JP4080864B2 - Pwm制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転停止状態から目標回転数に達するまでの電動モータの回転をパルス幅変調を用いてモータを変速させるPWM制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用の空調装置では、そのブロアファンの電動モータとしてブラシレスモータが用いられ、このブラシレスモータの回転数を目標回転数に達するまでパルス幅変調(PWM)を用いて目標回転数に達するまで徐々に回転数を増加させるようにしたPWM制御装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0003】
このものは、電動モータの回転数に対応するデューティ比に基づき目標値デジタルデータを算出する回転数目標値算出手段と、目標値デジタルデータが入力されて目標値デジタルデータに達するまで所定の勾配に従って目標値デジタルデータに遅延を与えたソフトスタート目標値デジタルデータを出力するソフトスタート目標値算出手段と、電圧の変動に伴う電動モータの回転数の変動を補正するために電圧とデューティ比との関係に基づきソフトスタート目標値デジタルデータに所定の演算を行ってPWMデータを生成する電圧補正手段と、PWMデータに基づいてスイッチング回路に加わる駆動電圧をオンオフさせて電動モータに流れる電流を制御するPWM波を出力するPWM波出力回路とを備えている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−116178号公報(図1)
【特許文献2】
特開2000−116179号公報(図1、図5)
【特許文献3】
特開2001−103786号公報(図1)
【特許文献4】
特開2002−78377号公報(図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このものでは、そのスイッチング回路の駆動電圧を一定としてスイッチング回路をPWM変調によりオン・オフさせているので、スイッチング回路のオン・オフによりラジオノイズ(AM波に混入するノイズ)が発生する。このラジオノイズは、デューティ比が30%から80%程度の範囲内で大きくなる性質がある。
【0006】
そこで、PWM波出力回路の定数調整を行うことにより、MOS FETのゲートに加わる矩形パルスの波形の傾きを鈍らせて、すなわち、矩形パルス波形の立ち上がり、立ち下がりの傾きを鈍らせて、スイッチングによるラジオノイズの発生を小さくすることが考えられるが、このような対策を行うことにすると、MOS FETにおける電力消費量(スイッチング損失)が多くなり、全開域の発熱量が大きくなって好ましくない。
【0007】
また、PWM波出力回路にノイズフィルター回路を設けることも考えられるが、ノイズフィルター回路を設けると、PWMモジュール全体が大型化すると共に部品点数が増加し、コストアップを招くという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、全開域の発熱量を大きくすることなくかつコスト増加を招くことなく中速域のラジオノイズの低減を図ることのできるPWM制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のPWM制御装置は、電動モータの回転数に対応するデューティ比に基づき目標値デジタルデータを算出する回転数目標値算出手段と、前記目標値デジタルデータが入力されて該目標値デジタルデータに達するまで所定の勾配に従って前記目標値デジタルデータに遅延を与えたソフトスタート目標値デジタルデータを出力するソフトスタート目標値算出手段と、電圧の変動に伴う前記電動モータの回転数の変動を補正するために電圧とデューティ比との関係に基づき前記ソフトスタート目標値デジタルデータに所定の演算を行ってPWMデータを生成する電圧補正手段と、前記PWMデータに基づいてスイッチング回路に加わる駆動電圧をオンオフさせて前記電動モータに流れる電流を制御するPWM波を出力するPWM波出力回路とを備え、前記電動モータの回転数の目標値デジタルデータに達するまで前記ソフトスタート目標値デジタルデータを変化させて徐々に電動モータの回転数を上昇させるPWM制御装置において、
前記ソフトスタート目標値算出手段からのソフトスタート目標値デジタルデータに基づいて出力デューティ比を割り出しかつラジオノイズが大となる出力デューティ比の範囲内で前記駆動電圧を低下させて前記電動モータが駆動されるように前記駆動電圧を段階的に切り替える電圧切り換え回路を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のPWM制御装置は、前記電動モータは第1モータと第2モータとからなり、前記スイッチング回路は前記第1モータを駆動する第1回路と、前記第2モータを駆動する第2回路とからなり、両回路はそれぞれMOS FETを備え、前記駆動電圧が前記MOS FETをオン・オフ制御するゲート電圧であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のPWM制御装置は、前記電圧切り替え回路は、前記第1モータを駆動するために割り出された出力デューティ比によって得られるゲート電圧と前記第2モータを駆動するために割り出された出力デューティ比によって得られるゲート電圧が異なるときには、低い方のゲート電圧を優先的に選択することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係わるPWM制御装置の回路図を示し、この図1において、1はIC回路からなる演算処理回路部である。その演算処理回路部1は入力端子2A〜2E、出力端子2F〜2Iを有する。
【0013】
演算処理回路部1の入力端子2Aには回転指示信号としてのデジタル信号パルスが入力される。そのデジタル信号パルスはデューティ比検出処理回路3によりデューティ比データDdutyが検出され、緩応答フィルタ処理回路4を介してファン速目標値変換処理回路(回転数目標値算出手段)5に入力される。
【0014】
ファン速目標値変換処理回路5は図2に示す入出力変換特性曲線図の回転数目標値デジタルデータDfanとデューティ比との関係を入出力変換特性曲線K1に基づいて変換する機能を有する。
【0015】
その図2において、横軸X(%)はデューティ比Ddutyであり、縦軸Y(%)は回転数目標値デジタルデータDfanである。なお、その入出力変換特性曲線K1は駆動電圧15VH(12ボルト)をパラメータとする入出力変換特性曲線を示している。
【0016】
なお、入力デューティ比Ddutyは、図3に示すようにPWM波Pの一周期TpwmによりパルスPのオン期間Tonを除した値として定義される。
【0017】
そのファン速目標値変換処理回路5はデューティ比Ddutyが入出力変換特性曲線K1と交わる点の横軸Y(%)を8ビットの目標値デジタルデータDfanとしてストアすると共に、目標値デジタルデータDfanを出力する。
【0018】
入力端子2Bには、標準電圧Bを分圧した分圧電圧Vbinが入力される。その分圧電圧VbinはA/D変換処理回路6によって10ビットのデジタルデータに変換される。その10ビットのデジタルデータは、デジタルフィルタ処理回路7によって上位の8ビットからなるデジタルデータDbとされ、そのデジタルデータDbは基準データ作成回路8に入力される。基準データ作成回路8は標準電圧Vbinと後述する補正デジタルデータDssfanとの関係を、127ビットを2.25ボルトに対応させて補正する機能を有し、補正データDbrは第1電圧補正値算出処理回路9、第2電圧補正値算出処理回路10に入力される。
【0019】
例えば、分圧電圧Vbinが4.5ボルトならば、基準データ作成回路8はデジタルデータDssfanを1/2倍に補正するデータDbrを出力し、分圧電圧Vbinが1.125ボルトならば、基準データ作成回路8はデジタルデータDssfanを2倍に補正するデータDbrを出力する。
【0020】
入力端子2Cには、PWMモジュールの異常加熱判断用のサーミスタ11から温度に対応する電圧Vtinが入力される。この電圧VtinはA/D変換処理回路12によって10ビットのデジタルデータに変換される。その10ビットのデジタルデータは、デジタルフィルタ処理回路13によって上位の8ビットからなるデジタルデータDtとされ、そのデジタルデータDtは温度状態判定処理回路14に入力される。
【0021】
温度状態判定処理回路14はそのデジタルデータDtに基づき、例えば正常温度、低高温、中高温、高高温を意味する2ビットデータDtfを出力する。
【0022】
入力端子2Dには第1モータM1に流れている電流が過電流であるか否かを判定をするための過電流検出電圧Vid1が入力され、入力端子2Eには第2モータM2に流れている電流が過電流であるか否かを判定するための過電流検出電圧Vid2が入力される。
【0023】
過電流検出電圧Vid1はA/D変換処理回路15によって10ビットのデジタルデータとされる。その10ビットのデジタルデータはデジタルフィルタ処理回路16によって上位の8ビットからなるデジタルデータDid1とされて第1電流状態判定処理回路17に入力される。過電流検出電圧Vid2はA/D変換処理回路18によって10ビットのデジタルデータとされる。その10ビットのデジタルデータはデジタルフィルタ処理回路19によって上位の8ビットからなるデジタルデータDid2とされて第2電流状態判定処理回路20に入力される。
【0024】
第1電流状態判定処理回路17、20は、そのデジタルデータDid1、Did2に基づき、第1モータM1、第2モータM2に流れる電流が過電流か否かを判定し、デジタルデータDif1、Dif2をそれぞれ出力する。デジタルデータDif1はデジタルデータDfanとデジタルデータDtと共にソフトスタート目標値変換処理回路(ソフトスタート目標値算出手段)21に入力される。デジタルデータDif2は目標値デジタルデータDfanとデジタルデータDtと共にソフトスタート目標値変換処理回路(ソフトスタート目標値算出手段)22に入力される。
【0025】
ソフトスタート目標値変換処理回路21、22は温度状態判定処理回路14の温度情報と電流状態判定処理回路17、20の過電流情報とに基づき、所定の処理を行うが本発明には関係しないので、ここでは、その説明を省略する。
【0026】
ソフトスタート目標値変換処理回路21、22はファン速目標値変換処理回路5からの目標値デジタルデータDfanに基づいてソフトスタート目標値としてのソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1、Dsfan2を電圧補正手段としての第1電圧補正値算出処理回路9、第2電圧補正値算出処理回路10と駆動電圧可変制御回路23とに出力する。第1電圧補正値算出処理回路9、第2電圧補正値算出処理回路10は、電圧の変動に伴う電動モータの回転数変動を補正する役割を果たす。
【0027】
ソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1、Dsfan2は、最大回転数を255ビット(100%)に対応させて目標値デジタルデータDfanを所定の勾配α、例えば、毎秒α=8%の傾きで上昇させかつ毎秒96%の傾きで下降させる変化値を示すデータであり、例えば、図4に示すように、横軸を時間tとしかつ縦軸をソフトスタート目標値デジタルデータDsfanとしたときに、目標値デジタルデータDfanに達するまで、所定の傾きに従って時間に対して上昇するデータである。
【0028】
駆動電圧可変制御回路(電圧切り換え回路)23は、図5に示す入出力変換特性曲線K1’に従って駆動電圧を設定するものである。その図5において、横軸X(%)は出力デューティ比Ddutyであり、縦軸Y(%)はソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1、Dsfan2である。
【0029】
すなわち、駆動電圧可変制御回路23は、入出力変換特性曲線K1’に従って、ソフトスタート目標値変換処理回路21からのソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1に基づいて出力デューティ比Dduty1を割り出すと共に、ソフトスタート目標値変換処理回路22からのソフトスタート目標値デジタルデータDsfan2に基づいて出力デューティ比Dduty2を割り出し、ラジオノイズが大となる出力デューティ比dutyの範囲DH内で第1モータM1、第2モータM2に流れる電流が小さくなるように後述するスイッチング回路の駆動電圧を切り替える機能を有する。
【0030】
ここでは、駆動電圧可変制御回路23は、出力デューティ比Ddutyが30%未満、80%以上の時には、その出力端子2F、2Gにロー信号L0を出力し、出力デューティ比Ddutyが30%以上でかつ50%未満、70%以上でかつ80%未満の時には、その出力端子2Fにロー信号L0を出力し、出力端子2Gにハイ信号Hiを出力し、出力デューティ比Ddutyが50%以上でかつ70%未満の時は、出力端子2Fにハイ信号Hiを出力し、出力端子2Gにロー信号L0を出力する。
【0031】
その出力端子2Fの出力L0、出力端子2Gの出力L0は駆動電圧12ボルトに対応し、出力端子2Fの出力L0、出力端子2Gの出力Hiは駆動電圧7ボルトに対応し、出力端子2Fの出力Hi、出力端子2Gの出力L0は駆動電圧5ボルトに対応し、図6に示す駆動電圧切り替え特性VCに従って後述するスイッチング回路の駆動電圧が切り替えられる。
【0032】
なお、駆動電圧可変制御回路23は、ソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1により割り出されたデューティ比に基づく駆動電圧とソフトスタート目標値デジタルデータDsfan2により割り出されたデューティ比とが異なるときには、低い方の駆動電圧が優先的に選択されるように信号を出力する。
【0033】
ところで、スイッチング回路の駆動電圧を低下させたり上昇させたりして変化させることにすると、第1モータM1、第2モータM2に流れる駆動電流が減少するため、ラジオノイズが大となるデューティ比Dduty の範囲DH内では、図7に示すように、第1モータM1、第2モータM2の回転数が減少したり、増加したりして変動するため、滑らかに第1モータM1、第2モータの回転数が上昇しない。
【0034】
ここで、ソフトスタート処理前の目標値デジタルデータDfan1、Dfan2に回転数変化分に対応する補正データを上乗せすることが考えられるが、補正データに遅延がかかるため、回転数のオーバーシュート現象が発生する。
【0035】
そこで、このものでは、入力デューティの瞬時補正を行って回転数のオーバーシュート現象が発生しないようにするため、ソフトスタート処理後のソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1、Dsfan2を用いて補正を行うことにした。
【0036】
すなわち、第1電圧補正値算出処理回路9、第2電圧補正値算出処理回路10は、図8に示す入出力変換特性曲線図に基づいてソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1、Dsfan2を補正する機能を有する。
【0037】
その入出力変換特性曲線図は、入力デューティ比と出力デューティ比との特性をマッピングしたもので、その図8において横軸X(%)は出力デューティ比を示し、縦軸Y(%)は入力デューティ比を示しており、入力デューティ比と回転数との関係が直線になるように出力デューティ比を決定する入出力変換特性曲線となっている。ここでは、駆動電圧5V、7V、12Vに切り替えて使用するので、3個の入出力変換特性曲線K1、K2、K3がマッピングされている。
【0038】
第1電圧補正値算出処理回路9、第2電圧補正値算出処理回路10は、ソフトスタート目標値デジタルデータDsfan1、Dsfan2をY軸として入出力変換特性曲線K1との交点のX軸の値を求めた後、そのX軸の値と入出力変換特性曲線K2、K3との交点を求め、そのときのY軸の値を補正デジタルデータDssfan1、Dssfan2としてメモリにストアして、駆動電圧が7ボルト、5ボルトの時にそれに対応する不足分を補正し、補正デジタルデータDssfan1、Dssfan2を出力する。
【0039】
例えば、駆動電圧が7ボルトで、ソフトスタート目標値デジタルデータDsfanが30%の場合には、入出力変換特性曲線K1とY軸との交点C0を求めて、この交点C0のX軸の値X1を求めた後、このX軸の値X1と入出力変換特性曲線K2との交点C1を求め、この交点C1のY軸の値Y1を補正デジタルデータDssfanとしてメモリに保存する。
【0040】
そして、第1電圧補正値算出処理回路9、第2電圧補正値算出処理回路10は、補正データDbrと補正デジタルデータDssfanとに基づきPWM制御データDpwm1、Dpwm2を生成し、第1PWM出力制御回路26、第2PWM出力制御回路27に向けて出力する。
【0041】
第1PWM出力制御回路26、第2PWM出力制御回路27はPWM制御データDpwm1、Dpwm2に基づいて第1PWM制御信号、第2PWM制御信号を生成し、第1PWM制御信号、第2PWM制御信号を出力端子2H、2Iに向けて出力する。
【0042】
第1PWM出力制御回路26、第2PWM出力制御回路27は、PWM周期(50msec)の256分の1の周期を基準クロックとして、図9に示すPWM周期Tpwmを8ビットで作成し、PWM周期Tpwmの立ち下がりトリガパルスにより出力端子2H、2Iに向けてロー信号L0を出力し、PWM制御データDpwm1、Dpwm2に達するまでの間カウントを行い、カウント数が一致したら出力端子2Iに向けて出力端子2H、2Iに向けてハイ信号Hiを出力し、次のTpwmの立ち下がりトリガパルスが入力されるまでハイ信号Hiを出力し続ける。これにより、PWMパルス変調信号が生成される。
【0043】
出力端子2F、2Gは駆動電圧設定回路28に接続されている。その駆動電圧切り換え回路28は、抵抗R1、コンデンサC1、パワートランジスタTr1、ツエナーダイオードZ1〜Z3、コンデンサC2、スイッチングトランジスタTr2、Tr3から構成されている。
【0044】
抵抗R1とコンデンサC1とは直列に接続され、抵抗R1の一端には電源電圧+Bが印加され、コンデンサC1の他端はアースされている。ツエナーダイオードZ1〜Z3のアノードは抵抗R1とコンデンサC1との接続点とパワートランジスタTr1のベースとコンデンサC2の一端とに接続されている。パワートランジスタTr1のコレクタには電源電圧+Bが印加され、パワートランジスタTr1のエミッタはコンデンサC2の他端に接続されている。
【0045】
スイッチングトランジスタTr2のベースは出力端子2Gに接続され、スイッチングトランジスタTr3のベースは出力端子2Fに接続されている。スイッチングトランジスタTr2のコレクタはツエナーダイオードZ2のカソードに接続され、スイッチングトランジスタTr3のコレクタはツエナーダイオードZ3のカソードに接続されている。ツエナーダイオードZ1のカソードはアースされている。
【0046】
出力端子端子2F、2Gから出力される信号が共にロー信号L0、L0のときには、スイッチングトランジスタTr2、Tr3は共にオフであり、駆動電圧切換え回路28から出力される駆動電圧は12ボルトである。出力端子2Fから出力される信号がロー信号L0、出力端子2Gから出力される信号がHi信号のとき、スイッチングトランジスタTr3はオフ、スイッチングトランジスタTr2はオンであり、駆動電圧切り換え回路28から出力される駆動電圧は7ボルトである。出力端子2Fから出力される信号がハイ信号Hi、出力端子2Gから出力される信号がL0の時、スイッチングトランジスタTr3はオン、スイッチングトランジスタTr2はオフであり、駆動電圧切り換え回路28から出力される駆動電圧5ボルトである。これらの電圧は後段の平滑回路29の電圧印加端子V15V、V4Vから各回路部に印加される。
【0047】
出力端子2Hはスイッチング回路30のトランジスタTr4のベースに接続され、出力端子2Iはスイッチング回路30のトランジスタTr5のベースに接続されている。その各トランジスタTr4、Tr5のベースには電圧印加端子V4Vを介して駆動電圧が印加されている。
【0048】
そのトランジスタTr4のコレクタはスイッチング回路30のトランジスタTr6、Tr7のベースに接続されている。そのトランジスタTr5のコレクタはスイッチング回路30のトランジスタTr8、Tr9のベースに接続されている。そのトランジスタTr4のエミッタとそのトランジスタTr5のエミッタとはアースされている。
【0049】
そのトランジスタTr6のコレクタは電圧印加端子V15Vに接続され、そのトランジスタTr6のエミッタはトランジスタTr7のエミッタに接続され、そのトランジスタTr7のコレクタはアースされている。
【0050】
そのトランジスタTr8のコレクタは電圧印加端子V15Vに接続され、そのトランジスタTr8のエミッタはトランジスタTr9のエミッタに接続され、そのトランジスタTr9のコレクタはアースされている。
【0051】
そのトランジスタTr6、Tr7の両エミッタはMOS FETQ1のゲートに接続され、そのトランジスタTr8、Tr9の両エミッタはMOS FETQ2のゲートに接続されている。
【0052】
トランジスタTr4、Tr6、Tr7はMOS FETQ1をオン・オフ制御する役割を有し、トランジスタTr5、Tr8、Tr9はMOS FETQ2をオン・オフ制御する役割を有する。
【0053】
そのMOS FETQ1は電動モータM1に電流を供給する供給系統線L1に設けられ、そのMOS FETQ2は電動モータM2に電流を供給する供給系統線L2に設けられている。そのMOS FETQ1は電動モータM1に流れる電流を断続させ、そのMOS FETQ2は電動モータM2に流れる電流を断続させる機能を有する。その電動モータM1にはフライホィールダイオードFL1が並列に接続され、その電動モータM2にはフライホィールダイオードFL2が並列に接続されている。その供給系統線L1にはシャント抵抗RXが接続され、その供給系統線L2にはシャント抵抗RYが接続されている。
【0054】
そのMOS FETQ1、Q2は、そのゲートに印加されるゲート電圧が低くなると、MOS FETQ1、Q2のオン時のソース−ドレイン間の抵抗が増大し、第1モータM1、第2モータM2に流れる電流が減少するため、高調波ノイズが減少し、ラジオノイズが低減される。
【0055】
また、MOS FETQ1、Q2に印加するゲート電圧を下げると、第1モータM1、第2モータM2の回転数が低下しようとするが、この発明の実施の形態では、ゲート電圧を下げた分に相当する出力デューティ比に対応する入力デューティ比を瞬時補正することにしたので、第1モータM1、第2モータM2の回転数変動、オーバーシュートを回避することができる。
【0056】
例えば、図8において、ゲート電圧12Vの時に入力デューティ比30%に対して要求される出力デューティ比は38%であるが、ゲート電圧7Vに対して要求される入力デューティ比は34%であるので、4%分だけ補正値として12Vの時の入力デューティ比30%に補正値を上乗せして瞬時補正することにしたので、入力デューティと電動モータとの直線関係を保つことができることになる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、全開域の発熱量を大きくすることなくかつコスト増加を招くことなく中速域のラジオノイズの低減を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるPWM制御装置の回路図である。
【図2】 入力デューティ比と回転数目標値Dfanとの関係を示す入出力変換特性曲線図である。
【図3】 デューティ比の概念を示す説明図である。
【図4】 ソフトスタート目標値と時間との関係を示すグラフ図である。
【図5】 ソフトスタート目標値と出力デューティ比との関係を示す入出力変換特性曲線図である。
【図6】 出力デューティ比とソフトスタート目標値との関係を示す入出力変換特性曲線図である。
【図7】 駆動電圧を切り替えたときのモータの回転数変動を概念的に説明するためのグラフ図である。
【図8】 入力デューティ比と出力デューティ比との関係を示す入出力変換特性曲線図である。
【図9】 出力PWM波形の説明図である。
【符号の説明】
5…回転数目標値算出手段
9、10…電圧補正手段
23…電圧切り替え回路
26…PWM波出力回路
M1、M2…電動モータ
Claims (3)
- 電動モータの回転数に対応するデューティ比に基づき目標値デジタルデータを算出する回転数目標値算出手段と、前記目標値デジタルデータが入力されて該目標値デジタルデータに達するまで所定の勾配に従って前記目標値デジタルデータに遅延を与えたソフトスタート目標値デジタルデータを出力するソフトスタート目標値算出手段と、電圧変動に伴う前記電動モータの回転数の変動を補正するために電圧とデューティ比との関係に基づき前記ソフトスタート目標値デジタルデータに所定の演算を行ってPWMデータを生成する電圧補正手段と、前記PWMデータに基づいてスイッチング回路に加わる駆動電圧をオンオフさせて前記電動モータに流れる電流を制御するPWM波を出力するPWM波出力回路とを備え、前記電動モータの回転数の目標値デジタルデータに達するまで前記ソフトスタート目標値デジタルデータを変化させて徐々に電動モータの回転数を上昇させるPWM制御装置において、
前記ソフトスタート目標値算出手段からのソフトスタート目標値デジタルデータに基づいてデューティ比を割り出しかつラジオノイズが大きくなる出力デューティ比の範囲内で前記駆動電圧を低下させて前記電動モータが駆動されるように前記駆動電圧を段階的に切り替える電圧切り換え回路を備えていることを特徴とするPWM制御装置。 - 前記電動モータは第1モータと第2モータとからなり、前記スイッチング回路は前記第1モータを駆動する第1回路と、前記第2モータを駆動する第2回路とからなり、両回路はそれぞれMOS FETを備え、前記駆動電圧が前記MOS FETをオン・オフ制御するゲート電圧であることを特徴とする請求項1に記載のPWM制御装置。
- 前記電圧切り替え回路は、前記第1モータを駆動するために割り出された出力デューティ比によって得られるゲート電圧と前記第2モータを駆動するために割り出された出力デューティ比によって得られるゲート電圧が異なるときには、低い方のゲート電圧を優先的に選択することを特徴とする請求項2に記載のPWM制御装置。
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