JP4086272B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置に係り、特に高度な情報処理を実現するシリコン超集積回路を構成するCMOSデバイス構造及びMISトランジスタ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコン超集積回路は、将来の高度情報化社会を支える基盤技術の一つである。集積回路の高機能化には、その構成要素であるMISトランジスタやCMOSデバイスの高性能化が必要である。素子の高性能化に対しては、チャネル領域でのキャリア(電子や正孔)の走行速度(移動度)を高めることが、有効な手段の一つである。ところが、通常のシリコン単結晶でキャリア移動度の上限は物性的に決まっているため、自ずとデバイス性能にも限界があった。
【0003】
近年、歪みを持つシリコン結晶(以下歪Si結晶とする。)中では、本来のシリコン結晶よりもキャリア移動度が高められることが報告されている。例えば、T.Mizuno et al,IEEE Electron Device Letters,vol.21,no.5,MAY 2000,pp.230−232.に詳しく記載されている。この歪Si結晶層をチャネル領域に有するトランジスタを得るには、シリコン基板上に格子緩和シリコン・ゲルマニウム層を形成し、前記格子緩和シリコン・ゲルマ層上にSi結晶をエピタキシャル成長させることにより歪Si層を形成している。ところが、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)層という新たな材料や、エピタキシャル成長という新たな技術が必要となり、現行のシリコン集積化プロセスに容易に取り込むことができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
半導体素子の高性能化に対して、キャリアの移動度を高めることが有効であるが、シリコン結晶の物性で限界が決まってしまう。歪みシリコン結晶が限界打破に非常に有望であるが、従来技術ではプロセス上及び構造上の複雑さを伴うという問題がある。
【0005】
以上のような問題を鑑み、本発明は、簡単なシリコン集積化プロセスでキャリアの移動度の高いチャネル領域を有するCMOSデバイス構造及びMISトランジスタ構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一発明は、
p型領域を含むシリコン層、
前記シリコン層の前記p型領域内に互いに離間して設けられたn型ソース領域及びn型ドレイン領域、
前記シリコン層上に形成され、金属又は半導体の熱酸化にて形成された熱酸化膜及び前記熱酸化膜上に形成され、金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成された堆積膜からなる積層膜を備えるゲート絶縁層、及び
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極を備えてなるnチャネル型MISトランジスタと、
n型領域を含むシリコン層、
前記シリコン層の前記n型領域内に互いに離間して設けられたp型ソース領域域及びp型ドレイン領域、
前記シリコン層上に形成され、金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成された堆積膜を備えるゲート絶縁層、及び
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極を備えてなるpチャネル型MISトランジスタと
を備えてなることを特徴とする半導体装置である。
【0007】
本発明の第二発明は、
金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成された絶縁性の堆積膜と、
前記堆積膜上に形成されたp型領域を含むシリコン層、
前記シリコン層の前記p型領域内に互いに離間して設けられたn型ソース領域及びn型ドレイン領域、
前記シリコン層上に直接接して形成され、金属又は半導体の熱酸化により形成された熱酸化膜を備えるゲート絶縁層、及び
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極を備えてなるnチャネル型MISトランジスタと、
前記堆積膜上に形成されたn型領域を含むシリコン層、
前記シリコン層の前記n型領域内に互いに離間して設けられたp型ソース領域及びp型ドレイン領域、
前記シリコン層上に形成されたゲート絶縁層、及び、
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極を備えてなるpチャネル型MISトランジスタとを備えてなることを特徴とする半導体装置である。
【0008】
本発明の第三発明は、
金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成された絶縁性の堆積膜と、
前記堆積膜上に形成された、金属又は半導体の熱酸化にて形成された熱酸化膜と、前記熱酸化膜上に形成されたシリコン層と、
前記シリコン層内に互いに離間して設けられたソース領域及びドレイン領域と、
前記シリコン層上に形成されたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極を備えてなるMISトランジスタを備えてなることを特徴とする半導体装置である。
【0009】
本発明者らは、シリコン層に接して形成される絶縁層の製造条件により前記シリコン結晶に与えられる結晶歪の状態が変化し、それに伴いシリコン層におけるキャリア(電子・ホール)の移動度が変化する点に着目し、鋭意研究を進めた結果、電子とホールが共に高電界領域から低電界領域に到るまで高移動度を示す高性能なCMOSデバイス構造及びMISトランジスタ構造を見出した。
【0010】
即ち、本発明者らは、後述する実施例にも記載されるように、
(1)シリコン層に接する絶縁膜として様々な手法で形成された絶縁膜を適用すると、それにより絶縁膜に接するシリコン層のシリコン結晶に与えられる歪の状態が変化し、キャリアの移動度が変化する。
(2)電子は、シリコン層に接する熱酸化膜と、前記熱酸化膜上に形成され、金属又は半導体と酸素との気相反応で形成された堆積膜との積層膜を形成した場合に、高電界領域から低電界領域に到るまで高い移動度を示す。
(3)ホールは、金属又は半導体と酸素との気相反応で形成された堆積膜からなるゲート絶縁層を用いた場合に、高電界領域から低電界領域に到るまで高い移動度を示す。
【0011】
という新規な知見を得た。本発明はそれらの知見に基づき、
第一発明は、前記積層膜をnチャネル型トランジスタのゲート絶縁層とし、前記堆積膜をpチャネル型トランジスタのゲート絶縁層とすることにより、電子とホールの両方の移動度が向上しCMOSデバイスの高性能化を達成するものである。
【0012】
第二発明は、前記堆積膜上にシリコン層を形成し、前記シリコン層上にCMOSデバイスを形成する。それにより前記シリコン層中チャネル領域のキャリアの移動度を向上させ、CMOSデバイスの高性能化を達成する。
【0013】
第三発明は、前記堆積膜上に熱酸化膜を形成し、さらにその上にシリコン層を形成し、前記シリコン層上にMISトランジスタを形成する。それにより前記シリコン層中チャネル領域のキャリアの移動度を向上させ、トランジスタの高性能化を達成する。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記した(1)〜(3)の知見について具体的な試験結果を示し詳細に説明する。
【0015】
図2は試験に用いたnチャネル型MOSトランジスタの構造を示す断面図である。シリコン単結晶からなるシリコンウエハ中に形成されたp型不純物領域12上にはシリコン酸化物からなる熱酸化膜1とシリコン酸化物からなる堆積膜2が順に形成され、これらの積層膜がゲート絶縁層14となっている。熱酸化膜1と堆積膜2の膜厚は、各々2.5nm,12nmである。この熱酸化膜1は、シリコンウエハを高温条件下におき酸素もしくは水蒸気を導入することにより形成されたものである。堆積膜2はTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC254)と酸素の気相反応にて650℃、1Torrの条件で形成されたものである。ゲート電極15は、n型不純物を高濃度にドープした多結晶シリコンよりなる。p型不純物領域12中には、ゲート絶縁層14を挟むように、n型高濃度不純物領域であるソース領域16とドレイン領域17が形成されている。こうしてnチャネル型MOSトランジスタ(A)が構成されている。
【0016】
また、図3に試験に用いた別のnチャネル型MOSトランジスタを示す。
【0017】
シリコン単結晶からなるシリコンウエハ中に形成されたp型不純物領域12上にはシリコン酸化物からなる堆積膜2が形成され、これがゲート絶縁層14となっている。堆積膜2の膜厚は12nmである。この堆積膜2は前記したnチャネル型MOSトランジスタ(A)と同様の条件で形成されたものである。前記堆積膜2上に形成されたゲート電極15は、n型不純物を高濃度にドープした多結晶シリコンである。p型不純物領域12中には、ゲート絶縁層14を挟むように、n型高濃度不純物領域であるソース領域16とドレイン領域17が形成されている。こうしてnチャネル型MOSトランジスタ(B)が構成されている。
【0018】
こうして作製した図2及び図3に示すnチャネル型MOSトランジスタ(A)、(B)のチャネル領域における電子移動度を測定した結果を図4に示す。横軸はゲート電圧を垂直電界に直したものである。図4には、ゲート絶縁層として、nチャネル型MOSトランジスタ(A)の熱酸化膜1と同様の条件で作成した熱酸化膜のみを使った以外はnチャネル型MOSトランジスタ(A)、(B)と同様に作成したnチャネル型MOSトランジスタ(C)での電子移動度の測定結果を併記する。nチャネル型MOSトランジスタ(C)のシリコン熱酸化膜の膜厚は10nmであった。nチャネル型MOSトランジスタ(C)の酸化膜厚だけを変えても、図4のプロットは同じ移動度曲線になることを、別の実験で確認した。つまり、以下の比較では、トータルの膜厚に差があることは、考慮する必要はない。
【0019】
図4において白丸は図3に示すnチャネル型MOSトランジスタ(B)の電子移動度を測定した結果である。実線で示されるnチャネル型MOSトランジスタ(C)に比べて電界の高い領域で電子移動度が向上している。これは堆積膜2に接するシリコン層12のシリコン結晶に歪みが与えられ歪シリコン結晶となっているために生じているものと考えられる。シリコン層12のシリコン結晶が歪シリコン結晶となるのは、もともと堆積時に結合が疎な状態にある堆積膜2は、成膜後に厚さ方向に収縮し、僅かにウェハーが上に反り、凹状態になる。このため、シリコン層12の表面ではシリコン結晶に引っ張り応力が発生するためと考えられる。一方、nチャネル型MOSトランジスタ(B)は電界が低い領域で電子移動度が劣化している。これは、シリコン層12と堆積膜2の界面が、シリコン層12と熱酸化膜1の界面よりも劣悪であることが原因であると考えられる。物理的には、界面準位が増大して、これがクーロン散乱源として働き、電子移動度を劣化させるものと考えられる。従って、図3に示すnチャネル型MOSトランジスタ(B)の構造では、シリコン結晶に歪が与えられるためキャリア移動度上昇が見込めるものの、シリコン層12と堆積膜2の界面に十分な注意が必要であることがわかる。
【0020】
一方、図4において黒丸は図2で示すnチャネル型MOSトランジスタ(A)の電子移動度を測定した結果である。この構造では、シリコン層12と堆積膜2の間に薄い熱酸化膜1が挟まっている。界面は、シリコン層12と熱酸化膜1の間にできるので、今度は界面準位が低減される。その結果、電界が低い領域での電子移動度の劣化がなくなり、nチャネル型MOSトランジスタ(C)と同様の特性を示す。熱酸化膜1を挟むことで、歪効果が緩和されることが懸念されるが、図4から明らかなように、電界の高い領域での電子移動度の上昇に変化は見られない。シリコン層12に対する歪の効果がまだ有効に作用していることがわかる。
【0021】
一方、図5は試験に用いたpチャネル型MOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【0022】
シリコン単結晶からなるシリコンウエハ中に形成されたn型不純物領域13にはシリコン酸化物からなる堆積膜2´が形成され、これがゲート絶縁層18となっている。堆積膜2´の膜厚は12nmである。この堆積膜2´はTEOSと酸素の気相反応にて650℃、1Torrの条件で形成されたものである。ゲート電極19は、n型不純物を高濃度にドープした多結晶シリコンよりなる。n型不純物領域13には、ゲート絶縁層18を挟むように、p型高濃度不純物領域であるソース領域20とドレイン領域21が形成されている。こうしてpチャネル型MOSトランジスタ(D)が構成されている。
【0023】
また、図6に試験に用いた別のpチャネル型MOSトランジスタを示す。
【0024】
シリコン単結晶からなるシリコンウエハ中に形成されたn型不純物領域13上にはシリコン酸化物からなる熱酸化膜1´とシリコン酸化物からなる堆積膜2´が順に形成され、これらの積層膜がゲート絶縁層18となっている。熱酸化膜1´と堆積膜2´の膜厚は、各々2.5nm,12nmである。この熱酸化膜1´は、シリコンウエハを高温条件下におき酸素もしくは水蒸気を導入することにより形成されたものである。堆積膜2はTEOSと酸素の気相反応にて650℃、1Torrの条件で形成されたものである。ゲート電極19は、n型不純物を高濃度にドープした多結晶シリコンよりなる。n型不純物領域13中には、ゲート絶縁層18を挟むように、p型高濃度不純物領域であるソース領域20とドレイン領域21が形成されている。こうしてpチャネル型MOSトランジスタ(E)が構成されている。
【0025】
こうして作製した図5及び図6に示すpチャネル型MOSトランジスタ(D)、(E)のチャネル領域における正孔移動度を測定した結果を図7に示す。横軸はゲート電圧を垂直電界に直したものである。図7には、ゲート絶縁層としてpチャネル型MOSトランジスタ(E)の熱酸化膜1´と同様の条件で作成したシリコン酸化物からなる熱酸化膜のみを使った以外はpチャネル型MOSトランジスタ(D)、(E)と同様に作成したpチャネル型MOSトランジスタ(F)での正孔移動度の測定結果を併記する。nチャネル型MOSトランジスタ(F)のゲート絶縁層の膜厚は10nmであった。pチャネル型MOSトランジスタ(F)の酸化膜厚だけ変えても、図7のプロットは同じ移動度曲線になることを、別の実験で確認した。つまり、以下の比較では、トータルの膜厚に差があることは、考慮する必要はない。
【0026】
図7において黒丸は図5に示すpチャネル型MOSトランジスタ(D)で正孔移動度を測定した結果である。実線で示されるpチャネル型MOSトランジスタ(F)に比べて、すべての電界領域で正孔移動度が向上している。nチャネル型MOSトランジスタと同様これは堆積膜2´に接するシリコン層13のシリコン結晶に歪みが与えられ歪シリコン結晶となっているために生じているものと考えられる。nチャネル型MOSトランジスタ(F)での電子移動度と比較した上昇率は30%以上に達しており、電子よりも正孔で歪みシリコンの効果が顕著であることがわかる。シリコン層13と堆積膜2´の界面の問題が懸念されたが、正孔移動度では電子移動度の時ほど界面準位には敏感ではないことがわかった。
【0027】
一方、白丸は図6に示すpチャネル型MOSトランジスタ(E)の素子で正孔移動度を測定した結果である。この構造では、シリコン層13と堆積膜2´の間に薄い熱酸化膜1´が挟まっている。図7から明らかなように、熱酸化膜1´を挟むことで、正孔移動度は激減している。応力効果の緩和は、電子移動度よりも正孔移動度の方で、敏感に作用していることがわかる。物理的には、応力によるバンド変調効果が、電子と正孔の場合では大きく異なることで説明される。図6の結果から、熱酸化膜1´を挟む場合は、その膜厚を2.5nmよりも薄くしないといけない。実用的には、0.5nm以上2nm以下が望ましい。
【0028】
また、図8は、ラマン測定によりシリコン結晶に働く応力を評価した結果である。横軸は波数、縦軸はラマン・スペクトル強度である。520cm-1付近に、シリコンに起因するラマン・ピークが見られる。「熱酸化膜」は、シリコン基板上に熱酸化膜を形成した試料である。ピークを与える波数は、レファレンスであるシリコン生ウェハーと同じであった。このことは、熱酸化膜を形成した試料のシリコン結晶が、生ウェハーと同じ状態であることを意味している。一方、「堆積膜」は、シリコン基板上にシリコン酸化物からなる堆積膜を形成した試料である。明らかに、ピークの位置がシフトしている。「熱酸化膜」に対して、低波数側にシフトしていることから、通常のシリコン結晶と比べて、引っ張り応力を受けていることがわかる。また、シフト量が1cm-1程度であることから、応力の大きさは2.5×108Paと見積もられる。本測定結果は、堆積膜の影響で直下のシリコン結晶が歪むことを、如実に示している。
【0029】
ラマン測定の性格上、チャネル領域が形成されるシリコン基板最表面だけでなく、もう少し奥の基板の情報も含まれる。歪みは表面ほど大きいと予想されるので、ラマン測定では応力分布の平均値を評価していることになる。事実、スペクトルの幅は、堆積膜の方が若干広がっている。従って、チャネル領域が形成されるシリコン基板最表面での応力は2.5×108Pa以上になっていると考えられ、この応力がバンド変調を引き起こして、移動度を向上させていることになる。
【0030】
第一発明においては、図4と図7の実験結果を総合し、図1に示したCMOSデバイス構成が、最も高いキャリア移動度を実現できることになる。つまり、nチャネル型MOSトランジスタは図2(A)にその例が示される構造とし、pチャネル型MOSトランジスタは図5(D)にその例が示される構造とする。さらにこの構造であると、pチャネル型MOSトランジスタで移動度改善が大きいので、nチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタとの駆動電流の差が縮まることを意味している。電流バランスが良くなるので、CMOS回路を設計する上でも好都合で、実用的なメリットは大きい。
【0031】
第二発明においては、絶縁性の堆積膜上にシリコン層を形成し、シリコン層のシリコン結晶に歪を与える。さらに前記シリコン層上にCMOSデバイスを形成する。それにより前記シリコン層中チャネル領域のキャリアの移動度を向上させ、CMOSデバイスの高性能化を達成する。さらに第二発明では、少なくともnチャネル型MISトランジスタにおいては少なくともシリコン層との界面において熱酸化膜を使用する。この場合堆積膜の効果によりキャリアの移動度の向上効果が得られる上に素子特性上重要なシリコン層とゲート絶縁層との界面は熱酸化膜を使用することになるため界面準位の問題は生じない。なお、nチャネル型MISトランジスタにおいてゲート絶縁層はシリコン層直上に形成される前記熱酸化膜と、前記熱酸化膜上に形成される熱酸化膜以外の膜との積層膜であっても良い。また、pチャネル型チャネル型MISトランジスタにおいてゲート絶縁層は、熱酸化膜以外の膜からなるものであっても良い。
【0032】
第三発明においては、堆積膜上にさらに熱酸化膜を積層し、その上にシリコン層を形成してシリコン層のシリコン結晶に歪を与えトランジスタのキャリアの移動度を向上させる。さらに堆積膜上の熱酸化膜の存在により、シリコン層の裏面側(ゲート絶縁層と反対側)の界面準位の影響を排除している。第三発明の構造はnチャンネル型トランジスタに適用するとより有効である。さらに第三発明においては、ゲート絶縁層としては熱酸化膜を使用することが望ましい。この場合堆積膜の効果によりキャリアの移動度の向上効果が得られる上に素子特性上重要なシリコン層とゲート絶縁層との界面は熱酸化膜を使用することになるため界面準位の問題は生じない。
【0033】
本発明の第一〜第三発明において、熱酸化膜は、金属又は半導体の熱酸化、すなわち金属又は半導体を高温条件下におき酸素もしくは水蒸気を導入することにより形成されたものであればよい。たとえばシリコンを熱酸化することにより得たシリコン酸化物膜が挙げられる。
【0034】
本発明の第一〜第三発明において、堆積膜は金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成されたものがよく、堆積方法としては具体的には熱CVD法、減圧CVD法、常圧CVD法、プラズマCVD法、光CVD法などによる堆積が挙げられる。堆積膜がシリコン酸化膜である場合、TEOS、SH4(シラン)、SiH2Cl2(ジクロロシラン)、あるいはそれらから選ばれる少なくとも2種の組み合わせと、O2、O3或いはN2Oまたはそれらから選ばれる少なくとも2種の組み合わせとの気相反応により形成することが望ましい。
【0035】
後述する実施例では、金属又は半導体の熱酸化により形成された熱酸化膜、及び堆積膜として、いずれもシリコン酸化物からなるものを用いているが、金属酸化物からなるものでもかまわない。特にシリコン酸化膜よりも誘電率が高い絶縁膜材料(高誘電体絶縁膜)が望ましい。例えば、Si34,Al23,Ta25,TiO2,La25,CeO2,ZrO2,HfO2,SrTiO3,Pr23等がある。また、ZrシリケートやHfシリケートのように、シリコン酸化物に金属イオンを混ぜた材料も有効である。さらに、シリコン酸化物からなる熱酸化膜と、金属酸化物からなる堆積膜とを組み合わせることも可能である。各世代のトランジスタで必要な材料を適宜選択して用いればよい。以下の実施例でも、熱酸化膜及び堆積膜としてシリコン酸化物膜を使っているが、特に断わらない限り、高誘電体絶縁膜に置き換えることは無論有効である。
【0036】
本発明の第一〜第三発明において、シリコン層に与えられる応力は引っ張り応力であり、2.5×108Pa以上になっていることが望ましい。この応力がバンド変調を引き起こして、キャリア移動度を向上させていることになる。
【0037】
また、nチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタにおいて、ゲート電極は金属からなるもの、不純物を高濃度にドープした多結晶シリコンからなるものでも良いし、それらの複合膜でも構わない。
【0038】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0039】
(実施例1)
図1は、実施例1にかかるCMOSデバイス構造を示す断面図である。
【0040】
p型シリコン基板11中に、p型不純物領域12(p型ウェル)とn型不純物領域13(n型ウェル)が形成されている。p型不純物領域12上に直接接して形成されたシリコン酸化物からなる熱酸化膜1と、前記熱酸化膜に直接接して積層されたシリコン酸化物からなる堆積膜2が順に形成され、これらの積層膜がゲート絶縁層14となっている。ゲート絶縁層14の上にはゲート電極15が形成されている。p型不純物領域12中には、ゲート絶縁層14を挟むように、n型高濃度不純物領域であるソース領域16とドレイン領域17が形成されている。こうして、p型不純物領域12にnチャネル型MOSトランジスタが形成されている。
【0041】
一方、n型不純物領域13上には堆積膜2´が直接接して形成され、これがゲート絶縁層18となる。ゲート絶縁層18の上にはゲート電極19が形成され、ゲート絶縁層18を挟むように、p型高濃度不純物領域であるソース領域20とドレイン領域21が形成されている。こうして、n型不純物領域にp型MOSトランジスタが形成されている。
【0042】
nチャネル型とpチャネル型のMOSトランジスタは相補的に働き、これらでCMOSデバイスが構成される。
【0043】
nチャネル型MOSトランジスタのゲート絶縁層14において、堆積膜2の膜厚は1nm以上15nm以下であることが望ましい。厚すぎるとトランジスタの微細化に障害となるし、薄すぎると歪応力の効果が小さくなるためである。一方、熱酸化膜1の膜厚は0.5nm以上2.5nm以下であることが望ましい。それ以上に厚くすると、電界の高い領域で電子移動度が上昇しにくくなるおそれがある。半導体ロードマップにおける微細化トレンドを考慮すると、実用上は、熱酸化膜1の膜厚はさらに2nm以下であるのが望ましい。もちろん、堆積膜2の厚さにも依存するので、堆積膜2を薄くする時は、熱酸化膜1も薄くすることが望ましい。堆積膜2と熱酸化膜1の膜厚の比は堆積膜の膜厚:熱酸化膜の膜厚が2:1〜10:1の範囲であることが望ましい。
【0044】
pチャネル型MOSトランジスタのゲート絶縁層18において、堆積膜2´の膜厚は1nm以上15nm以下であることが望ましい。厚すぎるとトランジスタの微細化に障害となるし、薄すぎると歪応力の効果が小さくなるためである。
【0045】
また、本実施例では、シリコン基板11上にCMOSデバイスを構成しているがシリコン基板11の替わりに、シリコン酸化膜が埋め込まれたSOI基板を用いることも、もちろん有効である。
【0046】
図9は、図1で示した半導体装置の製造方法の一例を説明した図である。
【0047】
通常のCMOSプロセスで、p型シリコン基板中にp型ウェルとn型ウェルを形成した。その後、局所酸化法によって素子分離を行った(図示せず)。素子分離はシャロー・トレンチ法によって行われても良い。次に、750度、ドライ条件で、シリコン基板表面に2nmのシリコン熱酸化膜1を形成した後、リソグラフィー技術とエッチング技術を組み合わせて、n型ウェル領域のシリコン基板を露出させた(図9(a))。
【0048】
次に、減圧化学気相成長法(LPCVD)を用いTEOSと酸素の反応によって、650℃でシリコン酸化物からなる堆積膜2を堆積した。得られた堆積膜2の膜厚は12nmであった。その後、窒素雰囲気中で1000度、90分の熱処理を行った。もともと結合が疎な状態にある堆積膜2は、熱処理により厚さ方向の収縮がさらに増加し、僅かにウェハーが上に反り、凹状態になる。このため、シリコン基板表面には引っ張り応力が発生するものと考えられる。熱処理温度としては、酸化膜が粘性流体となる高温が効果的で、実用的には900度以上、1100度以下の範囲が望ましい。熱処理時間は、炉で行う場合は10分から120分、RTP(ラピッド・サーマル・プロセス)の場合は10秒から300秒であることが望ましい。(図9(b))。
【0049】
次に、リンを高濃度に含む多結晶シリコンを200nm堆積し、リソグラフィーによるパターニングを行い、異方性エッチングによりゲート部を加工した。次に通常のCMOSプロセスと同様に、砒素とボロンのイオン注入を順次行い、nチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタのソース/ドレイン領域を形成した。これで、図1に示すCMOSデバイスを得た(図9(c))。
【0050】
図10は、図1で示した本発明に係る半導体装置の別の製造方法を説明した図である。
【0051】
通常のCMOSプロセスで、p型シリコン基板中にp型ウェルとn型ウェルを形成する。その後、局所酸化法で素子分離を行った(図示せず)。素子分離はシャロー・トレンチ法により行われても良い。次に、リソグラフィーを用いてn型ウェル領域のみを開口した(図示せず)。これをマスクに、窒素をイオン注入する。例えば、加速条件は10keV、ドーズ量は1×1015cm-2とした(図10 (a))。
【0052】
次に、750℃、ドライ条件で、シリコン基板表面に2nmのシリコン酸化物からなる熱酸化膜1を形成した。この時、n型ウェル領域の表面には窒素が多量に存在するため、熱酸化が抑制される。従って、p型ウェル領域の表面にのみ、熱酸化膜1が形成される。その後、減圧化学気相成長法(LPCVD)を用いて、TEOSと酸素の反応によって、650℃でシリコン酸化物からなる堆積膜2を堆積した。得られた堆積膜2の膜厚は1nm〜15nmであることが望ましい。その後、窒素雰囲気中で1000度、90分の熱処理を行った。もともと結合が疎な状態にある堆積膜2は、熱処理により厚さ方向の収縮がさらに増加し、僅かにウェハーが上に反り、凹状態になる。このため、シリコン基板表面には引っ張り応力が発生するものと考えられる。熱処理温度としては、酸化膜が粘性流体となる高温が効果的で、実用的には900度以上、1100度以下の範囲が望ましい。熱処理時間は、炉で行う場合は10分から120分、RTP(ラピッド・サーマル・プロセス)の場合は10秒から300秒であることが望ましい。(図10(b))。
【0053】
次に、リンを高濃度に含む多結晶シリコンを200nm堆積し、リソグラフィーによるパターニングを行い、異方性エッチングによりゲート部を加工する。通常のCMOSプロセスと同様に、砒素とボロンのイオン注入を順次行い、nチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタのソース/ドレイン領域を形成する。これで、図1に示すCMOSデバイスを得た(図10(c))。
(実施例2)
図11は、実施例2のCMOSデバイス構造を示す断面図である。
【0054】
p型シリコン基板上にはシリコン酸化物からなる堆積膜3である絶縁層が形成され、その上にMOSトランジスタの活性領域となる単結晶シリコン層21、22が形成されている。いわゆる、SOI(Silicon On Insulator)構造である。このSOI基板にnチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタが形成されて、CMOSデバイスを構成している。ゲート絶縁層は、双方とも通常のシリコン酸化物からなる熱酸化膜1、1´である。CMOSデバイスを構成するnチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタは共通の、すなわち同一の絶縁層上に形成されている。前記p型シリコン基板上に形成される絶縁層の厚さは50nm以上400nm以下であることが望ましい。また、ゲート絶縁層である熱酸化膜1、1´は1nm以上10nm以下であることが望ましい。
【0055】
本実施例では、堆積膜3からなる絶縁層の影響で、それに接する単結晶シリコン層21、22に引っ張り応力が発生し、これらのMOSトランジスタのチャネル領域のキャリア移動度を向上させる。特に、単結晶シリコン層21、22の厚さが100nm以下の薄膜SOIトランジスタで、歪みの効果が顕著に現れる。単結晶シリコン層21、22の厚さは3nm以上である事が望ましい。この場合堆積膜3と単結晶シリコン層21、22との界面が劣化して、キャリア移動度に影響することが懸念される。しかし、チャネル領域は単結晶シリコン層21、22の表面側(ゲート絶縁層側)に形成されるので、裏面側(ゲート絶縁層と反対側)の界面準位は散乱として効きにくい。従って、図3の構造に比べると、界面準位によるクーロン散乱の影響は格段に抑制される。
【0056】
図15は、図11で示した半導体装置の製造方法の一例を説明した図である。
【0057】
減圧化学気相成長法(LPCVD)を用いて、TEOSと酸素の反応によって、650度でシリコン酸化物からなる堆積膜3をp型シリコン基板表面に堆積した。堆積膜3の膜厚は200nmであった。その後、窒素雰囲気中で1000度、90分の熱処理を行った。もともと結合が疎な状態にある堆積膜3は、熱処理により厚さ方向の収縮がさらに増加し、僅かにウェハーが上に反り、凹状態になる。このため、シリコン基板表面には引っ張り応力が発生するものと考えられる。この基板を、別のp型シリコン基板に貼り合わせた。(図15(a))こうして、堆積膜3を絶縁層として有するSOI基板ができる(図15(b))。
【0058】
次に、通常のCMOSプロセスを用いて、nチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタを完成させる。素子分離は、局所酸化法やシャロー・トレンチ法で形成することもできるし、メサ型でも構わない。ゲート絶縁層1、1´はシリコンの熱酸化により形成した。これで、図11のCMOS構造が得られる(図15(c))。
(実施例3)
図12は、実施例3のCMOSデバイス構造を示す断面図である。
【0059】
p型シリコン基板上にはシリコン酸化膜からなる堆積膜3とシリコン酸化物からなる熱酸化膜4の積層膜が順に形成され、その上にMOSトランジスタの活性領域となる単結晶シリコン層21、22が形成されている。いわゆるSOI構造である。このSOI基板に通常のnチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタが形成されて、CMOSデバイスを構成している。ゲート絶縁層は、双方ともシリコン酸化物からなる熱酸化膜1、1´である。CMOSデバイスを構成するnチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタは共通の、すなわち同一の絶縁層上に形成されている。
【0060】
実施例3のCMOSデバイスと比較すると単結晶シリコン層21、22の裏面側(ゲート絶縁層と反対側)に熱酸化膜4を挟むことで、界面準位の影響を排除している堆積膜3による歪み効果を有効に活用するため、熱酸化膜4の膜厚は0.5nm以上2.5nm以下が望ましい。p型シリコン基板上に形成される堆積膜3、単結晶シリコン層21、22、ゲート絶縁層である熱酸化膜1、1´の厚さは実施例3と同様の範囲であることが望ましい。
(実施例4)
図13は、実施例4のCMOSデバイス構造を示す断面図である。
【0061】
p型シリコン基板上にはシリコン酸化物からなる絶縁層が形成され、その上にMOSトランジスタの活性領域となる単結晶シリコン層21、22が形成されている。このSOI基板にnチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタが形成されて、CMOSデバイスを構成している。ゲート絶縁層は、nチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタともシリコン酸化物からなる熱酸化膜1、1´である。p型シリコン基板上の絶縁層は、nチャネル型MOSトランジスタの領域では、堆積膜3と熱酸化膜4の複合膜であり、pチャネル型MOSトランジスタの領域では、堆積膜3のみである。シリコン基板上の堆積膜3による歪み効果を有効に活用するため、熱酸化膜4の膜厚は0.5nm以上2.5nm以下が望ましい。本構造により、nチャネル型MOSトランジスタでは、単結晶シリコン層22の裏面側(ゲート絶縁層と反対側)の界面準位の影響を排除している。一方pチャネル型MOSトランジスタでは、堆積膜3による歪み効果を最大限に利用できる。p型シリコン基板上に形成される堆積膜3、単結晶シリコン層21、22、ゲート絶縁層である熱酸化膜1、1´の厚さは実施例3と同様の範囲であることが望ましい。
(実施例5)
図14は、実施例5のCMOSデバイス構造を示す断面図である。
【0062】
単結晶シリコンからなるp型シリコン基板上には、実施例2にかかる堆積膜3と同様に作成されたシリコン酸化物からなる堆積膜3が形成され、その上にMOSトランジスタの活性領域となる単結晶シリコン層21、22が形成されている。このSOI基板上に実施例1と同様のnチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタが形成されて、CMOSデバイスを構成している。ゲート絶縁層は、nチャネル型MOSトランジスタでは、シリコン単結晶22上に直接接して設けられたシリコン酸化物からなる熱酸化膜1と、前記熱酸化膜1に積層して設けられたシリコン酸化物からなる堆積膜2の積層膜であり、pチャネル型MOSトランジスタでは、シリコン酸化物からなる堆積膜2´のみである。単結晶シリコン層21、22では表面側のゲート絶縁層と裏面側の絶縁層の両方から、単結晶シリコン層へ歪み応力を享受できるので、効果は絶大である。p型シリコン基板上に形成される堆積膜3、単結晶シリコン層22の厚さは実施例3と同様の範囲であることが望ましい。また、ゲート絶縁層である熱酸化膜1及び堆積膜2、2´の厚さは実施例1と同様であることが望ましい。
【0063】
図11、図12、図13、図14以外にも、図1、図2、図3、図5、図6との組み合わせは様々に考えられるが、そのすべてが有効であることは言うまでもない。
(参考例1)
図16は、参考例1のMOSトランジスタ構造を示す断面図である。
【0064】
p型シリコン基板上には一部の領域にシリコン酸化物からなる堆積膜31が埋め込まれて形成され、その上にMOSトランジスタの活性領域となる単結晶シリコン層32が形成されている。ここにpチャネル型MOSトランジスタが形成されている。ゲート絶縁層は、シリコン酸化物からなる熱酸化膜1である。部分的に埋め込まれた平板状の堆積膜31の影響で、直上の単結晶シリコン層32に引っ張り応力が発生し、キャリア移動度が上昇する。nチャネル型MOSトランジスタにも適用でき、ゲート絶縁層は、これまで述べた種々の構造(熱酸化膜、堆積膜、それらの複合膜)で有効である。また、堆積膜31上に複数のトランジスタを形成することも可能であり、もちろんCMOS化もできる。
(実施例6)
図17は、実施例6に係るMOSトランジスタ構造を示す断面図である。
【0065】
p型シリコン基板上には一部の領域に平板状の絶縁層が形成されている。平板状の絶縁層は、シリコン酸化物からなる堆積膜31と、それを覆うように形成されたシリコン酸化物からなる熱酸化膜33で構成される。平板状の絶縁層の上にMOSトランジスタの活性領域となる単結晶シリコン層32が形成されている。ここに通常のnチャネル型MOSトランジスタが形成されている。ゲート絶縁層は、シリコン酸化物からなる熱酸化膜1である。部分的に埋め込まれた平板状の絶縁層の影響で、直上の単結晶シリコン層32に引っ張り応力が発生し、キャリア移動度が上昇する。pチャネル型MOSトランジスタにも適用でき、ゲート絶縁層は、これまで述べた種々の構造(熱酸化膜、堆積膜、それらの複合膜)で有効であることは言うまでもない。また、平板状の絶縁層の上に複数のトランジスタを形成することも可能であり、もちろんCMOS化もできる。あるいは、同一基板上に図16と図17の構造を混在化させることも可能である。
【0066】
図18は、図16で示した参考例1の製造方法を説明した図である。
【0067】
p型シリコン基板の内部に平板状の空洞34を形成する。シリコン基板内部に平板状の空洞34を形成する方法に関しては、特願2000−252881に詳しい(図18(a))。
【0068】
次に平板状の空洞34を開口する。その開口部35から、減圧化学気相成長法(LPCVD)を用いて、650度でTEOSと酸素の反応によりシリコン酸化物からなる堆積膜31を埋め込む。その後、窒素雰囲気中で1000度、90分の熱処理を行う。シリコン基板上にもシリコン酸化膜は堆積されるが、これは除去する(図18(b))。ここでは、空洞34全体に堆積膜31を埋め込んだが、膜厚を薄くすることで、空洞34の内壁のみにシリコン酸化膜を堆積し、空洞部分を残すことも可能である。
【0069】
次に、通常のMOSプロセスを用いて、pチャネル型MOSトランジスタを完成させる。素子分離は、局所酸化法やシャロー・トレンチ法で形成することもできるし、メサ型でも構わない。これで、参考例1の断面構造が得られる(図18(c))。
【0070】
図18(b)で、堆積膜31を埋め込む直前に、全面を熱酸化してシリコン熱酸化膜33を形成すれば、実施例6の断面構造が得られる。
(参考例2)
図19は、参考例2に係るCMOSデバイス構造を示す断面図である。
【0071】
p型シリコン基板上にはシリコン酸化物からなる堆積膜3が形成され、その上にMOSトランジスタの活性領域となる単結晶シリコン層41、42が形成されている。このSOI基板に通常のnチャネル型とpチャネル型MOSトランジスタが形成されて、CMOSデバイスを構成している。ゲート絶縁層は、図11の構造と同様、双方とも通常のシリコン酸化物からなる熱酸化膜1、1´である。また、MOSトランジスタを覆うように堆積膜43が形成されており、層間絶縁層となっている。この後、金属配線のため、一部領域が開孔される。前記層間絶縁層もまた、チャネルとなる単結晶シリコン層42へ歪み応力を与える。堆積膜3による歪み応力効果との相乗効果で、キャリア移動度は飛躍的に上昇する。
【0072】
本参考例においては、図11のCMOSデバイス構造に対し堆積膜からなる層間絶縁層を形成し単結晶シリコン層41、42への歪印加する例について記載したが、図1、図2、図3、図5、図6、図12、図13、図14、図16、図17に示されるMISトランジスタ及びCMOSデバイスのいずれの構造に対しても有効であることは言うまでもない。
【0073】
本発明は、主旨を逸脱しない範囲で種々変形して用いることができる。
【0074】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、堆積膜を用いることで、MOSトランジスタを作るプロセスだけで、電子と正孔の両方の移動度が向上し、CMOSデバイスもしくはMISトランジスタの高性能化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例にかかる半導体装置を示す断面図。
【図2】 本発明の一実施例にかかる半導体装置を示す断面図。
【図3】 nチャネル型MOSトランジスタの一構成例を示す断面図。
【図4】 本発明に係る半導体装置のキャリア移動度を測定した結果を示す特性図。
【図5】 本発明の一実施例にかかる半導体装置を示す断面図。
【図6】 pチャネル型MOSトランジスタの一構成例を示す断面図。
【図7】 本発明に係る半導体装置のキャリア移動度を測定した結果を示す特性図。
【図8】 本発明に係る半導体装置のチャネル領域に係るの応力を測定した結果を示す特性図。
【図9】 本発明の一実施例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図10】 本発明の一実施例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図11】 本発明の一実施例に係る半導体装置を示す断面図。
【図12】 本発明の一実施例に係る半導体装置を示す断面図。
【図13】 本発明の一実施例に係る半導体装置を示す断面図。
【図14】 本発明の一実施例に係る半導体装置を示す断面図。
【図15】 本発明の一実施例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図16】 本発明の一参考例に係る半導体装置を示す断面図。
【図17】 本発明の一実施例に係る半導体装置を示す断面図。
【図18】 本発明の一実施例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図19】 本発明の一参考例に係る半導体装置を示す断面図。
【符号の説明】
1、1´…熱酸化膜
2、2´…堆積膜
11…p型シリコン基板
12…p型不純物領域
13…n型不純物領域
14、18…ゲート絶縁層
15、19…ゲート電極
16、20…ソース領域
17、21…ドレイン領域
3…堆積膜
21、22、32、41、42…単結晶シリコン層
31…堆積膜、33…熱酸化膜、34…空洞、35…開口部
43…堆積膜

Claims (2)

  1. p型領域を含む第1シリコン層、
    前記第1シリコン層の前記p型領域内に互いに離間して設けられたn型ソース領域及びn型ドレイン領域、
    前記第1シリコン層上に形成され、金属又は半導体の熱酸化にて形成された第1熱酸化膜及び前記第1熱酸化膜上に形成され、金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成後熱処理により収縮した第1堆積膜からなる積層膜を備える第1ゲート絶縁層、及び
    前記第1ゲート絶縁層上に形成された第1ゲート電極を備えてなるnチャネル型MISトランジスタと、
    n型領域を含む第2シリコン層、
    前記第2シリコン層の前記n型領域内に互いに離間して設けられたp型ソース領域及びp型ドレイン領域、
    前記第2シリコン層上に形成され、金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成後熱処理により収縮した第2堆積膜を備える第2ゲート絶縁層、及び
    前記第2ゲート絶縁層上に形成された第2ゲート電極を備えてなるpチャネル型MISトランジスタと、を備え、
    前記nチャネル型MISトランジスタ及びpチャネル型MISトランジスタのチャネル領域には引っ張り歪応力が与えられていることを特徴とする半導体装置。
  2. シリコン基板上に、金属又は半導体を含む化合物と、酸素又は酸素を含む化合物との気相反応で形成後熱処理により収縮した絶縁性の第3堆積膜をさらに備え、前記p型領域を含む第1シリコン層及びn型領域を含む第2シリコン層は、前記第3堆積膜上に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
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