JP4081943B2 - 上げ下げ障子の吊りワイア調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、所謂上げ下げ窓或いは上げ下げ障子ドアの上げ下げ障子の吊りワイア調節装置(以下単にワイア調節装置という)に係り、特に、吊りワイアの調節量を長期間安定に維持することができるワイア調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上げ下げ窓或いは上げ下げ障子ドアとは、嵌め込んだ障子を上下に移動させて通風を図ることができるようにした窓或いはドアのことで、例えばドアを例にとって説明すると、図1乃至図3に示すように、ドア1のフレームを構成する一対の縦枠2、2が仕切壁3によって断面略ヨ字形に成形され、内側及び外側ガイド溝4、5(図2参照)が形成されている。
【0003】
この内側及び外側ガイド溝4、5には、図1及び図3に示すように、夫々ガラス板を嵌め込んだ内側及び外側障子6、7がガイド溝4、5に沿って上下方向に移動可能に案内、装着されている。
【0004】
これら内側及び外側障子6、7は、夫々の両側において、仕切壁3の一部を切り欠いて設けられた滑車8に、これに巻き掛けられた吊りワイア9を介して、担持されている。
【0005】
上記吊りワイア9の両端は、通常、内側及び外側障子6、7の側端縁下端に突設された案内ブロック11に係止される。
【0006】
上記のように構成された上げ下げ障子ドアは、例えば内側障子6を下げると、その分外側障子を吊り下げているワイア9が上昇するので、内側障子の上方及び外側障子の下方に隙間ができ、この隙間を介して通風を図ることができるばかりでなく、その隙間の量を調節することができる。
【0007】
なお、図1において符号12は摩擦を利用して障子を縦枠に固定する上げ下げロックの摘みを示し、この摘み12を弛めてから手で障子を動かし、隙間の量を設定した後は摘み12を反対方向に回して障子を固定する。この上げ下げロックの構造については、公知であるしまた本発明の要旨ではないので、更に詳細な説明を省略する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成された上げ下げ障子は、吊りワイア9の製作誤差に基づく長さの減少、或いは経年変化による伸びがあると、何れの場合も障子が閉り切れずに窓或いはドアの上部に隙間が生じることになる。
【0009】
上記吊りワイアの長さを調節するため、例えば実開昭56−121863号に記載された考案によるワイア調節装置は、調節ねじにより前記滑車8の取付位置を上下方向に調節したり、或いは特許第2859110号に係る特許公報に記載されたワイア調節装置のように、吊りワイア9の一端を調節ねじを及び撚り戻し装置を介して障子の案内ブロックに係止するようにしている。
【0010】
しかしながら、上記したワイア調節装置は、窓やドアの開け閉めのときの衝撃により調節ねじが弛み、通常吊りワイア9の長さが増大して障子が閉り切れなくなるので、しばしば調節を繰り返さなければ成らない、という不都合がある。
【0011】
そこで、この発明は、上記した不都合を解消し、吊りワイアの調節量を長期間安定に維持することができるワイア調節装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、上げ下げ窓或いは上げ下げ障子ドアのフレームを構成する縦枠内面に固定された滑車と、この滑車に巻き掛けられ、両端部を縦枠の長さ方向に垂下させた吊りワイアと、内側及び外側障子の何れか一方の側端縁下端部に突設され、吊りワイアの一端を固定した第1案内ブロックと、内側及び外側障子の他方の側端縁下端部に突設され、鉛直な第1雌ねじ孔を形成した第2案内ブロックと、この第2案内ブロックの上方に配設され、上端に吊りワイアの他端を固定し、下端に第2雌ねじ孔を形成した撚り戻しと、ねじ切り方向が同じでリードが相互に異なる第1雄ねじ部及び第2雄ねじ部を同軸に結合した調節ねじとを有し、上記第1雄ねじ部を第2案内ブロックの第1雌ねじ孔に、第2雄ねじ部を撚り戻しの第2雌ねじ孔に夫々螺合させたことを特徴とする。
【0013】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図4乃至図6を参照して説明する。
図4及び図5において符号13は第1案内ブロックを、符号14は第2案内ブロックを夫々示す。
【0014】
説明の都合上第2案内ブロック14について先に説明すると、この第2案内ブロック14は、図5及び図6に示すように、断面がコ字形で材質が例えば合成樹脂のブロック体で、図5に示すように、例えば内側障子6の側端縁下端部に、付番しない止めねじにより呼び付けられるようにして一体に装着されている。
【0015】
この第2案内ブロック14には、調節ねじ15を介して、撚り戻し16が上下方向の相対位置可変に装着されている。
【0016】
すなわち、上記調節ねじ15は、ねじ切り方向が同一で、リードが相互に異なる第1及び第2雄ねじ部17及び18を同軸かつ一体的に結合した杆体で、図5に示すように、その第1雄ねじ部を第2案内ブロック14の下方の水平部に形成された鉛直な第1雌ねじ孔19に螺合させている。
【0017】
第2案内ブロック14の上方の水平部の開口には、調節ねじ15の第2雄ねじ部18の上端部が回動可能に嵌合している。
【0018】
また、上記撚り戻し16は、図5に示すように、例えば板材を断面コ字形に折曲げた部材で、その上方の水平板部にはU字形切欠21が、撚り戻し16の下方の水平板部には、調節ねじ15の第2雄ねじ部18と螺合する第2雌ねじ孔22が開口している。
【0019】
そして、図5に示すように、撚り戻し16の下方の水平板部は、第2案内ブロック14の上方の水平部を乗り越えてこれより下方に位置する状態で、第2雄ねじ部18と螺合している。
【0020】
一方、図示しない外側障子の側端縁下端には、第1案内ブロック13(図4参照)がこれもねじ止めにより一体に装着されており、この第1案内ブロック13には、吊りワイア9の一端が固定されている。
【0021】
図示の実施例では、吊りワイア9の両端には溶接又はかしめにより円盤状の係止フランジ23(図4乃至図6参照)が一体に結合されており、吊りワイア9の一端は、この係止フランジ23を第1案内ブロック13の図示しない水平な棚板に形成されたU字形の切欠(図示せず)の下面に引っ掛けるようにして第1案内ブロック13に固定されている。
【0022】
また、図示の実施例では、上記係止フランジ23がU字形の切欠から抜け外れることを防止するため、止めキャップ24が嵌着されているが、この止めキャップ24の構造は本発明の要旨ではないから、ここでは更に詳細な説明は省略する。
【0023】
吊りワイア9の他端は、図4及び図5に示すように、上記撚り戻し16の上方の水平板部に形成されたU字形切欠21に係止フランジ23を引っ掛けることにより、撚り戻し16の上端に固定されている。
【0024】
ちなみに、上記した構成のワイア調節装置を組み立てるには、例えば第2雄ねじ部18の外径を第2案内ブロック14の第1雌ねじ孔を挿通できるように設定し、先ず第2案内ブロック14及び撚り戻し16の相対関係位置を図5に示す基準位置に設定した後、下方から第2雄ねじ部18を第1雌ねじ孔18に挿通させ、しかる後第1雄ねじ部17を第1雌ねじ孔18に、第2雄ねじ部18を第2雌ねじ孔22に螺合させる。
【0025】
なお、ワイア調節装置は同じ構成のものを障子の両側に設けるを可とする。また、図1において符号29は上げ下げ障子ドアのハンドルである。
【0026】
上記のように構成されたこの発明の一実施例によるワイア調節装置は、上げ下げ窓或いは上げ下げ障子ドアの下端縁に調節ねじ15と同軸に開口した図示しない調節孔からドライバー等の工具を挿入し、工具の先端を調節ねじ15の頭部に係合させて通常のねじを捩じ込み或いは弛める要領で調節ねじ15を回す。
【0027】
今、大径の第1雄ねじ部17のリードをL、小径の第2雄ねじ部18のそれをl(L>l)とし、下方から見て時計方向に調節ねじ15を回すと調節ねじ15が上昇する方向にねじが切られていると仮定する。
【0028】
この場合、調節ねじ15を時計方向に1回転させると、調節ねじ15は撚り戻し16と共に上方にLだけ移動する。
【0029】
一方、撚り戻し16と第2雄ねじ部18との螺合関係では、調節ねじ15の時計方向の回動により第2雄ねじ部18が撚り戻しの下方の水平板部を上方に抜ける方向に移動するので、調節ねじ15に担持された撚り戻し16は、調節ねじ15に対し相対的に下方に移動する。
【0030】
したがって、ドライバーによって調節ねじ15を時計方向に1回転させれば、撚り戻し及びこれに連結された吊りワイア9の他端を(L−l)だけ上方に移動させることができる。
【0031】
同様にして、調節ねじ15を下から見て反時計方向に1回転させれば、吊りワイア9の他端を(L−l)だけ下方に引くことができる。なお、リードはl>Lとしても差し支えない。
【0032】
ちなみに、調節ねじ15の第1及び第2雄ねじ部17、18のリードが同一であれば、調節ねじ15を時計方向或いは反時計方向の何れの方向に回動させても撚り戻し16は動かない。
【0033】
一方、調節ねじ15を下から見て時計方向に回したときには、その第2雄ねじ部18が撚り戻し及び吊りワイア9を介して負荷である外側障子7を上方に引き上げる。
【0034】
上記段落[0033]の記述は、段落[0030]の記述と一見矛盾するようであるが、段落[0030]の記述が動作を客観的に、或いは外側から見て記述しているのに対し、段落[0033]の記述は、意識を調節ねじ15或いはこれと一体の第2雄ねじ部18に移して、換言すれば、第2雄ねじ部18になった積りで記述しているので、内容に矛盾は無い。
【0035】
すなわち、第2雄ねじ部18から見れば、例えば調節ねじ15を時計方向に1回転させることにより、自身(第2雄ねじ部18)がLだけ上昇する過程において、負荷である外側障子7をlの距離引揚げ、結果として、段落[0030]に記載の通り、(L−l)だけ外側障子7が下降する(L>lの場合)。
【0036】
このとき、調節ねじ15は外側障子7の重量×lという位置のエネルギーを供給されており、調節ねじ15を回すドライバーを手に持つ作業者は、ドライバーを回すに際し手答えを感じ、この手答えこそ、調節ねじ15に位置のエネルギーを供給した証拠である。
【0037】
同様にして、調節ねじ15を反時計方向に回したときには、その第1雄ねじ部14が撚り戻し16及び吊りワイア9を介して負荷である外側障子7を上方に引き上げる。
【0038】
したがって、調節ねじ15を時計方向に回すときにも、反時計方向に回すときにも必ずエネルギーを必要とし、一旦吊りワイアを調節して工具を調節孔から抜去した後はこのエネルギーは供給されないから、一旦調節した調節ねじは何れの方向にも絶対に回動しない。
【0039】
図6はこの発明の変形実施例を示し、この実施例は、調節ねじ15の第1及び第2雄ねじ部17、18を一体にせず、市販のねじを組合わせて構成するようにしたものである。
【0040】
すなわち、図6で符号18はリードがLの第1雄ねじ17と同径でリードがl(L>l)の第2雄ねじを示し、これら第1及び第2雄ねじ17、18を図に示すように諸部材と係合させた後、結合筒25中で突き合せ、ロックナット26、26で締めつけて固定する。
【0041】
ちなみに、第2雄ねじ18のねじ切り方向は第1雄ねじ17のそれと同じであり、リードのみが異なるものを用いる。
【0042】
この場合、市販のねじをその侭利用でき、製造コストを下げることができる、という利点が生じる。
【0043】
なお、これはこの発明の必須の構成ではないが、吊りワイア9の他端の係止フランジ23と吊りワイアとの間に大径部を設けてU字形切欠21の幅を大きくし、ここを第2雄ねじ18を回すドライバーが容易に挿通できるようにすると良い。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、吊りワイアの一端を第1案内ブロックに固定し、他端を撚り戻し及びねじ切り方向が同じでリードが異なる第1及び第2雄ねじ部を同軸に結合した調節ねじを介して第2案内ブロックに連結すると共に、調節ねじの第1雄ねじ部を第2案内ブロックに、第2雄ねじ部を撚り戻しに夫々螺合させるようにしたから、調節ねじを時計方向或いは反時計方向の何れの方向に回動させても調節ねじに負荷が掛かるようになり、その為一旦吊りワイアの長さを設定した後は、調節ねじが回らないので、その調節量を長期間維持できるという所期の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 上げ下げ障子ドアの線図的正面図。
【図2】 そのII−II線による縦枠の線図的断面図。
【図3】 図1のIII−III線による上げ下げ障子ドアの線図的一部断面図。
【図4】 この発明の一実施例によるワイア調節装置の正面図。
【図5】 その一部断面側面図。
【図6】 本発明の変形実施例によるワイア調節装置の要部を示す一部断面拡大側面図。
【符号の説明】
2 縦枠
6 内側障子
7 外側障子
8 滑車
9 吊りワイア
13 第1案内ブロック
14 第2案内ブロック
15 調節ねじ
16 撚り戻し
17 第1雄ねじ部
18 第2雄ねじ部
19 第1雌ねじ孔
22 第2雌ねじ孔
25 結合筒
26 ロックナット
Claims (1)
- 上げ下げ窓或いは上げ下げ障子ドアのフレームを構成する縦枠内面に固定された滑車と、この滑車に巻き掛けられ、両端部を縦枠の長さ方向に垂下させた吊りワイアと、内側及び外側障子の何れか一方の側端縁下端部に突設され、吊りワイアの一端を固定した第1案内ブロックと、内側及び外側障子の他方の側端縁下端部に突設され、鉛直な第1雌ねじ孔を形成した第2案内ブロックと、この第2案内ブロックの上方に配設され、上端に吊りワイアの他端を固定し、下端に第2雌ねじ孔を形成した撚り戻しと、ねじ切り方向が同じでリードが相互に異なる第1雄ねじ部及び第2雄ねじ部を同軸に結合した調節ねじとを有し、上記第1雄ねじ部を第2案内ブロックの第1雌ねじ孔に、第2雄ねじ部を撚り戻しの第2雌ねじ孔に夫々螺合させたことを特徴とする上げ下げ障子の吊りワイア調節装置。
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