JP4084052B2 - シーリング材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーリング材組成物に関し、特に、架橋性シリル基含有有機重合体とアミン化合物とを含有するシーリング材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
シーリング材は、建築物等の外壁材のシールに用いられている。シーリング材としてはシリコーン系、ポリサルファイド系、変性シリコーン系、ウレタン系が主に使用されている。この中で、外壁用としてはポリサルファイド系、変性シリコーン系、ウレタン系が主に使用されるが、耐候性、作業性の面で変性シリコーン系のシーリング材である変性シリコーンシーラントが好適に使用されている。しかし、従来の変性シリコーンシーラントにおいては、硬化後の表面に表面タックが存在しており、外壁材等として使用した場合、砂などが容易に付着してしまうという問題点があった。
【0003】
上記問題点に対して、特開平5−65400号公報には、光硬化性物質を添加する方法が記載されているが、機能発現までに時間がかかるといった問題が生じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の変性シリコーンシーラントで問題であった硬化後の表面タックのない、変性シリコーン系のシーリング材組成物の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を解決すべく、変性シリコーンを含有するシーリング材組成物に、更にアミン化合物を含有させることを検討した。
特開平9−100408号公報、および特開2001−164237号公報には、シーラントの艶消しなどの目的のためにアミン化合物を添加する方法が記載されている。本発明者が上記公報に記載されているアミン化合物について検討した結果、これらのアミン化合物には表面タックを減少する効果があることが分かったが、着色や、高温多湿でアミン化合物の急速なブリードが発生するなどのシーラントの美観を損なう問題が依然として残っていた。
本発明者は、更に種々のアミン化合物について検討した結果、架橋性シリル基含有有機重合体と、特定のアミン化合物とを含有するシーリング材組成物が、硬化後の表面タックがないことを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、下記(1)〜(4)に記載のシーリング材組成物を提供する。
【0006】
(1)架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、1分子中に2つ以上の1級アミノ基を有し、炭酸ガスとの反応が、20℃、60%RHの大気中において24時間で、10%以上(アミノ基を基準)である脂環式、ヘテロ環および芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有するアミン化合物(B)と、下記式(1)で表されるシロキサンを繰返し単位とするシリコーンとを含有するシーリング材組成物。
【化3】
(式中、R 1 は炭素数1〜6の炭化水素基であり、R 2 はメチル基、エチル基およびフェニル基から選ばれる炭化水素基である。nは1〜100の整数を表す。複数のR 1 およびR 2 は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
【0007】
(2)前記アミン化合物(B)が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)であることを特徴とする上記(1)に記載のシーリング材組成物。
【0011】
(3)更に、ポリイソシアネートとアルコールとの反応物である下記式(2)で表される化合物により表面処理された炭酸カルシウムを含有していることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のシーリング材組成物。
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、R3 はポリイソシアネート残基、R4 は炭素数8以上のアルキル基を少なくとも1つ含有するヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基、mは1〜4の整数を表す。複数のR4 は同一であってもよく、異なっていてもよい。)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のシーリング材組成物について詳細に説明する。
本発明のシーリング材組成物は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、1分子中に2つ以上の1級アミノ基を有し、炭酸ガスとの反応が、20℃、60%RHの大気中において24時間で、10%以上(アミノ基を基準)である脂環式、ヘテロ環および芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有するアミン化合物(B)と、上記式(1)で表されるシロキサンを繰返し単位とするシリコーンとを含有するシーリング材組成物である。
【0015】
ここで、上記架橋性シリル基とは、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するシリル含有基やシラノール基のように湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒などを使用することにより縮合反応を起こす基のことであり、代表的なものを示すと、例えば、下記一般式(3)で表される基が挙げられる。
【0016】
【化5】
【0017】
式中、R5 およびR6 は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R7 )3 SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R5 またはR6 が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
ここで、R7 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR7 は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。
また、p個の下記式(4)で表される基におけるbは異なっていてもよい。pは0〜19の整数を示す。但し、a+p×b≧1を満足するものとする。
【0018】
【化6】
【0019】
上記Xで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという理由からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
架橋性シリル基の中で、下記式(5)で表される架橋性シリル基が、入手容易の点から好ましい。下記式(5)中、R6 、X、aは上述のR6 、X、aと同義である。
【0020】
【化7】
【0021】
上記一般式(3)におけるR5 およびR6 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、R3 がメチル基やフェニル基などである(R7 )3 SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げられる。R5 、R6 、R7 としてはメチル基が特に好ましい。
【0022】
したがって、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、主鎖中あるいは末端および/または側鎖に、上記式(3)で表される架橋性シリル基を少なくとも1つ有する有機重合体であれば特に限定されない。例えば、シリル基含有ポリエーテル、シリル基含有ポリエステル、シリル基含有ビニル系重合体、シリル基含有ポリエステル変性ビニル系重合体、シリル基含有ジアリルフタレート系重合体、シリル基含有ジアリールフタレート系重合体、シリル基含有ポリイソブチレン、シリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体、主鎖が有機シロキサンを含有していてもよいシリル基含有有機ポリシロキサン系重合体、およびこれらの混合物等のシリル基含有有機重合体が挙げられる。
【0023】
これらのうち、架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、上記シリル基含有ポリエーテルである場合、主鎖のポリエーテルとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどを原料物質として、カチオン重合、アニオン重合の方法を用いて製造されるものなどである。
架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、上記シリル基含有ポリエステルである場合には、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸などのカルボン酸、その無水物、そのエステルまたはハロゲン化物と、化学量論的過剰のエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのポリオールとを反応させることにより調整されるポリエステルポリオール類、またはラクトン類の開環重合により得られるラクトンポリオール類などが有用なポリエステルが主鎖として用いられる。
架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、シリル基含有ポリイソブチレンやシリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体である場合、主鎖としては、それぞれ、特開平4−154816号公報、および特開2001−31719号公報に記載された方法により製造されたものが用いられる。
【0024】
また、上記架橋性シリル基は、シーリング材の硬化性や硬化後の物性等の点から、本発明において、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の分子内に1〜5個含まれているのが好ましい。
さらに、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の数平均分子量は1000以上であることが好ましく、6000〜30000であることがより好ましい。数平均分子量がこの範囲であると、シーリング材組成物の硬化前の粘度が低いので取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が好適であるため好ましい。
これらより、架橋性シリル基含有有機重合体(A)として、好適に例示される具体例としては、鐘淵化学工業(株)社製のMSポリマーやサイリル、エピオン、旭硝子(株)社製のエクセスター等が挙げられる。
【0025】
上記アミン化合物(B)は、1分子中に2つ以上の1級アミノ基を有し、炭酸ガスとの反応が、20℃、60%RHの大気中において24時間で、10%以上(アミノ基を基準)である脂環式、ヘテロ環および芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有するアミン化合物である。
ここで、炭酸ガスとの反応が、20℃、60%RHの大気中において24時間で、10%以上(アミノ基を基準)であるとは、アミン化合物150mgを2cm2 の広さにひろげた後、20℃、60%RHの大気中において放置し、下記式(6)に示す炭酸ガスとの反応によるカルバミン酸の生成収率が、24時間で10%以上であるということである。
【0026】
【化8】
【0027】
式中、Rはアミン化合物のアミノ基の残基を表す。
また、上記カルバミン酸の生成収率は、炭酸ガスとの反応前のアミン化合物の重量と反応24時間後のアミン化合物の重量より求められ、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。カルバミン酸の生成収率がこの範囲であることが、硬化後の表面タックがなくなるという理由から好ましい。これは、アミン化合物と空気中の炭酸ガスとの反応により生成する結晶性のカルバミン酸のシーリング材組成物表面における保護膜としての形成が十分となるためである。
【0028】
また、アミン化合物(B)は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)の分子内を移動することが可能なアミン化合物であることが好ましい。アミン化合物(B)として、分子内移動が可能なアミン化合物を用いることにより、シーリング材組成物の表面に該アミン化合物を析出させることが可能となり、炭酸ガスとの反応が促進される。
【0029】
これらより、アミン化合物(B)の具体例としては、例えば、1,3−キシリレンジアミン、下記式(7)で表される4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、および下記式(8)で表されるジャパンエポキシレジン(株)社製のエポメートF100が好適に挙げられる。これらのうち、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)を用いることが、加熱老化後の着色点が優れる理由から好ましい。
【0030】
【化9】
【0031】
本発明のシーリング材組成物は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)、およびアミン化合物(B)を以下の割合で含有している。
本発明のシーリング材組成物は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)100重量部に対して、アミン化合物(B)を0.2〜5.0重量部、好ましくは0.5〜3.0重量部含有するシーリング材組成物である。
【0032】
さらに、本発明のシーリング材組成物は、下記式(1)で表されるシロキサンを繰返し単位とするシリコーンを0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部含有することが、硬化後の引張接着性、モジュラス等の物性の点から好ましい。
【0033】
【化10】
【0034】
式中、R1 は炭素数1〜6の炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。R2 はメチル基、エチル基およびフェニル基から選ばれる炭化水素基であり、メチル基であることが好ましい。また、nは1〜100の整数を表す。nが2〜100の整数である場合、複数のR1 およびR2 は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0035】
本発明のシーリング材組成物をシーリング材に使用する場合には、本発明の効果を損なわない範囲で充填剤、硬化触媒、可塑剤、脱水剤、補強剤、垂れ防止剤、着色剤(顔料)、老化防止剤、接触促進剤などを配合してもよい。
充填剤は機械物性を調整するために各種の充填剤を配合することができ、一般には、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カーボンブラックなどが用いられ、これらのうち、炭酸カルシウムを配合することが好ましい。炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウムや、脂肪酸、脂肪酸エステル、樹脂酸等で表面処理された炭酸カルシウムを用いることができる。充填剤の活性、粒子形状、pH、表面処理の有無などにより、貯蔵安定性、硬化速度、物性、発泡に与える影響が大きく、種類、量の決定には注意する必要がある。
本発明のシーリング材組成物は、特に、ポリイソシアネートとアルコールとの反応物である下記式(2)で表される化合物により表面処理された充填剤を配合していることが好ましい。
【0036】
【化11】
【0037】
式中、R3 はポリイソシアネート残基であり、R4 は炭素数8以上、好ましくは18以上のアルキル基を少なくとも1つ含有するヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数8以上、好ましくは18以上のアルキル基であることが好ましい。mは1〜4の整数を表し、mが2〜4の整数である場合、複数のR4 は同一であってもよく、異なっていてもよい。
ポリイソシアネートとアルコールとの反応物である上記式(2)で表される化合物において、ポリイソシアネートとアルコールを反応させる際の両者の量比は、ポリイソシアネートのイソシアネート基1個当たり、アルコールの水酸基を0.9〜1.1個の範囲で反応させることが可能であり、1.0〜1.1個とすることが好ましい。反応温度および反応圧には、通常のウレタンゴム製造時のそれが採用でき、反応温度10〜100℃程度で常圧下に、ポリイソシアネートとアルコールを反応させることより、上記式(2)で表される化合物を製造することができる。
【0038】
ここで、上記ポリイソシアネートは置換基に少なくとも1個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルエタン−4,4−ジイソシアネート(MDI)およびこれらの変性品、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)が挙げられ、これらの各ポリイソシアネートは単独で使用することができるほか、2種以上を併用することもできる。これらのうち、経済的な理由からTDI、MDIを用いることが好ましい。したがって、上記式(2)におけるR3 は、TDI残基まはたMDI残基であることが好ましい。
また、上記アルコールは、炭素数8以上、好ましくは18以上のアルキル基を少なくとも1つ含有するヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を有するアルコールであれば特に限定されない。中でも、炭素数8以上、好ましくは18以上のアルキル基を有するアルコールであることが好ましい。具体的には、例えば、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノールなどが挙げられる。これらのうち、オクタデカノールを用いることが、充填剤の表面を疎水性にできる理由から好ましい。
したがって、本発明のシーリング材組成物は、上記式(2)で表される化合物により表面処理された炭酸カルシウム(以下、表面処理炭酸カルシウムともいう)を含有していることが好ましい。上記式(2)で表される化合物は、ウレタン結合を有するため、炭酸カルシウムの表面と水素結合により強固に密着し、炭酸カルシウムの表面を疎水性にする。よって、本発明のシーリング材組成物に上記表面処理炭酸カルシウムを含有させると、上記アミン化合物(B)のシーリング材組成物中における分子移動が活発となり、該アミン化合物(B)をシーリング材組成物の表面に析出させ、空気中の炭酸ガスとの反応を促進させることが可能となる。脂肪酸エステルによる処理でも上記効果は得られるが、上記式(2)で表される化合物は、脂肪酸エステルよりも強固に炭酸カルシウムの表面に密着するため、より大きな効果が得られる。
【0039】
硬化触媒としては、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉄、オクタン酸マンガン、オクタン酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ブタン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫のようなカルボン酸金属塩;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、酸化ジブチル錫とフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫(トリエトキシシロキシ)のような有機錫化合物;ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート))のような錫キレート化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、テトライソプロペニルオキシチタンのようなチタン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタントリス(アセチルアセトナート)のようなチタンキレート化合物;テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムステアレートのようなジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)のようなジルコニウムキレート化合物;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウムのようなアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)のようなアルミニウムキレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンのような第1級アミン;ジブチルアミンのような第2級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミンのようなポリアミン;トリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルホルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンのような環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのようなアミノフェノール化合物などのアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタートのような第四級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;ならびに3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル(メチル)トリメトキシシランなどのアミノ基含有シランなどが例示される。その他、シリル基の加水分解および/または縮合反応に有効な公知の化合物を用いることができる。また、硬化触媒の成分は、上記例示した硬化触媒のうち、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
これらのうち、保存および取扱い中に揮発しにくいことから、金属化合物が好ましく、中でも微量の配合で優れた触媒能が得られることから、有機錫化合物、錫キレート化合物およびチタン酸エステルが好ましい。
【0041】
可塑剤は粘度、および物性調整に使用され、一般には、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸等の誘導体をはじめ、アクリルオリゴマー、ポリプロピレングリコール、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系等のものが挙げられる。
【0042】
脱水剤の具体例としては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリエチルなどの加水分解性エステル化合物;または、ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジメトキシブタン;または、エチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、メチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、メチルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン等のアミノシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシランなどが挙げられる。これらのうち、脱水効果の点から、アミノシラン、ビニルシランを用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0043】
着色剤(顔料)としては、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
老化防止剤の具体例としては、一般に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が適宜用いられる。例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の各化合物が挙げられる。
【0044】
該シーリング材組成物の製造方法は特に限定されず、例えばロール、ニーダ―、押出し機、万能攪拌機等により混合し製造することができる。
【0045】
該シーリング材組成物の用途はシーリング材に特に限定されず、例えば、各種の接着剤、防水材等にも用いることができる。
【0046】
本発明のシーリング材組成物は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)の他に上記アミン化合物(B)を含有しており、大気にさらされると、該シーリング材組成物表面に析出してくるアミン化合物と空気中の炭酸ガスとが反応することで、結晶性のカルバミン酸が生成する。このシーリング材組成物の表面に生成したカルバミン酸の結晶は、保護膜として働き、これにより、シーリング材組成物の表面タックが低減されると考えられる。したがって、本発明のシーリング材組成物は、上記アミン化合物(B)を含有しない従来の変性シリコーンシーラントに比べ、硬化後の表面タックがなく、高温多湿条件や促進老化試験においても良好な結果が得られる。
【0047】
【実施例】
以下実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1〜8)
架橋性シリル基含有有機重合体(A)である変性シリコーン100重量部に対して、下記表1に示す組成成分(重量部)で、炭酸カルシウム1〜3、酸化チタン、アクリルオリゴマー、ポリプロピレングリコール、ビニルシラン、アミノシラン、錫触媒、ポリ(メチルエトキシシロキサン)、紫外線吸収剤、それぞれアミン化合物であるステアリルアミン、N−ステアリルプロピレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−キシリレンジアミン、およびエポメートF100を添加し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて実施例1、比較例1〜8のシーリング材組成物とした。該シーリング材組成物の硬化後の表面タック、高温多湿条件下での硬化後の表面状態、促進老化試験、および上記アミン化合物と炭酸ガスとの反応性(%)について以下に示す条件で調べた。その結果を下記の表1に示す。
【0048】
上記各組成成分として、以下に示す化合物を用いた。
変性シリコーンとして鐘淵化学工業(株)社製のMSX943を用い、錫触媒としてジブチル錫ジアセチルアセトナート(商品名:ネオスタンU−220、日東化成(株)社製)を用いた。
また、アミン化合物として、ステアリルアミン、N−ステアリルプロピレンジアミン(商品名:アスファゾール#10、日本油脂社製)、1,12−ドデカンジアミン、上記式(7)で表される4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−キシリレンジアミン、および上記式(8)で表されるジャパンエポキシレジン(株)社製のエポメートF100を用い、ポリ(メチルエトキシシロキサン)としては、下記式(9)で表されるアルコキシポリシロキサンを用いた。
【0049】
【化12】
式中、qは平均40である整数を表す。
【0050】
充填剤としては、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウム1(商品名:カルファイン200M、丸尾カルシウム(株)社製)、表面処理されていない重質炭酸カルシウム2(商品名:ライトンA−4、備北粉加工(株)社製)、およびイソホロンジイソシアネート−ステアリルアルコール付加体で表面処理された炭酸カルシウム3を用い、顔料として酸化チタン(商品名:R−820、石原産業(株)社製)を用いた。
また、可塑剤としてアクリルオリゴマー(商品名:UP−1000、東亞合成(株)社製)およびポリプロピレングリコール(商品名:プレミノール4002、旭硝子(株)社製)を用い、脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン(商品名:A−171、日本ユニカ(株)社製)およびアミノシラン(商品名:A−1120、日本ユニカ(株)社製)を用い、紫外線吸収剤としてはベンゾエート系(商品名:SEESORB712、シプロ化成(株)社製)を用いた。
【0051】
<表面タック>
実施例1および比較例1〜8のシーリング材組成物において、厚さ5mmのシートにして硬化10時間後の表面タック、および硬化24時間後の表面タックを調べた。タックが見られ、砂が付着する状態であるものを×とし、タックは多少見られるが、砂が付着せずシーラントとして実用上問題ない状態であるものを△とし、タックが見られず、砂も付着しない状態であるものを○とし、タックが見られず、わずかな汚れもなく、特に優れた状態であるものを◎とした。
【0052】
<高温多湿条件下での硬化後の表面状態>
実施例1および比較例1〜8のシーリング材組成物において、40℃、90%RHの高温多湿条件下での硬化後の表面状態を光学顕微鏡を用いて倍率15倍で観察して調べた。着色、結晶のかたまりが見られる状態であるものを×とし、着色、結晶のかたまりが見られない状態であるものを○とした。
【0053】
<促進老化試験>
実施例1および比較例1〜8のシーリング材組成物において、硬化7日後のシーリング材組成物を80℃に加熱し、96時間後の該シーリング材組成物の表面の着色を目視により調べた。着色が見られる状態であるものを×とし、わずかな着色が見られるが実用上問題ない状態であるものを△とし、着色が見られない状態であるものを○とした。
【0054】
<アミン化合物と炭酸ガスとの反応性(%)>
シャーレ内に、アミン化合物150mgを2cm2 の広さにひろげた後、20℃、60%RHの大気中において放置し、炭酸ガスとの反応によるカルバミン酸の生成収率(%)をアミン化合物と炭酸ガスとの反応性として求めた。カルバミン酸の生成収率は、炭酸ガスとの反応前のアミン化合物の重量と反応24時間後のアミン化合物の重量より求めた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
比較例1は、標準的な配合の従来のシーリング材組成物であり、アミン化合物を用いていないため促進老化試験での着色はみられず、高温多湿条件下においても硬化するが、硬化10時間後、および24時間後の該シーリング材組成物の表面には表面タックがみられた。
比較例2は、上記比較例1に対し、ステアリルアミンを添加させると、硬化24時間後の表面タックが改善されることがわかったが、アミン化合物と炭酸ガスの反応性は低く、硬化10時間後の該シーリング材組成物の表面には表面タックがみられた。
比較例3は、上記比較例1に対し、N−ステアリルプロピレンジアミンを添加させると、硬化10時間後、および24時間後の表面タックが改善されることがわかったが、促進老化試験での着色がみられた。
比較例4は、上記比較例1に対し、1,12−ドデカンジアミンを添加させると、硬化10時間後、および24時間後の表面タックが改善されることがわかったが、高温多湿条件下における硬化は、シーリング材組成物の表面に炭酸ガスと反応しないアミン化合物が析出するため、該シーリング材組成物の表面は非常に汚くなり、促進老化試験においても着色がみられた。
【0058】
表1に示す結果より、実施例1のシーリング材組成物は、比較例に示す従来のシーリング材組成物に比べ、硬化後の表面タック、高温多湿条件下での硬化後の表面状態、促進老化試験、および上記アミン化合物と炭酸ガスとの反応性(%)の全てにおいて優れた結果となった。
なお、作業性、耐久性、モジュラスに関しても、比較例と同等、もしくはそれ以上の効果が得られた。
【0059】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明のシーリング材組成物を、シーリング材として用いた場合、アミン化合物と炭酸ガスとの反応により生成する結晶性のカルバミン酸が、シーリング材の保護膜として形成されるため、硬化後の表面タックがなく、高温多湿条件や促進老化試験においても良好なシーリング材が得られるため有用である。
Claims (3)
- 架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、1分子中に2つ以上の1級アミノ基を有し、炭酸ガスとの反応が、20℃、60%RHの大気中において24時間で、10%以上(アミノ基を基準)である脂環式、ヘテロ環および芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有するアミン化合物(B)と、下記式(1)で表されるシロキサンを繰返し単位とするシリコーンとを含有するシーリング材組成物。
- 前記アミン化合物(B)が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)であることを特徴とする請求項1に記載のシーリング材組成物。
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