JP4086218B2 - パターン状薄膜層の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、リフトオフ法によるパターン状薄膜層の形成方法、特に、電気絶縁性のフレキシブルフィルム基板上に、光電変換層及び電極層を備えた光電変換素子が複数直列接続されてなる光電変換装置用の薄膜層の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから注目を集めている。
【0003】
薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられる。
【0004】
従来の薄膜太陽電池はガラス基板を用いていたが、軽量化、施工性、量産性においてプラスチックフィルムおよび金属フィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発がすすめられている。このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式の製造方法により大量生産が可能となった。
【0005】
上記の薄膜太陽電池は、フレキシブルな電気絶縁性フィルム基板上に下部電極層としての第1電極、薄膜半導体層からなる光電変換層および透明電極層としての第2電極が積層されてなる光電変換素子(またはセル)が複数形成されている。ある光電変換素子の第1電極と隣接する光電変換素子の第2電極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初の光電変換素子の第1電極と最後の光電変換素子の第2電極とに必要な電圧を出力させることができる。例えば、インバータにより交流化し商用電力源として交流100Vを得るためには、薄膜太陽電池の出力電圧は100V以上が望ましく、実際には数10個以上の素子が直列接続される。
【0006】
このような光電変換素子とその直列接続は、電極層と光電変換層の成膜と各層のパターニングおよびそれらの組み合わせ手順により形成される。少数の光電変換素子を直列接続した薄膜太陽電池により従来技術を説明する(特開平10−233517号公報参照)。
【0007】
図8は、上記特許出願明細書に記載された薄膜太陽電池の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)における線ABCDおよびBQCに沿っての断面図であり、(c)は(a)におけるEE断面図を示す。
【0008】
電気絶縁性でフレキシブルな樹脂からなる長尺のフィルム基板上に、順次、第1電極層、光電変換層、第2電極層が積層され、フィルム基板の反対側(裏面)には第3電極層、第4電極層が積層され、裏面電極が形成されている。光電変換層は例えばアモルファスシリコンのpin接合である。フィルム基板用材料としては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、パラ系アラミド、フッ素系樹脂全般等々が用いられている。
【0009】
製造工程の概要につき以下に説明する。
【0010】
先ず、フィルム基板にパンチを用いて、接続孔h1を開け、基板の片側(表側とする)に第1電極層として、スパッタにより銀を成膜し、これと反対の面(裏側とする)には、第3電極層として、同じく銀電極を成膜する。接続孔h1の内壁で第1電極層と第3電極層とは重なり、導通する。
【0011】
成膜後、表側では、第1電極層を所定の形状にレーザ加工して、下電極l1〜l6をパターニングする。下電極l1〜l6の隣接部は一本の分離線g2を、二列の直列接続の光電変換素子間および周縁導電部fとの分離のためには二本の分離線g2を形成し、下電極l1〜l6は分離線により囲まれるようにする。再度パンチを用いて、集電孔h2を開けた後、表側に、光電変換層pとしてa-Si層をプラズマCVDにより成膜する。マスクを用いて幅W2の成膜とし、レーザ加工により二列素子の間だけに第1電極層と同じ分離線を形成する。
【0012】
さらに第2電極層として表側にITO層を成膜する。但し、二つの素子列の間とこれに平行な基板の両側端部にはマスクを掛け接続孔h1には成膜しないようにし、素子部のみに成膜する。次いで裏面全面に第4電極層として銀電極を成膜する。第4電極の成膜により、集電孔h2の内壁で第2電極と第4電極とが重なり、導通する。表側では、レーザ加工により下電極と同じパターンの分離線を入れ、個別の第2電極u1〜u6を形成し、裏側では第3電極と第4電極とを同時にレーザ加工し、接続電極e12〜e56、および電力取り出し電極o1,o2を個別化し、基板の周縁部では表側の分離線g3と重なるように分離線g2を形成し、隣接電極間には一本の分離線を形成する。
【0013】
全ての薄膜太陽電池素子を一括して囲う周縁、および二列の直列接続太陽電池素子の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g3がある。分離線g3の中にはどの層も無い。裏側では、全ての電極を一括して囲う周縁、および二列の直列接続電極の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g2がある。分離線g2の中にはどの層も無い。
【0014】
こうして、電力取り出し電極o1−集電孔h2−上電極u1、光電変換層、下電極l1−接続孔h1−接続電極e12−上電極u2、光電変換層、下電極l2−接続電極e23−・・・−上電極u6、光電変換層、下電極l6−接続孔h1−電力取出し電極o2の順の光電変換素子の直列接続が完成する。
【0015】
以上薄膜太陽電池を例として説明したが、従来のレーザ加工法によると、パターニングラインを1本ごとに加工していくため、大面積レベルの量産化への時間的ロスが問題になっていた。また、電極のパターニングにレーザ加工法を用いると、片面電極のパターニングにおいて、透過レーザ光により、裏面の薄膜がダメージをうけることから、基板の光透過率、太陽電池の膜構成等についてレーザ光が透過しないようにするため選択する材料に制限があった。
【0016】
そこで、上記の問題に対する改善策として、電極の個別化や分離線の形成をレーザ加工によらず、フィルム基板上に、所定パターンのリフトオフ用マスク層を形成した後、前記基板およびマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記マスク層を前記基板との界面から剥離することにより、マスク層上の薄膜層をマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成する方法、いわゆる、リフトオフ方式の薄膜形成方法が、前述の特開平10−233517号公報に記載され提案されている。リフトオフ方式の薄膜形成方法は、他にも、特開昭62−171169号公報にも記載されており、よく知られた方法である。
【0017】
マスク層としては、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンゾイミダゾールの中の一つまたはこれら材料の2種以上の組み合わせで構成される。
【0018】
また、本願出願人から別途、基板との剥離性が良好でかつ除去を必要とする薄膜部を容易にリフトオフ可能な新規のパターン状薄膜層の形成方法が提案されている(特願平10−330891号参照)。
【0019】
上記特願平10−330891号に記載された発明は、図6に示す薄膜太陽電池の模式図において、フィルム基板1の材料とマスク層5の材料に好適な材料を選定して剥離性を良好にすることと、図7に示すように、フィルム基板1上に、第1のマスク層6および第2のマスク層7を順次積層した所定パターンの2層構造のマスク層を形成した後、前記基板および第2のマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記第2のマスク層を前記第1のマスク層との界面から剥離することにより、第2のマスク層上の薄膜層を第2のマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成する方法で、除去を必要とする薄膜部を第2のマスク層と共に容易に除去し得る新規の方法である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の方法において、マスク層の基板からの剥離方法としては、粘着性フィルムを薄膜層上面に貼り付け、この粘着性フィルムを機械的に引き剥がすことにより、薄膜層およびマスク層を除去する方法が従来から採用されていた。この方法の場合、量産性が悪くまた、時に剥離ミスが発生する問題があった。
【0021】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、量産性と歩留りの向上、総じて量産コストの低減を図ったリフトオフ方式のパターン状薄膜層の形成方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明においては、電気絶縁性フィルム基板上に、所定パターンのリフトオフ用マスク層を形成した後、前記基板およびマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記マスク層を前記基板との界面から剥離することにより、マスク層とその上の薄膜層(以下、マスク層とその上の薄膜層を合わせて、リフトオフ層ともいう。)を除去して所望パターンの薄膜層を形成した後、吸引口と真空排気装置とを備えた真空吸引装置の前記吸引口を、前記リフトオフ層上を走査させることにより、リフトオフ層を吸引して剥離するパターン状薄膜層の形成方法において、前記電気絶縁性フィルム基板上に、第1のマスク層および第2のマスク層を順次積層した所定パターンの2層構造のマスク層を形成した後、前記基板および第2のマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記第2のマスク層を前記第1のマスク層との界面から剥離することにより、第2のマスク層上の薄膜層を第2のマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとする(請求項1)。
【0023】
これにより、リフトオフ層が、ほぼ均一な真空吸引力により、容易かつ安定的に除去できる。前記吸引口は、一つに限定されるものではなく、必要に応じパターンに応じて複数個の吸引口から同時に真空吸引して一括剥離し、走査の回数を低減することができる。
【0024】
また、上記請求項1の方法においては、電気絶縁性フィルム基板上に、第1のマスク層および第2のマスク層を順次積層した所定パターンの2層構造のマスク層を形成した後、前記基板および第2のマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記第2のマスク層を前記第1のマスク層との界面から剥離することにより、第2のマスク層上の薄膜層を第2のマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとするので、これにより、剥離はさらに容易かつ安定的となる。
【0025】
さらに、請求項2ないし4の発明によれば、真空吸着に変えて、ホットメルト接着剤を用いて剥離操作を容易にすることができる。まず、請求項2によれば、電気絶縁性フィルム基板上に、所定パターンのリフトオフ用マスク層を形成した後、前記基板およびマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記マスク層を前記基板との界面から剥離することにより、マスク層とその上の薄膜層(リフトオフ層)を除去して所望パターンの薄膜層を形成するパターン状薄膜層の形成方法において、前記リフトオフ層上にホットメルト接着剤を所定の間隔でスポット状に滴下し、この接着剤硬化後に、剥離用ブレード部材の先端部を前記スポット状接着剤の側底部に当接して接着剤に剥離力を加えることにより、リフトオフ層を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとする。
【0026】
また、前記請求項2の方法において、搬送ローラにより搬送されるフィルム基板に接着硬化したスポット状接着剤の側底部に剥離用ブレード部材の先端部を当接して、搬送ローラの搬送力によりリフトオフ層を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとする(請求項3)。
【0027】
さらに、上記請求項2または3記載のリフトオフ層を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成する方法において、電気絶縁性フィルム基板上に、第1のマスク層および第2のマスク層を順次積層した所定パターンの2層構造のマスク層を形成した後、前記基板および第2のマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記第2のマスク層を前記第1のマスク層との界面から剥離することにより、第2のマスク層上の薄膜層を第2のマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとする(請求項4)。
【0028】
また、請求項5の発明は、薄膜太陽電池への適用に関わるもので、前記請求項1ないし4記載のいずれかの方法において、薄膜層は、下部電極としての第1電極層,光電変換層,透明電極層としての第2電極層とを備えた光電変換素子が複数直列接続されてなる光電変換装置用の薄膜層であることとする。特に、上記請求項4の方法は、ロール搬送方式の薄膜太陽電池の量産方法に好適である。
【0029】
さらにまた、請求項6の発明によれば、請求項1または4記載の方法において、薄膜層は、下部電極としての第1電極層,光電変換層,透明電極層としての第2電極層とを備えた光電変換素子が複数直列接続されてなる光電変換装置用の薄膜層であって、第1のマスク層,第2のマスク層および第1電極層形成後に第2のマスク層および第1電極層を第1のマスク層から剥離し、その後第1のマスク層上に再度第2のマスク層(以下、再マスク層という。)を形成し、さらに第1電極層および前記再マスク層の両面上にまたがって光電変換層および第2電極層を形成し、前記再マスク層を第1のマスク層との界面から剥離することにより,再マスク層上の光電変換層および第2電極層を再マスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとする。
【0030】
この方法によれば、各層の剥離を2回に分けて剥離するので、剥離がより確実となりフィルム基板上に残る剥離残り量を軽減でき、品質と歩留りが向上する。
【0031】
最後に、請求項7の発明によれば、前記請求項6の方法において、再マスク層のパターン幅寸法を、最初に形成する第2のマスク層のパターン幅寸法より小とする。これにより、詳細は後述するが、防湿性の高い光電変換層が第1電極層を覆うため、水分の侵入が抑えられ、耐防湿性を有する信頼性の高い光電変換素子が提供できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下にのべる。
【0033】
(実施例1)
図1は、請求項1の発明に関わる実施例を示す概念図である。吸引口20を有する真空吸引装置21により、吸引口20をA矢印で示す方向に走査させることにより、リフトオフ層10をフィルム基板1から剥離する。
【0034】
上記方法に関わるショートピースによる剥離実験例について、以下に述べる。厚さ50μm,幅50mmの絶縁性フィルム基板1上に、スクリーン印刷法(版:ステンレスメッシュ #200)を用いてシリコーン樹脂からなる第1のマスク層(幅2.5mm)のパターン(7.5mmピッチのストライプ)を印刷し、90℃〜100℃の恒温槽内にて3分加熱乾燥した。第1のマスク層厚さは2〜3μmとした。
【0035】
前記第1のマスク層上に同じ版を用い、ポリイミドからなる第2のマスク層を印刷し、90℃〜100℃の恒温槽内にて3分、140℃の恒温槽内にて2分乾燥した。第2のマスク層の厚さは8〜10μmとした。
【0036】
上記2層のマスク層上に、第1電極層、光電変換層、第2電極層を形成した。上記薄膜形成後、吸引口形状が2mm×5mmで、10〜20°傾斜させたガラス管を吸引口として、パターン部分に押し当て、20Torr以下の圧力でリフトオフ層(マスク層とその上の薄膜)を吸引、剥離した。この方法により、テープ剥離と同等のパターニングラインを容易に得ることができた。
【0037】
(実施例2)
図2は、請求項2の発明に関わる実施例を示す概念図である。
【0038】
リフトオフ層10上にホットメルト接着剤を所定の間隔でスポット状に滴下し、この接着剤硬化後に、剥離用ブレード部材31の先端部32を前記スポット状接着剤30の側底部に当接して接着剤に剥離力を加えることにより、リフトオフ層10を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成する。
【0039】
上記方法に関わるショートピースによる剥離実験例について、以下に述べる。第1のマスク層,第2のマスク層および前記2層のマスク層上に、第1電極層、光電変換層、第2電極層を形成する手順は、上記実施例1と同一である。
【0040】
上記薄膜形成後、リフトオフ層の上から2液性エポキシ樹脂3〜5mgを、15mm間隔で滴下し、滴下後100℃の恒温槽内にて30秒エポキシ樹脂9を硬化させ、略円筒状の樹脂山スポットを形成した。その後、図2に示すようにシリコンゴム製のブレード部材31にて第1のマスク層と第2のマスク層間を剥離し、リフトオフ層10を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成した。上記ホットメルト接着剤を用いた剥離により、粘着テープを用いた剥離と同等のパターニングラインを容易に得ることができる。
【0041】
図3は、請求項3の発明に関わる実施例を概念的に示す図で、図3(b)に側面図を、図3(a)に図3(b)の矢印P方向からみた部分平面図を示す。薄膜太陽電池の製造プロセスにおいては、一般に、その基板を搬送ロールにより張力をかけながら搬送し、各種の薄膜形成を行う。請求項3の発明は、このような製法とのマッチングを考慮してなされた発明もので、図3の搬送ローラ11によりフィルム基板1が搬送される。搬送ローラにより搬送されるフィルム基板1に接着硬化したスポット状接着剤30の側底部に剥離用ブレード部材31の先端部32を当接して、搬送ローラ11の搬送力によりリフトオフ層10を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することができる。
【0042】
(実施例3)
図4は、請求項6の発明に関わる実施例を概念的に示す図で、図4(a)は、第2のマスク層7を形成後,第1電極層を形成した状態を示し、図4(b)は、再マスク層70形成後,光電変換層3および第2電極層4を形成した状態を示す。
【0043】
上記請求項6の発明に関わる実験例について、以下に述べる。厚さ50μmの絶縁性フィルム基板1上に、スクリーン印刷法(版:ステンレスメッシュ #200)を用いて、第1のマスク層としてのシリコーン樹脂からなる所定のパターンを印刷し、90℃〜100℃の恒温槽内にて3分加熱乾燥した。第1のマスク層の厚さは2〜3μm,幅は400μmとした。
【0044】
第1のマスク層6上に同じ版を用い、ポリイミドからなる第2のマスク層を印刷し、90℃〜100℃の恒温槽内にて3分、140℃の恒温槽内にて2分乾燥した。第2のマスク層7の厚さは8〜10μm,幅は400μmとした。
【0045】
上記2層のマスク層上に、第1電極層2を形成した後(図3(a))、真空吸引により第1のマスク層と第2のマスク層間で剥離した。
【0046】
続いて、第1のマスク層6上に再マスク層70としてのポリイミドからなる所定のパターンを印刷し、90℃〜100℃の恒温槽内にて3分加熱乾燥した。再マスク層70の厚さは2〜3μm,幅は400μmとした。
【0047】
再マスク層70上に、光電変換層3、第2電極層4を積層した(図3(b))。薄膜積層後、真空吸引により再マスク層70とその上の薄膜層を、第1のマスク層から剥離除去した。このように2回に分けて剥離を行うことにより、基板上に残る剥離残し量を減らすことができた。
【0048】
(実施例4)
図5は、請求項7の発明に関わる実施例を概念的に示す図で、図5(a)は、第2のマスク層7を形成後,第1電極層を形成した状態を示し、図5(b)は、再マスク層70形成後,光電変換層3および第2電極層4を形成した状態を示し、図5(c)は、リフトオフ完了後の部分拡大断面図を示す。
【0049】
上記請求項7の発明に関わる実験例について、以下に述べる。図5(a)の第2のマスク層7を形成後,第1電極層を形成する手順を経て、図5(b)の再マスク層70形成後,光電変換層3および第2電極層4を形成する手順は、前記実施例3と略同様であるが、異なる点は、図5(b)における再マスク層70の幅を、実施例3における幅(400μm)の半分の200μmとした点である。
【0050】
このようにすることにより、図5(c)に示すように、防湿性の高い光電変換層3が第1電極層2を覆うため、水分の侵入が抑えられ、信頼性の高い光電変換素子を提供できる。
【0051】
【発明の効果】
この発明によれば、電気絶縁性フィルム基板上に、所定パターンのリフトオフ用マスク層を形成した後、前記基板およびマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記マスク層を前記基板との界面から剥離することにより、マスク層とその上の薄膜層(リフトオフ層)を除去して所望パターンの薄膜層を形成した後、吸引口と真空排気装置とを備えた真空吸引装置の前記吸引口を、前記リフトオフ層上を走査させることにより、リフトオフ層を吸引して剥離するパターン状薄膜層の形成方法において、前記電気絶縁性フィルム基板上に、第1のマスク層および第2のマスク層を順次積層した所定パターンの2層構造のマスク層を形成した後、前記基板および第2のマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記第2のマスク層を前記第1のマスク層との界面から剥離することにより、第2のマスク層上の薄膜層を第2のマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとするか、もしくは、前記リフトオフ層上にホットメルト接着剤を所定の間隔でスポット状に滴下し、この接着剤硬化後に、剥離用ブレード部材の先端部を前記スポット状接着剤の側底部に当接して接着剤に剥離力を加えることにより、リフトオフ層を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することとしたので、リフトオフ層が、真空吸引力もしくは接着剤を介して容易かつ安定的に剥離でき、量産性と歩留りの向上、総じて量産コストの低減を図ったリフトオフ方式のパターン状薄膜層の形成方法を提供することができる。この発明は、太陽電池以外に、半導体や感光体などの薄膜形成に広く適用できるが、特に、光電変換装置の製造プロセスに適用した場合、製造プロセスの簡易化,低コスト化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の真空吸引方式の実施例の概念図
【図2】 この発明の接着剤方式の実施例の概念図
【図3】 この発明の搬送ローラを用いる接着剤方式の実施例の概念図
【図4】 この発明の請求項6に関わる実施例の製造工程を示す図
【図5】 この発明の請求項7に関わる実施例の製造工程を示す図
【図6】 従来のマスク一層式パターン状薄膜層の形成方法を概念的に説明する図
【図7】 従来のマスク二層式パターン状薄膜層の形成方法を概念的に説明する図
【図8】 薄膜太陽電池の構成および製造方法を概念的に説明する図
【符号の説明】
1:フィルム基板、2:第1電極層、3:光電変換層、4:第2電極層、6:第1のマスク層、7:第2のマスク層、10:リフトオフ層、11:搬送ローラ、20:吸引口、21:真空吸引装置、30:スポット状接着剤、31:ブレード部材、70:再マスク層。
Claims (7)
- 電気絶縁性フィルム基板上に、所定パターンのリフトオフ用マスク層を形成した後、前記基板およびマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記マスク層を前記基板との界面から剥離することにより、マスク層とその上の薄膜層(リフトオフ層)を除去して所望パターンの薄膜層を形成した後、吸引口と真空排気装置とを備えた真空吸引装置の前記吸引口を、前記リフトオフ層上を走査させることにより、リフトオフ層を吸引して剥離するパターン状薄膜層の形成方法において、
前記電気絶縁性フィルム基板上に、第1のマスク層および第2のマスク層を順次積層した所定パターンの2層構造のマスク層を形成した後、前記基板および第2のマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記第2のマスク層を前記第1のマスク層との界面から剥離することにより、第2のマスク層上の薄膜層を第2のマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することを特徴とするパターン状薄膜層の形成方法。 - 電気絶縁性フィルム基板上に、所定パターンのリフトオフ用マスク層を形成した後、前記基板およびマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記マスク層を前記基板との界面から剥離することにより、マスク層とその上の薄膜層(リフトオフ層)を除去して所望パターンの薄膜層を形成するパターン状薄膜層の形成方法において、前記リフトオフ層上にホットメルト接着剤を所定の間隔でスポット状に滴下し、この接着剤硬化後に、剥離用ブレード部材の先端部を前記スポット状接着剤の側底部に当接して接着剤に剥離力を加えることにより、リフトオフ層を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することを特徴とするパターン状薄膜層の形成方法。
- 請求項2記載の方法において、搬送ローラにより搬送されるフィルム基板に接着硬化したスポット状接着剤の側底部に剥離用ブレード部材の先端部を当接して、搬送ローラの搬送力によりリフトオフ層を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することを特徴とするパターン状薄膜層の形成方法。
- 請求項2または3記載のリフトオフ層を接着剤と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成する方法において、電気絶縁性フィルム基板上に、第1のマスク層および第2のマスク層を順次積層した所定パターンの2層構造のマスク層を形成した後、前記基板および第2のマスク層の両面上にまたがって所定パターンの薄膜層を形成し、前記第2のマスク層を前記第1のマスク層との界面から剥離することにより、第2のマスク層上の薄膜層を第2のマスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することを特徴とするパターン状薄膜層の形成方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法において、薄膜層は、下部電極としての第1電極層,光電変換層,透明電極層としての第2電極層とを備えた光電変換素子が複数直列接続されてなる光電変換装置用の薄膜層であることを特徴とするパターン状薄膜層の形成方法。
- 請求項1または4記載の方法において、薄膜層は、下部電極としての第1電極層,光電変換層,透明電極層としての第2電極層とを備えた光電変換素子が複数直列接続されてなる光電変換装置用の薄膜層であって、第1のマスク層,第2のマスク層および第1電極層形成後に第2のマスク層および第1電極層を第1のマスク層から剥離し、その後第1のマスク層上に再度第2のマスク層(再マスク層)を形成し、さらに第1電極層および前記再マスク層の両面上にまたがって光電変換層および第2電極層を形成し、前記再マスク層を第1のマスク層との界面から剥離することにより,再マスク層上の光電変換層および第2電極層を再マスク層と共に除去して所望パターンの薄膜層を形成することを特徴とするパターン状薄膜層の形成方法。
- 請求項6記載の方法において、再マスク層のパターン幅寸法を、最初に形成する第2のマスク層のパターン幅寸法より小としたことを特徴とするパターン状薄膜層の形成方法。
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