JP4083041B2 - 耐震金物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は耐震金物に関し、特にたとえば、スチールハウス等の鉄骨構造物を形成する第1トラック,第2トラックおよびスタッドが交わる角部に取り付けられる、耐震金物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、木造住宅等の木造構造物においては、たとえば水平状態で直交して配置される梁(横材)と桁(横材)とを火打ちで連結して、これら梁と桁との交差部分を補強する方法がある(たとえば非特許文献1参照。)。このように、交差部分を火打ちによって補強することによって、梁と桁との交差角度の変形を防止できる。
【0003】
また、たとえば柱(縦材)と梁(横材)とを方杖で連結して、これら柱と梁との交差部分を補強する方法がある。このように、交差部分を方杖によって補強することによって、柱と梁との交差角度の変形を防止できる。
【0004】
一方、スチールハウス等の鉄骨構造物においては、それ自体の剛性が大きいので、木造構造物で使用されるような火打ちや方杖は使用されていない。
【0005】
【非特許文献1】
「建築大辞典 第2版」株式会社彰国社発行、1993年6月10日、第377頁。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなスチールハウス等の鉄骨構造物であっても、たとえば地震による震動が或る一定以上となった場合は、この鉄骨構造物が損傷することがある。よって、鉄骨構造物に対しても、更なる強度の向上が求められている。
【0007】
そこで、木造構造物で使用される火打ちや方杖と対応する部材を鉄骨構造物に適用して、鉄骨構造物の強度を向上させることが考えられる。
【0008】
しかし、火打ちや方杖と対応するそれぞれの部材を、鉄骨構造物を形成するトラック(横材)とトラック(横材)とが直交する角部、およびトラック(横材)とスタッド(縦材)とが直交する角部に取り付けようとすると、これらの角部が多数存在しているので、その施工に手間が掛かるという問題がある。つまり、多数の火打ちや方杖と対応する部材をトラック等の角部に位置決めして取り付けるのに多くの手間が掛かり、これによって施工期間が長くなるし、費用が嵩む。
【0009】
そして、火打ち等と対応する部材をトラック等の角部に取り付けるときに、トラック等にこの部材を取り付けるためのたとえばビス孔を形成する必要があるが、このビス孔によってトラック等の強度が低下するという問題がある。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、鉄骨構造物の剛性を高めることができて、施工を短期間に簡単にできる、耐震金物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、鉄骨構造物を形成する第1トラック,第2トラックおよびスタッドが交わる角部に取り付けられる耐震金物であって、第1トラックと第2トラックとを連結するための第1部材であって、第1トラックと第2トラックの交差角度と同等の角を有する板状の第1部材、第1トラックとスタッドとを連結するための第2部材であって、直角の角を有する板状の第2部材、および第2トラックとスタッドとを連結するための第3部材であって、直角の角を有する板状の第3部材を備え、第1部材,第2部材および第3部材をそれぞれの角の両側の縁で互いに一体にすることによって、三角錐の形状に形成した、耐震金物である。
【0012】
【作用】
この発明の耐震金物は、鉄骨構造物を形成する第1トラック(横材),第2トラック(横材)およびスタッド(縦材)が交わる角部の外側または内側に、たとえばビスによって取り付けて使用できる。
【0013】
耐震金物の第1部材は、第1トラックと第2トラックとを連結しているので、この両方のトラックの交差部分を補強でき、これによって、第1および第2トラックの交差角度の変形を防止できる。第2部材は、第1トラックとスタッドとの交差部分を補強できて、その交差角度の変形を防止できる。そして、第3部材は、第2トラックとスタッドとの交差部分を補強できて、その交差角度の変形を防止できる。また、これら第1,第2および第3部材が一体に形成されているので、耐震金物自体の剛性を確保できて、この剛性によってもそれぞれの交差角度の変形を防止できる。
【0014】
よって、この耐震金物を鉄骨構造物の枠組み構造における所定の角部に取り付けることによって、鉄骨構造物の強度を高めることができる。
【0015】
そして、第1部材に孔を設けることによって、この孔にたとえば水道・ガス等の配管や電線を通すことができる。よって、この耐震金物が配管や電線の施工の妨げとならないようにすることができる。
【0016】
【発明の効果】
この発明の耐震金物によると、第1,第2および第3部材が一体に形成されているので、鉄骨構造物の枠組み構造における角部に対して、この耐震金物を1つの部材として簡単に取り付けることができる。つまり、第1〜第3部材をそれぞれ別々に、角部の各交差部分に取り付ける場合と比較して、施工の手間が少なくて済み、施工を短期間で簡単にできる。そして、このように施工が簡単であるので、この耐震金物が取り付けられて強度の向上が図られた鉄骨構造物の普及を図ることができる。
【0017】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0018】
【実施例】
この発明に係る耐震金物をスチールハウス等の鉄骨構造物に適用した一実施例を図1〜図4を参照して説明する。この実施例の耐震金物10は、図1に示すように、スチールハウス12の枠組み構造12aを形成する上第1トラック(横材)14,上第2トラック(横材)16および第1スタッド(縦材)18が交わる上角部20の外側に取り付けられて、これら上第1トラック14,上第2トラック16および第1スタッド18を互いに連結するものである。
【0019】
なお、図1等では、この実施例を分かり易くするために、スチールハウス12の枠組み構造12aの上角部20およびその近傍のみを示している。
【0020】
スチールハウス12は、図1に示す枠組み構造12aを備えている。この枠組み構造12aは、地面に設けられている基礎22上に設置されていて、下第1トラック24および下第2トラック26を有している。この下第1トラック24および下第2トラック26は、基礎22上に水平に設置されており、互いに直交している。そして、この下第1トラック24および下第2トラック26と間隔を隔てて平行して、その上方にそれぞれと対応する上第1トラック14および上第2トラック16が配置されている。
【0021】
上第1および上第2トラック14,16の第1交差部分28と、下第1および下第2トラック24,26の下交差部分30とは、鉛直方向に配置された第1スタッド18によって連結されている。そして、上第1トラック14,上第2トラック16および第1スタッド18のそれぞれの端部が直角に交わる上角部20の外側の面に耐震金物10がビス32およびナットで締め付けられて取り付けられている。
【0022】
なお、図1に示すように、上第1トラック14および下第1トラック24は、鉛直方向に配置された複数の第2スタッド34を介して互いに連結されており、上第2トラック16および下第2トラック26は、鉛直方向に配置された複数の第3スタッド36を介して互いに連結されている。
【0023】
耐震金物10は、図1に示すように、第1部材38,第2部材40および第3部材42を備えており、これら3つの部材38,40,42が一体に形成されたものである。これら第1部材38,第2部材40および第3部材42は、図4に示すように、それぞれが同等の直角三角形の板状体(平面部材)であって、それぞれの部材が互いに溶接されて結合している。この耐震金物10は、各部材38,40,42が上角部20の互いに直交する3つの各外面と平行する状態で配置されている。これら第1,第2および第3部材38,40,42の各厚みは、約2.3mmであり、直角の角部の両側に形成されている各縁の長さは約429mmである。
【0024】
第1部材38は、上第1トラック14と上第2トラック16とを連結している。第2部材40は、上第1トラック14と第1スタッド18とを連結しており、第3部材42は上第2トラック16と第1スタッド18とを連結している。
【0025】
なお、図3に示すように、第1〜第3の各部材38,40,42は、それぞれの直角の角部と向かい合う縁にリブ44が形成されており、各リブ44によってそれぞれの部材38,40,42が補強されている。このように、各部材38,40,42は、リブ44によって補強されているので、座屈しないように形成されている。そして、第1部材38には、三角形の孔46が形成されている。この孔46は、水道・ガス等の配管や電線を通すためのものであり、この耐震金物10が枠組み構造12aの上角部20に取り付けられた状態で、配管や電線(図示せず)の施工の妨げとならないようにすることができる。
【0026】
この耐震金物10を、枠組み構造12aの上角部20に取り付けるときは、まず、図2に示すように、枠組み構造12aを形成する。そして、図1に示すように、耐震金物10の第1〜第3の各部材38,40,42の各内面を、上角部20の3つの各外面に当てがう状態で装着する。そして、第2部材40および第3部材42に形成されている各ビス孔48に、各ビス32を通してナットに螺合させて締め付けて固定する。もちろん、耐震金物10をビス32とナットを使用して上角部20の外側に取り付けたが、これに代えて、タッピングねじを使用して上角部20に取り付けてもよい。
【0027】
ただし、第1部材38は、ビス孔48が形成されておらず、上第1および上第2トラック14,16に対して直接にはビス止めされていない。つまり、この耐震金物10は、第2および第3部材40,42がこの枠組み構造12aの上角部20にビス32で締め付け固定されて取り付けられており、これによって、第1部材38もこの上角部20に固定されている。
【0028】
このように、第1部材38を直接に取り付けるためのビス孔48を、上第1および上第2トラック14,16に形成していないので、ビス孔48によるトラック14,16の強度の低下を防止できる。
【0029】
そして、この枠組み構造12aには、図1に示す上角部20と同等の複数の上角部20(図示せず)が形成されており、これら各上角部20には図1に示す耐震金物10と同等の耐震金物10を同様にして取り付けてあるが、これらの詳細な説明を省略する。そして、耐震金物10以外のたとえば屋根組み、床組み、外壁パネル等は、従来と同様に、この枠組み構造12aに対して取り付けられるが、それらの詳細な説明も省略する。
【0030】
また、上第1および上第2トラック14,16,下第1および下第2トラック24,26,ならびに第2および第3スタッド34,36は、断面形状がたとえばコ字形の溝形鋼によって形成されている。そして、第1スタッド18は、断面形状がC字形の複数本の溝形鋼によって形成されている。この枠組み構造12aを形成するこれら上第1および上第2トラック14,16等は、たとえばタッピングねじによって連結されている。
【0031】
この耐震金物10によると、図1に示すように、第1部材38は、上第1トラック14と上第2トラック16とを連結しているので、この両方のトラックの第1交差部分28を補強することができ、これによって、上第1および上第2トラック14,16の交差角度(90°)の変形を防止できる。第2部材40は、上第1トラック14と第1スタッド18との第2交差部分50を補強できて、その交差角度(90°)の変形を防止できる。そして、第3部材42は、上第2トラック16と第1スタッド18との第3交差部分52を補強できて、その交差角度(90°)の変形を防止できる。また、これら第1、第2および第3部材38,40,42が一体に形成されているので、耐震金物10自体の剛性を確保できて、この剛性によってもそれぞれの交差角度の変形を防止できる。
【0032】
よって、この耐震金物10を鉄骨構造物の枠組み構造12aにおける上角部20に取り付けることによって、スチールハウス(鉄骨構造物)12の強度を高めることができる。
【0033】
そして、この耐震金物10によると、第1、第2および第3部材38,40,42が一体に形成されているので、スチールハウス12の枠組み構造12aにおける上角部20に対して、この耐震金物10を1つの部材として簡単に取り付けることができる。つまり、第1〜第3部材38,40,42をそれぞれ別々に、上角部20の第1〜第3の各交差部分28,50,52に取り付ける場合と比較して、施工の手間が少なくて済む。したがって、施工を安価で短期間にできる。そして、このように施工が安価で簡単であるので、この耐震金物10が取り付けられて強度の向上が図られたスチールハウス12の普及を図ることができる。
【0034】
次に、図5に示すスチールハウス58を参照して、耐震金物10を取り付けることによって水平荷重Pに対する建物強度が増加することについて説明する。図5(A)は、スチールハウス58の平面形状(耐力壁線区画)を示す模式図である。太線は、耐力壁54を示し、細線は開口部56を示している。図5(B)は、図5(A)に示すスチールハウス58をx軸方向から見た模式図である。ただし、図5(A)では、耐震金物10は表れていない。図5(B)では、耐力壁54や天井パネル等を省略してある。そして、耐震金物10は、このスチールハウス58の4つの各上角部20に取り付けてある。
【0035】
この図5に示すスチールハウス58の水平荷重(y軸方向荷重)Pに対する建物強度は、天井面の水平剛性(強度)および耐力壁線(耐力壁54が配置されている面)66の許容せん断耐力によって決定される。したがって、建物強度を増加させるには、天井面の水平剛性および耐力壁線66の許容せん断耐力の両方を増加させる必要がある。
【0036】
まず、スチールハウス58の天井面の水平剛性は、図5(B)に示す4つの各上角部20(同図には2つの上角部20が表れている)に耐震金物10を取り付けた場合に、耐震金物10を取り付けていない場合の約1.7倍になる。このように、水平剛性が約1.7倍になることは、耐震金物10の第1部材38に相当する部材を横材と横材との交差部分に取り付けることによって、床面の水平剛性を約1.7倍に増加できるという実験結果に基づいて証明される。そして、床面の水平剛性を約1.7倍に増加できるという実験結果は、たとえば枠組壁工法設計の手引きに記載されている。なお、耐震金物10のうち、天井面の水平剛性の増加に寄与するのは、第1部材38である。
【0037】
そして、耐力壁線66の許容せん断耐力は、図5(B)に示す4つの各上角部20(同図には2つの上角部20が表れている)に耐震金物10を取り付けた場合に、耐震金物10を取り付けていない場合の約1.2倍になることが以下の計算で求められる。なお、耐震金物10のうち、耐力壁線66の許容せん断耐力の増加に寄与するのは、第2および第3部材40,42である。
【0038】
このように、スチールハウス58に耐震金物10を取り付けることによって、天井面の水平剛性を約1.7倍にすることができ、耐力壁線66の許容せん断耐力を約1.2倍に増加させることができる。したがって、建物強度は、小さい方の強度の倍率によって決まるので、耐震金物10を取り付けた場合は、耐震金物10を取り付けていない場合の約1.2倍に増加させることができる。
【0039】
次に、耐力壁線66の許容せん断耐力P1の求め方について図5(B)を参照して説明する。ここで、耐力壁線66の許容せん断耐力P1は、耐震金物10が取り付けられていない場合に、図5(B)に示す枠組み構造(耐震金物10が取り付けられていない)12aの許容せん断耐力が無視されて、耐力壁54自体の許容せん断耐力P2に基づいて決定される。そして、耐震金物10が取り付けられている場合は、耐力壁54自体の許容せん断耐力P2と、図5(B)に示す枠組み構造(耐震金物10が取り付けられている)12aの許容せん断耐力P3との合計許容せん断耐力P4に基づいて決定される。
【0040】
図5(B)に示す枠組み構造(耐震金物10が取り付けられている)12aの許容せん断耐力P3を求めるために、まず耐力壁線66における枠組み構造12aの水平剛性Kを(1)式によって求める。この水平剛性Kは、「建築物の構造規定」に基づき、第1スタッド18(柱)と耐震金物10(第2部材40または第3部材42)の下部との接合部62から、第1スタッド18の下端までの長さhの部分の曲げ変形によって水平変位が生じると仮定して求めている。
【0041】
【数1】
Figure 0004083041
【0042】
ただし、Eは、第1スタッド18の曲げヤング係数(N/mm)、Iは、第1スタッド18の断面2次モーメント(cm)、hは、第1スタッド18の下端から耐震金物10との接合部62までの長さ(mm)である。
【0043】
ここで、耐力壁54の許容(水平)せん断耐力が1/200ラジアンの変形のときの水平力で与えられていることに倣い、図5(B)に示す耐震金物10が取り付けられている枠組み構造12aの許容せん断耐力P3を(2)式によって求めることができる。
【0044】
【数2】
Figure 0004083041
【0045】
なお、この実施例では、E=205000(N/mm)、I=32.7×2+5.27=70.67(cm)である。Iは、89LCN16のC字形溝形鋼2本の断面2次モーメントである。そして、H=2430(mm)、h=2001(mm)である。これらを(1)式、(2)式に代入すると、枠組み構造12aの許容せん断耐力P3=1318(N)を求めることができる。
【0046】
耐震金物10が取り付けられている枠組み構造12aの許容せん断耐力P3=1318(N)は、壁倍率1の耐力壁の許容せん断耐力P4=1270(N)の約1.04倍(≒1318/1270=P3/P4=B1)である。
【0047】
ところで、この実施例のスチールハウス58に使用される耐力壁54は、壁倍率B2が3倍と「薄板軽量形鋼造建築物設計の手引き」に規定されている。そして、この手引きには、構造用合板2級(厚さ9mm)と同等の性能を有する材料で形成された耐力壁54を使用すべきことが規定されている。
【0048】
このように、図5(B)に示す耐震金物10が取り付けられている枠組み構造12aの耐力の倍率が約1.04倍であり、耐力壁54の壁倍率が3倍である。そして、スチールハウス58の図5(B)に示すy軸方向と平行する面に取り付けられている耐力壁54の枚数が2枚である。よって、y軸方向における耐力壁54および枠組み構造12aの総倍率は、7.04(=3×2+1.04)倍となり、耐震金物10が取り付けられていない場合の耐力壁54の総倍率6(=3×2)倍の約1.2倍となる。したがって、建物強度を、耐震金物10を取り付けた場合は、耐震金物10を取り付けていない場合の約1.2倍に増加させることができる。
【0049】
なお、建物強度の増加の倍率を、図5に示すスチールハウス58に基づいて計算したが、このスチールハウス58は、建築基準法等に基づいて設定されたものである。たとえばスチールハウス58の材料の基準強度等は、「建築基準法・同施行令・告示」、「鋼構造設計規準」、「鋼構造塑性設計規準」、「2001年版建築物の構造関係技術基準解説書」、「建築物の構造規定」を参考にしている。そして、スチールハウス58の設計上の規則等は、「薄板軽量形鋼造建築物設計の手引き」、および「枠組壁工法設計の手引き」を取り入れている。
【0050】
そして、図5(A)に示すように、基本となる建物の平面形状を設定するにあたり、「薄板軽量形鋼造建築物設計の手引き」、および「枠組壁工法設計の手引き」に基づいて次のような規定に従った。
【0051】
(1)建物(スチールハウス58)の耐力壁線区画の広さMは、60m以下とする(耐震金物10を配置する範囲)。
【0052】
(2)建物の耐力壁線間の距離W1,W2は、12m以下とする。
【0053】
(3)耐力壁線66に設ける開口部56の幅は、4m以下であって、幅の合計長さがその耐力壁線長さの3分の4以下とする。
【0054】
(4)直交する耐力壁線のいずれか一方には、長さ90cm以上の耐力壁54を設け、開口部56の幅が2m以下とする。
【0055】
ただし、上記実施例の耐震金物10は、たとえば図1に示すように、スチールハウス12の枠組み構造12aにおける上角部20の外側に取り付ける構成としたが、これに代えて、図6に示すように、上角部20の内側に取り付ける構成としてもよい。この図6に示す耐震金物64は、図1に示すものと同等の第1部材38,第2部材40および第3部材42を備えており、これらの部材が溶接されて一体に形成されたものである。
【0056】
第1部材38は、上第1トラック14と上第2トラック16とを連結している。第2部材40は、上第1トラック14と第1スタッド18とを連結しており、第3部材42は上第2トラック16と第1スタッド18とを連結している。
【0057】
なお、図6に示すように、第1〜第3の各部材38,40,42は、上記実施例と同様にリブ44が形成されている。そして、第1部材38には、上記実施例と同様に、三角形の孔46が形成されている。この孔46は、水道・ガス等の配管や電線を通すためのものである。
【0058】
この耐震金物64を、枠組み構造12aの上角部20の内側面に取り付けるときは、まず、図6に示すように、耐震金物64の第1〜第3部材38,40,42の三角形の各外面を、上角部20の内面に当てがう状態で装着する。このとき、上第1および上第2トラック14,16の上面と、第1部材38の上面とがほぼ同一水平面内となるように配置する。そして、第2部材40および第3部材42に形成されている各ビス孔に、各ビス32を通してナットに螺合させて締め付けて固定する。図6に示すように、第2部材40は、上第1トラック14および第1スタッド18の各内面に締め付け固定されている。そして、第3部材42は、上第2トラック16および第1スタッド18の各内面に締め付け固定されている。また、上記実施例と同様に、第1部材38は、直接には上第1および上第2トラック14,16にビス止めされていない。さらに、耐震金物64をビス32およびナットを使用して上角部20の内側に取り付けたが、これに代えて、タッピングねじを使用して上角部20に取り付けてもよい。
【0059】
そして、上記実施例では、1階建てのスチールハウス12に耐震金物10を適用した例を示したが、これに代えて、2階建てのスチールハウスに耐震金物10を適用することができる。この場合は、図1に示す耐震金物10が取り付けられた1階用の枠組み構造12aと同等の2階用の枠組み構造12aを、この1階用の枠組み構造12aの上に形成すればよい。この2つの枠組み構造12aと12aとの間には、たとえば側根太が配置される。
【0060】
また、上記実施例では、第1、第2および第3部材38,40,42のそれぞれを、三角形の板状体で形成したが、これ以外の形状の部材で形成してもよい。
【0061】
さらに、上記実施例では、第1、第2および第3部材38,40,42としての3枚の三角形の板状体を互いに溶接して耐震金物10を形成したが、これ以外の方法によって耐震金物10を形成してもよい。たとえば、まず、第2および第3部材40,42に相当する大きさの1枚の三角形の平板を準備して、これを90°折り曲げることによって、図1に示す第2および第3部材40,42を形成する。そして、この90°に折り曲げられた第2および第3部材40,42に第1部材38を溶接して耐震金物10を形成してもよい。
【0062】
さらに他の例として、まず、第1、第2および第3部材38,40,42に相当する大きさの1枚の平板を準備して、図1に示す三角錐の形状となるように折り曲げる。そして、向かい合う縁部どうしを溶接して図1に示す耐震金物10を形成してもよい。
【0063】
さらに、上述の実施例では平面形状が矩形(四角形)のスチールハウスに適用したが、この発明の耐震金物は、平面形状がより多い五角形,六角形などのスチールハウスにも同様に適用できることは、勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る耐震金物を鉄骨構造物の上角部の外側に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】図1実施例の耐震金物が取り付けられる鉄骨構造物の上角部およびその近傍を示す斜視図である。
【図3】(A)は図1実施例に係る耐震金物を示す拡大正面斜視図、(B)は図1実施例に係る耐震金物を示す拡大背面斜視図である。
【図4】(A)は図1実施例に係る耐震金物を示す平面図、(B)は図1実施例に係る耐震金物を示す正面図、(C)は図1実施例に係る耐震金物を示す右側面図、(D)は図4(A)の耐震金物をIVD−IVD方向から見た状態を示す断面図である。
【図5】(A)は図1実施例に係る耐震金物が適用されたスチールハウスの平面形状を示す模式図、(B)は図5(A)に示すスチールハウスをx軸方向から見た模式図である。
【図6】この発明の他の実施例に係る耐震金物を鉄骨構造物の上角部の内側に取り付けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10,64 …耐震金物
12,58 …スチールハウス
12a …枠組み構造
14 …上第1トラック
16 …上第2トラック
18 …第1スタッド
20 …上角部
24 …下第1トラック
26 …下第2トラック
28 …第1交差部分
32 …ビス
34 …第2スタッド
36 …第3スタッド
38 …第1部材
40 …第2部材
42 …第3部材
44 …リブ
46 …孔
50 …第2交差部分
52 …第3交差部分
54 …耐力壁
56 …開口部
66 …耐力壁線

Claims (5)

  1. 鉄骨構造物を形成する第1トラック,第2トラックおよびスタッドが交わる角部に取り付けられる耐震金物であって、
    前記第1トラックと前記第2トラックとを連結するための第1部材であって、前記第1トラックと前記第2トラックの交差角度と同等の角を有する板状の第1部材
    前記第1トラックと前記スタッドとを連結するための第2部材であって、直角の角を有する板状の第2部材、および
    前記第2トラックと前記スタッドとを連結するための第3部材であって、直角の角を有する板状の第3部材を備え、
    前記第1部材,前記第2部材および前記第3部材をそれぞれの前記角の両側の縁で互いに一体にすることによって、三角錐の形状に形成した、耐震金物。
  2. 前記第1部材に配管および電線のうち少なくとも一方が挿通される孔を形成した、請求項1記載の耐震金物。
  3. 前記第1部材,前記第2部材および前記第3部材のそれぞれに、それぞれと直交する方向にリブを設けた、請求項1または2記載の耐震金物。
  4. 前記角部において前記第1トラックと前記第2トラックは直角に交わり、
    前記第1部材の有する前記角は直角である、請求項1ないし3のいずれかに記載の耐震金物。
  5. 前記第1部材,前記第2部材および前記第3部材は、それぞれ同等の直角三角形状に形成された、請求項4記載の耐震金物。
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