JP4083873B2 - 釣り用ベスト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り用ベストに関するものであり、該釣り用ベストは、発泡プラスチック等からなる浮力材を備え、魚釣りに際して着用されるもので、一般にフローティングベストと称されている。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のフローティングベストとしては、図7に示す如く、発泡プラスチックからなる板状の浮力材50を左右の前身ごろ51,51と後ろ身ごろ52に各々備え、該前身ごろ51,51と後ろ身ごろ52は、左右の脇の部分で布状体53,53で各々連結され、しかも、該連結長さを調節する調節ベルト54が布状体53の外側に左右一対設けられてなるものが公知である。
【0003】
該ベストにおける調節ベルト54は、基端が各々布状体53の前後に縫いつけられて固定された前後一対のベルト体55,55と、一方のベルト体55の先端に取り付けられて他方のベルト体55の先端が挿入される調節具56とからなる。
【0004】
そして、着用者は、調節具56に他方のベルト体55の先端を挿入して両ベルト体55,55を連結した後、他方のベルト体55の先端を引っ張ることにより、前身ごろ51と後ろ身ごろ52との離間距離を調節して、前身ごろ51と後ろ身ごろ52とを体に密着させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記従来のベストを着用して釣りを行うと、布状体53の外側に位置する調節ベルト54、特に調節具56に釣り糸が引っかかって絡まったりする場合があった。
【0006】
このように、調節具56に釣り糸が絡まると、絡まった釣り糸を解きほぐしたりするための余分な時間と手間がかかり、釣果にも影響を与える可能性があるうえに、精神衛生上も好ましいものではない。
【0007】
また、最近では細い釣り糸を多用する傾向にあるため、調節具56に釣り糸が擦れたり絡まったりすると、糸切れの要因となる可能性もある。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みて、調節ベルトの調節具に釣り糸が絡まるおそれのない釣り用ベストを提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る釣り用ベストは、各々浮力材2を有する前身ごろ3と後ろ身ごろ4とが布状体5で連結されてなるベスト本体1と、該ベスト本体1に取り付けられて前記前身ごろ3と後ろ身ごろ4との離間距離を調節する調節ベルト6とからなり、該調節ベルト6が、ベルト体8,9と該ベルト体8,9の長さを調節する調節具10とからなる釣り用ベストであって、前記調節ベルト6は、少なくとも調節具10が前記布状体5の内側に位置し、布状体5は表地5aと裏地5bが上下端部で互いに縫い付けられて袋状に形成され、ベルト体9はその後ろ身頃4側が布状体5の表地5aと裏地5bとの間に挿入されると共に裏地5bのベルト通し孔14から布状体5の内側に導き出されていることを特徴とする。
【0010】
特に、布状体5が前身ごろ3と後ろ身ごろ4との離間方向に沿って伸縮自在に構成されていることが好ましい。
【0011】
また、各々浮力材2を有する前身ごろ3と後ろ身ごろ4とが布状体5で連結されてなるベスト本体1と、該ベスト本体1に取り付けられて前記前身ごろ3と後ろ身ごろ4との離間距離を調節する調節ベルト6とからなり、該調節ベルト6が、ベルト体8,9と該ベルト体8,9の長さを調節する調節具10とからなる釣り用ベストであって、前記調節ベルト6は、少なくとも調節具10が前記布状体5の内側に位置し、布状体5に前身ごろ3と後ろ身ごろ4との離間方向に沿ってゴム7が上下一対縫い付けられることによって布状体5は伸縮自在に構成され、該上下のゴム7間に調節ベルト6が位置していることを特徴とする。
【0014】
また、調節具10の内側を内面カバー体11で覆うことにより、ベスト着用時において、着用者の衣服に調節具10が引っかかったりするおそれもない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る釣り用ベストの一実施形態について、図1乃至図4を参酌しつつ、左右一対の前身ごろ3,3と後ろ身ごろ4とが両脇の部分で布状体5によって連結されてなるベスト本体1と、該ベスト本体1の両脇の部分に各々取り付けられて前身ごろ3と後ろ身ごろ4との前後の離間距離を調節する左右一対の調節ベルト6,6とを備えてなる釣り用ベストについて説明する。
【0016】
左右一対の前身ごろ3,3と後ろ身ごろ4には、発泡プラスチックからなる板状の浮力材2が表地と裏地との間に各々個別に挿入され且つ取り外し自在になっている。
【0017】
また、前記布状体5は、前身ごろ3と後ろ身ごろ4の各々の側縁部の下方に縫いつけられている。該布状体5は、図3のように、表地5aと裏地5bとの二重構造となっており、上下端部が縫い付けられて袋状になっている。その表地5aと裏地5bとの間には、図2の如く、前身ごろ3と後ろ身ごろ4との離間方向に沿って帯状のゴム7が上下一対縫いつけられており、該ゴム7によって布状体5は、離間方向に沿って伸縮自在に形成されてなる。
【0018】
かかる上下二本のゴム7,7の間の位置に前記調節ベルト6が位置してなる。該調節ベルト6は、前後一対のベルト体8,9と該両ベルト体8,9を連結し且つ連結長さを自由調節可能な調節具10とからなる。調節具10は、ベルト体8,9を挿入するための挿入孔が三箇所平行に形成されてなる。
【0019】
そして、一方のベルト体8は、図3のように、調節具10の二箇所の挿入孔に交互に挿入されて、長尺方向の両端部が共に前身ごろ3の側縁部の内側に縫いつけられて二重になっている。該前身ごろ3側のベルト体8は、調節具10と共に布状体5の内側に位置している。
【0020】
更に、かかる前身ごろ側3のベルト体8には、調節具10を内側から覆うことのできるパッド11(内面カバー体)が取り付けられている。該パッド11は、一側縁11aがベルト体8の内側に縫い付けられて、図4(イ)のように、一側縁11aを中心にして前後方向(図中A方向)に回動できるようになっている。また、縫い付けられた側と反対側の側縁部には、他方のベルト体9の先端が挿入できる切り込み12が形成されてなる。尚、パッド11は、クッション性を有する弾性部材から形成されてなる。
【0021】
また、他方のベルト体9は、一端が後ろ身ごろ4に縫いつけられ、その縫い付け部13(取付部)から先端側の途中まで布状体5の表地5aと裏地5bとの間に位置されてなる。そして、先端は、裏地5bに設けられたベルト通し孔14から布状体5の内側に導き出されて、調節具10の二箇所の挿入孔に交互に挿入された後、パッド11の切り込み12を外側から内側に抜けて縫い付け部13側に折り返されている。尚、該後ろ身ごろ4側のベルト体9の先端は、挿入孔からの抜け防止のために、二回折り返されて三重になっている。
【0022】
このように、前身ごろ3側のベルト体8、調節具10、パッド11、及び後ろ身ごろ4側のベルト体9の先端側が、全て布状体5の内側に位置してなる。そして、後ろ身ごろ4側のベルト体9の縫い付け部13側を内側から覆う裏地5b(ベルト通し孔14から縫い付け部13側の端部までの領域)が、布状体5をベルト体9に繋ぎ止める繋止手段の役割を担っている。表地5aは上下端部で裏地5bと縫い付けられているからである。(図4(ロ)参照)
【0023】
上記構成からなる釣り用ベストは、浮力材2を有することから釣りに際して安全のために使用されるが、該釣り用ベストを着用した後、両脇の一対の調節ベルト6,6を調節することで前身ごろ3と後ろ身ごろ4との前後の離間距離を調節して体にベストを密着させることができる。以下、図4を参照して調節状態を説明する。
【0024】
着用後において、離間距離を狭くしたい場合には、図4(イ)のように、後ろ身ごろ4側のベルト体9の先端をパッド11の切り込み12から抜いて、パッド11を前方に回動させる。
【0025】
そして、後ろ身ごろ4側のベルト体9の先端を摘んで調節具10を前方に引っ張ることにより、両ベルト体8,9の連結長さを自由に調節して、調節具10から後ろ身ごろ4までの距離を縮め、前身ごろ3と後ろ身ごろ4との離間距離を狭くすることができる。
【0026】
離間距離を狭めると、一般には布状体5が弛むが、布状体5が伸縮性を有しているため、この弛み量を抑制することができる。そのうえ、布状体5が袋状で且つ、ベルト通し孔14を有する裏地5bが後ろ身ごろ4側のベルト体9の縫い付け部13側を内側から覆っているため、布状体5(特に表地5a)がベルト体9から離れて外側に大きく膨出することがない。その結果、離間距離を狭くしても、図4(ロ)のように、裏地5bのベルト通し孔14から後ろ身ごろ4までの間において、布状体5が上下方向に沿って細かく折り畳まれるようになる。
【0027】
このようにして離間距離を調節した後に、再度パッド11の切り込み12にベルト体9の先端を挿入することにより、パッド11で調節具10を内側から覆うことができると共に、該状態を維持することができる。
【0028】
以上のようにして離間距離を自在に調節設定することができるが、以下に本実施形態の利点を挙げる。
【0029】
第一に、調節ベルト6が布状体5の外側に露出しないので、釣り糸が調節ベルト6に接触するおそれがない。特に引っかかりやすい調節具10及び、フリーな状態にあるベルト体9の先端が共に布状体5の内側に位置しているため、両者に釣り糸が引っかかるおそれがないのである。従って、釣りの最中に引っかかった糸を取り外したりする時間と手間が省けるうえに、糸が引っかかる心配がないので、安心して釣りに集中することができるのである。
【0030】
特に、釣り糸が調節ベルト6に引っかったり擦れ合ったりすることが原因となる釣り糸の糸切れが防止でき、その結果、従来に比して細めの釣り糸も安心して使用することができる。
【0031】
第二に、ベルト通し孔14から縫い付け部13までの部分の裏地5bが、布状体5のベルト体9からの離脱を防止しているために、離間距離を縮めても布状体5が外側に大きく膨出することがない。その結果、布状体5にも釣り糸が引っかかるおそれがなくなる。そのうえ、布状体5が前後方向に伸縮性を有しているために、より一層外側への膨らみを抑制することができるのである。
【0032】
第三に、調節具10の内側をパッド11で覆うことができるので、着用時において、調節具10が着用者の衣服にからみついたり、引っかかったりするおそれがない。そのうえ、パッド11がクッション性を有しているので、調節具10が布状体5の内側にあっても違和感なくベストを着用することができる。
【0033】
第四に、パッド11にベルト体9の先端が通る切り込み12が形成されてなるので、パッド11が調節具10を覆った状態を確実に維持することができる。同時に、ベルト体9の先端の抜け防止になるうえに、切り込み12とベルト体9との摩擦によっても調節ベルト6の連結長さの変化を阻止することもできる。また、調節ベルト6の連結長さが仮に緩んでも、ベルト体9の先端が三重構造になっていることとも相まって、ベルト体9の先端が調節具10の挿入孔から抜けて両ベルト体8,9の連結が解除されるというおそれがないのである。万一の安全性確保のために着用される浮力材付きの釣り用ベストにおいて、極めて重要且つ大きな利点である。
【0034】
尚、本実施形態では、布状体5の表地5aと裏地5bとの間に、後ろ身ごろ4側のベルト体9の縫い付け部13側を挿入させたものについて説明したが、図5のように、該ベルト体9の縫い付け部13側を布状体5の外側に露出させた構成としてもよい。かかる場合には、ベルト通し孔14が布状体5をベルト体9に繋ぎ止めるための繋止手段の役割を担うこととなり、離間距離を縮めた際に、ベルト通し孔14から縫い付け部13までの布状体5が内側に撓み外側には撓まないので、該領域での釣り糸の引っかかりが防止できる。
【0035】
更に、調節ベルト6全体を布状体5の内側に位置させてもよい。何れにしても、調節具10が布状体5の内側に位置するよう構成することで、布状体5によって調節具10と釣り糸との接触が防止されるため、接触による糸切れ等のおそれがない。
【0036】
また、繋止手段の構成も種々の構成を採用することが可能である。例えば、ベルト体9と布状体5とを、面ファスナーのような繰り返し着脱可能なもので繋ぎ止めてもよい。
【0037】
尚、上記実施形態では、調節具10を布状体5の内側に位置させてなるが、図6のように、布状体5の外側に位置させ且つ、調節具10の外側をカバー体15で覆うよう構成しても、調節具10と釣り糸との接触を防止できる。
【0038】
該カバー体15は、前身ごろ3と後ろ身ごろ4の離間方向に沿って、布状体5への固定部15a(一端部)を中心に前後方向(図中B方向)に回動できるようになっており、且つ、固定部15aと反対側の他端部15bは、調節具10を覆った時に、布状体5の外面側に係止できるようになっている。
【0039】
このように調節具10の外側をカバー体15で覆う場合には、図のように、カバー体15によってベルト体8の先端をも覆うようにすることが好ましい。ベルト体8の先端に釣り糸が引っかかることを防止するためである。
【0040】
その他、調節具10の形状、ベルト体8,9の本数、取付方法、取付箇所(布状体5に取り付けていてもよい)等も適宜設計変更可能である。また、布状体5の材質、形状、及び枚数も特に限定するものではない。更に、図6のように、調節具10の外側を覆うカバー体15を設ける場合には、布状体5は必須の構成要件ではない。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る釣り用ベストにあっては、釣り糸と調節具との接触が布状体によって防止されるので、調節ベルトのうちで最も絡みやすい調節具に釣り糸が絡まるおそれがないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における釣り用ベストを示す斜視図。
【図2】同釣り用ベストを内側から見た要部正面図。
【図3】図2のP−P断面図。
【図4】同釣り用ベストの使用状態を示し、(イ)は調節ベルトの調節時、(ロ)は調節後の状態を示す要部断面図。
【図5】他実施形態における釣り用ベストを示す要部断面図。
【図6】他実施形態における釣り用ベストを示す要部断面図。
【図7】従来の釣り用ベストを示す斜視図。
【符号の説明】
1…ベスト本体、2…浮力材、3…前身ごろ、4…後ろ身ごろ、5…布状体、6…調節ベルト、8,9…ベルト体、10…調節具、11…パッド(内面カバー体)、15…カバー体

Claims (4)

  1. 各々浮力材(2)を有する前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)とが布状体(5)で連結されてなるベスト本体(1)と、該ベスト本体(1)に取り付けられて前記前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)との離間距離を調節する調節ベルト(6)とからなり、該調節ベルト(6)が、ベルト体(8,9)と該ベルト体(8,9)の長さを調節する調節具(10)とからなる釣り用ベストであって、前記調節ベルト(6)は、少なくとも調節具(10)が前記布状体(5)の内側に位置し、布状体(5)は表地(5a)と裏地(5b)が上下端部で互いに縫い付けられて袋状に形成され、ベルト体(9)はその後ろ身頃(4)側が布状体(5)の表地(5a)と裏地(5b)との間に挿入されると共に裏地(5b)のベルト通し孔(14)から布状体(5)の内側に導き出されていることを特徴とする釣り用ベスト。
  2. 布状体(5)は、前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)との離間方向に沿って伸縮自在に構成されている請求項1記載の釣り用ベスト。
  3. 各々浮力材(2)を有する前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)とが布状体(5)で連結されてなるベスト本体(1)と、該ベスト本体(1)に取り付けられて前記前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)との離間距離を調節する調節ベルト(6)とからなり、該調節ベルト(6)が、ベルト体(8,9)と該ベルト体(8,9)の長さを調節する調節具(10)とからなる釣り用ベストであって、前記調節ベルト(6)は、少なくとも調節具(10)が前記布状体(5)の内側に位置し、布状体(5)に前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)との離間方向に沿ってゴム(7)が上下一対縫い付けられることによって布状体(5)は伸縮自在に構成され、該上下のゴム(7)間に調節ベルト(6)が位置していることを特徴とする釣り用ベスト。
  4. 各々浮力材(2)を有する前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)とが布状体(5)で連結されてなるベスト本体(1)と、該ベスト本体(1)に取り付けられて前記前身ごろ(3)と後ろ身ごろ(4)との離間距離を調節する調節ベルト(6)とからなり、該調節ベルト(6)が、ベルト体(8,9)と該ベルト体(8,9)の長さを調節する調節具(10)とからなる釣り用ベストであって、前記調節ベルト(6)は、少なくとも調節具(10)が前記布状体(5)の内側に位置し、且つ、前記調節具(10)の内側が内面カバー体(11)で覆われてなることを特徴とする釣り用ベスト。
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