JP4082940B2 - 操作ノブ付き棒状容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば口紅、薬用リップ、糊等の製剤、あるいは化粧用のハケ、印鑑等の固形物を操作ノブの進退操作により出し入れ可能に収納する操作ノブ付き棒状容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のような操作ノブ付き棒状容器として、例えば、先端(上端)に開口を有した筒状の容器本体の内部に棒状製剤を保持した受筒(保持体)を収納し、この受筒を容器本体の軸方向に移動可能に支持するとともに、ベルト状の操作片をU字型に折り返した(湾曲させた)状態で容器本体に収納してその一端を前記受筒に連結し、前記操作片に対して容器本体の外側から組付けられた操作ノブを進退操作することにより操作片を介して受筒を移動させて棒状製剤を出し入れするようにした棒状製剤用容器は一般に知られている(例えば実開昭58−112214号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような容器は、通常、容器本体が径方向に二分割される分割構造とされており、容器組立時には、一方側の分割片に対してその内側面に形成された案内溝等に受筒や操作片を予め組付けておき、これに他方側の分割片を合体させつつ、該他方側の分割片に形成された案内溝内に前記操作片等を組付けながら組立てるように構成されている。そのため組立性が極めて悪いという問題がある。
【0004】
すなわち、案内溝にベルト状の操作片を嵌め込みながらU字型に折り返し、さらにこの状態を保持しながら分割片同士を合体させる必要があるため、例えば一方側の分割片に操作片を組付けた状態でこの分割片に対して他方側の分割片を合体させようとすると、この際にスプリングバックが生じて操作片が分割片(案内溝)から外れてしまうことが多く、容器の組立てに過大な手間と時間がかかるという問題がある。特に、操作片の剛性が高い場合や、操作片を折り返す際の曲率が大きい場合にはスプリングバックが生じ易く、組立性がより一層悪いものとなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、操作ノブ付き棒状容器においてその組立性を向上させることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、収納物の保持体を一端に備えたベルト状の操作片を有し、先端開口を有した筒状の容器本体内に前操作片がU字状に折り返された状態で収容され、前記容器本体の外部から操作可能なように前記操作片の他端に設けられた操作ノブを容器本体に沿ってその軸方向に進退操作することにより、前記保持体を前記軸方向に移動させる操作ノブ付き棒状容器において、前記保持体を支持する支持部とこの支持部における前記保持体の支持側とは反対側に設けられる案内用凸部とをもち、かつ前記容器本体とは別体の内部フレーム部材を有し、前記支持部により前記保持体が支持された状態で前記操作片が前記案内用凸部側に導出され、さらに、この案内用凸部に沿って前記操作片がU字状に折り返された状態で前記内部フレーム部材および操作片が前記容器本体の内部に組込まれているものである。
【0007】
この構成によれば、容器本体とは別体の内部フレーム部材に操作片を案内する案内用凸部が設けられているので、容器の組立時には、保持体を内部フレーム部材により支持して操作片を案内用凸部に沿って案内した状態で容器本体に組付けることができる。従って、操作片を案内溝に嵌め込みながら容器本体に対して保持体を組付ける必要がある従来のこの種の容器に比べて組立時の手間が省け組立性が向上する。
【0008】
この容器において、前記支持部は、先端に開口を有し、かつ底部に前記案内用凸部を有した筒状に形成され、前記保持体は、前記支持部内に収容された状態で支持されているのが好ましい。
【0009】
この構成によれば、保持体を内部フレーム部材の円筒状の支持部内に挿入した状態で容器の組立を行うことが可能となるので、より一層組立性が向上する。
【0010】
上記の容器においては、前記支持部に保持体が支持され、かつ操作片が案内用凸部に沿ってU字状に折り返された状態で前記内部フレーム部材が操作片と共に前記先端開口を介して容器本体内に挿入されることにより前記内部フレーム部材および操作片が前記容器本体の内部に組込まれているのが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、容器の組立時には、内部フレーム部材の案内用凸部に沿って操作片をU字に折り返し、操作片の先端部分を内部フレーム部材と共に摘まんだ状態で容器本体に対してその先端開口から挿入することにより保持体等を容器本体内に組付けることとなる。そのため、操作片にスプリングバックが生じるのを確実に防止することができ、操作片をU字状に折り返した状態で簡単に容器本体内に組付けることができる。
【0012】
この場合には、容器本体の内部に、該容器本体の先端開口側に向かって開口し、容器本体への前記内部フレーム部材の挿入に伴い前記案内用凸部および操作片を案内する筒状の案内用凹部が形成されているのがより好ましい。
【0013】
この構成によれば、操作片がある程度拘束されるので、収納物使用時に操作ノブを操作したときの圧縮荷重による操作片の無駄な撓みを防止することが可能となり、収納物の押し出し操作をより良好に行うことが可能となる。また、容器の組立時、内部フレーム部材等を容器本体内に挿入する際に案内用凸部と操作片が互いにずれるのを有効に防止することができ、より一層組立性を向上させることができる。
【0014】
また、この容器においては、前記容器本体に対して前記内部フレーム部材を所定の挿入位置まで挿入すると容器本体と内部フレーム部材とを自ずと離脱不能に固定する固定手段を備えているのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、内部フレーム部材等を容器本体に挿入しさえすれば自ずと内部フレーム部材と容器本体とが固定されるので、内部フレーム部材を固定するための特別の作業が不要となり組立性をより一層向上させることができる。
【0016】
固定手段としては、例えば内部フレーム部材に鍔部と係止片とを設け、容器本体の先端開口縁部に鍔部が当接する位置まで容器本体に対して内部フレーム部材を挿入すると係止片が容器本体の底部に設けられる被係止部に係止されるような構成を採用することができる。
【0017】
この構成によれば、内部フレーム部材を容器本体に固定すると、軸方向の引張り応力が内部フレーム部材に働いた状態となるため容器本体に対して内部フレーム部材をより安定した状態で固定することが可能となる。
【0018】
なお、内部フレーム部材には、前記保持体の前記支持部からの脱落を防止する抜け止めが設けられているのが好ましい。
【0019】
この構成によれば、組立時に、保持体が内部フレーム部材から脱落するのを防止することができ、組立性がさらに向上する。
【0020】
また、上記のような容器においては、容器本体と内部フレーム部材の案内用部材とにより操作片をU字状に折り返した状態で案内する案内通路を形成し、この案内通路であって容器本体側の案内面に段状の爪部を設けるとともに、操作片のうち容器本体側の前記案内面に対向する面に前記爪部に係合可能な係合歯を形成し、係合時に収納物の収納方向への操作片の移動を阻止し得るように爪部及び係合歯を構成するとともに、収納物を容器先端側に押し出した状態で該収納物に収納方向の荷重が作用すると操作片が容器本体側の案内面に当接して係合歯と爪部とが係合状態となる一方、収納物を収納すべく操作ノブを操作して操作片に引張り荷重を与えると操作片が容器本体側の案内面から離間して係合歯と爪部との係合状態が解除され得るように前記案内通路の隙間を設定するのが好ましい。
【0021】
この構成によると、収納物の押し出し時には、係合歯と爪部とが係合することなく操作ノブの操作に伴い収納物の押し出しがスムーズに行われる。また、収納物の使用時には、係合歯と爪部とが係合して操作片の移動(収納物の収納方向への移動)が阻止され、その結果、収納物が容器内に押し戻されるのが防止される。そして、収納物を収納すべく操作ノブを操作すると、操作片が容器本体側の案内面から離間し、これにより係合歯と爪部との係合状態が解除されて収納物が操作ノブの操作に伴いスムーズに容器内に収納されることとなる。
【0022】
さらに、上記の容器においては、収納物出し入れ用の開口部を開閉する蓋体が設けられ、この蓋体は操作ノブに連結され、操作ノブの操作に連動して前記開口部を開閉するように構成されているのが好ましい。
【0023】
この構成によれば、蓋体の開閉を含めた収納物の出し入れ操作を一の操作ノブの操作で行うことができる。そのため、収納物の出し入れ操作を完全に片手で行うことが可能となる。また、蓋体の紛失を防止することもできる。
【0024】
この場合、蓋体が操作ノブに対して直接連結され、収納物を押し出すべく操作ノブを移動させると前記開口部を開放しながら蓋体が容器側方に向って移動するように構成されるとともに、蓋体が容器側方に移動するに伴い、又は移動した後に収納物が押し出されるように操作ノブが操作片に対して組付けられているのが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、収納物の出し入れ時、あるいは収納物の使用時に蓋体が邪魔になり難くなる。
【0026】
なお、この構成の場合には、蓋体を操作ノブに対して回動可能に連結するとともに、容器本体の先端部分にカム部を設け、開口部を開放した状態から収納物を収納すべく操作ノブを移動させると、蓋体の一部がカム部に当接して前記開口部を閉止するように蓋体が操作ノブに対して回動するように構成すればよい。
【0027】
これによれば、極めて簡単な機構で操作ノブの操作に伴い前記開口部を蓋体により閉止することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。
【0029】
図1及び図2は、本発明に係る操作ノブ付き棒状容器の一例である棒状製剤用容器を概略的に示している。図1は棒状製剤用容器の斜視図で、図2は縦断面斜視図である。
【0030】
これらの図に示す棒状製剤用容器10(以下、容器10と略す)は、口紅等の棒状の製剤C(収納物)を収納する円筒状の本体12と、この本体12の先端(上端)に脱着可能に装着されるキャップ14とからなり、使用者がキャップ14を取り外した状態で本体12を握り、該本体12の側面に設けられた操作ノブ26を本体12に沿ってその軸方向に進退操作することにより製剤Cを本体12に対して出し入れできるように構成されている。
【0031】
容器10の本体12は、図2に示すように、容器本体20、内部フレーム部材22、操作片24および前記操作ノブ26の合計4つのパーツからなり、これらのパーツが相互に組付けられることにより構成されている。
【0032】
容器本体20は、容器10の外観部分を構成するパーツで、図3(a),(b)に示すように先端開口30を具備した有底の円筒形状を有し、側面にはその先端部分から中間部分に亘って上下方向(容器本体20の軸方向、長手方向)に延びるスリット34が形成されている。
【0033】
容器本体20の内部には、その底部32から中間部分まで延びて先端側に開口する断面略矩形の凹部36(案内用凹部)が区画形成されている。この凹部36は、容器本体20の内壁面(詳しくは前記スリット34に対応する部分の内壁;以下、内壁36aという)と、この内壁36aに対向する対向壁36bと、両壁36a,36bを連結する互いに平行な一対の側壁36cとから構成されており、後述するように内部フレーム部材22の後記案内用凸部44と協働して前記操作片24の案内通路16を形成するように構成されている。
【0034】
凹部36の底面は断面U字型の円弧状の面とされている。この円弧状の底面には段状の爪部39が形成されており、操作片24の後記係合歯54と係合し得るように構成されている。また、凹部36の内壁面のうち前記対向壁36bには、その上端部分から底部付近に亘って操作片24の後記案内部24aを案内するための上下方向に真っ直ぐに延びるガイド溝38が形成されている。
【0035】
なお、容器本体20の内壁面であって前記スリット34に対応する箇所には、該スリット34に沿って上下方向に真っ直ぐに延びるガイド溝37が形成されており操作片24の後記ノブ取付部56がこのガイド溝37に沿って案内されるように構成されている。また、容器本体20の底部32であって凹部36の外側、具体的には、前記対向壁36bの直ぐ後側(図3(b)では左側)には、内部フレーム部材22を係止するための上下方向に貫通する係止孔32a(被係止部)が形成されている。
【0036】
内部フレーム部材22は、前記容器本体20内に収納される製剤Cを直接収容するパーツで、図4(a),(b)に示すようにその上部には、製剤Cを収容する先端開口40を具備した円筒形状の支持部(以下、必要に応じて円筒状支持部という)が形成されている。
【0037】
この内部フレーム部材22は、前記容器本体20に隙間なく挿入され得るようにその外形寸法が設定されており、その先端近傍には、前記容器本体20と同一外径寸法を有する鍔部41が一体に形成されている。
【0038】
内部フレーム部材22の下側には、下方に向かって延びる細長の案内用凸部44と、これと平行に延びる細長の係止片46とが設けられている。これら案内用凸部44及び係止片46は、内部フレーム部材22の前記円筒状支持部の底部42に一体に形成されている。
【0039】
前記案内用凸部44は、図4(b)に示すように内部フレーム部材22の中心部分から半径方向に延びる平板状の凸部で、その先端(下端)には円弧状の案内面44aが形成されている。一方、係止片46は、内部フレーム部材22の中心を挟んで前記案内用凸部44の反対側に設けられており、その先端(下端)にはフック46aが一体に形成されている。
【0040】
また、前記底部42には、操作片24を挿入するための上下方向に貫通する貫通孔42aが穿設されている。この貫通孔42aは、その形状が操作片24の後記案内部24aの断面形状に対応した形状とされているとともに、操作片24を挿入すると該操作片24に形成される後記一対の突状52bが自ずと案内用凸部44をその両側から挟む(換言すれば案内用凸部44が両突状52bの間に介在する)ように前記案内用凸部44に隣接して設けられている。
【0041】
操作片24は、図5(a)に示すように製剤Cを押し出し操作するための細長のパーツで、その一端には製剤Cの保持部50(保持体)が一体に設けられている。なお、図5(a)では、図面スペースの関係上、操作片24をその途中で折り曲げた状態で示している。
【0042】
保持部50は、小径の円盤体50aとこれよりも大径の円盤体50bとを上下に備えた二段皿形状を有している。大径の円盤体50bは前記内部フレーム部材22の円筒状支持部に隙間なく、かつ円筒状支持部に対してスムーズに上下方向に摺動し得るようにその外形寸法が設定されており、後述するように、保持部50のうち小径の円盤体50aを軸状の製剤Cの一端(下端)に埋め込んだ状態で、前記大径の円盤体50により該製剤Cをその端面で支えるように構成されている。
【0043】
操作片24は、上記の保持部50の部分を除いて全体が略平板状に形成されており、前記保持部50に連続する基端側の案内部24aと先端側のベルト部24bとを有している。
【0044】
案内部24aは、その表裏両面に上下方向に延びる案内用の突状が形成されたある程度剛性を有する構造とされている。具体的には、図5(c)に示すように、案内部24aの一方側の面(同図では左側の面;以下、表側面という)であってその幅方向(同図では上下方向)中央に一本の突状52aが形成され、これと反対側の面(以下、裏側面という)であってその幅方向両端に一対の突状52bが形成されている。
【0045】
一方、ベルト部24bは十分な可撓性を有した構成となっている。ベルト部24bの表側面であって前記案内部24aの端部近傍から一定の範囲には、前記容器本体20に形成された爪部39と係合可能な鋸歯状の複数の係合歯54が形成されている。なお、爪部39及び係合歯54の詳しい構成については後に説明する。
【0046】
また、ベルト部24bの先端(操作片24の先端)であってその表側面にはノブ取付部56が突設されている。このノブ取付部56には、図5(b)に示すように操作ノブ26の取付孔56aが形成されている。
【0047】
操作ノブ26は、図1および図2に示すように、操作面となる表面に滑り止め用の凹凸を形成した本体部分を有し、その裏側には前記操作片24(ノブ取付部56)に装着するためのフック部26aが一体に形成されている。
【0048】
以上のような各パーツの構成のもと、前記本体12は次のようにして組立てられている。以下、その手順に従って説明する。
【0049】
まず、図6(a)に示すように操作片24を内部フレーム部材22の前記円筒状支持部に挿入する。具体的には、操作片24をベルト部24bの先端側から円筒状支持部に挿入し、さらに底部42に形成された前記貫通孔42aに通すことにより、保持部50を円筒状支持部内に残した状態で操作片24を円筒状支持部の下側(外側)に導出する。この際、操作片24を貫通孔42aに挿入すると、案内部24aの裏側面に形成された一対の突状52bの間に案内用凸部44が介在し、これにより操作片24が案内用凸部44に沿って案内される。
【0050】
操作片24を内部フレーム部材22に組付けたら、次に、図6(b)に示すように操作片24のベルト部24bを前記案内用凸部44の案内面44aに沿ってその先端でU字状に折り返して内部フレーム部材22の外側面に沿わせた状態で保持する。この際、操作片24を下側に引張って保持部50を底部42に突き当てた状態で操作片24を折り返し、この状態で内部フレーム部材22を操作片24のノブ取付部56と共に摘まむようにすればよい。
【0051】
そして、この状態で内部フレーム部材22を案内用凸部44の先端側から前記先端開口30を介して容器本体20内に挿入するとともに、容器本体20の内部において内部フレーム部材22の前記案内用凸部44の部分を前記凹部36内に挿入する。この際、前記操作片24の案内部24aに形成された突状52aを凹部36の前記対向壁36bに形成されたガイド溝38内に、またノブ取付部56をガイド溝37に夫々介装しながら内部フレーム部材22等を容器本体20に挿入する。
【0052】
このようにして内部フレーム部材22等を完全に容器本体20に挿入すると、すなわち前記鍔部41が容器本体20の先端開口縁部に当接する位置まで内部フレーム部材22等を挿入すると、内部フレーム部材22の前記係止片46の先端フック46aが係止孔32aに差込まれ、これにより係止片46が容器本体20の底部32に係合して内部フレーム部材22等が容器本体20に脱落不能に組付けられた状態となる。また、内部フレーム部材22の案内用凸部44と凹部36の内壁との間に、図2に示すように操作片24を案内する断面U字型の案内通路16が形成されることとなる。
【0053】
内部フレーム部材22等を容器本体20に組付けたら、次に、図6(c)に示すように操作ノブ26のフック部26aを容器本体20の外側からスリット34に差込み、該フック部26aを操作片24のノブ取付部56に形成された取付孔56aに差込む。このようにするとフック部26aが取付孔56aを介してノブ取付部56に係合し、操作ノブ26が操作片24に固定される。
【0054】
このようにノブ取付部56の固定が完了すると上記本体12が完成する。なお、上記キャップ14は、容器本体20と略同一の外径寸法を有する円筒状の形状を有しており、本体12の上端、正確には内部フレーム部材22のうち鍔部41よりも上側の部分に装着されるように構成されている。
【0055】
以上のように構成された容器10において、製剤Cは前記本体12の内部フレーム部材22の円筒状支持部に操作片24に支持された状態で収容される。より詳しくは、製剤Cの下端部に保持部50の前記小径の円盤体50aが埋め込まれ、大径の円盤体50bによりその下側から支持された状態で収容される。これにより保持部50と製剤Cとが一体的に内部フレーム部材22の円筒状支持部内を移動し得るようになっている。
【0056】
製剤Cの未使用時には、図2に示すように前記操作ノブ26がスリット34の上端近傍に配置されて製剤Cが本体12内に収納された状態(引き込まれた状態)とされる。そして、この状態で本体12の上端部分にキャップ14が装着されることにより製剤Cが乾燥等から保護されるようになっている。
【0057】
製剤Cを使用する際にはキャップ14を取り外し、図7(a)に示すように、本体12を握った状態で操作ノブ26をスリット34に沿って下方に押し下げる。このように操作ノブ26を押し下げると、操作ノブ26と一体に操作片24が移動し、その結果、製剤Cが保持部50と共に内部フレーム部材22の円筒状支持部内を上方に移動して、同図に示すように製剤Cが本体12の先端側に押し出されることとなる。従って、製剤Cが例えば口紅である場合には、このように口紅を本体12の先端側に押し出した状態で唇に押し当てることにより口紅を塗布することが可能となる。
【0058】
そして、使用後は、操作ノブ26を逆にスリット34の上端まで押し上げれば、これに伴い製剤Cが保持部50と共に内部フレーム部材22の円筒状支持部内を一体に下方に移動し、その結果、製剤Cが本体12内に収納されることとなる。
【0059】
ところで、この容器10では上述したように操作ノブ26の操作により製剤Cを出し入れするが、製剤Cを使用する際には、操作ノブ26から手を放した状態でも製剤Cが本体12内に押し戻しされることがないようにする必要がある。つまり、製剤Cの使用時にはその押圧力(製剤Cが口紅である場合には、口紅を唇に押し付ける力)により本体12内に製剤Cを押し戻す力(反力)が作用するため、この反力により製剤Cが本体12内に押し戻されるのを防止する必要があるが、この点について、上記容器10では上述したように操作片24のベルト部24bに係合歯54が、容器本体20内にこの係合歯54に係合可能な爪部39が夫々設けられ、さらにベルト部24bを案内する案内通路16等が以下のように構成されることにより、使用中の製剤Cの押し戻しが良好に防止され得るようになっている。
【0060】
すなわち、上記の係合歯54及び爪部39は、操作ノブ26の操作により製剤Cを押し出す方向へ操作片24(ベルト部24b)が移動するときには非係合状態となり、これと反対方向、つまり製剤Cを収納する方向(以下、収納方向という)へ操作片24が移動する時には係合し得るようにその形状が設定されている(図8参照)。また、案内通路16のうち操作片24の反転部分およびこれよりも操作ノブ26側の部分(図8では爪部39の右方側の部分)は、ベルト部24bの厚みに対して上下方向の隙間に余裕が設けてあり、ベルト部24bが案内用凸部44側に接している状態では、係合歯54と爪部39が非係合状態となるようにその隙間が設定されている(図9参照)。
【0061】
これにより、製剤Cの押し出し時には、係合歯54と爪部39とが係合することがなく、操作ノブ26の操作に伴い操作片24が案内通路16内をスムーズに移動し、その結果、製剤Cの押し出しがスムーズに行われることとなる。
【0062】
そして、図7(b)に矢印で示すように、使用時に製剤Cに反力、すなわち製剤Cを押し戻す力(収納方向の荷重)が作用すると、図8に示すように係合歯54と爪部39とが係合することにより案内通路16内での操作片24の収納方向の移動が阻止され、その結果、本体12内への製剤Cの押し戻しが防止されることとなる。つまり、容器本体20の下端で操作片24(ベルト部24b)がU字状に折り返されていることにより、図8中矢印で示すように製剤Cに反力が作用するとベルト部24bが案内通路16内においてその下面側(爪部39側)に撓み、その結果、係合歯54と爪部39が係合状態となり製剤Cの押し戻しが防止されることとなる。
【0063】
そして、この状態から製剤Cを本体12内に収納すべく図7(c)に示すように操作ノブ26を上向きに操作すると、製剤C等が負荷となって操作片24に引張り荷重が作用し、その結果、図9に示すようにベルト部24bが案内通路16内においてその上面側(案内用凸部44の案内面44a側)に沿って摺動することとなる。これにより係合歯54と爪部39との係合状態が解除されて収納方向への操作片24の移動が許容され、その結果、操作ノブ26の操作に伴い製剤Cがスムーズに本体12内に収納されることとなる。
【0064】
従って、操作ノブ26の操作により製剤Cの出し入れをスムーズに行うことができる一方で、操作ノブ26から手を放した状態でも、使用時の反力により製剤Cが容器10内に押し戻されるのを製剤Cの押し出し状態(量)に拘わらず確実に防止することができる。
【0065】
なお、スリット34の上端近傍には、対向して形成された一対の凸部からなるストッパ62(図7,図13参照)が設けられており、操作ノブ26を上昇端位置にセットすると、操作ノブ26と該ストッパ62とが係合して操作ノブ26が上昇端位置に拘束されるように構成されている。これにより携帯中に不意に操作ノブ26が動いて製剤Cが押し出されるのを防止することができ、また、使用者が収納操作時のクリック感により製剤Cが収納されたことを指先の感覚で認識することができるようになっている。
【0066】
以上のような容器10によると次のような効果を得ることができる。
【0067】
まず、容器10の組立性を向上させることができるという効果がある。すなわち、この容器10によると、組立の際には、上述したように操作片24を内部フレーム部材22に挿入してU字型に折り返し、操作片24の端部を内部フレーム部材22と共に摘まんだ状態で容器本体20の先端開口30から内部フレーム部材22等を挿入すればよいので、操作片24にスプリングバックが発生することがなく、操作片24をU字型に折り返した状態で簡単に容器本体内に組付けることができる。従って、組立時に操作片のスプリングバックが発生し易い従来のこの種の容器と比較すると、容器10をより簡単に、かつ速やかに組立てることができ、これにより容器10の組立性を向上させることができる。
【0068】
特に、内部フレーム部材22等を完全に容器本体20に挿入すれば内部フレーム部材22に設けられた係止片46が容器本体20に係合して内部フレーム部材22等が容器本体20に固定されるように構成されているので容器本体20に対する内部フレーム部材22等の固定をも簡単に行うことができる。また、内部フレーム部材22等を容器本体20に挿入する際には、上述したように操作片24の案内部24aに形成された突状52aを容器本体20の凹部36に形成されたガイド溝38内に、またノブ取付部56をガイド溝37に沿って夫々案内しながら内部フレーム部材22等を容器本体20に挿入するように構成されているので挿入時の向きを誤る等の誤作業も防止される。さらに、上記のようにスリット34に沿って形成されたガイド溝37に沿ってノブ取付部56を案内しながら内部フレーム部材22等を容器本体20に挿入するので、操作ノブ26を組付ける際にノブ取付部56の位置を容易に特定することが可能であり、そのため容器本体20の外側から操作ノブ26を簡単、かつ速やかに組付けることができる。従って、これらの点についても容器10の組立性の向上に寄与し得る。
【0069】
また、上記容器10では、操作ノブ26の操作により操作片24を介して製剤Cの出し入れを行うという基本構成において、操作片24に係合歯54を一体に設ける一方、容器本体20に、この係合歯54に係合可能な爪部39を一体に設けることにより使用時の製剤Cの押し戻しを防止するように構成しているため合理的な構成で製剤Cが容器10内に押し戻されるのを防止することができるという効果もある。例えば、押し戻しを防止するための専用の部材を別途設け、該部材を容器本体等に組込むことも考えられるが、この場合には容器の構成部品数が増加していきおい製造コストや組立工数の増加を招くこととなる。これに対し、容器10の構成に必須の部材、つまり操作片24及び容器本体20を製剤Cの押し戻し防止用の部材として兼用する上記容器10のように構成によれば、製造コストや組立工数の増加を殆ど伴うことなく製剤Cが容器10内に押し戻されるのを良好に防止することができる。
【0070】
しかも、上記容器10における製剤Cの押し戻し防止構造は、既に詳述したように、案内通路16内(反転部分;爪部39に対応する部分)での操作片24の撓み具合の違いを利用したものであるため構造が極めて簡単であり、しかも、操作ノブ26の操作性に何ら影響を与えることがないという特徴がある。つまり、従来のこの種の容器と同用に、スリット32に沿って操作ノブ26を進退操作するだけで製剤Cを良好に出し入れすることができ、これ以外の特別の操作は一切必要ない。
【0071】
また、上記容器10では、操作片24のうち保持部50の直ぐ下側に剛性を有した案内部24aを設けているので、製剤Cの押し出し操作時の操作性を向上させることができるという効果もある。すなわち、例えば、案内部24aを設けることなく操作片24の全体をベルト部24bのような可撓性の構成としてもよいが、この場合には、製剤Cの押し出し時に操作片24に圧縮荷重が作用すると、製剤Cの押し出しに伴い内部フレーム部材22の円筒状支持部内で操作片24が撓み、その結果、製剤Cが十分に押し出されないといった違和感を使用者に与えることが考えられる。これに対して上記実施形態の構成によれば、保持部50の下端部に剛性を有した案内部24aが設けられ、これが案内用凸部44に沿って真っ直ぐ上下動するように構成されているため、そのような撓みが生じることが一切ない。そのため、操作ノブ26の操作に対応した量の製剤Cを適切に押し出すことが可能であり使用者に違和感を与えることがない。
【0072】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0073】
図10及び図11は、第2の実施形態に係る操作ノブ付き棒状容器である棒状製剤用容器を概略的に示している。なお、これらの図に示す棒状製剤用容器もその基本的な構成は第1の実施の形態の容器10と共通するため、共通する部分については同一符号を付して説明を省略し、以下に相違点について詳しく説明することにする。
【0074】
第2の実施形態の容器10′には、第1の実施形態の容器10のようなキャップ14は設けられておらず、これに代えて本体12の先端開口、すなわち内部フレーム部材22の円筒状支持部の先端開口40を開閉する蓋15(蓋体)が本体12に一体的に設けられている。
【0075】
この蓋15は、先端開口40を開閉する平板状の蓋本体15aと、その端縁部分に突設される連結部15bとを備えた断面逆L字型(図11で逆L字型)の形状を有しており、軸体60を介して操作ノブ26の上端部分に回動可能に軸支されている。
【0076】
また、本体12において内部フレーム部材22には第1の実施形態のようなキャップ14の装着部分は設けられておらず、その代わりに前記蓋15に外嵌可能な平面視で略円環状のリブ41aが鍔部41の上部に一体形成されている。つまり、前記蓋15を閉じると、同図に示すように蓋15の蓋本体15aがリブ41aに嵌合し、この嵌合力により蓋15が同図に示す閉止位置に保持されるようになっている。
【0077】
さらに、前記鍔部41において蓋15の前記連結部15bに対応する箇所には、その径方向外側(内部フレーム部材22径方向外側;図11では右側)に向ってカム41b(カム部)が突設されている。
【0078】
また、詳しく図示していないが、操作片24には、操作ノブ26の取付孔として上下方向(長手方向)に細長の取付孔56aを有したノブ取付部56が設けられており、これにより操作ノブ26が該取付孔56aの範囲内で操作片24に対して相対的に移動し得るように構成されている。なお、取付孔56aの上下方向(長手方向)の寸法は、後述するように、操作ノブ26による製剤Cの押し出し操作に伴い蓋15が本体12の側方に移動し、先端開口40が開放され得るのに十分な寸法に設定されている。
【0079】
以上のように構成された第2の実施形態の容器10′においては、製剤Cの未使用時には、図10及び図11に示すように前記操作ノブ26がスリット34の上端近傍に配置されて製剤Cが本体12内に収納され、蓋15が閉止位置、すなわち先端開口40を塞ぐ位置にセットされた状態にある。
【0080】
製剤Cを使用する際には、本体12を握った状態で図12(a)に示すように操作ノブ26をスリット34に沿って下向きに操作する。
【0081】
このように操作ノブ26を下向きに操作すると、まず操作ノブ26のみが操作片24に対して相対的に移動するとともに、これに連動して図12(b)に示すように蓋15が本体12の先端(上端)から側面部分に移動し先端開口40が開放され始める。そして、操作ノブ26をノブ取付部56の前記取付孔56aの下端まで移動させると、図12(c)に示すように蓋15の末端(同図では上端)が本体12の側方に完全に移動して先端開口40が完全に開放された状態となる。
【0082】
さらに操作ノブ26を押し下げると、操作ノブ26が操作片24に係合し、以後、操作ノブ26の移動に伴い操作片24が移動することにより図12(d)に示すように製剤Cが本体12の先端側に押し出されることとなる。
【0083】
そして、製剤Cを使用した後は、逆に操作ノブ26を上向きに操作すれば、製剤Cが本体12内に収納されることとなる。この際、操作ノブ26を上向きに操作すると、まず前記取付孔56aの範囲内で操作ノブ26のみが操作片24に対して相対的に移動する。そして、操作ノブ26が前記取付孔56aの上端まで移動すると、操作ノブ26が操作片24に係合し、以後、操作ノブ26の移動に伴い操作片24が一体に移動して製剤Cが本体12内に収納されることとなる。このとき、操作ノブ26がスリット34の上端近傍に至ると、蓋15の連結部15bが前記カム41bに当接し、これにより蓋15が軸体60を支点として回動する。そして、操作ノブ26が完全に押し上げられると製剤Cが収納されて図10及び図11に示すように先端開口40が蓋15によって完全に塞がれた状態となる。
【0084】
なお、この容器10′においても、スリット34の上端近傍には、図11及び図13に示すように、対向して形成された一対の凸部からなるストッパ62が設けられており、操作ノブ26を上昇端位置、つまり蓋15により先端開口40が閉止される位置にセットすると、操作ノブ26と該ストッパ62とが係合して操作ノブ26が上昇端位置に拘束されるように構成されている。これにより携帯中に不意に蓋15が開いたり、さらに製剤Cが押し出されるのを防止することができる。また、使用者が収納操作時のクリック感により製剤Cが収納されたことを指先の感覚で認識することができるようになっている。なお、蓋15により先端開口40を塞いだ状態をより確実に維持するために、例えば、操作ノブ26及び蓋15等に、操作ノブ26に対して蓋15を閉止方向(前記閉止位置に回動する方向)に付勢するばね等の弾性体からなる付勢手段を組付けるようにしてもよい。
【0085】
以上のような第2の実施形態の容器10′によると、蓋15の開閉操作が操作ノブ26による製剤Cの出し入れ動作に連動するので、蓋15の開閉操作を含む製剤Cの一連の出し入れ操作を片手で簡単に行うことができる。従って、第1の実施形態の容器10による効果に加えて、操作性をより一層向上させることができるという効果がある。また、蓋15が本体12に一体に組付けられているので蓋15の紛失を防止することができるという効果もある。
【0086】
しかも、上記容器10′では、製剤Cを押し出すべく操作ノブ26を操作しても蓋15が完全に本体12の側方に移動するまでは製剤Cが押し出されることがないため、本体12に蓋15を一体的に組込みながらも、製剤Cの出し入れ時、あるいは使用時に蓋15が邪魔になることが一切ないという効果もある。
【0087】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0088】
図14は、第3の実施形態に係る操作ノブ付き棒状容器である棒状製剤用容器を概略的に示している。なお、この図に示す棒状製剤用容器の基本構成は、第1の実施形態の容器10と共通するため、共通する部分については同一符号を付して説明を省略し、以下に相違点についてのみ詳しく説明することにする。
【0089】
同図に示す容器10′′は、以下のような内部フレーム部材22′を有している点で第1の実施形態の容器10と構成が相違している。すなわち、第3の実施形態の内部フレーム部材22′は、第1の実施形態における内部フレーム部材22の円筒状支持部のうち、その円筒壁を省略した構成とされている。
【0090】
内部フレーム部材22′は、同図に示すように、容器本体20の内周面の所定箇所に形成された支持リブ80上に底部42(便宜上第1の実施形態と同一名称を使用する)が係合することにより下方への動きが規制された状態で容器本体内に固定されている。なお、内部フレーム部材22′の上方への動きは、上記のとおり、係止片46の先端フック46aがハウジング20の係止孔32aに差込まれて、規制されている。
【0091】
以上のような第3の実施形態の容器10′′によると、内部フレーム部材22′に筒状壁がない分、第1の実施形態の容器10に比べて容器本体20への内部フレーム部材22′の挿入が容易であり、また、製剤C等の収納物をより多く収納することができるという利点がある。
【0092】
ところで、以上説明した容器10,10′,10′′は本発明に係る操作ノブ付棒状用容器である棒状製剤用容器の好ましい実施の形態であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。具体的には、以下のような構成を採用することもできる。
【0093】
▲1▼ 容器10,10′,10′′における製剤Cの押し戻し機構として図15に示すような構成を採用してもよい。すなわち、爪部39を前記凹部36の底面部分ではなく、それよりも上方の案内面(対向壁36bの部分)に設けるとともに、案内通路16のうち操作片24の反転部分から爪部39に亘る部分の隙間を広く、つまりベルト部24bの撓みによる変位が許容され、爪部39と係合歯54との係脱が可能とるように設定した構成としてもよい。このような構成によっても、同図に矢印で示すように製剤Cを押し戻す力が作用したときには、ベルト部24b対向壁36b側に撓んで係合歯54と爪部39とが係合し、これにより操作片24の収納方向の移動が阻止されて本体12内への製剤Cの押し戻しが防止され、一方、製剤Cを本体12内に収納すべく操作ノブ26を操作して操作片24に引張り荷重を与えると、図16に示すようにベルト部24bが案内用凸部側に沿って係合歯54と爪部39との係合状態が解除された状態となり、これにより操作片24の収納方向への移動が許容されて製剤Cが本体12内に収納されることとなる。なお、案内通路16内における爪部39の位置および案内通路16の隙間等の具体的な構成はこの実施形態の構成に限られるものではない。要は、製剤Cの出し入れをスムーズに行うことができ、かつ使用時に係合歯54と爪部39とを確実に係合させて製剤Cの押し戻しを防止できれば如何なる構成であってもよい。
【0094】
▲2▼ 構成を簡略化するために、容器本体20のガイド溝38や操作片24の突状52a,52b等を省略したり、あるいは、容器本体20の凹部36(対向壁36b,側壁36c)自体を省略してもよい。但し、凹部36を省略した場合には、製剤Cを押し出すべく操作ノブ26を操作したときに操作片24に圧縮荷重がかかって操作片24が撓み、製剤Cの押し出しに支障をきたすことが考えられるので、ある程度剛性の高い操作片24を用いることが必要となる。
【0095】
▲3▼ 上記の実施形態では、図6(b)に示すように、操作片24を内部フレーム部材22に通してU字状に折り返した組立体を構成し、これを容器本体20に挿入して組付けるようにしているが、例えば、径方向に二分割される分割構造の内部フレーム部材を用い、その分割片の一方に上記組立体を組込んだ後、これに他方側の分割片を合体させるようにしてもよい。この場合も、予め案内通路16を構成する案内用凸部44に沿って予め操作片24をU字状に折り返した前記の組立体を分割片に対して組付けることとなるので、従来のように各分割片に形成された案内溝に沿って操作片をU字状に折り返しながら嵌め込むといった煩雑な作業が必要なく、従って、従来のこの種の容器に比べると簡単に操作片等を容器内に組込むことができる。
【0096】
▲4▼ 細部の構成について、例えば操作片24と保持部50とは一体成形されたものである必要はなく、夫々別個に成形された操作片24と保持部50とを合体させたものであってもよい。また、保持部50の具体的な形状も実施形態のような二段皿形状に限らず、バケット状、棒状あるいは皿状等、製剤Cに応じた最適な形状を適宜選定すればよい。この場合、上記実施形態では、図6(b)等に示すように底部42が保持部50の抜け止めとして機能することにより、内部フレーム部材22の円筒状支持部からの保持部50の脱落(底部側(図6(b)では下側)への脱落)が防止されるようになっているが、例えば、保持部50と貫通孔42aとの関係で内部フレーム部材22の円筒状支持部から保持部50が脱落するおそれがある場合には、別途何らかの抜け止めを設ければよい。勿論、抜け止めは設けなくても機能上は差し支えないが、容器10,10′,10′′の組立時には、上述したように、内部フレーム部材22に通した操作片24を引張って保持部50を底部42に突き当てた状態で操作片24を折り返し、この状態で内部フレーム部材22を操作片24のノブ取付部56と共に摘まむようにして容器本体20に挿入できる方が組立性が良いので、この観点からすると、抜け止めを設けて内部フレーム部材22の円筒状支持部からの保持部50の脱落を防止できるように構成するのが好ましい。
【0097】
▲5▼ 容器本体20に対して内部フレーム部材22を固定する固定手段として、例えば上記係止片46等を設ける代わりに、内部フレーム部材22の外周面であって鍔部41の下側付近にフックを設ける一方、容器本体20の内周に該フックに対応する係合部を設け、内部フレーム部材22の挿入に伴いこれらを相互に係合させるように構成してもよい。また、内部フレーム部材22の外周面に突起を形成する一方、容器本体20の内周面に、その上端から下方に真っ直ぐ延びる縦溝とその下端で周方向に延びるロック溝とからなるL字状の案内溝を形成し、縦溝に沿って突起を案内しながら内部フレーム部材22を容器本体20に挿入した後、内部フレーム部材22と容器本体20とを相対的に回転させて前記突起をロック溝に嵌め込むことにより容器本体20と内部フレーム部材22とを互いに係止するように構成してもよい。要するに内部フレーム部材22と容器本体20とを良好に、かつ簡単に係止することができれば、上記係止手段は如何なる構成であっても構わない。但し、上記容器10のように鍔部41を容器本体20の先端開口縁部に係合させて内部フレーム部材22に設けた係止片46を内部フレーム部材22の底部32に係止する構成によれば、容器10の組立ての際に内部フレーム部材22を容器本体20に挿入するだけで極めて簡単に内部フレーム部材22を容器本体20に固定することができ、また固定後は、軸方向の引張り応力が働いた状態で内部フレーム部材22が固定されることとなるので、内部フレーム部材22をより安定した状態で固定することができるという利点がある。
【0098】
▲6▼ 上記実施形態では、本発明の操作ノブ付き棒状容器として例えば口紅、薬用リップ、糊等に代表される棒状製剤Cを収納する棒状製剤用容器について説明したが、勿論、化粧用のハケ、印鑑、食品等の製剤以外のものを収納する容器として適用することも可能である。この場合には、前記保持部50の形状をその収納物を保持するのに最適な形状とすればよい。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の操作ノブ付き棒状容器は、操作片を案内するための案内用凸部を具備した容器本体とは別体の内部フレーム部材が設けられ、容器の組立時には、内部フレーム部材により保持体を支持し、操作片を内部フレーム部材の案内用凸部に沿ってU字状に折り返した状態で該内部フレーム部材等を容器本体の内部に組込むことができるように構成されているので、従来のように、容器本体を構成する分割片の案内溝に操作片をU字状に折り返して嵌め込みながら操作片等を容器本体に組付けるといった煩雑な作業を行う必要がなく、容器を簡単に組立てることができる。
【0100】
特に、内部フレーム部材に保持体を保持し、かつ操作片を案内用凸部に沿ってU字状に折り返した状態で内部フレーム部材および操作片を一体に先端開口から容器本体内に挿入して組付け得るようにすれば、操作片にスプリングバックが生じるのを確実に防止することができ、これにより、より簡単に容器を組立てることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る操作ノブ付き棒状容器(第1の実施の形態)である棒状製剤用容器を示す斜視図である。
【図2】棒状製剤用容器を示す縦断面図である。
【図3】棒状製剤用容器の本体を構成する容器本体を示す図である((a)は部分断面図、(b)は平断面図である)。
【図4】棒状製剤用容器の本体を構成する内部フレーム部材を示す図である((a)は部分断面図、(b)は平断面図である)。
【図5】棒状製剤用容器の本体を構成する操作片を示す図である((a)は部分断面図、(b)はノブ取付部を示す拡大斜視図、(c)は平断面図である)。
【図6】棒状製剤用容器の組立て手順を示す斜視図(部分断面図)である((a)は内部フレーム部材の円筒状支持部に操作片を挿入した状態、(b)は内部フレーム部材等を容器本体に挿入する際の状態、(c)は内部フレーム部材を容器本体に挿入した状態である)。
【図7】棒状製剤用容器の使用状態を示す断面図である((a)は製剤の押し出し操作をした状態、(b)は製剤の使用時の状態、(c)は製剤の収納操作をした状態である)。
【図8】操作片(係合歯)と爪部との関係を示す図7(b)の要部拡大図(図7(b)の一点鎖線で示す円の部分)拡大図である。
【図9】操作片(係合歯)と爪部との関係を示す図7(c)の要部拡大図(図7(c)の一点鎖線で示す円の部分)拡大図である。
【図10】本発明に係る操作ノブ付き棒状容器(第2の実施の形態)である棒状製剤用容器を示す正面図である。
【図11】棒状製剤用容器を示す断面図である。
【図12】棒状製剤用容器の使用状態を示す断面図である((a)は製剤を押し出し始めた直後の状態、(b)は蓋が殆ど容器側方に移動した状態、(c)は蓋が完全に容器側方に移動して容器先端が完全に開放された状態、(d)は製剤が押し出された状態である)。
【図13】スリットに設けられた操作ノブのストッパを示す棒状製剤用容器の正面図である。
【図14】本発明に係る操作ノブ付き棒状容器(第3の実施の形態)である棒状製剤用容器を示す斜視断面図である。
【図15】操作片(係合歯)と爪部との関係について別の例を示す図(製剤の押し出し操作をした状態)である。
【図16】操作片(係合歯)と爪部との関係について別の例を示す図(製剤の収納操作をした状態)である。
【符号の説明】
10 容器
12 本体
14 キャップ
16 案内通路
20 容器本体
22 内部フレーム部材
24 操作片
24a 案内部
24b ベルト部
26 操作ノブ
30 先端開口
34 スリット
44 案内用凸部
50 保持部
56 ノブ取付部

Claims (11)

  1. 収納物の保持体を一端に備えたベルト状の操作片を有し、先端開口を有した筒状の容器本体内に前操作片がU字状に折り返された状態で収容され、前記容器本体の外部から操作可能なように前記操作片の他端に設けられた操作ノブを容器本体に沿ってその軸方向に進退操作することにより、前記保持体を前記軸方向に移動させる操作ノブ付き棒状容器において、
    前記保持体を支持する支持部とこの支持部における前記保持体の支持側とは反対側に設けられる案内用凸部とをもち、かつ前記容器本体とは別体の内部フレーム部材を有し、前記支持部により前記保持体が支持された状態で前記操作片が前記案内用凸部側に導出され、さらに、この案内用凸部に沿って前記操作片がU字状に折り返された状態で前記内部フレーム部材および操作片が前記容器本体の内部に組込まれていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  2. 請求項1記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記支持部は先端に開口を有し、かつ底部に前記案内用凸部を有した筒状に形成され、前記保持体は前記支持部内に収容された状態で支持されていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  3. 請求項1又は2に記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記支持部に保持体が支持され、かつ操作片が案内用凸部に沿ってU字状に折り返された状態で前記内部フレーム部材が操作片と共に前記先端開口を介して容器本体内に挿入されることにより前記内部フレーム部材および操作片が前記容器本体の内部に組込まれていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  4. 請求項3記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記容器本体の内部に、該容器本体の先端開口側に向かって開口し、容器本体への前記内部フレーム部材の挿入に伴い前記案内用凸部および操作片を案内する筒状の案内用凹部が形成されていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  5. 請求項3又は4に記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記容器本体に対して前記内部フレーム部材を所定の挿入位置まで挿入すると容器本体と内部フレーム部材とを自ずと離脱不能に固定する固定手段を備えていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  6. 請求項5記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記固定手段は、前記内部フレーム部材に形成される鍔部と、前記支持部における前記保持体の支持側とは反対側に設けられて前記軸方向に延びる係止片と、容器本体の底部に設けられる被係止部とからなり、容器本体の先端開口縁部に前記鍔部が当接する位置まで容器本体に対して内部フレーム部材が挿入されると前記係止片が前記被係止部に係止されるように構成されていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記内部フレーム部材には、前記保持体の前記支持部からの脱落を防止する抜け止めが設けられていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記容器本体と前記内部フレーム部材の案内用凸部とにより前記操作片をU字状に折り返した状態で案内する案内通路が形成され、この案内通路であって前記容器本体側の案内面に段状の爪部が設けられるとともに、前記操作片のうち容器本体側の前記案内面に対向する面に前記爪部に係合可能な係合歯が形成され、これら爪部及び係合歯が係合時に収納物の収納方向への操作片の移動を阻止し得るように構成され、さらに収納物を容器先端側に押し出した状態で該収納物に収納方向の荷重が作用すると前記操作片が容器本体側の案内面に当接して前記係合歯と爪部とが係合状態となる一方、収納物を収納すべく前記操作ノブを操作して前記操作片に引張り荷重を与えると前記操作片が容器本体側の案内面から離間して前記係合歯と爪部との係合状態が解除され得るように前記案内通路の隙間が設定されていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  9. 請求項1乃至7の何れかに記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    収納物出し入れ用の開口部を開閉する蓋体が設けられ、この蓋体は前記操作ノブに連結され、前記操作ノブの操作に連動して前記開口部を開閉するように構成されていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
  10. 請求項9記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記蓋体が操作ノブに対して直接連結され、収納物を押し出すべく操作ノブを移動させると前記開口部を開放しながら蓋体が容器側方に向かって移動するように構成されるとともに、前記蓋体が容器側方に移動するに伴い又は移動した後に収納物が押し出されるように前記操作ノブが前記操作片に対して組付けられていることを特徴する操作ノブ付き棒状容器。
  11. 請求項10記載の操作ノブ付き棒状容器において、
    前記蓋体が操作ノブに対して回動可能に連結されるとともに、容器本体の先端部分にカム部が設けられ、前記開口部を開放した状態から収納物を収納すべく操作ノブを移動させると、蓋体の一部が前記カム部に当接して前記開口部を閉止するように蓋体が前記操作ノブに対して回動するように構成されていることを特徴とする操作ノブ付き棒状容器。
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