JP4084122B2 - 能動型液封防振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用エンジンマウント等に使用される液封防振装置であって、加振手段により入力振動を相殺する能動型液封防振装置に関する。なお、本願において、上下・左右並びに内外等の方向は、図1における図示状態を基準とする。
【0002】
【従来の技術】
このような能動型液封防振装置は公知である(例えば特開平 号参照)。このような能動型液封防振装置の一般的な構造は、主液室の壁の一部を円錐状ゴムのインシュレータで構成し、インシュレータの頂部より振動を入力させるとともに、主液室を構成する壁の一部に設けられて弾性シールにて浮動支持された加振部材を駆動手段にて振動させることにより、入力振動と略同位相の振動を発生させるようになっている。このとき、駆動手段は加振部材を振動方向のいずれか一方へのみ変位するように駆動し、弾性シールを一種のリターンスプリングとして使用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来例におけるような加振部材は駆動手段の出力増大を抑えるため、特定周波数の防振すべき振動に対してのみ加振され、他の周波数では自由にされるように構成されることがある(以下、加振時をアクテイブ時、加振しないときをパッシブ時という)。この場合、アクテイブ時には加振部材を変位させるとき同時にゴムバネとして機能する弾性シールを弾性変形させるため、弾性シールの弾性変形に必要な力が余計に必要になるから、駆動手段の出力を抑える目的では弾性シールのバネ定数をできるだけ低くして弱いバネにすることが望ましい。一方、パッシブ時では、高減衰を実現したり、アクテイブ時の変位量より大きい変位を招くような大振動入力に対して耐久性を上げるためにはできるだけバネ定数を高くして強いバネにすることが望ましい。
すなわち、リターンスプリングとしての弾性シールに求められる特性は、アクテイブ時に低バネであってパッシブ時に高バネとなる相反するものである。このような相反する特性を得ることは極めて困難である。そこで本願発明は係る要請の実現を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願の能動型液封防振装置に係る請求項1は、第1の取付部材と第2の取付部材間を連結するインシュレータを壁部の一部とする主液室を設け、この主液室を形成する壁部の一部に、駆動手段によって振動する加振部を備え、駆動手段により加振部を振動方向のいずれか一方側へ変位させ、リターンバネ手段により加振部材を復帰させるようにした能動型液封防振装置において、前記加振部は、前記駆動手段により直接駆動される加振部材と、この加振部材の周囲を浮動支持する弾性シールとを備え、
前記リターンバネ手段は、前記弾性シールとストッパとを備え、前記弾性シールは前記加振部材の振動にしたがって主としてせん断方向に変形するとともに、
前記ストッパは、前記駆動手段による加振部材の変位方向と逆向きで、前記加振部材の変位量が所定量よりも大きくなるにしたがって非線形的に増大する反発力を発生することを特徴とする。
【0005】
請求項2は上記請求項1において、弾性シール及びストッパがいずれもゴムであることを特徴とする。
【0006】
請求項3は上記請求項1又は2において、前記ストッパが前記加振部材の駆動時変位方向へ突出していることを特徴とする。
【0007】
請求項4は上記請求項1又は2において、前記ストッパが前記加振部材の駆動時変位方向へ逆向きに突出していることを特徴とする。
【0008】
請求項5は上記請求項1又は2において、前記ストッパが前記加振部材の駆動時変位方向及びこれと逆向きにそれぞれ突出していることを特徴とする。
【0009】
請求項6は上記請求項1〜5において、前記ストッパは前記加振部材の変位によって圧縮されることを特徴とする。
【0010】
請求項7は上記請求項6において、前記ストッパは略三角形状断面の山形部を備え、圧縮量に応じてバネ定数が非線形的に変化することを特徴とする。
【0011】
請求項8は上記請求項1〜7において、前記ストッパは前記弾性シールと別体に形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項9は上記請求項1〜8のいずれかにおいて、前記ストッパの当接面側に凹部を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項10は上記請求項9において、前記凹部は前記ストッパの当接面を肉厚未満の深さで横断する通気溝であることを特徴とする。
【0014】
請求項11は上記請求項1において、少なくとも前記ストッパを耐熱性材料としたことを特徴とする。
【0015】
【発明の効果】
請求項1によれば、アクテイブ時には、駆動手段によって変位する加振部材と一緒に弾性シールが主としてせん断方向に変形する。したがってリターンバネ手段は弾性シールによる比較的弱いバネとして機能し、駆動手段の出力増大を抑制できる。
【0016】
一方、パッシブ時には主液室への振動入力に応じて弾性シールが主としてせん断方向に弾性変形するとともに、大きな振動入力によって加振部材の所定変位量よりも大きくなると、ストッパが加振部材の変位方向と逆向きで、かつ変位量にしたがって非線形的に増大する反発力を発生するので、リターンバネ手段は弾性シールとストッパとからなる比較的強いバネとなる。しかもバネ定数が非線形的に変化するので、比較的小さな振動入力に対しては低バネとなり、大きな振動入力に対しては高バネとなって高減衰及び高耐久性を実現する。
【0017】
請求項2によれば、弾性シール及びストッパがいずれもゴムとすることにより容易に製造することができる。
【0018】
請求項3によれば、ストッパを加振部材の駆動時変位方向へ突出させることにより、ストッパを加振部材へ設けることができる。
【0019】
請求項4によれば、ストッパを加振部材の駆動時変位方向と逆向きに突出させることより、ストッパを加振部材と別の場所に設けることができる。
【0020】
請求項5によれば、ストッパを加振部材の駆動時変位方向及びこれと逆向きにそれぞれ突出させることにより、加振部材の振動方向いずれ側に対する変位に対してもストッパとして機能できる。
【0021】
請求項6によれば、ストッパを加振部材の変位によって圧縮される圧縮バネとして用いたので、構造を簡単にできる。しかも非線形的特性を得やすく、かつ高荷重に耐えることができる。
【0022】
請求項7によれば、ストッパを略三角形状断面の山形部とし、圧縮量に応じてバネ定数が変化するようにしたので、非線形的なバネ特性を容易に得ることができる。しかも弾性変形時におけるストッパの歪み率が小さくなるので耐久性が向上する。
【0023】
請求項8によれば、ストッパを弾性シールと別体に形成したので、ストッパのみを変更することにより他の部分を共通化でき、仕様変更が容易になる。また、ストッパと弾性シールをトータルのリターンバネとしてチューニングすることが容易になる。そのうえ、弾性シールの成形条件に関係なく形成できるので形状の自由度が高くなる。さらにストッパを弾性シールに対して、バネ弾性や耐摩耗性等の関連する種々の物性並びに材料等を目的に応じて自由に異ならせることができ、材料や物性の組合せにおける自由度も高くなる。
【0024】
請求項9によれば、ストッパの当接面側に凹部を設けたので、この凹部によりストッパが最初に圧縮される部分のバネを弱くするため、圧縮時における非線形的バネ特性をさらに顕著化できる。
【0025】
請求項10によれば、ストッパの当接面側に肉厚未満の深さで横断する連通溝を凹部として形成したので、この連通溝により圧縮時における非線形的バネ特性をさらに顕著化できるとともに、ストッパで仕切られる空間の内外を連通するから、加振部材の作動時における空気をスムーズに逃がして良好な作動性を確保できる。
【0026】
請求項11によれば、少なくともストッパを耐熱性にしたので、エンジンの輻射熱や防振装置自体の発熱によって高熱する使用環境であっても耐久性を良好にできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は、実施例としての自動車用エンジンマウントにおける全断面を示し、図2はそのバネ特性を示すグラフである。図1において、このエンジンマウント1は、図示省略のエンジン側へ取付けられる第1取付部材2と、やはり図示省略の車体側へ取付けられる第2取付部材3と、この間に介在されるインシュレータを備える。
【0028】
インシュレータ4は、ゴム等の適宜弾性材料からなる防振ゴム等の防振用弾性体であり、第1取付部材2からの入力振動を吸収するための所定のバネ定数を有し、全体として略円錐状をなし、頂部に第1取付部材2を一体化するとともに、裾部周囲を第2取付部材3へ連結している。
【0029】
これら第1取付部材2、第2取付部材3、インシュレータ4の間に非圧縮性液体が封入された液室が形成され、その内部に設けられた仕切壁5により、インシュレータ4側の主液室6と、仕切壁5を挟んでその反対側となる加振室7に区画する。仕切壁5は金属や樹脂等の適宜材料からなり、本実施例ではアルミ合金の鋳造品である。
【0030】
主液室6と加振室7は仕切壁5の中央に形成された絞り通路8により連通しており、主液室6にはインシュレータ4が臨んで主液室6を構成する壁の一部をなしている。
【0031】
加振室7の底部には、加振部材10が設けられる。加振部材10は鉄等の強磁性体もしくはアルミ等の金属や樹脂等の非磁性体材料で形成された略カップ状をなす。このとき構成材料を鉄にすると連結するアーマチュア(後述)が同系材料のとき、熱膨張率を近似させることができるので、長期使用時における信頼性を向上させることができる。また加振部材10は主たる振動方向Zから見て円板状をなすとともに、その周囲を同じく略円板状をなす弾性シール11によって浮動支持されている。
【0032】
弾性シール11はゴム材料からなり、加振部材10と後述する第2の取付部材3へ固定されて一体となる部材とを連結し、加振部材10の主ある振動の入力方向Zに平行な上下への変位に伴って、主としてせん断方向に弾性変形するリターンスプリングとして加振部材10を振動可能に支持するとともに、加振室7の液漏れを防止している。このゴム材料はゴムバネとして機能できる公知の種々なものを使用できる。
【0033】
弾性シール11の内周側は周壁状をなす加振部材10の外周部12をくるむように焼き付け一体化され、外周部12の上下に弾性シール11と一体の上ストッパ13及び下ストッパ14がそれぞれ上下へ突出して設けられている。これらの上ストッパ13及び下ストッパ14はそれぞれ、外周部12を覆う弾性シール11と連続するゴム部で形成される略三角形断面の山形部である。
【0034】
加振部材10のZ方向における上下への変位に伴って、上ストッパ13は尖った先端部から仕切壁5へ押し当てられ、下ストッパ14はアクチェータ15に設けられたベアリング16の受け部16aの上面へ押し当てられるようになっている。この押し当てにより上ストッパ13及び下ストッパ14はそれぞれ圧縮されて反発力を発生し、この反発力は加振部材10の変位量が増大することに伴う圧縮量の増大にしたがって徐々に増大することになる。
【0035】
すなわち上ストッパ13及び下ストッパ14のうち少なくともいずれかが弾性シール11とともにリターンバネ手段を構成し、このリターンバネ手段に非線形的バネ特性を与えるようになっている。なお本実施例のように加振部材10を図の下方側へのみ変位させるように駆動する形式では、下ストッパ14が弾性シール11とともにリターンバネ手段を構成することになる。
【0036】
なお、これら上ストッパ13及び下ストッパ14の圧縮開始は、厳密にはリターンバネの一部として実質的に機能する程度のバネ力を発生する程度の圧縮段階からであり、加振部材10の変位量が所定量を超えたとき、例えば、アクテイブ時の加振部材10について予め設定された変位量より大きくなったときから開始させる。一方、所定の変位量まではバネ力が発生しないか又は発生しても極微少であってリターンバネとして弾性シール11のバネ力よりもかなり弱くなるようにする。このような作用を実現する初期設定として例えば、加振部材10が中立位置にあるとき、すなわち図の上下方向へ振動して移動していない状態において、所定の変位量分だけ上ストッパ13及び下ストッパ14の各先端とその接触相手との間に所定のクリアランスを予め設けておくことができる。
【0037】
但し、このような初期設定は任意であり、接離時の打音を生じなうようにするためには、当初から上ストッパ13及び下ストッパ14の各尖った先端部を仕切壁5又は受け部16へ軽く押し当てておき、所定の変位量までは弾性シール11のバネがトータルのリターンバネにおける主体をなす程度に、これら上ストッパ13及び下ストッパ14の圧縮量があまり大きくならないようしておき、所定の変位量を境にして圧縮量を急激に増大させるようにしてもよい。このような変化は上ストッパ13及び下ストッパ14をそれぞれ略三角形断面の山形状とすることにより容易に実現可能になる。本実施例ではこのような当初から接触する構成を採用している。
【0038】
加振部材10は中心線Cに沿って上下方向へ移動自在の鉄等の強磁性体金属製アーマチュア17と一体化しており、このアーマチュア17を介してソレノイド等の適宜なアクチュエータ15により図の下方向へ変位駆動され、かつリターンバネ手段により逆方向へ戻し変位されることにより振動して加振室7中に液体流動を発生させる。アクチュエータ15の駆動は、マイコン等の制御装置18により制御される。アクチュエータ15、アーマチュア17及び制御装置18は駆動手段を構成する。なお、アーマチュア17はアクチュエータ15の外部被覆19内に一体化された受け部16aに保持されたメタルベアリング16の内周面を摺動するようになっている。
【0039】
この駆動手段はプル型であり、第1の取付部材2からの振動入力により主液室6の液圧が上昇するとき(以下、正入力という)、アクチュエータ15によりアーマチュア17を介して加振部材10を図の下方へ移動させることにより液圧上昇をキャンセルし、逆に主液室6の液圧が減少するとき(以下、負入力という)アーマチュア17の引きを解放してリターンスバネ手段の弾性力により加振部材10を図の上方へ戻して主液室6の液圧変動を抑制する。このとき第1取付部材2に対する防振すべき振動の入力に対して、加振部材10を略同位相で加振すれば、加振室7中にて液体流動を発生させる。但し、駆動手段を逆のプッシュ型にすることもできる。
【0040】
弾性シール11の外周部は、フランジ金具20の中央に設けられた筒部21へ焼き付け一体化され、筒部21から半径方向外方へ伸びるフランジ22は、第2の取付部材3を構成する基部筒金具23の上部フランジ24とインシュレータ4の外周部へ一体化された筒状金具25の下端部との間に挟持される。
【0041】
基部筒金具23の上部フランジ24と筒状金具25の上端フランジ26は上部筒金具27により連結一体化される。このとき上部筒金具27の上下方向両端を折り曲げることにより各フランジを挟み、かつ当接部の適当位置を溶接する。
この一体化により仕切壁5の外周部は、インシュレータ4とフランジ金具20のフランジ22上に挟まれて固定される。なお仕切壁5の外周部に対するインシュレータ4の接触は上下2段になっている。
【0042】
上端側はインシュレータ4の内周面下部に設けられた段部28と密接し、段部28と一体のシール突起28aでシールされる(図中の拡大部参照)。また下端部側は、筒状金具25のに内面に沿って形成される内側被覆29の下端を押し当てることにより、内側被覆29と一体のシール突起29aでシールされる(図中の拡大部参照)。またフランジ22上には弾性シール11と連続一体の被覆層30が設けられ、この部分でフランジ22と仕切壁5の外周下端部との間をシールするようになっている。
【0043】
仕切壁5は樹脂等の適宜材料からなる略リング状をなし、その外周部は上下方向幅を大きくされ、その肉厚内には周方向へ形成され外周側を開放した周溝が形成され、この開放部を内側被覆29で閉じることにより周溝内がダンピングオリフィス通路31をなしている。ダンピングオリフィス通路31は外周部内を上下に重なってらせん状に回っており、一部を開口32により主液室6中へ連通し、他端を第2取付部材3の側壁に形成された出口33より第2取付部材3の外周部に形成された副液室34へ連通している。
【0044】
副液室34を構成するハウジング35内にはダイヤフラム36が設けられ、副液室34の液量変動を補償し、主液室6の容積変動に追随して伸縮変形するようになっている。ダイヤフラム36の副液室34側と反対側の面は通気孔37を介して大気開放されている。
【0045】
仕切壁5の中央部には中心線Cと直交方向へ広がる仕切部38をなし、その中央に絞り通路8が形成されている。仕切部38は絞り通路8部分を除き、加振室17の上方側を覆っており、かつ下面は上ストッパ13が押し当てられる部分である。
【0046】
仕切部38は仕切壁5における周囲部分の上下方向端部よりその中間部高さ位置まで引き込まれた状態で形成され、仕切部38の上側と仕切壁5の外周部上端との間はアール部40で結ばれる。また仕切部38の下側と仕切壁5の外周部下端との間は、斜面41と環状壁42で結ばれ、加振部材10の上部側が収容される空間を形成する。環状壁42はフランジ金具20における筒部21の周囲を囲んでいる。
【0047】
なお、符号43は加振部材10及び弾性シール11等の上下動を可能にするための作動空間であり、加振部材10及び弾性シール11とアクチュエータ15との間に形成され、基部筒金具23の側面に形成された通気孔44を介して大気開放されている。
【0048】
次に、本実施例の作用を説明する。アクテイブ時において、第1取付部材2へ例えば30Hz程度のアイドル振動が防振すべき振動として入力するとき、これを打ち消すべくアクチュエータ15により加振部材10を略同位相かつ防振すべき振動と同じ周波数で加振する。これにより主液室6の内圧変動を吸収する。
【0049】
このとき、インシュレータ4と弾性シール11及びストッパ(13,14)は並列のバネとして機能し、そのうちの弾性シール11及びストッパ(13,14)はリターンバネ手段として機能するが、この段階ではストッパ(13,14)はあまり圧縮されないため、リターンバネ手段として主体的に機能するのは弾性シール11のみとなる。しかもそのバネは主としてせんだん方向の弾性変形に伴うものであるから比較的低いバネ定数の弱いものとなる。したがって、駆動手段に対する負荷が小さくなるから、アクチュエータ15の出力増大を抑制できる。
【0050】
一方、パッシブ時において、防振すべき振動以外の振動入力に対しては、アクチュエータ15が加振部材10をフリーにするため、加振部材10を浮動支持する弾性シール11が主液室6から伝達される加振室7の液圧変化に応じて弾性変形することにより、加振部材10は弾性シール11の弾性変形と一緒になって図の上下方向へ移動する。
【0051】
このとき、比較的変位量が小さな小振動では、弾性シール11による主としてせん断方向の弾性変形により対応し、良好な乗り心地を得ることができる。次第に入力振動が大きくなり、所定の変位量を超えると、下ストッパ14が受け部16へ強く押し当てられて圧縮量が急激に増大される。この急激な圧縮に伴う反発力が加振部材10に対して変位を規制するべく加振部材10」の変位方向と逆向きに発生し、弾性シール11のバネ力に対して無視できない大きさからさらには弾性シール11のバネ力を越える程までに増大するので、リターンバネ手段全体としてのトータルバネ定数は急激に大きくなり、非線形的なバネ特性を与えることになる。
【0052】
しかも、下ストッパ14は略三角形断面の山形部をなし、尖った先端部から押し当てられるから、変位量の増大に伴って圧縮量が急激に増大し、バネ定数の非線形的な変化をより、急激かつ継続的そのうえ容易に行うことができる。すなわち略三角形断面または山形状をなすことによって、一定変位量に対する圧縮体積の割合である歪み率が、例えば直方体等と比べれば著しく小さくなり、これによってバネ定数の非線形的変化を実現する。このため、比較的大きな振動入力に対しては高バネとなり、減衰の必要は周波数域の振動にはダンピングオリフィス通路31の共振効率を向上させて高減衰を実現できる。また、大振動入力に対しては、変位の割合を相対的に低くするので、耐久性を向上できる。
【0053】
このとき、上ストッパ13は、リターンバネとしては機能せず、戻り時における上方向への大きな振れを規制する程度の作用をするだけである。しかしこのような戻り側の振れに対しても、その大きさに応じて非線形的に変化するバネにより対応できる。また、駆動手段を逆のプッシュ型にするときはリターンバネとして機能できる。
【0054】
図2はこのバネ特性を示すグラフであり、縦軸にリターンバネ手段に発生する反発力(N)、横軸に変位量(mm)を示す。この図において明らかなように、弾性シール11のバネ定数はほぼ一定であり、バネはほぼ線形となる。これに対して下ストッパ14のバネ定数は変位と共に変化するため、バネ特性は非線形的になる。そこで、これらを連成したリターンバネ手段全体のバネ特性は、図の実線で示すように顕著な非線形を示すことができる。
【0055】
次に、第2実施例を説明する。なお、前実施例と共通する部分には共通符号を用い、重複説明を省略する。図3は第2実施例に係る図1と同様の図、図4は下ストッパ部分の拡大図、図5は図4の5−5線相当断面図である。本実施では下ストッパ14を弾性シール11と別体部材としてある。この下ストッパ14は、例えば耐熱処方の天然ゴムや公知の種々な合成ゴム等の耐熱性弾性材料で構成される。なお、上ストッパ13及び弾性シール11も同様の耐熱性構造にすることができる。さらにはこれらに耐薬品性、耐油性等の特性を加えても良い。
【0056】
本実施例の下ストッパ14はフランジ金具50を覆って一体に形成される。フランジ金具50は外向きフランジ部51、その先端に形成されて上方へ折り返えされた外周壁52及び外向きフランジ部51の内周端から上方へ突出する筒部53を備える。筒部53は加振部材10の外周下部に形成された小径の段部54へ圧入やカシメ等の適宜手段により固定されて一体化される。なお、本実施例では下ストッパ14が外側被覆19上に当接している。
【0057】
図中の拡大部に示すように、下ストッパ14の下面(すなわちアクチュエータの外部被覆19に対する当接面)側には放射方向へ横切る間隙55により周方向を分断されている。この下ストッパ14によってアーマチュア17の周囲を区画して形成された下部室56とその径方向外側空間を連通する。下ストッパ14はフランジ金具50を覆うフランジ被覆57と連続して形成されている。フランジ被覆57は外向きフランジ部51の上面、並びにこの外向きフランジ部51に対面する外周壁52及び筒部53の表面を一体に覆い、その一部が外周壁52の外側を回って下ストッパ14へ連続している。
【0058】
図4は下ストッパ14部分を図3の下方から示したものである。この図に明らかなように、下ストッパ14の下面側は周方向へほぼ等間隔で配列されたブロック状をなし、例えば、図示する6個のように任意の複数個設けられる。隣り合う下ストッパ14の間は下ストッパ14と略同幅の間隙55が設けられている。なお、このようにブロック状とせず全周に連続する単一のリング状にすることもできる。
【0059】
間隙55は下ストッパ14の非線形的バネ特性を顕著にすることを目的にする凹部の一例として設けられ、同時に下部室56とその周囲の外側空間との連通性を確保して、下ストッパ14が外側被覆19へ接触したとき下部室56への空気閉じ込めを回避し、図の上下方向へ移動するアーマチュア17の作動性を良好に確保することを可能にする。また間隙55は必ずしも下部室56を外部へ連通するように設ける必要はなく、非線形的バネ特性だけを狙う場合には、下部室56と外部とを連通しない単なる凹部を形成して部分的に圧縮し易くしただけのものでもよい。
【0060】
図4及び5に明らかなように、間隙55の底部58における中央部には放射方向へ横切る比較的浅くかつ狭いスリット状の連通溝59が形成されている。この連通溝59は下ストッパ14が全圧縮されたときでも下部室56を外部と連通させるためのものであり、その幅及び深さはは圧縮時の通気性を確保できるものであれば任意であり、その数も任意である。場合によっては連通溝59を省略することもできる。
【0061】
図5に示すように、間隙55の幅及び深さは後述する非線形的バネ特性を考慮した任意のものでよく、下ストッパ14を必要なバネが得られる大きさにすることにより自ずから定まる。但し深さhは下ストッパ14の肉厚H未満であり、h/Hが1/10〜9/10程度が好ましく、1/3〜1/2程度であればバネのバランスを取り易くてより好ましい。
【0062】
このように下ストッパ14を弾性シール11及び上ストッパ13と別体にすると、下ストッパ14のゴム材料を変更して弾性シール11と異なるバネ特性等を得る等、下ストッパ14を弾性シール11に対して、バネ弾性や耐摩耗性等の関連する種々の物性並びに材料等を目的に応じて自由に異ならせることを容易にでき、材料や物性の組合せにおける自由度も高くなる。また下ストッパ14のみを必要により交換できるから、下ストッパ14のバネ特性やサイズ等を適宜変更することにより、他の部分の仕様を共通にでき、種々の特性要求に対して容易に対応可能になり、製造上有利になる。
【0063】
また、下ストッパ14を単独で自由に調整できるため、下ストッパ14と弾性シール11をトータルのリターンバネとしてチューニングすることがより容易になる。そのうえ、弾性シール11の成形条件に関係なく形成できるので形状の自由度が高くなる。しかも、下ストッパ14及び弾性シール11や上ストッパ13等のゴム部を耐熱性にしたので、エンジンの輻射熱や防振装置自体の発熱によって高熱する使用環境であっても耐久性を良好にできる。
【0064】
そのうえ、図4及び5に明らかなように、各下ストッパ14の先端側を間隙55によって周方向に分断したので、全周を連続させた場合と比べて、下ストッパ14の先端側部分は特にバネが弱くなる。したがってまず間隙55の深さまで比較的小さな荷重で圧縮され、この変形が間隙55の深さになると、間隙55の底部58をなす下ストッパ14の基部全体が圧縮するので急激にバネが上がる。したがって非線形的バネ特性をさらに顕著化できる。
【0065】
しかも、間隙55及び通気溝59を設けたので、下ストッパ14が比較的圧縮量の小さいときは間隙55により通気を確保するとともに、間隙55がふさがるような大きな圧縮時においてもなお通気溝59で通気を確保できる。したがって圧縮量がより広範囲に変化しても連通性を確保でき、加振部材10の作動時における空気をスムーズに逃がすので良好な作動性を確保できる。
【0066】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず種々に変形や応用が可能であり、例えば、第1実施例において、上ストッパ13又は下ストッパ14のいずれか一方を省略することもできる。但し、上ストッパ13省略する場合はプル型の駆動手段のとき有効であり、下ストッパ14を省略するときは、プッシュ型の駆動手段のとき有効である。また、第2実施例の間隙55の構造及び耐熱性構造を第1実施例に適用することもできる。さらに耐熱性構造は最も高熱部分側へ接触する機会の多い部分を対象とすれば効果的であり、少なくともストッパ(上記実施例では下ストッパ14)を耐熱性にすればよい。
【0067】
また、これらのストッパを圧縮バネではなく、引っ張りバネとして設けることもできる。さらにゴムではなく、金属や樹脂のバネもしくは弾性体を用いてもよい。そのうえ、ストッパを必ずしも加振部材10側へ設けなくともよく、加振部材10の変位方向に存在する部材、例えば、仕切壁5やアクチュエータ15側に設けることもできる。さらに用途としては、エンジンマウント以外にも種々な振動伝達経路における振動遮断用防振装置として利用できる。また、振動源へ取付けてその制振器として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係るエンジンマウントの全断面図
【図2】作用を示すグラフ
【図3】第2実施例に係る図1と同様の図
【図4】下ストッパ部分の拡大図
【図5】図4の5−5線相当断面図
【符号の説明】
1:エンジンマウント、2:第1取付部材、3:第2取付部材、4:インシュレータ、5:仕切壁、6:主液室、7:加振室、10:加振部材、11:弾性シール、13:上ストッパ、14:下ストッパ、15;アクチュエータ、55:間隙、59:通気溝

Claims (11)

  1. 第1の取付部材と第2の取付部材間を連結するインシュレータを壁部の一部とする主液室を設け、この主液室を形成する壁部の一部に、駆動手段によって振動する加振部を備え、駆動手段により加振部を振動方向のいずれか一方側へ変位させ、リターンバネ手段により加振部材を復帰させるようにした能動型液封防振装置において、
    前記加振部は、前記駆動手段により直接駆動される加振部材と、この加振部材の周囲を浮動支持する弾性シールとを備え、
    前記リターンバネ手段は、前記弾性シールとストッパとを備え、
    前記弾性シールは前記加振部材の振動にしたがって主としてせん断方向に変形するとともに、
    前記ストッパは、前記駆動手段による加振部材の変位方向と逆向きで、前記加振部材の変位量が所定量よりも大きくなるにしたがって非線形的に増大するよう反発力を発生することを特徴とする能動型液封防振装置。
  2. 上記請求項1において、弾性シール及びストッパがいずれもゴムであることを特徴とする能動型液封防振装置。
  3. 上記請求項1又は2において、前記ストッパが前記加振部材の駆動時変位方向へ突出していることを特徴とする能動型液封防振装置。
  4. 上記請求項1又は2において、前記ストッパが前記加振部材の駆動時変位方向へ逆向きに突出していることを特徴とする能動型液封防振装置。
  5. 上記請求項1又は2において、前記ストッパが前記加振部材の駆動時変位方向及びこれと逆向きにそれぞれ突出していることを特徴とする能動型液封防振装置。
  6. 上記請求項1〜5において、前記ストッパは前記加振部材の変位によって圧縮されることを特徴とする能動型液封防振装置。
  7. 上記請求項6において、前記ストッパは略三角形状断面の山形部を備え、圧縮量に応じてバネ定数が非線形的に変化することを特徴とする能動型液封防振装置。
  8. 上記請求項1〜7において、前記ストッパは前記弾性シールと別体に形成したことを特徴とする能動型液封防振装置。
  9. 上記請求項1〜8のいずれかにおいて、前記ストッパの当接面側に凹部を設けたことを特徴とする能動型液封防振装置。
  10. 上記請求項9において、前記凹部は前記ストッパの当接面を肉厚未満の深さで横断する通気溝であることを特徴とする能動型液封防振装置。
  11. 上記請求項1において、少なくとも前記ストッパを耐熱性材料としたことを特徴とする能動型液封防振装置。
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