JP4081976B2 - 半導体加速度センサの検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撓み部としてのカンチレバーで支持された重り部を有するセンサチップと、このセンサチップの両面に接合された一対のストッパとを備える半導体加速度センサを検査するための半導体加速度センサの検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10,図11は従来の半導体加速度センサの一例を示す構成図である(特開平9−166618号公報参照)。これらの図に示す半導体加速度センサは、貫通溝であるスリット10で囲繞された重り部5の一端(図では左端)側を、弾性を有する撓み部および支持部としての2つのカンチレバー4で支持する形状に形成されて成る(加速度)センサチップ1と、このセンサチップ1の両面に接合された上ガラスストッパ2および下ガラスストッパ3とを備えている。センサチップ1には、2個のゲージ抵抗6が各カンチレバー4に形成され、そして、各ゲージ抵抗6に接続されたP+拡散層の配線11、このコンタクト12に接続されたアルミニウム配線13、およびこのアルミニウム配線13に接続されたワイヤボンディング用のパッド14が形成されているほか、(自然)酸化膜8、窒化膜9およびアルミニウム薄膜7が積層されている。また、ゲージ抵抗6の裏面側にはダイヤフラムが形成されている。他方、上下ガラスストッパ2,3の凹状の内面には突起20が形成されている。なお、ゲージ抵抗はピエゾ抵抗と呼ばれることもあり、カンチレバーはビームまたはひんじと呼ばれることもある。
【0003】
ここで、加速度aがセンサチップ1に対して垂直方向に加えられると、重り部5に力F=maが発生する。この力Fによってカンチレバー4が携んでその表面に歪みが発生し、この歪みによってゲージ抵抗6の値が変化する。カンチレバー4上には、4個のゲージ抵抗6が設けられており、これらをブリッジ接続して加速度aに比例した電圧信号を得ることで、加速度aを検出する。このような構成のものは、一般的にカンチレバー型の加速度センサと呼ばれている。
【0004】
上記構成の半導体加速度センサは次のようにして製作される。まず、結晶面が(100)のシリコン単結晶のウェハを酸化して酸化膜を形成した後、将来カンチレバー4および重り部5を形成すべき領域の酸化膜だけを、フォトリソ技術により、コの字型に近い形状で除去する。次に、酸化膜をエッチングマスクとしてシリコンのエッチングを行う。エッチングの深さは、一般に6μmから30μm程度である。再度酸化を行い、アルミニウムのコンタクトをとるために、P+拡散層の配線を形成する。続いて、イオン注入により(拡散)ゲージ抵抗6を2つのカンチレバー4上に各2個、互いにブリッジとなるように組み合わせて形成する。最後に、ゲージ抵抗6と接続したP+拡散層の配線11に、アルミニウム配線13がコンタクト12で接続されており、アルミニウム配線13を、センサチップ1の周辺部に形成したワイヤボンディング用のパッド14と接続され、このパッド14に、外部端子の電源用配線と出力配線のワイヤ15をワイヤボンディングで接続する。
【0005】
さらに、アルミニウム配線13の保護膜として、窒化膜でパッシベーションする。続いて、上ガラスストッパ2と接合するアルミニウム薄膜を形成し、この保護膜の窒化膜をパッシベーションする。そして、センサチップ1の裏面からアルカリ異方性エッチングにより、カンチレバー4を薄くするとともに、重り部5の周囲を貫通させ、コの字型に近い形状のスリット10を形成する。その後、アルミニウム配線13、パッド14、ガラスストッパと接合するアルミニウム薄膜上の窒化膜を除去する。
【0006】
こうしてできたカンチレバー4と、重り部5の上下側に、上下ガラスストッパ2,3を陽極接合により接合し、エアーダンピング構造を形成して、カンチレバー4に過度な加速度が加わることによる破壊(折れ)を防止する。上下ガラスストッパ2,3内の空間をキャビティと言う。
【0007】
上下ガラスストッパ2,3の凹部内には、その凹部の深さより短い高さの突起20が形成され、これにより重り部5の振れ幅を制御し、センサチップ1の周波数特性を制御する。
【0008】
また、図12のように、一対のカンチレバー4に、各表面拡散によりピエゾ抵抗(R1とR4,R2とR3)を設け、図13のようにブリッジ回路を構成し、検出精度を高めている。この場合、端子p1とp4に定電圧源を接続し、ピエゾ抵抗R1〜R4の抵抗値変化を端子p2とp3間の電圧変化として検出する。そして図12では、カンチレバー上のピエゾ抵抗からの配線を、カンチレバーを跨ぐように引回し、この配線を折り返して、電極パッドと接続し、カンチレバーの折れをその導通の有無で判別する。つまり、カンチレバーが折れていると断線するので、断線しているか否かを見ることでカンチレバーの折れが検出されるのであり、このようなものは特開平9−166618号公報で開示されている。また、ピエゾ抵抗を介さずに、カンチレバーを跨ぐように、2つの電極パッド間を配線したカンチレバー折れ検知配線が特願平11−240444号の出願で提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなシリコン半導体加速度センサの製造方法は、自動車のエアバッグやABS(アンチロックブレーキシステム)等の加速度検出に使用されることから、高い信頼性が要求され、センサの故障原因を明確に判断できる故障診断機能が不可欠である。このために、上述したようなカンチレバー折れ検知配線により断線を検出していたが、このカンチレバー折れの検出は、上下ガラスストッパを接合したウェハ単位でのP検(プロービング検査)と、センサチップを回路基板へ実装組立しハウジング(パッケージ)へ組み込んだ後のF検(ファイナル特性検査)時にしか、上記カンチレバー折れ検知配線に電圧を印加することで判別するしかなかった。肉眼(外観)で上ガラスストッパを透過してカンチレバーの折れを検査する方法も考えられるが、センサチップの重り部の表面が暗くて見えづらい問題と、上ガラスストッパの掘り込み面はサンドブラスト方法(数10μ径のアルミナ等の砥粒を噴射して物理的に掘り込む一般的なガラスの表面加工方法)等で形成され、数μmの凹凸がある磨りガラス状の粗面になっており、この粗面で光が乱反射してピントがぼやけて良く見えないという問題が有り適用できなかった。従って、P検以降の工程でカンチレバー折れが発生すると(出力が発生しない)、高価な回路基板とパッケージにセンサチップを組み込み、多大な工数を経たF検時までカンチレバー折れの有無が分らず、F検時で不良になった商品を破棄するため、非常にコストアップになっていた。
【0010】
また、上下ガラスストッパはシリコンウェハと高温真空中で陽極接合するため、熱歪みが発生しカンチレバーが反る。接合以降の工程でのガラスの帯電などにより重り部が静電気により引きつけられ、カンチレバーが反ることもある。ワイヤボンドやダイボンドによる熱が加わる工程でもカンチレバーが多少反る。しかし、上下ガラスストッパを接合した後は、カンチレバーの反りを測定する手段が無かった。
【0011】
カンチレバーの反りが大きい不良チップは、上下ガラスストッパ間に挟まれたエアーダンピング空間の間隔の差異が大きくなり、周波数特性(振動数に対する出力特性)が悪くなって共振し、重り部が上又は下ガラスストッパの凹部に形成した突起に当たりカンチレバーが破損する。また、上記エアーダンピング空間の間隔が大きいとダンピングが効かず、重り部が上又は下ガラスストッパの凹部に形成した突起にぶつかる衝撃によりカンチレバーが破損する。上記エアーダンピング空間の間隔が小さいとダンピングが効き過ぎ、感度出力が出なくなる。従って、従来のカンチレバーの状態を検査する方法では不良品の選別ができず、信頼性を保証することが困難であり、収率を向上し低コスト化を図ることが困難だった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、撓み部としてのカンチレバーで支持された重り部を有するセンサチップの両面に一対のストッパが接合された状態でも、カンチレバーの反りの状態を非接触および非破壊で検査することができる半導体加速度センサの検査方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1記載の発明は、貫通溝であるスリットで囲繞された重り部の一端側を、弾性を有する撓み部としてのカンチレバーで支持する形状に形成されて成り、前記カンチレバーに形成されたゲージ抵抗を有するセンサチップと、このセンサチップの両面に接合された一対のストッパとを備える半導体加速度センサを検査する方法であって、前記カンチレバーから最も遠い前記重り部の先端側の位置と、この位置と前記スリットを介して対向する前記センサチップの位置とに、それぞれ前記重り部の一の面よりも光の反射率が高い長方形状のミラーパターンを長手方向が互いに平行となるように形成し、前記重り部の前記一の面側から各ミラーパターンにそれぞれ光を照射し、その反射光を用いた光学的な方法で前記ミラーパターンの高さの差の計測を行い、この計測結果から前記カンチレバーの反りの状態を判別することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、貫通溝であるスリットで囲繞された重り部の一端側を、弾性を有する撓み部としてのカンチレバーで支持する形状に形成されて成り、前記カンチレバーに形成されたゲージ抵抗を有するセンサチップと、このセンサチップの両面に接合された一対のストッパとを備える半導体加速度センサを検査する方法であって、前記カンチレバーから最も遠い前記重り部の先端側の位置と、前記カンチレバーで支持される前記重り部の基部側と前記スリットを介して対向する前記センサチップの位置とに、それぞれ前記重り部の一の面よりも光の反射率が高い長方形状のミラーパターンを長手方向が互いに平行となるように形成し、前記重り部の前記一の面側から各ミラーパターンにそれぞれ光を照射し、その反射光を用いた光学的な方法で前記ミラーパターンの高さの差の計測を行い、この計測結果から前記カンチレバーの反りの状態を判別することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図、図2は半導体加速度センサの断面構造を模式的に示した図、図3〜図5は半導体加速度センサの検査方法の説明図である。以下、これらの図を用いて本発明に関連した第1参考例について説明する。なお、図10,図11と同一であるものには同一の符号を使用し、その説明を省略する。
【0023】
第1参考例の検査対象となる半導体加速度センサは、図1,図2に示すように、貫通溝であるスリット10で囲繞された重り部5の一端側を、弾性を有する撓み部としての2つのカンチレバー4で支持する形状に形成されて成り、カンチレバー4に形成されたゲージ抵抗などを有するセンサチップ1と、このセンサチップ1の両面に接合された透光性の上ガラスストッパ2および下ガラスストッパ3とを、図10,図11の半導体加速度センサと同様に備えるものである。そして、第1参考例の特徴として、重り部5の上面中央に対してこの面よりも光の反射率が高い四角状のミラーパターン18がカンチレバーの折れまたは反りの状態を判別するために形成される。なお、図1において、16は拡散抵抗であり、17は上述したカンチレバー(ビーム)折れ検知配線としてのクラック検知配線である。
【0024】
上記構成の半導体加速度センサは、まず、結晶面が(100)のシリコン単結晶のウェハを酸化して酸化膜を形成した後、将来カンチレバー4および重り部5を形成すべき領域の酸化膜だけを、フォトリソ技術により、コの字型に近い形状で除去する。次に、酸化膜をエッチングマスクとしてシリコンのエッチングを行う。エッチングの深さは、一般に6μmから30μm程度である。再度酸化を行い、アルミニウムのコンタクトをとるために、P+拡散層の配線を形成する。続いて、イオン注入により(拡散)ゲージ抵抗6を2つのカンチレバー4上に各2個、互いにブリッジとなるように組み合わせて形成する。
【0025】
次に、アルミニウムのスパッタリングとシンターリング(約450℃)を行い、アルミニウム配線13と、ワイヤボンディング用のパッド14と、上ガラスストッパ2と接合するアルミニウム薄膜7を形成する。このとき、ゲージ抵抗6と接続したP+(ボロン)拡散の配線11に、アルミニウム配線13がコンタクト12で接続され、アルミニウム配線13がセンサチップ1の周辺部に形成したワイヤボンディング用のパッド(アルミニウム)14と接続される。
【0026】
さらに、P+拡散の配線11上の絶縁性保護膜である酸化膜8と窒化膜9の上に、上ガラスストッパ2と接合するアルミニウム薄膜13も同時に形成される。上記アルミニウム上に窒化膜またはレジストをパッシベーションする。そして、センサチップ1の裏面からアルカリ異方性エッチングにより、カンチレバー4を薄くするとともに、重り部5の周囲を貫通させ、コの字型に近い形状のスリット10を形成する。
【0027】
その後、アルミニウム配線13、パッド14、ガラスストッパと接合するためのアルミニウム薄膜13、アルミニウム薄膜13のブリッジの、これらの上に形成した窒化膜またはレジストを、プラズマアッシャー、バッファフッ酸または有機溶剤等で除去する。こうしてできたカンチレバー4と、重り部5の上下側に、上下ガラスストッパ2,3を陽極接合により接合し、エアーダンピング構造を形成して、カンチレバー4に過度な加速度が加わることによる破壊(折れ)を防止する。
【0028】
ピエゾ抵抗からなるブリッジ回路とは別に、1つのパッド14から1本のクラック検知配線17が延出し、先ず高濃度の拡散抵抗(または高抵抗のポリシリコン抵抗体でも良い)16を通り1つのカンチレバー4を渡り、所定の距離を進んでから、ほぼ直角に曲り、重り部5のカンチレバー4と連結した外縁と平行に進み、またほぼ直角に曲り、他のカンチレバー4を渡って、他のパッド14と接続している。このクラック検知配線17は、P+拡散配線であるが、一部アルミニウム配線でも良い。重り部5の上面のほぼ中央には、光の反射率が高いミラーパターン18を形成している。このミラーパターン18の周囲はシリコン窒化膜で光の反射率が低い暗い色をしており、光のコントラストを大きくしている。このため、重り部5の外周部からのミラーパターン18の位置の判別が容易になる。ここで、上ガラスストッパ2の掘り込み部21が粗面であっても、上記のようにコントラストを大きくしたので、ミラーパターン18の位置が測定できる。ミラーパターン18の位置が、重り部5の外周部のスリット10等から所定の距離になければ、カンチレバーが折れて重り部がセンサチップ1の本体から離れていることが分かる。また、ミラーパターン18の深さを計測することにより、カンチレバーの反りの状態を測定できる。
【0029】
図3では、ミラーパターン18は光学的顕微鏡23で観察される。なお、図3の22はレンズである。図4では、外観検査システムにより、上下ガラスストッパ2,3を接合した半導体加速度センサのカンチレバーの折れおよび反りが検査される。半導体加速度センサはXYθ移動ステージ24上に置かれ、センサチップのミラーパターンの位置はデジタル位置表示装置26に出力される。このデジタル位置表示装置26には例えばソニー社製のマグネスケール等がある。また、ミラーパターンの深さ方向は、光学的顕微鏡23のピント調整(レンズ昇降)ネジ27により、その焦点深度が計測でき、データはデジマチックミニプロセッサ25に出力される。このデジマチックミニプロセッサ25には例えばミツトヨ社製の焦点深度表示器等がある。なお、28はダイヤルゲージである。
【0030】
図5では、上ガラスストッパ2を介して、光を重り部5上のミラーパターン18で反射させた様子が示されている。上ガラスストッパ2の掘り込み部21は粗面であり、サンドブラストで加工すると約±1μmの凹凸が発生する。これより波長の長い赤外光(入=1.4μm以上)を用いれば、上記粗面での乱反射が少なくなり、ミラーパターン18の輪郭がより明瞭になる。その他、単一波長のレーザー光を用い、ナイエッジ法によりミラーパターン18の深さ方向を測定し、カンチレバーの反りを計測する手段もある。例えば、日本デジテック社製の超高精度無接触3次元測定器等を用いれば良い。
【0031】
このように、貫通溝であるスリット10で囲繞された重り部5の一端側を、弾性を有する撓み部としてのカンチレバー4で支持する形状に形成されて成り、カンチレバー4に形成されたゲージ抵抗6などを有するセンサチップ1と、このセンサチップ1の両面に接合された上下ガラスストッパ2,3に対し、重り部5の上面にこの面よりも光の反射率が高いミラーパターン18を形成し、重り部5の外周からのミラーパターン18の位置とミラーパターン18の深さとの計測を行い、この計測結果からカンチレバー5の折れまたは反りの状態を判別すれば、カンチレバー5の折れまたは反りの状態を非接触および非破壊で検査することができる。要するに、重り部5の上面にこの面よりも光の反射率が高いミラーパターン18を形成することにより、上方から光を照射したとき、その反射光で少なくともミラーパターン18の位置を光学的な方法で検出することができることになって、実質的に、重り部5の位置を検出することができることになるから、重り部5の外周からのミラーパターン18の位置とミラーパターン18の深さとの計測が可能となり、そして、その計測結果からカンチレバー5が折れた状態にあるか、反った状態にあるかを判別することができるのである。これにより、不良センサチップの選別が可能となり、センサチップの故障を判断することができ、低コストで非常に信頼性の高い半導体加速度センサを提供することができる。
【0036】
図6は半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。以下、この図を用いて本発明に係る第1実施形態について説明する。なお、第1参考例と同一であるものには同一の符号を使用し、その説明を省略する。
【0037】
第1実施形態では、第1参考例との相違点として、図6に示すように、ミラーパターン18C1,18C2を一対長方形状に形成し、カンチレバー4から最も遠い重り部5の先端側の位置と、この位置とスリット10を介して対向するセンサチップ1(この部分は支持部と呼ばれることもある)の位置とに、それぞれ一対のミラーパターン18C1,18C2を平行となるように設ける方法が採られる。これらミラーパターン18C1,18C2間の水平面上の離間距離が短いため、レンズ22(図3,図4参照)の移動距離が少なくてよい。
【0038】
図7は半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。以下、この図を用いて本発明に係る第2実施形態について説明する。なお、第1参考例と同一であるものには同一の符号を使用し、その説明を省略する。
【0039】
第2実施形態では、第1参考例との相違点として、図7に示すように、ミラーパターン18D1,18D2を一対長方形状に形成し、カンチレバー4から最も遠い重り部5の先端側の位置と、カンチレバー4で支持される重り部5の基部側とスリット10を介して対向するセンサチップ1の位置とに、それぞれ一対のミラーパターン18D1,18D2を平行となるように設ける方法が採られる。これらミラーパターン18D1,18D2の高さの差を計ることで、重り部5とカンチレバー4とからなる可動部の真の反り量を実測することができる。
【0044】
図8は半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。以下、この図を用いて本発明に関連した第2参考例について説明する。なお、第1参考例と同一であるものには同一の符号を使用し、その説明を省略する。
【0045】
第2参考例では、Pt,Au,Ag,Ni,SUS,Znなどの金属系材料をスパッタ、蒸着もしくはメッキして、または反射率が高いガラスなどの無機材料をスパッタもしくは蒸着して、ミラーパターンを形成する方法が採られる。なお、反射率が高い上記金属材料は、Sn,Fe,Co等でも良く、ITO薄膜でも良い。この方法では、反射率が高いミラーパターンを設けることができる。
【0046】
図9は半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。以下、この図を用いて本発明に係る第3参考例について説明する。なお、第1参考例と同一であるものには同一の符号を使用し、その説明を省略する。
【0047】
第3参考例では、軟X線での透過率が低い、Cu,Pt,Au,Ag,Tiなどの金属材料をスパッタ、蒸着またはメッキして、ミラーパターン18Hを形成する方法が採られる。この方法では、可視光や赤外光以外にも、X線でミラーパターンの位置を測定することができる。従って、上ガラスストッパ2を着色していたり、掘り込み部21の面が荒れて凹凸が大きい場合でも適用できる。
【0048】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の発明は、貫通溝であるスリットで囲繞された重り部の一端側を、弾性を有する撓み部としてのカンチレバーで支持する形状に形成されて成り、前記カンチレバーに形成されたゲージ抵抗を有するセンサチップと、このセンサチップの両面に接合された一対のストッパとを備える半導体加速度センサを検査する方法であって、前記カンチレバーから最も遠い前記重り部の先端側の位置と、この位置と前記スリットを介して対向する前記センサチップの位置とに、それぞれ前記重り部の一の面よりも光の反射率が高い長方形状のミラーパターンを長手方向が互いに平行となるように形成し、前記重り部の前記一の面側から各ミラーパターンにそれぞれ光を照射し、その反射光を用いた光学的な方法で前記ミラーパターンの高さの差の計測を行い、この計測結果から前記カンチレバーの反りの状態を判別するので、例えば、一対のストッパ接合以降の工程において、カンチレバーの反りの状態を非接触および非破壊(例えば外観検査)で検査することができる。この結果、不良センサチップの選別が可能となり、センサチップの故障を判断することができ、低コストで非常に信頼性の高い半導体加速度センサを提供することができる。また、レンズを含む装置を用いて外観検査を行う場合、そのレンズの移動距離が少なくてよい。
【0056】
請求項2記載の発明によれば、貫通溝であるスリットで囲繞された重り部の一端側を、弾性を有する撓み部としてのカンチレバーで支持する形状に形成されて成り、前記カンチレバーに形成されたゲージ抵抗を有するセンサチップと、このセンサチップの両面に接合された一対のストッパとを備える半導体加速度センサを検査する方法であって、前記カンチレバーから最も遠い前記重り部の先端側の位置と、前記カンチレバーで支持される前記重り部の基部側と前記スリットを介して対向する前記センサチップの位置とに、それぞれ前記重り部の一の面よりも光の反射率が高い長方形状のミラーパターンを長手方向が互いに平行となるように形成し、前記重り部の前記一の面側から各ミラーパターンにそれぞれ光を照射し、その反射光を用いた光学的な方法で前記ミラーパターンの高さの差の計測を行い、この計測結果から前記カンチレバーの反りの状態を判別するので、例えば、一対のストッパ接合以降の工程において、カンチレバーの反りの状態を非接触および非破壊(例えば外観検査)で検査することができる。この結果、不良センサチップの選別が可能となり、センサチップの故障を判断することができ、低コストで非常に信頼性の高い半導体加速度センサを提供することができる。また、一対のミラーパターンの高さの差を計ることで、重り部とカンチレバーとからなる可動部の真の反り量を実測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。
【図2】 半導体加速度センサの断面構造を模式的に示した図である。
【図3】 図1,図2のミラーパターンの位置を外観検査で測定する場合の装置例を示す図である。
【図4】 図1,図2のカンチレバーの折れおよび反りを検査する外観検査システムの例を示す図である。
【図5】 光を上ガラスストッパを介してミラーパターンに照射した場合の入射光および反射光を示す図である。
【図6】 半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。
【図7】 半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。
【図8】 半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。
【図9】 半導体加速度センサのセンサチップを上から見た図である。
【図10】 従来の半導体加速度センサの一例を示す構成図である。
【図11】 従来の半導体加速度センサの一例を示す構成図である。
【図12】 一対のカンチレバーに設けられるピエゾ抵抗近傍の模式図である。
【図13】 図12の等価回路図である。
【符号の説明】
1 センサチップ
2 上ガラスストッパ
3 下ガラスストッパ
4 カンチレバー
5 重り部
6 ゲージ抵抗
10 スリット
14 パッド
18C1,18C2,18D1,18D 2 ミラーパターン
Claims (2)
- 貫通溝であるスリットで囲繞された重り部の一端側を、弾性を有する撓み部としてのカンチレバーで支持する形状に形成されて成り、前記カンチレバーに形成されたゲージ抵抗を有するセンサチップと、このセンサチップの両面に接合された一対のストッパとを備える半導体加速度センサを検査する方法であって、
前記カンチレバーから最も遠い前記重り部の先端側の位置と、この位置と前記スリットを介して対向する前記センサチップの位置とに、それぞれ前記重り部の一の面よりも光の反射率が高い長方形状のミラーパターンを長手方向が互いに平行となるように形成し、前記重り部の前記一の面側から各ミラーパターンにそれぞれ光を照射し、その反射光を用いた光学的な方法で前記ミラーパターンの高さの差の計測を行い、この計測結果から前記カンチレバーの反りの状態を判別する
ことを特徴とする半導体加速度センサの検査方法。 - 貫通溝であるスリットで囲繞された重り部の一端側を、弾性を有する撓み部としてのカンチレバーで支持する形状に形成されて成り、前記カンチレバーに形成されたゲージ抵抗を有するセンサチップと、このセンサチップの両面に接合された一対のストッパとを備える半導体加速度センサを検査する方法であって、
前記カンチレバーから最も遠い前記重り部の先端側の位置と、前記カンチレバーで支持される前記重り部の基部側と前記スリットを介して対向する前記センサチップの位置とに、それぞれ前記重り部の一の面よりも光の反射率が高い長方形状のミラーパターンを長手方向が互いに平行となるように形成し、前記重り部の前記一の面側から各ミラーパターンにそれぞれ光を照射し、その反射光を用いた光学的な方法で前記ミラーパターンの高さの差の計測を行い、この計測結果から前記カンチレバーの反りの状態を判別する
ことを特徴とする半導体加速度センサの検査方法。
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