した官能基の密度増加の効果と一致する。
なお、発明者は底面層3とプラスチックフィルム1との境界面における凹凸面の振れ幅(ピークからピークまで)は、0.5nmから10nmが好ましいことを実験により確認している。図8は銅薄膜の底面層3とポリイミドフィルムのプラスチックフィルム1との境界面Aの凹凸を示す拡大断面図である。図8において、記号”L”で示す長さが境界面Aにおける凹凸面の振れ幅である。発明者の実験においては、振れ幅Lが5nm以下であった。
さらに、発明者らは実験により、銅薄膜の底面層3の膜厚は10nmから100nmであるとき、180°引き剥がし強度が1kg/cmを満足することがわかった。なお、この実験においても180°引き剥がし強度試験はこれまでと同様に電気メッキ銅20μmを厚付けし行った。図9は、このときの実験結果を示すものであり、底面層3の膜厚[nm]と180°引き剥がし強度[kg/cm]との関係を示すグラフである。底面層3の膜厚以外の製造条件は全て同一条件で行った。底面層3と表面層4の銅薄膜の全膜厚は約300nmとした。
図9に示すように、底面層3の膜厚を100nm以上とすると180°引き剥がし強度が1kg/cm未満である。これは、底面層3が100nm以上となると表面層4の柱状構造の結晶粒5が十分成長できず、結晶粒5の間に多結晶層が存在するためと考えられる。なお、膜厚100nm以上の底面層3を有するフレキシブルプリント回路基板では、耐薬品性が劣化するという問題がある。
本発明によれば、プラスチックフィルム基板上の銅又は銅を主成分とする合金からなる銅薄膜の全膜厚は100nmから500nmが生産性上好ましい。銅薄膜の全膜厚が100nm以下であるとその後の銅メッキの成長にばらつきを生じやすく、500nmを越えれば生産性が悪く、フレキシブルプリント回路基板のコストアップに繋がる。
次に、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法の具体例を示し、それにより製造したフレキシブルプリント回路基板の特性について観察した結果について説明する。
《実施例1》
本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法の実施例1における成膜装置としては、高周波発振器からの高周波電力が陰極となるプラスチックフィルム基板に印加され、蒸発金属がプラズマ雰囲気においてイオン化されて真空蒸着する成膜装置を用いた。
図10は、実施例1において用いた成膜装置の概略構成を示す断面図である。図10において、チャンバー23内には蒸発源となるタングステンボード25、及び陰極電極となる導電性基板ホルダ32が所定位置に設けられている。この導電性基板ホルダ32は被蒸着物であるプラスチックフィルム基板22を保持できるよう構成されている。導電性基板ホルダ32には安定放電回路29を介して高周波発振器28からの高周波電力を入力するための高周波導入ケーブル30が接続されている。高周波導入ケーブル30はチャンバー23において絶縁支持部31により電気的に絶縁されて保持されている。図10に示すように、チャンバー23にはガス導入口21と排気口26が形成されており、チャンバー23内に所定ガスにより所定圧に設定できるよう構成されている。
次に、図10のように構成された成膜装置を用いてフレキシブルプリント回路基板の製造方法について説明する。
まず、プラスチックフィルム基板22を導電性基板ホルダ32に装着し、到達真空度10−3Pa以下まで真空排気する。次に、プラスチックフィルム基板22の水分圧が10−4Pa以下となるまで脱水処理を行う。
次に、成膜装置において、真空中に容積比5%の窒素を含むアルゴンガスをガス導入口21から導入し、真空度1x10−2Paとする。タングステンボード25に99.99%の銅27を配置して加熱して溶融させる。銅27を溶融させた状態において、安定放電回路29によりプラスチックフィルム基板22に周波数13.56MHzの高周波電力を印加し、グロー放電を発生させる。ここで用いた安定放電回路29の具体的な回路構成を図11に示す。図11に示すように、安定放電回路29はチョークコイル41と可変コンデンサ42により構成されている。但し、本発明において用いる安定放電回路としてはこのような構成に限定されるものではなく、高周波整合器として一般的に用いられているものを使用することが可能である。
実施例1において安定放電回路29による投入電力は300Wであった。このとき、プラスチックフィルム基板近傍の導電性基板ホルダ32に自己誘起される負の直流電圧は420Vであった。
上記の環境において、まずプラスチックフィルム基板22に接する銅薄膜の底面層を形成した。このときの成膜条件は、水晶発振子による膜厚モニターを用いて成膜速度が約0.2nm/秒で99.99%の純度の銅を用いた。なお、本発明では純銅ではなく銅を主成分とする銅合金を用いることも可能である。この銅合金としては鉄、亜鉛、ニッケル等を含む合金でも本発明の効果に影響を与えない。
タングステンボード25に流れる電流を制御して底面層3となる銅薄膜の膜厚を60nm成膜する。その結果、直径40nmの球状多結晶からなる銅薄膜の底面層3を形成した。
次に、底面層3の上に銅薄膜の表面層4を形成する。表面層4となる銅薄膜は、成膜装置のタングステンボード25に流れる電流を増加させ、成膜速度が5nm/秒で、膜厚240nmを成膜した。表面層4の成膜速度は、前記のように5nm/秒に制限されるものではなく0.5nm/秒から10nm/秒までの範囲で全膜厚に応じて設定すれば良い。この範囲であれば、結晶格子面指数(111)を有する柱状の結晶粒からなる銅薄膜を形成できることを確認している。
上記の製造方法により得られた銅薄膜をX線回折パターンで観察した結果が図3のグラフである。
図3に示すように、2θ=42°〜53°の走査範囲に結晶格子面指数(111)のメインピークと(200)のサーブピークが見られる。さらに両ピークピーク強度比(200)/(111)は、約10%以下である。なお、結晶格子面指数(111)の面はプラスチックフィルム基板の表面に平行である。
さらに、上記製造方法により得られたフレキシブルプリント回路基板の断面を122万倍の透過型電子顕微鏡で観察したところ、図1に概念的に示したような構造を有し、その表面層の結晶粒は短い方の粒子径が約60nmの柱状結晶であることがわかった。
本発明に係る実施例1の上記製造方法により得られたフレキシブルプリント回路基板に電気メッキ銅を約20μm厚付けし、JIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験(常態剥離試験)を行った。その結果、約1.2kg/cmの180°引き剥がし強度が得られた。さらに、このフレキシブルプリント回路基板を環境温度121°圧力2kg/cm2の過飽和水蒸気オートクレープ中で24時間静置した後、JIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度1kg/cmが得られた。
さらに、実施例1で製造したフレキシブルプリント回路基板に電気メッキ銅を約20μm厚付けし、2規定塩酸水溶液に5分間浸漬した後、水洗し、環境温度110°で10分間乾燥後、同じくJIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度1.1kg/cmが得られた。
《実施例2》
次に、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法の実施例2における成膜装置としては、高周波発振器からの高周波電力が陰極となるプラスチックフィルム基板に印加され、蒸発金属がプラズマ雰囲気においてイオン化されて真空蒸着する成膜装置を用いた。実施例2の成膜装置は前述の成膜装置と同じものを使用した。
まず、プラスチックフィルム基板を成膜装置内に装着し、到達真空度10−3Pa以下まで真空排気する。ここで、プラスチックフィルム基板の水分圧が10−4Pa以下となるまで脱水処理を行う。
次に、成膜装置において、容積比99.99%の窒素を含む混合ガスを用いて真空度10−2Paで、プラスチックフィルム基板に安定放電手段により周波数13.56MHzの高周波電力300Wを印加する。このように高周波電力300Wを印加して、前記混合ガスをイオン化し、5分間グロー放電させる。このとき、プラスチックフィルム基板近傍の導電性基板ホルダーに自己誘起される負の直流電圧は320Vであった。
その結果、イオン化した窒素がプラスチックフィルム基板をたたき、窒素イオンが通常有するスパッタ効果による炭素に結合した水素との結合を切ることに加えて、窒素イオンは窒素に結合した水素も切る機能を有する。したがって、実施例2の製造方法によれば、高密度の官能基をプラスチックフィルム基板上に生成できる。
引き続き、成膜装置において、容積比99.99%のアルゴンを含む混合ガス導入に切り換えて、真空度1.0X10−2Paとする。この状態で、プラスチックフィルム基板に安定放電手段により周波数13.56MHzで高周波電力300Wを印加して、グロー放電させる。このとき、プラスチックフィルム基板近傍に自己誘起される負の直流電圧は420Vであった。グロー放電下において99.99%の銅を溶融させて、成膜速度が0.1nm/秒から0.5nm/秒までの範囲となるように、蒸着源の電流を制御して銅薄膜の底面層を膜厚60nm成膜する。引き続き、成膜速度が0.5nm/秒から10nm/秒までの範囲となるように蒸着源の電流を増加させて銅薄膜の表面層を膜厚240nm成膜した。
上記のように実施例2の製造方法において得られた銅薄膜をX線回折パターンで観察すると、実施例1と同様に2θ=42°〜53°の走査範囲に結晶格子面指数(111)のメインピークと(200)のサーブピークが見られた。両ピーク強度比(200)/(111)は、約5%であった。なお、結晶格子面指数(111)の面はプラスチックフィルム基板の表面に平行である。さらに、実施例2の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板を122万倍の透過型電子顕微鏡で観察したところ、表面層の結晶粒は短い方の粒子径が40nm程度の柱状結晶であることがわかった。
本発明に係る実施例2で製造したフレキシブルプリント回路基板に電気めっき銅を約20μm厚付けして、JIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、約1.1kg/cmの180°引き剥がし強度が得られた。
実施例2で製造したフレキシブルプリント回路基板におけるプラスチックフィルム基板関するプラズマ処理の効果を調べるために、協和界面科学(株)、形式CA−CのFACE接触角計を用い、純水を液滴して接触角を測定した。実施例2においてプラズマ処理したプラスチックフィルム基板であるポリイミドフィルムの接触角は60度から70度であり、未処理のポリイミドフィルムの接触角は70度から80度であった。上記接触角より得られるプラズマ処理したポリイミドフィルムの表面張力は、上記接触角に応じて52.5dyne/cmから47.0dyne/cmであり、未処理ポリイミドフィルムに比べて表面張力は約5dyne/cm増大していた。本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法を用いれば、プラズマ処理したポリイミドフィルムの表面張力が小さい値でも、引き剥がし強度を所望の値を得ることができることがわかった。ポリイミドフィルムにプラズマ処理して58dyne/cm以上の表面張力を付与してフレキシブルプリント回路基板を製造することが特許2135958に記載されている。しかし、本発明の製造方法によれば、ポリイミドフィルムにプラズマ処理により58dyne/cm以上の表面張力を付与する必要がなく、それ以下の表面張力でも容易に180°引き剥がし強度1kg/cmを実現できることがわかった。
同様に、フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレンPTFE樹脂の未処理試料で純水を液滴した接触角は、115°であり、表面張力は約20dyne/cmであった。このPTFE樹脂に対して、本発明に係るプラズマ処理を行うことにより、表面張力は約7dyne/cm増大した。本発明に係る製造方法において、プラズマ処理したPTFE樹脂をプラスチックフィルム基板として用いることにより、ポリイミドフィルムよりかなり低い表面張力でも、ポリイミドフィルムと同様に180°引き剥がし強度が1kg/cm以上であるフレキシブルプリント回路基板を提供できた。
《比較例1》
次に、比較例1として製造した、フレキシブルプリント回路基板の製造方法について説明する。
成膜装置において、比較例1のフレキシブルプリント回路基板は、脱水処理の水分圧を10−2Paとした以外は、前述の実施例1の製造方法と同じ条件で製造した。銅薄膜の底面層の膜厚は約60nmであり、銅薄膜の表面層の膜厚は約240nmであった。このように形成されたフレキシブルプリント回路基板に電解メッキ銅を約20μm厚付けし、JIS C6481(180°ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度は、約0.7kg/cmであった。
また、上記のように形成したフレキシブルプリント回路基板に電気めっき銅を約20μm厚付けし、2規定塩酸水溶液に5分間浸漬した後、水洗して環境温度110°で10分間乾燥した。この10分間乾燥の後、同じくJIS C6481(180度ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度は、0.3kg/cmであった。このように比較例1のフレキシブルプリント回路基板は、著しく、引き剥がし強度が低下していた。
さらに、比較例1の銅薄膜表面層の粒子径を調べたところ、粒子径は約130nmであった。また、比較例1のフレキシブルプリント回路基板における断面構造を19万倍透過型電子顕微鏡で観察したところ、底面層を構成する球状直径は約120nmであり、しかも、球状多結晶の間に非晶質銅が形成されていることがわかった。
《比較例2》
次に、比較例2として製造した、フレキシブルプリント回路基板の製造方法について説明する。
成膜装置において、比較例2のフレキシブルプリント回路基板は、プラズマ処理、及び銅薄膜を成膜するときに、窒素ガスを用いず、容積比99.99%のアルゴンを用いて製造した。比較例2において、他の成膜条件は前述の実施例1の製造方法と同じであった。銅薄膜の底面層の膜厚は約60nmであり、銅薄膜の表面層の膜厚は約240nmであった。このように形成されたフレキシブルプリント回路基板に電解メッキ銅を約20μm厚付けし、JIS C6481(180°ピール)に準じて180°引き剥がし試験を行った。その結果、180°引き剥がし強度は0.3kg/cmであった。比較例2のフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜の表面層の粒子径を調べたところ、粒子径は約120nmであった。
また、比較例2のフレキシブルプリント回路基板における断面構造を19万倍透過型電子顕微鏡で観察したところ、底面層を構成する球状直径は約110nmであった。
図12は透過型電子顕微鏡(TEM)により実施例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板を19万倍で撮影した顕微鏡写真である。このフレキシブルプリント回路基板の銅薄膜の表面層の上には、透過型断面測定において際して、被検査対象である銅薄膜表面を保護するために導電性金属である白金−パラジウム(Pt-Pd)とタングステン(W)の膜によりコーディングされている。図13は比較例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板を19万倍で撮影した顕微鏡写真である。図12の顕微鏡写真を詳細に検討すると表面層の底面層との境界において針状の結晶があり、図12における底面層の結晶は図13の比較例に比べて小さくなっている。
図14の上側の顕微鏡写真は走査電子顕微鏡(SEM)により実施例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板における表面層の銅薄膜を3万倍で撮影した写真である。図14の下側の顕微鏡写真は走査電子顕微鏡(SEM)により比較例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板における表面層の銅薄膜を3万倍で撮影した写真である。図14の顕微鏡写真から明らかなように本発明の製造方法による表面層の銅薄膜は粒子径が小さく形成されている。
なお、発明者は底面層3とプラスチックフィルム1との境界面における凹凸面の振れ幅L(図8)は、0.5nmから10nmが好ましいことを実験により確認しており、特に好ましいのは振れ幅Lが5nm以下であった。
本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、携帯電話、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、ノートブック型パソコン、デジタル・スチル・カメラ、液晶ディスプレイ等の電子回路に利用されるフレキシブルプリント回路基板の製造に有用なものである。
本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の断面構造を模式的に示す断面図である。 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜の底面層の直径と水分圧との関係を示すグラフである。 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜のX線回折パターンを示すグラフである。 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板におけるX線相対強度比(200)/(111)と180°引き剥がし強度との関係を示すグラフである。 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜の表面層の表面状態を模式的に示す平面図である。 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜の表面層の粒子径と180°引き剥がし強度との関係を示すグラフである。 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜の底面層の球状多結晶の直径と180°引き剥がし強度との関係を示すグラフである。 銅薄膜の底面層3とポリイミドフィルムのプラスチックフィルム1との境界面の凹凸を示す拡大断面図である。 本発明に係るフレキシブルプリント回路基板における銅薄膜の底面層の膜厚と180°引き剥がし強度との関係を示すグラフである。 実施例1において用いた成膜装置の概略構成を示す断面図である。 実施例1において用いた安定放電回路29の具体的な回路構成を示す回路図である。 透過型電子顕微鏡(TEM)により実施例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板を19万倍で撮影した顕微鏡写真である。 比較例1の製造方法により製造したフレキシブルプリント回路基板を19万倍で撮影した顕微鏡写真である。 上側の顕微鏡写真は走査電子顕微鏡(SEM)により実施例1の製造方法により製造した表面層の銅薄膜を3万倍で撮影した写真であり、下側の顕微鏡写真は走査電子顕微鏡(SEM)により比較例1の製造方法により製造した表面層の銅薄膜を3万倍で撮影した写真である。 従来のフレキシブルプリント回路基板の断面を模式的に示した断面図である。
符号の説明
1 プラスチックフィルム基板
2 球状多結晶
3 底面層
4 表面層
5 結晶粒
6 粒子径
7 粒子径
8 円柱状結晶
9 多角形柱状結晶
10 針状構造
11 プラスチックフィルム基板
12 中間層
13 銅薄膜
21 ガス導入口
22 プラスチックフィルム基板
23 チャンバー
25 タングステンボード
26 排気口
27 銅
28 高周波発振器
29 安定放電回路
32 導電性基板ホルダ

Claims (8)

  1. プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程と、
    真空中に窒素とアルゴンを含む混合ガスを導入する工程と、
    銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させる工程と、
    安定放電手段により前記プラスチックフィルム基板に高周波電力を印加し、グロー放電を発生させる工程と、を有し、
    前記グロー放電を発生させる工程において、導入された前記混合ガスをイオン化し、前記金属を前記プラスチックフィルム基板に金属薄膜を形成するフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
  2. プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程と、
    少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを導入し、前記プラスチックフィルム基板に安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させ、前記第1の混合ガスをイオン化する工程と、
    前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧でイオン化された前記第1の混合ガスにより、前記プラスチックフィルム基板をプラズマ処理する工程と、
    引き続きアルゴンを含む第2の混合ガスを導入し、所定の真空度で、前記プラスチックフィルム基板に前記安定放電手段により高周波電力を印加しグロー放電させるとともに、銅又は銅を主成分とする合金からなる金属を溶融させて前記プラスチックフィルム基板に銅薄膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とするフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
  3. プラスチックフィルム基板を真空中で脱水処理する工程は、前記プラスチックフィルム基板から発生する水分量が分圧が10−3Pa以下となるように脱水する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
  4. 少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを用いて実施するプラズマ処理する工程は、真空度を10−3Paから10−1Paの範囲で、且つ前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧が200Vから1000Vであることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
  5. 少なくとも窒素を含む第1の混合ガスを用いて実施するプラズマ処理する工程は、ガス全体に占める窒素の容積比が50%から99.99%の間に設定されている窒素及び不活性ガスを含む混合ガスであることを特徴とする請求項2又は4のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
  6. 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程において、窒素を含む混合ガスは、ガス全体に占める窒素の容積比が約1%から約20%の間に設定されている窒素及び不活性ガスを含む混合ガスであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
  7. 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程は、真空度を10−3Paから10−1Paの範囲で、且つ前記プラスチックフィルム基板に誘起される負の直流電圧が200Vから1000Vであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
  8. 金属をプラスチックフィルム基板に蒸着する工程において、蒸着初期には蒸着速度を0.1nm/秒から0.5nm/秒で膜厚10nmから100nmの銅薄膜を成膜し、引き続き蒸着速度を0.5nm/秒から10nm/秒で成膜し、銅薄膜の全膜厚が100nmから500nmであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
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