JP3618319B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘテロ接合を利用した電界効果型トランジスタに係り、特に、性能の向上対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在では、シリコン基板上に形成されるトランジスタは、金属−酸化膜絶縁体−半導体(MOS)型の電界効果型トランジスタ(MOSFET)が主流である。このMOSFETの特性を向上させる方法として、文献(J. Welser et al., “Strain dependence of the performance enhancement in strained-Si n-MOSFETs,” IEDM Tech. Dig. 1994, p.373. およびK. Rim et al., “Enhanced hole mobilities in surface-channel strained-Si p-MOSFETs,” IEDM Tech. Dig. 1995, p.517 )には、Siチャネル層に引っ張り歪を与える方法が報告されている。これは、シリコン基板上に、厚いSiGeバッファ層を成長させ、SiGeバッファ層を格子緩和させた後、その上にSiチャネル層を形成する方法である。これにより、SiGeバッファ層の格子定数を無歪みのSiGeと等しくなるよう大きくし、その上に成長するSiチャネル層に引っ張り歪みを与えようとするものである。
【0003】
上記ヘテロ接合構造において、Siチャネル層においては、引っ張り歪みを受けることにより、伝導帯で6重の縮退が解け、2重および4重に縮退したバンド(Δ(2)およびΔ(4))にスプリットする。この時、Siチャネル層の伝導帯端は2重に縮退したバンドΔ(2)により構成され、また、バンドΔ(2)におけるチャネル方向に移動する際の電子の実効質量は小さくなる。このようなヘテロ接合部を利用してnチャネル型電界効果トランジスタを構成すると、電子をSiチャネル層/SiGe層によるヘテロ障壁に閉じ込ることができる。
【0004】
また、Siチャネル層内での電子の実効質量が小さくなることにより電子移動度が向上し、トランジスタの動作速度が向上する。一方、価電子帯でも同様に縮退が解け、ライトホール(LH)バンドとヘビーホール(HH)バンドとにスプリットする。この時、Siチャネル層における価電子帯端は、正孔の実効質量の小さいライトホールによるバンドにより構成され、また、ライトホールの実効質量がSiGe層におけるホールの実効質量に比べて小さくなる。このようなヘテロ接合部を利用してpチャネル型電界効果トランジスタを構成すると、ホールの実効質量が小さくなることによりホール移動度が向上し、トランジスタの動作速度が向上する。ただし、SiGe層側にヘテロ障壁が形成されるためにホールを閉じ込めることは期待できない。
【0005】
このように、nチャネル、pチャネルともに、Siチャネル層に引っ張り歪みを加えることにより、トランジスタ特性が向上することが報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、Siチャネル層に引っ張り歪みを加えるためには、SiGeバッファ層をシリコン基板上に十分に厚く、格子緩和するまで成長する必要がある。格子緩和させる際には、SiGeバッファ層には多数の転位が発生する。また、その上に形成するSiチャネル層にも多数の転位を内在している。このような転位は、トランジスタの特性を劣化させるばかりではなく、長期的な信頼性においても問題である。そこで、SiGeバッファ層の構成を工夫することにより転位の低減が報告されているが、転位密度が105 cm-2程度が現状の限界であり、非常に欠陥の多いデバイスとなっている。
【0007】
また、このような格子緩和のためのSiGeバッファ層は、相当に厚いこと(1μm以上)を要求されるため、結晶成長に時間がかかりスループットという観点においても問題である。
【0008】
本発明の目的は、上述の不具合を抑制する手段を講ずることにより、特性の優れたかつ信頼性を十分に確保したトランジスタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の半導体装置は、少なくとも1つの電界効果トランジスタを設けてなる半導体装置であって、上記電界効果トランジスタは、Si又はSi 1-x1 Ge x1 (0<x1<1)からなる第1の半導体層と、上記第1の半導体層の上に設けられ、最上部が窒素含有層からなり、主部がSi、Si 1-x2 Ge x2 (0<x2<1)、Si 1-x3-y1 Ge x3 y1 (0<x3<1 , 0<y1<1)又はSi 1-y2 y2 (0<y2<1)で表される組成であって上記第1の半導体層とヘテロ接合を形成する第2の半導体層からなる第1の活性層と、上記第1の活性層の上に設けられたゲート電極とを備え、上記主部はチャネル層であり、上記最上部は上記チャネル層の上に接して設けられたゲート絶縁膜であり、上記窒素含有層は、窒化カーボン(CN)であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の半導体装置は、少なくとも1つの電界効果トランジスタを設けてなる半導体装置であって、上記電界効果トランジスタは、Si又はSi 1-x1 Ge x1 (0<x1<1)からなる第1の半導体層と、上記第1の半導体層の上に設けられ、最上部が窒素含有層からなり、主部がSi 1-y y (0<y<1)で表される組成であって上記第1の半導体層とヘテロ接合を形成する第2の半導体層からなる第1の活性層と、上記第1の活性層の上に設けられたゲート電極とを備え、上記主部はチャネル層であり、上記最上部は上記チャネル層の上に接して設けられたゲート絶縁膜であり、上記窒素含有層は、窒化シリコンカーボン(SiCN)であることを特徴とする。
【0011】
これにより、第1の活性層の窒素含有層がゲート絶縁膜として機能し、主部がSi、Si 1-x2 Ge x2 (0<x2<1)またはSi 1-y y (0<y<1)からなる第2の半導体層をチャネル層として機能させることが可能になり、ヘテロ接合型の電界効果トランジスタとして動作する半導体装置が得られる。そして、ゲート絶縁膜として機能する活性層の最上部が窒素含有層により構成されているので、Siキャップ層を設けなくてもチャネル層のCやGeの脱離などに起因する欠陥の発生を抑制することもできる。したがって、ヘテロ接合型トランジスタの利点を活用して高電流駆動力性や高速動作性を有する半導体装置の提供を図ることができる。
【0012】
上記第1の活性層内の上記窒素含有層と第2の半導体層との間の距離は、2nm以下であることにより、特に高い相互コンダクタンスが得られる。
【0013】
上記窒素含有層の少なくとも一部が酸化されていてもよい
【0014】
記第2の半導体層が、引っ張り歪みを受けていることにより、バンドの縮退が解けるのを利用して、キャリア速度の向上を図ることができ、よって、動作速度の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0015】
上記第2の半導体層が電子が走行するnチャネルとして用いられることにより、チャネル方向における電子の速度が高くなるので、動作速度の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0016】
上記第2の半導体層がホールが走行するpチャネルとして用いられることにより、ライトホールを利用して動作速度の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる
【0017】
発明の第1の半導体装置の製造方法は、電界効果トランジスタを形成する工程であって、Siからなる第1の半導体層の半導体層を有する基板を準備する工程(a)と、上記第1の半導体層の上に、チャネル層となり、Si 1-y y (0<y<1)で表される組成を有する第2の半導体層を形成する工程(b)と、上記第2の半導体層の表面部を窒化してゲート絶縁膜となる窒素含有層を形成する工程(c)と、上記窒素含有層の上にゲート電極を形成する工程(d)とを含み、上記窒素含有層は窒化シリコンカーボン(SiCN)であることを特徴とする。
【0018】
この方法により、下地層と構造的に親近性のよい窒素含有層が得られるので、チャネルとなる部分に対する悪影響を抑制することができる。よって、性能の高い半導体装置を容易に製造することができる。
【0019】
上記工程(c)では、ECRプラズマを用いることにより、低温で窒素含有層を形成することができるので、活性層全体が高温状態にさらされることに起因する各種特性の劣化を回避することができる。
【0020】
本発明の第2の半導体装置の製造方法は、電界効果トランジスタを形成する工程であって、Si 1-x Ge x (0<x<1)からなる第1の半導体層の半導体層を有する基板を準備する工程(a)と、上記第1の半導体層の上に、チャネル層となり、Siからなる第2の半導体層を形成する工程(b)と、上記第2の半導体層の上に、CVD法によりゲート絶縁膜となる窒素含有層を形成する工程(c)と、上記窒素含有層の上にゲート電極を形成する工程(d)とを含み、上記窒素含有層は、窒化カーボン(CN)であることを特徴とする。
【0021】
この方法により、窒素含有層を構成する材料を下地の材質とは関係なく選択することができるので、半導体装置の用途などに応じた適切な窒素含有層を形成することが可能になる。
【0022】
本発明の第3の半導体装置の製造方法は、電界効果トランジスタを形成する工程であって、Siからなる第1の半導体層を有する基板を準備する工程(a)と、上記第1の半導体層の上に、チャネル層となり、Si 1-y y (0<y<1)で表される組成を有する第2の半導体層を形成する工程(b)と、上記第2の半導体層の上にゲート絶縁膜となるCN絶縁膜を形成する工程(c)と、上記CN絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程(d)と、上記工程(d)の後に、酸素を含むガスを用いたドライエッチングにより、上記CN絶縁膜の一部を除去する工程(e)とを含む。
【0023】
この方法により、エッチングの際に、窒素含有層の下地となるSi1-x-yGexy (0≦x<1,0≦y<1,x+y>0)からなる第2の半導体層がエッチングされるのを抑制することができる。このドライエッチングは、ゲート絶縁膜のパターニングや、ソース・ドレイン領域へのコンタクト形成の際に必要な工程である。
【0024】
【発明の実施の形態】
まず、従来SiGe−MOSFETに設けられていたSiキャップ層について検討する。従来のSiGe−MOSFETでは、Siキャップ層が必要不可欠であった。このSiキャップ層は、SiGe層中のGeやSiC層中のCの外方への拡散を抑えたり、また、逆に、ゲート絶縁膜の材料である酸化物からO原子がSiGe層中やSiC層中へ拡散することを防止するため必要であった。しかしながら、次の2つの点でSiキャップ層の存在は好ましくなかった。1つの点はSiキャップ層内を電子やホールが流れる寄生チャネル効果であり、もう1つの点はSiキャップ層によってゲート電極とSiGeチャネル層との間の距離が離れることによる電子やホール引き付け効果の減少である。
【0025】
まず、寄生チャネル効果について、SiGe−pMOSFETを例にとって詳細に検討してみる。
【0026】
図2(a),(b)は、従来のSiGe−pMOSFETにおけるゲートバイアスが小さい時及びゲートバイアスが大きい時における縦断面のバンド構造を示すエネルギーバンド図である。図2(a),(b)において、伝導帯の図示は省略されている。
【0027】
図2(a)に示すように、ゲート電極に印加される負電圧(ゲートバイアス)の絶対値|Vg|が小さいときには、キャリアであるホールは、移動度の高いSiGeチャネル層に閉じ込められているが、図2(b)に示すように、ゲート電極に印加される負電圧(ゲートバイアス)の絶対値|Vg|が大きい場合には、ホールはSiGeチャネル層だけではなく、移動度の低いSiキャップ層の中も流れるようになる。この効果は、Siキャップ層の膜厚が厚いほど顕著になる。
【0028】
28(a),(b)は、従来のSiGe−MOSFETにおける相互コンダクタンスのゲートバイアス依存性の実測データ及びシミュレーションデータを、Siキャップ層の厚さをパラメータとして示す図である。図28(a),(b)に示すデータは、SiGeチャネル層のGe組成率が25%で、ゲート長L/ゲート幅Wが50μm/50μmのMOSFETにおいて、Siキャップ層の厚みを1nm,2nm,3nm,5nm,7nmに変化させたときのものである。また、図28(a)には、比較のためにSi−MOSFETのデータも示されている。
【0029】
28(a)に示すように、ゲートバイアス(ゲート電圧Vgの絶対値)が小さいとき(Vg=−2〜−3Vのとき)には、厚いSiキャップ層を有するSiGe−MOSFETの相互コンダクタンスgmは、Si−MOSFETよりもかなり大きいが、ゲートバイアスが大きくなるにつれて(Vg=−3〜−5のとき)、SiGe−MOSFETの相互コンダクタンスはSi−MOSFETとほぼ同程度にまで低下する。したがって、実際の使用状態では、比較的厚いSiキャップ層(3〜7nm)を有するSiGe−MOSFETは、Si−MOSFETと同等の性能しか有していないことになる。一方、薄いSiキャップ層を有するSiGe−MOSFETにおいて(2nm以下)は、ゲートバイアスが小さいときだけなく、ゲートバイアスが大きいときにも、Si−MOSFETに比べて高い相互コンダクタンスを示すようになる。特に、厚み1nmのSiキャップ層を有するSiGe−MOSFETは、ゲートバイアスが小さいときから大きいときに亘って、Si−MOSFETの2倍程度の相互コンダクタンスgmを示している。
【0030】
28(b)に示すように、実測データと同様の効果がシミュレーションデータからも得られている。ただし、シミュレーションデータにおいては、Siキャップ層の厚さが3nmのSiGe−MOSFETは、ゲートバイアスが小さいときも比較的高い相互コンダクタンスgmを示しているが、実測データにおいては、Siキャップ層の厚さが3nmのSiGe−MOSFETは、ゲートバイアスが小さいときは、ほとんどSi−MOSFETと変わらない相互コンダクタンスgmしか示していない。よって、Siキャップ層の厚さは2nm以下であることが好ましく、Siキャップ層が存在しないことがより好ましい。
【0031】
そこで、本発明では、ゲート絶縁膜として機能する部分を窒化物により構成することによって、従来必要であったSiキャップ層を省略して、高性能なSi系へテロ接合MISFETを提供することができる。
【0032】
以上の目的を果たすために、本発明者は、以下のような考察に基づいて、歪みを受けたチャネル層としてSi層の代わりにSi1-x-y Gexy 膜を用い、かつ、Si1-x-y Gexy 膜上にゲート絶縁膜を設ける構造を基本とし、そのゲート絶縁膜として適した材料、およびその製造のためのプロセスを実験的に検討した。
【0033】
一般に、歪みを受けたチャネル層を有するMOS型トランジスタとしては、通常、SiGe層,SiC層又はSiGeC層の上にSiキャップ層を形成し、このSiキャップ層がチャネル層として用いられている。上述のように、本発明者は、理想的には、Si基板上に、Si1-x-yGexy チャネル層,Si1-yy チャネル層又はSi1-x Gex チャネル層(これらを総合して、Si1-x-yGexy チャネル層(0≦x<1,0≦y<1,x+y>0)と表記することができる)をエピタキシャル成長させ、その上に絶縁性のゲート酸化膜を形成した構造が望ましいと考えている。しかしながら、SiGe層,SiC層やSiGeC層の上に良好なゲート酸化膜を形成することは、未だ報告されていない。その理由は、ゲート酸化膜であるSiO2 膜の形成時に、SiGeチャネル層,SiCチャネル層又はSiGeCチャネル層中のGeやCが酸素と反応して、チャネル層とゲート酸化膜との界面にGeO2 粒が析出したり、SiC層やSiGeC層ではCの抜けによる格子欠陥が生じて、界面準位が多数できてしまうことにあった。また、歪みを受けたSiGeチャネル層,SiCチャネル層又はSiGeCチャネル層上にSiキャップ層を設けた場合、SiGeチャネル層,SiCチャネル層又はSiGeCチャネル層に加えて、ゲート酸化膜とSiキャップ層との界面に別のチャネル(寄生チャネル)が形成されるので、電力効率の低下、製造プロセスの複雑化などで、良好な特性をもったMOS構造は未だ得られていない。
【0034】
一方、歪みを受けたSi1-x-y Gexy 膜(0≦x<1,0≦y<1,x+y>0)は、Ge結晶およびC結晶とは格子定数の異なる単結晶Si基板上にエピタキシャル成長される。Si系半導体上のMOS構造を基本としたLSIデバイスには、層間絶縁膜,ゲート絶縁膜としてSiO2 膜が広く使われている。SiO2 膜は、Si表面を熱酸化することによる酸化膜の形成や、CVD法,スパッタ法,電子ビーム蒸着法などによる酸化膜の堆積によって形成される。本発明の過程で行なった実験で、Si1-x-y Gexy 膜あるいはSi1-x-y Gexy 結晶上に、同様の方法でSiO2 膜の形成を試みた。Si1-x-y Gexy 膜の表面を熱酸化した場合、SiO2 膜中にGeが拡散し、SiO2 膜内におけるSiO2 /Si1-x-y Gexy の界面に、GeO2 粒やCの析出が起こり、SiO2 膜の白濁が観察された。一方、CVD法,あるいは真空蒸着法で得られたSiO2 膜は、熱酸化膜に比べて表面平坦性が劣り、後工程の加熱プロセス時にSi1-x-y Gexy 層の表面からGe,CがSiO2 膜内に拡散し、酸素と反応して、上記熱酸化処理と同様の現象が起こったり、Cの抜けによるSiO2 /Si1-x-y Gexy 界面の格子欠陥が起こることがわかった。これらのことは、SiO2 /Si1-x Gex 界面,SiO2 /Si1-yy 界面においても同様である。また、Si,Ge及びCのうち少なくともいずれか2種類の元素を含むSi系の合金材料膜表面に、SiO2 以外の酸化物膜、例えばAl23 膜、TiO2 膜、Y23 膜などを形成した場合も、同様に、酸化物膜/Si系合金材料膜の界面には不純物準位の発生と酸化物膜自身の劣化が起こることがわかった。しかも、種々の分析・解析から、これらの劣化は、ゲート酸化膜中の酸素が、デバイスにとって深刻な劣化を引き起こしていることがわかった。 そこで、本発明者は、酸素を含まない絶縁性膜のMIS(金属−絶縁体−半導体)型トランジスタの絶縁膜を検討した。
【0035】
まず、歪みを受けたSi系合金材料膜の上に形成するゲート絶縁膜として、Siを含む絶縁膜である窒化珪素膜を検討した。ここで、窒化珪素の化学量論的組成はSi34 であるが、SiとNとの組成比は成長条件によって大幅に変化し、むしろ化学量論的組成からずれることが多いことから、以下の記載においては、単にSiN膜と表示する。SiN膜の形成方法は、Si1-x-y Gexy チャネル層形成後に、1)SiN膜を堆積する方法、2)薄いSi膜を形成した後その表面を窒化する方法、の2通りを行った。いずれの場合も、SiN膜の厚みは5nmになるよう調節した。
【0036】
1)堆積法によるSiN膜の形成は、アンモニアガスを用いたCVD法、反応性真空蒸着法で、試料を室温から700℃に変化させて行った。
【0037】
2)Si膜の窒化によるSiN膜の形成は、N2 ガスあるいはラジカルガンで活性化したN2 ガスを導入した真空中あるいは1気圧のN2 ガス雰囲気中で、試料を200℃から1000℃に加熱して行った。
【0038】
SiN膜上にゲート電極(Al−Cu合金)を形成して、電界効果トランジスタを作成した結果、1),2)のいずれの場合も、Si1-x-y Gexy チャネル層上にSiO2 ゲート絶縁膜を形成した時よりも、ゲート絶縁膜/Si1-x-y Gexy 膜の界面での不純物による界面準位の発生も少なく、電界効果トランジスタの特性を向上させることができる。
【0039】
ただし、SiN膜は、膜形成条件や膜堆積後の熱処理によっては、膜内に残留応力が生じ、その結果、SiN膜とチャネル層との間に歪みが生じるおそれがある。いずれも、SiN結晶の凝集に関係があり、形成温度の低温化、膜組成比率の高精度制御と膜の緻密化が必要である。
【0040】
以上の実験結果に基づいて、本発明では、電界効果トランジスタのSi1-x Gex ,Si1-yy ,Si1-x-y Gexy などからなる歪みを受けたチャネル層上に形成するゲート絶縁膜として、窒化物を用いることによって、特性向上とプロセス効率化を図っている。
【0041】
ここで、窒化物として各種のものがあるが、特に窒化炭素(CN)はCを含むことから、Cを含むシリコン層(SiC層やSiGeC層など)には、有望な材料と考えられる。CNは、例えばグラファイト中に窒素イオンを注入してアニールすることなどにより、容易に形成することができる。
【0042】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である炭素を含み、引っ張り歪を受けたシリコンがチャネルになっているn−MISFETの構造を示す断面図である。
【0043】
p型Si基板10の上に、ほぼイントリンシックのSi層11と、炭素を含むシリコン層であるSiC(Si1-yy )チャネル層12と、窒化物である窒化炭素層(CN)からなるCNゲート絶縁膜13と、ゲート電極14とが順次積層されて設けられている。このSi層11,SiCチャネル層12及びCNゲート絶縁膜13は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、SiCチャネル層12の厚さは、炭素含有量に応じて歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下の値にしておくことが好ましい。本実施形態においては、SiCチャネル層12の炭素含有量は2%(y=0.02)で、SiCチャネル層12の厚みは10nmである。そして、SiCチャネル層12の両側には、SiC層及びSi層に高濃度のn型不純物を導入してなるソース領域15とドレイン領域16とが形成されている。また、ソース領域15,ドレイン領域16の上には、それぞれソース電極17とドレイン電極18とが設けられている。
【0044】
また、CNゲート絶縁膜13は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiCN膜(Si3-yy4 膜など)を用いてもよい。
【0045】
図2は、本実施形態のn−MISFETのゲート電極14−CNゲート絶縁膜13−SiCチャネル層12−Si層11を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極14に正の電圧が印加されると、ゲート電極14のポテンシャルが低くなる方向にバンドが曲げられる。そして、SiCチャネル層12が反転状態になると、ソース領域15−ドレイン領域16間に電流が流れる状態となる。そのとき、SiCチャネル層12を構成するSi1-yy 結晶の格子定数はSi結晶の格子定数よりも小さいので、Si層11の上にSiCチャネル層12を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、SiCチャネル層12は引っ張り歪を受けた状態となる。そして、この引っ張り歪により、SiCチャネル層12のバンドギャップが実質的に縮小されるとともに、SiCチャネル層12の伝導帯は、下記のように縮退が解けた状態となる。
【0046】
図11は、Si層11の上にSi層11よりも格子定数の小さいSiCチャネル層12を設け、SiCチャネル層12に引っ張り歪みを与えたときのSi層及びSiCチャネル層における伝導帯及び価電子帯の縮退状態を示すエネルギーバンド図である。同図に示すように、Si層11においては伝導帯が6重に縮退しているが、引っ張り歪みを受けたSiCチャネル層12においては、伝導帯が2重および4重に縮退したバンド(Δ(2)およびΔ(4))にスプリットする。そして、SiCチャネル層12における2重に縮退した伝導帯端であるバンドΔ(2)は、Si層11に比べて低いポテンシャルを有している。この時のSi層11とSiCチャネル層12との間に形成される伝導帯端におけるバンド不連続値ΔEcは約150meVとなる。一方、SiCチャネル層12の価電子帯においても同様に縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0047】
したがって、図2に示すように、SiCチャネル層12の伝導帯端において、CNゲート絶縁膜13との間には絶縁体によるエネルギー障壁が形成され、SiCチャネル層12とSi層11との間にはヘテロ障壁が形成されることになる。つまり、SiCチャネル層12がバンドギャップの大きなSi層11とCNゲート絶縁膜13とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0048】
そして、このような状態で、ゲート電極14に正の電圧が印加されてSiCチャネル層12が反転状態になると、誘起された電子は量子井戸であるSiCチャネル層12に閉じ込められる。そして、電子濃度が高くなっても、電子がヘテロ障壁を乗り越えることがほとんどなく、SiCチャネル層12を図2における紙面に垂直な方向に走行する。そして、この方向に走行する電子の実効質量は小さいことから、SiCチャネル層12における電子移動度が向上する。また、SiCチャネル層12における不純物濃度が小さいことから、SiCチャネル層12を走行する電子は不純物による散乱をあまり受けずに、高速で走行することができる。よって、高速で動作する電界効果トランジスタが得られることになる。
【0049】
このとき、チャネル層がSi層ではなくSi及びCを含む第2の半導体層であるSiC層により構成されているので、SiCチャネル層12の下方に、格子緩和のための厚いバッファ層を設けなくても、Cの含有量を調整するだけでSiCチャネル層12に引っ張り歪みを与えることが可能になる。また、ゲート絶縁膜13が窒化物により構成されているので、Siキャップ層を設けなくてもSiCチャネル層12のCの拡散などに起因する欠陥の発生を抑制することもできる。つまり、Siキャップ層を設けた場合には、Siキャップ層とゲート絶縁膜との間に寄生チャネルが発生するおそれがあるが、Siキャップ層がないことから寄生チャネルの発生を招くこともない。よって、チャネル層の結晶性を良好に保ちつつ、駆動力の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0050】
つまり、Si/SiCヘテロ界面を利用しながらも寄生チャネルの発生を回避でき、かつ、伝導帯の縮退が解けることを利用して、高速動作のトランジスタを得ることができるのである。
【0051】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態である炭素を含み、引っ張り歪を受けたシリコンがチャネルになっているp−MISFETの構造を示す断面図である。
【0052】
n型Si基板20の上に、ほぼイントリンシックのSi層21と、炭素を含むシリコン層であるSiC(Si1-yy )チャネル層22と、CNゲート絶縁膜23と、ゲート電極24とが順次積層されて設けられている。このSi層21,SiCチャネル層22及びCNゲート絶縁膜23は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、SiCチャネル層22の厚さは、炭素濃度に応じて歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下の値にしておくことが好ましい。本実施形態においては、SiCチャネル層22の炭素含有量は2%(y=0.02)で、SiCチャネル層22の厚みは10nmである。そして、SiCチャネル層22の両側には、SiC層及びSi層に高濃度のp型不純物を導入してなるソース領域25とドレイン領域26とが形成されている。また、ソース領域25,ドレイン領域26の上には、それぞれソース電極27とドレイン電極28とが設けられている。
【0053】
なお、CNゲート絶縁膜23は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiCN膜(Si3-yy4 膜など)を用いてもよい。
【0054】
図4は、本実施形態のn−MISFETのゲート電極24−CNゲート絶縁膜23−SiCチャネル層22−Si層21を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極24に負の電圧が印加されると、ゲート電極24のポテンシャルが高くなる方向にバンドが曲げられる。そして、SiCチャネル層22が反転状態になると、ソース領域25−ドレイン領域26間に電流が流れる状態となる。そのとき、SiCチャネル層22を構成するSi1-yy 結晶の格子定数はSi結晶の格子定数よりも小さいので、Si層21の上にSiCチャネル層22を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、SiCチャネル層22は引っ張り歪を受けた状態となる。そして、この引っ張り歪により、SiCチャネル層22のバンドギャップが実質的に縮小されるとともに、SiCチャネル層22の価電子帯は、下記のように縮退が解けた状態となる。
【0055】
すなわち、図11に示すように、Si層21においては価電子帯が縮退しているが、引っ張り歪みを受けたSiCチャネル層22においては、価電子帯の縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0056】
したがって、図4に示すように、SiCチャネル層22の価電子帯端において、CNゲート絶縁膜23との間には絶縁体によるエネルギー障壁が形成され、SiCチャネル層22とSi層21との間にはヘテロ障壁が形成されることになる。つまり、SiCチャネル層22がバンドギャップの大きなSi層21とCNからなるCNゲート絶縁膜23とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0057】
そして、このような状態で、ゲート電極24に負の電圧が印加されてSiCチャネル層22が反転状態になると、誘起されたホールは量子井戸であるSiCチャネル層22に閉じ込められる。そして、ホール濃度が高くなっても、ホールがヘテロ障壁を乗り越えることがほとんどなく、SiCチャネル層22を同図の紙面に垂直な方向に走行する。しかも、ライトホールの実効質量が小さいことから、SiCチャネル層22におけるホール移動度が向上する。また、SiCチャネル層22における不純物濃度が小さいことから、SiCチャネル層22を走行するホールは不純物による散乱をあまり受けずに、高速で走行することができる。よって、高速で動作する電界効果トランジスタが得られることになる。
【0058】
このとき、チャネル層がSi層ではなくSi及びCを含む第2の半導体層であるSiC層により構成されているので、SiCチャネル層22の下方に、格子緩和のための厚いバッファ層を設けなくても、Cの含有量を調整するだけでSiCチャネル層22に引っ張り歪みを与えることが可能になる。また、ゲート絶縁膜23が窒化物により構成されているので、Siキャップ層を設けなくてもSiCチャネル層22のCの拡散などに起因する欠陥の発生を抑制することもできる。つまり、Siキャップ層を設けた場合には、Siキャップ層とゲート絶縁膜との間に寄生チャネルが発生するおそれがあるが、Siキャップ層がないことから寄生チャネルの発生を招くこともない。よって、チャネル層の結晶性を良好に保ちつつ、駆動力の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0059】
つまり、Si/SiCヘテロ界面を利用しながらも寄生チャネルの発生を回避でき、かつ、価電子帯の縮退が解けることを利用して、高速動作のトランジスタを得ることができるのである。
【0060】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態である炭素を含み、引っ張り歪を受けたシリコンがチャネルになっている相補型MISFETの断面構造を示す図である。
【0061】
Si基板30の上に、nウェル31とpウェル32とが設けられている。そして、nウェル31の上には図3に示す構造とほぼ同じ構造を有するp−MISFETが設けられ、pウェル32の上には図1に示す構造とほぼ同じ構造を有するn−MISFETが設けられている。また、p−MISFETとn−MISFETとは、トレンチ分離絶縁膜33により、互いに電気的に絶縁されている。
【0062】
すなわち、pウェル32の上には、図1に示す構造とほぼ同様に、Si層11と、炭素を含むシリコン層であるSiC(Si1-yy )チャネル層12と、CNゲート絶縁膜13と、ゲート電極14とが順次積層されて設けられている。本実施形態においても、SiCチャネル層12の炭素含有量は2%(y=0.02)で、SiCチャネル層12の厚みは10nmである。そして、SiCチャネル層12の両側には、SiC層及びSi層に高濃度のn型不純物を導入してなるソース領域15とドレイン領域16とが形成されている。また、ソース領域15,ドレイン領域16の上には、それぞれソース電極17とドレイン電極18とが設けられている。そして、SiCチャネル層12がバンドギャップの大きなSi層11とCNゲート絶縁膜13とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0063】
また、nウェル32の上には、図3に示す構造と同様に、Si層21と、炭素を含むシリコン層であるSiC(Si1-yy )チャネル層22と、CNゲート絶縁膜23と、ゲート電極24とが順次積層されて設けられている。本実施形態においても、SiCチャネル層22の炭素含有量は2%(y=0.02)で、SiCチャネル層22の厚みは10nmである。そして、SiCチャネル層22の両側には、SiC層及びSi層に高濃度のp型不純物を導入してなるソース領域25とドレイン領域26とが形成されている。また、ソース領域25,ドレイン領域26の上には、それぞれソース電極27とドレイン電極28とが設けられている。そして、SiCチャネル層22がバンドギャップの大きなSi層21とCNゲート絶縁膜23とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0064】
すなわち、本実施形態においては、電子,ホールをそれぞれ閉じ込めるためのnチャネル(SiCチャネル層12)とpチャネル(SiCチャネル層22)とを単一のSiC膜から形成することができる。
【0065】
従来、SiGe/Siヘテロ接合を利用したCMOSデバイス(例えば、特開昭61-282278 号公報参照)においては、単一のヘテロ接合構造から電子,ホールに対するヘテロ障壁を形成することができなかったため、nチャネルとpチャネルとを別々のヘテロ接合構造によって構成し、2つのヘテロ接合構造を形成するための多くの膜を積層した構造であった。その結果、結晶成長が複雑となり、かつスループットの低下を招く。また、下方に位置するチャネル層はゲート絶縁膜から遠くなるため、ゲート電圧を印加しても、十分に大きい電界が下方のチャネル層に印加されないので、トランジスタを動作させるための反転状態を形成することが比較的困難であった。しかも、格子緩和のための厚いバッファー層が不可欠であることから、先に述べたように低信頼性、低スループットという不具合もあった。
【0066】
しかしながら、本実施形態においては、単一のSi/SiCヘテロ接合構造を用いて、伝導帯端,荷電子帯端の両方にヘテロ障壁を形成することができ、電子およびホールの双方を同一のチャネル層に閉じ込めることができる。単一の層でCMOSデバイスのチャネル層を形成することができる。その結果、結晶成長が簡略化され、スループットが向上する。
【0067】
そして、第1,第2の実施形態において説明したように、n−MISFETにおいては、量子井戸構造となったSiCチャネル層12を高速で電子が移動可能なことを利用して、p−MISFETにおいては、量子井戸構造となったSiCチャネル層22をホールが高速で移動可能なことを利用して、高速動作が可能なn−MISFET及びp−MISFETを有する相補型MISFETが得られる。しかも、n−MISFET及びp−MISFETのいずれにおいても、Siキャップ層が不要なことから、寄生チャネルの発生を防止して、高い電流駆動能力を有するトランジスタが得られることになる。
【0068】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の実施形態であるゲルマニウム及び炭素を含み、引っ張り歪を受けたシリコンがチャネルになっているn−MISFETの断面構造を示す図である。
【0069】
p型Si基板40の上に、ほぼイントリンシックのSi層41と、炭素を含むシリコン層であるSiGeC(Si1-x-y Gexy )チャネル層42と、CNゲート絶縁膜43と、ゲート電極44とが順次積層されて設けられている。このSi層41,SiGeCチャネル層42及びCNゲート絶縁膜43は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、SiGeCチャネル層42の厚さは、Ge,C濃度に応じて歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下の値にしておくことが好ましい。そして、Si1-x-y Gexy という組成式で表されるチャネル層は、Geの組成比x,Cの組成比yの関係が、x<8.2y であるとき、引っ張り歪を受けることになる。
【0070】
また、SiGeCチャネル層42の厚さは、炭素濃度およびゲルマニウム濃度に応じて、歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下で構成することが好ましい。ここでは、Ge含有量を20%、C含有量を4%とし、SiGeCチャネル層42の膜厚は10nmとしている。
【0071】
そして、SiGeCチャネル層42の両側には、SiGeC層及びSi層に高濃度のn型不純物を導入してなるソース領域45とドレイン領域46とが形成されている。また、ソース領域45,ドレイン領域46の上には、それぞれソース電極47とドレイン電極48とが設けられている。
【0072】
なお、CNゲート絶縁膜43は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiGeCN膜(Si3-x-y Gexy4 膜など)を用いてもよい。
【0073】
図7は、本実施形態のn−MISFETのゲート電極44−CNゲート絶縁膜43−SiGeCチャネル層42−Si層41を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極44に正の電圧が印加されると、ゲート電極44のポテンシャルが低くなる方向にバンドが曲げられる。そして、SiGeCチャネル層42が反転状態になると、ソース領域45−ドレイン領域46間に電流が流れる状態となる。そのとき、SiGeCチャネル層42を構成するSi1-x-y Gexy 結晶の格子定数は、Ge,Cの組成比を調整することによりSi結晶の格子定数よりも小さくすることができる。したがって、Si層41の上にそれよりも格子定数の小さいSiGeCチャネル層42を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、SiGeCチャネル層42は引っ張り歪を受けた状態となる。そして、この引っ張り歪により、SiGeCチャネル層42のバンドギャップが実質的に縮小されるとともに、SiGeCチャネル層42の伝導帯は、下記のように縮退が解けた状態となる。
【0074】
すなわち、図11に示すように、Si層41においては伝導帯が6重に縮退しているが、引っ張り歪みを受けたSiGeCチャネル層42においては、伝導帯が2重および4重に縮退したバンド(Δ(2)およびΔ(4))にスプリットする。そして、SiGeCチャネル層42における2重に縮退した伝導帯端であるバンドΔ(2)は、Si層41に比べて小さなポテンシャルを有している。この時のSi層41とSiGeCチャネル層42との間に形成される伝導帯端におけるバンド不連続値ΔEcは約60meVとなる。一方、SiGeCチャネル層42の価電子帯においても同様に縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0075】
したがって、図7に示すように、SiGeCチャネル層42の伝導帯端において、CNゲート絶縁膜43との間には絶縁体によるエネルギー障壁が形成され、SiGeCチャネル層42とSi層41との間にはヘテロ障壁が形成されることになる。つまり、SiGeCチャネル層42がバンドギャップの大きなSi層41とCNゲート絶縁膜43とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0076】
そして、このような状態で、ゲート電極44に正の電圧が印加されてSiGeCチャネル層42が反転状態になると、誘起された電子は量子井戸であるSiGeCチャネル層42に閉じ込められる。そして、電子濃度が高くなっても、電子がヘテロ障壁を乗り越えることがほとんどなく、SiGeCチャネル層42を図7における紙面に垂直な方向に走行する。そして、この方向に走行する電子の実効質量は小さいことから、SiGeCチャネル層42における電子移動度が向上する。また、SiGeCチャネル層42における不純物濃度が小さいことから、SiGeCチャネル層42を走行する電子は不純物による散乱をあまり受けずに、高速で走行することができる。よって、高速で動作する電界効果トランジスタが得られることになる。
【0077】
このとき、チャネル層がSi層ではなくSi,Ge及びCを含む第2の半導体層であるSiGeC層により構成されているので、SiGeCチャネル層42の下方に、格子緩和のための厚いバッファ層を設けなくても、Cの含有量を調整するだけでSiGeCチャネル層42に引っ張り歪みを与えることが可能になる。また、ゲート絶縁膜43が窒化物により構成されているので、Siキャップ層を設けなくてもSiGeCチャネル層42のCの拡散などに起因する欠陥の発生を抑制することもできる。つまり、Siキャップ層を設けた場合には、Siキャップ層とゲート絶縁膜との間に寄生チャネルが発生するおそれがあるが、Siキャップ層がないことから寄生チャネルの発生を招くこともない。よって、チャネル層の結晶性を良好に保ちつつ、駆動力の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0078】
つまり、Si/SiGeCヘテロ界面を利用しながらも寄生チャネルの発生を回避でき、かつ、伝導帯の縮退が解けることを利用して、高速動作のトランジスタを得ることができるのである。
【0079】
(第5の実施形態)
図8は、本発明の実施形態であるゲルマニウム及び炭素を含み、引っ張り歪を受けたシリコンがチャネルになっているp−MISFETの断面構造を示す。
【0080】
n型Si基板50の上に、ほぼイントリンシックのSi層51と、炭素を含むシリコン層であるSiGeC(Si1-x-y Gexy )チャネル層52と、CNゲート絶縁膜53と、ゲート電極54とが順次積層されて設けられている。このSi層51,SiGeCチャネル層52及びCNゲート絶縁膜53は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、SiGeCチャネル層42の厚さは、Ge,C濃度に応じて歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下の値にしておくことが好ましい。そして、Si1-x-y Gexy という組成式で表されるチャネル層は、Geの組成比x,Cの組成比yの関係が、x<8.2y であるとき、引っ張り歪を受けることになる。
【0081】
また、SiGeCチャネル層42の厚さは、炭素濃度およびゲルマニウム濃度に応じて、歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下で構成することが好ましい。ここでは、Ge含有量を20%、C含有量を4%とし、SiGeCチャネル層42の膜厚は10nmとしている。
【0082】
そして、SiGeCチャネル層52の両側には、SiGeC層及びSi層に高濃度のp型不純物を導入してなるソース領域55とドレイン領域56とが形成されている。また、ソース領域55,ドレイン領域56の上には、それぞれソース電極57とドレイン電極58とが設けられている。
【0083】
なお、CNゲート絶縁膜53は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiGeCN膜(Si3-x-y Gexy4 膜など)を用いてもよい。
【0084】
図9は、本実施形態のp−MISFETのゲート電極54−CNゲート絶縁膜53−SiGeCチャネル層52−Si層51を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極54に負の電圧が印加されると、ゲート電極54のポテンシャルが高くなる方向にバンドが曲げられる。そして、SiGeCチャネル層52が反転状態になると、ソース領域55−ドレイン領域56間に電流が流れる状態となる。そのとき、SiGeCチャネル層52を構成するSi1-x-y Gexy 結晶の格子定数は、Ge,Cの組成比を調整することによりSi結晶の格子定数よりも小さくすることができる。したがって、Si層51の上にそれよりも格子定数の小さいSiGeCチャネル層52を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、SiGeCチャネル層52は引っ張り歪を受けた状態となる。そして、この引っ張り歪により、SiGeCチャネル層52のバンドギャップが実質的に縮小されるとともに、SiGeCチャネル層52の価電子帯は、下記のように縮退が解けた状態となる。
【0085】
すなわち、図11に示すように、Si層51においては価電子帯が縮退しているが、引っ張り歪みを受けたSiGeCチャネル層52においては、価電子帯の縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0086】
したがって、図9に示すように、SiGeCチャネル層52の価電子帯端において、CNゲート絶縁膜53との間には絶縁体によるエネルギー障壁が形成され、SiGeCチャネル層52とSi層51との間にはヘテロ障壁が形成されることになる。つまり、SiGeCチャネル層52がバンドギャップの大きなSi層51とCNゲート絶縁膜53とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0087】
そして、このような状態で、ゲート電極54に負の電圧が印加されてSiGeCチャネル層52が反転状態になると、誘起されたホールは量子井戸であるSiGeCチャネル層52に閉じ込められる。そして、ホール濃度が高くなっても、ホールがヘテロ障壁を乗り越えることがほとんどなく、SiGeCチャネル層52を同図の紙面に垂直な方向に走行する。しかも、ライトホールの実効質量が小さいことから、SiGeCチャネル層52におけるホール移動度が向上する。また、SiGeCチャネル層52における不純物濃度が小さいことから、SiGeCチャネル層52を走行するホールは不純物による散乱をあまり受けずに、高速で走行することができる。特に、SiGeCチャネル層52を用いた場合には、SiCチャネル層22を用いた場合と比べて、Ge,Cの組成率の調整によって価電子帯端側のヘテロ障壁を高くすることが容易であるため、ホールの閉じ込め効率が向上する。
【0088】
このとき、チャネル層がSi層ではなくSi,Ge及びCを含む第2の半導体層であるSiGeC層により構成されているので、SiGeCチャネル層52の下方に、格子緩和のための厚いバッファ層を設けなくても、Cの含有量を調整するだけでSiGeCチャネル層52に引っ張り歪みを与えることが可能になる。また、ゲート絶縁膜53が窒化物により構成されているので、Siキャップ層を設けなくてもSiGeCチャネル層52のGeやCの拡散などに起因する欠陥の発生を抑制することもできる。つまり、Siキャップ層を設けた場合には、Siキャップ層とゲート絶縁膜との間に寄生チャネルが発生するおそれがあるが、Siキャップ層がないことから寄生チャネルの発生を招くこともない。よって、チャネル層の結晶性を良好に保ちつつ、駆動力の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0089】
つまり、Si/SiGeCヘテロ界面を利用しながらも寄生チャネルの発生を回避でき、かつ、価電子帯の縮退が解けることを利用して、高速動作のトランジスタを得ることができるのである。
【0090】
(第6の実施形態)
図10は、本発明の実施形態であるゲルマニウム及び炭素を含み、引っ張り歪を受けたシリコンがチャネルになっている相補型MISFETの断面構造を示す。
【0091】
Si基板60の上に、nウェル61とpウェル62とが設けられている。そして、nウェル61の上には図8に示す構造とほぼ同じ構造を有するp−MISFETが設けられ、pウェル62の上には図6に示す構造とほぼ同じ構造を有するn−MISFETが設けられている。また、p−MISFETとn−MISFETとは、トレンチ分離絶縁膜63により、互いに電気的に絶縁されている。
【0092】
すなわち、pウェル62の上には、図6に示す構造とほぼ同様に、Si層41と、炭素を含むシリコン層であるSiGeC(Si1-x-y Gexy )チャネル層42と、CNゲート絶縁膜43と、ゲート電極44とが順次積層されて設けられている。本実施形態においても、Si1-x-y Gexy という組成式で表されるチャネル層におて、Geの組成比x,Cの組成比yの関係が、x<8.2yであるように設定して、引っ張り歪を受けるように構成されている。
【0093】
また、Ge含有量を20%、C含有量を4%とし、SiGeCチャネル層42の膜厚は10nmとして、SiGeCチャネル層42内に歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下で構成するしている。
【0094】
そして、SiGeCチャネル層42の両側には、SiGeC層及びSi層に高濃度のn型不純物を導入してなるソース領域45とドレイン領域46とが形成されている。また、ソース領域45,ドレイン領域46の上には、それぞれソース電極47とドレイン電極48とが設けられている。そして、SiGeCチャネル層42がバンドギャップの大きなSi層41とCNゲート絶縁膜43とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0095】
また、nウェル62の上には、図8に示す構造と同様に、Si層51と、炭素を含むシリコン層であるSiGeC(Si1-x-y Gexy )チャネル層52と、CNゲート絶縁膜53と、ゲート電極54とが順次積層されて設けられている。本実施形態においても、Si1-x-y Gexy という組成式で表されるチャネル層におて、Geの組成比x,Cの組成比yの関係が、x<8.2yであるように設定して、引っ張り歪を受けるように構成されている。
【0096】
また、Ge含有量を20%、C含有量を4%とし、SiGeCチャネル層42の膜厚は10nmとして、SiGeCチャネル層42内に歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下で構成している。
【0097】
そして、SiGeCチャネル層52の両側には、SiGeC層及びSi層に高濃度のp型不純物を導入してなるソース領域55とドレイン領域56とが形成されている。また、ソース領域55,ドレイン領域56の上には、それぞれソース電極57とドレイン電極58とが設けられている。そして、SiGeCチャネル層52がバンドギャップの大きなSi層51とCNゲート絶縁膜53とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0098】
本実施形態においては、図10に示すように、電子,ホールをそれぞれ閉じ込めるためのnチャネル(SiGeCチャネル層42)とpチャネル(SiGeCチャネル層52)とを単一のSiGeC膜から形成することができる。その結果、結晶成長が簡略化され、スループットが向上する。
【0099】
そして、第4,第5の実施形態において説明したように、n−MISFETにおいては、量子井戸構造となったSiGeCチャネル層42を高速で電子が移動可能なことを利用して、p−MISFETにおいては、量子井戸構造となったSiGeCチャネル層52をホールが高速で移動可能なことを利用して、高速動作が可能なn−MISFET及びp−MISFETを有する相補型MISFETが得られる。また、チャネル層がゲート絶縁膜から近い位置に形成することができるため、十分な電界効果が期待できる。
【0100】
(第7の実施形態)
図12は、本発明の第7の実施形態であるGeを含み、圧縮歪を受けたシリコンがチャネルになっているn−MISFETの構造を示す断面図である。
【0101】
p型Si基板70の上に、ほぼイントリンシックのSi層71と、ゲルマニウムを含むシリコン層であるSiGe(Si1-x Gex )チャネル層72と、窒化物である窒化炭素層(CN)からなるCNゲート絶縁膜73と、ゲート電極74とが順次積層されて設けられている。このSi層71,SiGeチャネル層72及びCNゲート絶縁膜73は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、SiGeチャネル層72の厚さは、Ge含有量に応じて歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下の値にしておくことが好ましい。そして、SiGeチャネル層72は、下地のSi層71との格子不整合によってGeの組成比xに応じた圧縮歪みを生じることになる。本実施形態においては、SiGeチャネル層72のGe含有量は20%(x=0.2)で、SiGeチャネル層72の厚みは10nmである。
【0102】
そして、SiGeチャネル層72の両側には、SiGe層及びSi層に高濃度のn型不純物を導入してなるソース領域75とドレイン領域76とが形成されている。また、ソース領域75,ドレイン領域76の上には、それぞれソース電極77とドレイン電極78とが設けられている。
【0103】
なお、CNゲート絶縁膜73は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiGeN膜(Si3-x Gex4 膜など)を用いてもよい。
【0104】
図13は、本実施形態のn−MISFETのゲート電極74−CNゲート絶縁膜73−SiGeチャネル層72−Si層71を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極74に正の電圧が印加されると、ゲート電極74のポテンシャルが低くなる方向にバンドが曲げられる。そして、SiGeチャネル層72が反転状態になると、ソース領域75−ドレイン領域76間に電流が流れる状態となる。そのとき、SiGeチャネル層72を構成するSi1-x Gex 結晶の格子定数はSi結晶の格子定数よりも大きいので、Si層71の上にSiGeチャネル層72を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、SiGeチャネル層72は圧縮歪を受けた状態となる。そして、この圧縮歪により、SiGeチャネル層72の伝導帯及び価電子帯は、下記のように縮退が解けた状態となる。
【0105】
図17は、Si層71の上にSi層71よりも格子定数の大きいSiGeチャネル層72を設け、SiGeチャネル層72に圧縮歪みを与えたときのSi層及びSiGeチャネル層における伝導帯及び価電子帯の縮退状態を示すエネルギーバンド図である。同図に示すように、Si層71においては伝導帯が6重に縮退しているが、圧縮歪みを受けたSiGeチャネル層72においては、伝導帯が2重および4重に縮退したバンド(Δ(2)およびΔ(4))にスプリットする。そして、SiGeチャネル層72における4重に縮退した伝導帯端であるバンドΔ(4)は、Si層71とほぼ同じポテンシャルを有している。つまり、この時のSi層71とSiGeチャネル層72との間に形成される伝導帯端におけるバンド不連続値ΔEcはほぼ0meVとなる。一方、SiGeチャネル層72の価電子帯においても同様に縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0106】
したがって、図13に示すように、SiGeチャネル層72の伝導帯端において、CNゲート絶縁膜73との間には絶縁体によるエネルギー障壁が形成されるが、SiGeチャネル層72とSi層71との間にはほとんどヘテロ障壁が形成されないことになる。つまり、SiGeチャネル層72は、一般的なSi−nMISFETのSiチャネル層とほぼ同じ構造をしている。
【0107】
そして、このような状態で、ゲート電極74に正の電圧が印加されてSiGeチャネル層72が反転状態になると、誘起された電子はSiGeチャネル層72のCNゲート絶縁膜73直下方に位置する領域に閉じ込められる。従来のSiGe−nMISFETにおいては、SiGeチャネル層の上にSiキャップ層が設けられているので、実質的にはSiキャップ層のゲート酸化膜直下の領域にnチャネルが形成される。それに対し、本実施形態のSiGe−nMISFETにおいては、Siキャップ層を設ける必要がなくなるので、SiGeチャネル層にnチャネルが形成される。よって、本実施形態のSiGe−nMISFETでは、SiGe層中においては電子がSi層中よりも移動度が高いことを利用して、高速動作の向上を図ることができる。
【0108】
そして、ゲート絶縁膜73が窒化物により構成されているので、Siキャップ層を設けなくてもSiGeチャネル層72のGeの拡散などに起因する欠陥の発生を抑制することができる。よって、チャネル層の結晶性を良好に保ちつつ、駆動力の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0109】
(第8の実施形態)
図14は、本発明の第8の実施形態であるGeを含み、圧縮歪を受けたシリコンがチャネルになっているp−MISFETの構造を示す断面図である。
【0110】
n型Si基板80の上に、ほぼイントリンシックのSi層81と、Geを含むシリコン層であるSiGe(Si1-x Gex )チャネル層82と、CNゲート絶縁膜83と、ゲート電極84とが順次積層されて設けられている。このSi層81,SiGeチャネル層82及びCNゲート絶縁膜83は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、SiGeチャネル層82の厚さは、Ge濃度に応じて歪による転位が発生しないよう臨界膜厚以下の値にしておくことが好ましい。本実施形態においては、SiGeチャネル層82のGe含有量は20%(y=0.2)で、SiGeチャネル層82の厚みは10nmである。
【0111】
そして、SiGeチャネル層82の両側には、SiGe層及びSi層に高濃度のp型不純物を導入してなるソース領域85とドレイン領域86とが形成されている。また、ソース領域85,ドレイン領域86の上には、それぞれソース電極87とドレイン電極88とが設けられている。
【0112】
なお、CNゲート絶縁膜83は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiGeN膜(Si3-x Gex4 膜など)を用いてもよい。
【0113】
図15は、本実施形態のn−MISFETのゲート電極84−CNゲート絶縁膜83−SiGeチャネル層82−Si層81を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極84に負の電圧が印加されると、ゲート電極84のポテンシャルが高くなる方向にバンドが曲げられる。そして、SiGeチャネル層82が反転状態になると、ソース領域85−ドレイン領域86間に電流が流れる状態となる。そのとき、SiGeチャネル層82を構成するSi1-x Gex 結晶の格子定数はSi結晶の格子定数よりも大きいので、Si層81の上にSiGeチャネル層82を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、SiGeチャネル層82は圧縮歪を受けた状態となる。そして、この圧縮歪により、SiGeチャネル層82の価電子帯は、下記のように縮退が解けた状態となる。
【0114】
すなわち、図17に示すように、Si層81においては価電子帯が縮退しているが、圧縮歪みを受けたSiGeチャネル層82においては、価電子帯の縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0115】
したがって、図15に示すように、SiGeチャネル層82の価電子帯端において、CNゲート絶縁膜83との間には絶縁体によるエネルギー障壁が形成され、SiGeチャネル層82とSi層81との間にはヘテロ障壁が形成されることになる。つまり、SiGeチャネル層82がバンドギャップの大きなSi層81とCNからなるCNゲート絶縁膜83とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0116】
そして、このような状態で、ゲート電極84に負の電圧が印加されてSiGeチャネル層82が反転状態になると、誘起されたホールは量子井戸であるSiGeチャネル層82に閉じ込められる。そして、ホール濃度が高くなっても、ホールがヘテロ障壁を乗り越えることがほとんどなく、SiGeチャネル層82を同図の紙面に垂直な方向に走行する。しかも、ライトホールの実効質量が小さいことから、SiGeチャネル層82におけるホール移動度が向上する。また、SiGeチャネル層82における不純物濃度が小さいことから、SiGeチャネル層82を走行するホールは不純物による散乱をあまり受けずに、高速で走行することができる。よって、高速で動作する電界効果トランジスタが得られることになる。
【0117】
このとき、チャネル層がSi層ではなくSi及びGeを含む第2の半導体層であるSiGe層により構成されているので、SiGeチャネル層82の下方に、格子緩和のための厚いバッファ層を設けなくても、Geの含有量を調整するだけでSiGeチャネル層82に圧縮歪みを与えることが可能になる。また、ゲート絶縁膜83が窒化物により構成されているので、Siキャップ層を設けなくてもSiGeチャネル層82のGeの拡散などに起因する欠陥の発生を抑制することもできる。つまり、Siキャップ層を設けた場合には、Siキャップ層とゲート絶縁膜との間に寄生チャネルが発生するおそれがあるが、Siキャップ層がないことから寄生チャネルの発生を招くこともない。よって、チャネル層の結晶性を良好に保ちつつ、駆動力の高いトランジスタを備えた半導体装置を得ることができる。
【0118】
つまり、Si/SiGeヘテロ界面を利用しながらも寄生チャネルの発生を回避でき、かつ、価電子帯の縮退が解けることを利用して、高速動作のトランジスタを得ることができるのである。
【0119】
(第9の実施形態)
図16は、本発明の第9の実施形態であるGeを含み、圧縮歪を受けたシリコンがチャネルになっている相補型MISFETの断面構造を示す図である。
【0120】
Si基板90の上に、nウェル91とpウェル92とが設けられている。そして、nウェル91の上には図14に示す構造とほぼ同じ構造を有するp−MISFETが設けられ、pウェル92の上には図12に示す構造とほぼ同じ構造を有するn−MISFETが設けられている。また、p−MISFETとn−MISFETとは、トレンチ分離絶縁膜93により、互いに電気的に絶縁されている。
【0121】
すなわち、pウェル92の上には、図12に示す構造とほぼ同様に、Si層71と、Geを含むシリコン層であるSiGe(Si1-x Gex )チャネル層72と、CNゲート絶縁膜73と、ゲート電極74とが順次積層されて設けられている。本実施形態においても、SiGeチャネル層72のGe含有量は20%(y=0.2)で、SiGeチャネル層72の厚みは10nmである。そして、SiGeチャネル層72の両側には、SiGe層及びSi層に高濃度のn型不純物を導入してなるソース領域75とドレイン領域76とが形成されている。また、ソース領域75,ドレイン領域76の上には、それぞれソース電極77とドレイン電極78とが設けられている。そして、SiGeチャネル層72がバンドギャップの大きなSi層71とCNゲート絶縁膜73とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0122】
また、nウェル92の上には、図14に示す構造と同様に、Si層81と、Geを含むシリコン層であるSiGe(Si1-x Gex )チャネル層82と、CNゲート絶縁膜83と、ゲート電極84とが順次積層されて設けられている。本実施形態においても、SiGeチャネル層82のGe含有量は20%(y=0.2)で、SiGeチャネル層82の厚みは10nmである。そして、SiGeチャネル層82の両側には、SiGe層及びSi層に高濃度のp型不純物を導入してなるソース領域85とドレイン領域86とが形成されている。また、ソース領域85,ドレイン領域86の上には、それぞれソース電極87とドレイン電極88とが設けられている。そして、SiGeチャネル層82がバンドギャップの大きなSi層81とCNゲート絶縁膜83とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0123】
本実施形態においては、電子,ホールが走行するためのnチャネル(SiGeチャネル層72)とpチャネル(SiGeチャネル層82)とを単一のSiGe膜から形成することができる。
【0124】
そして、第7,第8の実施形態において説明したように、n−MISFETにおいては、Siキャップ層を設けなくてもよいことを利用して、p−MISFETにおいては、量子井戸構造となったSiGeチャネル層82をホールが高速で移動可能なことを利用して、高速動作が可能なn−MISFET及び高速動作が可能な,かつ電流駆動力の高いp−MISFETを有する相補型MISFETが得られる。
【0125】
(第10の実施形態)
図18は、本発明の第10の実施形態における歪みSi−nMISFETの構造を示す断面図である。本実施形態においては、Si,Geを含む2つの半導体層の間に引っ張り歪を受けたSiチャネル層が設けられている歪みSi−nMISFETの構造について説明する。
【0126】
p型Si基板101の上に、Ge組成が下部から上部に向かって漸次高くなる傾斜組成を有するp型の傾斜SiGe層(Si1-x Gex 層)102と、結晶格子が緩和しているp型の緩和SiGeバッファ層103と、引っ張り歪みを有する歪みSi層104と、格子緩和した緩和SiGe層105と、窒化物である窒化炭素層(CN)からなるCNゲート絶縁膜106と、ゲート電極107とが順次積層されて設けられている。この傾斜SiGe層102,緩和SiGeバッファ層103,歪みSi層104,緩和SiGe層105及びCNゲート絶縁膜106は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、傾斜SiGe層102の厚さは、Ge含有量に応じて歪による転位が発生し、格子が緩和する臨界膜厚以上の値にしておくことが好ましい。また、緩和SiGeバッファ層103の厚さは、傾斜SiGe層102が結晶欠陥を生成しながら格子緩和した後に、格子緩和の際に発生した結晶欠陥が緩和SiGeバッファ層103の上方の途中でとまり、その上方の層には伝搬しないような膜厚以上であることが好ましい。そして、チャネル層である歪みSi層104は、緩和SiGeバッファ層103のGe組成比に応じた引っ張り歪みを受けることになる。
【0127】
また、歪みSi層104の上の緩和SiGe層105は、歪みSi層104を挟んで下方の緩和SiGeバッファ層103に格子整合することから、ほとんど歪みがなくかつ、格子欠陥もほとんどない。つまり、緩和SiGe層105は、良好な結晶状態を有している。
【0128】
また、歪みSi層104の好ましい厚さは、下地である緩和SiGeバッファ層103のGe組成比に依存して変わる臨界膜厚以下であることが好ましい。本実施形態では、緩和SiGeバッファ層103のGe含有量が40%であり、歪みSi層104の膜厚は20nmである。
【0129】
なお、CNゲート絶縁膜106は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiGeN膜(Si3-x Gex4 膜など)を用いてもよい。
【0130】
さらに、歪みSi層105の上に設けられている緩和SiGe層105のGe組成率は40%で、膜厚は10nmである。つまり、本実施形態においては、歪みSi層104は格子緩和した2つのSiGe層(緩和SiGeバッファ層103及び緩和SiGe層105)によって上下から挟まれている。
【0131】
また、緩和SiGeバッファ層103の上部と、歪みSi層104及び緩和SiGe層105のうちゲート電極107の両側方には、高濃度のn型不純物を含むソース領域108とドレイン領域109とが形成されている。また、ソース領域106,ドレイン領域109の上には、それぞれソース電極110sとドレイン電極110dとが設けられている。
【0132】
本実施形態においては、歪みSi層104は格子緩和した2つのSiGe層(緩和SiGeバッファ層103及び緩和SiGe層105)によって上下から挟まれている。このために、本実施形態の歪みSi−nMISFETにおいては、従来のSiGe−MISFETのごとく、チャネル領域となるSi層の下方にのみ緩和SiGe層が設けられているに比べ、歪みSi層104の熱処理温度耐性や熱処理時間耐性(両者を併せてサーマルバジェットという)が向上し、デバイス製造上の自由度の拡大や活性化率の向上によるデバイスの性能の向上を期待することができる。
【0133】
また、本実施形態の歪みSi−nMISFETにおいては、緩和SiGeバッファ層103に従来のSiGe−MISFETの構造であれば格子欠陥が生じるような高いGe含有量(例えば40%)をもたせつつ、歪みSi層104を2つの緩和SiGe層によって挟むことにより、歪みSi層104における格子欠陥の発生を抑制することができる。このため、緩和バッファ層103のGe組成率を高くすることにより、緩和SiGeバッファ層103と歪みSi層104との格子不整合率を高くして、歪みSi層104の歪み量の増大を図ることができる。また、歪みSi層104の臨界膜厚が増大することから歪みSi層104の膜厚の増大を図ることができる。すなわち、歪みSi層104の歪み量の増大や膜厚の増大によって、後述するように、より高性能のデバイスを実現することができる。
【0134】
図19は、本実施形態の歪みSi−nMISFETのゲート電極107−CNゲート絶縁膜106−緩和SiGe層105−歪みSi層104−緩和SiGeバッファ層103−傾斜SiGe層102−Si基板101を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極107に正の電圧が印加されると、ゲート電極107のポテンシャルが低くなる方向にバンドが曲げられる。そして、歪みSi層104が反転状態になると、ソース領域108−ドレイン領域109間に電流が流れる状態となる。そのとき、歪みSi層104を構成するSi結晶の格子定数は、緩和SiGeバッファ層103及び緩和SiGe層105を構成するSiGe結晶の格子定数よりも小さいので、歪みSi層104を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、歪みSi層104は引っ張り歪を受けた状態となる。そして、この引っ張り歪により、歪みSi層104のバンドギャップが実質的に縮小されるとともに、歪みSi層104の伝導帯は、下記のように縮退が解けた状態となる。
【0135】
すなわち、通常のSi層においては伝導帯が6重に縮退しているが、引っ張り歪みを受けた歪みSi層104においては、伝導帯が2重および4重に縮退したバンド(Δ(2)およびΔ(4))にスプリットする。そして、歪みSi層104における2重に縮退した伝導帯端であるバンドΔ(2)は、緩和SiGeバッファ層103や緩和SiGe層105に比べて低いポテンシャルを有している。この時の歪みSi層104と緩和SiGeバッファ層103又は緩和SiGe層105との間に形成される伝導帯端におけるバンド不連続値ΔEcは約100meVとなる。一方、歪みSi層104の価電子帯においても同様に縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0136】
29は、Si,Geを含む2つの半導体層の間に引っ張り歪を受けたSiチャネル層が設けられている歪みSi−nMISFETの緩和SiGeバッファ層103及び歪みSi層104における伝導帯及び価電子帯の縮退状態を示すエネルギーバンド図である。同図に示すように、緩和SiGeバッファ層103においては伝導帯が6重に縮退しているが、引っ張り歪みを受けたSi層104においては、伝導帯が2重および4重に縮退したバンド(Δ(2)およびΔ(4))にスプリットする。そして、歪みSi層104における2重に縮退した伝導帯端であるバンドΔ(2)は、緩和SiGeバッファ層103に比べて低いポテンシャルを有している。一方、歪みSi層104の価電子帯においても同様に縮退が解け、ライトホール(LH)とヘビーホール(HH)バンドにスプリットする。
【0137】
また、図19に示すように、歪みSi層104の伝導帯端において、緩和SiGeバッファ層103又は緩和SiGe層105との間にはヘテロ障壁が形成されることになる。つまり、歪みSi層104が緩和SiGeバッファ層105と緩和SiGe層103とによってに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0138】
そして、このような状態で、ゲート電極107に正の電圧が印加されて歪みSi層104が反転状態になると、誘起された電子は量子井戸である歪みSi層104に閉じ込められる。そして、電子濃度が高くなっても、電子がヘテロ障壁を乗り越えることがほとんどなく、歪みSi層104を図18における紙面に垂直な方向に走行する。そして、この方向に走行する電子の実効質量は小さいことから、歪みSi層104における電子移動度が向上する。また、歪みSi層104における不純物濃度が小さいことから、歪みSi層104を走行する電子は不純物による散乱をあまり受けずに、高速で走行することができる。さらに、歪みSi層104と緩和SiGeバッファ層103との界面、及び歪みSi層104と緩和SiGe層105との界面における界面準位数が少ないので、各界面における散乱による実効的な電子の移動度の低下を抑制することができる。また、チャネル中の不純物による散乱や、界面準位による散乱はトランジスタの雑音の原因になるが、上述のように、本実施形態の歪みSi−nMISFETにおいては、これらの散乱が少ないことから低雑音化にも有効である。よって、高速で動作するとともに低雑音の電界効果トランジスタが得られることになる。
【0139】
従来の歪みSi層をチャネルとして用いる歪みSi−MISFETにおいては、本実施形態の緩和SiGe層105に相当するSiGe層とゲート酸化膜との間にSiキャップ層が設けられているので、ゲート電極から歪みSi層までの幾何学的距離が長くなる。それに対し、本実施形態の歪みSi−nMISFETにおいては、Siキャップ層を設ける必要がなくなるので、ゲート電極107から歪みSi層104までの距離が従来よりも短くなるので、キャリアである電子を集める能力の向上,つまり,電流駆動力の向上を図ることができる。
【0140】
一方、従来より知られている,歪みSiチャネル層上に直接ゲート酸化膜を設けた歪みSi−nMISFETにおいては、歪みSiチャネル層とゲート酸化膜とが直接接していることから、界面準位数が多くなり、この界面準位の存在に起因する雑音の発生という不具合があった。
【0141】
すなわち、本実施形態の歪みSi−nMISFETにおいては、歪みSi層104の上に、結晶状態の良好な緩和SiGe層105が設けられていて、緩和SiGe層105の上に直接CNゲート絶縁膜106が設けられているので、ゲート電極107と歪みSi層104(チャネル層)との幾何学的距離を短縮することができるとともに、緩和SiGe層105と歪みSi層104との間の界面準位数の少ない界面付近の領域を電子が走行するので、本実施形態の歪みSi−nMISFETは、高速かつ低雑音で動作するnMISFETとして機能する。
【0142】
(第11の実施形態)
図20は、本発明の第11の実施形態における歪みSi−pMISFETの構造を示す断面図である。本実施形態においては、Si,Geを含む2つの半導体層の間に引っ張り歪を受けたSiチャネル層が設けられている歪みSi−pMISFETの構造について説明する。
【0143】
n型Si基板111の上に、Ge組成が下部から上部に向かって漸次高くなる傾斜組成を有するn型の傾斜SiGe層(Si1-x Gex 層)112と、結晶格子が緩和しているn型の緩和SiGeバッファ層113と、引っ張り歪みを有する歪みSi層114と、格子緩和した緩和SiGe層115と、窒化物である窒化炭素層(CN)からなるCNゲート絶縁膜116と、ゲート電極117とが順次積層されて設けられている。この傾斜SiGe層112,緩和SiGeバッファ層113,歪みSi層114,緩和SiGe層115及びCNゲート絶縁膜116は、いずれもUHV−CVD法により積層されている。ここで、傾斜SiGe層112の厚さは、Ge含有量に応じて歪による転位が発生し、格子が緩和する臨界膜厚以上の値にしておくことが好ましい。また、緩和SiGeバッファ層113の厚さは、傾斜SiGe層112が結晶欠陥を生成しながら格子緩和した後に、結晶欠陥が緩和SiGeバッファ層113の上方に伝搬しないような膜厚以上であることが好ましい。そして、歪みSi層114は、緩和SiGeバッファ層113のGe組成比に応じた引っ張り歪みを受けることになる。
【0144】
また、歪みSi層114の上の緩和SiGe層115は、歪みSi層114を挟んで下方の緩和SiGeバッファ層113に格子整合することから、ほとんど歪みがなくかつ、格子欠陥もほとんどない。つまり、緩和SiGe層115は、良好な結晶状態を有している。
【0145】
また、歪みSi層114の好ましい厚さは、下地である緩和SiGeバッファ層113のGe組成比に依存して変わる臨界膜厚以下であることが好ましい。本実施形態では、緩和SiGeバッファ層113のGe含有量が40%であり、歪みSi層114の膜厚は約20nmである。
【0146】
さらに、歪みSi層115の上に設けられている緩和SiGe層115のGe組成率は40%で、膜厚は10nmである。そして、本実施形態においては、歪みSi層114は格子緩和した2つのSiGe層(緩和SiGeバッファ層113及び緩和SiGe層115)によって上下から挟まれている。
【0147】
また、緩和SiGeバッファ層113の上部と、歪みSi層114及び緩和SiGe層115とのうちゲート電極117の両側方には、高濃度のp型不純物を含むソース領域118とドレイン領域119とが形成されている。また、ソース領域116,ドレイン領域119の上には、それぞれソース電極120sとドレイン電極120dとが設けられている。
【0148】
なお、CNゲート絶縁膜116は、MBE法などCVD法以外の方法によっても形成することができる。さらに、後述の実施形態で説明するように、CNゲート絶縁膜に代えて、SiGeN膜(Si3-x Gex4 膜など)を用いてもよい。
【0149】
本実施形態においては、歪みSi層114は格子緩和した2つのSiGe層(緩和SiGeバッファ層113及び緩和SiGe層115)によって上下から挟まれている。このために、本実施形態の歪みSi−nMISFETにおいては、従来のSiGe−MISFETのごとく、チャネル領域となるSi層の下方にのみ緩和SiGe層が設けられているに比べ、歪みSi層114の熱処理温度耐性や熱処理時間耐性(両者を併せてサーマルバジェットという)が向上し、デバイス製造上の自由度の拡大や活性化率の向上によるデバイスの性能の向上を期待することができる。
【0150】
また、本実施形態の歪みSi−nMISFETにおいては、緩和SiGeバッファ層113に従来のSiGe−MISFETの構造であれば格子欠陥が生じるような高いGe含有量(例えば40%)をもたせつつ、歪みSi層114を2つの緩和SiGe層によって挟むことにより、歪みSi層114における格子欠陥の発生を抑制することができる。このため、緩和バッファ層113のGe組成率を高くすることにより、後述するように、より高性能のデバイスを実現することができる。
【0151】
図21は、本実施形態の歪みSi−pMISFETのゲート電極117−CNゲート絶縁膜116−緩和SiGe層115−歪みSi層114−緩和SiGeバッファ層113−傾斜SiGe層112−Si基板111を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。ゲート電極117に負の電圧が印加されると、ゲート電極117のポテンシャルが高くなる方向にバンドが曲げられる。そして、チャネルとなる緩和SiGe層115が反転状態になると、ソース領域118−ドレイン領域119間に電流が流れる状態となる。そのとき、緩和SiGeバッファ層113及び緩和SiGe層115を構成するSiGe結晶の格子定数は、歪みSi層114を構成するSi結晶の格子定数よりも大きいので、歪みSi層114を臨界膜厚以下の厚みで成長させた場合には、歪みSi層114は、緩和SiGeバッファ層113及び緩和SiGe層115との格子不整合によって引っ張り歪を受けた状態となる。そして、この引っ張り歪により、歪みSi層114のバンドギャップが実質的に縮小される。ただし、図21に示すバンド構造の価電子帯端においては、緩和SiGe層115のエネルギーレベルは歪みSi層114よりも高くなるので、緩和SiGe層115がホールが走行するpチャネルとして機能する。
【0152】
したがって、図21に示すように、pチャネルとして機能する緩和SiGe層115の価電子帯端において、CNゲート絶縁膜116との間には絶縁体によるエネルギー障壁が形成され、緩和SiGe層115と歪みSi層114との間にはヘテロ障壁が形成されることになる。つまり、緩和SiGe層115が歪みSi層114とCNゲート絶縁膜116とに挟まれた量子井戸構造となっている。
【0153】
そして、このような状態で、ゲート電極117に負の電圧が印加されて緩和SiGe層115が反転状態になると、誘起されたホールは量子井戸である緩和SiGe層115に閉じ込められる。そして、ホール濃度が高くなっても、ホールがヘテロ障壁を乗り越えることがほとんどなく、緩和SiGe層115を図20における紙面に垂直な方向に走行する。そして、この方向に走行するホールの実効質量は小さいことから、緩和SiGe層115におけるホール移動度が向上する。また、緩和SiGe層115における不純物濃度が小さいことから、緩和SiGe層115を走行するホールは不純物による散乱をあまり受けずに、高速で走行することができる。
【0154】
従来の歪みSi層をチャネルとして用いる歪みSi−MISFETにおいては、本実施形態の緩和SiGe層115に相当するSiGe層とゲート酸化膜との間にSiキャップ層が設けられているので、ゲート電極から緩和SiGe層までの幾何学的距離が長くなる。それに対し、本実施形態の歪みSi−pMISFETにおいては、Siキャップ層を設ける必要がなくなるので、ゲート電極117から緩和SiGe層115までの距離が従来よりも短くなるので、チャネル領域となる緩和SiGe層115の結晶性を良好に保持しつつ、キャリアであるホールを集める能力の向上,つまり,電流駆動力の向上を図ることができる。
【0155】
なお、第10及び第11の実施形態においては、緩和SiGeバッファ層113と緩和SiGe層115とのGe組成率を同じ(40%)としたが、両者のGe組成率が異なっていてもよい。また、チャネルとなる緩和SiGe層115は、緩和SiGeバッファ層113よりもGe組成率を高くして、圧縮歪みを有する半導体層としてもよい。この場合には、価電子帯のバンドスプリットを利用したライトホールの利用によるトランジスタの高速動作化を図ることができる。
【0156】
さらに、緩和SiGe層115や緩和SiGeバッファ層113に代えて、炭素を微量(例えば1%程度)含むSiGeC層を設けてもよい。
【0157】
(第12の実施形態)
図22は、本発明の第12の実施形態における歪みSiを有する相補型MISFETの構造を示す断面図である。本実施形態においては、Si,Geを含む2つの半導体層の間に引っ張り歪を受けたSiチャネル層が設けられている歪みSi−cMISFETの構造について説明する。
【0158】
Si基板130の上に、Ge組成が下部から上部に向かって漸次高くなる傾斜組成を有するn型の傾斜SiGe層(Si1-x Gex 層)122と、結晶格子が緩和しているp型の緩和SiGeバッファ層103と、結晶格子が緩和しているn型の緩和SiGeバッファ層113とが設けられている。そして、p型の緩和SiGeバッファ層103の上には図18に示す構造とほぼ同じ構造を有するnMISFETが設けられ、n型の緩和SiGeバッファ層113の上には図20に示す構造とほぼ同じ構造を有するpMISFETが設けられている。また、pMISFETとnMISFETとは、トレンチ分離絶縁膜123により、互いに電気的に絶縁されている。
【0159】
すなわち、p型の緩和SiGeバッファ層103の上には、引っ張り歪みを有する歪みSi層104と、格子緩和した緩和SiGe層105と、窒化物である窒化炭素層(CN)からなるCNゲート絶縁膜106と、ゲート電極107とが順次積層されて設けられている。そして、チャネル層である歪みSi層104は、緩和SiGeバッファ層103のGe組成比に応じた引っ張り歪みを受けることになる。本実施形態においても、緩和SiGeバッファ層103のGe含有量が40%であり、歪みSi層104の膜厚は20nmである。さらに、歪みSi層105の上に設けられている緩和SiGe層105のGe組成率は40%で、その膜厚は臨界膜厚以下の10nmである。つまり、本実施形態においては、歪みSi層104は格子緩和した2つのSiGe層(緩和SiGeバッファ層103及び緩和SiGe層105)によって上下から挟まれている。
【0160】
また、緩和SiGeバッファ層103の上部と、歪みSi層104及び緩和SiGe層105のうちゲート電極107の両側方には、高濃度のn型不純物を含むソース領域108とドレイン領域109とが形成されている。また、ソース領域106,ドレイン領域109の上には、それぞれソース電極110sとドレイン電極110dとが設けられている。
【0161】
また、n型の緩和SiGeバッファ層113の上には、引っ張り歪みを有する歪みSi層114と、格子緩和した緩和SiGe層115と、窒化物である窒化炭素層(CN)からなるCNゲート絶縁膜116と、ゲート電極117とが順次積層されて設けられている。そして、歪みSi層114は、緩和SiGeバッファ層113のGe組成比に応じた引っ張り歪みを受けることになる。また、本実施形態では、緩和SiGeバッファ層113のGe含有量が40%であり、歪みSi層114の膜厚は約20nmである。さらに、歪みSi層115の上に設けられている緩和SiGe層115のGe組成率は40%で、その膜厚は臨界膜厚以下の10nmである。そして、本実施形態においては、歪みSi層114は格子緩和した2つのSiGe層(緩和SiGeバッファ層113及び緩和SiGe層115)によって上下から挟まれている。
【0162】
また、緩和SiGeバッファ層113の上部と、歪みSi層114及び緩和SiGe層115とのうちゲート電極117の両側方には、高濃度のp型不純物を含むソース領域118とドレイン領域119とが形成されている。また、ソース領域116,ドレイン領域119の上には、それぞれソース電極120sとドレイン電極120dとが設けられている。
【0163】
本実施形態においては、図22に示すように、nMISFETにおいては歪みSi層104が電子が走行するnチャネルになり、pMISFETにおいては緩和SiGe層115がホールが走行するpチャネルとなる。そして、n−MISFETとp−MISFETとでは、共通の積層構造を有しているので、両者の各層を同時に堆積したSiGe膜又はSi膜から形成することが可能になる。よって、結晶成長が簡略化され、スループットが向上する。
【0164】
そして、第10の実施形態で説明したように、nMISFETにおいては、歪みSi層104の上に緩和SiGe層105が設けられていて、緩和SiGe層105の上に直接CNゲート絶縁膜106が設けられているので、ゲート電極107と歪みSi層104(チャネル層)との幾何学的距離を短縮することができるとともに、緩和SiGe層105と歪みSi層104との間の界面準位数の少ない界面付近の領域を電子が走行するので、本実施形態の歪みSi−nMISFETは、高速かつ低雑音で動作するnMISFETとして機能する。
【0165】
また、pMISFETにおいては、緩和SiGe層115におけるホール移動度の向上や不純物による散乱の抑制による高速動作化を図ることができる。また、ゲート電極117から緩和SiGe層115までの距離が従来よりも短くなることから、電流駆動力の向上を図ることができる。
【0166】
(第13の実施形態)
本実施形態では、Si及びCを含むチャネルを有し、SiCNゲート絶縁膜を有する相補型MISFET(第3の実施形態のMISFET)の製造方法について説明する。図23(a)〜(d)及び図24(a)〜(c)は、本実施形態の製造工程を示す断面図である。
【0167】
まず、図23(a)に示す工程で、Si基板30のpMISFET形成領域Rpm,nMISFET形成領域Rnmに、それぞれリンイオン(P+ ),ボロンイオン(B+ )を注入して、nウェル31とpウェル32とを形成する。その際、フォトリソグラフィにより形成された,pMISFET形成領域Rpmを開口したレジストマスク(図示せず)と、nMISFET形成領域Rnmを開口したレジストマスク(図示せず)とを用いる。不純物イオンの注入の後、窒素雰囲気中にてアニ−ルを行うことにより、各ウェル31,32が形成される。
【0168】
次に、図23(b)に示す工程で、各ウェル31,32が形成された基板上に、厚さ約20nmのSi膜141を堆積した後、さらに、その上に、下地のSi膜141との格子不整合による引っ張り歪みを受けた厚さ約10nmのSiC膜(Si1-yy 膜)142を堆積する。Si膜141及びSiC膜142の堆積は、UHV−CVD法もしくはLP−CVD法を用いて行なう。チャネルとなるSiC膜142の膜厚は、歪による転位や応力緩和が発生しないように、臨界膜厚以下に設定されている。また、本実施形態においては、SiC膜142のC組成比yは、0.02である。このとき、チャネル層のバンドギャップは、Siに比べ、約150meV程度小さくなる。そのバンドギャップ差は、電子の閉じ込めに有利な伝導帯端におけるヘテロ障壁として現れる。なお、Si膜141及びSiC膜142には、各ウェル31,32の不純物(ドーパント)が拡散するので、Si膜141及びSiC膜142のうちnウェル31の上方に位置する部分はn型に、pウェル32の上方に位置する部分はp型になっている。
【0169】
次に、図23(c)に示す工程で、SiC膜142及びSi膜141を貫通してnウェル31とpウェル32とを区画するトレンチ分離絶縁膜33を形成する。その際、本実施形態では、エッチングによるトレンチの形成と、絶縁膜(酸化膜)の埋め込みを利用したシャロートレンチ型のトレンチ分離絶縁膜33を形成する。トレンチ形成時のエッチング量は、0.1〜1.0μm程度がよい。なお、トレンチ分離絶縁膜33に代えて、選択酸化によるLOCOS分離絶縁膜を形成してもよい。
【0170】
次に、図23(d)に示す工程で、ゲート絶縁膜となるSi3-yy4 膜143を形成する。その際、トレンチ分離絶縁膜33を除く下地であるSiC膜142の窒化(直接窒化法)を行なう。本実施形態においては、Si3-yy4 膜143の膜厚は、10nm以下に設定されている。そして、この窒化処理は、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマ・プロセス装置を用いチャネル層を窒化することにより行なわれる。この方法では、0.1テスラ程度の磁場のもとで、マイクロ波を入射することにより、低圧下で高密度プラズマを生成させることができる。また、ECRプラズマを用いているので、平行平板型プラズマよりもプラズマ密度を高くすることができることから、低温下でゲート絶縁膜の形成が可能となり、チャネル層となる領域の結晶性を損なうことなく形成できる。また、他のラジカル窒化法や、アンモニア雰囲気での熱処理による熱窒化法により、SiC膜142を窒化してもよい。
【0171】
このように、窒化法を用いることにより、下地層と構造的に親近性のよい窒素含有層である窒化物層が得られるので、チャネルとなる部分に対する悪影響を抑制することができる。
【0172】
なお、本実施形態では、ゲート絶縁膜として、物質Aの窒化膜の化学量論比A34 にほぼ一致する窒化膜であるSi3-yy4 膜を形成したが、窒化条件によって窒化膜中のNの組成比が変化するので、必ずしも窒化膜の化学量論比に一致する組成のものを形成する必要はない。また、下地材料によっては、ゲート絶縁膜として機能する膜が、SiN膜、GeN膜、CN膜等でもよいし、これらを2種類以上用いた複合材料でもよい。例えば、チャネル層がSiGeで形成されている場合は、ゲート絶縁膜として機能する部分は、SiGeNとなるのが一般的である。さらに、その組成比が上方に向かって漸次変化するような傾斜組成をもった複合膜でもよい。
【0173】
次に、図24(a)に示す工程で、LP‐CVD法を用いて、Si3-yy4 膜143の上にアンドープのポリシリコン膜(図示せず)を堆積する。その後、フォトリソグラフィー,イオン注入及びアニールを行なって、ポリシリコン膜のうちpMISFET形成領域Rpmに位置する領域にはボロン(B)を、nMISFET形成領域Rnmに位置する領域にはリン(P)をドープする。その後、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、ポリシリコン膜をパターニングして、pMISFET及びnMISFETのゲート電極24,14を形成する。その際、ポリシリコン膜のエッチングには、HBrやCl2 等のガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を行なう。したがって、Si3-yy4 膜143のうち各ゲート電極24,14の下方に位置する部分がゲート絶縁膜23’,13’として機能することになる。
【0174】
なお、ゲート電極の形成後に、SiC膜やポリシリコン膜に対する選択比の高いエッチャントを用いたウエットエッチングにより、Si3-yy4 膜143のうちゲート電極24,14の下方に位置する部分を除く領域を除去してもよい。
【0175】
次に、図24(b)に示す工程で、フォトリソグラフィーにより、pMISFET形成領域Rpmを開口したレジスト膜(図示せず)を形成した後、このレジスト膜及びゲート電極24をマスクとするボロン(B+ )のイオン注入を行なって、pMISFETのソース領域25及びドレイン領域26を形成する。さらに、フォトリソグラフィーにより、nMISFET形成領域Rnmを開口したレジスト膜(図示せず)を形成した後、このレジスト膜及びゲート電極14をマスクとする砒素(As+ )イオン注入を行なって、nMISFETのソース領域15及びドレイン領域16を形成する。
【0176】
次に、図24(c)に示す工程で、基板上に、例えばNSG(non-doped Silicate Glass)とBPSG(Boron phospho Silicate Glass)との2層からなる層間絶縁膜144を堆積した後、層間絶縁膜144を貫通して各ソース領域25,15及び各ドレイン領域26,16に到達するコンタクトホールを形成する。さらに、コンタクトホール内にタングステンなどの金属材料を埋め込んで、プラグ145を形成する。そして、図示されていないが、各プラグ145に接続され層間絶縁膜144の上に延びる配線層を形成する。配線材料としては、Al,Cu,W,Auのような金属材料を用いるのが一般的である。
【0177】
なお、図24(b)に示すソース領域25,15及びドレイン領域26,16を、高濃度ソース・ドレイン領域よりもやや低濃度の不純物を含むエクステンション領域としておいて、このエクステンション注入の後に、ゲート電極24,14の各側面上にサイドウォールを形成し、このサイドウォールをマスクとするイオン注入によって高濃度ソース・ドレイン領域を形成することができる。その場合には、短チャネル効果に強く,かつ比較的高い飽和電流値を有する高性能のトランジスタが得られる。
【0178】
また、浅い接合構造を形成するために、持ち上げ型ソース・ドレイン構造(eleated source−drain )にしてもよい。
【0179】
また、プラグ又は配線の形成の際には、層間絶縁膜に形成された溝やホールにCuなどの金属膜の堆積とCMPとを行なう,いわゆるダマシン法を用いることができる。
【0180】
なお、本実施形態ではMISFETを設ける基板として、バルクのシリコン単結晶基板を用いたが、内部に埋め込み酸化膜層をもつSOI(Silicon On Insulator)基板を用いてもよい
【0181】
第1の実施形態)
本実施形態では、チャネルとなる歪みSi層及び緩和SiGe層を有し、CNゲート絶縁膜を有する相補型MISFET(第12の実施形態のMISFET)の製造方法について説明する。図2(a),(b)及び図2(a),(b)は、本実施形態の製造工程を示す断面図である。
【0182】
まず、図2(a)に示す工程で、UHV−CVD法を用いて、Si基板130の上に、Ge組成が下部から上部に向かって漸次高くなる傾斜組成を有する,厚さ約1μmの傾斜SiGe層(Si1-x Gex 層)122と、緩和SiGeバッファ層113,103を形成するための,厚さ約300nmのSiGe膜とを堆積する。傾斜SiGe層122内におけるGe組成率は、Si基板130と接する部分ではほぼ0%であり最上部では40%である。
【0183】
そして、SiGe膜のpMISFET形成領域Rpm,nMISFET形成領域Rnmに、それぞれリンイオン(P+ ),ボロンイオン(B+ )を注入して、各緩和SiGeバッファ層113,103を形成する。その際、フォトリソグラフィにより形成された,pMISFET形成領域Rpmを開口したレジストマスク(図示せず)と、nMISFET形成領域Rnmを開口したレジストマスク(図示せず)とを用いる。不純物イオンの注入の後、窒素雰囲気中にてアニ−ル(900℃,15sec)を行うことにより、各緩和SiGeバッファ層113,103が形成される。
【0184】
次に、各緩和SiGeバッファ層113,103が形成された基板上に、下地の緩和SiGeバッファ層113,103との格子不整合による圧縮歪みを受けた厚さ約20nmの歪みSi膜162を堆積した後、さらに、その上に、Ge組成率が約40%の厚さ約10nmのSiGe膜(Si1-x Gex 膜)163を堆積する。歪みSi膜162及びSiGe膜163の堆積は、UHV−CVD法もしくはLP−CVD法を用いて行なう。なお、歪みSi膜162及びSiGe膜163には、各緩和SiGeバッファ層113,103の不純物(ドーパント)が拡散するので、歪みSi膜162及びSiGe膜163のうち緩和SiGeバッファ層113の上方に位置する部分はn型に、緩和SiGeバッファ層103の上方に位置する部分はp型になっている。
【0185】
次に、図2(b)に示す工程で、SiGe膜163及び歪みSi膜162を貫通して緩和SiGeバッファ層113,103を互いに区画するトレンチ分離絶縁膜123を形成する。その際、本実施形態では、エッチングによるトレンチの形成と、絶縁膜(酸化膜)の埋め込みを利用したシャロートレンチ型のトレンチ分離絶縁膜123を形成する。トレンチ形成時のエッチング量は、0.1〜1.0μm程度がよい。なお、トレンチ分離絶縁膜123に代えて、選択酸化によるLOCOS分離絶縁膜を形成してもよい。
【0186】
次に、図2(a)に示す工程で、AP−CVD法やLP−CVD法もしくはUHV−CVD法を用いて、ゲート絶縁膜となるC34 膜(図示せず)を形成する。その際、ソースガスとして、C22 及びNH3 を用い、成長温度は1000℃以下で行うことが望ましい。
【0187】
なお、他のC34 膜の堆積法として、イオンビーム支援真空蒸着法,反応性スパッタリング法,又はMBE法等があり、いずれの堆積法を用いてもよい。
【0188】
なお、本実施形態では、ゲート絶縁膜として、物質Aの窒化膜の化学量論比A34 にほぼ一致する窒化膜であるC34 膜を形成したが、窒化条件によって窒化膜中のNの組成比が変化するので、必ずしも窒化膜の化学量論比に一致する組成のものを形成する必要はない。また、ゲート絶縁膜として機能する膜が、SiN膜、GeN膜、AlN膜,GaN膜等でもよいし、これらを2種類以上用いた複合材料でもよい。例えば、その組成比が上方に向かって漸次変化するような傾斜組成をもった複合膜でもよい。堆積法を用いることにより、下地材料に依存せず、自由に最適なゲート絶縁膜材料を選択できるという利点がある。
【0189】
次に、LP‐CVD法を用いて、C34 膜の上にアンドープのポリシリコン膜(図示せず)を堆積する。その後、フォトリソグラフィー,イオン注入及びアニールを行なって、ポリシリコン膜のうちpMISFET形成領域Rpmに位置する領域にはボロン(B)を、nMISFET形成領域Rnmに位置する領域にはリン(P)をドープする。その後、フォトリソグラフィー,ドライエッチング及びウエットエッチングにより、ポリシリコン膜及びC34 膜をパターニングして、pMISFET及びnMISFETのゲート電極117,107及びCNゲート絶縁膜116,106をそれぞれ形成する。その際、ポリシリコン膜のエッチングには、HBrやCl2 等のガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を行なう。C34 膜のRIEの際には、ポリシリコン膜に対する選択比の高い酸素原子を主に含むガス、例えばO2 を用いることが好ましい。その理由は、C34 は、O2 と反応すると揮発性のCOとNOとになるとともに、下地のSiGe層をほとんどエッチングしないからである。
【0190】
次に、フォトリソグラフィーにより、pMISFET形成領域Rpmを開口したレジスト膜(図示せず)を形成した後、このレジスト膜及びゲート電極117をマスクとするボロン(B+ )のイオン注入を行なって、pMISFETのソース領域118及びドレイン領域119を形成する。さらに、フォトリソグラフィーにより、nMISFET形成領域Rnmを開口したレジスト膜(図示せず)を形成した後、このレジスト膜及びゲート電極107をマスクとする砒素(As+ )イオン注入を行なって、nMISFETのソース領域108及びドレイン領域109を形成する。
【0191】
次に、図2(b)に示す工程で、基板上に、例えばNSG(non-doped Silicate Glass)とBPSG(Boron phospho Silicate Glass)との2層からなる層間絶縁膜164を堆積した後、層間絶縁膜164を貫通して各ソース領域118,108及び各ドレイン領域119,109に到達するコンタクトホールを形成する。さらに、コンタクトホール内にタングステンなどの金属材料を埋め込んで、プラグ165を形成する。そして、各プラグ165に接続され層間絶縁膜164の上に延びる配線層を形成する。配線材料としては、Al,Cu,W,Auのような金属材料を用いるのが一般的である。
【0192】
なお、図2(a)に示すソース領域118,108及びドレイン領域119,109を、高濃度ソース・ドレイン領域よりもやや低濃度の不純物を含むエクステンション領域としておいて、このエクステンション注入の後に、ゲート電極117,107の各側面上にサイドウォールを形成し、このサイドウォールをマスクとするイオン注入によって高濃度ソース・ドレイン領域を形成することができる。その場合には、短チャネル効果に強く,かつ比較的しきい値電圧低い高性能のトランジスタが得られる。
【0193】
また、浅い接合構造を形成するために、持ち上げ型ソース・ドレイン構造(eleated source−drain)にしてもよい。
【0194】
また、プラグ又は配線の形成の際には、層間絶縁膜に形成された溝やホールにCuなどの金属膜の堆積とCMPとを行なう,いわゆるダマシン法を用いることができる。
【0195】
なお、本実施形態ではMISFETを設ける基板として、バルクのシリコン単結晶基板を用いたが、内部に埋め込み酸化膜層をもつSOI(Silicon On Insulator)基板を用いてもよい。
【0196】
(その他の実施形態)
上記第1〜第6の実施形態においては、ゲート絶縁膜として、窒化炭素(CN)からなるCNゲート絶縁膜を設けたが、CNに代えて、窒化ゲルマニウム(GeN),窒化シリコンカーボン(SiCN),窒化ゲルマニウムカーボン(GeCN),窒化シリコンゲルマニウムカーボン(SiGeCN),酸窒化膜(SiON)などの窒化物からなるゲート絶縁膜を設けても、同様の効果を発揮することができる。その場合、これたの窒化物が化学量論的組成を有していてもよいし、化学量論定組成からずれた組成を有していてもよい。
【0197】
特に、ゲート絶縁膜が炭素(C)を含んでいることにより、下方のSiCチャネル層やSiGeCチャネル層からのCの拡散を抑制することができるので、チャネル層における欠陥の発生を抑制することができる利点がある。
【0198】
なお、上記各実施形態においては、SiCチャネル層又はSiGeCチャネル層の上にSiキャップ層を設けない構造としているが、薄いSiキャップ層が設けられていてもよいものとする。その場合にも、Siキャップ層の上に窒化膜からなる絶縁膜が存在していることにより、チャネル層の構成原子の不純物の拡散が抑制されるからである。例えば2nm程度以下の極めて薄いSiキャップ層であれば、実質的には寄生チャネルの発生を確実に抑制することができる。
【0199】
なお、第1〜第3の実施形態におけるSiC層の下地をSi層の代わりにSiGeC層によって構成した場合には、SiC層の引っ張り歪みがほぼ0になるように組成を調整することができるが、その場合にも第1〜第3の実施形態の効果を発揮することができる。
【0200】
また、第4〜第6の実施形態におけるSiGeの下地をSi層の代わりにSiGeC層によって構成した場合には、SiGe層の圧縮歪みがほぼ0になるように組成を調整することができるが、その場合にも第4〜第6の実施形態の効果を発揮することができる。
【0201】
−発明の基本的な構造−
次に、以上の実施形態から導かれる本発明の作用効果を得るために必要な要素について説明する。
【0202】
図3は、本発明の半導体装置の特徴部分のみを抜き出して示す断面図である。同図に示すように、本発明の半導体装置は、第1の半導体層の上に活性層を備えている。そして、活性層の最上部は、ゲート絶縁膜として機能するCNなどの窒化物層となっている。また、活性層の主部は、Si1-x-y Gexy(0≦x<1,0≦y<1,x+y>0)で表される組成を有する第2の半導体層である。第2の半導体層は、具体的には、SiGe層,SiC層又はSiGeC層である。そして、第2の半導体層は窒化物層と接していることが好ましいが、第2の半導体層と窒化物層との間に、極めて薄い例えばSiキャップ層などが介在していてもよい。図28(a),(b)に示すように、第2の半導体層であるSiGe層とゲート絶縁膜との間隔が2nm以下、特に、1nm以下の場合には、寄生チャネルの発生が抑制され、良好な相互コンダクタンスが得られているからである。
【0203】
図3(a),(b)は、活性層内にSiキャップ層を設けた活性層の例を示す断面図である。Siキャップ層の厚さは2nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。
【0204】
図3(a)に示すように、活性層中のSi1-x-yGexy 層(第2の半導体層)の上には、Siキャップ層とSiキャップ層を窒化して形成されたSiN層(窒化物層)が設けられている。この構造は、例えばSi1-x-yGexy 層の上にSiキャップ層を形成した後、Siキャップ層を窒化することによって得られる。その場合、トランジスタの寄生チャネルをなくすという点からは、既に説明したように、Siキャップ層全体を窒化することが好ましいが、他の制限によってSiキャップ層全体を窒化することができない場合がある。かかる場合には、図3(a)に示す構造が適しているといえる。また、工程条件などのばらつきでSiキャップ層が残る場合もあり得る。なお、窒化処理がSiキャップ層からSi1-x-yGexy 層まで入り込んで、SiN層の下方に、CN膜,SiGeN膜,SiCN膜,SiGeC膜が形成されていてもよい。
【0205】
そして、図3(b)に示すように、SiN層の表面部をさらに酸化して、酸窒化膜であるSiONを形成することもできる。逆に、SiO2 膜の表面部を窒化してもよい。
【0206】
【発明の効果】
本発明の半導体装置によると、ヘテロ接合型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜を窒化物により構成したので、寄生チャネルの発生を抑制して電流駆動力の高いトランジスタを有する半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるn−MISFETの断面図である。
【図2】第1の実施形態のゲート電極−CNゲート絶縁膜−SiCチャネル層−Si層を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるp−MISFETの断面図である。
【図4】第2の実施形態のゲート電極−CNゲート絶縁膜−SiCチャネル層−Si層を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図5】本発明の第3の実施形態における相補型MISFETの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態におけるn−MISFETの断面図である。
【図7】第4の実施形態のゲート電極−CNゲート絶縁膜−SiGeCチャネル層−Si層を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図8】本発明の第5の実施形態におけるp−MISFETの断面図である。
【図9】第5の実施形態のゲート電極−CNゲート絶縁膜−SiGeCチャネル層−Si層を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図10】本発明の第6の実施形態における相補型MISFETの断面図である。
【図11】SiCチャネル層に引っ張り歪みを与えたときのSi層及びSiGeCチャネル層における伝導帯及び価電子帯の縮退状態を示すエネルギーバンド図である。
【図12】本発明の第7の実施形態であるGeを含み、圧縮歪を受けたシリコンがチャネルになっているn−MISFETの構造を示す断面図である。
【図13】第7の実施形態のn−MISFETのゲート電極−CNゲート絶縁膜−SiGeチャネル層−Si層を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図14】本発明の第8の実施形態であるGeを含み、圧縮歪を受けたシリコンがチャネルになっているp−MISFETの構造を示す断面図である。
【図15】第8の実施形態のn−MISFETのゲート電極−CNゲート絶縁膜−SiGeチャネル層−Si層を通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図16】本発明の第9の実施形態であるGeを含み、圧縮歪を受けたシリコンがチャネルになっている相補型MISFETの断面構造を示す図である。
【図17】Si層の上にSiGeチャネル層を設け、SiGeチャネル層に圧縮歪みを与えたときの伝導帯及び価電子帯の縮退状態を示すエネルギーバンド図である。
【図18】本発明の第10の実施形態における歪みSi−nMISFETの構造を示す断面図である。
【図19】第10の実施形態の歪みSi−nMISFETのゲート電極−CNゲート絶縁膜−緩和SiGe層などを通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図20】本発明の第11の実施形態における歪みSi−pMISFETの構造を示す断面図である。
【図21】第11の実施形態の歪みSi−pMISFETのゲート電極−CNゲート絶縁膜−緩和SiGe層などを通過する断面におけるバンド状態を示すエネルギーバンド図である。
【図22】本発明の第12の実施形態における歪みSiを有する相補型MISFETの構造を示す断面図である。
【図23】(a)〜(d)は、本発明の第13の実施形態の製造工程の前半部分を示す断面図である。
【図24】(a)〜(c)は、第13の実施形態の製造工程の後半部分を示す断面図である。
【図25】 (a),(b)は、本発明の第14の実施形態の製造工程の前半部分を示す断面図である。
【図26】 (a),(b)は、第14の実施形態の製造工程の後半部分を示す断面図である。
【図27】 (a),(b)は、従来のSiGe−pMOSFETにおけるゲートバイアスが小さい時及び大きい時における縦断面のバンド構造を示すエネルギーバンド図である。
【図28】 (a),(b)は、従来のSiGe−MOSFETにおける相互コンダクタンスのゲートバイアス依存性の実測データ及びシミュレーションデータを、Siキャップ層の厚さをパラメータとして示す図である。
【図29】 Si,Geを含む2つの半導体層の間に引っ張り歪を受けたSiチャネル層を有する歪みSi−nMISFETの緩和SiGeバッファ層及び歪みSi層における伝導帯及び価電子帯の縮退状態を示すエネルギーバンド図である。
【図30】 本発明の半導体装置の特徴部分のみを抜き出して示す断面図である。
【図31】 (a),(b)は、活性層内にSiキャップ層を設けた活性層の例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 Si基板
11 Si層
12 SiCチャネル層
13 CNゲート絶縁膜
14 ゲート電極
15 ソース領域
16 ドレイン領域
17 ソース電極
18 ドレイン電極
20 Si基板
21 Si層
22 SiCチャネル層
23 CNゲート絶縁膜
24 ゲート電極
25 ソース領域
26 ドレイン領域
27 ソース電極
28 ドレイン電極
30 Si基板
31 nウェル
32 pウェル
33 トレンチ分離絶縁膜
40 Si基板
41 Si層
42 SiGeCチャネル層
43 CNゲート絶縁膜
44 ゲート電極
45 ソース領域
46 ドレイン領域
47 ソース電極
48 ドレイン電極
50 Si基板
51 Si層
52 SiGeCチャネル層
53 CNゲート絶縁膜
54 ゲート電極
55 ソース領域
56 ドレイン領域
57 ソース電極
58 ドレイン電極
60 Si基板
61 nウェル
62 pウェル
63 トレンチ分離絶縁膜

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの電界効果トランジスタを設けてなる半導体装置であって、
    上記電界効果トランジスタは、
    Si又はSi 1-x1 Ge x1 (0<x1<1)からなる第1の半導体層と、
    上記第1の半導体層の上に設けられ、最上部が窒素含有層からなり、主部がSi、Si 1-x2 Ge x2 (0<x2<1)、Si 1-x3-y1 Ge x3 y1 (0<x3<1 , 0<y1<1)又はSi 1-y2 y2 (0<y2<1)で表される組成であって上記第1の半導体層とヘテロ接合を形成する第2の半導体層からなる第1の活性層と、
    上記第1の活性層の上に設けられたゲート電極とを備え、
    上記主部はチャネル層であり、
    上記最上部は上記チャネル層の上に接して設けられたゲート絶縁膜であり、
    上記窒素含有層は、窒化カーボン(CN)であることを特徴とする半導体装置。
  2. 少なくとも1つの電界効果トランジスタを設けてなる半導体装置であって、
    上記電界効果トランジスタは、
    Si又はSi 1-x1 Ge x1 (0<x1<1)からなる第1の半導体層と、
    上記第1の半導体層の上に設けられ、最上部が窒素含有層からなり、主部がSi 1-y y (0<y<1)で表される組成であって上記第1の半導体層とヘテロ接合を形成する第2の半導体層からなる第1の活性層と、
    上記第1の活性層の上に設けられたゲート電極とを備え、
    上記主部はチャネル層であり、
    上記最上部は上記チャネル層の上に接して設けられたゲート絶縁膜であり、
    上記窒素含有層は、窒化シリコンカーボン(SiCN)であることを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項1又は2に記載の半導体装置において、
    上記第1の活性層内の上記窒素含有層と第2の半導体層との間の距離は、2nm以下であることを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項1又は2に記載の半導体装置において、
    上記窒素含有層の少なくとも上部が酸化されていることを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
    上記第2の半導体層は、引っ張り歪みを受けていることを特徴とする半導体装置。
  6. 請求項に記載の半導体装置において、
    上記第2の半導体層は、電子が走行するnチャネルとして用いられることを特徴とする半導体装置。
  7. 請求項に記載の半導体装置において、
    上記第2の半導体層は、ホールが走行するpチャネルとして用いられることを特徴とする半導体装置。
  8. 電界効果トランジスタを形成する工程であって、
    Siからなる第1の半導体層の半導体層を有する基板を準備する工程(a)と、
    上記第1の半導体層の上に、チャネル層となり、Si 1-y y (0<y<1)で表される組成を有する第2の半導体層を形成する工程(b)と、
    上記第2の半導体層の表面部を窒化してゲート絶縁膜となる窒素含有層を形成する工程(c)と、
    上記窒素含有層の上にゲート電極を形成する工程(d)とを含み、
    上記窒素含有層は窒化シリコンカーボン(SiCN)であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 請求項に記載の半導体装置の製造方法において、
    上記工程(c)では、ECRプラズマを用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 電界効果トランジスタを形成する工程であって、
    Si 1-x Ge x (0<x<1)からなる第1の半導体層の半導体層を有する基板を準備する工程(a)と、
    上記第1の半導体層の上に、チャネル層となり、Siからなる第2の半導体層を形成する工程(b)と、
    上記第2の半導体層の上に、CVD法によりゲート絶縁膜となる窒素含有層を形成する工程(c)と、
    上記窒素含有層の上にゲート電極を形成する工程(d)とを含み、
    上記窒素含有層は、窒化カーボン(CN)であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 電界効果トランジスタを形成する工程であって、
    Siからなる第1の半導体層を有する基板を準備する工程(a)と、
    上記第1の半導体層の上に、チャネル層となり、Si 1-y y (0<y<1)で表される組成を有する組成を有する第2の半導体層を形成する工程(b)と、
    上記第2の半導体層の上にゲート絶縁膜となるCN絶縁膜を形成する工程(c)と、
    上記CN絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程(d)と、
    上記工程(d)の後に、酸素を含むガスを用いたドライエッチングにより、上記CN絶縁膜の一部を除去する工程(e)とを含む半導体装置の製造方法。
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