JP4086297B2 - ホウ素含有排水の処理方法及びそれに使用する薬剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理水中に含まれる溶存ホウ素の除去方法および除去剤ならびに発生スラッジ量を低減するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素の排水基準は、海域以外に排出する場合、10ppmと定められている(平成13年7月1日に施行され、業種ごとに3年間の暫定基準が定められている)。従来、ホウ素含有水の処理方法としては、イオン交換樹脂により吸着させる方法や、硫酸アルミニウム及び水酸化カルシウムにより不溶性沈殿物とする方法等が知られているが、いずれも効率的な方法とはいえず、また、多量のスラッジを生成するという問題があった。
近年では、工業排水などによる環境汚染の問題の解決が重要視されていることから、ホウ素の有効な除去方法に対する要求も高い。
凝集沈殿法と陰イオン交換樹脂又はホウ素選択性イオン交換樹脂を組み合わせた方法が提案されている(特許文献1参照)が、凝集沈殿法の除去効率が悪いため後段の吸着樹脂に負荷が掛かり、そのためコストが掛かりすぎる問題と、吸着樹脂の再生液の処理の問題があり、実用には供されていない。さらに、低濃度のホウ素含有排水を希土類元素の含水酸化物を用いて処理する方法も提案されている(特許文献2参照)が、固体を用いるため処理性が悪く、処理に時間が掛かる等の問題があり実用には供されていない。
一方、ホウ素含有排水をホウ素選択吸着イオン交換樹脂等に一旦吸着させ、その濃縮された脱離液に、希土類元素イオン及び/又はIVB族元素イオンを放出する化合物を添加することにより、ホウ素を除去できることを見出した(特許文献3参照)。しかし、希土類元素イオン及び/又はIVB族元素イオンを放出する化合物を添加する方法は、低濃度のホウ素含有排水の処理には有効ではなく、一旦濃縮しなければならない。このため、新たに吸着装置を必要とし、さらに煩雑な吸着及び脱離の操作を必要とする。また、一般に希土類元素とホウ素が反応して生成するフロックは嵩高く、沈降性が良くない。
また、ホウ素含有排水を濃縮した後に、ランタン化合物からなるホウ素固定剤を添加して不溶性沈殿物を生成し、ホウ素を除去できることを見出した(特許文献4参照)。しかし、この方法も特許文献3と同様に、一旦濃縮しなければならないし、一般にランタンイオンとホウ素が反応して生成するフロックは嵩高く、沈降性が良くない。
【0003】
【特許文献1】
特開昭57−180493号公報
【特許文献2】
特公平3−22238号公報
【特許文献3】
特開平11−235595号公報
【特許文献4】
特開2000−263064号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被処理水中から溶存ホウ素を効率よく除去する方法を提供することを目的とする。また、それに用いるホウ素の除去剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、被処理水中に硫酸又は硫酸ナトリウム、及びランタンイオン等の希土類元素イオンを添加しpHを9〜13に調整することにより、被処理水中に溶存するホウ素を難溶性物質として沈殿分離させることができることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)溶存ホウ素を含有する被処理水中に、硫酸又は硫酸ナトリウム、及びホウ素1モル当たり0.5〜20モルのランタンに相当する塩化ランタン溶液を添加しpHを9〜13において、該溶存ホウ素を難溶性物質として沈殿分離させることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法、
(2)該溶存ホウ素を難溶性物質として沈殿分離させた後、処理によって発生したスラッジを原被処理水に返送することを特徴とする(1)項に記載のホウ素含有排水の処理方法、
(3)(1)又は(2)項に記載の方法に使用される薬剤であって、供給される塩化ランタンおよび硫酸イオンが薬剤として構成されるものであり、その薬剤が、(i)塩化ランタン溶液と(ii)硫酸、硫酸ナトリウム水溶液又はそれらの混合物、との混合物からなることを特徴とする薬剤、
を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では、ランタンイオン等の希土類元素イオンを被処理水中に添加する。この希土類元素イオンがホウ素除去剤(以下、単に除去剤ともいう)としての役割を果たす。被処理水への添加する際の希土類元素イオンは本発明の目的を達成できればいかなる状態であってもよいが希土類元素含有溶液として添加するのが好ましく、希土類元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩又はハロゲン化物の水溶液、塩酸溶液又は硫酸溶液として被処理水へ添加するのが好ましい。その濃度は特に限定されるものではないが、操作性を考慮すると、例えば希土類元素酸化物の塩酸溶液の場合は、塩酸溶液中の希土類元素を酸化物として好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。
【0007】
希土類元素イオンの中でもランタンイオン、セリウムイオンの使用が好ましくランタンイオンの使用がより好ましい。
また、本発明において除去剤として用いる希土類元素含有溶液は、希土類元素の混合物の溶液もしくは、希土類元素の単独又は混合液の形態で用いることができる。ランタンとセリウム及びイッテルビウムの溶液の使用が好ましく、ランタンとセリウムとの溶液がより好ましい。好ましい具体例としては、ランタンとセリウムとイッテルビウムの塩酸溶液(濃度は酸化物として32.5質量%、その中の組成は、ランタン95質量%、セリウム4.9質量%、イッテルビウム0.1質量%)である。
【0008】
本発明の特徴の一つは、除去剤への希土類元素イオンの供給源として、高度に精製分離された高価な希土類化合物を用いることは必要ではないことである。すなわち、本発明で使用される除去剤(以下、除去剤[I]ともいう)は、精製された希土類元素で調製する必要はない。例えば、希土類元素を含有している鉱石から、礫、及び鉛等の重金属や放射性元素を除いたものを塩酸溶解させた後に粗精製したものを使用することができる。このときの塩酸濃度は、0.1〜12規定が好ましく、より好ましくは5〜12規定、さらに好ましくは8〜12規定であり、希土類元素イオンの濃度は特に限定されるものではないが、操作性を考慮すると、酸化物として好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは30〜50質量%である。溶解時間は、完全に溶解すればよく、特に限定されないが、0.5時間から2時間程度で十分である。
【0009】
本発明において、希土類元素イオンの添加量は、被処理水中のホウ素の濃度にもよるが、ホウ素1モル当たり、好ましくは0.05〜50モル、より好ましくは0.1〜30モル、さらに好ましくは0.5〜20モルである。
【0010】
本発明では、硫酸又は硫酸ナトリウムを併用する。硫酸又は硫酸ナトリウムを添加することによって、沈降性、脱水性のよい沈殿を生成し、沈殿を固液分離しやすくなる。被処理水への添加量は、好ましくは0.01〜100mM、より好ましくは0.05〜50mM、さらに好ましくは0.1〜10mMである。
【0011】
本発明では用いられる硫酸又は硫酸ナトリウムを併用する場合、前述のように硫酸又は硫酸ナトリウムを添加してもよいが、あらかじめ希土類元素イオンと硫酸イオンを含む処理剤として調製しておき、その処理剤をホウ素を含む被処理水に添加してもよい。処理剤を調製する方法としては、希土類元素の水溶液、塩酸溶液、硫酸溶液などと硫酸塩化合物を混合するなど、いずれの方法でも良いが、入手が容易な希土類の塩酸溶液と硫酸を混合して調製するのがより簡便である。好ましい具体例としては、ランタンとセリウムとイッテルビウムの塩酸溶液(特に具体例を挙げると濃度は酸化物として32.5質量%、その中の組成は、ランタン95質量%、セリウム4.9質量%、イッテルビウム0.1質量%)と硫酸(18M)の容積比90:1の混合溶液である。
【0012】
硫酸又は硫酸ナトリウムの添加の順序は制限がない。硫酸又は硫酸ナトリウムを添加しておいて、その後にランタンイオン等の希土類元素イオンを添加しpH調整を行うのが好ましいが希土類元素イオンを添加しpH調整をした後に硫酸又は硫酸ナトリウムを添加してもよい。少なくとも溶存ホウ素を難溶性物質とするときにpH9〜13であればよい。
【0013】
本発明では、除去剤の添加後、沈殿が生じるようにpHを調整して排水中に溶存するホウ素を除去する。そのpHは、一般的には9〜13の範囲、好ましくは9〜12の範囲、より好ましくは10〜12の範囲である。
【0014】
被処理水のpHをアルカリ性領域や酸性領域に調節する場合、pH調節剤が用いられるが、このようなpH調節剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性物質、もしくは塩酸、硫酸、硝酸、硫酸アルミニウム等の酸性物質が用いられる。
【0017】
さらに本発明においては、凝集剤を併用することが好ましい。この場合の凝集剤は、希土類元素イオン及び多価陰イオン性物質の添加後分散しているホウ素化合物のフロックを凝集させるのに用いられ、ホウ素化合物の沈殿分離をより容易にすることができる。具体例としては、塩化第1鉄、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、ポリ硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄等の無機系凝集剤の他、ポリアクリルアミドのカチオン化変性物、ポリアクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ポリエチレンイミン、キトサン等のカチオン性有機系凝集剤、ポリアクリルアミド等のノニオン性有機系凝集剤、ポリアクリル酸、アクリルアミドとアクリル酸との共重合体及び/その塩等のアニオン性有機系凝集剤等が挙げられる。
【0018】
一連の工程終了後、被処理水を固液分離処理する。この固液分離は常法により行なうことができ、例として、濾過分離、遠心分離、沈降分離等が挙げられるが、通常は重力による沈降分離で十分固液分離可能である。
【0019】
発生したスラッジは再び原被処理水に返送することが好ましい。スラッジが返送された被処理水について更に上記一連の処理を行うことにより、スラッジ中に含有している希土類元素イオンを効率的に利用することができる。また、返送されたスラッジがさらに成長して、沈降しやすくかつ脱水しやすいスラッジとなり、これによって溶存ホウ素を更に低濃度まで除去することが可能となる。返送する汚泥量は、原水1容量に対して、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは4〜10質量%、さらに好ましくは6〜8質量%である。また、返送する汚泥の比重は、好ましくは1.00〜1.30、より好ましくは1.00〜1.20、さらに好ましくは1.00〜1.10の範囲である。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
【0021】
参考例1
希土類元素化合物の粗精製品を12Nの塩酸溶液に溶解して調製した溶液(希土類元素の濃度は酸化物として32.5質量%、組成はランタン95質量%、セリウム4.9質量%、イッテルビウム0.1質量%)を除去剤[I]とした。
【0022】
参考例2
参考例1で得られた除去剤(I)と硫酸(18M)を容積比90:1で混合し除去剤[II]を得た。
【0025】
実施例1
ホウ素濃度2.35ppm(0.218mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)をランタン濃度2.64mMとなるよう添加し、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.2mMとなるように添加したところ、溶液のpH11で沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、0.62ppmであった。
【0026】
実施例2
ホウ素濃度10ppm(0.926mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)をランタン濃度3.2mMとなるよう添加し、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.3mMとなるように添加したところ、溶液のpH11で沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、1.75ppmであった。
【0027】
比較例1
実施例1、2で、硫酸ナトリウム溶液を添加しない以外は実施例1、2と同様にして処理したところと、いずれの場合も沈殿の生成はほとんど認められなかった。
【0028】
実施例3
ホウ素濃度50ppm(4.63mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)をランタン濃度8mMとなるよう添加し、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.8mMとなるように添加したところ、溶液のpH11で沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、4.7ppmであった。
【0029】
実施例4
ホウ素濃度50ppm(4.63mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5%)をランタン濃度8mMとなるよう添加し、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、アニオン性高分子凝集剤AP517C(商品名、ダイヤニトリクス社製)を0.5ppmとなるように添加したところ、溶液のpH11で白濁したが、重力沈降では完全に固液分離するのは困難であった。ろ過して固液分離し、処理水中のホウ素濃度を測定したところ、7.9ppmであった。
【0030】
比校例2
実施例3、4で、硫酸ナトリウム溶液やアニオン性高分子凝集剤を添加しない以外は実施例3、4と同様にして処理したところと、いずれの場合も僅かに白濁しただけであった。
【0031】
実施例5
ホウ素濃度20ppm(1.85mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)を1.6ml/リットル添加し(ランタン濃度3.2mMとなる)、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.3mMとなるように添加し、アニオン性高分子凝集剤AP517Cを3ppm添加したところ、溶液のpH11で沈降性の良い巨大なフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、3.7ppmであった。
【0032】
実施例6
実施例3において、硫酸ナトリウム水溶液の代わりに炭酸ナトリウム水溶液を炭酸根として0.3mMとなるように添加した以外は実施例3と同様に行ったところ、溶液のpH11で沈殿の生成は認められ、固液分離後の、処理水中のホウ素濃度は、4.5ppmで、炭酸ナトリウムも有効であることが分かった。
【0033】
実施例7
ホウ素濃度10ppm(0.926mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)をランタン濃度3.2mMとなるよう添加し、塩化カルシウム水溶液(2.7M)を0.5mMとなるよう添加し、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.3mMとなるように添加したところ、溶液のpH11で沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、1.45ppmであった。
【0034】
実施例8
ホウ素濃度100ppm(9.26mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)をランタン濃度13.9mMとなるよう添加し、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.8mMとなるように添加したところ、溶液のpH11で沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、5.6ppmであった。
【0035】
比較例3
実施例8において、pH調整をpH9とした以外は実施例8と同様に行ったところ、処理水中のホウ素濃度は、37.1ppmであった。
【0036】
実施例9
ホウ素濃度20ppm(1.85mM)のモデル排水(pH5.5)に、前記参考例1で調製した除去剤を1.6ml/リットル添加し、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間攪拌した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.3mMとなるように添加し、アニオン性高分子凝集剤AP517Cを0.3ppm添加したところ、溶液のpH11で非常に沈降性の良い巨大なフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、3.9ppmであった。
【0037】
実施例10
ホウ素濃度20ppm(1.85mM)のモデル排水(pH5.5)に、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)を1.6ml/リットル添加し(ランタン濃度3.2mMとなる)、塩化第二鉄溶液(工業用、濃度37.5%)を0.2ml/リットル添加し(鉄濃度0.46mMとなる)、10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間撹件した。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.3mMとなるように添加し、アニオン性高分子凝集剤AP517Cを0.3ppm添加になるように添加したところ、溶液のpH11で非常に沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離し、処理水中のホウ素濃度を測定したところ、2.1ppmであった。
【0038】
実施例11
ホウ素濃度12.3ppm、pH6.9の実排水は、従来の方法ではホウ素を除去することができなかった。この排水を塩酸でpH3に調整し、塩化ランタン水溶液(La2O3として32.5質量%)3ml/リットル添加し、水酸化ナトリウム水溶液でpH10とした。この溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を硫酸根として0.2mMとなるように添加し、アニオン性高分子凝集剤AP120Cを3ppm添加したところ、溶液のpH10で沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、1.6ppmであった。
生成した汚泥を原水に返送して、上記と同様に処理(塩化ランタン溶液の添加量1ml/リットル)したところ、処理水中のホウ素濃度は、2回目の処埋では1.5ppm、3回目1.3ppm、4回目1.9ppmとなり、汚泥返送により塩化ランタン水溶液の添加量をさらに減らすことができた。
【0039】
実施例12
ホウ素濃度100ppm(9.26mM)のモデル排水(pH5.5)に、除去剤[II]をランタン濃度13.9mMとなるよう添加し、10分間撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、10分間撹拌したところ、沈降性の良いフロックが生成し、重力沈降によって完全に固液分離できた。固液分離した処理水中のホウ素濃度を測定したところ、4.9ppmであった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、被処理水中に含まれる溶存ホウ素を効率よく除去することができる。また、処理により発生したスラッジを原被処理水に返送して再度処理することにより、希土類元素イオンを再利用しかつスラッジ発生量を低減させることができる。
Claims (3)
- 溶存ホウ素を含有する被処理水中に、硫酸又は硫酸ナトリウム、及びホウ素1モル当たり0.5〜20モルのランタンに相当する塩化ランタン溶液を添加しpHを9〜13において、該溶存ホウ素を難溶性物質として沈殿分離させることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
- 該溶存ホウ素を難溶性物質として沈殿分離させた後、処理によって発生したスラッジを原被処理水に返送することを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有排水の処理方法。
- 請求項1又は2に記載の方法に使用される薬剤であって、供給される塩化ランタンおよび硫酸イオンが薬剤として構成されるものであり、その薬剤が、(i)塩化ランタン溶液と(ii)硫酸、硫酸ナトリウム水溶液又はそれらの混合物、との混合物からなることを特徴とする薬剤。
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