JP4075254B2 - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから注目を集めている。同一基板上に形成された複数の太陽電池素子が、直列接続されてなる太陽電池(光電変換装置)の代表例は、薄膜太陽電池である。
【0003】
薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられ、電力供給用以外に、建物の屋根や窓などにとりつけて利用される業務用,一般住宅用にも需要が広がってきている。
【0004】
従来の薄膜太陽電池はガラス基板を用いていたが、軽量化、施工性、量産性においてプラスチックフィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発が進められている。さらに、フレキシブルな金属材料に絶縁被覆したフィルム基板を用いたものも開発されている。このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式やステッピングロール方式の製造方法により大量生産が可能となった。
【0005】
上記の薄膜太陽電池は、フレキシブルな電気絶縁性フィルム基板上に第1電極(以下、下電極ともいう)、薄膜半導体層からなる光電変換層および第2電極(以下、透明電極ともいう)が積層されてなる光電変換素子(またはセル)が複数形成されている。ある光電変換素子の第1電極と隣接する光電変換素子の第2電極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初の光電変換素子の第1電極と最後の光電変換素子の第2電極とに必要な電圧を出力させることができる。例えば、インバータにより交流化し商用電力源として交流100Vを得るためには、薄膜太陽電池の出力電圧は100V以上が望ましく、実際には数10個以上の素子が直列接続される。
【0006】
このような光電変換素子とその直列接続は、電極層と光電変換層の成膜と各層のパターニングおよびそれらの組み合わせ手順により形成される。上記太陽電池の構成および製造方法の一例は、例えば特開平10−233517号公報や特願平11−19306号に記載されている。
【0007】
図3は、上記特開平10−233517号公報に記載された薄膜太陽電池の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)における線ABCDおよびBQCに沿っての断面図であり、(c)は(a)におけるEE断面図を示す。
【0008】
電気絶縁性でフレキシブルな樹脂からなる長尺のフィルム基板上に、順次、第1電極層、光電変換層、第2電極層が積層され、フィルム基板の反対側(裏面)には第3電極層、第4電極層が積層され、裏面電極が形成されている。光電変換層は例えばアモルファスシリコンのpin接合である。フィルム基板用材料としては、ポリイミドのフィルム、例えば厚さ50μmのフィルムが用いられている。
【0009】
フィルムの材質としては、他に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはアラミド系のフィルムなどを用いることができる。
【0010】
次に、製造工程の概要につき以下に説明する。
【0011】
先ず、フィルム基板にパンチを用いて、接続孔h1を開け、基板の片側(表側とする)に第1電極層として、スパッタにより銀を、例えば100nmの厚さに成膜し、これと反対の面(裏側とする)には、第3電極層として、同じく銀電極を成膜する。接続孔h1の内壁で第1電極層と第3電極層とは重なり、導通する。
【0012】
電極層としては、銀(Ag)以外に、Al,Cu,Ti等の金属をスパッタまたは電子ビーム蒸着等により製膜しても良く、金属酸化膜と金属の多層膜を電極層としても良い。
【0013】
成膜後、表側では、第1電極層を所定の形状にレーザ加工して、下電極l1〜l6をパターニングする。下電極l1〜l6の隣接部は一本の分離線g2を、二列の直列接続の光電変換素子間および周縁導電部fとの分離のためには二本の分離線g2を形成し、下電極l1〜l6は分離線により囲まれるようにする。再度パンチを用いて、集電孔h2を開けた後、表側に、光電変換層pとしてa-Si層をプラズマCVDにより成膜する。マスクを用いて幅W2の成膜とし、レーザ加工により二列素子の間だけに第1電極層と同じ分離線を形成する。
【0014】
さらに第2電極層として表側に透明電極層(ITO層)を成膜する。但し、二つの素子列の間とこれに平行な基板の両側端部にはマスクを掛け接続孔h1には成膜しないようにし、素子部のみに成膜する。透明電極層としては、ITO(インジウムスズオキサイド)以外に、SnO 2 、ZnOなどの酸化物導電層を用いることができる。
【0015】
次いで裏面全面に第4電極層として銀電極を成膜する。第4電極の成膜により、集電孔h2の内壁で第2電極と第4電極とが重なり、導通する。表側では、レーザ加工により下電極と同じパターンの分離線を入れ、個別の第2電極u1〜u6を形成し、裏側では第3電極と第4電極とを同時にレーザ加工し、接続電極e12〜e56、および電力取り出し電極o1,o2を個別化し、基板の周縁部では表側の分離線g3と重なるように分離線g2を形成し、隣接電極間には一本の分離線を形成する。
【0016】
全ての薄膜太陽電池素子を一括して囲う周縁、および二列の直列接続太陽電池素子の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g3がある。分離線g3の中にはどの層も無い。裏側では、全ての電極を一括して囲う周縁、および二列の直列接続電極の隣接する境界には(周縁導電部fの内側)分離線g2がある。分離線g2の中にはどの層も無い。
【0017】
こうして、電力取り出し電極o1−集電孔h2−上電極u1、光電変換層、下電極l1−接続孔h1−接続電極e12−上電極u2、光電変換層、下電極l2−接続電極e23−・・・−上電極u6、光電変換層、下電極l6−接続孔h1−電力取出し電極o2の順の光電変換素子の直列接続が完成する。
【0018】
なお、第3電極層と第4電極層は電気的には同一の電位であるので、以下の説明においては説明の便宜上、併せて一層の接続電極層として扱うこともある。
【0019】
図4は、構造の理解の容易化のために、薄膜太陽電池の構成を簡略化して斜視図で示したものである。図4において、基板61の表面に形成した単位光電変換素子62および基板61の裏面に形成した接続電極層63は、それぞれ複数の単位ユニットに完全に分離され、それぞれの分離位置をずらして形成されている。このため、素子62のアモルファス半導体部分である光電変換層65で発生した電流は、まず透明電極層66に集められ、次に該透明電極層領域に形成された集電孔67(h2)を介して背面の接続電極層63に通じ、さらに該接続電極層領域で素子の透明電極層領域の外側に形成された直列接続用の接続孔68(h1)を介して上記素子と隣り合う素子の透明電極層領域の外側に延びている下電極層64に達し、両素子の直列接続が行われている。
【0020】
上記薄膜太陽電池の簡略化した製造工程を図5(a)から(g)に示す。プラスチックフィルム71を基板として(工程(a))、これに接続孔78を形成し(工程(b))、基板の両面に第1電極層(下電極)74および第3電極層(接続電極の一部)73を形成(工程(c))した後、接続孔78と所定の距離離れた位置に集電孔77を形成する(工程(d))。工程(c)と工程(d)との間に、第1電極層(下電極)74を所定の形状にレーザ加工して、下電極をパターニングする工程があるが、ここではこの工程の図を省略している。
【0021】
次に、第1電極層74の上に、光電変換層となる半導体層75および第2電極層である透明電極層76を順次形成するとともに(工程(e)および工程(f))、第3電極層73の上に第4電極層(接続電極層)79を形成する(工程(g))。この後、レーザビームを用いて、基板71の両側の薄膜を分離加工して図4に示すような直列接続構造を形成する。前記薄膜太陽電池の製造工程において、接続孔78を形成する工程(b)および集電孔77を形成する工程(d)は、パンチを用いる打抜き加工によっている(特開平8−139352号公報参照)。
【0022】
なお、図5においては、集電孔h2内における透明電極層76と第4電極層79との接続をそれぞれの層を重ねて2層で図示しているが、前記図3においては、電気的に一層として扱い、1層で図示している。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の薄膜太陽電池の製造方法においては、下記のような問題があった。
【0024】
上記した薄膜太陽電池の製造工程においては、第1電極層および第3電極層プロセスと光電変換層形成プロセスとの間に、集電孔h2形成および第1電極層のレ−ザによる分離加工を行っていた。
【0025】
上記集電孔h2形成および第1電極層レ−ザ加工プロセスは、大気中で行うプロセスのため、加工時にプラスチック基板が露出し、その露出した部分から基板内に空気を取り込んでしまっていた。そのため、第1電極層形成前に脱ガス処理を行った基板に対し、光電変換層形成前に再度、脱ガス処理を行う必要があった。
【0026】
また、従来の製造工程では、接続孔h1と集電孔h2の形成の間に、第1電極層および第3電極層の形成を行っていたが、この電極層の薄膜形成時の高温により基板が変形し、接続孔h1と集電孔h2の相対的位置ズレが生じていた。
【0027】
孔の形成には、前述のように従来は、パンチ加工法を用いている。レ−ザ加工法により加工することも公知であり、むしろ、パンチ加工法では得られなかった高品質な直径1.0mm以下の孔を開けることができるが、その反面、孔開け時に発生するレ−ザ加工塵が基板を汚染し、これがピンホ−ルの原因になる。さらに、このレ−ザ加工塵は、粒が1μm程度と細かくまた熱融着しているために、ドライ洗浄では除去できない。そのため、水洗が必要となるが、薄膜形成後に水洗を行うと基板と各電極膜が剥がれ易くなるといった問題があった。そのために、レ−ザ加工法は採用されずにパンチ加工法が用いられてきたわけであるが、パンチ加工法の場合には上記のように、直径1.0mm以下の高品質な孔を開けることができないという潜在的な問題があった。
【0028】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、光電変換層形成時における基板の脱ガス処理を不要としてプロセスの簡略化を図ることと、また接続孔と集電孔との相対的位置ズレの発生防止を図り、さらに接続孔や集電孔などの加工に、高品質の孔加工が可能なレ−ザ加工法を適用可能とする薄膜太陽電池の製造方法を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、請求項1の発明によれば、可撓性樹脂材料からなるフィルム基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記透明電極層形成領域外に形成した電気的直列接続用の接続孔および前記透明電極層形成領域内に形成した集電孔を介して,前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造方法において、下記の(1)〜(7)の工程を含み、かつ下記(1),(2)および(6),(7)の工程は大気中で行い、(3),(4),(5)の一連の工程は、真空中で行うこととする。
(1)基板に前記接続孔および集電孔を形成する工程。
(2)基板に付着したゴミを除去する工程。
(3)基板の脱ガス処理を行う工程。
(4)基板の片側主面(表面側)全面ならびに前記接続孔および集電孔内周面に前記第1電極層を形成し、これと対向する裏面側の集電孔の周辺部および内周面を除いた裏面全面および接続孔内周面に前記第3電極層を形成する工程。
(5)前記第1電極層を形成した面上に、光電変換層を,さらに透明電極層(第2電極層)を順次形成し、これと対向する裏面側全面と接続孔および集電孔内周面に前記第4電極層を形成する工程。
(6)第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)からなる光電変換部を、パターニングにより複数個に分割する工程。
(7)第3電極層および第4電極層からなる接続電極層を、パタ−ニングにより複数個に分割する工程。
さらに、前記基板に接続孔および集電孔を形成する工程(1)は、レーザ加工法により行い、レーザによる孔加工後、基板に付着したゴミを除去する工程(2)は、擦り洗浄および超音波洗浄からなる水洗により行うこととする。
【0030】
また、請求項2の発明によれば、請求項1に記載の製造方法において、第(4)の工程を下記の工程(4)a、即ち、「工程(4)a:基板の片側主面(表面側)全面ならびに前記接続孔および集電孔内周面に前記第1電極層を形成し、これと対向する裏面側の集電孔の周辺部および内周面に電気絶縁性材料からなる絶縁膜を形成し、さらにこの絶縁膜形成部を除いた裏面および接続孔内周面に前記第3電極層を形成する工程。」に代えることとする。
【0031】
上記請求項1または2の発明によれば、従来2回必要であった脱ガス処理プロセスを1回に短縮することができる。また、これにより、第1電極層、第3電極層形成後に基板が空気を取り込むことが無くなり、空気の取り込みが原因で発生していた、第1電極層または第3電極層と基板との付着強度の低下の問題が低減される。さらに、接続孔と集電孔の加工を一度に行うので、接続孔と集電孔の相対的位置ズレの問題が解消する。さらにまた、請求項2の発明によれば、絶縁膜を設けたので、第1電極層と第4電極層との短絡問題を解消できる。
【0032】
前記請求項1または2に記載の製造方法において、前記基板に接続孔および集電孔を形成する工程(1)は、レーザ加工法により行い、レーザによる孔加工後、基板に付着したゴミを除去する工程(2)は、水洗により行うこととする。
【0033】
上記のように、接続孔と集電孔の加工を一度に行う工程としかつ加工後の水洗の採用により、レーザ加工法における前述の問題点を解消し、高品質の孔加工が可能となる。
【0034】
また、請求項1または2に記載の製造方法において、前記工程(6)および(7)のパタ−ニングにより複数個に分割する工程は、基板の所定位置に砥粒をノズルから噴射することによりパターニング加工する粉体噴射法により行うこととする(請求項3)のが好適である。
【0035】
粉体噴射法は、レ−ザ加工法に比べ加工部の下地基板への熱影響が小さいため、レーザ光による光電変換部の直接的ダメージやレ−ザ加工法で発生していた基板の折れ曲がりが原因となる薄膜太陽電池層の膜剥がれを無くすことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、この発明の実施の形態について以下に述べる。
【0037】
(実施例1)
図1(a)ないし図1(d)は、この発明の実施例に関わる薄膜太陽電池の各製造工程(a)〜(d)を示す図である。従来の製造工程と同様の工程は、適宜省略して、以下に工程を説明する。図1の左側は、各工程における薄膜太陽電池の概略平面図を示し、右側は各平面図におけるA−Aに沿う断面図を示す。
【0038】
まず、ロールツーロールで送りだされる高分子樹脂基板1に、レーザ加工法を用いて接続孔h1および集電孔h2を形成した(工程(1),図1(a))。
【0039】
孔の直径は、レ−ザ加工法を採用することにより、従来のパンチ法では困難であった0.1mmとした。孔径を小さくすることにより、有効発電面積を増加させることができ、また、孔開け時に発生する基板の歪みを小さくでき、この基板の歪みが原因で発生する膜剥がれを低減できた。ここで孔開けに用いたレ−ザはYAG:Nd第3高調波レ−ザである。YAG:Nd第3高調波レ−ザは、工業的に多く使われているYAG:Nd第2高調波レ−ザよりも、高分子基板を加工しやすいという利点がある。
【0040】
孔形状は、テ−パ状とした。従来のパンチ法で形成した孔は、板厚方向の開口径が同じ形状であったが、この実施例においては、光電変換層形成部の方の孔径を大きくしたテ−パ状とすることにより、孔加工端での傾斜を緩やかにし、孔加工端での膜の脱落による欠陥を低減することができた。
【0041】
上記孔開けプロセスの後、擦り洗浄および超音波洗浄からなる水洗浄法を用いて基板に付着したレ−ザ加工塵や基板カス等を除去した(工程(2))。
【0042】
ロールツーロール搬送法を用いたプロセスでは、上記孔開け工程と基板洗浄工程を一つの搬送系内で行う方が良い。それは、孔を開けた後には、加工塵や加工カスが基板に付着するが、その状態でロールを巻き取ると、その加工塵や加工カスが基板にめり込んでしまう可能性があるためである。
【0043】
その後、真空状態にして、高温下で脱ガス処理を行った(工程(3))。処理温度は、脱ガス処理後の薄膜形成温度よりも高い300℃とした。
【0044】
その後、基板の片側主面(表面側)全面ならびに接続孔および集電孔内周面に第1電極層kを形成し、これと対向する裏面側の集電孔の周辺部および内周面を除いた裏面全面および接続孔内周面に第3電極層s3を形成した(工程(4),図1(b))。
【0045】
この第3電極層s3形成時には、集電孔h2の周辺部および内周面に第3電極層s3が形成されないようにマスク製膜した。このとき、薄膜太陽電池の直列接続方向を基板の搬送方向とすることにより、ロールツーロール連続形成時においてのマスク形成を容易とした。また、ロールツーロールステップ形成時においても、基板の変形が大きい搬送方向を薄膜太陽電池の直列接続方向とすることにより、基板変形が原因のマスクズレが無くなった。
【0046】
本工程を行った結果、接続孔h1を介して第1電極層kと第3電極層s3とが電気的に接続された。
【0047】
その後、a−Si層から成る光電変換層aをプラズマCVD法で、光入射側の透明電極層uおよびこれと対向する裏面側全面と接続孔および集電孔内周面に第4電極層s4をスパッタ法を用いて順次形成した(工程(5),図1(c))。
【0048】
このとき、光電変換層aは第1電極層kが形成された集電孔h2内周面にも形成され、透明電極層uおよび第4電極層s4が基板表面に接触するのを防いでいる。本工程を行った結果、集電孔h2を介して透明電極層uと第4電極層s4とが電気的に接続された。
【0049】
そして最後に、第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)からなる光電変換部を、パターニングにより複数個に分割し、さらに、第3電極層および第4電極層からなる接続電極層を、パターニングにより複数個に分割した(工程(6),(7),図1(d))。図1(d)において、p1は、光電変換層(薄膜太陽電池)のパターニング分離ラインを示し、p2は、接続電極層のパターニング分離ラインを示す。パターニング後、ウレタンブラシを用いたドライ洗浄を行った。ここで採用したドライ洗浄法は、水を使用しない洗浄法であるので、水洗浄を用いた場合に発生する膜剥がれ等の発生が無い。
【0050】
上記により、複数個の薄膜太陽電池が直列に接続された直列接続型薄膜太陽電池を形成した。
【0051】
なお、上記パターニングには、粉体噴射パターニング法を採用した。これにより、パターニング部の下地にある高分子基板の熱ダメージが原因で発生する基板の変形が少なくなり、基板の変形による膜剥がれの発生が無くなった。なお、薄膜太陽電池の製造における粉体噴射パターニング法の適用に関しては、本件出願人により別途提案されている(詳細は、特願平11−283738号参照)。
【0052】
以上のように、従来2回に分けていた製膜プロセスを1回にまとめることにより、脱ガス処理の回数を減らすことができた。また、レ−ザ加工法で孔開けを行うことにより、孔径を小さくし、有効発電面積を増加させるとともに、孔品質を向上させることなど前述の種々の利点が確認できた。
【0053】
(実施例2)
図2(a)ないし図2(d)は、請求項2の発明の実施例に関わる薄膜太陽電池の各製造工程(a)〜(d)を示す図である。図2の左側は、各工程における薄膜太陽電池の概略平面図を示し、右側は各平面図におけるA−Aに沿う断面図を示す。
【0054】
図2の工程が、図1の工程と異なる点は、図1における第(4)の工程を、下記の工程(4)a、即ち、「工程(4)a:基板の片側主面(表面側)全面ならびに接続孔および集電孔内周面に第1電極層を形成し、これと対向する裏面側の集電孔の周辺部および内周面に電気絶縁性材料からなる絶縁膜を形成し、さらにこの絶縁膜形成部を除いた裏面および接続孔内周面に第3電極層を形成する工程。」に代えた点であり、具体的には、図2(b)において、絶縁膜zを形成し、この絶縁膜の形成により、次工程の第4電極層形成時に、集電孔h2周辺部および内周面で、第4電極層s4と第1電極層kとが電気的に短絡するのを防ぐようにした点である。以上により、その他の工程の説明は省略する。
【0055】
【発明の効果】
この発明によれば前述のように、薄膜太陽電池の製造方法において、
(1)基板に前記接続孔および集電孔を形成する工程。
(2)基板に付着したゴミを除去する工程。
(3)基板の脱ガス処理を行う工程。
(4)基板の片側主面(表面側)全面ならびに前記接続孔および集電孔内周面に前記第1電極層を形成し、これと対向する裏面側の集電孔の周辺部および内周面を除いた裏面全面および接続孔内周面に前記第3電極層を形成する工程。
(5)前記第1電極層を形成した面上に、光電変換層を,さらに透明電極層(第2電極層)を順次形成し、これと対向する裏面側全面と接続孔および集電孔内周面に前記第4電極層を形成する工程。
(6)第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)からなる光電変換部を、パターニングにより複数個に分割する工程。
(7)第3電極層および第4電極層からなる接続電極層を、パタ−ニングにより複数個に分割する工程。
を含むこととし、かつ前記(1),(2)および(6),(7)の工程は大気中で行い、(3),(4),(5)の一連の工程は、真空中で行うこととしたので、光電変換層形成時における基板の脱ガス処理を不要としてプロセスの簡略化を図り、また、接続孔と集電孔との相対的位置ズレの発生防止を図ることができる。さらに接続孔や集電孔などの高品質の孔加工が可能となる。
さらに、前記基板に接続孔および集電孔を形成する工程(1)は、レーザ加工法により行い、レーザによる孔加工後、基板に付着したゴミを除去する工程(2)は、擦り洗浄および超音波洗浄からなる水洗により行うこととしたので、レーザ加工法における問題点を解消し、高品質の孔加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例に関わる薄膜太陽電池の製造工程の一例を示す図
【図2】 この発明の異なる実施例に関わる薄膜太陽電池の製造工程の一例を示す図
【図3】 従来の薄膜太陽電池の構成および製造方法の詳細の一例を示す
【図4】 従来の薄膜太陽電池の概略構成を示す斜視図
【図5】 従来の薄膜太陽電池の製造工程の概略を示す図
【符号の説明】
1:基板、a:光電変換層、h1:接続孔、h2:集電孔、k:第1電極層、p1:薄膜太陽電池分離ライン、p2接続電極分離ライン、:s3:第3電極層、s4:第4電極層、u:透明電極層(第2電極層)。
Claims (3)
- 可撓性樹脂材料からなるフィルム基板の表面に下電極層としての第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層としての第3電極層および第4電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層を互いに位置をずらして単位部分にパターニングしてなり、前記透明電極層形成領域外に形成した電気的直列接続用の接続孔および前記透明電極層形成領域内に形成した集電孔を介して,前記表面上の互いにパターニングされて隣合う単位光電変換部分を電気的に直列に接続してなる薄膜太陽電池の製造方法において、下記の(1)〜(7)の工程を含み、かつ下記(1),(2)および(6),(7)の工程は大気中で行い、(3),(4),(5)の一連の工程は、真空中で行う薄膜太陽電池の製造方法であって、
(1)基板に前記接続孔および集電孔を形成する工程。
(2)基板に付着したゴミを除去する工程。
(3)基板の脱ガス処理を行う工程。
(4)基板の片側主面(表面側)全面ならびに前記接続孔および集電孔内周面に前記第1電極層を形成し、これと対向する裏面側の集電孔の周辺部および内周面を除いた裏面全面および接続孔内周面に前記第3電極層を形成する工程。
(5)前記第1電極層を形成した面上に、光電変換層を,さらに透明電極層(第2電極層)を順次形成し、これと対向する裏面側全面と接続孔および集電孔内周面に前記第4電極層を形成する工程。
(6)第1電極層,光電変換層,透明電極層(第2電極層)からなる光電変換部を、パターニングにより複数個に分割する工程。
(7)第3電極層および第4電極層からなる接続電極層を、パタ−ニングにより複数個に分割する工程。
さらに、前記基板に接続孔および集電孔を形成する工程(1)は、レーザ加工法により行い、レーザによる孔加工後、基板に付着したゴミを除去する工程(2)は、擦り洗浄および超音波洗浄からなる水洗により行うことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法において、第(4)の工程を下記の工程(4)aに代えたことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
(4)a基板の片側主面(表面側)全面ならびに前記接続孔および集電孔内周面に前記第1電極層を形成し、これと対向する裏面側の集電孔の周辺部および内周面に電気絶縁性材料からなる絶縁膜を形成し、さらにこの絶縁膜形成部を除いた裏面および接続孔内周面に前記第3電極層を形成する工程。 - 請求項1または2に記載の製造方法において、前記工程(6)および(7)のパタ−ニングにより複数個に分割する工程は、基板の所定位置に砥粒をノズルから噴射することによりパターニング加工する粉体噴射法により行うことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
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