JP4085538B2 - 検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定のデバイスパターンが形成された半導体ウェハ等の検査に用いられる検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスは、半導体ウェハ上に微細なデバイスパターンを形成することにより作製される。このようなデバイスパターンを形成するときに、半導体ウェハ上に塵埃等が付着したり、傷が付いたりして、欠陥が生じることがある。このような欠陥が生じた半導体デバイスは、不良デバイスとなり、歩留まりを低下させる。
【0003】
したがって、製造ラインの歩留まりを高い水準で安定させるためには、塵埃や傷等によって発生する欠陥を早期に発見し、その原因を突き止め、製造設備や製造プロセスに対して有効な対策を講じることが好ましい。
【0004】
そこで、欠陥が発見された場合には、検査装置を用いて、その欠陥が何であるかを調べて分類分けを行い、その欠陥の原因となった設備やプロセスを特定するようにしている。ここで、欠陥が何であるかを調べる検査装置は、いわば光学顕微鏡のようなものであり、欠陥を拡大して見ることで、その欠陥が何であるかを識別するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような検査を行う際に半導体ウェハ上に塵埃等が付着すると、適切な検査を行うことができない。したがって、半導体ウェハの検査は、クリーンな環境の中で行う必要がある。
【0006】
半導体ウェハの検査を行う環境をクリーンに保つ方法としては、検査装置の本体部分をクリーンボックスで覆い、このクリーンボックスの内部を高いクリーン度に保つ方法が有効である。この場合、検査対象である半導体ウェハを密閉式の容器に入れて搬送し、この容器を介して半導体ウェハをクリーンボックス内に移送するようにすれば、検査装置が設置される環境全体を高いクリーン度に保たなくとも、半導体ウェハ上に塵埃等が付着することを有効に抑制して、半導体ウェハの検査を適切に行うことが可能となる。
【0007】
ところで、検査対象である半導体ウェハのデバイスパターンは、半導体デバイスの高集積化に伴って、ますます微細化しており、近年では線幅が0.18μm以下にまでなってきている。このような微細なパターンの検査を行う上では、従来あまり問題とされていなかったような非常に微細な塵埃等も適切な検査を阻害する要因となる。したがって、このような微細なパターンの検査を適切に行うために、検査を行う環境を更に高いクリーン度に保ち、検査の過程で非常に微細な塵埃等が生じても、これが半導体ウェハ上に付着することを有効に防止する必要が生じてきている。
【0008】
本発明は、以上のような実情に鑑みて創案されたものであり、高いクリーン環境を実現し、微細なパターンの検査を適切に行う検査装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、クリーンボックス内に清浄な空気を供給し、このクリーンボックス内に供給された清浄な空気の気流を適切にコントロールすることによって、微細な塵埃等が被検査物に付着することを有効に防止して、微細なパターンの検査を適切に行うことができることを見出すに至った。
【0010】
本発明に係る検査装置は、以上のような知見に基づいて創案されたものであって、被検査物の検査を行う装置本体部と、この装置本体部を内部に収容するクリーンボックスと、このクリーンボックスの内部に清浄なエアを供給するエア供給部とを備え、装置本体部には、被検査物が設置される検査用ステージが設けられていると共に、クリーンボックスには、検査用ステージの下端部と略等しい高さ位置に、装置本体側に向かって張り出す所定の開口率のパンチングメタルよりなる張出部が設けられ、この検査用ステージの側方に位置するクリーンボックスの側面部の少なくとも一部に、空気供給源からクリーンボックスの内部に供給された清浄な空気を、検査用ステージ上を通過させて、クリーンボックスの外部に排出させるためのパンチングメタルがはめ込まれた開口領域が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
この検査装置によれば、装置本体部を収容するクリーンボックスの内部は、空気供給部からの清浄な空気が供給されることにより、クリーンな環境に保たれる。そして、この検査装置においては、装置本体部に設けられた検査用ステージの側方に位置するクリーンボックスの側面部の少なくとも一部にパンチングメタルがはめ込まれた開口領域が設けられ、空気供給部からクリーンボックスの内部に供給された清浄な空気を、被検査物が設置された検査用ステージ上を通過させて、クリーンボックスの外部に排出させるようになされているので、クリーンボックス内で発生した塵埃等が検査テーブル上に設置された被検査物に付着することを有効に防止して、装置本体による被検査物の検査を適切に行うことができる。
【0012】
また、この検査装置においては、クリーンボックスの検査用ステージの下端部と略等しい高さ位置に、装置本体側に向かって張り出す所定の開口率のパンチングメタルよりなる張出部が設けられている。このように、クリーンボックスの検査用ステージの下端部と略等しい高さ位置に所定の開口率のパンチングメタルよりなる張出部を設けておけば、空気供給部からクリーンボックス内に供給された清浄な空気を検査用ステージ上に適切に導くことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明を適用した検査装置の外観を図1に示す。この検査装置1は、所定のデバイスパターンが形成された半導体ウェハの検査を行うためのものであり、半導体ウェハに形成されたデバイスパターンに欠陥が発見された場合に、その欠陥が何であるかを調べて分類分けを行うものである。
【0015】
図1に示すように、この検査装置1は、半導体ウェハの検査を行う環境をクリーンに保つためのクリーンユニット2を備えている。このクリーンユニット2は、ステンレス鋼板等が折り曲げ加工され、中空の箱状に形成されてなるクリーンボックス3と、このクリーンボックス3の上部に一体に設けられたクリーンエアユニット4とを備えている。
【0016】
クリーンボックス3には、所定の箇所に窓部3aが設けられており、検査者がこの窓部3aからクリーンボックス3の内部を視認できるようになされている。
【0017】
クリーンエアユニット4は、クリーンボックス3内に清浄な空気を供給するためのものであり、クリーンボックス3の上部の異なる位置にそれぞれ配設された2つの送風機5a,5bと、これら送風機5a,5bとクリーンボックス3との間に配設された図示しないエアフィルタとを備えている。エアフィルタは、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)やULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)等の高性能エアフィルタである。そして、このクリーンエアユニット4は、送風機5a,5bにより送風される空気中の塵埃等を高性能エアフィルタによって除去し、清浄な空気として、クリーンボックス3の内部に供給するようになされている。
【0018】
本発明を適用した検査装置1では、このクリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、2つの送風機5a,5b毎に個別に制御することによって、クリーンボックス3内の気流を適切にコントロールすることができるようになされているが、これについては詳細を後述する。なお、ここでは、クリーンエアユニット4が2つの送風機5a,5bを備える例を説明するが、送風機の数はクリーンボックス3の大きさや形状に合わせて決定すればよく、3つ以上の送風機を備える構成とされていてもよい。この場合には、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量が、各送風機毎に個別に制御されることになる。
【0019】
クリーンボックス3は、支持脚6によって床板上に支持されており、その下端部が開放された構造となっている。そして、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給された空気は、主にこのクリーンボックス3の下端部からクリーンボックス3の外部に排出されるようになされている。また、クリーンボックス3の側面部には、詳細を後述するが、所定の箇所に開口領域が設けられており、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給された空気が、このクリーンボックス3の側面部に設けられた開口領域からも外部に排出されるようになされている。
【0020】
クリーンユニット2は、以上のように、クリーンボックス3内にクリーンエアユニット4からの清浄な空気を常時供給し、クリーンボックス3内を気流となって循環した空気をクリーンボックス3の外部に排出させる。これによって、クリーンボックス3内にて発生した塵埃等をこの空気と共にクリーンボックス3の外部に排出させ、クリーンボックス3の内部環境を、例えばクラス1程度の非常に高いクリーン度に保つようにしている。
【0021】
また、クリーンボックス3は、外部から塵埃等を含んだ空気が内部に進入する事を防止するために、内部の気圧が常に陽圧に保たれている。
【0022】
そして、この検査装置1は、図2に示すように、クリーンボックス3の内部に装置本体10が収容され、クリーンボックス3の中で、この装置本体10によって、所定のデバイスパターンが形成された半導体ウェハの検査が行われるようになされている。ここで、被検査物となる半導体ウェハは、所定の密閉式の容器7に入れて搬送され、この容器7を介して、クリーンボックス3の内部に移送される。なお、図2は、クリーンボックス3の内部を図1中矢印A1方向から見た様子を示している。
【0023】
容器7は、底部7aと、この底部7aに固定されたカセット7bと、底部7aに着脱可能に係合されてカセット7bを覆うカバー7cとを有している。被検査物となる半導体ウェハは、複数枚が所定間隔を存して重ね合わされるようにカセット7bに装着され、底部7aとカバー7cとで密閉される。
【0024】
そして、半導体ウェハの検査を行う際は、先ず、半導体ウェハが入れられた容器7がクリーンボックス3の所定の位置に設けられた容器設置スペース8に設置される。この容器設置スペース8には、後述するエレベータ22の昇降台22a上面がクリーンボックス3の外部に臨むように配されており、容器7は、その底部7aがこのエレベータ22の昇降台22a上に位置するように、容器設置スペース8に設置される。
【0025】
容器7が容器設置スペース8に設置されると、容器7の底部7aとカバー7cとの係合が解除される。そして、エレベータ22の昇降台22aが図2中矢印B方向に下降操作されることによって、容器7の底部7a及びカセット7bが、カバー7cから分離してクリーンボックス3の内部に移動する。これにより、被検査物である半導体ウェハが、外気に晒されることなくクリーンボックス3の内部に移送されることになる。
【0026】
半導体ウェハがクリーンボックス3内に移送されると、後述する搬送用ロボット23により、検査対象の半導体ウェハがカセット7bから取り出されて検査が行われる。
【0027】
検査装置1は、以上のように、高いクリーン度に保たれたクリーンボックス3の内部で半導体ウェハの検査を行うようにしているので、検査時に半導体ウェハに塵埃等が付着して適切な検査が阻害されるといった不都合を有効に回避することができる。しかも、被検査物となる半導体ウェハを密閉式の容器7に入れて搬送し、この容器7を介して半導体ウェハをクリーンボックス3の内部に移送するようにしているので、クリーンボックス3の内部と容器7の内部だけを十分なクリーン度に保っておけば、検査装置1が設置される環境全体のクリーン度を高めなくても、半導体ウェハへの塵埃等の付着を有効に防止することができる。
【0028】
このように必要な場所のクリーン度だけを局所的に高めるようにすることで、高いクリーン度を実現しつつ、且つ、クリーン環境を実現するためのコストを大幅に抑えることができる。なお、密閉式の容器7とクリーンボックス3との機械的なインターフェースとしては、いわゆるSMIF(standard mechanical interface)が好適であり、その場合、密閉式の容器7としては、いわゆるSMIF−PODが用いられる。
【0029】
また、この検査装置1は、図1に示すように、装置本体10を操作するためのコンピュータ等が配される外部ユニット50を備えている。この外部ユニット50は、クリーンボックス3の外部に設置されている。この外部ユニット50には、半導体ウェハを撮像した画像等を表示するための表示装置51や、検査時の各種条件等を表示するための表示装置52、装置本体10への指示入力等を行うための入力装置53等も配されている。そして、半導体ウェハの検査を行う検査者は、外部ユニット50に配された表示装置51,52を見ながら、外部ユニット50に配された入力装置53から必要な指示を入力して半導体ウェハの検査を行う。
【0030】
次に、クリーンボックス3の内部に配設された装置本体10について、詳細に説明する。
【0031】
装置本体10は、図2に示すように、支持台11を備えている。この支持台11は、装置本体10の各機構を支持するための台である。この支持台11の底部には支持脚12が取り付けられており、支持台11及び支持台11上に設けられた各機構は、この支持脚12によってクリーンボックス3とは独立に床板上に支持される構造となっている。
【0032】
支持台11上には、除振台13を介して、被検査物となる半導体ウェハが載置される検査用ステージ14が設けられている。
【0033】
除振台13は、床からの振動や、検査用ステージ14を移動操作した際に生じる振動等を抑制するためのものであり、検査用ステージ14が設置される石定盤13aと、この石定盤13aを支える複数の可動脚部13bとを備えている。そして、この除振台13は、振動が生じたときにその振動を検知して可動脚部13bを駆動し、石定盤13a及びこの石定盤13a上に設置された検査用ステージ14の振動を速やかに打ち消すようにしている。
【0034】
この検査装置1では、微細なデバイスパターンが形成された半導体ウェハの検査を行うため、僅かな振動でも検査の障害となる場合がある。特に、この検査装置1では、紫外光を用いて高分解能での検査を行うため、振動の影響が大きく現れやすい。そこで、この検査装置1では、除振台13上に検査用ステージ14を設置することによって、検査用ステージ14に僅かな振動が生じた場合であっても、この振動を速やかに打ち消し、振動の影響を抑えて、紫外光を用いて高分解能での検査を行う際の検査能力を向上させるようにしている。
【0035】
なお、除振台13上に検査用ステージ14を安定的に設置するには、除振台13の重心がある程度低い位置にあることが望ましい。そこで、この検査装置1においては、石定盤13aの下端部に切り欠き部13cを設け、可動脚部13bがこの切り欠き部13cにて石定盤13aを支えるようにして、除振台13の重心を下げるようにしている。
【0036】
なお、検査用ステージ14を移動操作した際に生じる振動等は、事前にある程度予測することができる。このような振動を事前に予測して除振台13を動作させるようにすれば、検査用ステージ14に生じる振動を未然に防止することが可能である。したがって、検査装置1は、検査用ステージ14を移動操作した際に生じる振動等を事前に予測して除振台13を動作させるようになされていることが望ましい。
【0037】
検査用ステージ14は、被検査物となる半導体ウェハを支持するためのステージである。この検査用ステージ14は、被検査物となる半導体ウェハを支持するとともに、この半導体ウェハを所定の検査対象位置へと移動させる機能も備えている。
【0038】
具体的には、検査用ステージ14は、除振台13上に設置されたXステージ15と、Xステージ15上に設置されたYステージ16と、Yステージ16上に設置されたθステージ17と、θステージ17上に設置されたZステージ18と、Zステージ18上に設置された吸着プレート19とを備えている。
【0039】
Xステージ15及びYステージ16は、水平方向に移動するステージであり、Xステージ15とYステージ16とで、被検査物となる半導体ウェハを互いに直交する方向に移動させ、検査対象のデバイスパターンを所定の検査位置へと導くようにしている。
【0040】
θステージ17は、いわゆる回転ステージであり、半導体ウェハを回転させるためのものである。半導体ウェハの検査時には、θステージ17により、例えば、半導体ウェハ上のデバイスパターンが画面に対して水平又は垂直となるように、半導体ウェハを回転させる。
【0041】
Zステージ18は、鉛直方向に移動するステージであり、ステージの高さを調整するためのものである。半導体ウェハの検査時には、Zステージ18により、半導体ウェハの検査面が適切な高さとなるように、ステージの高さを調整する。
【0042】
吸着プレート19は、検査対象の半導体ウェハを吸着して固定するためのものである。半導体ウェハの検査時に、検査対象の半導体ウェハは、この吸着プレート19上に載置され、この吸着プレート18により吸着されて、不要な動きが抑制される。
【0043】
また、除振台12上には、検査用ステージ14上に位置するように支持部材20によって支持された光学ユニット21が配されている。この光学ユニット21は、半導体ウェハの検査時に、半導体ウェハの画像を撮像するためのものである。そして、この光学ユニット21は、検査対象の半導体ウェハの画像の撮像を可視光を用いて低分解能にて行う機能と、検査対象の半導体ウェハの画像の撮像を紫外光を用いて高分解能にて行う機能とを兼ね備えている。
【0044】
また、支持台11上には、図2及び図3に示すように、被検査物となる半導体ウェハが装着されたカセット7bを容器7から取り出してクリーンボックス3内に移動させるエレベータ22が設けられている。さらに、支持台11上には、図3に示すように、半導体ウェハを搬送するための搬送用ロボット23と、半導体ウェハを検査用ステージ14上に載置する前にそのセンター出しと位相出しとを行うプリアライナ24とが設けられている。なお、図3は装置本体10を上側から見た様子を模式的に示す平面図である。
【0045】
エレベータ22は、上昇及び下降動作される昇降台22aを有しており、容器7がクリーンボックス3の容器設置スペース8に設置されて容器7の底部7aとカバー7cとの係合が解除されたときに、昇降台22aが下降操作されることによって、容器7の底部7a及びこれに固定されたカセット7bをクリーンボックス3の内部に移動させる。
【0046】
搬送用ロボット23は、先端部に吸着機構23aが設けられた操作アーム23bを有しており、この操作アーム23bを移動操作して、その先端部に設けられた吸着機構23aにより半導体ウェハを吸着し、クリーンボックス3内における半導体ウェハの搬送を行うようになされている。
【0047】
プリアライナ24は、半導体ウェハに予め形成されているオリエンテーションフラット及びノッチを基準として、半導体ウェハの位相出し及びセンター出しを行うものである。検査装置1は、半導体ウェハを検査用ステージ14上に載置する前に、プリアライナ24によってその位相出し等を行うことにより、検査の効率を向上させるようになされている。
【0048】
半導体ウェハを検査用ステージ14上に設置する際は、先ず、エレベータ22により容器7の底部7a及びカセット7bがクリーンボックス3の内部に移動される。そして、カセット7bに装着された複数枚の半導体ウェハの中から検査対象の半導体ウェハが選択され、選択された半導体ウェハが搬送用ロボット23によりカセット7bから取り出される。
【0049】
カセット7bから取り出された半導体ウェハは、搬送用ロボット23によりプリアライナ24へと搬送される。プリアライナ24へ搬送された半導体ウェハは、このプリアライナ24によって位相出しやセンター出しが行われる。そして、位相出しやセンター出しが行われた半導体ウェハが、搬送用ロボット23により検査用ステージ14へと搬送され、吸着プレート19上に載置されて検査が行われる。
【0050】
検査対象の半導体ウェハが検査用ステージ14へと搬送されると、搬送用ロボット23によって次に検査する半導体ウェハがカセット7bから取り出され、プリアライナ24へと搬送される。そして、先に検査用ステージ14へと搬送された半導体ウェハの検査が行われている間に、次に検査する半導体ウェハの位相出しやセンター出しが行われる。そして、先に検査用ステージ14へと搬送された半導体ウェハの検査が終了すると、次に検査する半導体ウェハが検査用ステージ14へと速やかに搬送される。
【0051】
検査装置1は、以上のように、検査対象の半導体ウェハを検査用ステージ14へ搬送する前に、予めプリアライナ24により位相出しやセンター出しを行っておくことにより、検査用ステージ14による半導体ウェハの位置決めに要する時間を短縮することができる。また、検査装置1は、先に検査用ステージ14へと搬送された半導体ウェハの検査が行われている時間を利用して、次に検査する半導体ウェハをカセット7bから取り出し、プリアライナ24による位相出しやセンター出しを行うことにより、全体での時間の短縮を図ることができ、効率よく検査を行うことができる。
【0052】
ところで、この検査装置1において、エレベータ22と、搬送用ロボット23と、プリアライナ24とは、図3に示すように、それぞれが直線上に並ぶように支持台11上に設置されている。そして、エレベータ22と搬送用ロボット23との間の距離L1と、搬送用ロボット23とプリアライナ24との間の距離L2とが略等しい距離となるように、それぞれの設置位置が決定されている。さらに、搬送用ロボット23から見て、エレベータ22やプリアライナ24が並ぶ方向と略直交する方向に、検査用ステージ14が位置するような配置とされている。
【0053】
検査装置1は、各機構が以上のような配置とされていることにより、被検査物である半導体ウェハの搬送を迅速且つ正確に行うことができる。
【0054】
すなわち、この検査装置1では、エレベータ22と搬送用ロボット23との間の距離L1と、搬送用ロボット23とプリアライナ24との間の距離L2とが略等しい距離となっているので、搬送用ロボット23のアーム23bの長さを変えることなく、カセット7bから取り出した半導体ウェハをプリアライナ24に搬送することがでる。したがって、この検査装置1では、搬送用ロボット23のアーム23bの長さを変えたときに生じる誤差等が問題とならないので、半導体ウェハをプリアライナ24へと搬送する動作を正確に行うことができる。また、エレベータ22と搬送用ロボット23とプリアライナ24とが直線上に並んでいるので、搬送用ロボット23は直線的な動きのみにより、カセット7bから取り出した半導体ウェハをプリアライナ24に搬送することがでる。したがって、この検査装置1では、半導体ウェハをプリアライナ24へと搬送する動作を極めて正確に且つ迅速に行うことができる。
【0055】
さらに、この検査装置1では、搬送用ロボット23から見て、エレベータ22やプリアライナ24が並ぶ方向と略直交する方向に、検査用ステージ14が位置するような配置とされているので、搬送用ロボット23が直線的な動きをすることで、半導体ウェハを検査用ステージ14へ搬送することができる。したがって、この検査装置1では、半導体ウェハを検査用ステージ14へと搬送する動作を極めて正確に且つ迅速に行うことができる。特に、この検査装置1では、微細なデバイスパターンが形成された半導体ウェハの検査を行うため、被検査物である半導体ウェハの搬送及び位置決めを極めて正確に行う必要があるので、以上のような配置が非常に有効である。
【0056】
次に、上記検査装置1について、図4のブロック図を参照して更に詳細に説明する。
【0057】
図4に示すように、検査装置1の外部ユニット50には、表示装置51及び入力装置53aが接続された画像処理用コンピュータ60と、表示装置52及び入力装置53bが接続された制御用コンピュータ61とが配されている。なお、前掲した図1では、画像処理用コンピュータ60に接続された入力装置53aと、制御用コンピュータ61に接続された入力装置53bとをまとめて、入力装53として図示している。
【0058】
画像処理用コンピュータ60は、半導体ウェハを検査するときに、光学ユニット21の内部に設置されたCCD(charge-coupled device)カメラ30,31により半導体ウェハを撮像した画像を取り込んで処理するコンピュータである。すなわち、この検査装置1は、光学ユニット21の内部に設置されたCCDカメラ30,31により撮像した半導体ウェハの画像を、画像処理用コンピュータ60により処理して解析することにより、半導体ウェハの検査を行う。
【0059】
なお、画像処理用コンピュータ60に接続された入力装置53aは、CCDカメラ30,31から取り込んだ画像の解析等に必要な指示を、画像処理用コンピュータ30に対して入力するためのものであり、例えば、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等からなる。また、画像処理用コンピュータ60に接続された表示装置51は、CCDカメラ30,31から取り込んだ画像の解析結果等を表示するためのものであり、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等からなる。
【0060】
制御用コンピュータ61は、半導体ウェハを検査するときに、検査用ステージ14、エレベータ22、搬送用ロボット23及びプリアライナ24、並びに光学ユニット12の内部の各機器等を制御するためのコンピュータである。すなわち、この検査装置1は、半導体ウェハの検査を行う際に、検査対象の半導体ウェハの画像が、光学ユニット21の内部に設置されたCCDカメラ30,31により撮像されるように、制御用コンピュータ61により、検査用ステージ14、エレベータ22、搬送用ロボット23及びプリアライナ24、並びに光学ユニット21の内部の各機器等を制御する。
【0061】
また、制御用コンピュータ61は、クリーンエアユニット4の送風機5a,5bを制御する機能を有する。すなわち、この検査装置1は、クリーンエアユニット4の送風機5a,5bを制御用コンピュータ61が制御することによって、半導体ウェハの検査を行う際に、クリーンボックス3内に清浄な空気を常時供給し、また、クリーンボックス3内の気流をコントロールできるようにしている。
【0062】
なお、制御用コンピュータ61に接続された入力装置53bは、検査用ステージ14、エレベータ22、搬送用ロボット23及びプリアライナ24、光学ユニット21の内部の各機器、並びにクリーンエアユニット4の送風機5a,5b等を制御するのに必要な指示を、制御用コンピュータ61に対して入力するためのものであり、例えば、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等からなる。また、制御用コンピュータ61に接続された表示装置52は、半導体ウェハの検査時の各種条件等を表示するためのものであり、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等からなる。
【0063】
また、画像処理用コンピュータ60と制御用コンピュータ61とは、メモリリンク機構により、互いにデータのやり取りが可能とされている。すなわち、画像処理用コンピュータ60と制御用コンピュータ61は、それぞれに設けられたメモリリンクインターフェース60a,61aを介して互いに接続されており、画像処理用コンピュータ60と制御用コンピュータ51との間で、互いにデータのやり取りが可能となっている。
【0064】
一方、検査装置1のクリーンボックス3の内部には、密閉式の容器7に入れられて搬送されてきた半導体ウェハを、この容器7のカセット7bから取り出して検査用ステージ14に設置する機構として、上述したように、エレベータ22、搬送用ロボット23及びプリアライナ24が配されている。これらは、外部ユニット50に配された制御用コンピュータ61に、ロボット制御インターフェース61bを介して接続されている。そして、エレベータ22、搬送用ロボット23及びプリアライナ24には、制御用コンピュータ61からロボット制御インターフェース61bを介して、制御信号が送られる。
【0065】
すなわち、密閉式の容器7に入れられて搬送されてきた半導体ウェハを、この容器7のカセット7bから取り出して検査用ステージ14に設置する際は、制御用コンピュータ61からロボット制御インターフェース61bを介して、エレベータ22、搬送用ロボット23及びプリアライナ24に制御信号が送出される。そして、エレベータ22、搬送用ロボット23及びプリアライナ24がこの制御信号に基づいて動作し、上述したように、密閉式の容器7に入れられて搬送されてきた半導体ウェハを、この容器7のカセット7bから取り出して、プリアライナ25による位相出し及びセンター出しを行い、検査用ステージ14に設置する。
【0066】
また、検査装置1のクリーンボックス3の内部には除振台13が配されており、この除振台13上に、上述したように、Xステージ15、Yステージ16、θステージ17、Zステージ18及び吸着プレート19を備えた検査用ステージ14が設置されている。
【0067】
ここで、Xステージ15、Yステージ16、θステージ17、Zステージ18及び吸着プレート19は、外部ユニット50に配された制御用コンピュータ61に、ステージ制御インターフェース61cを介して接続されている。そして、Xステージ15、Yステージ16、θステージ17、Zステージ18及び吸着プレート19には、制御用コンピュータ61からステージ制御インターフェース61cを介して、制御信号が送られる。
【0068】
すなわち、半導体ウェハの検査を行う際は、制御用コンピュータ61からステージ制御インターフェース61cを介して、Xステージ15、Yステージ16、θステージ17、Zステージ18及び吸着プレート19に制御信号が送出される。そして、Xステージ15、Yステージ16、θステージ17、Zステージ18及び吸着プレート19が、この制御信号に基づいて動作し、吸着プレート19により検査対象の半導体ウェハを吸着して固定するとともに、Xステージ15、Yステージ16、θステージ17及びZステージ18により、半導体ウェハを所定の位置、角度及び高さとなるように移動する。
【0069】
また、除振台13上には、上述したように、光学ユニット21も設置されている。この光学ユニット21は、半導体ウェハの検査時に半導体ウェハの画像を撮像するためのものであり、上述したように、検査対象の半導体ウェハの画像の撮像を可視光を用いて低分解能にて行う機能と、検査対象の半導体ウェハの画像の撮像を紫外光を用いて高分解能にて行う機能とを兼ね備えている。
【0070】
この光学ユニット21の内部には、可視光にて半導体ウェハの画像を撮像するための機構として、可視光用CCDカメラ30と、ハロゲンランプ32と、可視光用光学系33と、可視光用対物レンズ34と、可視光用オートフォーカス制御部35とが配されている。
【0071】
そして、可視光にて半導体ウェハの画像を撮像する際は、ハロゲンランプ32を点灯させる。ここで、ハロゲンランプ32の駆動源は、外部ユニット50に配された制御用コンピュータ61に、光源制御インターフェース61dを介して接続されている。そして、ハロゲンランプ32の駆動源には、制御用コンピュータ61から光源制御インターフェース61dを介して制御信号が送られる。ハロゲンランプ32の点灯/消灯は、この制御信号に基づいて行われる。
【0072】
そして、可視光にて半導体ウェハの画像を撮像する際は、ハロゲンランプ32を点灯させ、このハロゲンランプ32からの可視光を、可視光用光学系33及び可視光用対物レンズ34を介して半導体ウェハにあてて、半導体ウェハを照明する。そして、可視光により照明された半導体ウェハの像を可視光用対物レンズ34により拡大し、その拡大像を可視光用CCDカメラ30により撮像する。
【0073】
ここで、可視光用CCDカメラ30は、外部ユニット50に配された画像処理用コンピュータ60に、画像取込インターフェース60bを介して接続されている。そして、可視光用CCDカメラ30により撮像された半導体ウェハの画像は、画像取込インターフェース60bを介して画像処理用コンピュータ60に取り込まれる。
【0074】
また、上述のように可視光にて半導体ウェハの画像を撮像する際は、可視光用オートフォーカス制御部35により、自動焦点位置合わせを行う。すなわち、可視光用オートフォーカス制御部35により、可視光用対物レンズ34と半導体ウェハの間隔が可視光用対物レンズ34の焦点距離に一致しているか否かを検出し、一致していない場合には、可視光用対物レンズ34又はZステージ18を動かして、半導体ウェハの検査対象面が可視光用対物レンズ34の焦点面に一致するようにする。
【0075】
ここで、可視光用オートフォーカス制御部35は、外部ユニット50に配された制御用コンピュータ61に、オートフォーカス制御インターフェース61eを介して接続されている。そして、可視光用オートフォーカス制御部35には、制御用コンピュータ61からオートフォーカス制御インターフェース61eを介して制御信号が送られる。可視光用オートフォーカス制御部35による可視光用対物レンズ34の自動焦点位置合わせは、この制御信号に基づいて行われる。
【0076】
また、光学ユニット21の内部には、紫外光にて半導体ウェハの画像を撮像するための機構として、紫外光用CCDカメラ31と、紫外光レーザ光源36と、紫外光用光学系37と、紫外光用対物レンズ38と、紫外光用オートフォーカス制御部39とが配されている。
【0077】
そして、紫外光にて半導体ウェハの画像を撮像する際は、紫外光レーザ光源36を点灯させる。ここで、紫外光レーザ光源36の駆動源は、外部ユニット50に配された制御用コンピュータ61に、光源制御インターフェース61dを介して接続されている。そして、紫外光レーザ光源36の駆動源には、制御用コンピュータ61から光源制御インターフェース61dを介して制御信号が送られる。紫外光レーザ光源36の点灯/消灯は、この制御信号に基づいて行われる。
【0078】
なお、紫外光レーザ光源36には、波長が266nm程度の紫外光レーザを出射するものを用いることが好ましい。波長が266nm程度の紫外光レーザは、YAGレーザの4倍波として得られる。また、レーザ光源としては、発振波長が166nm程度のものも開発されており、そのようなレーザ光源を上記紫外光レーザ光源36として用いてもよい。
【0079】
紫外光にて半導体ウェハの画像を撮像する際は、紫外光レーザ光源36を点灯させ、この紫外光レーザ光源36からの紫外光を、紫外光用光学系37及び紫外光用対物レンズ38を介して半導体ウェハにあてて、半導体ウェハを照明する。そして、紫外光により照明された半導体ウェハの像を紫外光用対物レンズ38により拡大し、その拡大像を紫外光用CCDカメラ31により撮像する。
【0080】
ここで、紫外光用CCDカメラ31は、外部ユニット50に配された画像処理用コンピュータ60に、画像取込インターフェース60cを介して接続されている。そして、紫外光用CCDカメラ31により撮像された半導体ウェハの画像は、画像取込インターフェース60cを介して画像処理用コンピュータ60に取り込まれる。
【0081】
また、上述のように紫外光にて半導体ウェハの画像を撮像する際は、紫外光用オートフォーカス制御部39により、自動焦点位置合わせを行う。すなわち、紫外光用オートフォーカス制御部39により、紫外光用対物レンズ38と半導体ウェハの間隔が紫外光用対物レンズ38の焦点距離に一致しているか否かを検出し、一致していない場合には、紫外光用対物レンズ38又はZステージ18を動かして、半導体ウェハの検査対象面が紫外光用対物レンズ38の焦点面に一致するようにする。
【0082】
ここで、紫外光用オートフォーカス制御部39は、外部ユニット50に配された制御用コンピュータ61に、オートフォーカス制御インターフェース61eを介して接続されている。そして、紫外光用オートフォーカス制御部39には、制御用コンピュータ61からオートフォーカス制御インターフェース61eを介して制御信号が送られる。紫外光用オートフォーカス制御部39による紫外光用対物レンズ38の自動焦点位置合わせは、この制御信号に基づいて行われる。
【0083】
また、クリーンエアユニット4には、上述したように、2つの送風機5a,5bが設けられている。これらの送風機5a,5bは、外部ユニット50に配された制御用コンピュータ61に、風量制御インターフェース61fを介して接続されている。そして、クリーンエアユニット4の送風機5a,5bには、制御用コンピュータ61から風量制御インターフェース61fを介して、制御信号が送られる。送風機5a,5bの回転数の制御やオン/オフの切り替え等は、この制御信号に基づいて行われる。
【0084】
次に、上記検査装置1の光学ユニット21の光学系について、図5を参照して更に詳細に説明する。なお、ここでは、オートフォーカス制御部35,39についての説明は省略し、検査対象の半導体ウェハを照明する光学系と、検査対象の半導体ウェハを撮像する光学系とについて説明する。
【0085】
図5に示すように、光学ユニット21は、可視光にて半導体ウェハの画像を撮像するための光学系として、ハロゲンランプ32と、可視光用光学系33と、可視光用対物レンズ34とを備えている。
【0086】
ハロゲンランプ32からの可視光は、光ファイバ40によって可視光用光学系33へと導かれる。可視光用光学系33へと導かれた可視光は、先ず、2つのレンズ41,42を透過してハーフミラー43に入射する。そして、ハーフミラー43に入射した可視光は、ハーフミラー43によって可視光用対物レンズ34へ向けて反射され、可視光用対物レンズ34を介して半導体ウェハに入射する。これにより、半導体ウェハが可視光により照明される。
【0087】
そして、可視光により照明された半導体ウェハの像は、可視光用対物レンズ34により拡大され、ハーフミラー43及び撮像用レンズ44を透過して、可視光用CCDカメラ30により撮像される。すなわち、可視光により照明された半導体ウェハからの反射光が、可視光用対物レンズ34、ハーフミラー43及び撮像用レンズ44を介して可視光用CCDカメラ30に入射し、これにより、半導体ウェハの拡大像が可視光用CCDカメラ30によって撮像される。そして、可視光用CCDカメラ30によって撮像された半導体ウェハの画像(以下、可視画像と称する。)は、画像処理用コンピュータ60へと送られる。
【0088】
また、光学ユニット21は、紫外光にて半導体ウェハの画像を撮像するための光学系として、紫外光レーザ光源36と、紫外光用光学系37と、紫外光用対物レンズ38とを備えている。
【0089】
紫外光レーザ光源36からの紫外光は、光ファイバ45によって紫外光用光学系37へ導かれる。紫外光用光学系37へと導かれた紫外光は、先ず、2つのレンズ46,47を透過してハーフミラー48に入射する。そして、ハーフミラー48に入射した可視光は、ハーフミラー48によって紫外光用対物レンズ38へ向けて反射され、紫外光用対物レンズ38を介して半導体ウェハに入射する。これにより、半導体ウェハが紫外光により照明される。
【0090】
そして、紫外光により照明された半導体ウェハの像は、紫外光用対物レンズ38により拡大され、ハーフミラー48及び撮像用レンズ49を透過して、紫外光用CCDカメラ31により撮像される。すなわち、紫外光により照明された半導体ウェハからの反射光が、紫外光用対物レンズ38、ハーフミラー48及び撮像用レンズ49を介して紫外光用CCDカメラ31に入射し、これにより、半導体ウェハの拡大像が紫外光用CCDカメラ31によって撮像される。そして、紫外光用CCDカメラ31によって撮像された半導体ウェハの画像(以下、紫外画像と称する。)は、画像処理用コンピュータ60へと送られる。
【0091】
以上のような検査装置1では、可視光よりも短波長の光である紫外光により、半導体ウェハの画像を撮像して検査することができるので、可視光を用いて欠陥の検出や分類分けを行う場合に比べて、より微細な欠陥の検出や分類分けを行うことができる。
【0092】
しかも、上記検査装置1では、可視光用の光学系と紫外光用の光学系とを兼ね備えており、可視光を用いた低分解能での半導体ウェハの検査と、紫外光を用いた高分解能での半導体ウェハの検査との両方を行うことができる。したがって、上記検査装置1では、可視光を用いた低分解能での半導体ウェハの検査により、大きい欠陥の検出や分類分けを行い、且つ、紫外光を用いた高分解能での半導体ウェハの検査により、小さい欠陥の検出や分類分けを行うといったことも可能である。
【0093】
なお、上記検査装置1において、紫外光用対物レンズ40の開口数NAは、大きい方が好ましく、例えば0.9以上とする。このように、紫外光用対物レンズ40として、開口数NAの大きなレンズを用いることで、より微細な欠陥の検出が可能となる。
【0094】
ところで、半導体ウェハの欠陥が、引っ掻き傷のように色情報が無く凹凸だけからなる場合、可干渉性を持たない光では、その欠陥を見ることは殆どできない。これに対して、レーザ光のように可干渉性に優れた光を用いた場合には、引っ掻き傷のように色情報が無く凹凸だけからなる欠陥であっても、凹凸の段差近辺で光が干渉することにより、当該欠陥をはっきりと見ることができる。そして、上記検査装置1では、紫外光の光源として紫外域のレーザ光を出射する紫外光レーザ光源36を用いている。したがって、上記検査装置1では、引っ掻き傷のように色情報が無く凹凸だけからなる欠陥であっても、当該欠陥をはっきりと検出することができる。すなわち、上記検査装置1では、ハロゲンランプ32からの可視光(インコヒーレント光)では検出が困難な位相情報を、紫外光レーザ光源36からの紫外光レーザ(コヒーレント光)を用いて、容易に検出することができる。
【0095】
次に、上記検査装置1で半導体ウェハを検査するときの手順の一例を、図6のフローチャートを参照して説明する。なお、図6のフローチャートでは、検査対象の半導体ウェハが検査用ステージ14に設置された状態以降の処理の手順を示している。また、図6に示すフローチャートは、半導体ウェハ上の欠陥の位置が予め分かっている場合に、その欠陥を上記検査装置1により検査して分類分けを行うときの手順の一例を示している。また、ここでは、半導体ウェハ上に同様なデバイスパターンが多数形成されているものとし、欠陥の検出や分類分けは、欠陥がある領域の画像(欠陥画像)と、その他の領域の画像(参照画像)とを撮像し、それらを比較することで行うものとする。
【0096】
先ず、ステップS1−1に示すように、制御用コンピュータ61に欠陥位置座標ファイルを読み込む。ここで、欠陥位置座標ファイルは、半導体ウェハ上の欠陥の位置に関する情報が記述されたファイルであり、欠陥検出装置等により、半導体ウェハ上の欠陥の位置を予め計測して作成しておく。そして、ここでは、その欠陥位置座標ファイルを制御用コンピュータ61に読み込む。
【0097】
次に、ステップS1−2において、制御用コンピュータ61によりXステージ15及びYステージ16を駆動させ、欠陥位置座標ファイルが示す欠陥位置座標へ半導体ウェハを移動させ、半導体ウェハの検査対象領域が可視光用対物レンズ34の視野内に入るようにする。
【0098】
次に、ステップS1−3において、制御用コンピュータ61により可視光用オートフォーカス制御部35を駆動させ、可視光用対物レンズ34の自動焦点位置合わせを行う。
【0099】
次に、ステップS1−4において、可視光用CCDカメラ30により半導体ウェハの画像を撮像し、撮像した可視画像を画像処理用コンピュータ60に送る。なお、ここで撮像される可視画像は、欠陥位置座標ファイルが示す欠陥位置座標における画像、すなわち、欠陥があるとされる領域の画像(以下、欠陥画像と称する。)である。
【0100】
次に、ステップS1−5において、制御用コンピュータ61によりXステージ15及びYステージ16を駆動させ、参照位置座標へ半導体ウェハを移動させて、半導体ウェハの参照領域が可視光用対物レンズ34の視野内に入るようにする。ここで、参照領域は、半導体ウェハの検査対象領域以外の領域であって、半導体ウェハの検査対象領域におけるデバイスパターンと同様なデバイスパターンが形成されている領域である。
【0101】
次に、ステップS1−6において、制御用コンピュータ61により可視光用オートフォーカス制御部35を駆動させ、可視光用対物レンズ34の自動焦点位置合わせを行う。
【0102】
次に、ステップS1−7において、可視光用CCDカメラ30により半導体ウェハの画像を撮像し、撮像した可視画像を画像処理用コンピュータ60に送る。なお、ここで撮像される可視画像は、半導体ウェハの検査対象領域におけるデバイスパターンと同様なデバイスパターンが形成されている領域の画像(以下、参照画像と称する。)である。
【0103】
次に、ステップS1−8において、画像処理用コンピュータ60により、ステップS1−4で取り込んだ欠陥画像と、ステップS1−7で取り込んだ参照画像とを比較し、欠陥画像から欠陥を検出する。そして、欠陥が検出できた場合には、ステップS1−9へ進み、欠陥が検出できなかった場合には、ステップS1−11へ進む。
【0104】
ステップS1−9では、画像処理用コンピュータ60により、検出された欠陥が何であるかを調べて分類分けを行う。そして、欠陥の分類分けができた場合には、ステップS1−10へ進み、欠陥の分類分けができなかった場合には、ステップS1−11へ進む。
【0105】
ステップS1−10では、欠陥の分類結果を保存する。ここで、欠陥の分類結果は、例えば、画像処理用コンピュータ60や制御用コンピュータ61に接続された記憶装置に保存する。なお、欠陥の分類結果は、画像処理用コンピュータ60や制御用コンピュータ61にネットワークを介して接続された他のコンピュータに転送して保存するようにしてもよい。
【0106】
ステップS1−10での処理が完了したら、半導体ウェハの欠陥の分類分けが完了したこととなるので、これで処理を終了する。ただし、半導体ウェハ上に複数の欠陥がある場合には、ステップS1−2へ戻って、他の欠陥の検出及び分類分けを行うようにしてもよい。
【0107】
一方、ステップS1−8で欠陥検出ができなかった場合や、ステップS1−9で欠陥の分類分けができなかった場合には、ステップS1−11以降へ進み、紫外光を用いて高分解能での撮像を行って欠陥の検出や分類分けを行う。
【0108】
その場合は、先ず、ステップS1−11において、制御用コンピュータ61によりXステージ15及びYステージ16を駆動させ、欠陥位置座標ファイルが示す欠陥位置座標へ半導体ウェハを移動させて、半導体ウェハの検査対象領域が紫外光用対物レンズ38の視野内に入るようにする。
【0109】
次に、ステップS1−12において、制御用コンピュータ61により紫外光用オートフォーカス制御部39を駆動させ、紫外光用対物レンズ38の自動焦点位置合わせを行う。
【0110】
次に、ステップS1−13において、紫外光用CCDカメラ31により半導体ウェハの画像を撮像し、撮像した紫外画像を画像処理用コンピュータ60に送る。なお、ここで撮像される紫外画像は、欠陥位置座標ファイルが示す欠陥位置座標における画像、すなわち欠陥画像である。また、ここでの欠陥画像の撮像は、可視光よりも短波長の光である紫外光を用いて、可視光を用いた場合の撮像よりも高分解能にて行う。
【0111】
次に、ステップS1−14において、制御用コンピュータ61によりXステージ15及びYステージ16を駆動させ、参照位置座標へ半導体ウェハを移動させて、半導体ウェハの参照領域が紫外光用対物レンズ38の視野内に入るようにする。ここで、参照領域は、半導体ウェハの検査対象領域以外の領域であって、半導体ウェハの検査対象領域におけるデバイスパターンと同様なデバイスパターンが形成されている領域である。
【0112】
次に、ステップS1−15において、制御用コンピュータ61により紫外光用オートフォーカス制御部39を駆動させ、紫外光用対物レンズ38の自動焦点位置合わせを行う。
【0113】
次に、ステップS1−16において、紫外光用CCDカメラ31により半導体ウェハの画像を撮像し、撮像した紫外画像を画像処理用コンピュータ60に送る。なお、ここで撮像される紫外画像は、半導体ウェハの検査対象領域におけるデバイスパターンと同様なデバイスパターンが形成されている領域の画像、すなわち参照画像である。また、ここでの参照画像の撮像は、可視光よりも短波長の光である紫外光を用いて、可視光を用いた場合よりも高分解能にて行う。
【0114】
次に、ステップS1−17において、画像処理用コンピュータ60により、ステップS1−13で取り込んだ欠陥画像と、ステップS1−16で取り込んだ参照画像とを比較し、欠陥画像から欠陥を検出する。そして、欠陥が検出できた場合には、ステップS1−18へ進み、欠陥が検出できなかった場合には、ステップS1−19へ進む。
【0115】
ステップS1−18では、画像処理用コンピュータ60により、検出された欠陥が何であるかを調べて分類分けを行う。そして、欠陥の分類分けができた場合には、ステップS1−10へ進み、上述したように、欠陥の分類結果を保存する。一方、欠陥の分類分けができなかった場合には、ステップS1−19へ進む。
【0116】
ステップS1−19では、欠陥の分類分けができなかったことを示す情報を保存する。ここで、欠陥の分類分けができなかったことを示す情報は、例えば、画像処理用コンピュータ60や制御用コンピュータ61に接続された記憶装置に保存する。なお、この情報は、画像処理用コンピュータ60や制御用コンピュータ61にネットワークを介して接続された他のコンピュータに転送して保存するようにしてもよい。
【0117】
以上のような手順により、先ず、可視光用CCDカメラ30により撮像された画像を処理して解析することで低分解能にて半導体ウェハの検査を行い、可視光での欠陥の検出や分類分けができなかった場合に、次に、紫外光用CCDカメラ31により撮像された画像を処理して解析することで高分解能にて半導体ウェハの検査を行う。
【0118】
ここで、CCDカメラ30,31によって撮像された参照画像及び欠陥画像から欠陥を検出する手法について、図7を参照して説明する。
【0119】
図7(a)は、検査対象領域におけるデバイスパターンと同様なデバイスパターンが形成されている参照領域の画像、すなわち参照画像の一例を示している。また、図7(b)は、欠陥があるとされる検査対象領域の画像、すなわち欠陥画像の一例を示している。
【0120】
このような参照画像及び欠陥画像から欠陥を検出する際は、参照画像から色情報や濃淡情報などに基づいて、図7(c)に示すようにデバイスパターンを抽出する。また、参照画像と欠陥画像から差の画像を求め、差の大きな部分を図7(d)に示すように欠陥として抽出する。
【0121】
そして、図7(e)に示すように、図7(c)に示したデバイスパターン抽出結果の画像と、図7(d)に示した欠陥抽出結果の画像とを重ね合わせた画像を得て、欠陥がデバイスパターンに存在する割合などを、欠陥に関する特徴量として抽出する。
【0122】
以上のような手法により、CCDカメラ30,31によって撮像された参照画像及び欠陥画像を画像処理用コンピュータ60で処理し解析することで欠陥を検出し、半導体ウェハの検査を行うことができる。
【0123】
検査装置1は、上述したように、先ず、可視光用CCDカメラ30により撮像された画像を処理して解析することで低分解能にて半導体ウェハの検査を行い、可視光での欠陥の検出や分類分けができなかった場合に、次に、紫外光用CCDカメラ31により撮像された画像を処理して解析することで高分解能にて半導体ウェハの検査を行うようにしているので、可視光だけを用いて欠陥の検出や分類分けを行う場合に比べて、より微細な欠陥の検出や分類分けを行うことができる。
【0124】
ただし、可視光を用いて低分解能にて撮像した方が、一度に撮像できる領域が広いので、欠陥が十分に大きい場合には、可視光を用いて低分解能にて半導体ウェハの検査を行った方が効率が良い。したがって、最初から紫外光を用いて欠陥の検査や分類分けを行うのではなく、上述のように、最初に可視光を用いて欠陥の検査や分類分けを行うようにすることで、より効率良く半導体ウェハの検査を行うことができる。
【0125】
ところで、この検査装置1では、上述したように、半導体ウェハの検査を行う装置本体10をクリーンボックス3の内部に設置し、クリーンボックス3の内部に清浄な空気を供給して高いクリーン度に保つことによって、検査が行われる環境のクリーン度のみを局所的に高め、クリーンな環境の中で検査が行えるようにしている。
【0126】
しかしながら、このような構造の検査装置1では、半導体ウェハの検査を行う際に、検査用ステージ14や搬送用ロボット23等が動作されることに伴って、クリーンボックス3内に摩耗粉等の塵埃が発生する場合がある。そして、この湯にクリーンボックス3内に発生した塵埃等が検査用ステージ14上に設置された半導体ウェハや、容器7を介してクリーンボックス3内に搬送されてきた半導体ウェハに付着すると、適切な検査が阻害されてしまう。したがって、検査装置1においては、クリーンボックス3内で発生した塵埃等を半導体ウェハに付着させることなく速やかにクリーンボックス3の外部に排出することが重要である。
【0127】
特に、この検査装置1では、紫外光レーザ光源36や紫外光用CCDカメラ31等を用いて、例えば、線幅が0.18μm以下とされた非常に微細なデバイスパターンを高分解能にて検査するようになされているので、これまであまり問題とならなかったような微細な塵埃等も適切な検査を阻害する要因となる。
【0128】
そこで、この検査装置1では、クリーンボックス3内の気流を適切にコントロールすることによって、クリーンボックス3内で発生した塵埃等を、非常に微細なものも含めてクリーンボックス3の外部に効果的に排出し、半導体ウェハに付着させないようにしている。
【0129】
具体的には、この検査装置1では、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御することによって、クリーンボックス3内の気流を自在にコントロールできるようにしている。
【0130】
クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御する方法としては、例えば、送風機5a,5bの回転数を個別に調整することが考えられる。検査装置1では、上述したように、送風機5a,5bが、風量制御インターフェース61fを介して制御用コンピュータ61に接続されている。そして、制御用コンピュータ61から風量制御インターフェース61fを介して送風機5a,5bに制御信号を送出することによって、送風機5a,5bの回転数を制御することができるようになされている。
【0131】
したがって、この検査装置1では、検査者が入力装置53bを介して制御用コンピュータ61に必要な指示を入力することによって、送風機5a,5bの回転数を個別に調整し、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御することができる。
【0132】
送風機5a,5bから送風される空気は、高性能エアフィルタを通過することによって塵埃等が除去された清浄な空気とされ、これら送風機5a,5bの下方に位置するクリーンボックス3内の各領域に、ダウンフローとしてそれぞれ送られることになる。ここで、送風機5a,5bからの空気の風量がそれぞれ同じであるとすると、これら送風機5a,5bの下方に位置するクリーンボックス3内の各領域における風速が、クリーンボックス3の形状やクリーンボックス3内における装置本体10の配置等に依存する各領域の広さに応じてそれぞれ異なったものとなる。そして、この各領域における風速の違いに起因して、予期しない乱気流が生じ、クリーンボックス3内に発生した塵埃等を巻き上げて半導体ウェハに付着させてしまう場合がある。
【0133】
検査装置1では、送風機5a,5bの回転数を個別に調整して、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御することによって、例えば、クリーンボックス3内の各領域における風速を均一にすることができるので、半導体ウェハへの塵埃等の付着を有効に防止することが可能である。
【0134】
また、半導体ウェハへの塵埃等の付着を防止するには、クリーンボックス3内に供給された清浄な空気を、半導体ウェハが設置される検査用ステージ14上や半導体ウェハが装着されたカセット7b内に導くことが非常に有効である。このように、半導体ウェハが設置される検査用ステージ14上や半導体ウェハが装着されたカセット7b内に清浄な空気を導くようにすれば、塵埃等を巻き上げた乱気流が検査用ステージ14上やカセット7b内に進入してくることを有効に防止することができるばかりでなく、仮に、検査ステージ14上に設置された半導体ウェハやカセット7b内に装着された半導体ウェハに塵埃等が付着した場合にも、これを除去して、クリーンボックス3の外部に効果的に排出することができる。
【0135】
検査装置1では、送風機5a,5bの回転数を個別に調整し、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御することによって、クリーンボックス3内の気流を適切にコントロールすることができるので、清浄な空気を半導体ウェハが設置される検査用ステージ14上や半導体ウェハが装着されたカセット7b内に導いて、半導体ウェハへの塵埃等の付着を有効に防止することが可能である。
【0136】
なお、クリーンボックス3内の気流は、気流可視化装置を用いれば目視により確認することができる。したがって、検査者は、クリーンボックス3内の気流を目視により確認しながら、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御して、クリーンボックス3内の気流が適切なものとなるようにコントロールすることができる。
【0137】
また、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御する方法としては、図8に示すように、クリーンエアユニット4のクリーンボックス3と対向する側に、開口部を有する仕切板70を設け、この仕切板70の開口部の開口率を、送風機5a,5bに対応した位置毎に個別に調整することが考えられる。換言すると、送風機5aに対応した位置の仕切板70の開口部の開口率と、送風機5bに対応した位置の仕切板70の開口部の開口率とを個別に調整するようにすれば、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量を、送風機5a,5b毎に個別に制御することができる。
【0138】
クリーンエアユニット4とクリーンボックス3とを仕切る仕切板70は、例えば、所定の開口率を有するパンチングメタル71,72が重ね合わされてなる。仕切板70は、これらパンチングメタル71,72の重ね方を変えることにより、その開口率を変化させることができる。検査装置1では、これら2枚のパンチングメタル71,72の重ね方を、送風機5aに対応した位置と送風機5bに対応した位置とでそれぞれ個別に調整し、仕切板70の開口部の開口率を、送風機5a,5bに対応した位置毎に個別に調整するようにしている。
【0139】
なお、送風機5aに対応した位置からクリーンボックス3内に供給する清浄な空気の風量の好ましい値と、送風機5bに対応した位置からクリーンボックス3内に供給する清浄な空気の風量の好ましい値とが予め分かっている場合には、送風機5aに対応した位置と送風機5bに対応した位置とに、それぞれ好ましい風量が確保できる開口率のパンチングメタルを配設し、これを仕切板70としてもよい。
【0140】
なお、以上は、クリーンエアユニット4が2つの送風機5a,5bを備える例を説明したが、送風機の数はクリーンボックス3の大きさや形状に合わせて決定すればよく、3つ以上の送風機を備える構成とされていてもよい。この場合には、クリーンエアユニット4からクリーンボックス3内に供給される清浄な空気の風量が、各送風機毎に個別に制御されることになる。
【0141】
また、この検査装置1では、クリーンボックス3内に供給された清浄な空気を半導体ウェハが設置される検査用ステージ14上に導くために、図2及び図9に示すように、検査用ステージ14の側方に位置するクリーンボックス3の側面部に開口領域80が設けられている。なお、図9は、クリーンユニット2を図2中矢印A2方向から見た様子を示す側面図である。
【0142】
具体的には、例えば、検査用ステージ14の側方に位置するクリーンボックス3の側面部に所定の開口率を有するパンチングメタルがはめ込まれ、このパンチングメタルがはめ込まれた部分が開口領域80とされている。検査装置1は、以上のように、検査用ステージ14の側方に位置するクリーンボックス3の側面部に開口領域80が設けられることにより、クリーンエアユニット4からダウンフローとしてクリーンボックス3内に供給された清浄な空気の一部を、検査用ステージ14上を通過させて、その側方に設けられた開口領域80に導き、この開口領域80からクリーンボックス3の外部に排出させることができる。
【0143】
また、この検査装置1では、クリーンボックス3内に供給された清浄な空気を半導体ウェハが設置される検査用ステージ14上に適切に導くために、図2及び図9に示すように、クリーンボックス3の側面部に内方に向かって張り出す張出部81が設けられ、クリーンボックス3内の気室が、検査用ステージ14の下端部を境に分離されている。この張出部81は、所定の開口率のパンチングメタルよりなり、クリーンユニット4からダウンフローとしてクリーンボックス3内に供給された清浄な空気の一部をクリーンボックス3の下端部に導くと共に、他の一部を横方向に流し、検査テーブル14上に導く。なお、この張出部81の先端部は、装置本体10から僅かな隙間を存して離間した状態とされている。これは、クリーンボックス3に生じた振動を装置本体10に伝えないためである。この検査装置1では、上述したように、僅かな振動も検査の障害となるので、このような振動対策が非常に有効である。
【0144】
以上のように、クリーンエアユニット4から供給された清浄な空気を半導体ウェハが設置される検査用ステージ14上に導き、この検査用ステージ14上を通過させるようにすれば、クリーンボックス3内の塵埃等を巻き上げた乱気流が検査用ステージ14上に進入してくることを有効に防止することができる。
【0145】
また、クリーンエアユニット4から供給された清浄な空気を半導体ウェハが設置される検査用ステージ14上に導き、この検査用ステージ14上を通過させるようにすれば、検査ステージ14上に設置された半導体ウェハに塵埃等が付着した場合であっても、清浄な空気によってこの塵埃等を半導体ウェハから除去し、開口領域80を介してクリーンボックス3の外部に適切に排出させることができる。
【0146】
なお、この検査装置1において、検査用ステージ14の側方に設けられた開口領域80及び張出部81は、上述した仕切板70と同様に、2枚のパンチングメタルを重ね合わせ、一方のパンチングメタルを可動にした構成とされていてもよい。この場合には、開口領域80及び張出部81の開口率を自在に変化させることができるので、クリーンボックス3内の気流をコントロールする上で非常に有利である。
【0147】
また、この検査装置1では、クリーンボックス3内に供給された清浄な空気を半導体ウェハが装着されたカセット7b内に導くために、図1に示すように、クリーンボックス3のカセット7bが収容される箇所の側方に位置する側面部に、開口領域90が設けられている。
【0148】
具体的には、例えば、クリーンボックス3のカセット7bが収容される箇所の側方に位置する側面部に所定の開口率を有するパンチングメタルがはめ込まれ、このパンチングメタルがはめ込まれた部分が開口領域90とされている。検査装置1は、以上のように、クリーンボックス3のカセット7bが収容される箇所の側方に位置する側面部に開口領域90が設けられることにより、クリーンエアユニット4からダウンフローとしてクリーンボックス3内に供給された清浄な空気の一部を、クリーンボックス3内に移送されたカセット7b内を通過させて、その側方に設けられた開口領域90に導き、この開口領域90からクリーンボックス3の外部に排出させることができる。
【0149】
また、この検査装置1では、クリーンボックス3内に供給された清浄な空気を半導体ウェハが装着されたカセット7b内に適切に導くために、図10に示すように、クリーンボックス3内のカセット7bが収容される箇所の近傍に、カセット7bが収容される箇所に向かって傾斜する傾斜ガイド部91が設けられている。
【0150】
具体的には、装置本体10の支持台11上に、搬送用ロボット23やプリアライナ24が設置される設置板92が、クリーンボックス3に設けられた張出部81と同じ高さ位置で設けられ、この設置板92の一端側に、カセット7bが収容される箇所に向かって傾斜する傾斜ガイド部91が設けられている。なお、図10は、クリーンボックス3内の装置本体10を、エレベータ22や搬送用ロボット23、プリアライナ24等が配設された側から見た様子を示す斜視図である。
【0151】
このように、クリーンボックス3内のカセット7bが収容される箇所の近傍に、カセット7bが収容される箇所に向かって傾斜する傾斜ガイド部91が設けられることにより、クリーンボックス3内に供給された清浄な空気を傾斜ガイド部91により案内し、半導体ウェハが装着されたカセット7b内に適切に導くことができる。
【0152】
以上のように、クリーンエアユニット4から供給された清浄な空気を半導体ウェハが装着されたカセット7b内に導き、このカセット7b内を通過させるようにすれば、クリーンボックス3内の塵埃等を巻き上げた乱気流がカセット7b内に進入してくることを有効に防止することができる。
【0153】
また、クリーンエアユニット4から供給された清浄な空気を半導体ウェハが装着されたカセット7b内に導き、このカセット7b内を通過させるようにすれば、カセット7b内に装着された半導体ウェハに塵埃等が付着した場合であっても、清浄な空気によってこの塵埃等を半導体ウェハから除去し、開口領域90を介してクリーンボックス3の外部に適切に排出させることができる。
【0154】
なお、この検査装置1において、クリーンボックス3のカセット7bが収容される箇所の側方に設けられた開口領域90は、上述した仕切板70と同様に、2枚のパンチングメタルを重ね合わせ、一方のパンチングメタルを可動にした構成とされていてもよい。この場合には、開口領域90の開口率を自在に変化させることができるので、クリーンボックス3内の気流をコントロールする上で非常に有利である。
【0155】
また、この検査装置1では、図10に示すように、装置本体10の検査用ステージ14が配設された領域と、エレベータ22や搬送用ロボット23、プリアライナ24等が配設された領域との間に、これらの領域を仕切る仕切壁93が設けられている。
【0156】
この仕切壁93は、検査用ステージ14が配設された領域に生じた微細な塵埃等が、エレベータ22や搬送用ロボット23、プリアライナ24等が配設された領域に進入することを防止するためのものであり、具体的には、光学ユニット21を支持する支持部材20の下端部に、所定の高さで上側に立ち上げられた立ち上げ片が一体形成され、この立ち上げ片が仕切壁93とされている。
【0157】
検査装置1は、以上のように、装置本体10の検査用ステージ14が配設された領域と、エレベータ22や搬送用ロボット23、プリアライナ24等が配設された領域との間に、これらの領域を仕切る仕切壁93が設けられることにより、クリーンエアユニット4から供給された清浄な空気を半導体ウェハが装着されたカセット7b内に導くときに、検査用ステージ14が配設された領域に生じた微細な塵埃等が清浄な空気と共にカセット7内に進入してしまうといった不都合を有効に防止することができる。
【0158】
なお、以上の説明では、本発明を適用した検査装置1を、半導体ウェハの欠陥が何であるかを調べるために用いるものとしてきた。しかし、本発明に係る検査装置1の用途は、半導体ウェハの欠陥識別以外の用途にも使用可能である。すなわち、本発明に係る検査装置1は、例えば、半導体ウェハ上に形成したデバイスパターンが、所望するパターン通りに適切な形状に形成されているか否かを検査するのに用いることもできる。更に、本発明に係る検査装置1の用途は、半導体ウェハの検査に限定されるものでもなく、本発明に係る検査装置1は、微細パターンの検査に対して広く適用可能であり、例えば、微細なパターンが形成されたフラットパネルディスプレイの検査などにも有効である。
【0159】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る検査装置では、装置本体部に設けられた検査用ステージの側方に位置するクリーンボックスの側面部の少なくとも一部にパンチングメタルがはめ込まれた開口領域が設けられると共に、検査用ステージの下端部と略等しい高さ位置に、装置本体側に向かって張り出す所定の開口率のパンチングメタルよりなる張出部が設けられ、空気供給部からクリーンボックスの内部に供給された清浄な空気を、被検査物が設置された検査用ステージ上を通過させて、クリーンボックスの外部に排出させるようになされているので、クリーンボックス内の塵埃等を巻き上げた乱気流が検査用ステージ上に進入してくることを有効に防止することができる。また、クリーンボックス内で発生した塵埃等が検査用ステージ上に設置された被検査物に付着することを有効に防止して、装置本体部による被検査物の検査を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した検査装置の外観を示す斜視図である。
【図2】上記検査装置のクリーンボックスの内部に配設された装置本体を図1中矢印A1方向から見た様子を示す図である。
【図3】上記検査装置の装置本体を上側から見た様子を模式的に示す平面図である。
【図4】上記検査装置の一構成例を示すブロック図である。
【図5】上記検査装置の光学ユニットの光学系の一構成例を示す図である。
【図6】上記検査装置で半導体ウェハの検査を行うときの手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】参照画像と欠陥画像とから欠陥を検出する手法を説明するための図である。
【図8】上記検査装置のクリーンボックスとクリーンエアユニットとを分離した状態を模式的に示す斜視図である。
【図9】上記検査装置のクリーンボックスを図2中矢印A2方向から見た様子を示す側面図である。
【図10】上記検査装置の装置本体の斜視図である。
【符号の説明】
1 検査装置、2 クリーンユニット、3 クリーンボックス、4 クリーンエアユニット、5a,5b 送風機、10 装置本体、14 検査用ステージ、21 光学ユニット、22 エレベータ、23 搬送用ロボット、24 プリアライナ、30 可視光用CCDカメラ、31 紫外光用CCDカメラ、32 ハロゲンランプ、33 可視光用光学系、34 可視光用対物レンズ、36 紫外光レーザ光源、37 紫外光用光学系、38 紫外光用対物レンズ、50 外部ユニット、51,52 表示装置、53 入力装置、60 画像処理用コンピュータ、61 制御用コンピュータ、70 仕切板、71,72 パンチングメタル、80 開口領域、81 張出部、90 開口領域、91 傾斜ガイド部、92 設置板、93 仕切壁
Claims (2)
- 被検査物の検査を行う装置本体部と、
上記装置本体部を内部に収容するクリーンボックスと、
上記クリーンボックスの内部に清浄な空気を供給する空気供給部とを備え、
上記装置本体部には、上記被検査物が設置される検査用ステージが設けられていると共に、上記クリーンボックスには、上記検査用ステージの下端部と略等しい高さ位置に、装置本体側に向かって張り出す所定の開口率のパンチングメタルよりなる張出部が設けられ、
上記検査用ステージの側方に位置する上記クリーンボックスの側面部の少なくとも一部に、上記空気供給源から上記クリーンボックスの内部に供給された清浄な空気を、上記検査用ステージ上を通過させて、上記クリーンボックスの外部に排出させるためのパンチングメタルがはめ込まれた開口領域が設けられていること
を特徴とする検査装置。 - 上記装置本体部には、上記被検査物に対して紫外光を照射し、その反射光を検出することで、上記被検査物の検査を行う検査部が設けられていること
を特徴とする請求項1記載の検査装置。
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