JP4086565B2 - シングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システム - Google Patents

シングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直方向に伸びる一つのシャフト内を双方向(上下方向)に移動する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムにおいて、複数のかごを安全且つ効率的に運行する運行制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
既存のエレベータシステムは、その全てが、建物に設けた一つのシャフト(走行路)に一台のかごを設置した「シングルシャフトシングルカーシステム」を採用している。しかし、このシングルシャフトシングルカーシステムを用いて高層ビルの大きな交通需要量と移動距離に対処するためには多数のシャフトを用意しなければならず、エレベータシステムの占有する床面積比率が高くなるという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するために、近年、1つのシャフト内に複数のかごを配置した「シングルシャフトマルチカーエレベータシステム」が提案されている。しかし、シングルシャフトマルチカーエレベータシステムは、一つのシャフト内で複数のかごがそれぞれ上向きと下向きに走行するため、シングルシャフトシングルカーエレベータシステムの運行制御は用いることができず、かご同士の衝突を回避する特別な運行制御が必要である。。
【0004】
ところで、マルチカーエレベータシステムとして、例えば図31に示すように、上昇専用シャフト3001と、下降専用シャフト3002と、これら2つのシャフト3001,3002の上端部と下端部をそれぞれ連結する上部連結通路3003と下部連結通路3004とを備え、複数のかご3005−1〜3005−4が上昇専用シャフト3001・上部連結通路3003・下降専用シャフト302・下部連結通路3002を順番に移動する、循環式マルチエレベータシステム3000の運行御方式が特開平6−305648号公報で提案されている。
【0005】
この循環式マルチエレベータシステム3000では、かご3005−1〜3005−4は一方向にのみ移動するため、一つのかご(前方のかご)とその後方を走行している別のかご(後方のかご)との間に一定の閉塞区間を規定し、後方のかごが前方のかごの閉塞区間内に入ったときに該後方のかごを停止させることにより、かごの追突を防止する運行制御方法が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、シングルシャフトマルチカーエレベータシステムは、複数のかごが独自に上昇と下降の動作を行うため、前方のかごに後方のかごが追突することを防止するだけでなく、2つのかごが正面衝突することを防止するように、運行制御する必要がある。また、複数のかごが独自に上昇と下降の動作を行なうため、衝突相手かごが動的に変化する。そのため、一方向の追突だけを考慮した循環式マルチカーエレベーターの運行制御はシングルシャフトマルチカーエレベータシステムには適用できず、シングルシャフトマルチカーエレベータシステム独自の新たな運行制御方式を開発することが必要とされている。
【0007】
そこで、本発明は、シングルシャフトマルチカーエレベータシステムに利用できる新たな運行制御システムを提供することを目的とする。また、本発明は、安全にシングルシャフトマルチカーエレベータシステムを運行できる新たな運行制御システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、一つのシャフト内を双方向に走行する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、他のかごからのリクエストが発行されると、かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況、または緊急落下距離にもとづいて他のかごの走行を制限する可能性のある制限区間を決定する制限区間処理フェーズと、前記かごにより、走行が規制される可能性のある他のかごを被拘束相手として決定し、被拘束相手に対して回送指令を行なう運行決定処理フェーズを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の形態は、一つのシャフト内を双方向に走行する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、他のかごからのリクエストが発行されると、かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況、または緊急落下距離にもとづいて他のかごの走行を制限する可能性のある制限区間を決定する制限区間処理フェーズと、前記かごにより、走行が規制される可能性のある他のかごを被拘束相手として決定し、制限区間内に被拘束相手がいれば、反転と待機を禁止する運行決定処理フェーズを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の形態は、一つのシャフト内を双方向に走行する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、他のかごからのリクエストが発行されると、かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況、または緊急落下距離にもとづいて他のかごの走行を制限する可能性のある制限区間を決定する制限区間決定部と、前記かごにより、走行が規制される可能性のある他のかごを被拘束相手として決定し、制限区間外に被拘束相手がいれば、該被拘束相手に対して進入禁止指令を行なう運行決定処理フェーズを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の形態は、これらの運行制御システムのいずれかを備えたことを特徴とするシングルシャフトマルチカーエレベータシステム。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の複数の実施の形態を説明する。なお、複数の実施の形態において同一の構成部分には同一の符号を付す。また、各実施の形態の説明において、必要に応じて方向などの位置関係を示す用語(例えば、「上」又は「下」若しくはそれらを含む用語)を使用するが、これは発明の理解を容易にするためであって、請求項に記載された発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
〔発明の基本構成〕
図1と図2を参照して本発明に係るシングルシャフトマルチカーエレベータシステム(以下、必要に応じて「エレベータシステム」という。)の基本構成について説明する。図示するように、エレベータシステム10は、建物(図示せず)に設けた一つのシャフト(エレベータ走行路)101内に複数のかごを備えている。説明の便宜上、シャフト101には、3台のかご(上段かごP3、中段かごP2、下段かごP1)が配置されているものとする。各かごP3、P2、P1は、他のかごが上昇又は下降しているか否かに拘わらず、かご同士が追突又は正面衝突(以下、両者を併せて「衝突」という。)する危険の無い範囲で、またエレベータシャフト101の終端部(上昇限界P4と下降限界P0)を超えて走行する危険の無い範囲で、自由に上昇と下降ができる。
【0016】
具体的に、いま中段かごP2が上昇する場合を想定する。この場合、中段かごP2の上昇を制限する対象(すなわち、中段かごP2が衝突する可能性のある対象)は上段かごP3である。そこで、エレベータシステム10の運行制御システム(図示せず)は、まず上段かごP3が存在する可能性のある範囲(以下、「占有区間」という。)Y3を確認する。次に、運行制御システムは、上段かごP3の占有区間Y3から、中段かごP2が上段かごP3と衝突することなく上昇し得る範囲(以下、「走行可能区間」)X2を求め、この走行可能区間X2の範囲内で中段かごP2の運行を制御する。
【0017】
中段かごP2が下降する場合、この中段かごP2の下降を制限する対象(すなわち、中段かごP2が衝突する可能性のある対象)は下段かごP1である。そこで、運行制御システムは、下段かごP1の占有区間Y1を確認し、この占有区間Y1をもとに、中段かごP2が下段かごP1と衝突することなく下降し得る走行可能区間X2を求め、この走行可能空間X2の範囲内で中段かごP2の運行を制御する。
【0018】
図2に示すように、上段かごP3が上昇する場合、この上段かごP3の上昇を規制する対象はシャフト101の上昇限界である。そこで、運行制御システムは、この上昇限界P4を超えてかごP3が上昇するのを防止する終端制約条件をもとに、上段かごP3の運行を制御する。一方、上段かごP3が下降する場合、この上段かごP3が衝突する可能性のある対象は中段かごP2である。したがって、運行制御システムは、中段かごP2の占有範囲Y2を確認し、これを利用して上段かごP3の走行可能区間X3を求め、この走行可能区間X3の範囲内で上段かごP3の運行を制御する。
【0019】
下段かごP1が下降する場合又上昇する場合、上段かごP3の場合と同様に、それぞれ下段かごP1の終端制約条件(下降限界P0)又は中段かごP2の占有区間Y2をもとにそれぞれ走行可能区間X1を求め、この走行可能区間X1の範囲内で下段かごP1の運行を制御する。
【0020】
なお、各かごP3、P2、P1の占有区間は、各かごの各階床に配置されている乗車ボタン及び各かごに配置されている降車ボタンからの信号等によって時間的又動的に変化する。そこで、運行制御システムは、かごをある階床に停止させるか否かを判断する時点で、又ある階床に停止しているかごを出発させる直前の時点で、走行を制限する対象(又は衝突する可能性のあるかご)の占有区間等を確認し、その確認結果をもとに当該かごの走行可能区間を決定し、かごの運行を制御する。したがって、衝突する可能性のあるかごの位置が時間と共に変化しても、その変化に対応してかごの走行を制御できる。
【0021】
ところで、上述の説明では、一つのかごが上昇又は下降するときに該かごの走行範囲を制限する条件として、走行方向に関して前方にある他のかご及びエレベータシャフトの終端部(上昇限界、下降限界)を例として挙げた。しかし、かご走行範囲を制限する条件には、これらの他に、エレベータ運行モード(例えば、分割サービス)を安全に行うために運行制御システムに組み込まれた論理的制約も含まれる。以下の説明では、それらの種々の制約を「拘束相手」という。また、かごが上昇又は下降するとき、該かごの走行方向前方にあって該かごの拘束相手となる別のかごを「相手かご」という。
【0022】
〔実施の形態1〕
図3は、本発明に係る運行制御システム103を示す。運行制御システム103は単一のシャフト101に配置された複数(n台)のかご2(2−1〜2−n)の各かごの運行を個別に制御する各台かご運行制御装置3(3−1〜3−n)および、単一もしくは複数のシャフトを全体的に制御する集中運行制御装置1を有する。これら集中運行管理制御装置1と各台かご運行制御装置3は、ビルの各階床に設けたホール呼びボタン4(4−1〜4−m)(m:階床数)に接続されており、ホール呼びボタン4から入力された乗車情報を取得する。一方、各台かご運行制御装置3は、対応するかご2に設けたかご呼びボタン5(5−1〜5−n)に接続されており、かご呼びボタン5から入力された降車情報を取得する。また、各台かご運行制御装置3は、シャフト101内におけるかご2の位置を検出する位置検出装置6(6−1〜6−n)と、かご2の走行速度を検出する速度検出装置7(7−1〜7−n)に接続されており、これらの検出装置6,7からかご2の現在位置と走行速度に関する情報を取得する。以上の情報を取得した各台かご運行制御装置3は、それらの情報をもとに、又必要であれば集中運行管理制御装置1から取得した情報を加えて、各かご2の走行・停止を決定すると共に、停止・加速・定速走行・減速・扉開閉などの制御を行う。
【0023】
図4(a)に示すように、各台かご運行制御装置3は、かご状態決定部21、終端制約条件保存部22、運行方式制約条件保存部23、占有区間決定部24、拘束相手決定部25、走行可能区間決定部26、運行判断部27、通信部28を有する。
【0024】
かご状態決定部21は、かご位置検出装置6とかご速度検出装置7などから得られた情報に基づいて、かご2の位置・速度・サービス方向などのかご運行状態を決定する。
【0025】
終端制約条件保存部22は、シャフト101の終端〔(シャフト内でかごが上昇又は下降できる限界位置(上昇限界、下降限界)〕など、かごの走行を制限する物理的な条件を記憶しており、拘束相手としてシャフト終端が選択された場合、シャフト終端から決まる占有区間を走行可能区間決定部26に与える.
【0026】
運行方式制約条件保存部23は、サービス向上・運行効率・安全性などを考慮し、各かごに対して動的に決定されたサービス除外階床や走行条件など、かごの走行を制約する論理的な条件を記憶しており、拘束相手として論理的な制約条件が選択された場合、この論理的な制約条件から決まる占有区間を走行可能区間決定部26に与える。
【0027】
占有区間決定部24はかごの状態に基づいて所定の演算を行い、かごが存在する可能性のある区間を占有区間として決定する。
【0028】
拘束相手決定部25は、シャフト101内を走行するかごの位置とサービス方向に従って、かごの走行を制限する拘束相手を決定する。
【0029】
走行可能区間決定部26は、かご2がシャフト101内を自由に走行できる走行可能区間を、当該かご2の状態と拘束相手の占有区間とに基づいて演算し決定する。
【0030】
運行判断部27は、シャフト101内を走行するかご2について、現時点で停止可能階床の次の階床(例えば、かごが上昇中の場合、現在10階が停止可能である場合に次の11階)が当該かご2の走行可能区間内にあるか否かを判断し、走行可能区間内にあれば当該次の階床に対して「走行」、走行可能区間の外にあれば当該次の階床に対して「停止」と判断する。
【0031】
通信部28は、他の各台かご運行制御装置3および集中運行管理制御装置1との通信を制御する。
【0032】
〔運行制御〕
以上の物理的構成を含む各台かご運行制御装置3は、機能的側面から見た場合、図4(b)、(c)に示すように、「占有区間処理」と「運行決定処理」の2つのフェーズ30、31から構成されており、占有区間処理フェーズ30はかご状態決定部21・占有区間決定部24・通信部28により行われ、運行決定処理フェーズ31は終端制約条件保存部22・運行方式制約条件保存部23・拘束相手決定部25・走行可能区間決定部26・運行判断部27・通信部28により行われる。
【0033】
〔占有区間処理フェーズ:図5参照〕
占有区間処理フェーズ30は、図5のフローチャートで示すプログラム(100)に従って行われる。具体的に、本プログラム(100)では、これを搭載した各台かご運行制御装置3に対し、この各台かご運行制御装置3に対応するかご2の占有区間を問い合わせるリクエストが、当該かご2に隣接する別のかごから発行されたか否か判断する(100−1)。以後、占有区間のリクエストを受けたかごを「2y」、リクエストを発行したかごを「2x」で示す。
【0034】
リクエストが無い場合、占有区間処理フェーズ30を終了する。リクエストが有る場合、「占有区間決定処理イベント」を発行し、占有区間決定処理を起動する(100−2)。次に、かごの運行状態(かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況など)を決定するかご状態決定サブルーチンを起動し(100−3)、かご2yの運行状態を求める。続いて、かご2yが存在する可能性のある区間(占有区間)を求める占有区間決定サブルーチン(100−4)を実行し、かご状態決定部21で求めたかごの運行状態をもとに占有区間決定部24が占有区間を決定する(100−4)。この占有区間決定サブルーチン(100−4)の処理は後に詳細に説明する。最後に、応答通信サブルーチン(100−5)を実行し、占有区間決定サブルーチン(100−4)で決定されたかご2yの占有区間を、リクエストを発行したかご2xの各台かご運行制御装置3に送信し、占有区間処理フェーズ30を終了する。
【0035】
〔占有区間決定サブルーチン100−4:図6参照〕
占有区間決定サブルーチン(100−4)の処理を図6に示す。この占有区間決定サブルーチン(100−4)では、かご2yのサービス方向が上向きか下向きかを判断する(100−4−1)。判断の結果、サービス方向が上向きの場合、以下の式に基づいて、占有区間のリクエストを受けたかご2yの占有区間〔Sa、Sb〕(Sa:占有区間下限界、Sb:占有区間上限界)を計算する(100−4−2)(図7参照)。
Sa=かごの最下端位置(Lb)−緊急落下距離(H0)
Sb=前方停止可能階床の床位置(Lf)+かごの高さ(H1)
ここで、緊急落下距離H0は、かご2yの緊急安全装置の性能と、このかご2yのサービス方向・運行速度に応じて、運行制御装置の故障を検知から緊急安全装置を起動する指令を出すまでのかご2yの走行距離と、緊急安全装置が稼動してからかご2yが停止するまでの走行距離の少なくとも一方又は両方の和として定義される。
【0036】
サービス方向が下向きの場合、以下の式に基づいて、占有区間のリクエストを受けたかご2yの占有区間〔Sa、Sb〕(100−4−3)を計算する(図8参照)。
Sa=前方停止可能階床の床位置(Lf)−緊急落下距離(H0)
Sb=かごの最上端位置(Lt)
【0037】
サービス方向の無方向(すなわち、待機中)の場合、かご2yの占有区間〔Sa、Sb〕(100−4−4)は以下のように計算される。
Sa=かごの最下端位置(Lb)−緊急落下距離(H0)
Sb=かごの最上端位置(Lt)
【0038】
以上のようにして計算された占有区間〔Sa、Sb〕は、占有区間の応答通信サブルーチン(100−5)(図5参照)で、占有区間リクエストを発行した各台かご運行制御装置3に送信される(100−4−5)。
【0039】
〔運行決定処理フェーズ:図9参照〕
運行決定処理フェーズ31は、図9のフローチャートで示すプログラム(200)に従って、実行される。本プログラム(200)では、かご2xが停止している状態で、ホール呼びボタン4またはかご呼びボタン5からの指示に基づき、出発のリクエスト(指令)を受けたか否か判断する(200−1)。かご2xが停止中の場合、「出発リクエスト」を受信した時点で、以下に説明する運行決定処理に進む。なお、フローチャートには表していないが、かご2xが非停止中(走行中)の場合、判断処理(200−1)において出発リクエストは無かったものとして扱われる。
【0040】
出発リクエストが無い場合、走行中のかご2xが運行制御位置にあるか否か判断し、かご2xが運行制御位置に有れば以下に説明する運行決定処理に進み、運行制御位置に無ければ運行決定処理フェーズ(200)を終了する。なお、運行制御位置とは、走行中のかご2xがある階床に停止しようとする場合、その階床に停止するために減速を開始する時点又は位置をいう。
【0041】
停止中のかごに対して出発リクエストが発行されるか、走行中のかごが運行制御位置に到達したと判断された場合、運行決定処理サブルーチンが実行される(200−3)。運行決定処理サブルーチン(200−3)の処理は後に詳細に説明する。運行決定処理サブルーチンの処理が終了すると、かご2xが走行状態の場合は走行を維持するか否か判断し(200−4)、さらに走行を維持する場合は次の運行制御位置を決定する(200−5)。判断(200−4)又は処理(200−5)が終了すると、運行決定処理フェーズ(200)を完了する。
【0042】
〔運行決定処理200−3:図10参照〕
図10に示すように、運行処理(200−3)では、かご2xの状態(かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況など)を決定する(200−3−1)。次に、かご2xの走行を規制する拘束相手を決定するサブルーチンを実行する(200−3−2)。このサブルーチンの詳細は後に説明する。続いて、拘束相手決定サブルーチンで決定された拘束相手が、同一シャフト101内の別のかご2yか否か判断し、判断の結果によって処理が分岐する(200−3−3)。
【0043】
拘束相手がかご2yの場合、拘束相手かご2yの占有区間を問い合わせる通信処理を実行する(200−3−4)。この処理では、拘束相手となるかご2yの運行を制御する各台かご運行制御装置3に対して、かご2yの占有区間を問い合わせるリクエスト発行する。このリクエストを受信した各台かご運行制御装置3は、上述した占有区間処理フェーズ(100)の占有区間決定処理(100−4)で占有区間〔Sa、Sb〕を計算し、リクエストを発行したかご2xの各台かご運行制御装置3に送信する。
【0044】
占有区間の問い合わせ後、拘束相手となるかご2yの各台かご運行制御装置3から占有区間の返信があったか否か判断し(200−3−8)、占有区間の返信があれば走行可能区間決定サブルーチン(200−3−9)を実行し、かご2xが自由に走行できる区間(走行可能区間)を決定する。走行可能区間決定サブルーチン(200−3−9)での処理は後に詳細に説明する。一方、占有区間の返信が所定時間内に無ければ、かご停止処理(200−3−12)を実行する。かご停止処理(200−3−12)は、かご2xが停止中のときはそのかご2xの出発を禁止し、かご2xが走行中の場合は走行を停止するか若しくは走行方向の最も近い階床に停止する。
【0045】
一方、判断(200−3−3)で拘束相手が別のかご2yでないと判断された場合、拘束相手はシャフト101の終端(上昇限界又は下降限界)か否か判断する(200−3−5)。判断の結果、拘束相手がシャフト101の終端でない場合、かご2xの運行方式制約条件保存部23より占有区間を取得し(200−3−6)、走行可能区間決定サブルーチン(200−3−9)に進む。一方、拘束相手がシャフト101の終端である場合、当該かご2xの終端制約条件保存部22より占有区間を取得し(200−3−7)、走行可能区間決定サブルーチン(200−3−9)に進む。走行可能区間決定サブルーチン(200−3−9)は、運行方式制約条件保存部23又は終端制約条件保存部22から取得した占有区間をもとに、サービス方向に関する走行可能区間を決定する。
【0046】
走行可能区間決定サブルーチン(200−3−9)で決定されたかご2xの走行可能区間を用いて、運行判断(200−3−10)でかご2xを走行させるか停止させるかを決定し、走行させると決定されたとき(200−3−11)は走行処理(200−3−13)でかご2xの走行を制御する。一方、運行判断(200−3−10)でかご2xを停止させると決定した場合、停止処理(200−3−12)を実行してかご2xの運行を停止する。以上の処理により、運行処理(200)を終了する。
【0047】
〔拘束相手決定サブルーチン200−3−2:図11参照〕
図11に示すように、拘束相手決定サブルーチン(200−3−2)では、まずかご2xのサービス方向にある拘束相手を判断するために用いる係数(拘束相手決定係数)Pdを決定する。この係数Pdには、サービス方向が下向きのとき「−1」、サービス方向が上向きのとき「+1」が与えられる。
【0048】
次に、拘束相手の番号を決定する(200−3−2−2)。ここでの決定は、下記の拘束相手決定式を用いて行われる。
Pn=Ps+Pd
Pn:拘束相手番号
Ps:走行可能範囲を求めるかご2xの番号
Pd:拘束相手決定係数(「−1」又は「+1」)
【0049】
続いて、拘束相手決定式で決定された拘束相手番号Pnが所定の範囲(最小値B、最大値A)に属するか否か判断し(200−3−2−3)、拘束相手が別のかごか否か判断する。例えば、最小値Bは「1」、最大値Aは「n」(すなわち、同一シャフト101内に配置されたかごの数)である。具体的に、図1に示すように3台のかごを備えたエレベータシステム10において中段かごP2のサービス方向が上向きの場合、この中段かごP2に対し、走行可能範囲を求めるかご2xの番号Psが「2」、かご2xのサービス方向が上向きであるから拘束相手決定係数Pdが「+1」、その結果、拘束相手番号Pnは「3」となり、拘束相手となるかご2yは上段かごとなる。また、中段かごP2のサービス方向が下向きの場合、この中段かごP2に対し、走行可能範囲を求めるかご2xの番号Psが「2」、かご2xのサービス方向が下向きであるから拘束相手決定係数Pdが「−1」、その結果、拘束相手番号Pnは「1」となり、拘束相手となるかご2yは下段かごP1となる。決定された相手かご番号は、運行処理サブルーチン(200−3)(図10参照)にリターンされる。
【0050】
一方、図2に示すように、走行可能範囲を求めるかご2x(下段かご)の番号Psが「1」、かご2xのサービス方向が下向きで拘束相手決定係数Pdが「−1」の場合、拘束相手番号Pnは「0」となり、拘束相手はシャフト終端(下降限界)P0となる。同様に、走行可能範囲を求めるかご2x(上段かご)の番号Psが「3」、かご2xのサービス方向が上向きで拘束相手決定係数Pdが「+1」の場合、拘束相手番号Pnは「4」となり、拘束相手はシャフト終端(上昇限界)P4となる。これらの場合、拘束相手番号が最小値Bと最大値Aの範囲外となり、かご以外の拘束相手番号が運行処理サブルーチン(200−3)にリターンされる。運行処理サブルーチン(200−3)にリターンされた拘束相手番号は、図10に示すように、まず拘束相手が別のかごか否かの判断(200−3−3)で利用される。
【0051】
〔走行可能区間決定サブルーチン200−3−9:図12参照〕
図12に示すように、走行可能区間決定サブルーチン(200−3−9)では、かご2xのサービス方向が「上向き」か「下向き」かを判断する(200−3−9−1)。判断の結果、サービス方向が上向きの場合、図13(a)に示すように、走行可能区間〔Rd、Ru〕(Rd:区間下限、Ru:区間上限)は、次のように決定される(200−3−9−2)。
Rd:かごの最下端
Ru:拘束相手の占有区間の下限界(Sb)−余裕距離(H3)
【0052】
ここで、余裕距離H3は、かご2xの緊急安全装置の性能と、このかご2xのサービス方向・運行速度に応じて、運行制御装置の故障を検知から緊急安全装置を起動する指令を出すまでのかご2xの走行距離と、緊急安全装置が稼動してからかご2xが停止するまでの走行距離の少なくとも一方又は両方の和として定義され、この余裕距離H3がかご2xの走行前方(拘束相手であるかご2yとの間)に設けられる。
【0053】
一方、サービス方向が下向きの場合、図13(b)に示すように、走行可能区間〔Rd、Ru〕(Rd:区間下限、Ru:区間上限)は、次のように決定される(200−3−9−3)。
Rd:拘束相手の占有区間の上限界(Sa)+余裕距離(H3)
Ru:かごの最上端
【0054】
以上のように、実施の形態1の運行制御システムによれば、一つのシャフト内を複数のかごが双方向に走行するエレベータシステムにおいて、時間的に変化する複数のかごの走行状態を把握し、それら複数のかごを安全かつ円滑に運行制御できる。また、占有区間のリクエストにより他のかごの運行制御装置との通信を一回だけ行なうので、制御に関連する通信量を減少することができる。更に、他のかごに関連する装置からの信号によらず、他のかごの運行制御装置が故障した場合でも、当該かごの運行制御装置で走行・停止が判断できる。
【0055】
本実施例においては、各台かご運行制御装置3に占有区間処理フェーズ30ならびに運行決定処理フェーズ31の機能を実装しているが、これらの機能を単一もしくは複数のシャフトの制御を行なう集中運行管理制御装置に実装しても良い。
【0056】
また、集中運行管理制御装置は各シャフト毎に単一のシャフトの制御を行なうシャフト内集中運行管理制御装置と、それより上位にあって、呼び割当などを複数のシャフトに渡る群管理制御などの機能を行なうシャフト間集中運行管理制御装置からなる階層的な構成を行なっても良い。
【0057】
〔実施の形態2〕
実施の形態2に係る運行制御システムを図14に示す。運行制御システム104は、一つ又は複数のシングルシャフトマルチカーエレベータシステムからなる輸送システムを総合的に管理する集中運行管理制御装置110を有する。図15に示すように、集中運行管理制御装置110は、システム10の全体の輸送効率を高めるための群管理部40と、各シャフトについて複数のかごを衝突することなく安全に運行制御する運行制御決定部41を有する。運行制御決定部41は、かご状態推論部29を備えている。また、運行制御決定部41は、実施の形態1で説明した、複数のかごを衝突することなく制御するために必要の構成(終端制約条件保存部22、運行方式制約条件保存部23、占有区間決定部24、拘束相手決定部25、走行可能区間決定部26、運行判断部27、通信部28)を備えている。一方、各台かご運行制御装置3は、実施の形態1で説明した衝突防止制御に必要な構成を除き、個々のかごの走行・停止を制御するために必要な構成を備えている。
【0058】
かご状態推論部29は、図16に示すように、かご運行情報記憶部291と、かご固有情報記憶部292と、かご位置演算部293と、かご速度演算部294を備えている。かご運行情報記憶部291は、かごのサービス方向・直前出発階床・直前出発時刻などの運行情報を記憶している。かご固有情報記憶部292は、かごの定格速度・定格加速度・加速時間などのかご固有の性能パラメーターを記憶している。かご位置演算部293は、かご運行情報記憶部291よりサービス方向・直前出発階床・直前出発時刻の運行情報を取得し、またかご固有情報記憶部292よりかごの定格速度・定格加速度・加速時間の固有情報を取得し、それらの情報をもとに各かごの現在位置を決定する。かご速度演算部294は、かご運行情報記憶部291より直前出発時刻の運行情報を取得し、かご固有情報記憶部292よりかごの定格速度・定格加速度・加速時間の固有情報を取得し、それらの情報をもとに各かごの現在速度を決定する。
【0059】
このような構成を備えた運行制御システム104によれば、複数のかごの衝突防止を一つの運行制御決定部41で行うことができる。そのため、実施の形態1の運行制御システムでは、かご同士の衝突を防止するために複数の運行制御装置の間で通信を行うことが不可欠であるが、実施の形態2の運行制御システム104では、そのような通信は不要である。そのため、通信不良に起因する障害が発生することはない。
【0060】
また、かご状態推論部29では、各かごの運行状態(走行中又は停止中)・かごのサービス方向・かごの直前出発階床・直前出発時刻・かごの定格速度・かごの定格加速度・かごの加加速時間に基づいて、演算によって各かごの現在位置・かごの現在の速度などのかご状態を決定しているので、かごの位置や速度を検出する装置が不要になるとともに、それらの装置の故障による制御動作の誤りを無くすことができる。
【0061】
〔実施の形態3〕
上述した実施の形態1及び2は、図17に示すように、「ある時点で」かごが存在する可能性のある範囲を「占有区間」とし、相手かごの占有区間に別のかご(以下、このかごを「自かご」という。)が進入しないように運行制御するものである。この運行制御によれば、かご呼びとホール呼びの発生状況又はホール呼びの割当状況によっては、図17に示すように、あるかご2xに乗った乗客の目的階が別のかご2yの占有区間内に位置すると同時に、かごの2yに乗った乗客の目的階がかご2xの占有区間内に位置する場合、両かご2x、2yがそれぞれ目的階に到達できない事態(デッドロック状態)が発生する可能性がある。
【0062】
本実施の形態3は、このようなデッドロック状態の発生を未然に防止し、更に円滑な運行を実現するものである。具体的な説明に先立って、実施の形態3の概略について図18を用いて説明すると、各かごについて、その運行状況をもとに、占有区間と、この占有区間のかごのサービス方向側に他のかごの運行を制限する可能性のある制限区間を設定し、あるかご2xが別のかご2yの制限区間内に存在する場合、又は別のかご2yがかご2xの制限区間内に存在する場合、制限区間内に存在するかごを制限区間外に回送するものである。
【0063】
具体的に説明すると、本実施の形態の運行制御システムにおいて、各台かご運行制御装置3は、図19(a)に示すように、かご状態決定部21、終端制約条件保存部22、運行方式制約条件保存部23、占有区間決定部24、拘束相手決定部25、走行可能区間決定部26、運行判断部27、通信部28に加え、新たに制限区間決定部241と運行制限判断部271を有する。各台かご運行制御装置3を機能的側面から見た場合、図19に示すように、「占有区間処理フェーズ30」、「制限区間処理フェーズ301」、「運行決定処理フェーズ31」の3つのフェーズから構成されており、占有区間処理フェーズ30の処理はかご状態決定部21・占有区間決定部24・通信部28により行われ、制限区間処理フェーズ301の処理はかご状態決定部21・制限区間決定部241・通信部28により行われ、運行決定処理フェーズ31の処理は終端制約条件保存部22・運行方式制約条件保存部23・拘束相手決定部25・走行可能区間決定部26・運行判断部27・通信部28・運行制限判断部271により行われる。
【0064】
〔制限区間処理フェーズ:図20参照〕
制限区間処理フェーズ301は、図20のフローチャートで示すプログラム(1001)に従って行われる。具体的に、本プログラム(1001)では、これを搭載した各台かご運行制御装置3に対し、この各台かご運行制御装置3に対応するかごの制限区間を問い合わせるリクエストが、別のかごから発行されたか否か判断する(1001−1)。以後、制限区間のリクエストを受けたかごを「2y」、リクエストを発行したかごを「2x」で示す(図18参照)。
【0065】
リクエストが無い場合、制限区間処理フェーズ1001を終了する。リクエストが有る場合、「制限区間決定処理イベント」を発行し、制限区間決定処理を起動する(1001−2)。次に、かごの運行状態(かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況など)を決定するかご状態決定サブルーチンを起動し(1001−3)、かご2yの運行状態を求める。続いて、かご2yの制限区間を求める制限区間決定サブルーチン(1001−4)を実行し、かご状態決定部21で求めたかごの運行状態をもとに制限区間決定部241が制限区間を決定する(1001−4)。この制限区間決定サブルーチン(1001−4)の処理は後に詳細に説明する。最後に、応答通信サブルーチン(1001−5)を実行し、制限区間決定サブルーチン(1001−4)で決定されたかご2yの制限区間を、リクエストを発行したかご2xの各台かご運行制御装置3に送信し、制限区間処理フェーズ301を終了する。
【0066】
〔制限区間決定サブルーチン101−4:図21参照〕
制限区間決定サブルーチン(1001−4)の処理を図21に示す。この制限区間決定サブルーチン(1001−4)では、かご2yのサービス方向が上向きか下向きかを判断する(1001−4−1)。判断の結果、サービス方向が上向きの場合、図22に示すように、制限区間のリクエストを受けたかご2yの制限区間[Sm、Sn](Sm:制限区間下限界、Sn:制限区間上限界)を計算する(1001−4−2)。(なお、この場合、制限区間下限界Smは占有区間下限界Saに等しい。)
Sm=かごの最下端位置(Lb)−緊急落下距離(H0)
Sn=最前方反転可能階床の床位置(Lx)+かごの高さ(H1)
ここで、緊急落下距離H0は、かご2yの緊急安全装置の性能と、このかご2yのサービス方向・運行速度に応じて、運行制御装置の故障を検知から緊急安全装置を起動する指令を出すまでのかご2yの走行距離と、緊急安全装置が稼動してからかご2yが停止するまでの走行距離の少なくとも一方又は両方の和として定義される。
また、最前方反転可能階床は、現時点でかごに登録されている停止階床の内で最上方階である最前方停止階床がホール呼びによる停止の場合、当該かごのサービス可能階床の最上方階とする。逆に、最前方停止階床がかご呼びによる停止の場合は、最前方反転可能階床は最前方停止階床とする。なお、サービス可能階床の最上方階は、常に固定される場合、時間帯や交通状況に応じて設定される場合、シャフト内のかごの運行状態に応じて設定される場合、当該かごが運行状態に応じて設定する場合があるが、これは例えば運行方式制約条件保存部23から得る。
【0067】
図23に示すように、サービス方向が下向きの場合、以下の式に基づいて、制限区間のリクエストを受けたかご2yの制限区間[Sm、Sn](Sm:制限区間下限界、Sn:制限区間上限界)を計算する(1001−4−2)(この場合、制限区間上限界Snは占有区間上限界Sbに等しい。)
Sm=最前方反転可能階床の床位置(Lx)−緊急落下距離(H0)
Sn=かごの最上端位置(Lt)
ここで、最前方停止階床がホール呼びによる停止の場合、最前方反転可能階床は当該かごのサービス可能階床の最下方階とする。逆に、最前方停止階床がかご呼びによる停止の場合、最前方反転可能階床は最前方停止階床とする。なお、サービス可能階床の最下方階は、常に固定される場合、時間帯や交通状況に応じて設定される場合、シャフト内のかごの運行状態に応じて設定される場合、当該かごが運行状態に応じて設定する場合があるが、これは例えば運行方式制約条件保存部23から得る。
【0068】
サービス方向の無方向(すなわち、待機中)の場合、かご2yの制限区間〔Sm、Sn〕(1001−4−4)は以下のように計算される。
Sm=かごの最下端位置(Lb)−緊急落下距離(H0)
Sn=かごの最上端位置(Lt)
【0069】
以上のようにして計算された制限区間〔Sm、Sn〕は、制限区間の応答通信サブルーチン(1001−5)(図20参照)で、制限区間リクエストを発行した各台かご運行制御装置3に送信される。
【0070】
なお、占有区間処理フェーズと制限区間処理フェーズは分けて実施してもよいが、通常は2つのフェーズを合わせて実施することになる。そこで、これら2つのフェーズを占有・制限区間処理フェーズとして統合することも可能である。
【0071】
〔運行決定処理フェーズ:図24参照〕
運行決定処理フェーズ31は、図24のフローチャートで示すプログラム(2000)に従って実行される。本プログラム(2000)は、システム内で設定されている一定の時間ごとに周期的に実行され、まずかご2xが停止しているかどうかを判断する(2000−1)。かご2xが停止している場合、ホール呼びボタン4またはかご呼びボタン5からの指示に基づき、出発のリクエスト(指令)を受けたか否か判断する(2000−3)。停止中のかご2xは、「出発リクエスト」を受信した時点で、以下に説明する回送指令処理と運行決定処理に進む。「出発リクエスト」を受信していない場合は、待機中(かごが停止中で、かご呼び又はホール呼びのいずれも登録されていない状態)に相当するので、回送処理サブルーチンが実行される(2000−4)。回送処理サブルーチンの処理は後に詳細に説明する。
【0072】
かご2xが停止していない場合、走行中のかご2xが運行制御位置にあるか否か判断し(2000−2)、かご2xが運行制御位置にあれば以下に説明する回送指令処理(2000−5)に進み、運行制御位置に無ければ運行決定処理フェーズ(2000)を終了する。運行制御位置とは、走行中のかご2xがある階床に停止しようとする場合、その階床に停止するために減速を開始する時点又は位置をいう。
【0073】
停止中のかごに対して出発リクエストが発行されるか、走行中のかごが運行制御位置に到達したと判断された場合(2000−2又は2000−3の判断が「YES」の場合)、まず回送指令処理サブルーチンが実行され(2000−5)、次に運行決定処理サブルーチンが実行される(2000−6)。回送指令処理サブルーチン(2000−5)と運行決定処理サブルーチン(2000−6)の処理は後に詳細に説明する。運行決定処理サブルーチンの処理が終了すると、かご2xが走行状態の場合は走行を維持するか否か判断し(2000−7)、さらに走行を維持する場合は次の運行制御位置を決定する(2000−8)。判断(2000−7)又は処理(2000−8)が終了すると、運行決定処理フェーズ(2000)を完了する。
【0074】
〔回送処理2000−4:図25参照〕
図25に示すように、かご2xにより走行を規制される可能性がある他のかごを決定する被拘束相手決定サブルーチンを実行する(2000−4−1)。このサブルーチンの処理は、かご2xの上方向および下方向に存在する他のかごを決定するもので、実施の形態1における拘束相手決定サブルーチン(200−3−2)の処理と類似している。具体的には、図26に示すように、被拘束相手決定サブルーチン(200−4−1)では、被拘束相手決定係数Pd’を「−1」及び「+1」として(2000−4−1−1)、サービス方向が上向きと下向きの場合の被拘束相手をそれぞれ決定する(2000−4−1−2〜2000−4−1−5)。そして、図25に戻り、決定された2つの被拘束相手に対して、それぞれ(2000−4−2)以降の処理を実施する。なお、上向きと下向きのいずれのサービス方向にある被拘束相手に関して(2000−4−2)以降の処理を優先的に行うかは任意であって、まず上向きサービス方向について処理を行い、次に下向きのサービス方向について処理を行ってもよいし、その逆の順序であってもよい。または、回送処理の最初に上向き方向(又は下向き方向)について被拘束相手を決定し、この決定された被拘束相手に対する回送判断及び/又は回送処理が終了した後、逆の下向き方向(又は上向き方向)について被拘束相手を決定して回送判断及び/又は回送処理を行ってもよい。
【0075】
続いて、被拘束相手決定サブルーチンで決定された被拘束相手が、同一シャフト101内の別のかご2yか否か判断し(2000−4−2)、被拘束相手がかごでない場合は回送処理を終了する。一方、被拘束相手がかご2zの場合、被拘束相手かご2zの制限区間を問い合わせる通信処理を実行する(2000−4−3)。この処理では、被拘束相手となるかご2zの運行を制御する各台かご運行制御装置3に対して、かご2zの制限区間を問い合わせるリクエスト発行する。このリクエストを受信した各台かご運行制御装置3は、上述した制限区間処理フェーズ(1001)の制限区間決定処理(1001−4)で制限区間〔Sm、Sn〕を計算し、リクエストを発行したかご2xの各台かご運行制御装置3に送信する。
【0076】
制限区間の問い合わせ後、被拘束相手となるかご2zの各台かご運行制御装置3から制限区間の返信があったか否か判断し(2000−4−4)、制限区間の返信が所定時間内に無ければ、回送処理(2000−4−7)を実行する。一方、制限区間の返信があれば回送するか否かの回送判断(2000−4−5)を実行し、かご2xを回送するか否かを決定する(2000−4−6)。回送判断(2000−4−5)では、例えば図18の上段に示すようにかご2yの制限区間内にかご2xが存在すれば、かご2xを回送する(かご2yの制限区間から退避させる)と判断する。回送処理(2000−4−7)では、かご2yの制限区間外にかご2xを回送させる。また、制限区間の返信が所定時間内にない場合は、例えばかご2xの主階床にかご2xを回送させる。
【0077】
〔回送指令処理200−5:図27参照〕
図27に示すように、回送指令処理(2000−5)では、上述した制限区間処理フェーズ(1001)により、出発リクエストが発行された又は走行中のかご2xの制限区間を決定する(2000−5−1)。次に、かご2xの走行を規制する拘束相手を決定するサブルーチンを実行する(2000−5−2)。このサブルーチンの処理は、実施の形態1における拘束相手決定サブルーチン(200−3−2)の処理と同一である。続いて、拘束相手決定サブルーチンで決定された拘束相手が、同一シャフト101内の別のかご2yか否か判断し(2000−5−3)、拘束相手がかごでない場合は回送処理を終了する。
【0078】
拘束相手がかご2yの場合、拘束相手かご2yの占有区間を問い合わせる通信処理を実行する(2000−5−4)。この処理では、拘束相手となるかご2yの運行を制御する各台かご運行制御装置3に対して、かご2yの占有区間を問い合わせるリクエスト発行する。このリクエストを受信した各台かご運行制御装置3は、上述した占有区間処理フェーズ(100)の占有区間決定処理(100−4)で占有区間〔Sa、Sb〕を計算し、リクエストを発行したかご2xの各台かご運行制御装置3に送信する。
【0079】
占有区間の問い合わせ後、拘束相手となるかご2yの各台かご運行制御装置3から占有区間の返信があったか否か判断し(2000−5−5)、占有区間の返信が所定時間内に無ければ、回送指令(2000−5−8)をかご2yに送信する。一方、占有区間の返信があれば回送指令判断(2000−5−6)を実行し、かご2yを回送させるか否かを決定する(2000−5−7)。回送指令判断(2000−5−7)では、まずかご2yが待機中かどうかを判断する。これは、占有区間の問合わせ通信(2000−5−4)時に待機中であるかを合わせて問合せてもよい。あるいは、占有区間〔Sa,Sb〕の長さから判断することも可能である。そして、例えば図18の下段に示すようにかご2xの制限区間内にかご2yが待機しておれば、かご2yを回送させると判断する。回送指令(2000−5−8)を受けたかご2yは、例えばかご2xの制限区間外に回送する。また、占有区間の返信が所定時間内にない場合、例えばかご2yの主階床にかご2yを回送させる。
【0080】
以上のように、本実施の形態3の運行制御システムでは、かご(自かご)が待機中の場合、相手かごの制限区間を問い合わせ、その制限区間内に自かごが存在すれば、この自かごを相手かごの制限区間外に回送する。また、かご(自かご)が走行中の場合、自かごの制限区間内に相手かごが待機しておれば、この相手かごを自かごの制限区間外に回送する。したがって、2つのかごの運行範囲が干渉して共に運行不能となることがない。
【0081】
また、本実施の形態では、回送指令処理(2000−5)を運行決定処理(2000−6)よりも先に実行することにより、待機中の相手かごのために、自かごが停止動作を開始するまでに、相手かごの回送動作を開始することができる。
【0082】
さらに、制限区間の大きさは、交通量やかご運行状態に応じて拡大又は縮小することが可能であり、例えば制限区間を小さくすれば、回送回数が少なくなる。逆に、制限区間を大きくすれば、待機中のかごによって運行が制約される回数が少なくなる。
【0083】
〔実施の形態4〕
実施の形態4は、図24に示す運行決定処理フェーズ(2000)の運行決定処理サブルーチン(2000−6)において他のかごの制限区間を問合わせて、この制限区間内に自かごが存在すれば自かごの反転、待機を禁止し、制限区間外に自かごが存在すれば自かごが他のかごの制限区間内に進入するのを禁止するものである。
【0084】
〔運行決定処理2000−6:図28、図29参照〕
具体的に、図28に示すように、運行決定処理(2000−6)では、かご2xの運行状態(かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況など)を決定する(2000−6−1)。次に、かご2xの走行を規制する拘束相手を決定するサブルーチンを実行する(2000−6−2)。このサブルーチンでの処理は、上述したサブルーチン(200−3−2)と同一である。続いて、拘束相手決定サブルーチンで決定された拘束相手が、同一シャフト101内の別のかごか否か判断し(2000−6−3)、判断の結果によって処理が分岐する。
【0085】
判断(2000−6−3)で拘束相手が別のかごでないと判断された場合、拘束相手はシャフト101の終端(上昇限界又は下降限界)か否か判断する(2000−6−5)。判断の結果、拘束相手がシャフト101の終端でない場合、かご2xの運行方式制約条件保存部23より占有区間を取得し(2000−6−6)、走行可能区間決定サブルーチン(2000−6−9)に進む。一方、拘束相手がシャフト101の終端である場合、当該かご2xの終端制約条件保存部22より占有区間を取得し(2000−6−7)、走行可能区間決定サブルーチン(2000−6−9)に進む。走行可能区間決定サブルーチン(2000−6−9)は、運行方式制約条件保存部23又は終端制約条件保存部22から取得した占有区間をもとに、サービス方向に関する走行可能区間を決定する。
【0086】
一方、拘束相手がかご2yの場合、拘束相手かご2yの占有区間を問い合わせる通信処理を実行する(2000−6−4)。この処理では、拘束相手となるかご2yの運行を制御する各台かご運行制御装置3に対して、かご2yの占有区間を問い合わせるリクエスト発行する。このリクエストを受信した各台かご運行制御装置3は、上述した占有区間処理フェーズ(100)の占有区間決定処理(100−4)で占有区間〔Sa、Sb〕を計算し、リクエストを発行したかご2xの各台かご運行制御装置3に送信する(2000−6−3)。
【0087】
リクエストを発行した各台かご運行制御装置3は、占有区間の問い合わせ後、拘束相手となるかご2yの各台かご運行制御装置3から占有区間の返信があったか否か判断する(2000−6−8)。占有区間の返信が所定時間内に無ければ、かご停止処理(2000−6−10)を実行する。かご停止処理(200−6−10)は、かご2xが停止中のときはそのかご2xの出発を禁止し、かご2xが走行中の場合は走行を停止するか若しくは走行方向の最も近い階床に停止する。
【0088】
一方、占有区間の返信があれば、走行可能区間決定サブルーチン(2000−6−9)を実行し、かご2xが自由に走行できる区間(走行可能区間)を決定する。走行可能区間決定サブルーチン(2000−6−9)での処理は、図10のおける走行可能区間決定サブルーチンでの処理と同一である。
【0089】
次に、拘束相手かご2yの制限区間を問い合わせる(2000−6−11)。続いて、制限区間の返信があるか否かを判断する(2000−6−12)。所定時間内に返信が無ければ、占有区間の問い合わせ(2000−6−4)と同様に、かご停止処理(2000−6−10)を実行する。一方、返信があり、かご2xが返信された制限区間外にあると判断された場合には、当該制限区間内に進入しないよう、かご2xを走行させるか停止させるかを決定する(2000−6−13)。運行制限判断(2000−6−13)で停止させると決定されたとき、停止処理(2000−6−10)を実行してかご2xの運行を停止する。かご2xを走行させると決定した場合、被拘束相手決定手段を用いてかご2xにより走行を規制される可能性がある他のかご(かご2yとは逆の方向にある別のかご2z)を決定し(2000−6−14)、決定された被拘束相手かご2zの制限区間を問い合わせる(2000−6−15)。続いて、制限区間の返信があるか否かを判断する(2000−6−16)。所定時間内に返信が無ければ、かご停止処理(2000−6−10)を実行する。一方、返信があれば、返信された制限区間を用いて、かご2xの反転および待機を禁止するかどうかを決定する(2000−6−17)。かご2xの反転及び待機を禁止するか否かの判断は、返信された被拘束相手かご2zの制限区間の中にかご2xが存在するか否かによって行われ、かご2xが上記制限区間の中に存在すればかご2xの反転・待機を禁止する。
【0090】
続いて、かご2xを走行させるがその反転(相手かご2yに向かってサービス方向を切り換える動作)および待機(現在の階床に停止したままの状態)を禁止すると決定されたときは禁止設定(2000−6−19)を実行し、この制限条件に基づいて走行処理(2000−6−20)でかご2xの走行を制御する。ここで禁止されるのは反転と待機であって、かご2xが相手かご2yと同一方向に走行(並進)することは許可される。一方、かご2xが相手かご2yの制限区間外に存在し、走行可能で、しかも反転、待機を禁止しないと決定されたとき、禁止解除(2000−6−18)を実行し、走行処理(2000−6−20)でかご2xの走行を制御する。以上の処理により、運行決定処理処理(2000−6)を終了する。
【0091】
なお、図示しないが、被拘束相手決定(2000−6−14)では、上述した被拘束相手決定サブルーチン(2000−4−1、図26参照)によってサービス方向が上向きと下向きの両方向の場合についてそれぞれ被拘束相手が決定される。そして、決定された2つの被拘束相手に対して、それぞれ(2000−6−15)以降の処理が行われる。ただし、上向きと下向きのいずれのサービス方向にある被拘束相手に関して(2000−6−15)以降の処理を優先的に行うかは任意であって、まず上向きサービス方向について処理を行い、次に下向きのサービス方向について処理を行ってもよいし、その逆の順序であってもよい。または、運行決定処理の最初に上向き方向(又は下向き方向)について被拘束相手を決定し、この決定された被拘束相手に対する回送判断及び/又は回送処理が終了した後、逆の下向き方向(又は上向き方向)について被拘束相手を決定して回送判断及び/又は回送処理を行ってもよい。
【0092】
また、禁止設定(2000−6−19)では、単にかご2xの反転・待機を禁止するだけなく、例えば制限区間の外側の階床に仮想呼びを登録し、この仮想呼びに基づいてかご2xを退避させることも考えられる。この場合、禁止解除は仮想呼びを削除する処理を含む。その他、反転を禁止するために、相手かご2yのサービス方向と逆方向のホール呼びに対するかごの割当を禁止する方法もあり得る。
【0093】
また、占有・制限区間の問い合わせを一つに統合したが、実施の形態1と同様に占有区間の問い合わせだけを実施した後に、運行判断でかご2xを走行させると決定されたときだけ、制限区間の問い合わせを実施することも可能である。
【0094】
さらに、実施の形態3又は4についても、実施の形態2と同様に、図30に示すように、集中運行管理制御装置110に、システムの全体の輸送効率を高めるための群管理部40を設け、これによりシステムを効率良く制御することができる。
【0095】
〔変形例〕
以上のように、本発明は、占有区間と走行可能区間という概念、またこれらに加えて制限区間という概念を用いてシングルシャフトマルチカーエレベータシステムを安全かつ効率よく制御するものである。しかし、本発明は実施の形態によって限定されるものでなく、種々の改良形態を含む。
【0096】
例えば、本発明は、一本のシャフト内を双方向に走行する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、運行制御を行う第1のかごに対して、シャフトの終端や同一シャフトに走行する他のかごなどの物理的な制約と安全やサービス性能などを実現するための論理的な制約などからなる拘束相手を、前記第1のかごの運行状態(かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況など)に応じて動的に決定する拘束相手決定手段と、拘束相手決定手段によって決定された拘束相手に応じて第1のかごの走行可能区間を決定する走行可能区間決定手段と、この走行可能区間に応じて第1のかごの運行を決定する運行制御手段を備えた形態も含む。
【0097】
本発明は、シングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、あるシャフト内を走行する第1のかごの走行可能区間を制限する同一シャフトに走行する第2のかごを相手かごとして、第1のかごの運行状態に応じて動的に決定する相手かご決定手段と、相手かご決定手段によって決定された相手かごに応じて第1のかごの走行可能区間を決定する走行可能区間決定手段と、走行可能区間に応じて第1のかごの運行を決定する運行制御手段を備えた形態も含む。
【0098】
本発明は、シングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、上述の占有区間決定手段と、走行可能区間決定手段と、運行制御手段と、制限区間決定手段を備えた形態も含む。
【0099】
本発明は、上述の複数の運行制御システムであって、占有区間、制限区間が、かごの緊急安全装置の性能(例えば、緊急落下距離)・運行状態のそれらの任意の組み合わせに基づいて決定される種々の形態を含む。
【0100】
本発明は、上述の任意の運行制御システムであって、あるシャフトを走行する第1のかごの緊急安全装置の性能と、第1のかごの運行状態に応じて、運行制御装置の故障を検知から緊急安全装置を起動する指令を出すまでの第1のかごの走行距離と、緊急安全装置が稼動してから第1のかごが停止するまでの走行距離の少なくとも一方又は両方の和を、第1かごの走行前方(拘束相手との間)に必要な余裕間隔として決定する安全余裕決定手段を設ける形態、また第1かごと拘束相手との間隔がその余裕間隔よりも小さいと判断された場合に第1のかごを停止させる停止制御手段を備えた形態も含む。
【0101】
本発明は、上述の任意の運行制御システムであって、あるシャフトを走行する第1のかごが正常な停止動作で停止できるサービス方向の前方階床を先行階床として、自らの運行状態に従って決定する先行階床決定手段と、この先行階床より第1のかごのサービス方向前方にある次の階床が走行可能区間内にあることを検出されたとき、第1のかごが走行可能と判断してかごの運行制御を行う運行判断手段を備えた形態も含む。
【0102】
本発明は、上述の任意の運行制御システムであって、あるシャフトを走行する第1のかごが正常な停止動作で停止するまでの走行距離と、運行制御装置の演算周期内の第1のかごの走行距離との和を減速距離として設定する減速距離決定手段と、第1のかごの先行階床より第1のかごに向かって前記減速距離だけ離れた位置を運行制御位置として設定する運行制御位置設定手段と、前記の第1のかごが前記の運行制御位置に到着する時に走行又は停止の運行判断を行う運行判断イベント起動手段とを備えた形態も含む。
【0103】
本発明は、上述の任意の運行制御システムであって、複数のかごに対して各台かご運行制御装置を有し、各台かご運行制御装置は他の各台かご運行制御装置との間で占有区間等を送信する通信手段を備えた形態も含む。この形態によれば、各台かご運行制御装置間、もしくは、各台かご運行制御装置と集中運行管理制御装置間の通信を、運行決定処理フェーズにおいて、一回に抑えることができ、制御に関する通信量を必要最小限とすることが可能となる。
【0104】
本発明は、上述の任意の運行制御システムであって、一定の時間後に相手かごの占有区間の返答がない場合、当該かごを停止する運行決定手段を備えた形態も含む。この形態によれば、当該かごの運行判断が他のかごの設備故障に左右されることがないので、より安全な運行制御システムが得られる。
【0105】
本発明は、上述の任意の運行制御システムであって、上述した複数の手段を集中制御装置に設置した形態、また、その形態にあるシャフト内に走行するかごの位置を演算により推定するかご位置決定手段とかごの運行速度を演算による推定するかご速度決定手段とを備えた別の形態も含む。これらの形態によれば、通信量の少ない運行制御システムが得られる。
【0106】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムによれば、一つのシャフト内を双方向(上向きと下向き)に走行する複数のかごを干渉することなく円滑に運行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムの概要を示す図。
【図2】 図1と共に、本発明に係るシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムの概要を示す図。
【図3】 実施の形態1に係るシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムの構成を示す図。
【図4】 (a)各台かご運行制御装置、(b)占有区間処理フェーズ、(c)通行決定処理フェーズの構成を示す図。
【図5】 占有区間処理フェーズのフローチャート。
【図6】 占有区間決定サブルーチンのフローチャート。
【図7】 占有区間の説明図。
【図8】 占有区間の他の説明図。
【図9】 運行決定処理フェーズのフローチャート。
【図10】 運行処理サブルーチンのフローチャート。
【図11】 拘束相手決定サブルーチンのフローチャート。
【図12】 走行可能区間決定サブルーチンのフローチャート。
【図13】 走行可能区間の説明図。
【図14】 実施の形態2に係るシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムの構成を示す図。
【図15】 実施の形態2の集中運行管理制御装置の構成図。
【図16】 かご状態推論部の構成図。
【図17】 かごの運行状態の一例を示す図。
【図18】 実施の形態3の概念を説明する図。
【図19】 実施の形態3に係るシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムの構成を示す図〔図19(a)〕及びこのシステムを機能面から見た構成図。
【図20】 制限区間処理フェーズのフローチャート。
【図21】 制限区間決定サブルーチンのフローチャート。
【図22】 制限区間の説明図。
【図23】 制限区間の説明図。
【図24】 運行決定処理フェーズのフローチャート。
【図25】 回送処理サブルーチンのフローチャート。
【図26】 被拘束相手決定サブルーチンのフローチャート。
【図27】 回送指令処理サブルーチンのフローチャート。
【図28】 運行決定処理サブルーチンのフローチャート。
【図29】 運行決定処理サブルーチンのフローチャート。
【図30】 他の形態に係る集中運行管理制御装置の構成図。
【図31】 従来のマルチカーエレベータシステムの構成図。
【符号の説明】
10 シングルシャフトマルチカーエレベータシステム、 1001 シャフト、 1 集中運行管理制御装置、 2、2x、2y、P1〜Pn かご、 3 各台かご運行制御装置。

Claims (4)

  1. 一つのシャフト内を双方向に走行する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、他のかごからのリクエストが発行されると、かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況、または緊急落下距離にもとづいて他のかごの走行を制限する可能性のある制限区間を決定する制限区間処理フェーズと、前記かごにより、走行が規制される可能性のある他のかごを被拘束相手として決定し、被拘束相手に対して回送指令を行なう運行決定処理フェーズを備えたことを特徴とする運行制御システム。
  2. 一つのシャフト内を双方向に走行する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、他のかごからのリクエストが発行されると、かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況、または緊急落下距離にもとづいて他のかごの走行を制限する可能性のある制限区間を決定する制限区間処理フェーズと、前記かごにより、走行が規制される可能性のある他のかごを被拘束相手として決定し、制限区間内に被拘束相手がいれば、反転と待機を禁止する運行決定処理フェーズを備えたことを特徴とする運行制御システム。
  3. 一つのシャフト内を双方向に走行する複数のかごを備えたシングルシャフトマルチカーエレベータシステムの運行制御システムであって、他のかごからのリクエストが発行されると、かごの位置、走行方向、サービス方向、運行速度、呼びの発生状況、または緊急落下距離にもとづいて他のかごの走行を制限する可能性のある制限区間を決定する制限区間決定部と、前記かごにより、走行が規制される可能性のある他のかごを被拘束相手として決定し、制限区間外に被拘束相手がいれば、該被拘束相手に対して進入禁止指令を行なう運行決定処理フェーズを備えたことを特徴とする運行制御システム。
  4. 請求項1〜3のいずれかの運行制御システムを備えたことを特徴とするシングルシャフトマルチカーエレベータシステム。
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