JP4086802B2 - インキ供給・回収装置 - Google Patents
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Description
低粘度のインキは、流動させておかなければ短時間で粘度上昇し、印刷に支障を来す。 このため図7に示す如く、インキ付けロール(1)と該インキ付けロールに押圧接触させた絞りロール(2)との間に形成されるインキ貯留部(11)にインキを供給し、インキ貯留部(11)の両端から受け皿(500)(500)にインキを流出させ、受け皿(500)からインキ戻り管路(501)を通じてインキタンク(502)にインキを回収する。又、インキタンク(502)内のインキをポンプ(503)で吸い上げ、インキ供給管(504)を通じて前記インキ貯留部(11)に供給し、この様にしてインキ貯留部(11)とインキタンク(502)との間でインキを循環させてインキの粘度上昇を抑えている。
洗浄廃液は、インキ戻り管(501)から切換弁(505)を介して廃液回収タンク(506)に回収される。
上記の場合、インキの循環管路は、インキ供給管(504)とインキ戻り管(501)が必要となって長尺化する。又、インキの回収は管路内でのインキの自重落下であるから、管路を40mm程度に太くしてインキをスムーズに回収する必要がある。
インキが流通する管路が太く、長くなると、インキの色替えの際に、回収しきれずに管路内面に膜状に付着して残存するインキの量は当然のことながら多くなる。又、受け皿(500)(500)に付着したまま残存するインキ量も多く、これらインキはロール洗浄の際に、洗浄液と一緒に洗い流されるので、インキを無駄に消費してしまう。又、管路内や受け皿に多量に付着したインキをロール洗浄の際に一緒に洗い流すには、多量の洗浄液を必要とし、廃液処理の問題もあった。
該インキ供給・回収装置では、インキ付けロール(1)と絞りロール(2)との間に形成されるインキ貯留部(11)は、両端が堰部材(12)(12)によって閉塞している。
インキの供給、回収及びロール洗浄廃液の回収を兼用するノズル(4)をインキ貯留部(11)に臨ませ、印刷機の外側にインキタンク(3)及び廃液回収タンク(50)に共通の流通管(44)及び切換弁(45)を配備し、前記ノズル(4)を流通管(44)に連繋する。
インキタンク(3)を密閉ボックス(31)に収容して該密閉ボックスに減圧用吸引管(35)と加圧用エアー供給管(35a)を連繋する。
廃液回収タンク(50)は外気と遮断可能であって減圧用吸引管(51)に連繋されている。
密閉ボックス(31)内を減圧することにより、インキ貯留部(11)のインキをインキタンク(3)に吸引回収できる。
印刷運転中は、インキ貯留部(11)内のインキを一定量だけインキタンク(3)へ回収することと、インキタンク(3)からインキ貯留部(11)へインキを供給することを規則的に繰り返してインキ貯留部(11)にインキの流れを生じさせて、インキの粘度上昇を防止する。
インキの色替えの際に行うロール洗浄で、インキ貯留部(11)に溜まった洗浄廃液は、切換弁(45)を廃液回収タンク(50)側に切り換え、廃液回収タンク(50)を減圧することにより、該廃液回収タンク(50)に回収できる。
インキと洗浄廃液を、インキの供給と回収を行う流通管(44)を用いて行なうため、廃液回収専用の管路は不要であり、配管が短くて済む。又、そのため、流通管(44)内面に付着して残存するインキの量は微量である。これによって、ロール(1)(2)や、ノズル(4)を含む流通管(44)内面の洗浄に要する洗浄液は少量で済み、洗浄廃液の処理も容易である。
又、洗浄廃液が流通管(44)を通過する際に、流通管(44)の洗浄がなされること、及び洗浄廃液回収時、ノズル(4)は洗浄廃液に浸かっており、ノズル先端外周面は洗浄廃液によって洗い流されることにより、ノズル(4)及び流通管(44)をロール(1)(2)と別個に洗浄する必要はない。このため、インキの色替えの都度、ノズル(4)及び流通管(44)を交換する必要はない。
従って、該流通管(44)を印刷機の外側へ引き出して固定配管とし、密閉ボックス(31)を印刷機の外側に配置し、インキの補給を印刷機の外側から行うことができる利点がある。
本発明は、インキと洗浄廃液を通す共通の流通管を有するインキ供給・回収装置において、印刷運転を停めることなくインキタンクへのインキの補充を可能としたインキ供給・回収装置、該インキ供給・回収装置を具えた印刷装置及びインキ供給・回収装置の制御システムを明らかにするものである。
インキ貯留部(11)に臨みインキの供給、回収及びロール洗浄廃液の回収を兼用するノズル(4)と、一端が該ノズルに繋がり他端にインキタンクと洗浄廃液放出部(5)に切換え可能な切換え部(46)を有する流通管(44)と、流通管(44)のインキ貯留部(11)側に設けた第1ポンプ手段P1と、流通管(44)のインキタンク(3)側に設けた第2ポンプ手段P2とによって構成され、第1ポンプ手段P1は、ノズル(4)及び該ノズルへの流路を開閉するバルブ(63)を具え流通管(44)の一端を気密に貫通させた密閉タンク(6)と、該密閉タンク(6)に接続された減圧用吸引管(35)及び加圧用エアー供給管(35a)とによって構成されている。
インキタンク(3)内のインキは、流通管(44)を通り、第1ポンプ手段P1を素通りしてノズル(4)からインキ貯留部(11)に供給される。
インキ貯留部(11)のインキをインキタンク(3)へ回収するには、 第2ポンプ手段P2を、インキタンク(3)へインキを回収する様に動作(以下、「逆運転」と呼ぶ)させ、第1ポンプ手段P1のバルブ(63)は「開」、密閉タンク(6)内は減圧用吸引管(35)による吸引によって「減圧」する。ノズル(4)に作用する吸引力によって、インキ貯留部(11)のインキは第1ポンプ手段P1へ吸引され、更に第2ポンプ手段P2によってインキタンク(3)へ回収される。
印刷運転中は、上記インキ貯留部(11)へのインキの供給とインキタンク(3)へのインキの回収を規則的に繰り返すことによって、インキ貯留部(11)にインキの流れを生じさせて、インキの粘度上昇を抑えることができる。
ロール洗浄によって、インキ貯留部(11)に溜まった洗浄廃液を排除するには、切換え部(46)を洗浄廃液放出部(5)側に切り換えて、前記インキの回収の際と同様にして、第1ポンプ手段P1と第2ポンプ手段P2を動作させる。インキ貯留部(11)の洗浄廃液は、第1ポンプ手段P1へ吸引され、更に第2ポンプ手段P2によって洗浄廃液放出部(5)へ回収される。
インキタンク(3)は、従来の様に、加圧、減圧用の密閉ボックスに収容されているのではないから、制約されることなく、いつでも、自由にインキタンク(3)にインキの補充ができる。
又、洗浄廃液が流通管(44)を通過する際に、流通管(44)の洗浄がなされること、及び洗浄廃液回収時、ノズル(4)は洗浄廃液に浸かっており、ノズル先端外周面までもが廃液によって洗い流されることにより、ノズル(4)及び流通管(44)を、ロール(1)や絞り部材(20)と別個に洗浄する必要はなく、インキの色替えの都度、ノズル(4)及び流通管(44)を交換する必要はない。
従って、例えば該流通管(44)を印刷機の外側へ引き出して固定配管とし、インキタンク(3)を印刷機の外側に配置し、印刷中でもインキの補給を印刷機の外側から自由に行うことができる。
図1は、粘度の低い水性インキを用いる段ボール印刷機であって、該印刷機は、積み重ねた段ボールシートを1枚づつ印刷ユニットに送り出す給紙装置(200)、印刷の色数に応じた複数基の印刷ユニットU1、U2、U3、及び印刷したシートを函形状に対応して打ち抜き且つ折曲げ線に対応して罫線を施す打抜き罫線装置(300)を有している。
各印刷ユニットU1、U2、U3は、レール(102)(102)上を移動可能に配備され、隣り合う印刷ユニット間は開閉可能である。
印刷運転中は、隣り合うユニット間は閉じられているが、印版の交換やメンテナンスの際には、例えば二点鎖線で示す如く、ユニットU2とU3との間を開いて、作業空間Xを確保できる。
各ユニットの外側下部に載せ台(32)が突設され、該載せ台(32)上に上面開口のインキタンク(3)が載せられている。
図2に示す如く、印刷機を設置する床面には、上記レール(102)に沿って、洗浄廃液放出部(5)となる排水溝(52)が設けられている。
インキ付けロール(1)は、セラミックロール、メッキロール等の硬質ロールの表面にインキ溜まりとなる微細な凹凸が形成されている。
絞りロール(2)は、表面がゴムで形成されている。
インキ貯留部(11)のロールに沿う長手方向の両端は、堰部材(12)(12)によって閉塞している。
インキ付けロール(1)の下方に該ロールに接して版胴(9)が配備され、該版胴(9)の下方に受けロール(91)が配備される。
インキ付けロール(1)と絞りロール(2)が互いにインキ貯留部(11)のインキを絞る方向に回転し、インキ付けロール(1)表面のインキが版胴(9)上の印版(図示せず)に転移し、版胴(9)と受けロール(91)との間に供給される段ボールシートSに印刷を行う。
上記インキ貯留部(11)と、インキタンク(3)及び洗浄廃液放出部(5)とが後記するインキ供給・回収装置によって連繋され、インキ貯留部(11)へのインキの供給と、インキ貯留部(11)からのインキの回収、或いはインキ貯留部(11)に溜まった洗浄廃液の回収が成される。
印刷中のインキ貯留部(11)のインキ液面高さは、液面センサー(図示せず)によって設定高さ範囲に制御される。
インキ付けロール(1)の上方に1又は複数の洗浄液供給部(7)が配備される。
インキ供給・回収装置は、インキ貯留部(11)に臨みインキの供給、回収及びロール洗浄廃液の回収を兼用するノズル(4)と、一端が該ノズル(4)に繋がり他端に該端部をインキタンク(3)と洗浄廃液放出部(5)に切換え可能な切換え部(46)を有する流通管(44)と、流通管(44)のインキ貯留部(11)側に設けた第1ポンプ手段P1と、流通管(44)のインクタンク側に設けた第2ポンプ手段P2とによって構成される。
図2示す如く、前記絞りロール(2)の上方にて、スライド台(60)がガイド条(41)上に沿ってロール(1)(2)と平行にスライド可能に配備され、該スライド台(60)上に密閉タンク(6)が設置されている。
密閉タンク(6)は、天井壁(62)で塞がった円筒部の下方を逆錘状に縮径し、下端にバルブ(63)を具えた流通孔(61)を開口している。
バルブ(63)は、密閉タンク(6)の天井壁(62)の中央部を上下にスライド可能且つ気密に貫通して垂下した軸体(64)と、軸体(64)の下端に流通孔(61)に対向して設けた栓体(65)と、天井壁(62)上に配備され軸体(64)を上下駆動する開閉手段(66)とによって構成される。
開閉手段(66)によって軸体(64)を下降させれば栓体(65)が流通孔(61)を塞ぎ、軸体(64)を上昇させれば栓体(65)が流通孔(61)を開く。
開閉手段(66)は、エアーシリンダ、ソレノイド等、軸体(64)を昇降させることが出来れば構成は問わない。
前記流通管(44)は、密閉タンク(6)の天井壁(62)を貫通して先端が流通孔(61)の近傍に達している。
密閉タンク(6)の流通孔(61)から下向きに二股管(42)が突設され、可撓性チューブ(43)(43)を介して二股管(42)と2本のノズル(4)(4)が接続される。
可撓性チューブ(43)は、下記のノズル(4)の昇降ストロークに対応する余裕のある長さである。
昇降台(40)はエアーシリンダ、ソレノイド等の昇降駆動装置(図示せず)に連繋され、ノズル(4)の先端高さを、「高位置」、「中間高さ位置」、「低位置」の3段に切替え可能である。
高位置のノズル(4)の下端は、インキ貯留部(11)でのインキの設定液面高さより少し上位置である。
中間位置のノズル(4)の下端は、インキ液面の設定高さより少し低い位置にあって、インキに浸かっている。
低位置のノズル(4)の下端は、ロール(1)(2)間に辛うじて噛み込まない程度までインキ貯留部(11)の最も深い部分に侵入する。
ノズル(4)の下端は、インキ貯留部(11)の底形状に対応して両ロール(1)(2)側の面が斜めにカットされて楔状に尖っている。
ノズル(4)を2本としたのは、第1ポンプ手段P1がインキ貯留部(11)の左右何れの方向にスライド移動しても、スライド台(60)や密閉タンク(6)が印刷ユニットのフレーム(100)に衝突することなく、インキ貯留部(11)の端に何れか一方のノズルが届く様にするためであり、その様な問題がなければ、ノズル(4)は1本でもよい。
後記する各モードで、密閉タンク(6)内にインキ或いは洗浄廃液が流入した際、液面が設定高さ以上に上昇すると、インキ又は洗浄液の流入は停止する様に制御される。
前記減圧用吸引管(35)及び加圧用エアー供給管(35a)は、密閉タンク(6)内の設定液面高さよりも高位置に繋がれている。
洗浄液噴射ノズル(71)は洗浄液供給管部(72)に接続され、洗浄液供給部(7)上の切換弁(図示せず)を、予め設定したプログラムによって制御し、洗浄液噴射ノズル(71)から密閉タンク(6)内に洗浄液を噴射できる。
実施例では、密閉タンク(6)の天井壁(62)上に、密閉タンク(6)の軸心を挟んで対称位置に2基の洗浄液噴射ノズル(71)が配備される。洗浄液噴射ノズル(71)は洗浄液を円錐状に拡散して噴射する。
長尺フレキシブルチューブ(44b)は、前記密閉タンク(6)の横移動ストロークに対して余裕のある長さである。
短尺フレキシブルチューブ(44c)は、流通管(44)をインキタンク(3)と洗浄廃液放出部(5)とに切り換える切換え部(46)となっており、短尺フレキシブルチューブ(44c)の先端を手動でインキタンク(3)に浸け、或いは短尺フレキシブルチューブ(44c)をインキタンクから外して洗浄廃液放出部(5)へ向けることによって、切り換えできる。
縦管(44a)及びフレキシブルチューブ(44b)(44c)の内径は8〜13mm程度の細管である。これは従来の水性速乾性インキ循環式の管路の内径40mmに較べて、直径で1/3以下である。
図3において、回転体(44e)が反時計方向に回転してインキタンク(3)のインキを第1ポンプ手段P1側に送るの「正運転」、回転体(44e)が時計方向に回転してインキをインキタンク(3)に戻すのが「逆運転」とする。
図4に示す如く、エアー回路Yは、コンプレッサー(400)から第1、第2流路(400a)(400b)を分岐して形成する。
第1流路(400a)は、減圧、加圧共用管(35)を経て密閉タンク(6)に繋がり、第2流路(400b)は、エゼクター(真空発生器)(406)、切換弁(408)を介して共用管(35)に合流している。
エゼクター(406)は、第2流路(400b)から該エゼクターへ圧縮空気を送入することにより、第1流路(400a)側を吸引して真空を発生させる公知のものである。
上記エゼクター(406)から、第2流路(400b)の延長上に第3流路(400c)が延び、サイレンサー(407)を介して大気に開放されている。
第1流路(400a)には、密閉タンク(6)への分岐部(400d)とコンプレッサー(400)との間にて、上流側から順に切換弁(401)、減圧弁(402)、切換弁(403)を設けている。
第2流路(400b)には、密閉タンク(6)への分岐部(400d)とコンプレッサー(400)との間にて、上流側から順に切換弁(404)、減圧弁(405)、前記エゼクター(406)、切換弁(408)を設けている。
各切換弁(401)(403)(404)(408)は、開閉に切換え可能な電磁弁である。
コンプレッサー(400)からの高圧空気流が、矢印Aで示す如く、減圧弁(402)、加圧用エアー供給管(35a)を通って密閉タンク(6)に流れ、密閉タンク(6)内を加圧する。
減圧時は、第2流路(400b)の2つの切換弁(408)(404)を開き、第1流路(400a)の2つの切換弁(401)(403)を閉じる。
コンプレッサー(400)からの高速空気は、矢印Bで示す如く、第2流路(400b)から第3流路(400c)へ流れ、矢印Cで示す様に、密閉タンク(6)側から第3流路(400c)への空気の流れが生じ、密閉タンク(6)内は負圧となる。
第3流路(400c)から高速空気流が大気に放出される際、サイレンサー(407)を通過するため、空気放出音は低くなり騒音を発しない。
尚、上記エアー回路Yは、密閉タンク(6)内を加圧と減圧に切換えるための一例を示したものに過ぎず、エアー回路は上記実施例に限るものではないことは勿論であり、加圧と減圧の切換えが速くできるほど望ましいのは当然である。
洗浄モードは、密閉タンク(6)内の洗浄及びインキ貯留部(11)内に溜まった洗浄廃液を洗浄廃液放出部(5)に回収する動作を含んでいる。
インキ回収モード、洗浄廃液回収動作では、ノズル(4)はインキ貯留部(11)の全長に亘って1又は複数回往復走行する。
インキ循環モードでは、図5Aに示す様に、インキ貯留部(11)の中央部に待機していたノズル(4)は、図5Bに示す如く、インキ貯留部(11)の一端へ移動し、該移動位置からインキ貯留部(11)の中央側に適宜区間、実施例では約50cmスライドする。次に図5Cに示す如く、ノズル(4)をインキ貯留部(11)の他端へ移動し、該移動位置からインキ貯留部(11)の中央側に適宜区間、実施例では約50cmスライドする。次にノズル(4)を該区間から離れた位置、実施例ではインキ貯留部(11)の中央に移動させ、ここで一旦停止させて1サイクルが終了し、このサイクルを繰り返す。
実施例では各モードの終了時、ノズル(4)はインキ貯留部(11)の長さ方向の中央にて「高位置」で待機する。
ノズルの「高位置」(先端がインキ液面より高い)」、「中間位置」(先端がインキ液面に浸かる)、「低位置」(先端がインキ貯留部(11)の底近傍)の高さ制御は、下記の説明の通りである。
以下の説明で、『供給動作』とは、インキタンク(3)側からインキ貯留部(11)へインキを供給する動作であって、第1ポンプ手段P1のバルブ(63)は「開」、第2ポンプ手段P2は「正運転」して、第2ポンプ手段P2の移送力により、第1ポンプ手段P1を素通りさせてインキ貯留部(11)にインキを供給するものとする。
『回収動作』とは、インキ貯留部(11)からインキタンク(3)へインキを回収し、又はインキ貯留部(11)内の洗浄廃液を洗浄廃液放出部(5)に回収する動作であって、第1ポンプ手段P1のバルブ(63)は「開」、減圧用吸引管(35)の吸引作用によって密閉タンク(6)内は「減圧」、第2ポンプ手段P2は「逆運転」する。
『補助回収動作』とは、流通管(44)内に残存するインキをインキタンク(3)に回収し、又は流通管(44)に残存する洗浄廃液を洗浄廃液放出部(5)に回収する動作であって、バルブ(63)は「閉」、タンク(6)内は「加圧」、第2ポンプ手段P2は「逆運転」する。
ノズル(4)の高さは、「高位置」又は「中間高さ位置」とする。図3において、流通管(44)の切換え部(46)を破線で示す様に、インキタンク(3)側に切り換えた状態で、『供給動作』を行ない、ポンプ手段P1を素通りさせてインキ貯留部(11)にインキを供給する。
このときインキ付けロール(1)(2)は回転させておき、インキ液面の線がロール(1)(2)に付着することを防止すると共に、インキに刺激を与えて攪拌効果を得る。
第2ポンプ手段P2はインキタンク(3)の近傍に配置されており、インキタンク(3)から速やかにインキを吸引できるのでインキ供給の立ち上がりを速くできる。
インキ供給の間、ノズル(4)は、インキ貯留部(11)のインキ貯留部(11)の略全長に亘って1又は複数回往復走行する。
インキ貯留部(11)のインキ液面の高さが設定高に達したことを液面センサー(図示せず)が検出してインキ供給は停止する。
次に、『補助回収動作』を行って、密閉タンク(6)及び流通管(44)内に残存しているインキをインキタンク(3)に強制回収する。
『回収動作』と『供給動作』を規則的に繰り返して、貯留部(11)とインキタンク(3)との間でインキを移動させる。
詳しくは、図5Aに示す待機位置のノズルが、図5Bに示す様に、インキ貯留部(11)の一端側に移動し「中間高さ位置」に下降した状態で、横に50cmスライドしながら、『回収動作』を行う。
このときのインキの回収量は、印刷の継続に支障のない範囲で多いほど望ましい(以下、同じ)。インキ貯留部(11)とインキタンク(3)との間でのインクの移動量が多くなるほど、インクの粘度上昇を抑える効果が増すからである。
次に、ノズル(4)を「高位置」にしてインキ貯留部(11)の他端側へ移動させる(図5C)。この移動中は、『補助回収動作』を行って、密閉タンク(6)及び流通管(44)内に残存しているインキをインキタンク(3)に強制回収する。
次に、ノズル(4)がインキ貯留部(11)の他端に達すれば、「中間高さ位置」に戻し、50cm横移動させながら『回収動作』によって、インキ貯留部(11)のインキをインキタンク(3)側に回収する。
次に、ノズル(4)を「高位置」に戻すと共に、ノズル(4)をインキ貯留部(11)の中間位置に移動させる(図5A)。この移動の間に、『補助回収動作』を行う。
ノズル(4)がインキ貯留部(11)の中間位置に達すると、『供給動作』によって、インキ貯留部(11)にインキを設定高さまで供給する。
次に、図5Bに示す如く、ノズル(4)をインキ貯留部(11)の端部へ横移動させると共に、ノズル(4)を「中間高さ位置」に戻す。この横移動の間に、『補助回収動作』を行う。
以上がインキ循環の1サイクルであって、循環モード(印刷運転中)は、このサイクルを繰り返す。
ノズル(4)がインキ貯留部(11)の端部でインキを回収している間、回収部分の液面が下がってインキ貯留部(11)の中央側から回収部分へインキが移動し、インキの流れが生じる。これによって、インキは撹拌され、インキ貯留部(11)内のインキ粘度の高まりを抑えることができる。
尚、インキ循環モード中、ノズル(4)を「中間高さ位置」のままとすれば、ノズル(4)がインキ貯留部(11)内のインキを撹拌して、インキ粘度上昇を一層効果的に防止できる。
実施例の様に、『回収動作』と『供給動作』の夫々の後で、『補助回収動作』を加えて、密閉タンク(6)や流通管(44)に残存するインキをインキタンク(3)に戻し、密閉タンク(6)及び流通管(44)をほぼ空にしてから、インキ貯留部(11)からインキを回収すれば、回収したインキの大部分をインキタンク(3)にインキタンク(3)に戻すことができる。このため、インキ貯留部(11)とインキタンク(3)との間で交換されるインキ量の増やして、インキ循環の効果を高めることができる。
『補助回収動作』は、ノズル(4)が、インキ回収とインキ供給を行っていない横移動中に行われるから、『補助回収動作』を加えてもインキ循環の1サイクルに要する時間が長くなることはなく、インキタンク(3)とインキ貯留部(11)のインキの循環量が減ることはない。
ロール(1)(2)の回転を停止し、ノズル(4)を「低位置」に下ろす。
『回収動作』を行ってインキ貯留部(11)のインキをインキタンク(3)に回収する。
インキ回収の間、ノズル(4)は、インキ貯留部(11)の略全長に亘って1又は複数回往復走行する。
インキ回収の間、ロール(1)(2)の回転を停止するのは、「低位置」にあるノズル(4)が、ロール間へ噛み込むことを防止するためである。
インキ貯留部(11)内のインキは、「低位置」のノズル(4)に作用する真空圧によって密閉タンク(6)側に吸引回収されるから、ノズル(4)をインキ貯留部(11)の全長に亘って1、2回往復させれば、インキ貯留部(11)内の殆どの量のインキを吸引回収できる。
A、Bの2つの工程及び『回収動作』、『補助回収動作』からなる。
A工程は、ロールの洗浄と、前記『補助回収動作』を平行して行なう。
B工程は、ロールの洗浄と、第1ポンプ手段P1の密閉タンク(6)内の洗浄を行う。
廃液の回収を行う。
流通管(44)の切換え部(46)を洗浄廃液放出部(5)側に切り換えた状態で、A工程からスタートする。
インキ付けロール(1)と絞りロール(2)を印刷中と同じ様に回転させつつ、洗浄液供給部(7)をONにしてロール表面に洗浄液を供給する。ロール表面のインキを洗い流した洗浄廃液は、インキ貯留部(11)に溜まる。
上記動作と平行して、『補助回収動作』を行い、密閉タンク(6)及び流通管(44)に残存しているインキの残存量を可及的に少なくする。
次に、『回収動作』に移って、インキ貯留部(11)内の洗浄廃液を、洗浄廃液放出部(5)に放出する。洗浄廃液が流通管(44)を通過して洗浄廃液放出部(5)へ放出される際に、流通管(44)の内面が洗浄廃液で洗浄される。前記の如く、流通管(44)内面には殆んど付着していないから、洗浄廃液が通過するだけで、洗浄効果が得られる。
次にB工程に移る。
B工程は、洗浄液供給部(7)と密閉タンク(6)内の洗浄液噴射ノズル(71)がONとなり、ロール表面と密閉タンク(6)内に洗浄液が供給される。
ロールは2回目の洗浄が成される。この2回目のロール洗浄の間に、第2ポンプ手段P2は「逆運転」、密閉タンク(6)のバルブ(63)は「閉」、密閉タンク(6)は「加圧」の条件下で、密閉タンク(6)内の洗浄も行われる。
密閉タンク(6)は上部が円筒状、下部は逆円錐状に形成され、該タンク(6)の天井壁(62)に位置している洗浄液噴射ノズル(71)から、洗浄液が円錐状に拡がって噴射されるため、タンク内に洗浄液の噴射の死角はなく、タンク内面にほぼ均等に洗浄液が衝突して、タンク内面に薄層状に付着しているインキを洗い流すことができる。
次に『補助回収動作』に移って、洗浄廃液を密閉タンク(6)から流通管(44)へ押し出すと共に、第2ポンプ手段P2によって洗浄廃液放出部(5)へ放出する。
次に再び『回収動作』を行って、インキ貯留部(11)に溜まった洗浄廃液を洗浄廃液放出部(5)へ放出する。
上記の如く、流通管(44)には、1回目ロール洗浄の廃液、密閉タンク内洗浄の廃液、2回目ロール洗浄の廃液、即ち、洗浄廃液が3回も通過するため、流通管(44)内面に対する洗浄効果は高くなる。
必要に応じて、上記B動作、或いは密閉タンク(6)の洗浄動作だけを行う。
上記動作を完了すれば、インキ貯留部(11)への別の色のインク供給の準備が整う。
又、インキタンク(3)を低位置に配置することによって、インキの補充が楽にできる。
又、インキ貯留部(11)内のインキ又は洗浄廃液の回収は、第2ポンプ手段P2によって密閉タンク(6)内を負圧にすることによる吸引回収によって行われるため、回収速度が速く、且つインキ貯留部(11)にインキ又は洗浄廃液を殆んど残すことなく回収できるため、インキの無駄や、洗浄排液が次のインキに混じることを可及的に防止できる。
又、一方向にのみ流体移送可能な2基のポンプを、移送方向が異なる様に配備し、モードに応じて必要な方のポンプを作動させてもよい。
11 インキ貯留部
2 絞りロール
3 インキタンク
4 ノズル
5 洗浄廃液放出部
6 密閉タンク
61 流通孔
63 バルブ
7 洗浄液供給部
Claims (8)
- インキ付けロール(1)と該インキ付けロールに押圧接触した絞り部材(20)との間に形成され該ロールに沿う長手方向の両端が堰部材(12)(12)によって閉塞したインキ貯留部(11)と、該インキ貯留部(11)から離れた位置にあるインキタンク(3)及び洗浄廃液放出部(5)との間でインキの供給と回収、及び洗浄廃液の回収を行うインキ供給・回収装置に於いて、
インキ貯留部(11)に臨みインキの供給、回収及びロール洗浄廃液の回収を兼用するノズル(4)と、一端が該ノズル(4)に繋がり他端に該端部をインキタンク(3)と洗浄廃液放出部(5)に切換え可能な切換え部(46)を有する流通管(44)と、流通管(44)のインキ貯留部(11)側に設けた第1ポンプ手段P1と、流通管(44)のインキタンク(3)側に設けた第2ポンプ手段P2とによって構成され、第1ポンプ手段P1は、ノズル(4)及び該ノズルへの流路を開閉するバルブ(63)を具え流通管(44)の一端を繋いで内部に開口させた密閉タンク(6)と、該密閉タンク(6)に接続された減圧用吸引管(35)及び加圧用エアー供給管(35a)とによって構成されているインキ供給・回収装置。 - 第2ポンプ手段P2は、チュービングポンプである、請求項1に記載のインキ供給・回収装置。
- ノズル(4)は、インキ貯留部(11)に沿って横移動可能且つ昇降可能に配備されている、請求項1又は2に記載のインキ供給・回収装置。
- 密閉タンク(6)には該タンク内を洗浄するための洗浄液供給ノズル(71)が配備されている、請求項1乃至3の何れかに記載のインキ供給・回収装置。
- 請求項1乃至4の何れかに記載のインキ供給・回収装置と、インキ付けロール(1)及び絞り部材(20)を洗浄する洗浄液を供給する洗浄液供給部(7)と、インキ付けロール(1)から直接に或いは中間ロールを介して間接的に接する版胴(9)と、版胴に対向する受けロール(91)とを具え、版胴(9)と受けロール(91)との間にシートを通して印刷を行う印刷機。
- 請求項1乃至4の何れかに記載のインキ供給・回収装置の、インキ貯留部(11)へインキを供給するインキ供給モード、インキ貯留部(11)とインキタンク(3)との間でインキを循環させるインキ循環モード、インキ貯留部(11)のインキをインキタンク(3)へ回収するインキ回収モード、ロールに対する洗浄モードを行なう制御システムであって、
インキ供給モードでは、第1ポンプ手段P1のバルブ(63)は「開」、第2ポンプ手段P2は「正運転」とする『供給動作』を行ってインキタンク(3)のインキをインキ貯留部(11)に供給し、
インキ循環モードでは、第2ポンプ手段P2は「逆運転」、第1ポンプ手段P1のバルブ(63)は「開」、減圧用吸引管(35)の吸引作用によって密閉タンク(6)内は「減圧」、としてインキ貯留部(11)のインキをインキタンク(3)側に回収する『回収動作』と、前記『供給動作』を規則的に繰り返し、
インキ回収モードでは、前記『回収動作』を行ってインキ貯留部(11)のインキをインキタンク(3)に回収し、
洗浄モードでは、流通管(44)の切換え部(46)を洗浄廃液放出部(5)側に切り換えた状態で、前記『回収動作』を行ってインキ貯留部(11)の洗浄廃液を洗浄廃液放出部(5)に回収することを特徴とする制御システム。 - インキ循環モードにおいて、『回収動作』と『供給動作』の夫々の後で、バルブ(63)は「閉」、第2ポンプ手段P2は「逆運転」、密閉タンク(6)内は「加圧」、として流通管(44)内に残存するインキをインキタンク(3)に回収する『補助回収動作』が加わる請求項6に記載の制御システム。
- 洗浄モードは、開始時に、『補助回収動作』を行なって流通管(44)に残存するインキをインキタンク(3)に回収する作業、及び密閉タンク(6)内の洗浄作業及び『補助回収動作』による密閉タンク(6)内の洗浄廃液を洗浄廃液放出部(5)に回収する作業を含む請求項6又は7に記載の制御システム。
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