JP4083000B2 - 絶縁膜の形成方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜を形成する方法に関する。より詳しくは、本発明は、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相堆積法)等により成膜した絶縁膜に、少なくとも希ガスを含む処理ガスに基づくプラズマを照射して、該絶縁膜を改質する工程を伴う絶縁膜の形成方法に関する。本発明の改質方法は、この改質により得られた膜を、いわゆるトランジスタのGate絶縁膜やメモリーデバイスの電極間絶縁膜に用いる際に、特に好適に使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
本発明は半導体ないし半導体装置、液晶デバイス等の電子デバイス材料の製造に一般的に広く適用可能であるが、ここでは説明の便宜のために、半導体装置(devices)におけるトランジスタのGate絶縁膜形成技術およびその背景を例にとって説明する。
【0003】
シリコンを始めとする半導体ないし電子デバイス材料用基材には、酸化膜を始めとする絶縁膜の形成、CVD等による成膜、エッチング等の種々の処理が施される。
【0004】
近年の半導体デバイスの高性能化は、トランジスタを始めとする該デバイスの微細化技術の上に発展してきたといっても過言ではない。現在も更なる高性能化を目指してトランジスタの微細化技術の改善がなされている。近年の半導体装置の微細化、および高性能化の要請に伴い、(例えば、リーク電流の点で)より高性能な絶縁膜に対するニーズが著しく高まって来ている。これは、従来の比較的に集積度が低いデバイスにおいては事実上問題とならなかったような程度のリーク電流であっても、近年の微細化および/又は高性能化したデバイスにおいては多量の電力を消費する可能性があるためである。特に、近年始まった、いわゆるユビキタス社会(何時でもどこでもネットワークに繋がる電子デバイスを媒体にした情報化社会)における携帯型電子機器の発達には低消費電力デバイスが必須であり、このリーク電流の低減が極めて重要な課題となる。
【0005】
典型的には、例えば、次世代MOSトランジスタを開発する上で、上述したような微細化技術が進むにつれてゲート絶縁膜の薄膜化が限界に近づいてきており、克服すべき大きな課題が現れてきた。すなわち、プロセス技術としては現在ゲート絶縁膜として用いられているシリコン酸化膜(SiO)を極限(1〜2原子層レベル)まで薄膜化することは可能であるものの、2nm以下の膜厚まで薄膜化を行った場合、量子効果によるダイレクトトンネルによるリーク電流の指数関数的な増加が生じ、消費電力が増大してしまうという問題点である。
【0006】
現在、IT(情報技術)市場はデスクトップ型パーソナルコンピュータや家庭電話等に代表される固定式電子デバイス(コンセントから電力を供給するデバイス)から、インターネット等にいつでもどこでもアクセスできる「ユビキタス・ネットワーク社会」への変貌を遂げようとしている。従って、ごく近い将来に、携帯電話やカーナビゲーションゲーションシステムなどの携帯端末が主流となると考えられる。このような携帯端末は、それ自体が高性能デバイスであることが要求されるが、これと同時に、上記の固定式デバイスではそれほど必要とされない小型、軽量のバッテリー、電池等で駆動した場合でも長時間の使用に耐えうる機能を備えていることが前提となる。よって、携帯端末においては、これらの高性能化を図りつつ、しかも消費電力の低減化が極めて重要な課題となっている。
【0007】
典型的には、例えば、次世代MOSトランジスタを開発する上で、高性能のシリコンLSIの微細化を追求していくとリーク電流が増大して、消費電力も増大するという問題が生じている。そこで性能を追求しつつ消費電力を少なくするためには、MOSトランジスタのゲートリーク電流を増加させずにトランジスタの特性を向上させることが必要となる。
【0008】
このような高性能かつ低消費電力のトランジスタを実現するという要請に応えるために、種々の手法(例えば、シリコン酸化膜の改質、シリコン酸窒化膜SiONの使用)が提案されているが、その有力な手法の一つが、High−k(高誘電率)材料、すなわちSiO膜よりも誘電率の高い材料を用いたゲート絶縁膜の開発である。このようなHigh-k材料を用いることにより、SiO2換算膜厚であるEOT(Equivalent Oxide Thickness)を物理的膜厚よりも薄くすることが可能となる。すなわち、SiO2と同じEOTでも物理的に厚い膜を用いることが可能となり、消費電力の大幅な低減が期待できるためである。このようなHigh−k材料としては、現在SiO膜よりも誘電率の高い種々の材料ないし物質が候補として挙がっている。
【0009】
従来のトランジスタのGate絶縁膜には酸化法を用いて形成されたシリコン酸化膜(SiO2)が用いられてきた。この方法によって形成されたSi/SiO2界面は良好な特性を持っており、トランジスタ動作時におけるキャリアの移動度が早いなどの特徴を有しているが、薄膜化が進むにつれて前述したリーク電流の増加やPMOSにおけるボロンの突き抜けに起因した閾値電圧のばらつきなどの問題が生じるようになってきた。
【0010】
次世代のトランジスタのGate絶縁膜として有力な候補となっている前述のHigh-k材料は、従来の酸化膜形成と同様の酸化法を用いて形成することは不可能であり、CVDなどのDeposition法によって成膜がなされている。従来の成膜技術では大面積(例えば直径200mmのシリコンウェハ)上にHigh-k物質を成膜する場合、膜厚および膜質の均一性を維持するために500度以下の低温での成膜が必要となるが、その場合、低温プロセスに起因した膜中原子の未結合手が多数発生し、膜特性を劣化させる場合がある。また、熱CVDによるHigh-k成膜の場合、成膜原料として炭素原子を含むZr(OC(CH3)3)4、Hf(OC2H5)4等の有機金属ソースを用いる場合が多いが、その場合膜中に炭素原子が含まれるために誘電率の低下や膜中トラップの増加などの特性劣化が観測される(非特許文献1)。また、CVD法によってシリコン基板上に直接成膜を行った場合は、界面特性の大幅な劣化が存在する。したがって、High-k材料をGate絶縁膜に用いる際は、絶縁膜とSi基板の界面特性を向上させるため、界面に薄い(〜10A)酸化膜(下地酸化膜)を形成する積層構造が用いられている。
【0011】
High-k物質を用いたGate絶縁膜のターゲット膜厚は12A以下であることから、下地酸化膜としては10A以下の薄い絶縁膜が必要となる。しかしながらSi基板上に直接10A以下の薄い酸化膜を従来の熱酸化やプラズマ酸化技術によって成膜する場合、膜厚を制御するために低温で処理を行う必要があるが、その場合は酸化膜のリーク電流の増加や界面特性の劣化などが生じ、この酸化膜を下地酸化膜として利用することは困難となる。また、膜厚の制御が比較的容易であるCVD法で成膜された酸化膜は熱酸化やプラズマ酸化によって形成された酸化膜と比較して酸素欠損に起因したシリコンの未結合手が多く、リーク特性や信頼性、界面特性の点で劣る。
また、DRAMやフラッシュメモリーの電極間絶縁膜においても、微細化や低消費電力化の要求に伴い、高誘電率化、高信頼性化やリーク電流の低減といったトランジスタと同様の課題が生じてきている(非特許文献2)。
【非特許文献1】
ZrO2 film growth by chemical vapor deposition using zirconium
tetra-tert-butoxide, M.A. Cameron, S.M. George, Thin Solid Fil
ms, 348(1999), pp.90-98
【非特許文献2】
DRAM用Ta2O5キャパシター形成技術、神山聡、応用物理、第69巻、第
9号、pp.1067-1073(2000)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消した絶縁膜を与えることが可能な絶縁膜の形成方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、高性能化および/又は低消費電力化等の優れた特性を有する電子デバイスのための優れた膜質の絶縁膜を与えることが可能な絶縁膜の形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究の結果、気相堆積に基づく絶縁膜に対して、複数の材料からなる積層構造を用い、更にこの絶縁膜を少なくとも希ガスを含む処理ガスに基づくプラズマを照射して、当該絶縁膜を改質することが上記目的達成のために極めて効果的なことを見出した。
【0015】
本発明の絶縁膜の形成方法は上記知見に基づくものであり、より詳しくは、電子デバイス用基材上に、気相堆積に基づく方法で成膜された絶縁膜を、複数の層からなる積層構造となるように成膜を行い、前述のプラズマ処理を施すことで該絶縁膜の改質を行うことで特性の向上を目指すものである。プラズマ処理は、各層形成毎、もしくは全層形成後に行うなど、必要に応じて導入方法を工夫することが可能であり、最適な改質効果を得られやすく、かつ工程管理の自由度も大きい。また、複数の層に用いられる材料は必要に応じてすべて同じ物質からなる場合や、異なる物質からなる場合、一部が同じである場合など、幅広く選択することができる。プラズマ改質処理の導入方法と絶縁物質の組み合わせを変えることで、任意の工程管理のもとに好適な絶縁特性をもつ絶縁膜の形成が期待できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
(改質方法)
【0017】
本発明においては、電子デバイス用基材上に配置された気相堆積に基づく絶縁膜に対して、酸素原子含有ガスを少なくとも含む処理ガスに基づくプラズマを照射して、該絶縁膜を改質する。
【0018】
(電子デバイス用基材)
【0019】
本発明において使用可能な上記の電子デバイス用基材は特に制限されず、公知の電子デバイス用基材の1種または2種以上の組合せから適宜選択して使用することが可能である。このような電子デバイス用基材の例としては、例えば、半導体材料、液晶デバイス材料等が挙げられる。半導体材料の例としては、例えば、単結晶シリコンを主成分とする材料、金属を主成分とする材料、石英を主成分とする材料等が挙げられる。
【0020】
(酸化、窒化に基づく絶縁膜)
トランジスタのGate絶縁膜へ本発明を応用する際は、基板直上部の第1層は熱酸化(窒化)法、プラズマ酸化(窒化)法、触媒酸化(窒化)法によって形成された、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン酸窒化膜(SiON)、シリコン窒化膜(Si3N4)膜を用いることが出来る。
【0021】
(気相堆積に基づく絶縁膜)
【0022】
気相堆積に基づく絶縁膜である限り、PVD、CVD等の公知の気相堆積により形成された膜を特に制限なく使用することができる。この絶縁膜がHigh−k材料を含む場合には、該High−k膜を形成する方法としては、電子ビーム蒸着やスパッタ等の技術に代表されるPVD、触媒反応を利用したホットワイヤーCVD、プラズマによるラジカル形成反応を用いたプラズマCVD等も使用可能であるが、均一性や膜質の点からは熱CVD法を用いることが好ましい。
【0023】
(プラズマによる絶縁膜の改質)
【0024】
上記の絶縁膜をプラズマによって改質する。この際に用いるガスの種類は目的によって以下のように選択することが可能である。
プラズマによる改質処理は、希ガスと酸素原子を含むガスよりなる酸素プラズマを用いる場合と、希ガスと窒素原子を含むガスよりなる窒素プラズマを用いる場合の2つに大きく分けられる。
希ガスと酸素原子を含むガスを用いた場合は、酸素ラジカルが多量に発生し酸化反応が生じる。したがって、有機金属ソースを用いたCVDによって形成された絶縁膜に本発明による酸化処理を施した場合は、絶縁膜に多量に含まれる膜中の有機物(炭素原子)を酸化により燃焼させ、膜質を向上させる効果が期待される。また、CVD酸化膜へ応用した場合は、膜中に存在するSiの未結合手を酸素により終端することで、特性の向上が期待できる。
希ガスと窒素原子を含むガスを用いた場合は、窒素ラジカルが多量に発生し窒化反応が生じる。絶縁膜中に窒素原子が含まれることで膜の誘電率は上昇するため、キャパシタの微細化等に好適に応用することが可能である。また、窒化を施すことで絶縁膜の耐酸化性が向上するため、キャパシタの電極間絶縁膜に窒化を施し、その上に金属電極を形成した際に、上部金属電極の酸化が抑制され、電極の剥がれや誘電率の低下などの問題を回避することが可能となる。また、窒化を施すことでPMOSデバイスにおけるボロンの突き抜け防止効果が向上するため、PMOSデバイスの閾値電圧のばらつきなどの特性劣化を抑制することが可能となる。
プラズマによる改質は、積層構造へ応用する場合、各層の成膜の間に任意に導入することが可能であり、例えば次のようなさまざまな導入方法が考えられる。
第1層成膜→プラズマ酸化→第2層成膜→プラズマ窒化→第3層成膜→プラズマ酸化→電極形成
第1層形成→第2層形成→第3層形成→プラズマ窒化→電極形成
第1層形成→第2層形成→プラズマ酸化→第3層形成→プラズマ窒化→電極生成
第1層形成→プラズマ酸化→第2層形成→プラズマ窒化→プラズマ酸化→電極形成
第1層形成→プラズマ酸化→第2層形成→プラズマ窒化→電極形成
上記のような従来の成膜方法とプラズマによる改質処理を組み合わせることで、好適な特性を有する絶縁膜の形成が可能となる。
【0025】
上記の絶縁膜改質に用いるべきプラズマは、特に制限されない。すなわち、現在用いられている行平板型RFプラズマ、誘導コイル(ICP)プラズマや、ECRプラズマ、ないしは下記のSPAプラズマ等を使用することができる。
【0026】
これらのプラズマ特性は、以下のような特徴がある。一般に並行平板型RFプラズマは電子密度が1E9〜11/cm、電子温度が3〜4eVである。これは電子密度が低く電子温度が高いプラズマであり、低密度のために充分な反応種を形成できず、また高い電子温度のために膜中への電荷の打ち込みや基板へのプラズマダメージなどが生じ易い傾向がある。
【0027】
また、ICPプラズマにおいては、密度は1E10〜12/cmと充分であるが、電子温度が3〜4eVと高く、ダメージが生じ易い傾向がある。更に、ECRプラズマも電子密度は1E9〜13/cmと広い範囲で制御が可能であるが、電子温度が2〜7eVと高く、かつ電子密度と温度はトレードオフであり、高密度でかつ低電子温度のプラズマを形成することは比較的に困難である。また、いずれのプラズマも大面積化が困難であると言う共通の問題を持っているため、今後量産性の点で大きな発展が予想される300mmウェハプロセスへの応用は極めて難しい(Improvement of Electrical Properties for High-k Dielectrics Grown by MOCVD via Cyclic Remote Plasma Oxidation, Sadayoshi Horii et al. Extended Abstracts of the SSDM, Nagoya, 2002, pp.172-173)。
【0028】
高密度でかつ低電子温度のプラズマを形成することが容易で、且つ大面積化への対応も容易な点からは、下記のSPAプラズマを用いることが好ましい(Characterization of Ultra Thin Oxynitride Formed by Radical Nitridation with Slot Plane Antenna Plasma, Takuya Sugawara et al. Extended Abstracts of the SSDM, Nagoya, 2002, pp.714-715)。
【0029】
(平面アンテナ部材)
【0030】
本発明の電子デバイス材料の製造方法においては、複数のスロットを有する平面アンテナ部材(SPA:Slot Plane Antenna)を介してマイクロ波を照射することにより電子温度が低くかつ高密度なプラズマを形成する。本発明においては、このような優れた特性を有するプラズマを用いて該絶縁膜の改質を行うため、プラズマダメージが小さく、かつ低温で反応性の高いプロセスが可能となる。
【0031】
(処理ガス条件)
【0032】
本発明の絶縁膜の改質においては、改質により形成されるべき絶縁膜の特性の点からは、下記の条件が好適に使用できる。
【0033】
希ガス(例えば、Kr、Ar、HeまたはXe):500〜3000sccm、より好ましくは1000〜2000sccm、
【0034】
:10〜500sccm、より好ましくは10〜300sccm、
【0035】
温度:室温(25℃)〜600℃、より好ましくは250〜500℃、特に好ましくは250〜400℃
【0036】
圧力:3〜400Pa、より好ましくは67〜270Pa、特に好ましくは67〜130Pa
【0037】
マイクロ波:0.7〜4.5W/cm、より好ましくは1.4〜3.6W/cm、特に好ましくは1.4〜2.8W/cm
【0038】
本発明によれば、良質な絶縁膜を形成することができる。したがって、この絶縁膜上に他の層(例えば、電極層)を形成し、後工程による処理を施すことで、特性に優れた半導体装置の構造を形成することが容易である。
【0039】
(製造装置の一態様)
【0040】
以下、本発明の製造方法に好適に用いられる半導体製造装置の一態様について説明する。
【0041】
(半導体装置の一態様)
まず本発明の電子デバイス材料の製造方法によって製造可能な半導体装置の構造の一例について、絶縁膜としてゲート絶縁膜を備えたMOS構造を有する半導体装置を図1を参照しつつ説明する。
【0042】
図1(a)を参照して、この図1(a)において参照番号1はシリコン基板、11はフィールド酸化膜、2はゲート絶縁膜であり、13はゲート電極である。上述したように、本発明の製造方法によれば極めて薄く且つ良質なゲート絶縁膜2を形成することができる。このゲート絶縁膜2は、図1(b)に示すように、シリコン基板1との界面に形成された、品質の高い絶縁膜からなる。
【0043】
この例では、この品質の高い絶縁膜2は、熱CVDによって形成されたシリコン酸化膜(High Temperature Oxide:HTO)を希ガスおよび酸素ガスを処理ガスとして用いた酸素プラズマにより改質することで形成された第1層(図1(b)の21)と、熱CVDによって形成されたHfSiOを窒素プラズマおよび酸素プラズマにより改質することで形成された第2層(図1(b)の22)との積層構造からなるものとする。
具体的な工程の例を以下に示す。780度に加熱したシリコン基板上にSiHClとNOをそれぞれ200sccm(3.33×10 −6 /秒)、400sccm(6.67×10 −6 /秒)ずつ流し、圧力を60Paに保持して5分間処理を行い、10AのCVDシリコン酸化膜(HTO)を成膜した。このHTO膜が成膜されたシリコン基板を次に示すような方法でプラズマ改質する。HTOが成膜されたシリコン基板を400℃に加熱し、ウェハ上に希ガスと酸素をそれぞれ2000sccm(3.33×10 −5 /秒)、200sccm(3.33×10 −6 /秒)ずつ流し、圧力を130Paに保持する。その雰囲気中に複数のスロットを有する平面アンテナ部材(SPA)を介して3W/cmのマイクロ波を10秒照射することにより酸素および希ガスとを含むプラズマを形成し、このプラズマを用いてHTOの改質を行い、膜中に多数存在するSiの未結合手を酸素原子により終端することで膜特性の改善を目指す。更にこの改質されたHTO膜上部にHfSiO膜を成膜する。ターシャリーブトキシハフニウム(HTB:Hf(OC)とシランガス(SiH)をそれぞれ1sccm(1.67×10 −8 /秒)、400sccm(6.67×10 −6 /秒)ずつ導入し、圧力を50Paに保持する。HTBの流量は液体マスフローコントローラ、シランガスの流量はガスマスフローコントローラの流量である。この雰囲気中で前記のHTOが成膜されたシリコン基盤を350℃にて加熱し、基板上でHfとSiとOの反応種を反応させることでHfSiO膜を成膜する。処理時間を含めたプロセス条件を調整することで、4nmのHfSiO膜を成膜する。このHTO/HfSiO積層構造を更に窒素プラズマ、酸素プラズマを用いて以下のように改質を行う。基板を400℃に加熱し、ウェハ上に希ガスと窒素をそれぞれ2000sccm(3.33×10 −5 /秒)、150sccm(2.5×10 −6 /秒)ずつ流し、圧力を130Paに保持する。その雰囲気中に複数のスロットを有する平面アンテナ部材(SPA)を介して3W/cmのマイクロ波を10秒照射することにより窒素および希ガスとを含むプラズマを形成し、このプラズマを用いてHTO/HfSiO積層構造の窒化処理を行い、誘電率の向上と、耐酸化性の向上を目指す。更に、HTO改質と同様の酸素プラズマ処理を施し、膜中に多量に含まれている有機物(炭素原子)を燃焼させ、膜特性の向上を目指す。最後の酸化前に窒化処理を施しているために、酸化による過度な増膜は抑制され、最終的に電気的膜厚が2nm程度の良好な特性をもつGate絶縁膜の形成が期待できる。
【0044】
この絶縁膜2の表面上には、更にシリコン(ポリシリコンまたはアモルファスシリコン)や金属を主成分とするゲート電極13が形成されている。
【0045】
続いて、製造方法の一態様として、上述のゲート絶縁膜2を形成するための半導体製造装置について説明する。
【0046】
図2は本発明によるゲート絶縁膜を形成するための半導体製造装置30の全体構成の一例を示す概略図(模式平面図)である。半導体製造装置30は主に絶縁膜を成膜するCVD処理ユニット33と、CVD処理ユニット33において成膜された絶縁膜を改質するプラズマ処理ユニット32、および処理を行うために必要な搬送系から構成されている。ここでは各装置の構造を詳細に説明するにとどめ、実際の処理におけるウェハの流れを含めた工程の解説は後述するロジックデバイス製造の一態様の中で説明をする。
【0047】
図2に示すように、この半導体製造装置30のほぼ中央には、ウエハW(図3)を搬送するための搬送室31が配設されており、この搬送室31の周囲を取り囲むように、プラズマ処理ユニット32、CVD処理ユニット33、各処理室間の連通/遮断の操作を行うための二機のロードロックユニット34および35、種々の加熱操作を行うための加熱ユニット36、が配設されている。
【0048】
ロードロックユニット34、35の横には、種々の予備冷却ないし冷却操作を行うための予備冷却ユニット45、冷却ユニット46がそれぞれ配設されている。
【0049】
搬送室31の内部には、搬送アーム37および38が配設されており、前記各ユニット32〜36との間でウエハW(図2)を搬送することができる。
【0050】
ロードロックユニット34および35の図中手前側には、ローダーアーム41および42が配設されている。これらのローダーアーム41および42は、更にその手前側に配設されたカセットステージ43上にセットされた4台のカセット44との間でウエハWを出し入れすることができる。
【0051】
(絶緑膜改質装置の一態様)
【0052】
図3はゲート絶緑膜2の改質に使用可能なプラズマ処理ユニット32の垂直方向の模式断面図である。
【0053】
図3を参照して、参照番号50は、例えばアルミニウムにより形成された真空容器である。この真空容器50の上面には、基板(例えばウエハW)よりも大きい開口部51が形成されており、この開口部51を塞ぐように、例えば石英や酸化アルミ等の誘電体により構成された偏平な円筒形状の天板54が設けられている。この天板54の下面である真空容器50の上部側の側壁には、例えばその周方向に沿って均等に配置した16箇所の位置にガス供給管72が設けられており、このガス供給管72からOや希ガス、NおよびH等から選ばれた1種以上を含む処理ガスが、真空容器50のプラズマ領域P近傍にムラなく均等に供給されるようになっている。
【0054】
天板54の外側には、複数のスロットを有する平面アンテナ部材、例えば銅板により形成されたスロットプレインアンテナ(Slot Plane Antenna;SPA)60を介して、高周波電源部をなし、例えば2.45GHzのマイクロ波を発生するマイクロ波電源部61に接続された導波路63が設けられている。この導波路63は、SPA60に下縁が接続された偏平な平板状導波路63Aと、この円形導波管63Aの上面に一端側が接続された円筒形導波管63Bと、この円筒形導波管63Bの上面に接統された同軸導波変換器63Cと、この同軸導波変換器63Cの側面に直角に一端側が接続され、他端側がマイクロ波電源部61に接続された矩形導波管63Dとを組み合わせて構成されている。
【0055】
ここで、本発明においては、UHFとマイクロ波とを含めて高周波領域と呼ぶものとする。すなわち、高周波電源部より供給される高周波電力は300MHz以上のUHFや1GHz以上のマイクロ波を含む、300MHz以上2500MHz以下のものとし、これらの高周波電力により発生されるプラズマを高周波プラズマと呼ぶものとする。
【0056】
前記円筒形導波管63Bの内部には、導電性材料からなる軸部62の、一端側がSPA60の上面のほぼ中央に接続し、他端側が円筒形導波管63Bの上面に接続するように同軸状に設けられており、これにより当該導波管63Bは同軸導波管として構成されている。
【0057】
また真空容器50内には、天板54と対向するようにウエハWの載置台52が設けられている。この載置台52には図示しない温調部が内蔵されており、これにより当該載置台52は熱板として機能するようになっている。更に真空容器50の底部には排気管53の一端側が接続されており、この排気管53の他端側は真空ポンプ55に接続されている。
【0058】
(SPAの一態様)
【0059】
図4は本発明の電子デバイス材料の製造装置に使用可能なSPA60の一例を示す模式平面図である。
【0060】
この図4に示したように、このSPA60では、表面に複数のスロット60a、60a、…が同心円状に形成されている。各スロット60aは略方形の貫通した溝であり、隣接するスロットどうしは互いに直交して略アルファベットの「T」の文字を形成するように配設されている。スロット60aの長さや配列間隔は、マイクロ波電源部61より発生したマイクロ波の波長に応じて決定されている。
【0061】
(CVD処理ユニットの一態様)
【0062】
図5は本発明の電子デバイス材料の製造装置に使用可能なCVD処理ユニット33の一例を示す垂直方向の模式断面図である。
【0063】
図5に示すように、CVD処理ユニット33の処理室82は、例えばアルミニウム等により気密可能な構造に形成されている。この図5では省略されているが、処理室82内には加熱機構や冷却機構を備えている。
【0064】
図5に示したように、処理室82には上部中央にガスを導入するガス導入管83が接続され、処理室82内とガス導入管83内とが連通されている。また、ガス導入管83はガス供給源84に接続されている。そして、ガス供給源84からガス導入管83にガスが供給され、ガス導入管83を介して処理室82内にガスが導入されている。このガスとしては、ゲート絶縁膜形成の原料となる、シランやジクロロシラン、気化器(加熱蒸発器)を通して液体から気化された有機金属物質(例えばHf(OC254、Ta(OC255)等を用いることができ、必要に応じて、不活性ガスをキャリアガスとして用いることもできる。
【0065】
処理室82の下部には、処理室82内のガスを排気するガス排気管85が接続され、ガス排気管85は真空ポンプ等からなる排気手段(図示せず)に接続されている。この排気手段により、処理室82内のガスがガス排気管85から排気され、処理室82内が所望の圧力に設定されている。
【0066】
また、処理室82の下部には、ウエハWを載置する載置台87が配置されている。
【0067】
この図5に示した態様においては、ウエハWと略同径大の図示しない静電チャックによりウエハWが載置台87上に載置されている。この載置台87には、図示しない熱源手段が内設されており、載置台87上に載置されたウエハWの処理面を所望の温度に調整できる構造に形成されている。
【0068】
この載置台87は、必要に応じて、載置したウエハWを回転できるような機構になっている。
【0069】
図5中、載置台87の右側の処理室82壁面にはウエハWを出し入れするための開口部82aが設けられており、この開口部82aの開閉はゲートバルブ98を図中上下方向に移動することにより行われる。図5中、ゲートバルブ98の更に右側にはウエハWを搬送する搬送アーム(図示せず)が隣設されており、搬送アームが開口部82aを介して処理室82内に出入りして載置台87上にウエハWを載置したり、処理後のウエハWを処理室82から搬出するようになっている。
【0070】
載置台87の上方には、シャワー部材としてのシャワーヘッド88が配設されている。このシャワーヘッド88は載置台87とガス導入管83との間の空間を区画するように形成されており、例えばアルミニウム等から形成されている。
【0071】
シャワーヘッド88は、その上部中央にガス導入管83のガス出口83aが位置するように形成され、シャワーヘッド88下部に設置されたガス供給孔89を通し、処理室82内にガスが導入されている。
(ロジックデバイス製造の一態様)
【0072】
本発明をロジックデバイスの製造に適用した一態様について述べる。このような態様は、大別して、素子分離→MOSトランジスタ作製→容量作製→層間絶縁膜成膜および配線のような流れとなる。図6は本発明を用いたロジックデバイス作製工程のフロー図である。
【0073】
以下に本発明の工程が含まれるMOSトランジスタ作製前工程の中でも、特に本発明と関連の深いMOS構造の作製について説明する。
【0074】
(基板)
【0075】
基板にはP型もしくはN型のシリコン基板を用い、比抵抗が1〜30Ωcm、面方位(100)のものを用いる。
【0076】
シリコン基板上には目的に応じ、STIやLOCOS等の素子分離工程やチャネルインプラが施されており、ゲート酸化膜やゲート絶縁膜が成膜されるシリコン基板表面には犠牲酸化膜が成膜されている(図6(A))。
【0077】
(ゲート絶縁膜成膜前の洗浄)
一般にAPM(アンモニア、過酸化水素水、純水の混合液)とHPM(塩酸、過酸化水素水、純水の混合液)およびDHF(フッ酸と純水の混合液)を組み合わせたRCA洗浄によって犠牲酸化膜と汚染要素(金属や有機物、パーティクル)を除去する。必要に応じ、SPM(硫酸と過酸化水素水の混合液)、オゾン水、FPM(フッ酸、過酸化水素水、純水の混合液)、塩酸水(塩酸と純水の混合液)、有機アルカリなどを用いる時もある。
【0078】
(下地酸化膜の形成)
洗浄に引き続き、熱CVD装置(図示せず)においてCVD酸化膜(HTO:High Temperature Oxide)が形成される(図6(B))。
【0079】
次いでプラズマ処理ユニット32(図2)内の真空容器50の側壁に設けたゲートバルブ(図示せず)を開いて、搬送アーム37、38により、前記シリコン基板1表面にCVD酸化膜(HTO、21(図1(b))が形成されたウエハWを載置台52(図3)上に載置し、プラズマ酸化によるHTOの改質を行う(図6(B))。
【0080】
ゲートバルブを閉じて内部を密閉した後、真空ポンプ55により排気管53を介して内部雰囲気を排気して所定の真空度まで真空引きし、所定の圧力に維持する。一方マイクロ波電源部61より例えば2.45GHz(2200W)のマイクロ波を発生させ、このマイクロ波を導波路により案内してSPA60および天板54を介して真空容器50内に導入し、これにより真空容器50内の上部側のプラズマ領域Pにて高周波プラズマを発生させる。
【0081】
ここでマイクロ波は矩形導波管63D内を矩形モードで伝送し、同軸導波変換器63Cにて矩形モードから円形モードに変換され、円形モードで円筒形同軸導波管63Bを伝送し、更に平板状導波路63Aを径方向に伝送していき、SPA60のスロット60aより放射され、天板54を透過して真空容器50に導入される。この際マイクロ波を用いているため高密度低電子温度のプラズマが発生し、またマイクロ波をSPA60の多数のスロット60aから放射しているため、このプラズマが均一な分布なものとなる。
【0082】
次いで、載置台52の温度を調節してウエハWを例えば400℃に加熱しながら、ガス供給管72よりクリプトンやアルゴン等の希ガスと、O2 ガスとを、それぞれ2000sccm、200sccmの流量で導入して酸素プラズマを発生させ、CVD酸化膜(HTO)の改質を実施する。図6(B)
【0083】
(High−k Gate絶縁膜の形成)
次に、ゲートバルブ(図示せず)を開き、真空容器50内に搬送アーム37、38(図2)を進入させ、載置台52上のウエハWを受け取る。この搬送アーム37、38はウエハWをプラズマ処理ユニット32から取り出した後、隣接するCVD処理ユニット33内の載置台にセットし、High−k絶縁膜を形成する(ステップ2)。図6(C)
【0084】
CVD処理ユニット33内ではHigh−k絶縁膜形成に用いられるソースガスを所定の条件下にて導入し、ウェハWを適正に加熱することでHigh−k絶縁膜22が成膜される(図1(e))。High−k物質としては例えばHfSiO膜が成膜される。ターシャリーブトキシハフニウム(HTB:Hf(OC)とシランガス(SiH)を処理室82にそれぞれ1sccm(1.67×10 −8 /秒)、400sccm(6.67×10 −6 /秒)ずつガス導入管83を通じて導入し、処理室82の圧力を50Paに保持する。HTBの流量は液体マスフローコントローラ、シランガスの流量はガスマスフローコントローラの流量である。この雰囲気中で前記のHTOが成膜されたシリコン基板Wを350℃にて加熱し、基板上でHfとSiとOの反応種を反応させることでHfSiO膜を成膜する。処理時間を含めたプロセス条件を調整することで、4nmのHfSiO膜を成膜する。(図6(e)、図10)
【0085】
次いで、プラズマ処理ユニット32内で形成されたHTO/HfSiO積層構造(図1(a)の2)の表面上に窒化処理が施された(図6(D))。
【0086】
この表面窒化処理の際には、例えば、真空容器50内にて、ウエハ温度が例えば400℃、プロセス圧力が例えば66.7Pa(500mTorr)の状態で、容器50内にガス導入管よりアルゴンガスと、N2 ガスとを、それぞれ2000sccm、150sccmの流量で導入する。
【0087】
その一方で、マイクロ波電源部61より例えば2W/cmのマイクロ波を発生させ、このマイクロ波を導波路により案内してSPA60bおよび天板54を介して真空容器50内に導入し、これにより真空容器50内の上部側のプラズマ領域Pにて高周波プラズマを発生させる。
【0088】
この工程(表面窒化)では、導入されたガスはプラズマ化し、窒素ラジカルが形成される。この窒素ラジカルがウエハW上面上の絶縁膜上で反応し、比較的短時間で絶縁膜表面を窒化する。
【0089】
この窒化処理を例えば20秒行うことで、HTO/HfSiO積層構造の誘電率が上昇し、微細化によって生じる蓄積容量の低下を防ぐことが出来る。また、耐酸化性およびボロンの突き抜け耐性が向上することで上部に電極を形成した際のデバイス特性の劣化を抑制することが出来る。引き続いてプラズマ処理ユニット32内にて前述のHTO改質に用いた条件と同じ条件にてプラズマ酸化処理を施し、HfSiO膜に含まれる有機物(炭素原子)を燃焼させ、膜特性の改善を行う。その後、HTO/HfSiO積層構造の形成されたウェハWをプラズマ処理ユニット32から搬送アーム37、38によって取り出し、ロードロックユニット34、35を介して装置手前に設置されたカセットステージ43上にセットされたウェハカセットにローダーアーム41、42によって搬送される。
【0090】
(ゲート電極用ポリシリコン成膜)
【0091】
上記で形成したHigh−kゲート絶縁膜(下地膜を含む)上にMOSトランジスタのゲート電極としてポリシリコン(アモルファスシリコンを含む)をCVD法にて成膜する。ゲート絶縁膜の成膜されたシリコン基板を500℃から650℃の範囲内で加熱し、基板上にシリコンを含むガス(シラン、ジシラン等)を10から100Paの圧力下で導入することでゲート絶縁膜上に膜厚50nmから500nmの電極用ポリシリコンを成膜する。ゲート電極としてはポリシリコンの代替として、シリコンゲルマニウムやメタル(W、Ru、TiN、Ta、Moなど)が用いられることがある(図6(E))。
【0092】
(ゲートパターンニング、ソース/ドレイン形成、メタル電極形成)
その後、ゲートのパターンニング、選択エッチングを行い、MOSキャパシタを形成し(図6(F))、イオン打ち込み(インプラ)を施してソース、ドレインを形成する(図6(G))。その後アニールによりドーパント(チャネル、ソース、ドレインへインプラされたリン(P)、ヒ素(As)、ホウ素(B)等)の活性化を行う。続いて後工程となる層間絶縁膜の成膜、パターンニング、選択エッチング、メタルの成膜を組み合わせた配線工程を経て本様態に関わるMOSトランジスタが得られる(図6(H))。最終的にこのトランジスタ上部に様々なパターンで配線工程を施し、回路を作ることでロジックデバイスが完成する。
【0093】
なお、本態様ではロジックデバイス製造への本発明の応用を例に取り上げ、Gate絶縁膜としてHTO/HfSiO積層構造を形成したが、それ以外の組成からなる絶縁膜を形成することも可能である。Gate絶縁膜としては、SiO、Si、SiONに代表される絶縁物質、およびTa、ZrO、HfO、Al、La、TiO、Y、BST、STO、PZT、Pr、Cd、CeOに代表されるHigh−k(高誘電率)物質、およびこれらの物質の化合物からなる群から選択される1又は2以上のものが挙げられる。
また、本態様ではロジックデバイス製造への本発明の応用のみを例に取り上げたが、本発明による絶縁膜の形成方法を、DRAMにおける蓄積ノード電極上の容量絶縁膜やフラッシュメモリーにおけるフローティングゲート電極上のインターポリ絶縁膜へ応用することも可能である。
【0094】
また、絶縁膜の成膜方法として本態様では熱CVDのみを取り上げたが、成膜方法は任意であり、例えばプラズマCVD法やPVD法によって成膜を行うことも可能である。
【0095】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0096】
【実施例】
図7、8に絶縁膜形成に本発明を用いたMOSキャパシタの電気特性評価結果を示す。本発明では積層構造を用いることとなっているが、ここではHTO単層の改質を行うことで発明の効果を検証した。
図7にHTO成膜後にプラズマ処理を施した場合とプラズマ処理を施さなかった場合のリーク特性を示す。横軸は電気的膜厚、縦軸はGate電圧−5VにおけるHTO酸化膜のリーク電流値である。図8は同様の膜の信頼性評価結果(TDDB:Time Dependent Dielectric Breakdown)の評価結果である。このグラフの横軸はQbd値(絶縁膜破壊電荷)縦軸は故障率を表す。本測定におけるデバイス構造は、以下1〜7のような方法で作成された。
1:基板
2:Gate酸化前洗浄
3:HTOの成膜
CVDによりHTO膜を成膜した。780℃に加熱した上記基板上にSiHClとNOをそれぞれ200sccm(3.33×10 −6 /秒)、400sccm(6.67×10 −6 /秒)ずつ流し、圧力を60Paに保持して30分間処理を行い、60AのCVD酸化膜(High Temperature Oxide:HTO)を成膜した。
4:プラズマ酸化プロセス
3のHTO膜が成膜されたシリコン基板を次に示すような方法で改質した。3のHTO膜が成膜されたシリコン基板を真空(背圧1×10 −4 Pa以下)の反応処理室に搬送した後、基板を温度400℃に保ち、希ガスと酸素とをそれぞれ1000sccm(1.67×10 −5 /秒)、20sccm(3.33×10 −7 /秒)ずつ流し、圧力を130Pa(1Torr)に保持した。その雰囲気中に複数のスロットを有する平面アンテナ部材(SPA)を介して3W/cmのマイクロ波を照射することにより酸素および希ガスとを含むプラズマを形成し、このプラズマを用いて3のHTO膜の改質を行った。
5:Gate電極用ポリシリコン成膜 1〜4で形成したHTO膜の成膜されたシリコン基板上にGate電極としてポリシリコンをCVD法にて成膜した。HTOの成膜されたシリコン基板を630℃で加熱し、基板上にシランガス250sccm(4.17×10 −6 /秒)を33Paの圧力下で導入し30分保持することでHTO膜上に膜厚3000Aの電極用ポリシリコンを成膜した。
6:ポリシリコンへのP(リン)ドープ
5で作製された電極用ポリシリコンが成膜されたシリコン基板を850℃に過熱し、基板上にPOClガスと酸素および窒素をそれぞれ350sccm(5.83×10 −6 /秒)、200sccm(3.33×10 −6 /秒)、20000sccm(3.33×10 −4 /秒)ずつ常圧下で導入し24分間保持することでポリシリコン中にリンをドープした。
7:パターニング、Gateエッチ
6で作製したシリコン基板上にリソグラフィによりパターニングを施し、HF:HNO:HO=1:60:60の比の薬液中にシリコン基板を3分間浸すことでパターニングされていない部分のポリシリコンを溶かし、MOSキャパシタを作製した。
測定は次に示すような方法で行った。まず、Gate電極面積が10000μのキャパシタのCV、IV特性を評価した。CV特性は周波数100KHz、ゲート電圧を0Vから−5Vまで掃引し各電圧におけるCapacitanceを評価することで求めた。−5VにおけるCapacitanceの値から電気的膜厚を求めた。また、IV特性はゲート電圧を0Vから−5V程度まで掃引し、各電圧において流れる電流値(リーク電流値)を評価することで求めた。続いて、Gate電極面積が10000μのキャパシタに−0.1A/cmの一定電流のストレスを印加し、絶縁破壊が生じるまでの時間(Break Down Time:Tbd)を測定した。電流ストレス−0.1A/cmとTbdの積の絶対値を取り、絶縁破壊電荷(Qbd)を計算した。
図7に上記の方法によって成膜されたHTO膜と、比較の為にプラズマ処理を施さないHTO膜のリーク特性を示す。横軸は電気的膜厚、縦軸はGate電圧−5VにおけるHTO酸化膜のリーク電流値である。図7に示されるようにプラズマ処理を施しても電気的膜厚の分布は変化せず、またリーク電流値は約半分ほどに低下している。
図8は同様の膜の信頼性評価結果(TDDB:Time Dependant Dielectric Breakdown)の評価結果である。このグラフの横軸はQbd値(絶縁膜破壊電荷)縦軸は故障率を表す。図8に示されるように、HTO膜にプラズマ処理を施すことで信頼性(Qbd値)を2桁程度向上させることに成功した。
以上から、本発明を含む工程を用いることにより、良好なリーク特性および信頼性を持つHTO膜を形成することが可能となる。このHTO膜をHigh−k Gate絶縁膜の下地酸化膜として用いることで、良好な電気的特性を持つGate絶縁膜を形成することが期待できる。
上記の例では、本発明を用いて作製されたHTO膜をMOSキャパシタに応用した結果についてのみ言及しているが、本発明を用いて絶縁膜の積層構造を形成し、その絶縁膜をトランジスタのGate絶縁膜やメモリーデバイスの電極間絶縁膜に応用することで同様の効果を実現できる。
【0097】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、高性能化および/又は低消費電力化等の優れた特性を有する電子デバイスのための優れた膜質の絶縁膜を与えることが可能な絶縁膜の改質方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の下地絶縁膜の形成方法方法により製造可能な半導体装置の一例を示す模式的な垂直断面図である。
【図2】本発明の下地絶縁膜の形成方法方法を実施するための半導体製造装置の一例を示す模式平面図である。
【図3】本発明の下地絶縁膜の形成方法方法に使用可能なスロットプレインアンテナ(SPA)プラズマ処理ユニットの一例を示す模式的な垂直断面図である。
【図4】本発明の下地絶縁膜の形成方法装置に使用可能なSPAの一例を示す模式的な平面図である。
【図5】本発明の下地絶縁膜の形成方法方法に使用可能なCVD処理ユニットの一例を示す模式的な垂直断面図である。
【図6】本発明の製造方法を用いたトランジスタ作製工程の一例を示すフロー図である。
【図7】本発明を用いて形成されたHTO膜のリーク特性である。
【図8】本発明を用いて形成されたHTO膜の信頼性評価結果である。

Claims (13)

  1. 絶縁膜の形成方法であって;
    基板上に、熱酸化法、プラズマ酸化法あるいは触媒酸化法のいずれかの方法により形成された酸化膜である絶縁膜を形成する工程と、
    前記酸化膜を、第1のプラズマに晒して改質する工程と、
    前記改質された絶縁膜上に、High−K(高誘電率)膜を形成する工程と、
    前記High−K膜を、希ガスと酸素ガスを含む第2のプラズマに晒して改質する工程と備える方法。
  2. 前記第1のプラズマは、希ガスと酸素ガスのプラズマである請求項1に記載の方法。
  3. 前記絶縁膜が、SiO、Si、SiONから選択される請求項1に記載の方法。
  4. 前記High−K膜が、Ta、ZrO、HfO、TiO、Y、BST、STO、PZT、Pr、Cd、CeOから選択される1または2以上である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記プラズマは、ICPプラズマ、または複数のスロットを有する平面アンテナを介したマイクロ波プラズマである請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 絶縁膜の形成方法であって;
    基板上に、熱酸化法、プラズマ酸化法あるいは触媒酸化法のいずれかの方法によりシリコン酸化膜を形成する工程と、
    前記シリコン酸化膜を、第1のプラズマに晒して改質する工程と、
    前記改質されたシリコン酸化膜上に、HfSiO膜を形成する工程と、
    前記HfSiO膜を、希ガスと酸素ガスを含む第2のプラズマに晒して改質する工程とを備える方法。
  7. 前記第1のプラズマは、希ガスと酸素ガスのプラズマである請求項に記載の方法。
  8. 前記HfSiO膜は、ターシャリブトキシハニウム(HTB)とシランにより形成される請求項6または7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記絶縁膜は、ゲート絶縁膜である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記プラズマは、ICPプラズマ、または複数のスロットを有する平面アンテナを介したマイクロ波プラズマである請求項6のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記希ガスはKr、Ar、HeまたはXeから選択され、その流量は500〜3000sccmであり、前記Oの流量は10〜500sccmである請求項12、6、7のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記第1及び第2のプラズマに晒して改質する工程における前記基板温度は、室温(25℃)〜600℃である請求項12、6、711のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記第1及び第2のプラズマ処理の圧力は、3〜400Paである請求項12、6、711、12のいずれか一項に記載の方法。
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