JP4082776B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,プリント配線板の製造方法に関し,特にビアホール穿設時に発生するスミアの除去方法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年,プリント配線板のビアホールは,レーザー照射により形成する方法が開発されている。その形成方法を具体的に説明すると,図4に示すごとく,まず,絶縁基板95の表面に金属箔93を貼着し,ビアホール形成部分にエッチングにより予め開口孔933を形成する。
【0003】
次いで,開口孔933内にレーザーを照射して絶縁基板95のビアホール形成部分を,その高いエネルギーにより焼失させる。そして,レーザーが,底部を形成する金属箔93に到達したときにレーザー照射を停止し,ビアホール96の穿設を完了する。次いで,ビアホール96内部に金属めっき膜97を形成して,ビアホール96に電気的導通性を付与する。
その後,金属箔93にエッチングを施して導体パターン931,932を形成すると,プリント配線板が得られる。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のレーザー照射によるビアホール形成方法においては,図5に示すごとく,ビアホール96内部に絶縁基板95の残さ94が残る。この残さ94は,図4に示すごとく,ビアホール96内における金属めっき膜97の形成を妨げる。また,金属箔93と金属めっき膜97と密着性を低下させる。そのため,ビアホール96の導通信頼性が低くなる。
【0005】
そこで,かかるビアホール96内の残さ94を除去するために,ビアホール96内にデスミア処理を施すことが行われている。
しかし,デスミア処理が不十分などの場合に,残さが十分に除去されない場合がある。そのため,依然として,ビアホールの導通信頼性は十分なものとはいえない。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,ビアホールの導通信頼性が高いプリント配線板及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明は,絶縁基板と略同一の大きさの金属箔の表面に黒化膜を形成する工程と,
上記黒化膜を対面させた状態で上記絶縁基板の上方及び下方から上記金属箔をそれぞれ熱圧着し,上記絶縁基板の両面を粗化面となして上記金属箔に上記絶縁基板を食い込ませて両者を接着する工程と,
上記絶縁基板の上方側からビアホール形成部分にレーザーを照射して,下方の上記金属箔を底部とするビアホールを形成する工程と,
上記ビアホール内部に残った上記絶縁基板の残さを除去するデスミア処理工程と,
上記ビアホール底部に露出した金属箔表面を0.1〜5μmの厚み範囲で溶解除去するソフトエッチング工程と,
上記ビアホール底部の金属箔表面に黒化膜のないことを光学的手段によって確認してから,上記ビアホール内部を含めて上記金属箔表面全体に金属めっき膜を形成する工程と,
上記金属箔にエッチングを施して上記絶縁基板の両面に導体パターンを形成する工程と,
を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0008】
本発明において最も注目すべきことは,金属箔の絶縁基板と対向する側の表面に黒化膜を形成することによりビアホール底部に黒化膜を配置させること,ビアホール内部にデスミア処理を施した後に,上記溶解除去厚みを0.1〜5μmとする,ソフトエッチングを行い金属箔表面の黒化膜を除去することである。
【0009】
デスミア処理によって,ビアホール内部に残った絶縁基板の残さが除去されるが,デスミア処理不十分で残さがビアホール底部の金属箔に残存している場合には,ソフトエッチングによって金属箔表面がエッチングされず,残さ付着部分の黒化膜が残ることになる。残った黒化膜の有無を検査することにより,ビアホール底部に残さが付着しているか否かを判別できる。残さのないものについて後工程である金属めっき膜を形成することにより,ビアホール底部に金属めっき膜が強固に密着し,ビアホールの導通信頼性が高いプリント配線板が得られる。
【0010】
一方,ビアホール内の残さによってソフトエッチング後に黒化膜が残ったものは,判別時に不良品とし,再度ビアホール内にデスミア処理を施すかまたは廃棄等をする。不良品のものをビアホール内部のデスミア処理を行わないで,後の金属めっき膜形成を行うと,残さが金属箔と金属めっき膜との密着性及び導通性を妨げ,ビアホールの導通信頼性が低下することがある。
【0011】
また,ビアホールは,レーザーにより穿設しているため,微小な孔に形成できる。そのため,絶縁基板の高密度実装化を実現できる。
更に,金属箔における絶縁基板に対向する側の表面には黒化膜が形成されるため,金属箔と絶縁基板との接着性が高い。従って,金属箔のエッチングにより形成される導体パターンは,絶縁基板に対して優れた接着性を有することになる。
【0012】
上記金属箔としては,たとえば,銅箔などを用いる。
上記絶縁基板としては,たとえば,ガラスエポキシ基板,ガラスポリイミド基板,ガラスビスマレイミドトリアジン基板等を用いる。
上記絶縁基板は,内部に予め1層又は2層以上の導体パターンが形成されていてもよい。
黒化処理とは,例えばNaClO2 ,Na3 PO4 等の薬品処理により銅表面を酸化させ,アンカーを形成する処理をいい,この処理によって黒色の酸化膜が形成される。
【0013】
デスミア処理とは,濃硫酸,クロム酸又はこれらの混酸,あるいは過マンガン酸ナトリウム又は過マンガン酸カリウムの溶液に,ビアホールを形成した絶縁基板を浸漬し,ビアホール内の残さを溶解除去する化学薬品処理法をいう。
【0014】
ソフトエッチングとは,ビアホール底部に露出した金属箔表面を化学反応によりわずかに溶解除去することをいう。ソフトエッチングによる金属箔の溶解除去厚みは,0.1〜5μmとする。0.1μm未満の場合には,金属箔表面に絶縁基板の残さが残っていなくても金属箔表面の黒化膜を除去できない部分が残るおそれがあり,残さの有無を正確に判断できないおそれがある。また,5μmを超える場合には,絶縁基板表面の導体層のソフトエッチング量のバラツキが増加し,パターン形成時のエッチングが,特にファインパターンの場合困難になるおそれがある。
【0015】
ビアホール内への金属めっき膜の形成は,化学めっきにより行う。化学めっき後に更に電気めっきを行うことが好ましい。これにより,金属めっき膜を膜厚に形成でき,ビアホールの電気導通性が向上する。金属めっき膜は,たとえば,銅,ニッケル,金などの金属からなる。
【0016】
上記黒化処理を行う前に,上記金属箔の絶縁基板に対向する側の表面に,粗化処理を施すことが好ましい。粗化処理により金属箔表面が粗化面となる。金属箔と絶縁基板との接着したときには,この粗化面に絶縁基板材料が食い込み,金属箔と絶縁基板との接着性が高くなる。そのため,導体パターンが絶縁基板に対して,さらに強固に接着することになる。
また,ビアホール底部に露出した金属箔表面も粗化面となり,金属めっき膜との接着性が高くなる。
【0017】
また,金属箔にエッチングを施して導体パターンを形成する工程は,ビアホールに金属めっき膜を形成した後に行ってもよいし,また金属箔を絶縁基板に貼着した後であってビアホールを形成する前に行ってもよい。
【0018】
上記の製造方法によれば,表面に黒化膜を有する金属箔を絶縁基板の上方及び下方から熱圧着し,絶縁基板の両面を粗化面となしてこれを上記金属箔に食い込ませて両者を接着した絶縁基板と,
上記絶縁基板にレーザーを照射して貫通し,上記黒化膜をソフトエッチングにより除去して露出した下方の金属箔を底部とするビアホールと,
上記ビアホール内部を含めて上記金属箔表面全体に金属めっき膜を形成してから,上記金属箔にエッチングを施して,上記絶縁基板の両面に形成された導体パターンと,
を備えることを特徴とするプリント配線板が得られる。
【0019】
このプリント配線板は,導体パターンの表面に黒化膜が形成されているため,絶縁基板に対する接着性が高い。また,上記の製造方法で説明した場合と同様の効果を発揮できる。
【0020】
また,上記黒化膜は,絶縁基板の粗化面表面に形成されていることが好ましい。導体パターンの粗化面には,絶縁基板の材料が食い込むため,強固に接着することになるためである。
その他は,上記の製造方法と同様である。
なお,本発明のプリント配線板の表面には,さらに1層又は2層以上の導体パターンを積層してもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるプリント配線板及びその製造方法について,図1〜図3を用いて説明する。
本例のプリント配線板は,図3(j)に示すごとく,絶縁基板5と,絶縁基板5の表面に形成された導体パターン31,32と,絶縁基板5を貫通し導体パターン32を底部とするビアホール6とからなる。導体パターン31,32における絶縁基板5と接着される側の表面には,黒化膜1が形成されている。黒化膜1は,絶縁基板5の粗化面2に形成されている。
【0022】
次に,プリント配線板の製造方法について説明する。
まず,図1(a)に示すごとく,金属箔3における絶縁基板5に対向する側の表面に,粗化処理を施して,粗化面2を形成する。金属箔3としては,銅箔を用いる。金属箔3の大きさは,後述する絶縁基板とほぼ同一の大きさとする。
【0023】
次に,金属箔3に黒化処理を施して,粗化面2に黒化膜1を形成する。黒化処理としては,例えばNaClO2 ,Na3 PO4 等の薬品処理により銅表面を酸化させ,アンカーを形成する処理を行う。
【0024】
次に,図1(b)に示すごとく,絶縁基板5として,Bステージのエポキシ樹脂とガラスクロスとからなるプリプレグを準備し,この絶縁基板5の両面に金属箔3を積層する。
次いで,図1(c)に示すごとく,積層された絶縁基板5及び金属箔3を熱圧着する。このとき,黒化膜1は,金属箔3におけるビアホールの開口部となる部分に対面することになる。
【0025】
次に,図1(d)に示すごとく,レーザー照射側,即ち上方の金属箔3にエッチングを施して,金属箔3おけるビアホール形成部分63を被覆する部分に,開口孔33を形成する。一方,レーザー照射側と反対側,即ち下方の金属箔3には,そのビアホール形成部分63を被覆する部分は,開口孔を形成しないでおく。次に,図2(e)に示すごとく,上方の金属箔3の開口孔33にレーザー8を照射して,絶縁基板5のビアホール形成部分に孔あけをする。これにより,下方の金属箔3を底部とするビアホール6が形成される。
【0026】
次に,図2(f)に示すごとく,ビアホール6底部に露出した金属箔3にデスミア処理を施す。デスミア処理は,過マンガン酸ナトリウム溶液に絶縁基板5を浸漬することにより行う。これにより,図2(f1)に示すごとく,ビアホール底部に付着していた絶縁基板の残さ4は除去される。一方,図2(f2)に示すごとく,デスミア処理が不十分の場合には,ビアホール6の底部に残さ4が残る。
【0027】
次に,図2(g)に示すごとく,ビアホール6底部に露出した金属箔3にソフトエッチングを行う。ソフトエッチングは,具体的には硫酸及び過酸化水素の混合液にて行う。これにより,図2(g1)に示すごとく,ビアホール6底部に露出した金属箔3表面は,黒化膜が除去される。ただし,図2(g2)に示すごとく,絶縁基板の残さが残っている場合には,残さ4が付着している部分の黒化膜1は除去されない。
【0028】
次に,図2(h)に示すごとく,ビアホール6の底部の金属箔3表面に黒化膜のないことを確認する。具体的には,顕微鏡等の光学的手段により,ビアホール底部に黒化膜が残っているか否かを検査する。
【0029】
次に,図3(i)に示すごとく,ビアホール底部に黒化膜が残っていない絶縁基板5(g1)について,金属めっき処理を行う。具体的には,ビアホール6内部を含めて金属箔3表面全体に化学銅めっき,電気銅めっきを行い,金属めっき膜7を形成する。
【0030】
次に,図3(j)に示すごとく,絶縁基板5表面の金属箔3にエッチングを施して,導体パターン31,32を形成する。
以上により,プリント配線板が得られる。
【0031】
次に,本例の作用及び効果について説明する。
本例においては,金属箔3の絶縁基板5と対向する側の表面に黒化膜1を形成することによりビアホール6底部に黒化膜1を配置させ(図2(e)),ビアホール6内部にデスミア処理を施した(図2(f))後にソフトエッチングを行い金属箔表面の黒化膜を除去している(図2(g))。
【0032】
デスミア処理によって,ビアホール内部に残った絶縁基板の残さが除去され,ソフトエッチングを行うことにより,図2(g2)に示すごとく,ビアホール5底部の金属箔3表面の黒化膜1が除去される。
しかし,デスミア処理不十分で残さがビアホール底部の金属箔に残存している場合には,図2(g2)に示すごとく,ソフトエッチングによって金属箔3表面の黒化膜1がエッチングされず,残さ4が付着している部分の黒化膜1が残ることになる。
従って,図2(h)に示すごとく,残った黒化膜の有無を検査することにより,ビアホール底部に残さが付着しているか否かを判別できる。
【0033】
そして,図3(i)に示すごとく,ビアホール底部に残さのない絶縁基板(g1)について後工程である金属めっき膜7を形成することにより,ビアホール6底部に金属めっき膜7が強固に密着し,ビアホール6の導通信頼性が高いプリント配線板が得られる。
【0034】
一方,図2(g2)に示すごとく,ビアホール内の残さ4によってソフトエッチング後に黒化膜1が残ったものは,判別時に不良品とし,再度ビアホール内にデスミア処理を施すかまたは廃棄等をする。不良品のものをビアホール内部のデスミア処理を行わないで,後の金属めっき膜形成を行うと,残さが金属箔と金属めっき膜との密着性及び導通性を妨げ,ビアホールの導通信頼性が低下することがある。
【0035】
また,ビアホールは,レーザーにより穿設しているため,微小な孔に形成できる。そのため,絶縁基板の高密度実装化を実現できる。
更に,図3(j)に示すごとく,金属箔3における絶縁基板5に対向する側の表面には黒化膜1が形成されるため,金属箔3と絶縁基板5との接着性が高い。従って,金属箔3のエッチングにより形成される導体パターン31,32は,絶縁基板5に対して優れた接着性を有することになる。
【0036】
また,図1(a)に示すごとく,金属箔3の絶縁基板5に対向する側の表面に,粗化処理を施している。このため,金属箔3と絶縁基板5との接着したときには,粗化面2に絶縁基板5の材料が食い込み,金属箔3と絶縁基板5との接着性が高くなる。そのため,図3(j)に示すごとく,導体パターン31,32が絶縁基板5に対して,さらに強固に接着することになる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば,ビアホールの導通信頼性が高いプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1におけるプリント配線板の製造方法における,金属箔への粗化処理及び黒化処理(a),積層(b),熱圧着(c),開口孔形成(d)を行う方法を示す説明図。
【図2】図1に続く,ビアホール形成(e),デスミア処理(f),ソフトエッチング(g),黒化膜有無の検査(h)を行う方法を示す説明図,並びにデスミア処理により絶縁基板の残さが除去された絶縁基板(f1)及び残さが残った絶縁基板(f2),ソフトエッチングを行った後で黒化膜が除去された絶縁基板(g1),黒化膜が残った絶縁基板(g2)の説明図。
【図3】図2に続く,めっき処理(i),パターン形成(j)を行う方法を示す説明図。
【図4】従来例におけるプリント配線板の断面図。
【図5】従来例における問題点を示すための説明図。
【符号の説明】
1...黒化膜,
2...粗化面,
3...金属箔,
31,32...導体パターン,
33...開口孔,
4...残さ,
5...絶縁基板,
6...ビアホール,
63...ビアホール形成部分,
7...金属めっき膜,
8...レーザー,
Claims (2)
- 絶縁基板と略同一の大きさの金属箔の表面に黒化膜を形成する工程と,
上記黒化膜を対面させた状態で上記絶縁基板の上方及び下方から上記金属箔をそれぞれ熱圧着し,上記絶縁基板の両面を粗化面となして上記金属箔に上記絶縁基板を食い込ませて両者を接着する工程と,
上記絶縁基板の上方側からビアホール形成部分にレーザーを照射して,下方の上記金属箔を底部とするビアホールを形成する工程と,
上記ビアホール内部に残った上記絶縁基板の残さを除去するデスミア処理工程と,
上記ビアホール底部に露出した金属箔表面を0.1〜5μmの厚み範囲で溶解除去するソフトエッチング工程と,
上記ビアホール底部の金属箔表面に黒化膜のないことを光学的手段によって確認してから,上記ビアホール内部を含めて上記金属箔表面全体に金属めっき膜を形成する工程と,
上記金属箔にエッチングを施して上記絶縁基板の両面に導体パターンを形成する工程と,
を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 上記金属箔は,上記黒化処理を行う前に,上記絶縁基板に対向する側の表面に,粗化処理を施すことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
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