JP4083791B1 - カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理方法及び処理システム - Google Patents

カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理方法及び処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な操作によって、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末から、カルシウム成分及び鉛成分を分別して、鉛成分を高い割合で回収することのできる処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の微粉末の処理方法は、(A)微粉末と水と硫化剤を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得る工程と、(B)前記スラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、硫化剤に由来する水溶性硫黄成分を含む液分を得る工程と、(C)工程(B)で得られた固体分に、水及び硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得る工程と、(D)工程(C)で得られたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物を疎水化させる工程と、(E)工程(D)で得られたスラリーを浮遊選鉱処理して、鉛硫化物を含む浮鉱と、硫酸カルシウムを含む沈鉱を得る工程を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、セメントキルンの排ガスの一部を抽気する塩素バイパス技術で得られる微粉末等のカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理方法及び処理システムに関し、より詳しくは、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末に含まれているカルシウム成分及び鉛成分を分別して回収するための処理方法及び処理システムに関する。
家庭ごみ、焼却灰等の廃棄物を原料の一部として用いるセメントキルンにおいては、塩素の含有率が高い排ガスが発生する。この排ガスは、塩素バイパス技術によって処理される。塩素バイパス技術とは、セメントキルンの排ガスの一部を抽気した後、この抽気した高温の排ガス中の粗粉(塩素含有量が少ない固体分)をサイクロンで捕集し、セメント原料としてセメントキルンに戻す一方、サイクロンを通過した排ガスを冷却して生じる微粉末(塩素含有量が多い固体分)を、バグフィルター等の集塵機で捕集して、塩素成分を除去する技術をいう。捕集した微粉末は、カルシウム成分、カリウム成分、鉛成分及びその他の重金属成分、塩素成分等を含む。なお、この微粉末は、カリウム成分、鉛成分、塩素成分等を除去すれば、カルシウム成分を主成分とするセメント原料として、セメントキルンに戻すことができる。
一方、塩素成分、カルシウム成分、及び鉛成分等の重金属成分を含むダストに対して、水洗によりカルシウム成分及び塩素成分を除去した後、浮遊選鉱を行い、重金属成分を分別して回収する技術が知られている。
例えば、廃棄物を焼却した際に発生する飛灰からの金属回収方法であって、飛灰を水洗して塩素イオンを溶出除去し、分離された脱塩素飛灰スライムをアトリッションした後、浮遊選鉱により金属類を分離回収することを特徴とする焼却飛灰からの金属回収方法が提案されている(特許文献1)。
特許第3178252号公報
塩素バイパス技術で得られる微粉末は、カルシウム成分、カリウム成分、鉛成分、塩素成分等を含むものである。このうち、カリウム成分、塩素成分等は、水洗処理後の濾液中の成分として回収することができる。
しかし、本発明者の実験によると、上述の文献に記載された技術を用いて、塩素バイパス技術で得られる微粉末から、鉛成分を回収しようとすると、水洗によって液分中に溶出する鉛の量が多いため、微粉末中の鉛の全量に対する、浮遊選鉱処理で得られる鉛の量の質量割合(鉛の回収率)が50%程度であることがわかった。その理由は、微粉末に含まれる鉛成分の一部が、塩化物等の水溶性化合物であること、及び、鉛を含む非水溶性化合物の一部が、アルカリ性を示す微粉末スラリーによって浸出されたためである。
一方、塩素バイパス技術で得られる微粉末から、重金属及び塩素分を含まないカルシウム成分含有物を回収し、セメント原料として用いることが求められている。
そこで、本発明は、簡易な操作によって、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末から、カルシウム成分及び鉛成分を分別して、鉛成分を高い割合で回収することのできる処理方法及び処理システムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、処理対象物である微粉末と、水と、硫化剤を混合して、スラリーを得た後、このスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分を回収し、さらに、この固体分に水及び硫酸を加えて混合して、再度、スラリーを得て、その後、このスラリー中の鉛硫化物を疎水化させ、このスラリーを浮遊選鉱処理すれば、浮鉱として、高い回収率で鉛成分を回収することができ、かつ、沈鉱として、硫酸カルシウムを回収することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の[1]〜[8]を提供するものである。
[1] (A)カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得るスラリー化工程と、(B)工程(A)で得られたスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、前記硫化剤に由来する水溶性硫黄成分を含む液分を得る固液分離工程と、(C)工程(B)で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得る再スラリー化工程と、(D)工程(C)で得られたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物を疎水化させる鉛硫化物疎水化工程と、(E)工程(D)で得られたスラリーを浮遊選鉱処理して、鉛硫化物を含む浮鉱と、硫酸カルシウムを含む沈鉱を得る鉛・カルシウム分離工程とを含むことを特徴とするカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理方法。
[2] (F)工程(B)で得られた前記液分の少なくとも一部を、工程(A)において、前記微粉末、水、及び硫化剤と共に混合する液分再利用工程、を含む前記[1]に記載の微粉末の処理方法。
[3] (G)工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分を回収し、該液分の少なくとも一部を、工程(C)において、前記鉛硫化物を含む固体分、水及び硫酸と共に混合する液分再利用工程、を含む前記[1]又は[2]に記載の微粉末の処理方法。
[4] (H)工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分を回収し、該液分の少なくとも一部と、工程(B)で得られた前記液分を混合して、これら2つの液分中の成分が反応して生じる固体分、及び、浄化された液分を含むスラリーを得る浄化工程、を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の微粉末の処理方法。
[5] カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得るための鉛硫化物生成装置と、前記鉛硫化物生成装置で得られたスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、前記硫化剤に由来する水溶性硫黄成分を含む液分を得るための固液分離装置と、前記固液分離装置で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得るための硫酸カルシウム生成装置と、前記硫酸カルシウム生成装置で得られたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物を疎水化させるための鉛硫化物疎水化装置と、前記鉛硫化物疎水化装置で得られたスラリーを浮遊選鉱処理するための浮遊選鉱装置とを含むことを特徴とするカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理システム。
[6] 前記固液分離装置で得られた液分を、前記鉛硫化物生成装置に返送して、前記微粉末、水、及び硫化剤と混合するための返送手段を含む前記[5]に記載の微粉末の処理システム。
[7] 前記浮遊選鉱装置から回収される液分の少なくとも一部を、前記硫酸カルシウム生成装置に返送して、前記鉛硫化物を含む固体分、水及び硫酸と混合するための返送手段を含む前記[5]又は[6]に記載の微粉末の処理システム。
[8] 前記浮遊選鉱装置から回収される液分の少なくとも一部と、前記固液分離装置から回収された液分を混合するための混合手段を含む前記[5]〜[7]のいずれかに記載の微粉末の処理システム。
本発明によれば、工程(A)(スラリー化工程)と工程(D)(鉛硫化物疎水化工程)の間に、工程(B)(固液分離工程)及び工程(C)(再スラリー化工程)を含むので、工程(B)及び工程(C)を含まない場合と比べて、鉛の回収率の増大及び安定化を達成することができる。
本発明によれば、工程(A)で硫化剤を添加した後に、工程(E)で浮遊選鉱処理しているので、硫化剤を添加せずに水洗等の処理後に浮遊選鉱処理する場合と比べて、液分中に溶出して系外に排出される鉛の量が少なく、工程(E)における鉛の回収率を高めることができる。
本発明によれば、工程(B)(固液分離工程)において、水溶性硫黄成分が除去された固体分が得られるので、工程(C)(再スラリー化工程)でこの固体分に硫酸を加える際に、水溶性硫黄成分と硫酸との反応生成物である硫化水素ガスが、ほとんど発生しない。
本発明によれば、工程(B)(固液分離工程)を含むので、固体分の量を容易に把握することができ、工程(C)(再スラリー化工程)におけるスラリーの固液比の管理が容易である。
本発明によれば、工程(B)(固液分離工程)で得られる液分中の水溶性硫黄成分を、工程(B)で得られる固体分(鉛硫化物)とは別に処理することができるので、工程(B)を含まない場合と比べて、処理対象物である微粉末に対する硫化剤の添加量の精密な制御を必要とせず、より実用的である。つまり、硫化剤の添加量は、微粉末中の鉛成分を鉛硫化物とするのに不足しない量であればよく、過剰であってもよい。そのため、処理対象物である微粉末の成分組成の変動に応じて、硫化剤の添加量を変動させる必要もない。
本発明によれば、工程(A)(スラリー化工程)及び工程(C)(再スラリー化工程)でスラリー化を行なうので、工程(C)を含まない場合と比べて、浮遊選鉱によって得られる固体分(鉛硫化物、硫酸カルシウム)中の塩素、アルカリ金属等の濃度が小さくなり、硫酸カルシウムをセメント原料として好適に用いることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理方法の一例を示すフロー図である。
本発明の微粉末の処理方法は、図1に示すように、(A)カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末Aと、水と、硫化剤(水硫化ソーダ)を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得るスラリー化工程と、(B)工程(A)で得られたスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、前記硫化剤に由来する水溶性硫黄成分を含むアルカリ性の液分(図中の液分a)を得る固液分離工程と、(C)工程(B)で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得る再スラリー化工程と、(D)工程(C)で得られたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物を疎水化させる鉛硫化物疎水化工程と、(E)工程(D)で得られたスラリーを浮遊選鉱処理して、鉛硫化物を含む浮鉱と、硫酸カルシウムを含む沈鉱を得る鉛・カルシウム分離工程を含むものである。
また、本発明の微粉末の処理方法は、図1に示すように、(F)工程(B)で得られたアルカリ性の液分(図中の液分a)の少なくとも一部を、工程(A)において、微粉末A、水、及び硫化剤と共に混合する液分再利用工程、を含むことができる。
また、本発明の微粉末の処理方法は、図1に示すように、(G)工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分(図中の液分b;通常、酸性)を回収し、該液分の少なくとも一部を、工程(C)において、前記鉛硫化物を含む固体分、水及び硫酸と共に混合する液分再利用工程、を含むことができる。
さらに、本発明の微粉末の処理方法は、図1に示すように、(H)工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分(図中の液分b;通常、酸性)を回収し、該液分の少なくとも一部と、工程(B)のアルカリ性の液分(図中の液分a)を混合して、これら2つの液分中の成分が反応して生じる固体分、及び、浄化された液分を含むスラリーを得る浄化工程、を含むことができる。
[工程(A):スラリー化工程]
工程(A)は、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得る工程である。
本工程は、図1に示すように、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水を混合して、スラリーを生成した後、該スラリーに硫化剤を加えて、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得てもよいし、あるいは、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤とを同時に混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得てもよい。
本発明の処理対象となる微粉末としては、例えば、前記の背景技術の欄で説明した、塩素バイパス技術によるセメントキルンの排ガスの処理の過程で捕集される微粉末や、焼却飛灰、溶融飛灰等が挙げられる。
本発明の処理対象となる微粉末中のカルシウム成分の含有率(CaO換算の質量割合)は、特に限定されないが、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。該含有率が5質量%未満では、本発明の処理方法によって回収されるカルシウム成分の量が少なくなり、カルシウム成分の再資源化を十分に図ることができない。該含有率が70質量%を超えると、工程(E)における浮鉱への鉛の分配率が低下することがある。
本発明の処理対象物である微粉末中の鉛成分の含有率(PbO換算の質量割合)は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜9質量%、特に好ましくは1〜8質量%である。該含有率が0.1質量%未満では、鉛の含有量が少なすぎて、本発明の方法を適用する必要性が小さくなる。該含有率が10質量%を超えると、工程(E)で分離回収した硫酸カルシウム中に鉛が多く残留することがある。
硫化剤の例としては、水硫化ソーダ(NaSH)、硫化ソーダ(NaS)、硫化水素ガス(HS)等が挙げられる。
本工程で得られるスラリー中に生成する鉛硫化物の例としては、硫化鉛(PbS)等が挙げられる。
硫化剤の添加量は、微粉末に含まれている鉛成分が、鉛硫化物になるのに不足しない量である限りにおいて限定されることがなく、大きな過剰量であってもよい。該添加量が過剰量であっても、工程(B)(固液分離工程)において、過剰の硫化剤を水溶性硫黄成分として鉛硫化物(固体分)から分離した後、この水溶性硫黄成分を含む液分を、鉛硫化物とは別に処理することができる。
すなわち、この水溶性硫黄成分を含む液分は、工程(E)(浮遊選鉱工程)での処理後に回収される液分(鉄、亜鉛、銅等の金属イオンが含まれているもの)と混合することによって、硫化鉄、硫化亜鉛、硫化銅等の固体分を生成させることができる。この場合、鉄、亜鉛、銅等の金属イオンが除去された液分を得ることができ、排水前の処理を簡素化することができる。
また、この水溶性硫黄成分を含む液分は、アルカリ性であるので、工程(E)(浮遊選鉱工程)での処理後に回収される、通常、酸性である液分と混合することによって、中和反応を生じさせることができる。その結果、これらのアルカリ性の液分および酸性の液分を各々、別々に中和処理する場合と比べて、中和処理のための薬剤の使用量を減少させ、薬剤コストの削減を図ることができる。
さらに、この水溶性硫黄成分を含む液分は、例えば、当該液分中の塩化カリウム濃度が飽和状態になるまで、工程(A)における水および硫化剤の供給源として繰り返し循環させて使用することもできる。
カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤とを混合する方法としては、例えば、撹拌翼付きの液槽内に、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤とを収容し、所定の滞留時間で撹拌して、均一なスラリーを得る方法が挙げられる。
本工程におけるスラリーの固液比(水1リットル中のカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の質量)は、好ましくは5〜300g/リットル、より好ましくは20〜250g/リットル、特に好ましくは50〜200g/リットルである。該値が5g/リットル未満では、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の単位質量当たりの水量が大きくなり、処理の効率が低下する。該値が300g/リットルを超えると、浮遊選鉱工程(E)における鉛成分とカルシウム成分の分離性能が低下する。
滞留時間は、好ましくは5〜30分間である。滞留時間が5分間未満では、鉛硫化物の生成が不十分となることがある。滞留時間が30分間を超えると、処理の効率が低下するなどの不都合がある。
[工程(B):固液分離工程]
本工程は、工程(A)で得られたスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、前記硫化剤に由来する水溶性硫黄成分を含む液分を得る工程である。
スラリーを固液分離する手段としては、フィルタープレスやベルトフィルター等が挙げられる。
[工程(C):再スラリー化工程]
本工程は、工程(B)で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得る工程である。
本工程は、図1に示すように、工程(B)で得られた鉛硫化物を含む固体分に、まず、水を加えて混合し、スラリーを生成した後、該スラリーに硫酸を加えて、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得てもよいし、あるいは、工程(B)で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を同時に加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得てもよい。
なお、水及び硫酸は、予め調製した希硫酸として供給してもよい。
本工程におけるスラリーのpHは、好ましくは1.5〜7.5、より好ましくは2.0〜7.0、特に好ましくは2.5〜6.5である。該pHが1.5未満または7.5を超えると、工程(E)において浮鉱中に分配される鉛成分の質量割合が低下する。
pHを調整する方法としては、例えば、液槽内に収容されたスラリーに対して、好ましくは撹拌下で、硫酸を加えつつ、pH測定手段(pH計)を用いて当該スラリーのpHを測定して、スラリーのpHを調整する方法が挙げられる。
鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合する方法としては、例えば、撹拌翼付きの液槽内に、鉛硫化物を含む固体分と、水と、硫酸とを収容し、所定の滞留時間で撹拌して、均一なスラリーを得る方法が挙げられる。
本工程におけるスラリーの固液比(水1リットル中の鉛硫化物を含む固体分の質量)は、好ましくは5〜300g/リットル、より好ましくは20〜250g/リットル、特に好ましくは50〜200g/リットルである。該値が5g/リットル未満では、鉛硫化物を含む固体分当たりの水量が大きくなり、処理の効率が低下する。該値が300g/リットルを超えると、浮遊選鉱工程(E)における鉛成分とカルシウム成分の分離性能が低下する。
滞留時間は、好ましくは5〜30分間である。滞留時間が5分間未満では、硫酸カルシウムの生成が不十分となることがある。滞留時間が30分間を超えると、処理の効率が低下するなどの不都合がある。
[工程(D):鉛硫化物疎水化工程]
本工程は、工程(C)で得られたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物を疎水化させる工程である。
本工程は、工程(E)(鉛・カルシウム分離工程)における浮遊選鉱の前処理として、鉛硫化物を疎水化させるものである。
浮遊選鉱とは、疎水性の表面を有する粒子及び親水性の表面を有する粒子を含む水中に空気を供給して、この空気と必要に応じて配合される起泡剤とによって生じた泡の表面に、疎水性の表面を有する粒子を付着させ、該粒子が付着している泡を、水中で浮力により浮上させることによって、沈鉱である親水性の表面を有する粒子と、浮鉱である疎水性の表面を有する粒子とに分離するものである。
本発明で用いられる捕収剤は、工程(A)で生成した鉛硫化物の疎水性を高めるためのものである。鉛硫化物は、捕収剤によって疎水性を高められた後、泡の表面に付着して、水中を浮上し、浮鉱となる。
捕収剤の例としては、ザンセートや、酸性ジチオリン酸エステル類(商品名:エロフロート)や、n−ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩や、オレイン酸ナトリウム等の不飽和脂肪族カルボン酸塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、ザンセート、酸性ジチオリン酸エステル類、オレイン酸ナトリウム等は、本発明において好ましく用いられる。
ここで、ザンセートとは、−OC(=S)−Sの化学構造を有するキサントゲン酸塩をいう。ザンセートの例としては、R−OC(=S)−S(式中、Rは炭素数1〜20(好ましくは2〜5)のアルキル基、MはNa、K等のアルカリ金属またはNH等を表す。)の一般式で表される化合物が挙げられる。
捕収剤の添加量は、例えば、本発明の処理対象物となる微粉末中の鉛成分の通常の含有率から推測して定めることができる。具体的には、捕収剤(例えば、ザンセート)/Pb(微粉末中の鉛)のモル比が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上となる量の捕収剤を添加することが望ましい。該値が、0.01未満では、鉛硫化物を浮鉱として十分に浮上させることが困難となる。
捕収剤の添加量の上限値は、特に限定されないが、薬剤コストの削減等の観点から、捕収剤(例えば、ザンセート)/Pb(微粉末中の鉛)のモル比が、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.2以下となる量であることが望ましい。
なお、浮遊選鉱処理後に得られる液分中の捕収剤(例えば、ザンセート)は、後工程の曝気処理等により、液分中から分解除去することができる。
本工程では、スラリーに起泡剤を加えることもできる。起泡剤を用いることによって、浮遊選鉱における浮鉱の浮上を促進することができる。起泡剤は、通常、鉛硫化物を疎水化した後に添加される。
起泡剤の例としては、メチルイソブチルカルビノール(MIBC;4−メチル−2−ペンタノール)、メチルイソブチルケトン、パイン油、エチレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、クレゾール酸等が挙げられる。起泡剤として、前記の例示物の他に、例えば、炭素数6〜8の鎖状の炭化水素基(アルキル基等)や炭素数10〜15の環状の炭化水素基(芳香族基、シクロアルキル基等)等の疎水性基、及び、水酸基、カルボキシル基等の親水性基を有する化合物も、使用することができる。
起泡剤の添加量は、スラリー1リットルに対して、好ましくは5〜100mgである。
[工程(E):鉛・カルシウム分離工程]
本工程は、工程(D)で得られたスラリーを浮遊選鉱処理して、鉛硫化物を含む浮鉱と、硫酸カルシウムを含む沈鉱を得る工程である。
浮遊選鉱を行う手段としては、ファーレンワルド型浮選機(FW型浮選機)、MS型浮選機、フェジャーグレン型浮選機、アジテヤ型浮選機、ワーマン型浮選機等の浮選機が挙げられる。
浮鉱は、スラリーの液中の上部領域(特に液面付近)に存在する固体分を回収することによって、スラリーの他の成分(液分、沈鉱)から分離することができる。
浮鉱は、鉛(Pb)の分配率(換言すれば、浮鉱中のPbと沈鉱中のPbの合計量中の浮鉱中のPbの質量割合)が大きいので、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末に由来する鉛含有物質として分離回収することができる。
浮鉱への鉛の分配率(浮鉱中のPbと沈鉱中のPbの合計量中の浮鉱中のPbの質量割合)は、本発明の処理対象物である微粉末に含まれるカルシウム成分の含有率の大きさ等によっても変動するが、通常、60質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。
浮鉱中の鉛の含有率は、処理対象物である微粉末中に含まれるカルシウム成分の含有率の大きさ等によっても変動するが、通常、10質量%以上である。
沈鉱は、スラリーの液中の下部領域(特に底面上)に存在する固体分を回収することによって、スラリーの他の成分(液分、浮鉱)から分離することができる。
沈鉱は、浮鉱とは逆に、硫酸カルシウムの分配率が大きく、かつ、鉛硫化物の分配率が小さいので、セメント原料等として用いることができる。沈鉱には、ケイ素、アルミニウム等の化合物が含まれることがある。
沈鉱へのカルシウム(Ca)の分配率は、通常、80質量%以上である。
一般に、カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末中に含まれる鉛成分の一部は、工程(A)において該微粉末をスラリー化する際に、鉛イオンとして水中に溶出する。水中に溶出した鉛成分が、水溶性の成分(カリウム成分、塩素成分等)とともに液分として除去されると、その分だけ、工程(E)における浮遊選鉱処理によって得られる鉛成分の量が小さくなると考えられる。この点、本発明の処理方法によれば、微粉末をスラリー化する時に、硫化剤を加えているので、微粉末に含まれている鉛成分のほとんどが、固体分である鉛硫化物となり、微粉末から水中への鉛成分(Pbイオン)の溶出を抑制することができる。
本発明の処理方法によれば、微粉末から浮鉱中に分配されるPbの質量割合(微粉末中のPbの含有量に対する浮鉱中のPbの質量割合)は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
[工程(F):液分再利用工程]
本工程は、工程(B)で得られたアルカリ性の液分(図中の液分a)の少なくとも一部を、工程(A)において、微粉末A、水、及び硫化剤と共に混合する液分再利用工程である。
[工程(G):液分再利用工程]
本工程は、工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分(図中の液分b;通常、酸性)を回収し、該液分の少なくとも一部を、工程(C)において、前記鉛硫化物を含む固体分、水及び硫酸と共に混合する工程である。
[工程(H):浄化工程]
本工程は、工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分(図中の液分b;通常、酸性)を回収し、該液分の少なくとも一部と、工程(B)のアルカリ性の液分(図中の液分a)を混合して、これら2つの液分中の成分が反応して生じる固体分、及び、浄化された液分を含むスラリーを得る工程である。
本発明の処理対象物となるカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末は、鉛成分の他にも鉄成分、亜鉛成分、銅成分等の重金属成分を含有する。これらの重金属成分は、工程(A)において金属硫化物となって、鉛硫化物とともに固体分として回収される。その後、工程(C)において、鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合すると、得られたスラリーの液性が酸性となるため、酸性液分中に溶出し易い成分である鉄成分、亜鉛成分、銅成分等の重金属成分は、金属イオンとなって液分中に溶出する。
したがって、浮遊選鉱処理後の液分(図1中の液分b)中には、鉄成分、亜鉛成分、銅成分等が含まれている。これらの金属成分を含む液分を回収するための固液分離手段としては、フィルタープレスやベルトフィルター等が挙げられる。
鉄成分等の金属成分を含む酸性の液分と、工程(B)で得られたアルカリ性の液分を混合することによって、金属硫化物を生成させることができる。この混合方法としては、例えば、2つの液分を中和反応槽内に収容して、所定の滞留時間で混合する方法が挙げられる。
滞留時間は、好ましくは30分間以上、より好ましくは1時間以上である。滞留時間の上限値は、特に限定されないが、処理効率等を考慮して、好ましくは5時間以内、より好ましくは4時間以内である。
中和反応槽から排出された液分は、例えば、工程(D)で加えられた捕収剤(例えば、ザンセート等)を分解除去するために、曝気槽で曝気処理等された後、排水として排出される。
次に、本発明の微粉末の処理システムの実施形態例を説明する。図2は、本発明の微粉末の処理システムの一例を概念的に示す図である。
図2中、微粉末の処理システムは、処理対象物であるカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得るための鉛硫化物生成槽1と、鉛硫化物生成槽1から供給されたスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、液分とを得るためのフィルタープレス(固液分離装置)2と、フィルタープレス2で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水を加えて、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得るための混合槽3と、混合槽3から供給されたスラリーに、硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得るための硫酸カルシウム生成槽4と、硫酸カルシウム生成槽4から供給されたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物の疎水性を高めるための疎水化反応槽5と、疎水化反応槽5から供給されたスラリーに対して浮遊選鉱を行うための浮選機(浮遊選鉱装置)6を備えている。
鉛硫化物生成槽1、混合槽3、硫酸カルシウム生成槽4、及び疎水化反応槽5は、各々、スラリーを撹拌するための撹拌翼1a,3a,4a,5aを備えている。
硫酸カルシウム生成槽4は、硫酸を供給するための硫酸貯留槽4bを備えている。疎水化反応槽5は、捕収剤を供給するための捕収剤貯留槽5bを備えている。また、硫酸カルシウム生成槽4は、スラリーのpHを測定するためのpH測定手段(pH計)(図示略)を備えていてもよい。
なお、本発明の処理システムは、疎水化反応装置5から浮選機6までの流通路の所定の地点にて起泡剤を供給するための起泡剤貯留槽(図示略)を備えていてもよい。
撹拌翼1aを備えた鉛硫化物生成槽1は、鉛硫化物生成装置を構成している。
撹拌翼3aを備えた混合槽3と、撹拌翼4aを備えた硫酸カルシウム生成槽4と、硫酸貯留槽4bと、pH測定手段(図示略)は、硫酸カルシウム生成装置を構成している。
撹拌翼5aを備えた疎水化反応槽5と、捕収剤貯留槽5bと、起泡剤貯留槽(図示略)は、疎水化反応装置を構成している。
微粉末の処理システムは、前述の鉛硫化物生成槽1等の他に、フィルタープレス2によって分離された液分を貯留するための第一の貯留槽7と、浮選機6によって得られた浮鉱及び沈鉱の各々を固液分離して、浮鉱からなる固体分及び沈鉱からなる固体分と、浮鉱及び沈鉱を除いた後の、処理対象物である微粉末中に含有されていた鉄成分等の金属成分を含む液分を得るためのフィルタープレス(固液分離装置)8と、フィルタープレス8で分離された液分を貯留するための第二の貯留槽9と、第一の貯留槽7に貯留された液分の一部と、第二の貯留槽9に貯留された液分の一部を混合して、硫化亜鉛等の金属硫化物を生成するための中和反応槽(混合手段)10と、第一の貯留槽7に貯留された液分の残部を、鉛硫化物生成槽1に導くための流通路11と、第二の貯留槽9に貯留された液分の残部を、硫酸カルシウム生成槽4に導くための流通路12を備えている。なお、中和反応槽10は、金属硫化物生成装置である。
また、微粉末の処理システムは、中和反応槽10から供給された液分中から、捕収剤を分解し除去するための曝気槽(酸化反応槽)13を備えている。
本発明においては、連続式とバッチ式のいずれの処理方法及び処理システムを採用してもよいが、処理効率の観点からは、連続式の処理方法及び処理システムが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明する。なお、以下の「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
[カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の用意]
処理対象物であるカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末として、表1に示す成分組成を有する微粉末Aを用意した。この微粉末Aは、塩素バイパス技術によるセメントキルンの排ガスの処理の過程で捕集した微粉末である。
Figure 0004083791
[実施例1]
図1に示すフローに従って、図2に示す連続式の処理システムを用いて、以下のように微粉末Aを処理した。
撹拌翼(図示略)付きの鉛硫化物生成槽1(容量:90リットル)内に、微粉末Aと、水とを投入し、30分間の滞留時間下で撹拌して、均一なスラリーを得た。該スラリーの固液比(水1リットル中のカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の質量)は、100g/リットルに調整した。
このスラリーに、硫化剤として水硫化ソーダ水溶液(濃度:20質量%)を加えて、30分間の滞留時間下で撹拌し、鉛硫化物(硫化鉛)を生成させた。該スラリーのS/Pbのモル比は、1.25に調整した(工程(A))。
次いで、このスラリーをフィルタープレス2に導き、固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、水溶性硫黄成分を含む液分を得た(工程(B))。この液分aを第一の貯留槽7に導き、貯留した。
次いで、鉛硫化物を含む固体分を撹拌翼3a付きの混合槽3(容量:45リットル)に導き、水を加えて、15分間の滞留時間下で撹拌し、固体分である鉛硫化物を含む均一なスラリーを得た。該スラリーの固液比(水1リットル中の鉛硫化物を含む固体分の質量)は、100g/リットルに調整した。
次いで、このスラリーを硫酸カルシウム生成槽4(容量:45リットル)に導き、硫酸(濃度:98%)を加えて、15分間の滞留時間下で撹拌し、硫酸カルシウムを生成させた。該スラリーのpHは、3.0に調整した(工程(C))。
次いで、このスラリーを疎水化反応槽5(容量:45リットル)に導き、捕収剤としてアミルザンセート水溶液(濃度:0.4質量%、アミルザンセートの化学式:C11−O−C(=S)−S)を加えて、30分間の滞留時間下で撹拌した。該スラリーのアミルザンセート/Pbのモル比は、0.15に調整した(工程(D))。
次いで、このスラリーを、疎水化反応槽5から流通路を介してFW型浮選機6に導き、浮遊選鉱処理を行なった(工程(E))。
浮遊選鉱で得られた浮鉱及び沈鉱を、各々、フィルタープレス8に導き、固液分離して、浮鉱からなる固体分と、沈鉱からなる固体分と、浮鉱及び沈鉱を除いた後の、微粉末A中に含有されていた鉄成分等の金属成分を含む液分bとを得た。この液分bを第二の貯留槽9に導き、貯留した。
次いで、第一の貯留槽7に貯留した液分aと、第二の貯留槽9に貯留した液分bを、中和反応槽10に導き、30分間以上の滞留時間下で混合し、硫化亜鉛等の金属硫化物を含む沈殿を生成させた(工程(G))。
浮遊選鉱で得られた浮鉱及び沈鉱の各々について、鉛(Pb)の分配率を測定した。
また、浮鉱、沈鉱、及び、液分(液分a及び液分b)の各々について、微粉末Aから分配された鉛の質量割合を測定した。
さらに、浮遊選鉱処理後の液分の性状等を調べた。
これらの結果を表2に示す。
[比較例1]
図3に示すフローに従って、以下のように微粉末Aを処理した。
撹拌翼(図示略)付きの鉛硫化物生成槽(容量:90リットル)内に、微粉末Aと、水とを投入し、30分間の滞留時間下で撹拌し、均一なスラリーを得た。該スラリーの固液比(水1リットル中のカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の質量)は、100g/リットルに調整した。
次いで、このスラリーをフィルタープレスに導き、固液分離して、微粉末Aを含む固体分と、微粉末Aから溶出した塩素成分等を含む液分cを得た。
次いで、微粉末Aを含む固体分を撹拌翼付きの混合槽(容量:45リットル)に導き、水を加えて、15分間の滞留時間下で撹拌し、微粉末を含む均一なスラリーを得た。該スラリーの固液比(水1リットル中の微粉末の質量)は、100g/リットルに調整した。
次いで、このスラリーに、硫化剤として水硫化ソーダ水溶液(濃度:20質量%)を加えて、30分間の滞留時間下で撹拌し、鉛硫化物(硫化鉛)を生成させた。該スラリーのS/Pbのモル比は、1.25に調整した。
次いで、このスラリーを撹拌翼付きの硫酸カルシウム生成槽(容量:45リットル)に導き、硫酸(濃度:98%)を加えて、15分間の滞留時間下で撹拌し、硫酸カルシウムを生成させた。該スラリーのpHは、3.0に調整した。
次いで、このスラリーを撹拌翼付きの疎水化反応槽(容量:45リットル)に導き、捕収剤としてアミルザンセート水溶液(濃度:0.4質量%、)を加えて、30分間の滞留時間下で撹拌した。該スラリーのアミルザンセート/Pbのモル比は、0.15に調整した。
次いで、このスラリーを、疎水化反応槽から流通路を介してFW型浮選機に導き、浮遊選鉱により浮鉱及び沈鉱と、該浮鉱及び沈鉱を除いた後の液分dを得た。
浮遊選鉱で得られた浮鉱及び沈鉱の各々について、鉛の分配率を測定した。
また、浮鉱、沈鉱、及び液分(液分c及び液分d)の各々について、微粉末から分配されるPbの質量割合を測定した。さらに液分の性状を調べた。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0004083791
表2に示すように、実施例1の浮鉱への鉛(Pb)の分配率は、81質量%であった。これに対して、比較例1の浮鉱への鉛(Pb)の分配率は、76質量%であった。
また、表2に示すように、実施例1の微粉末から浮鉱中に分配される鉛(Pb)の質量割合は、79質量%であった。これに対して、比較例1の微粉末から浮鉱中に分配される鉛(Pb)の質量割合は、53質量%であった。
これらの結果から、本発明の処理方法及び処理システムによれば、微粉末中に含まれている鉛成分を、高い割合で浮鉱中に分配して回収できることがわかった。
本発明の微粉末の処理方法の一例を示すフロー図である。 本発明の微粉末の処理システムの一例を概念的に示す図である。 比較例1における微粉末の処理方法を示すフロー図である。
符号の説明
1 鉛硫化物生成槽
1a 撹拌翼
2 フィルタープレス
3 混合槽
3a 撹拌翼
4 硫酸カルシウム生成槽
4a 撹拌翼
4b 硫酸貯留槽
5 疎水化反応槽
5a 撹拌翼
5b 捕収剤貯留槽
6 浮選機(浮遊選鉱装置)
7 第一の貯留槽
8 フィルタープレス
9 第二の貯留槽
10 中和反応槽(混合手段)
11,12 流通路
13 曝気槽(酸化反応槽)

Claims (8)

  1. (A) カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得るスラリー化工程と、
    (B) 工程(A)で得られたスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、前記硫化剤に由来する水溶性硫黄成分を含む液分を得る固液分離工程と、
    (C) 工程(B)で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得る再スラリー化工程と、
    (D) 工程(C)で得られたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物を疎水化させる鉛硫化物疎水化工程と、
    (E) 工程(D)で得られたスラリーを浮遊選鉱処理して、鉛硫化物を含む浮鉱と、硫酸カルシウムを含む沈鉱を得る鉛・カルシウム分離工程と
    を含むことを特徴とするカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理方法。
  2. (F) 工程(B)で得られた前記液分の少なくとも一部を、工程(A)において、前記微粉末、水、及び硫化剤と共に混合する液分再利用工程、
    を含む請求項1に記載の微粉末の処理方法。
  3. (G) 工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分を回収し、該液分の少なくとも一部を、工程(C)において、前記鉛硫化物を含む固体分、水及び硫酸と共に混合する液分再利用工程、
    を含む請求項1又は2に記載の微粉末の処理方法。
  4. (H) 工程(E)における浮遊選鉱処理後のスラリーから液分を回収し、該液分の少なくとも一部と、工程(B)で得られた前記液分を混合して、これら2つの液分中の成分が反応して生じる固体分、及び、浄化された液分を含むスラリーを得る浄化工程、
    を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粉末の処理方法。
  5. カルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末と、水と、硫化剤を混合して、固体分である鉛硫化物を含むスラリーを得るための鉛硫化物生成装置と、
    前記鉛硫化物生成装置で得られたスラリーを固液分離して、鉛硫化物を含む固体分と、前記硫化剤に由来する水溶性硫黄成分を含む液分を得るための固液分離装置と、
    前記固液分離装置で得られた鉛硫化物を含む固体分に、水及び硫酸を加えて混合し、固体分である鉛硫化物及び硫酸カルシウムを含むスラリーを得るための硫酸カルシウム生成装置と、
    前記硫酸カルシウム生成装置で得られたスラリーに捕収剤を加えて、スラリー中の鉛硫化物を疎水化させるための鉛硫化物疎水化装置と、
    前記鉛硫化物疎水化装置で得られたスラリーを浮遊選鉱処理するための浮遊選鉱装置と
    を含むことを特徴とするカルシウム成分及び鉛成分を含有する微粉末の処理システム。
  6. 前記固液分離装置で得られた液分を、前記鉛硫化物生成装置に返送して、前記微粉末、水、及び硫化剤と混合するための返送手段を含む請求項5に記載の微粉末の処理システム。
  7. 前記浮遊選鉱装置から回収した液分の少なくとも一部を、前記硫酸カルシウム生成装置に返送して、前記鉛硫化物を含む固体分、水及び硫酸と混合するための返送手段を含む請求項5又は6に記載の微粉末の処理システム。
  8. 前記浮遊選鉱装置から回収した液分の少なくとも一部と、前記固液分離装置から回収された液分を混合するための混合手段を含む請求項5〜7のいずれか1項に記載の微粉末の処理システム。
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