JP4080574B2 - 直流アーク溶接用電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、商用交流を整流してアーク溶接に適した出力電圧・電流の直流を得るようにした直流アーク溶接用電源装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に単相の商用交流電源から電力を得る方式の従来の直流アーク溶接用電源装置の例を示す。同図において、1は単相の商用交流電源、2は電力加工部、4は電極4aおよび被溶接物4bからなるアーク溶接負荷である。電力加工部2は両波整流回路REC1、この両波整流回路REC1の出力を平滑するコンデンサC1、スイッチングトランジスタTR1ないしTR4およびダイオードD1ないしD4からなるインバータ回路、インバータ回路の出力電圧を負荷に適した電圧に変換する変圧器T1、変圧器T1の出力電圧を再度整流する整流回路REC2、この両波整流回路REC2の出力と出力端子との間に設けられた直流リアクトルL21、出力電流を検出する電流検出器CT1、出力電流設定器21、出力電流設定器21の出力Irと電流検出器CT1の検出値Ifとを比較し差信号ΔI=Ir−Ifを出力する比較器22および比較器22の出力信号ΔIを入力として入力信号に応じた導通時間率のパルス信号を出力してインバータ回路を構成するスイッチングトランジスタTR1とTR4およびスイッチングトランジスタTR2とTR3とをそれぞれ1組として各組のトランジスタを同時にかつ各組毎に交互にON−OFFさせる信号を出力するパルス幅制御回路(以後PWM制御回路という)23からなる。
【0003】
図6の装置においては、商用交流電源1からの電力は両波整流回路REC1にて整流されて直流となり、コンデンサC1にて平滑された後にスイッチングトランジスタTR1ないしTR4にて高周波の交流に変換されて変圧器T1にて所望の電圧に変換され、両波整流回路REC2にて再度整流されて直流となり直流リアクトルL1を介してアーク溶接負荷4に供給される。この出力電流は電流検出器CT1にて検出されて出力電流設定器21の設定値Irと比較器22にて比較されて、差信号ΔI=Ir−Ifが得られる。この差信号ΔIはPWM制御回路23に供給されてこの差信号ΔIが減少する方向にスイッチングトランジスタTR1ないしTR4の導通時間率が調整されて、出力電流が設定値に保たれるように制御される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方式の従来装置においては、商用交流電源1からの入力電流が大きく歪むために商用交流電源側に悪影響を及ぼす。その理由を図7の波形図にて説明する。図7(a)は図6の装置における商用交流電源1の電圧波形を示し、同図(b)はコンデンサC1の端子電圧、(c)は入力電流波形を示す。図7から容易にわかるように、正弦波の入力電圧に対して、入力電流は平滑用コンデンサC1の端子電圧が入力電圧の両波整流波形よりも低い期間においてのみ流れる。このために、入力電流は入力電圧位相のピーク点附近の限られた期間のみ流れるパルス状の波形となり、極端な歪波電流となる。このために商用交流電源1に対しては、この期間にのみ大きな負担がかかることになり、電圧降下もこの期間にのみ発生するので、同図(a)に破線にて示すように電圧波形を大きく歪ませることになって、商用交流電源側に過大な負担をかけ、電源の過負荷防止用遮断器をトリップさせたり同一電源に接続されている他の機器に悪影響を及ぼし、甚しい場合にはこれらを護動作させることも発生する。また、電圧波形に対して電流波形が極端にずれることから商用交流電源1に対する力率は極めて低いものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、商用交流電源に接続された変圧器の一次巻線と両波整流回路とからなる直列回路と、前記商用交流電源に接続された変圧器の一次巻線と両波整流回路とからなる直列回路と、前記両波整流回路の出力を短絡し前記短絡中に前記変圧器の一次巻線に電磁エネルギーを蓄積させるスイッチング素子と、前記スイッチング素子が遮断中に前記蓄積された電磁エネルギーを二次巻線から放電するセンタータップ付変圧器と、前記商用交流電源の半周期に前記二次巻線から第1のダイオードを介し電流を通電すると共に次の半周期で第2のダイオードを介して電流を通電し前記電流を両波整流するセンタータップ付両波整流回路と、前記両波整流された電流を充電するするコンデンサと、前記コンデンサからの電流を平滑して出力する直流リアクトルと、予め定めた出力電流設定値を設定する出力電流設定器と、前記直流リアクトルからの出力電流と前記出力電流設定値とが略同一になるように前記スイッチング素子のパルス幅を制御するPWM制御回路と、を備えたことを特徴とする直流アーク加工用電源装置である。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態の例を示す接続図である。同図において、1は単相商用交流電源、20は電力加工部、4はアーク溶接負荷であり、電極4aと被溶接物4bとからなる。電力加工部20は一次巻線T21pおよびセンタータップ付の二次巻線T21sからなる変圧器T21、両波整流回路REC21、スイッチング素子TR10、ダイオードD10、D21、D22、コンデンサC11、抵抗器R11、直流リアクトルL21、出力電流設定器21、電流検出器CT11、比較器22、PWM制御回路23および高周波フィルタLF21からなる。ここで、直流リアクトルL21は、アーク溶接負荷4の変動に対する出力電流の変化の時定数を実施するアーク溶接に適した値にするために設けられるものであり、電極4aと被溶接物4bとが短絡したときの電流の立上り速度や短絡から開放してアークが再生するときの電流の低下速度を適値にするアーク溶接用電源装置のダイナミック特性を改善するものである。また、変圧器T21の一次巻線T21pと二次巻線T21sとは図中に・印で示すように交流電源1の出力が図中に+、−で示す極性のときに二次巻線T21sの・印側に+の出力が発生する極性に定められている。
【0007】
同図において、アーク溶接負荷4に流れる電流は電流検出器CT11にて検出されて信号Ifとなり、出力電流設定器21の設定値Irと比較器22にて比較されて差信号ΔI=Ir−Ifが算出される。PWM制御回路23はこの差信号ΔIに応じて入力信号が減少する方向に出力パルス幅を調整して、スイッチング素子TR10に供給する。このPWM制御回路23の動作周波数(ON−OFFのくりかえし周波数)を商用交流電源1の周波数よりも十分に高く、10KHzないし数10KHzに設定しておく。また同図においてD10はスイッチング素子TR10に逆方向電圧が印加されることを防止するための保護用ダイオードであり、LF21はスイッチング素子TR10のON−OFF動作によって入力電流に含まれる高周波成分をバイパスするための高周波フィルタである。
【0008】
図2は図1の装置の動作を説明するための各部の波形を示す線図であり、同図(a)は商用交流電源1の電圧波形、(b)はPWM制御回路23の出力波形、(c)はスイッチング素子TR10を流れる電流波形、(d)は二次巻線T21sの誘起電圧波形、(e)はダイオードD21に流れる電流波形、(f)はダイオードD22に流れる電流波形、(g)はコンデンサC11の端子電圧波形、(h)は商用交流電源1からの流入電流波形をそれぞれ時間の経過とともに示してある。
【0009】
図2の線図を参照して図1の装置の動作を説明する。いま、商用交流電源1から一次巻線T21pの・印へ電流が流れ込む極性の半波(図中に+−で示した極性)T1の期間において、スイッチング素子TR10が導通すると、変圧器T21の一次巻線T21pに図2(C)に示すように交流電源1の電圧波形の瞬時値に比例した電流が整流回路REC21およびスイッチング素子TR10を通して流れる。この電流によって二次巻線T21sには図示の極性の電圧が変圧器T21の巻数比に応じて誘起されるが、定常動作の途中においてはコンデンサC11の端子電圧がこの誘起電圧より高く充電されているのでダイオードD22は逆バイアスの状態にあり、電流は流れない。(但し、スイッチング素子TR10がON−OFF動作を始める最初の半波においてはコンデンサC11には充電電荷がないのでスイッチング素子TR10の導通時にも二次巻線T21sおよびダイオードD22を通して電流が流れる。しかし商用交流電源の電圧波形の最初の半波の前半期間が経過するとコンデンサC11は入力電圧の波高値近くまで充電されるので以後はスイッチング素子TR10の導通期間中は二次巻線には電流が流れない。)このために、一次巻線T21pに流れた電流は変圧器T21に電磁エネルギーとして蓄えられる。次にTon期間の終りにスイッチング素子TR10が遮断すると、それまでに蓄えられた電磁エネルギーが二次巻線T21sを通じて放出され、図2(d)のように図1に示した極性と逆の極性の電圧を二次巻線に誘起し、ダイオードD21を通してコンデンサC11に図2(e)に示すようにそれまでに蓄積された電磁エネルギーの量に比例した電流が流れてこれを充電する。このときの誘起電圧は蓄積エネルギーの大小にかかわらず図2(d)に示すようにコンデンサC11の端子電圧を超える値にまで達する。このためにそのときの交流電源電圧の瞬時値にかかわらずコンデンサの充電が行なわれることになる。変圧器T21に蓄積された電磁エネルギーの放出が終る頃に遮断期間toffを終了させ、再びスイッチング素子TR10を導通させると変圧器T21には再び電磁エネルギーの蓄積が開始される。これらの動作をスイッチング素子TR10のON−OFF毎にくりかえして期間T1が終了し、逆の半波期間T2に入ると、スイッチング素子TR10の導通期間中に一次巻線T21pにはさきと逆方向の電流が流れ、スイッチング素子の遮断時にダイオードD22を通して導通期間中に蓄積された電磁エネルギーを放出して、コンデンサC11を充電する。
【0010】
コンデンサC11の端子電圧は直流リアクトルL21を通してアーク溶接負荷4に供給される。アーク溶接負荷4に流れる電流は電流検出器CT11によって検出信号Ifとなり、出力電流設定器21の設定値Irと比較器22にて比較されて差信号ΔI=Ir−Ifとなり、この差信号ΔIに応じた導通時間率となるようにPWM制御回路23が出力パルス幅を決定し、スイッチング素子TR10をON−OFF制御する。
【0011】
したがって、PWM制御回路23の出力周波数を商用交流電源1の周波数よりも十分に高く、例えば10KHzないし数10KHzの高周波としておけば、商用交流電源1からの入力電圧波形のすべての位相において、電力が供給されることになる。このとき、入力電流にはPWM制御回路の動作周波数の高周波成分を含むことになるが、入力側に小容量のコンデンサからなる高周波フィルタLF21を設けることにより、入力電流を平坦化することができ、図2(h)に示すように商用交流電源1の電圧位相に略一致した正弦波状の電流波形とすることができる。
【0012】
図1の装置において、変圧器T21はスイッチング素子TR10のON−OFF周波数に応じた高周波変圧器を用意すればよいので、その鉄心断面積は小さなものでよく、またスイッチング素子TR10が導通している期間中に流れる電流によって電磁エネルギーを蓄えるためにその磁路の途中に適宜空隙を設けると都合がよい。
【0013】
さらに本発明の装置においてはスイッチング素子TR10の導通期間中に変圧器T21に電磁エネルギーを蓄え、スイッチング素子TR10の遮断期間中にこれを放出してコンデンサC11に充電するものであるので、変圧器T21の鉄心がスイッチング素子TR10の1回のON−OFFにおいて磁束が完全にリセットされるようにスイッチング素子の導通時間率(ON−OFFの1周期におけるON期間の占める割合)が差信号ΔIの最大値に対しても50%以下になるようにPWM制御回路23を設計しておくことが望ましい。
【0014】
なお、図1の装置において、抵抗器R11は動作停止時にコンデンサC11に残留する電荷を放電するためのものであり、アーク溶接の終了時には動作停止と同時にアーク溶接負荷4が開放となるのが通常であるので、残留電荷を抵抗器R11を通して比較的短時間に放電することによって感電の危険性を防止する。ただし、コンデンサC11が完全に放電した状態からの起動にはコンデンサC11をフル充電するまでに若干の時間が必要であるので、アーク溶接の起動、停止をくりかえすような用途においては、この抵抗器によって急速に残留電荷を放出してしまうとアーク溶接停止後の再起動に不便である。そこで抵抗器R11の抵抗値としてはコンデンサC11の充電電荷を数秒程度の間に放電する値に選定しておくと、危険防止とともにアーク溶接停止直後の再起動が容易となる。また、第2図においてはPWM制御回路23の出力と商用交流電源1の電圧位相とが同期しているものについて説明したが、両者の位相は同期していなくても本発明の実施には特別問題はない。
【0015】
図3は本発明を3相交流電源に対して実施したときの形態の例を示した接続図である。同図において、3は3相商用交流電源、31は電力加工部であり、高周波フィルタLF31、一次巻線T31pとセンタータップ付二次巻線T31sを有する変圧器T31、同様に一次巻線T32p、T33pと二次巻線T32s、T33sをそれぞれ有する変圧器T32、T33、3相両波整流回路REC31、ダイオードD10およびダイオードD31ないしD36、スイッチング素子TR10、コンデンサC11、直流リアクトルL21、抵抗器R11、電流検出器CT11、出力電流設定器21、比較器22およびPWM制御回路23からなる。また変圧器T31ないしT33の一次巻線と二次巻線の極性は図中に・印の通りであり、これに対してダイオードD31ないしD36の極性が図示の通りに定められている。
【0016】
図3の装置において、ダイオードD31ないしD36はセンタータップ式両波整流回路を構成している。図中イ、ロ、ハのうちイ点が最高電位となる期間は商用交流電源3の1周期2πの間にπ/3あり、この期間にスイッチング素子TR10が導通すると変圧器T31p、両波整流回路REC31、スイッチング素子TR10、両波整流回路REC31、変圧器T32pとT33pの回路を電流が流れて各変圧器の二次巻線T31s、T32s、T33sにそれぞれ図示の極性の電圧が誘起される。この誘起電圧は、図1に示した実施例と同様に定常状態においては、コンデンサC11の端子電圧がこの誘起電圧よりも高く充電されているのでダイオードD32、D33、D35はすべて逆バイアスの状態にあり、電流は流れない。(但し、スイッチング素子TR10がON−OFF動作を始める最初の半波においてはコンデンサC11には充電されていないのでスイッチング素子TR10の導通時にも二次巻線T31sおよびダイオードD32を通して電流が流れる。しかし、商用周波の電圧波形の最初の半波の前半の期間が終了する頃にはコンデンサC11はこの波高値近くまで充電されるので以後はスイッチング素子TR10の導通期間中は二次巻線には電流が流れない。)このために、一次巻線T31p、T32p、T33pに流れた電流はそれぞれの変圧器に電磁エネルギーとして蓄えられる。次にスイッチング素子TR10が遮断すると、それまでに蓄えられた電磁エネルギーが二次巻線T31s、T32s、T33sを通じて放出され、図3に示した極性と逆の極性の電圧を二次巻線に誘起し、それぞれ順方向となるダイオードD31、D34、D36を通してコンデンサC11を充電する。このときの誘起電圧は蓄積エネルギーの大小にかかわらずコンデンサC11の端子電圧を超える値にまで達する。このためにその直前のスイッチング素子TR10の導通期間の交流電源電圧の瞬時値にかかわらず十分に高い電圧が誘起してコンデンサC11の充電が行なわれることになる。各変圧器に蓄積された電磁エネルギーの放出が終る頃に再びスイッチング素子TR10を導通させると変圧器T31ないしT33に再び電磁エネルギーの蓄積が開始される。このような動作を図3のイ点の電位がロ点およびハ点の各電位よりも高い期間中くりかえす。
【0017】
つぎに図のハ点が最低電位となるので変圧器T36と変圧器T31、T33が同様に動作し、つぎに図のロ点の電位が他の点よりも高くなって変圧器T33と変圧器T32、T36が同様の動作をする。さらに図のイ点が最も低い電圧になると変圧器T32と変圧器T33、T35が、ハ点が最高電位になる期間では、変圧器T35と変圧器T33、T34が、ロ点が最低電位となる期間では変圧器T34と変圧器T31、T35がそれぞれ上記と同様の動作をそれぞれ商用交流の電圧位相のπ/3の期間ずつくりかえして商用交流電源の1周期(2π)を終了する。
【0018】
図4は、本発明の別の実施の形態を示す接続図である。同図は、図1の実施例の二次巻線の出力を倍電圧整流回路にて整流するようにした例であり、T22pは変圧器T22の一次巻線、T22sは同二次巻線、D27、28はダイオード、C21、C21はコンデンサであり、同図のその他の要素は図図1の装置と同機能のものに同符号を付して説明を省略する。
【0019】
図4の装置において、交流電源1の電圧の極性が図示の通りのときにスイッチング素子TR10が導通すると変圧器T22の一次巻線T22pには交流電源1の電圧波高値に対応した電流が流れ、これによって二次巻線T22sには図示の極性の電圧が誘起される。定常動作中においてはコンデンサC21、C22の各端子電圧はこのときの誘起電圧よりも十分に高いので、ダイオードD28は逆バイアスされている。(ただし、動作開始直後においてはコンデンサC21、C22の電圧が低い期間があるのは図1の装置と同様である)またダイオードD27に対しては逆方向であるので、結局二次巻線T22sには電流は流れない。このため、スイッチング素子TR10が導通している期間中に一次巻線T22pに流れた電流はすべて変圧器T22に電磁エネルギーとして蓄積される。次にスイッチング素子TR10が遮断すると二次巻線T22sに図示と逆の極性の電圧が発生し、ダイオードD27を通してコンデンサC21に供給される。この電圧はスイッチング素子TR10が導通していた期間中に蓄えられた電磁エネルギーを放出するのに充分な高い電圧にまで達するのでコンデンサC21はこれによって充電される。変圧器T22に蓄積された電磁エネルギーの放出が終る頃に再びスイッチング素子TR10が導通し、以後交流電源1の電圧極性が図示の期間中上記の動作をくりかえす。
【0020】
次に交流電源1の電圧の極性が図示と逆になると二次巻線T22sにおける誘起電圧も逆の極性となり、スイッチング素子TR10が遮断したときにダイオードD28を通してコンデンサC22が充電される。
【0021】
コンデンサC21とC22とは直列に接続されており、この直列回路の両端から直流リアクトルL21を通してアーク溶接負荷4に電力が供給される。この出力電流は電流検出器CT11によって検出されて信号Ifとなり、出力電流設定器21の設定値Irと比較器22にて比較されて差信号ΔI=Ir−Ifが演算されてPWM制御回路23に入力される。PWM制御回路23はこの入力信号に対応した導通時間率となるように出力パルス幅を決定してスイッチング素子TR10をON−OFF制御する。この結果、溶接電流は出力電流設定器21にて設定された値に保たれることになる。
【0022】
図5は変圧器の二次巻線出力を倍電圧整流するようにした別の例を示す接続図である。同図において変圧器T23の二次巻線T23sにはコンデンサC23とダイオードD29とからなる直列回路が接続されており、一次巻線T23pと二次巻線T23sおよびダイオードD29とは図示の通りにその極性が定められている。また、ダイオードD29にはダイオードD30とコンデンサC24とからなる直列回路が接続されており、このコンデンサC24の両端から直流リアクトルL21を通してアーク溶接負荷4に電力が供給される。
【0023】
図5の装置において、交流電源1の出力電圧が図中に示す極性の期間中において、スイッチング素子TR10が導通すると、二次巻線T23sには図示の極性の電圧が発生する。この電圧はダイオードD29を通してコンデンサC23を図示の極性に充電することになるが、コンデンサC23にはそれ以前の動作によって充電された残留電荷が存在するのでスイッチング素子TR10の導通期間の極く初期の期間のみ充電され、残余の期間は全く充電されなくなるので二次巻線には電流は流れず、この間に一次巻線流れた電流に応じた電磁エネルギーが変圧器T23に蓄えられる。次にスイッチング素子TR10が遮断すると蓄積エネルギーによって二次巻線T23sに図示と逆の極性の電圧が誘起され、この誘起電圧とコンデンサC23の端子電圧との和の電圧によってダイオードD30を通してコンデンサC24が充電される。
【0024】
図5の装置においても溶接電流は出力電流検出器CT11によって検出されて出力電流設定器21の設定値との差が比較器22にて演算されて差信号によってPWM制御回路23がその出力パルスのパルス幅を決定して、スイッチング素子TR10の導通時間を決定して、溶接電流が設定値に倣うように制御される。
【0025】
また、図5の装置において商用交流電源3からの入力電流は高周波フィルタLF31にて平坦化されて電源電圧位相と同相の略正弦波電流となる。
【0026】
上記各実施例においては、出力電流を電流検出器によって検出してこれを出力電流設定器の設定値と比較して、差信号が減少する方向にスイッチング素子TR10の導通時間率を変化させる方式のものを示したが、本発明はこれに限らず出力電圧を検出してこれを設定値と比較して、差が減少するようにスイッチング素子の導通時間率を制御して定電圧特性の装置を得るものにも本発明は適用できる。
【0027】
さらにまた、出力電流と出力電圧とを設定し、これらの設定値と検出値とを比較し、両方の差信号に夫々係数を乗じて加算し、この加算値に応じてスイッチング素子の導通時間率を制御するようにして、所望の電圧・電流特性の装置を得るようにしてもよい。この場合、出力電圧設定値Vrと電圧検出器の検出値Vfとの差ΔVと、出力電流設定値Irと電流検出値Ifとの差ΔIと、これらに係数a及びbを乗じて合成信号Δs=a・ΔV+b・ΔI(ただし、0≦a≦1、0≦b≦1で、かつa+b=1)をPWM制御回路の入力信号とすればよい。ここでa=0なら出力電流だけが比較されて定電流特性となり、逆にb=0とすれば出力電圧だけが比較されて定電圧特性となる。係数aおよびbが0と1との間にあるときは出力電流の変化に対して出力電圧が傾きV/I=b/aの傾斜特性の電源装置とすることができる。
【0028】
また、上記各実施例においては、スイッチング素子の制御方法としてはその動作周波数を一定にしてその1周期内における導通時間の割合を変化させるPWM制御方式のものについて説明したが、本発明はこれに限らず、スイッチング素子の1回の導通時間の長さは一定とし、くりかえし周波数を誤差信号に応じて変化させるPFM制御(パルス周波数制御)方式のものにも本発明は適用できる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、上記の通り商用交流電源からの入力電流が入力電圧波形と同相でかつ略同波形となるので、過大な入力電圧降下を発生させることがなく、商用交流電源回路の過負荷防止用の遮断器を誤動作させたり、波形歪のために同一電源に接続されている他の機器を誤動作させることもない。また力率も1に近くなるので無効電力の発生がなく、高力率の直流アーク溶接用電源装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す接続図。
【図2】図1の装置の動作を説明するための線図。
【図3】本発明の別の実施の形態を示す接続図。
【図4】本発明の別の実施の形態を示す接続図。
【図5】本発明の別の実施の形態を示す接続図。
【図6】従来の装置の例を示す接続図。
【図7】図6の装置の動作を説明するための接続図。
【符号の説明】
1、3 商用交流電源
4 アーク溶接負荷
4a 電極
4b 被溶接物
20、31 電力加工部
21 出力電流設定器
22 比較器
23 PWM制御回路
REC21、REC31 両波整流回路
T21p、T22p、T23p 変圧器一次巻線
T31p、T32p、T33p 変圧器一次巻線
T21s、T22s、T23s 変圧器二次巻線
T31s、T32s、T33s 変圧器二次巻線
TR10 スイッチング素子
D10、D21、D22、D27〜D36 ダイオード
C11、C21〜C24 コンデンサ
L21 直流リアクトル
LF21、LF31 高周波フィルタ
R11 抵抗器
Claims (1)
- 商用交流電源に接続された変圧器の一次巻線と両波整流回路とからなる直列回路と、前記両波整流回路の出力を短絡し前記短絡中に前記変圧器の一次巻線に電流を通電し電磁エネルギーを蓄積させるスイッチング素子と、前記スイッチング素子が遮断中に前記蓄積された電磁エネルギーを二次巻線から放電するセンタータップ付変圧器と、前記商用交流電源の半周期に前記二次巻線から第1のダイオードを介し電流を通電すると共に次の半周期で第2のダイオードを介して電流を通電し前記電流を両波整流するセンタータップ付両波整流回路と、前記両波整流された電流を充電するするコンデンサと、前記コンデンサからの電流を平滑して出力する直流リアクトルと、予め定めた出力電流設定値を設定する出力電流設定器と、前記直流リアクトルからの出力電流と前記出力電流設定値とが略同一になるように前記スイッチング素子のパルス幅を制御するPWM制御回路と、を備えたことを特徴とする直流アーク加工用電源装置。
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JPH1133720A JPH1133720A (ja) | 1999-02-09 |
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1997
- 1997-07-23 JP JP21405697A patent/JP4080574B2/ja not_active Expired - Fee Related
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