JP4085580B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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JP4085580B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データの濃度から地肌レベルを検出して、これを除去する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やファクシミリ等の画像記録装置では、通常の白地の用紙を用いた原稿だけでなく、再生紙や色紙等の様々な用紙を用いた原稿が読み取り対象となっている。このように通常の用紙以外の用紙を用いた原稿では、地肌の濃度が高いため、CCDセンサ等の原稿読み取り手段で読み取った画像データをそのまま出力すると、出力画像に原稿の地肌が出て汚いものとなってしまう。
【0003】
そこで、このような地肌が一定の濃度を持った原稿に対しては、従来より原稿の中央付近等の一定領域を読み取り、その平均的な光量を検出して現像バイアス調整を行う処理が行われている。
【0004】
また、特開平4−37259号公報では、画像データの領域毎に地肌除去の閾値を設定でき、また、複数の地肌濃度が混在する原稿でそれぞれの地肌の濃度領域を検出し、閾値の切り替えを行う技術が開示されている。
【0005】
さらに、特開平4−37258号公報では、複数の地肌濃度が混在する貼り合わせ原稿でも正確にそれぞれの地肌濃度の領域を検出し、最適な地肌除去の閾値を決定できる技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、貼り合わせ原稿では、画像の境界部分で地肌レベルが急激に変化することになるが、貼り合わせ原稿でなくても地肌レベルの変化が連続的に続くような地肌にムラの有る原稿も同じように地肌レベルの変化として表れるため、地肌ムラが有る原稿に対して特開平4−37259号公報の技術ような地肌レベルの切り替えを行うと、地肌除去後の画像の地肌レベルの切り替え部分にムラが残るという問題が生じる。
【0007】
また、貼り合わせ原稿と地肌ムラが有る原稿とでは両方とも地肌レベルに変化があるため判別が難しく、貼り合わせ原稿に地肌ムラの有る画像が含まれている場合で、ムラの有る画像には切り替え処理を施さない等の処理が困難である。
【0008】
さらに、貼り合わせ原稿に写真画像などの地肌レベルが一定していない画像が含まれている場合は、地肌ムラの有る画像との判別が難しく、写真画像には地肌除去処理を施さないようにすることができない。
【0009】
また、地肌ムラの有る原稿の場合、算出された地肌レベルと隣接する画素あるいは領域の地肌レベルと差が生じ、地肌除去後の画像にムラとして残る場合がある。しかも、貼り合わせ原稿は様々な地肌レベルの画像が含まれていることがあり、地肌レベルが高くなるほど、文字/線等の必要な濃度との差が接近してローコントラストになるため、地肌レベルが高い画像ほど、必要な濃度値も地肌除去処理によって消えてしまうか、濃度が薄くなるという問題が生じる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明の画像処理装置は、画像データを入力する画像入力手段と、画像入力手段で入力した画像データの画素ごとの地肌レベルを検出する地肌レベル検出手段と、ユーザの指定、もしくは地肌レベル検出手段で検出した画素ごとの地肌レベルの変化の度合いに応じて画像データが貼り合わせ原稿であるか否かを判断する貼り合わせ原稿判断手段と、貼り合わせ原稿判断手段により貼り合わせ原稿であると判断された場合、地肌レベル検出手段により検出した画素ごとの地肌レベルを、当該画素が含まれる所定領域の四隅の地肌レベルの差を当該画素と四隅との距離によって配分した値に調整する地肌レベル調整手段と、地肌レベル調整手段によって調整された地肌レベルで前記画像データの地肌を除去する地肌除去手段とを備えている。
【0011】
このような本発明では、貼り合わせ原稿判断手段によって、画像データが貼り合わせ原稿であるか否かを検出しており、貼り合わせ原稿の場合には地肌レベル調整手段によって適切な地肌レベルを調整しているため、原稿に対してより適切な地肌除去を行うことができるようになる。また、地肌レベルの分布に応じて地肌レベルを調整するため、地肌にムラの有る原稿でも適切な地肌除去を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、本実施形態の画像処理装置における構成を説明するブロック図である。すなわち、本実施形態の画像処理装置は、画像入力部1、ユーザ入力部2、地肌レベル検出部3、貼り合わせ原稿判断部4、地肌レベル調整部5、地肌除去処理部6および画像出力部7を備えている。
【0013】
画像入力部1は、スキャナやホスト等からの画像データを受け取る機能を有し、内部にメモリを持つなど、後段の地肌レベル検出部3および地肌除去処理部6のリアルタイムに受け取るタイミングを吸収する機能も有する。
【0014】
ユーザ入力部2は、図2に示すようなユーザインタフェースによって、入力される画像データが貼り合せ原稿であるかの判断を自動で行うか、手動で行うかをユーザが入力して指定する手段をもち、かつ手動の設定がされた場合は貼り合せ原稿であるか、貼り合せ原稿でないかを指定する手段を有する。
【0015】
ここで、貼り合わせ原稿とは、図3(a)に示すような画像が貼り合わさった原稿を意味し、通常原稿とは、地肌レベルにムラ(ばらつき)の有る画像を含む1種類の単一な画像で構成されている原稿を意味する。また、図面および例に示している濃度値は便宜上0〜255の値とし、0に近いほど濃度が淡く、255に近いほど濃度が濃いものとする。
【0016】
地肌レベル検出部3は、画像入力部1から画像データを受け取り、地肌レベルを算出する。地肌レベルの算出は、図4に示すように、常に注目画素の周辺画素から算出するウィンドウ処理、または図5に示すように、固定された領域内で処理するブロック処理によって、中間値、平均値、ヒストグラム等の指標を用いて求めるものとする。また、後述する地肌レベル調整部5は、地肌レベル検出部3に依存しないため、例えば、任意の幅の1ラインで地肌レベルを決定する方法や、特開平4−37258号公報に記載されるような領域を重ね合わせて設定する方法も適用可能である。
【0017】
同様に、地肌レベル調整部5は、地肌レベルを決定する指標に依存しない。例えば、平均値、中間値の場合は任意範囲内の画素の平均値、あるいは中間値を算出し、ヒストグラムにおける算出の場合は、地肌とそれ以外の必要な情報を分離する方法(図6(a)参照)や、単純に頻度が最大になる濃度値を地肌レベルとして検知する方法(図6(b)参照)等がある。いずれかの方法で算出された地肌レベルは一定値の加減により調整させる。
【0018】
貼り合わせ原稿判断部4は、ユーザ入力部2によってユーザから指定された方法で画像データを貼り合わせ原稿として扱うかどうかを判断し決定する機能をもつ。
【0019】
すなわち、ユーザ入力部2によって「手動」が選択された場合、ユーザ入力部2の「貼り合わせ原稿」もしくは「通常原稿」のうち選択された方で決定する。また、ユーザ入力部2によって「自動」が選択された場合、地肌レベル検出部3で得られる算出結果から自動的に貼り合わせ原稿か通常原稿を判断し決定する。
【0020】
自動で判断する場合は、注目画素に隣接する画素、ウィンドウおよびブロックのうち一つか、複数の条件により地肌レベルの変化が大きい場所を探し、変化の大きい場所が原稿全体と比較して、割合が多いときに貼り合わせ原稿であると判断する。一方、少ないときは通常原稿と判断する。
【0021】
変化を判断する手段は、以下の例が考えられる。
a…比較した対象の差異、変化率、分散値が大きい。
b…比較した対象が任意の基準値をまたがっている。
【0022】
例として、ウィンドウ処理を用いて平均値による地肌レベル検出を行い、貼り合わせ原稿であるか否かの判断を行う場合を説明する。図7(a)は、図4のようにウィンドウ処理によって平均値を求めた値が各画素に示してある。ここで、平均値を算出したウィンドウか、あるいは新たに大きさを規定したウィンドウの範囲内において、最大値と最小値との差や分散値の大きさ、隣り合う画素の変化率等を計算し、変化の大きいウィンドウの数と変化の少ないウィンドウの数とを比較し、変化の大きいウィンドウの数の割合が所定の基準以上の場合に、貼り合わせ原稿であると判断する。なお、範囲の規定はブロック処理でも可能である。
【0023】
地肌レベル調整部5は、貼り合わせ原稿判断部4によって判断された原稿種類によって原稿種類に応じた地肌レベルを調整する機能を持つ。
【0024】
ここで、貼り合わせ原稿判断部4が通常原稿であると判断した場合の地肌レベル調整部5での処理を説明する。すなわち、通常原稿は、地肌レベルの変化がそれほど大きくないが、地肌レベルにムラのある原稿(図8(a)参照)や、写真等の画像を含む場合は地肌レベルの変化が大きい箇所を含んでいることになる。このような場合に、地肌レベル検出部3で検出した地肌レベルをそのまま利用して地肌除去を行うと、処理後の画像は変化の大きい画素や任意領域であるウィンドウ、あるいはブロックの形状が残り、例えば図8(b)に示すような画像となる。
【0025】
そこで、通常原稿の場合には、地肌レベルのムラを少なくするために、検出した地肌レベルが緩やかに変化するよう地肌レベルの調整を行う。これにより、図8(c)に示すような地肌処理後の画像を得ることができる。以下に、具体的な地肌レベルの調整方法を説明する。
【0026】
(1)ウィンドウ処理の地肌レベル調整
地肌レベル調整部5は、地肌レベルの変化の大きいウィンドウが検知されると、ウィンドウ内の四隅の地肌レベルから以下の▲1▼式によってウィンドウ内各画素に対する地肌レベルを調整する。
【0027】
四隅の地肌レベル、左上、右上、左下、右下を各々lu、ru、ld、rdとし、左上画素からの右方向距離w、下方向距離h、ウィンドウの横方向の大きさsa、縦方向大きさlaとすると、
調整地肌レベルTh=(ru-lu)×w/sa+(rd+lu-ru-ld)×w×h/(sa×la)+(ld-lu)×h/la+lu …▲1▼
で計算できる。図7(b)は枠で囲った部分のみ上記式▲1▼を適用して調整した結果である。
【0028】
さらに、順次、変化の大きいウィンドウについて同じ▲1▼式を用いて調整できる。また変化の大きいウィンドウだけなく全領域について適用しても良い。
【0029】
図9は、左上画素からの横、縦、対角線方向のいずれかの距離に対する検出時と調整時の地肌レベル濃度を表したものである。上記▲1▼式を用いることで、図9(a)のように地肌レベルが徐々に連続的に変化する線形に調整される。また、他の計算式を用いることで、図9(b)に示すように曲線等でも調整可能である。
【0030】
(2)ブロック処理の地肌レベル調整
図10(a)は、ブロック処理による地肌レベル検出をしたときのブロック毎の地肌レベル値を示したものである。地肌レベル調整部は隣接するブロックの変化の大きいブロックを例えば左上ブロックを検知し、各々のブロックを図10(b)のような記号で表す。そして、左上画素からの右方向距離w、下方向距離h、ウィンドウの横方向の大きさsa、縦方向大きさlaとして、各画素の調整閾値を上記▲1▼式で計算する。
【0031】
ただし、▲1▼式は、図9(a)のように線形計算式で示した一例であり、図9(b)に示すように曲線等を用いた計算でも調整可能である。また、変化の大きいブロックだけでなく全領域に適用しても良い。
【0032】
一方、貼り合わせ原稿判断部4において、画像データが貼り合わせ原稿であると判断した場合、地肌レベル調整部5は、以下のような地肌レベル調整を行う。
【0033】
すなわち、図3(a)に示すような貼り合わせ原稿は、変化の大きい画素、任意領域が存在する。このような貼り合わせ原稿について通常原稿と同じ地肌レベルを緩やかに変化させる調整を行うと、図11(a)に示すように、変化の大きい貼り合わせ画像の境界面で実際に検出された地肌レベルよりも低く調整されてしまう部分では画像に縁が残り、反対に高く調整されると縁の画像が消えてしまうことになる。
【0034】
そこで、貼り合わせ原稿の場合には、図11(b)、(c)で示すように、検知した地肌レベルの変化に準じて急激に変化するよう地肌レベルを調整する。これにより、例えば、図3(a)に示すような各画層の地肌レベルが調整され、図3(b)、(c)に示すような画像を得ることができる。
【0035】
次に、貼り合わせ原稿判断部4で、貼り合わせ原稿であると判断した場合で、その貼り合わせた画像の地肌レベル濃度にムラが有る場合について説明する。
【0036】
地肌レベル調整部5は、貼り合わせ原稿の場合、先に説明したように地肌レベルの変化の大きさに準じて急激に変化するよう地肌レベルを調整する機能をもつが、貼り合わせ原稿の画像の一部または、全てに図12(a)に示すような地肌レベル濃度が均一でない、ムラのある画像が含まれる場合がある。しかし、地肌にムラがある画像も貼り合わせ画像の周りである縁部分の場合も、同じように地肌レベルに変化があることかから、これらを識別することは難しい。
【0037】
そこで、以下の方法により、地肌レベルの変化の度合いよって貼り合わせ部分であるか、地肌レベル濃度が均一、あるいはムラのある部分であるかを判断する。
【0038】
a.注目画素と隣接する画素、ウィンドウおよびブロックにおいて、差異あるいは変化率が基準β以上である場合、貼り合わせ画像であると判断する。一方、基準β未満の場合、ムラ画像部分であと判断する。
差異、変化率≧β:貼り合わせ画像部分
差異、変化率<β:均一かムラ画像部分
【0039】
b.基準濃度γを規定し、隣接する画素、ウィンドウおよびブロックにおいて、γの上下で貼り合わせ画像部分およびムラ画像部分を判断する。例としてγを画像がないと想定する白基準値に指定すると、余白と画像との境界部分が検知できる。
(隣接するウィンドウの例)
|前のウィンドウ−後のウィンドウ|≧γ:貼り合わせ画像部分
それ以外:均一かムラ画像部分
【0040】
上記a、bいずれかの判断基準によって、貼り合わせ画像部分および均一/ムラ画像部分を判断し、地肌レベルを調整する。例えば、図13(a)は枠内に貼り合わせ画像と地肌にムラのある画像が含まれていて、処理を施すと図13(b)に示すような地肌レベルに調整される。
【0041】
地肌除去処理部6は、地肌レベル調整部5にて調整された各画素、任意領域単位での地肌レベルを参照し、画像入力部1で入力した画像データに地肌除去処理を施し、画像出力部7へ受け渡す。なお、地肌除去処理6は、例えばある画素の地肌レベルをTh(入力画素)とすると
入力画像≧Th(入力画像):そのまま出力する。
入力画像<Th(入力画像):地肌として除去する。
ただし地肌として除去する手段は、入力画像とTh(入力画像)との関係式から出力濃度が求まることとする。
【0042】
このような処理によって、貼り合わせ原稿に含まれる、貼り合わせ画像の境目と地肌にムラの有る画像とを同時に判別し、それぞれに適した地肌レベルの調整が自動でできるため、ユーザが各画像への処理の指定をすることなく、貼り合わせ原稿内の全画像部分に適切な地肌レベル調整ができ、同時に地肌除去を行うことが可能となる。
【0043】
次に、貼り合わせ原稿判断部4において、画像データが貼り合わせ原稿であると判断された場合において、地肌レベル調整部5で地肌除去の対象部分であるか対象部分でないかを判断する方法について説明する。
【0044】
図14(a)に示す原稿は、地肌にムラがある図面画像(貼り合わせ画像(1))と写真画像(貼り合わせ画像(2))とを有する原稿で構成されている。貼り合わせ原稿判断部4で貼り合わせ原稿であると判断されたとき、図面画像部分は地肌除去を施し、写真部分は地肌除去をしないほうが良い場合がある。
【0045】
つまり、貼り合わせ原稿判断部4では、写真部分の画像のように隣接する画素、任意領域において変化の大きい個所は貼り合わせ画像と判断してしまう可能性があり、写真画像内に幾つかの貼り合わせ画像が存在すると判断してしまう。そこで、写真画像部分は貼り合わせ画像ではないと判断するため以下に示す処理を行う。
【0046】
まず、画像がない部分の濃度を決定する。画像のない部分の濃度を決定する方法としては、例えば以下の3つがある。
i)原稿全体の端の部分には画像が存在しない場合が多く、原稿の端の数点をとり平均値や多数決等をとる。
ii)原稿の先端の数点を取り平均値や多数決をとる。
iii)原稿全体の最小値をとる。
i)〜iii)等により得られた値に一定値を加算、乗算等の演算することによって画像がない部分の濃度を決定する。
【0047】
次に、画像の有る部分を検知し、貼り合わせ画像(1)の横幅width1、縦幅hight1と貼り合わせ原稿(2)の横幅width2、縦幅hight2を算出する。
【0048】
ここで、ある基準巾δを規定し以下の判断を行う。
幅≧δ:地肌除去の対象である画像
幅<δ:地肌除去の対象でない画像
【0049】
演算はwidth1、hight1、width2、hight2のいずれか複数個とって比較する。なお、幅で判断する他に画像の対角線や面積による判断も可能である。また、δはユーザに入力させても良いし、入力される原稿の幅、面積に対する割合で決定しても良い。
【0050】
さらに、地肌レベル調整部5では、地肌除去の対象でない画像であると判断された画像部分を以下に示すいずれかの手段で地肌レベルを決定する。
a)上記i)〜iii)で示した画像がない部分とした地肌レベル。
b)地肌除去の対象でないと判断された画像の周辺の地肌レベル。例えば、数点サンプリングし平均値を利用する。
c)予め、ユーザ入力部2で入力されるか、原稿全体の平均値等から推測された地肌除去の対象でない画像の場合の地肌レベル。
d)予め定めた一定地肌レベル。
e)地肌除去を行わないか、地肌レベル0とする。
一方、地肌除去対象の画像については、上記説明した地肌レベル調整を行い、地肌除去を実行する。
【0051】
このような処理により、貼り合わせ原稿内の写真のような地肌レベルの検知を行うと一定していない画像に対して、自動およびユーザ指定により地肌除去をしないようにすることができるため、地肌除去が必要な画像が混在していても同時に処理することが可能となる。
【0052】
また、地肌レベルが一定していない画像に対して、予め決められた地肌レベルか、原稿の任意の場所を地肌レベルに決定し除去できるため、地肌が有る用紙に地肌レベルが一定していない画像を印刷したような貼り合わせ原稿の場合でも、本来用紙がもっていた地肌だけを除去することが可能となる(図14(b)参照)。
【0053】
ここで、貼り合わせ原稿の場合は、各貼り合わせ画像の地肌レベルが一定でなく、図3(a)に示すように、濃い場合や薄い場合がある。さらに、画像入力部1が受け取る画像データは値の上限が存在するため、濃度が濃くなる程、ローコントラスト、すなわち地肌レベルと文字/線等の残すべく情報との濃度値が接近する場合が多い。
【0054】
このため、先に説明した地肌レベル調整部5での調整後の地肌レベルからさらに地肌レベル濃度が濃い場合の調整を行い、地肌レベルの濃い場合に必要な情報まで削除しないようにする。
【0055】
15(a)は、ローコントラスト調整を行わない場合の入力地肌レベルに対する出力地肌レベルで、これに基づき地肌除去処理を行った結果は図3(b)のように、地肌レベル濃度が高い画像の部分は文字/線等の必要な濃度が薄くなる可能性がある。
【0056】
そこで図15(b)、(c)に示すように、入力地肌レベル濃度が高く(濃く)なるほど、出力地肌レベルを低く(薄く)調整することにより、地肌レベル濃度が高くローコントラストであっても、文字/線が薄くならない(図3(c)参照)。なお、図15(b)、(c)に示す入出力地肌レベルの関係は一例であり、直線や曲線等による組み合わせであっても適用可能である。
【0057】
このような処理により、貼り合わせ原稿のような、様々な地肌レベルが混在していても原稿全体に対して、一様に地肌除去を施すことが可能となる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば次のような効果がある。すなわち、貼り合わせ原稿の場合と地肌にムラの有る原稿の場合とで適切な地肌調整を行うことができ、それぞれの原稿に対してより適切な地肌除去を行うことが可能となる。また、貼り合わせ原稿の貼り合わせ画像の境界部分は、地肌レベルを急激に変化あるいは、切り替えるように調整することによって、貼り合わせ画像の境界部分周辺の地肌除去を適切に行うことが可能となる。さらに、地肌にムラの有る原稿であっても、急激に変化しないように地肌レベルを連続的に変化させることによって、地肌除去後の画像にムラをなくし、より自然な地肌除去処理を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の画像処理装置を説明するブロック図である。
【図2】 ユーザインタフェースを説明する図である。
【図3】 貼り合わせ画像を説明する図である。
【図4】 ウィンドウ処理を説明する図である。
【図5】 ブロック処理を説明する図である。
【図6】 地肌レベルの算出を説明する図である。
【図7】 ウィンドウ処理による地肌レベル算出例を示す図である。
【図8】 地肌レベルにムラのある原稿を説明する図である。
【図9】 地肌レベルを滑らかに調整する例を説明する図である。
【図10】 ブロック処理による地肌レベルの調整を説明する図である。
【図11】 変化の大きい場合の地肌レベル調整を説明する図である。
【図12】 地肌レベルのムラのある貼り合わせ原稿を説明する図である。
【図13】 地肌レベルにムラのある画像を含む場合の処理を説明する図である。
【図14】 写真画像を含む貼り合わせ原稿を説明する図である。
【図15】 ローコントラスト調整を説明する図である。
【符号の説明】
1…画像入力部、2…ユーザ入力部、3…地肌レベル検出部、4…貼り合わせ原稿判断部、5…地肌レベル調整部、6…地肌除去処理部、7…画像出力部

Claims (10)

  1. 画像データを入力する画像入力手段と、
    前記画像入力手段で入力した画像データの画素ごとの地肌レベルを検出する地肌レベル検出手段と、
    前記地肌レベル検出手段で検出した画素ごとの地肌レベルの変化の度合いに応じて前記画像データが貼り合わせ原稿であるか否かを判断する貼り合わせ原稿判断手段と、
    前記貼り合わせ原稿判断手段により貼り合わせ原稿であると判断された場合、前記地肌レベル検出手段により検出した画素ごとの地肌レベルの変化に合わせて地肌レベルを調整し、貼り合わせ原稿でないと判断された場合、前記地肌レベル検出手段により検出した画素ごとの地肌レベルを、当該画素が含まれる所定領域の四隅の地肌レベルの差を当該画素と四隅との距離によって配分した値に調整する地肌レベル調整手段と、
    前記地肌レベル調整手段によって調整された地肌レベルで前記画像データの地肌を除去する地肌除去手段と
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. ユーザによる貼り合わせ原稿であるか否かの指定、もしくは前記貼り合わせ原稿判断手段による自動判別の指定を受け付けるユーザ入力手段を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記貼り合わせ原稿判断手段は、前記地肌レベル検出手段で検出された地肌レベルを参照し、注目画素に対する隣接画素もしくは注目画素を含む任意領域内での地肌レベルの変化の度合いが所定の基準値より大きくなる場所を算出し、その場所の数に基づいて貼り合わせ原稿か否かを判断する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  4. 前記地肌レベル調整手段は、前記貼り合わせ原稿判断手段によって画像データが貼り合わせ原稿であると判断された場合、前記地肌レベル検出手段で検出した地肌レベルの変化に合わせて地肌レベルを調整する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  5. 前記地肌レベル調整手段は、地肌レベル検出手段で検出した地肌レベルにばらつきがある場合には、地肌レベルが連続的に徐々に変化するよう調整する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  6. 前記地肌レベル調整手段は、貼り合わせ原稿内に、貼り合わせ画像と地肌レベルのばらつきがある画像とを含む場合、貼り合わせ画像の境目部分であるか、地肌レベルのばらつきがある場合かを判別する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  7. 前記地肌レベル調整手段は、貼り合わせ原稿判断手段によって画像データが貼り合わせ原稿であると判断された場合、前記画像データの中の貼り合わせ画像の大きさによって当該貼り合わせ画像の地肌レベルの調整を行うか否かを決定する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  8. 前記地肌レベル調整手段は、前記地肌レベルの調整を行うか否かの決定を、前記画像データの中の貼り合わせ画像の大きさと、予め設定された貼り合わせ画像の大きさ、もしくはユーザの指定による貼り合わせ画像の大きさとの比較に基づき行う
    ことを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
  9. 前記地肌レベル調整手段は、地肌レベルの調整を行わないと判断した貼り合わせ画像について、予め設定された地肌レベル、地肌除去の不要な画像の幾つかの周辺画素から算出される地肌レベル、画像がないと想定される任意の場所から任意数を選択してそこから算出される地肌レベルのうちいずれかの地肌レベルを選択し、その選択した地肌レベルを含む地肌レベルを用いて画像データの地肌レベルの調整を行う
    ことを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
  10. 前記地肌レベル調整手段は、前記地肌レベル検出手段で検出した地肌レベルが所定の値を超えている場合、その地肌レベルを下げるよう調整を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
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