JP4082080B2 - 薄膜超電導線材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜超電導線材およびその製造方法に関し、特に、RE123系の組成を有する超電導層が金属テープ基板上に形成された薄膜超電導線材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
RE1B2C3O7の組成のようなRE123系の超電導薄膜を、単結晶基板上に形成する場合には高い臨界電流密度(Jc)が得られるが、金属テープ基板上に形成する場合には高い臨界電流密度が得難い。これは、単結晶基板の場合にはAl2O3、LaAlO3、MgOなどの酸化物基板が用いられるため基板と超電導薄膜との拡散反応が生じ難いが、金属テープ基板の場合には金属テープ基板に用いられるステンレス、ニッケル(Ni)合金、銀(Ag)合金などと超電導薄膜との拡散反応が生じてしまうからである。
【0003】
なお、上記「RE1B2C3O7」の「RE」は希土類元素(たとえばイットリウム)を、「B」はバリウム(Ba)を、「C」は銅(Cu)を、「O」は酸素(O)を意味している。
【0004】
また、気相法(レーザ蒸着法、スパッタ法、電子ビーム法)による成膜時の温度が高いほど、RE123系の結晶の緻密性は向上し、結晶粒間の接合も強固になり、高い臨界電流密度Jcが達成できる。ただし、金属テープ基板は金属のため、基板と超電導薄膜との拡散反応が高温で活性となる。このため、一般に気相法では、成膜時の温度を高温にすることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の拡散反応を防止するため、酸化セリウム(CeO2)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの中間層が金属テープと超電導層との間に形成される。
【0006】
しかしながら、中間層のセレン(Ce)、イットリウム(Y)などもRE123系の超電導層と反応してしまうので、中間層を設けても単結晶基板上に超電導層を形成する場合のような高い臨界電流密度Jcは得られない。
【0007】
それゆえ本発明の目的は、金属テープ基板上にRE123系の超電導層を形成する構成において高い臨界電流密度を有する薄膜超電導線材およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜超電導線材の製造方法は、金属テープ基板上に中間層を形成する工程と、中間層上にRE123系の組成を有する第1の超電導層を形成する工程と、第1の超電導層に接するように、RE123系の組成を有する第2の超電導層を形成する工程とを備え、第2の超電導層の成膜時の温度は、前記第1の超電導層の成膜時の温度よりも高く、第1の超電導層は、中間層と第2の超電導層とが拡散反応を起こさない厚みで形成される。
【0009】
本発明の薄膜超電導線材の製造方法によれば、第1の超電導層が拡散防止層となるため、第2の超電導層に金属テープ基板の金属元素が拡散することを防止することができる。これにより、第2の超電導層が金属テープ基板と拡散反応することが防止でき、高い臨界電流密度を得ることができる。
【0010】
また拡散防止層となる第1の超電導層が第2の超電導層と実質的に同一の材質よりなるため、第1の超電導層と第2の超電導層との間で拡散反応が生じることもない。
【0011】
なお、本願明細書における「RE123系」とは、RExBayCuzO7-dにおいて、0.7≦x≦1.3、1.7≦y≦2.3、2.7≦z≦3.3であることを意味する。また、「RE123系」のREは、希土類元素およびイットリウム元素の少なくともいずれかを含む材質を意味する。また、希土類元素としては、たとえばネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ホルミニウム(Ho)、サマリウム(Sm)などが含まれる。
【0013】
このように中間層を設けた場合でも、第1の超電導層が拡散防止層として機能するため、第2の超電導層が中間層と拡散反応することが防止でき、高い臨界電流密度を得ることができる。
【0015】
第1の超電導層の成膜時の温度を低くすることにより、第1の超電導層が金属テープなどの下地と拡散反応することを抑制することができる。また、第2の超電導層の成膜時の温度を高くすることにより、RE123系の第2の超電導層の結晶の緻密性は向上し、結晶粒間の接合も強固になり、高い臨界電流密度Jcを達成することができる。このように各層の成膜時の温度を制御することにより、拡散反応の抑制できるとともに高い臨界電流値を有する薄膜超電導線材を得ることができる。
【0016】
上記の薄膜超電導線材の製造方法において好ましくは、第2の超電導層の成膜時の酸素分圧は、第1の超電導層の成膜時の酸素分圧よりも高い。
【0017】
通常、RE123系の超電導層では成膜時の酸素分圧が高くなると超電導層の融点が高くなるため、成膜時の温度を高温にすることが可能となる。これにより第2の超電導層を第1の超電導層よりも高温で成膜することが可能となるため、上述したように第2の超電導層の結晶の緻密性が向上し、結晶粒間の接合も強固になり、高い臨界電流密度Jcを達成することができる。
【0018】
本発明の薄膜超電導線材は、金属テープ基板と、中間層と、第1の超電導層と、第2の超電導層とを備えている。中間層は、金属テープ基板上に形成されている。第1の超電導層は、中間層上に形成され、かつRE123系の組成を有し、かつ中間層の材質に含まれる成分を含む。第2の超電導層は、第1の超電導層に接するように形成され、かつRE123系の組成を有し、かつ金属テープ基板および中間層の材質に含まれる成分を含まない。第2の超電導層は第1の超電導層よりも緻密な結晶を有している。第1の超電導層は、中間層と第2の超電導層とが拡散反応を起こさない厚みを有している。
【0019】
本発明の薄膜超電導線材によれば、第1の超電導層が拡散防止層となるため、第2の超電導層に金属テープ基板の金属元素が拡散することを防止することができる。これにより、第2の超電導層が金属テープ基板と拡散反応することが防止でき、高い臨界電流密度を得ることができる。
【0020】
また拡散防止層となる第1の超電導層が第2の超電導層と実質的に同一の材質よりなるため、第1の超電導層と第2の超電導層との間で拡散反応が生じることもない。
【0022】
このように中間層を設けた場合でも、第1の超電導層が拡散防止層として機能するため、第2の超電導層が中間層と拡散反応することが防止でき、高い臨界電流密度を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態における薄膜超電導線材の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。図1を参照して、本実施の形態における薄膜超電導線材10は、金属テープ基板1と、中間層2と、第1の超電導層3と、第2の超電導層4とを有している。
【0025】
金属テープ基板1は、たとえばステンレス、ニッケル合金(たとえばハステロイ)、銀合金などの材質からなっている。中間層2は、拡散防止層であり、たとえば酸化セリウム、YSZ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、バリウムジルコニアなどの材質からなっており、金属テープ基板1上に形成されている。
【0026】
第1の超電導層3は、RE123系の組成を有し、かつ下地(中間層2)の材質に含まれる成分を含み、かつ中間層2上に形成されている。第2の超電導層4は、第1の超電導層3に接するように形成され、かつRE123系の組成を有し、かつ下地(中間層2)の材質に含まれる成分を含まない。第1および第2の超電導層3、4は、実質的に同じ組成の材質よりなり、たとえばHo1B2C3O7よりなっている。
【0027】
図2に示すように従来の薄膜超電導線材110は、金属テープ基板101と、中間層102と、超電導層103とを有している。この従来の構成と比較すると、本実施の形態の構成は、超電導層が第1および第2の超電導層3、4の2層よりなり、第1の超電導層3が拡散防止層として機能する(つまり中間層2内の金属元素が第2の超電導層4に拡散するのを防止する)点において異なる。これにより、従来の薄膜超電導線材110では超電導層104に中間層102の金属元素が含まれていたのに対し、本実施の形態の薄膜超電導線材10Aでは第2の超電導層4には中間層2の金属元素が含まれていない。
【0028】
図1においては中間層2を設けた構成について説明したが、図3に示すように中間層が省略されて、第1の超電導層3が金属テープ基板1の表面に直接接していてもよい。この構成においても、第1の超電導層3が拡散防止層として機能するため、第2の超電導層4には金属テープ基板1の金属元素が含まれていない。
【0029】
なお、図3に示す薄膜超電導線材10Bのこれ以外の構成は、上述した図1に示す構成とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
【0030】
また、図1に示す中間層2が省略され、図4に示すように金属テープ基板がたとえばステンレスよりなるテープ1と銀よりなるテープ5との複合テープ基板とされてもよい。銀は、他の金属よりも超電導層との拡散反応の生じにくい材質である。このため、超電導層3、4を銀層5上に直接高温で蒸着しても良好な臨界電流密度Jcの特性が得られる。
【0031】
なお、図4に示す薄膜超電導線材10Cのこれ以外の構成は、上述した図1に示す構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
次に、本実施の形態における薄膜超電導線材の製造方法について説明する。
図5は、本発明の一実施の形態における薄膜超電導線材の製造方法を示すフロー図である。図1および図5を参照して、本実施の形態の薄膜超電導線材の製造方法では、金属テープ基板1が準備され(ステップS1)、この金属テープ基板1上にたとえばYSZよりなる中間層2がPLD(Pulsed Laser Deposition)法(レーザ蒸着法)によるISD(Inclined Substrate Deposition)法により形成される(ステップS2)。この中間層2上に、RE123系の組成(たとえばHo1B2C3O7)を有する第1の超電導層3がたとえばPLD法により形成される(ステップS3)。この第1の超電導層3上に、RE123系の組成(たとえばHo1B2C3O7)を有する第2の超電導層4がたとえばPLD法により形成され(ステップS4)、後処理を施すことにより薄膜超電導線材10Aが製造される。
【0033】
なお、図3に示す薄膜超電導線材10Bを製造するときには、上記の中間層2の形成工程(ステップS2)が省略される。また、図4に示す薄膜超電導線材10Cを製造するときには、金属テープ基板がたとえばステンレスよりなるテープ1と銀よりなるテープ5との複合テープ基板として準備され、中間層2の形成工程(ステップS2)が省略される。
【0034】
本実施の形態によれば、第1の超電導層3が拡散防止層として機能するため、第2の超電導層4に中間層2(または金属テープ基板1)の金属元素が拡散することを防止することができる。これにより、第2の超電導層4が中間層2(または金属テープ基板1)と拡散反応することが防止でき、高い臨界電流密度を得ることができる。
【0035】
また拡散防止層となる第1の超電導層3が第2の超電導層4と実質的に同一の材質よりなるため、第1の超電導層3と第2の超電導層4との間で拡散反応が生じることもない。
【0036】
上記の製造方法においては、第2の超電導層4の成膜時の温度は、第1の超電導層3の成膜時の温度よりも高いことが好ましい。このように第1の超電導層3の成膜時の温度を低くすることにより、第1の超電導層3が中間層2(または金属テープ基板1)の下地と拡散反応することを抑制することができる。また、第2の超電導層4の成膜時の温度を高くすることにより、RE123系の第2の超電導層4の結晶の緻密性は向上し、結晶粒間の接合も強固になり、高い臨界電流密度Jcを達成することができる。このように各層の成膜時の温度を制御することにより、拡散反応の抑制できるとともに高い臨界電流値を有する薄膜超電導線材10A(または10B)を得ることができる。
【0037】
上記の製造方法においては、第2の超電導層4の成膜時の酸素分圧は、第1の超電導層3の成膜時の酸素分圧よりも高いことが好ましい。通常、RE123系の超電導層では成膜時の酸素分圧が高くなると超電導層の融点が高くなるため、成膜時の温度を高温にすることが可能となる。これにより第2の超電導層4を第1の超電導層3よりも高温で成膜することが可能となるため、上述したように第2の超電導層4の結晶の緻密性が向上し、結晶粒間の接合も強固になり、高い臨界電流密度Jcを達成することができる。
【0038】
また、第1の超電導層3が拡散防止層として機能するため、第2の超電導層4の成膜時間を長くとることが可能となり、第2の超電導層4の厚膜化(高Ic)が可能となる。
【0039】
また中間層2が比較的緻密とならない手法(ISD法やRabits(Rolling-Assisted Biaxially Textured Substrates)法)により形成された場合には、金属元素が超電導層に拡散しやすくなる。このため、このような中間層に本実施の形態を組み合わせることで、より効果的に拡散反応を防止することができる。
【0040】
また本実施の形態におけるRE123系の第1および第2の超電導層3、4はいずれも面内配向性が20°以下のc軸配向膜であることが好ましい。また、拡散防止層として機能する第1の超電導層3は、組成のずれや、ある特定の元素がなくても役割を果たすことができる。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
ニッケル合金テープ(ハステロイ、幅10mm、厚さ70μm)の上にPLD法(レーザ蒸着法)を用いてISD法で厚さ2μmのYSZ中間層を成膜した。ニッケル合金テープは無配向であるが、YSZ中間層はISDの効果により面内配向性が約18°の2軸配向を有していた。この上に、Ho1B2C3O7膜をPLD法により1μmの厚さで成膜した。成膜条件は、酸素分圧13.3Pa(=100mTorr)、酸素流量300cm3/分(=300sccm)、レーザ出力50W(1J×50Hz)であり、成膜時のヒータ温度を900℃から1000℃まで10℃刻みで振った。その結果、最高で0.08MA/cm2(77K、0T)の特性(通電法Jc)を持つ膜がヒータ温度920℃で得られた。ヒータ温度960℃では臨界電流値Jcは0.07MA/cm2であった。
【0042】
一方、同様な条件でヒータ温度900℃にて1μmの第1のHo1B2C3O7膜を成膜した。その後、さらに同様な条件でヒータ温度を920℃、940℃、960℃、980℃と変えてその上に1μmの第2のHo1B2C3O7膜を成膜した。その結果、ヒータ温度960℃において、0.3MA/cm2(77K、0T)の特性(通電法Jc)を持つHo1B2C3O7膜が得られた。
【0043】
SEM(Scanning Electron Microscope)で観察した結果、上層の第2のHo1B2C3O7膜は下層の第1のHo1B2C3O7膜に比べて、非常に緻密な平滑な膜面であった。
【0044】
(実施例2)
下地となるニッケル合金テープおよびYSZ中間層を実施例1と同様に製造し、その上に第1のHo1B2C3O7膜を実施例1と同様にして1μmの厚さでヒータ温度920℃にて第1のHo1B2C3O7膜を成膜した。その後、その上に実施例1と同様に1μmの厚みの第2のHo1B2C3O7膜をヒータ温度990℃、1000℃、1020℃、1030℃、1040℃と振って成膜した。
【0045】
その結果、最高で0.8MA/cm2(77K、0T)、平均でも0.6MA/cm2(77K、0T)の特性(通電法Jc)を有するHo1B2C3O7膜がヒータ温度990℃から1020℃の間で得られた。なお、これらの膜形成時には酸素分圧を26.6Pa(=200mTorr)、酸素流量300cm3/分(=300sccm)とした。
【0046】
比較として、LaAlO3の3インチ単結晶基板上に膜厚0.8μmのHo1B2C3O7膜を実施例2の上層のHo1B2C3O7膜と同一条件で成膜した結果、1000℃以上の領域で2〜4.6MA/cm2(77K、0T)の特性(通電法Jc)を有する膜が形成されることを確認している。
【0047】
(実施例3)
厚さ70μmのステンレスよりなるテープ上に、厚さ30μmの銀テープを複合化させたテープ基板(幅10mm)の銀テープの面側にPLD法(レーザ蒸着法)を用いて、Ho1B2C3O7膜よりなる第1の超電導層を1μmの厚さで成膜した。テープ基板の片側に超電導を成膜した銀テープは面内配向性が16°の2軸配向性を有するものを使用しており、いわゆるRabits法で製作した。成膜条件は、酸素分圧13.3Pa(=100mTorr)、酸素流量100cm3/分(=100sccm)、レーザ出力100W(1J×100Hz)、成膜時のヒータ温度900℃であった。このときの第1の超電導層の面内配向性は14°、臨界電流密度Jcは0.3MA/cm2(77K、0T)であった。
【0048】
第1の超電導層上にさらにPLD法を用いて、Ho1B2C3O7膜よりなる第2の超電導層を1μmの厚さで成膜した。成膜条件は、酸素分圧26.6Pa(=200mTorr)、酸素流量100cm3/分(=100sccm)、レーザ出力100W(1J×100Hz)、成膜時のヒータ温度940℃であった。このときの第2の超電導層の面内配向性は12°であった。測定した臨界電流密度Jcは0.4MA/cm2(77K、0T)であったが、この臨界電流密度Jcは第1の超電導層と第2の超電導層との各臨界電流密度Jcの平均値となっており、第2の超電導層の実質の臨界電流密度Jcは0.6MA/cm2(77K、0T)と推定された。
【0049】
本実施例では、テープ基板上に中間層が用いられていない。しかし、銀は超電導層との拡散反応が他の金属テープ(ニッケル、ステンレスなど)に比べて生じにくい材質であるため、超電導層を銀上に直接高温で蒸着しても良好な臨界電流密度Jcの特性が得られる。このような銀上に本発明の手法(つまり第1の超電導層を拡散防止層として、その上に第2の超電導層を形成する手法)で超電導層を形成することにより、さらに良好な臨界電流密度Jcの特性(つまり高い臨界電流密度Jc)を有する薄膜超電導線材が得られた。
【0050】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の薄膜超電導線材およびその製造方法によれば、第1の超電導層が拡散防止層となるため、第2の超電導層に金属テープ基板の金属元素が拡散することを防止することができる。これにより、第2の超電導層が金属テープ基板と拡散反応することが防止でき、高い臨界電流密度を有する薄膜超電導線材を得ることができる。
【0052】
また拡散防止層となる第1の超電導層が第2の超電導層と実質的に同一の材質よりなるため、第1の超電導層と第2の超電導層との間で拡散反応が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における薄膜超電導線材の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。
【図2】 従来の薄膜超電導線材の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。
【図3】 図1の構成から中間層を省略した薄膜超電導線材の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。
【図4】 銀テープを複合化した金属テープ基板を用い、中間層を省略した薄膜超電導線材の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。
【図5】 本発明の一実施の形態における薄膜超電導線材の製造方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 金属テープ基板、2 中間層、3 第1の超電導層、4 第2の超電導層、5 銀層、10A,10B 薄膜超電導線材。
Claims (5)
- 金属テープ基板上に中間層を形成する工程と、
前記中間層上にRE123系の組成を有する第1の超電導層を形成する工程と、
前記第1の超電導層に接するように、RE123系の組成を有する第2の超電導層を形成する工程とを備え、
前記第2の超電導層の成膜時の温度は、前記第1の超電導層の成膜時の温度よりも高く、
前記第1の超電導層は、前記中間層と前記第2の超電導層とが拡散反応を起こさない厚みで形成される、薄膜超電導線材の製造方法。 - 前記第2の超電導層の成膜時の酸素分圧は、前記第1の超電導層の成膜時の酸素分圧よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜超電導線材の製造方法。
- 前記第1の超電導層は1μm以上の厚みで形成される、請求項1または2に記載の薄膜超電導線材の製造方法。
- 金属テープ基板と、
前記金属テープ基板上に形成された中間層と、
前記中間層上に形成され、かつRE123系の組成を有し、かつ前記中間層の材質に含まれる成分を含む第1の超電導層と、
前記第1の超電導層に接するように形成され、かつRE123系の組成を有し、かつ前記金属テープ基板および前記中間層の材質に含まれる成分を含まない第2の超電導層とを備え、
前記第2の超電導層は前記第1の超電導層よりも緻密な結晶を有し、
前記第1の超電導層は、前記中間層と前記第2の超電導層とが拡散反応を起こさない厚みを有している、薄膜超電導線材。 - 前記第1の超電導層は1μm以上の厚みを有している、請求項4に記載の薄膜超電導線材。
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