特許文献1〜3に開示された構成では、光ディスクと対物レンズとの接触を防ぐことができるが、このような光ピックアップ装置のアクチュエーターに上記した保護カバーを設置した場合、光ディスクと保護カバーのコーナーエッジとが衝突し、光ディスク内の情報が失われるという問題が生じる。近年、薄型のノートパソコンに光ディスクへの書き込み機能を搭載したものが広く普及しつつあるが、一般に市販されている光ディスクには面振れが大きいものがあるため、情報記録が可能な光ピックアップ装置では特に上述したアクチュエーターカバーと光ディスクとの衝突の問題が起こりやすい。
以下に、アクチュエーターカバーと光ディスクとの衝突を、光ピックアップ装置の構成側面図を示す図9及び図10を用いて説明する。
図9は光ディスクが面振れをおこしていない通常状態を示している。光ピックアップ装置では、光ディスクDの記録面に対向して対物レンズ91が配されている。対物レンズ91はレンズホルダー92に支持されており、レンズホルダー92は、常に対物レンズ91の焦点が光ディスクDに対して最適な位置を保つようにフォーカス方向に上下運動している。これにより、ディスクDの情報を読み取るまたは書き込むことができる。
レンズホルダー92における対物レンズ91の周縁部には、レンズプロテクタ93が設けられている。レンズプロテクタ93は、対物レンズ91よりも光ディスクD側に突出しており、読み込みエラーが生じた場合や外部からの急激な衝撃を受けた場合に、対物レンズ91が光ディスクDに衝突することを防ぐ。これにより、対物レンズ91及び光ディスクDが傷つくのを防止することができる。
そして、レンズ駆動部分の汚染を防ぐために、対物レンズ1およびレンズホルダー2を含むレンズ駆動部全体を囲むように、アクチュエーターカバー94が配置されている。
図10は、図9の状態で、光ディスクDの外周側の情報を読み込み又は記録している時に、光ディスクDが面振れをおこした場合を示している。ここで、光ディスクDの面振れは光ディスクDの中心を基点として起こるため、内周側に比べて外周側の振れ幅が大きくなり、光ディスクDと、アクチュエーターカバー94との間のクリアランスは外周ほど小さくなる。そして、このクリアランスが小さい部分では特に振動・衝撃等の外部要因等によって、光ディスクDの衝突が起こりやすくなる。
このような、光ディスクDの面振れを原因とする衝突では、光ディスクDの記録面に対向する部材のうちの光ディスクDの最外周部分が衝突部位となるので、アクチュエーターカバー94の光ディスクD外周側で衝突が起こる。このような、対物レンズ91から離れた箇所での衝突は、対物レンズ91の周囲に設けられたレンズプロテクタ93では防げない。したがって、従来の技術では、光ディスクD表面が傷つき、最悪の場合には、その部分の情報を得る事ができなくなるという事態を防ぐことができない。
なお、アクチュエーターカバー94を光ディスクDが衝突しない程度に、十分にクリアランスを取って配置すれば、この衝突を防げるが、ノートパソコン等に搭載される薄型光ピックアップ装置では、クリアランスを十分に確保できない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光ディスクへ傷をつけることなく、情報の記録、再生、または消去ができる光ピックアップ装置を実現することにある。
本発明の光ピックアップ装置は、上記課題を解決するために、レーザー光を用いて光情報記録媒体の情報の再生、消去または記録を行う光ピックアップ装置において、レーザー光を光ディスク表面に集光させる対物レンズと、上記対物レンズを保持し、フォーカス方向へ移動させるレンズ駆動部と、光ディスク装着時に、上記レンズ駆動部と光ディスクとの間に配置される保護カバーと、を有し、上記保護カバーが、当該保護カバーの光ディスクと対向する面に、光ディスクと保護カバーとの衝突を防ぐための凸形状を有する金属からなるとともに、上記凸形状は、上記金属における凸形状形成箇所の裏側から上記金属を押し出すことにより形成されている事を特徴としている。
光ピックアップ装置に光ディスクを装着して情報を記録または再生するときには、光ディスクは回転しながらレーザー光を照射される。このとき、光ディスクが面振れしていると、部分的に光ディスクとそれに対向する保護カバーとの間隔が狭まり、さらにこの状態で振動や衝撃が与えられると、光ディスクと保護カバーとが衝突する。
しかし、本発明では、保護カバーの光ディスクと対向する面に凸形状が形成されているので、面振れの大きい光ディスクの情報を記録または再生しているときに振動や衝撃があったとしても、光ディスクは保護カバーのコーナーや面に衝突する前に凸形状に接触する。したがって、光ディスクが保護カバーに衝突することが防がれ、光ディスクに傷がついて、情報が失われることが防がれる。
また、本発明の光ピックアップ装置は、上記凸形状が、半球面形状であることを特徴としている。これにより、凸形状の光ディスクと接触する面が曲面となるので、接触時の光ディスクへのダメージをより小さくできる。
また、本発明の光ピックアップ装置は、上記凸形状が、上記保護カバーにおける、対物レンズに対向する部分より、光ディスク外周側に設けられていることを特徴としている。
なお、ここで言う「対物レンズに対向する部分より、光ディスク外周側」とは、対物レンズと光ディスクの中心との距離を基準として、これよりも光ディスク中心から遠い距離にある部分を指す。
光ディスクの面振れは、光ディスクの外周側に行くほど振り幅が大きくなり、光ディスクとの間隔が狭まっていくので、光ディスクと保護カバーとの接触は、光ディスク半径方向の線上における、両者が対向する部分の光ディスク最外周側の部分(最も光ディスク中心から離れた箇所)で起こる。この接触位置は、保護カバーと光ディスクとの位置関係により変化するが、対物レンズは光ディスクの半径内で移動するだけなので、接触位置が対物レンズよりも光ディスク内周側となることはない。したがって、凸形状の形成領域は、光ディスクとの衝突の可能性のある対物レンズより光ディスク外周側とすればよい。
また、本発明の光ピックアップ装置は、上記凸形状が、上記保護カバーにおける、光ディスクの端部と対向する領域の少なくとも一部に設けられていることを特徴としている。
ここで、「光ディスクの端部と対向する領域」は、光ディスクあるいは保護カバーを移動させながら作動させる場合は、すべての位置についての光ディスクの端部と対向する部分を含んだ領域である。
上述したように、光ディスクと保護カバーとの接触は両者が対向する部分での光ディスク最外周側で起こる。したがって、接触位置は、保護カバーが光ディスクよりもディスク外周側にはみ出している場合には光ディスクの端部に対向する位置となる。よって、凸形状を光ディスクの端部に対向する位置に設けることで、光ディスクと保護カバーとの衝突を防ぐことができる。
一方、光ディスクが保護カバーよりもディスク外周側にはみ出している場合には、保護カバーのディスク外周側の端部で光ディスクと接触することになるが、「光ディスクの端部に対向する領域」には保護カバーの光ディスク外周側の端部も含まれているので、この場合も光ディスクと保護カバーとの衝突を防ぐことができる。
また、本発明の光ピックアップ装置は、上記凸形状が、少なくとも上記保護カバーにおける、光ディスクの中心から一番離れた箇所に形成されていることを特徴としている。
凸形状は、光ディスクと保護カバーとの衝突の可能性のある箇所に設ければよいが、凸形状の製造コストの面からは最小限の範囲にて形成することが好ましい。そこで、最も効率よく衝突を防ぐ凸形状の形成領域を選んで形成すればよい。
ここで、光ディスクが保護カバーよりもディスク外周側にはみ出している場合には、保護カバーの光ディスク外周側の端部で光ディスクと衝突することとなる。よって、保護カバーにおける、光ディスクの中心から一番離れた箇所に凸形状を設けることで、この場合の衝突をすべて防ぐことができ、衝突が効率的に防がれる。
また、本発明の光ピックアップ装置は、上記保護カバーが光ディスクの半径方向に延びた面を有する方形であり、上記凸形状が、上記保護カバーにおける、ディスク外周側の角部の2箇所と、対物レンズの中心をとおるディスク半径方向の線上の、対物レンズに最も近い光ディスク外周側の1箇所と、に設けられていることを特徴としている。
効率よく衝突を防ぐ凸形状の形成領域としてはこの3箇所が好ましい。すなわち、光ディスクが保護カバーよりもディスク外周側にはみ出している場合には、保護カバーの光ディスク外周側の端部で光ディスクと衝突することとなり、保護カバーが光ディスクよりもディスク外周側にはみ出すように位置がずれていくにつれて、その保護カバー側の接触位置が徐々にディスク内周側へとずれていく。この接触の際、光ディスク最外周部が、保護カバーのディスク外周側の角部の2箇所に最も早く接触する(保護カバー形状によってどちらの角部に先に接触するかは変わる)。よって、この角部に2つの凸形状を設ければ、衝突を防ぐことができる。したがって、保護カバーの他の箇所に凸形状が形成されていなくても、衝突は概ね防がれ、小さな凸形状で効率よく衝突を防げる。
また、衝突位置が、上記2箇所の凸形状で衝突を防ぐことができない程度に、保護カバーにおけるよりディスク内周側にある場合は、対物レンズに最も近い1箇所の凸形状にて衝突を防ぐ。この衝突では、光ディスク外周部の全体が保護カバーに対向しているので、1個所に凸形状を設けるだけで、衝突防止の機能を果す。また、この凸形状を対物レンズに最も近い位置に配置する事で、対物レンズがディスクに衝突する可能性を軽減する事が可能であると共に、読み込み・書き込みの直ぐ近傍のディスク面振れを抑制する事が可能となる。
また、本発明の光ピックアップ装置は、常に、装着された光ディスクと上記凸形状の少なくとも一部とが対向するように、上記凸形状が配置されていることを特徴としている。
これによれば、光ディスクと保護カバーとの位置関係が変化しても、常に少なくとも一部の凸形状が光ディスクと対向しているので、光ディスクと保護カバーとの位置関係に関わらず光ディスクと保護カバーとの衝突を防ぐことができる。
また、参考形態の光ピックアップ装置は、レーザー光を用いて光情報記録媒体の情報の再生、消去または記録を行う光ピックアップ装置において、レーザー光を光ディスク表面に集光させる対物レンズと、上記対物レンズを保持し、フォーカス方向へ移動させるレンズ駆動部と、光ディスク装着時に、上記レンズ駆動部と光ディスクとの間に配置される保護カバーと、を有し、上記保護カバーが、当該保護カバーの光ディスクと対向する面に、光ディスクと保護カバーとの衝突を防ぐための凸形状を有しており、上記凸形状が、別に製造された凸部材を保護カバーに取り付けることにより形成されていることを特徴としている。これによれば、凸形状を任意の材料にて製造できるので、衝突により光ディスクに最も影響を与えにくい材料を選定することが可能となる。
また、参考形態の光ピックアップ装置は、別に製造された凸部材が、アウトサート成型にて保護カバーに取り付けられていることを特徴としている。これにより、組立工程を増やすことなく、凸形状を製造できる。
また、参考形態の光ピックアップ装置は、レーザー光を用いて光情報記録媒体の情報の再生、消去または記録を行う光ピックアップ装置において、レーザー光を光ディスク表面に集光させる対物レンズと、上記対物レンズを保持し、フォーカス方向へ移動させるレンズ駆動部と、光ディスク装着時に、上記レンズ駆動部と光ディスクとの間に配置される保護カバーと、を有し、上記保護カバーが、当該保護カバーの光ディスクと対向する面に、光ディスクと保護カバーとの衝突を防ぐための凸形状を有しており、上記凸形状が、保護カバーに1液性ゴム材を塗布して硬化させることにより形成されていることを特徴としている。これにより、新規に部品及び金型を作成することなく、衝突時に光ディスクに影響を与えない材料にて凸形状を形成できる。
また、参考形態の光ピックアップ装置は、上記保護カバーにおける凸形状設置位置に凹部が形成されており、上記凸形状が、上記凹部に1液性ゴム材を塗布して硬化させることにより形成されていることを特徴としている。これにより、簡単に、精密に位置合わせして凸形状を形成することができる。
また、参考形態の光ピックアップ装置は、上記課題を解決するために、上記凸形状が、塗布ガイド治具を用いて塗布位置を制御しながら保護カバーに塗布された、1液性ゴム材を硬化させることにより形成されたことを特徴としている。これにより、簡単に、精密に位置合わせして凸形状を形成することができる。
また、参考形態の光ピックアップ装置は、上記課題を解決するために、上記凸形状が、高さ規制治具を用いて塗布高さを制御された1液性ゴム材を硬化させることにより形成されたことを特徴としている。これにより、簡単に、任意の高さの凸形状を形成できる。
以上のように、本発明の光ピックアップ装置は、対物レンズと、レンズ駆動部と、保護カバーと、を有し、上記保護カバーが、当該保護カバーの光ディスクと対向する面に、光ディスクと保護カバーとの衝突を防ぐための凸形状を有する金属からなるとともに、上記凸形状は、上記金属における凸形状形成箇所の裏側から上記金属を押し出すことにより形成されている。
それゆえ、面振れの大きい光ディスクの情報を記録または再生しているときに振動や衝撃があったとしても、光ディスクは保護カバーのコーナーや面に衝突する前に凸形状に接触するので、光ディスクが保護カバーに衝突することにより傷がついて、光ディスクの情報が失われることが防がれるという効果を奏する。
〔実施の形態〕
本発明の一実施形態について図1ないし図3に基づいて説明すると以下の通りである。
図1は、本発明のアクチュエーター近傍の側面断面構成図である。光ピックアップ装置は、光源(図示せず)、対物レンズ1、レンズホルダー(レンズ駆動部)2、アクチュエーター(レンズ駆動部)6、レンズプロテクタ3、アクチュエーターカバー(保護カバー)4、カバープロテクタ(凸形状)5、からなり、装着された光ディスクDの情報の読み込み、書き込み、または消去を行う。なお、以下で、レンズホルダー2、アクチュエーター6を含む対物レンズ1の駆動に関わる機構全体をさしてレンズ駆動部と称している。
光源は、光ディスクDの情報の読み取り、書き込みを行うためのレーザー光を発するものである。対物レンズ1は、光ディスクDの記録面に対向して配されており、光源からの光を光ディスクDに集光させる。レンズホルダー2は対物レンズ1を保持しており、フォーカス方向Fに移動することで、対物レンズ1を動かしている。アクチュエーター6は、対物レンズ1の焦点が常に光ディスクDの記録面に合うように、レンズホルダー2を最適な位置に保つ。レンズプロテクタ3は、レンズホルダー2における対物レンズ1の周縁部に、対物レンズ1よりも光ディスクD側に突出して形成されており、対物レンズ1と光ディスクDとの衝突を防ぐ。
そして、アクチュエーターカバー4は、レンズホルダー2、アクチュエーター6を含むレンズ駆動部全体を囲むように筐体に設置され、対物レンズ1裏側やアクチュエーター6への埃の進入や使用者の手との接触を防いでいる。但し、対物レンズ1(レンズ駆動部全体)は上下左右に位置調整されながら読み取り、書き込みを行うので、アクチュエーターカバー4には、この位置調整を阻害しないようにレンズ保持部分よりも大き目の開口41を設けている。カバープロテクタ5は、アクチュエーターカバー4の光ディスクDとの対向面における、対物レンズ1よりも光ディスクD外周側(以下、単に「外周側」あるいは「内周側」という)の端部に設けられており、光ディスクDが面振れした場合に、アクチュエーターカバー4と衝突することを防ぐ。なお、光ディスク外周側とは、光ディスクD中心からの距離がより遠い部分であり、光ディスク内周側とはより近い部分である)。
なお、この光ピックアップ装置は、対物レンズ1のディスク半径方向への移動はなく、光ディスクDをその半径方向に移動させることで、読み取り(書き込み)位置を変えているものとして説明している。
次に、ディスクDが面振れした場合に、カバープロテクタ5により、ディスクDとアクチュエーターカバー4との衝突を防ぐ機構について、詳しく説明する。
本来、アクチュエーターカバー4と光ディスクDとは、衝突しないようなクリアランス(間隔)を確保した位置に配置されている。しかし、光ピックアップ装置が光ディスクDの外周部を読み込み、または書き込みしているときに、光ディスクDが面振れ、すなわち、光ディスクDの回転軸(光ディスクDの中心)を支点として面と垂直方向に振れながら回転すると、外周部分で十分なクリアランスが確保できなくなり、振動・衝撃等の外部要因によって光ディスクDとアクチュエーターカバー4とが衝突する。
このとき、面振れの軸は光ディスクDの中心であるので、図1に示すように、面振れは光ディスクDの内周側よりも外周側で振れ幅が大きくなり、クリアランスは光ディスクDの外周にいくほど小さくなる。したがって、光ディスクDとアクチュエーターカバー4との衝突は両者の一番外周側の対向面となる。より詳しくは、ディスクDは、情報の読み込みまたは書き込みの位置にしたがって、ディスク半径方向(R方向)に移動しており、アクチュエーターカバー4が、光ディスクDの端部より内周側にある場合は、アクチュエーターカバー4の外周側端部で衝突が起こる。そして、アクチュエーターカバー4が、光ディスクDの端部より外周側にはみ出している場合は、光ディスクDの端部で衝突が起こる。
よって、カバープロテクタ5は、衝突の可能性のある、アクチュエーターカバー4の外周側端部と、光ディスクDの端部と対向する領域に設置すればよい。このとき、対物レンズ1がディスク面より外側に位置することはないので、光ディスクDの端部は、必ずアクチュエーターカバー4における対物レンズ1より外周側に対向する。したがって、プロテクタの設置場所は、アクチュエーターカバー4における、対物レンズと対向する位置より、光ディスク外周側とすればよい。
また、アクチュエーターカバー4の外周側の端部は、光ディスクDの端部がアクチュエーターカバー4の外周側端部に対向している場合の、光ディスクDの端部と対向する領域にあたるので、カバープロテクタ5は、上記アクチュエーターカバー4における、光ディスクDの端部と対向する領域に設置すればよい、と言うこともできる。
具体的なカバープロテクタ5の設置位置としては、図2に示すように、アクチュエーターカバー4の最も外周側、つまり、光ディスクの中心から一番離れている2つの箇所(図2では、アクチュエーターカバー4がディスクDの半径方向Rとほぼ平行な方形であるので、外周側の角部)に設置したプロテクタ5a,5cが挙げられる。加えて、ディスク外周側であって対物レンズに最も近い、対物レンズ1中心を通るR方向の線上に設置したプロテクタ5bを設置することが好ましい。
ここで、カバープロテクタ5の配置は、光ディスクDは、R方向に内周、外周へと移動する間、常に配置したプロテクタ3つのうち何れかがディスク下面に配置されていることが好ましい。これにより、光ディスクDがどのような位置にあっても、何れかのカバープロテクタ5により衝突を妨げられる。すなわち、光ディスクDが、D2より外側にある場合には、プロテクタ5aあるいは5cで、光ディスクDの情報領域中央とアクチュエーター4の外周側端部との衝突を防ぐ。そして、光ディスクDが、D1とD2との間にある場合には、プロテクタ5aあるいは5cで、光ディスクD端部とアクチュエーター4の外周側端部あるいは中央部との衝突を防ぐ。また、光ディスクDが、D1より内側にある場合には、プロテクタ5bで光ディスクDの端部とアクチュエーター4の中央部表面との衝突を防ぐ。
ここで、5a,5cは、R方向に長く形成する事で、D1とD2との間が拡がり、プロテクタ5aあるいは5cで、より広範囲に位置する光ディスクD端部と、アクチュエーター4との衝突を防ぐことができる。
また、面振れでは、光ディスクDが上下しながら回転している為に、光ディスクDの上下振幅の周期によって、アクチュエーターカバー4上での光ディスクDが最下位置となる箇所が変化し、予測できない。しかし、少なくともアクチュエーターカバー4の最も外周側となる箇所2箇にカバープロテクタ5を設けることで、衝突が予想される箇所の近くにカバープロテクタ5が形成されることとなるので、設けることが好ましい。
なお、プロテクタ5の設置範囲は、上記した設置位置を含んでいれば特に制限されるものではなく、例えば、アクチュエーターカバー4表面における光ディスクDと衝突する可能性のある箇所全域に設置しても良い。しかし、カバープロテクタ5の製造コストの面からは、設置範囲を最小限にすることが好ましく、上記したカバープロテクタ5a,b,cのように設置することが好ましい。あるいは、カバープロテクタ5a,5bのR方向の長さを十分長くする(例えば、対物レンズ1に最も接近する位置まで伸ばす)ことで、2つのカバープロテクタ5a,bだけで衝突を防ぐ構成としても良い。
また、カバープロテクタ5の形状は特に限定されるものではないが、半球面形状となるように、すなわち、表面が曲面となるように形成することで、衝突を良好に和らげることができる。また、カバープロテクタ5の高さは、使用する材質の硬度や、対物レンズがディスクに何処まで近づくか、アクチュエーターカバーの配置位置等の要因に応じて、最適に設定すればよい。
また、カバープロテクタ5の材料としては、十分な強度を有し、カバープロテクタ5が光ディスクDと衝突しても光ディスクDを傷つけない素材であれば特に限定されるものではない。つまり、カバープロテクタ5の硬度は、光ディスクDに傷を与えないためには出来るだけ柔らかくすることが好ましいがが、柔らかすぎた場合には、カバープロテクタ5が光ディスクDに衝突する事で、プロテクタが削れて、ディスク表面に付着してしまう為に、最適な材質を選定する必要がある。
次に、アクチュエーターカバー4にカバープロテクタ5を形成する方法について説明する。
カバープロテクタ5は、図3のように、アクチュエーターカバー4における上記したプロテクタ5形成箇所の裏側(光ディスクDと対向しない側の面)から、例えばハーフパンチで押し出して凹ませることにより、アクチュエーターカバー4を表側(光ディスクDと対向する面)へ持ち上げ、凸形状を設けても良い。
この場合、カバープロテクタ5はアクチュエーターカバー4と同じ素材となり、金属などの比較的硬度の高い素材となるが、プロテクタ5の表面は曲面となるように形成すれば、光ディスクDとの接触によっても、傷はつかない。また、アクチュエーターカバー4およびカバープロテクタ5の材料はステンレス等のサビない金属を用いることが好ましい。
なお、光ディスクDへの衝撃をより一層和らげるためには、アクチュエーターカバー4の凸形状に、弾性を有する層(例えばゴム材)を設けても良い。
〔参考の形態1〕
次に、本発明の参考の形態について、図4を用いて説明する。
なお、本参考の形態は、アクチュエーターカバーにプロテクタを形成する方法以外は、実施の形態と同じである。
本参考の形態におけるアクチュエーターカバー44にプロテクタを形成する方法としては、まず、ゴム材やプラスチックの材料により、図4に示すように、半球状の凸部45aと、球面の反対側から釘状に突き出た柱部45bと、柱部45bの凸部45aとは反対側の端に設けられた柱部45bより太い留め部45cとからなるプロテクタ部品(凸部材)45を製造する。一方、アクチュエーターカバー44は、実施の形態のアクチュエーターカバー4において、プロテクタ設置位置に、凸形状の代わりに孔部44bを設けたものである。この孔部44bの大きさは柱部45bの太さにほぼ等しい。
そして、プロテクタ部品45の柱部45bを孔部44bにはめ込むことで、アクチュエーターカバー44にカバープロテクタとしての凸部45aが形成できる。
この方法によれば、プロテクタ部品45を任意の材料にて製造できるので、衝突により光ディスクDに最も影響を与えにくい材料を選定することが可能となる。なお、この方法に使用できるプロテクタ部品45の材料としては、他にエラストマなどがある。
〔参考の形態2〕
次に、本発明の他の参考の形態について、図5を用いて説明する。
なお、本参考の形態は、アクチュエーターカバーにカバープロテクタを形成する方法以外は、実施の形態と同じである。
本参考の形態におけるアクチュエーターカバー54にカバープロテクタ55を形成する方法としては、アクチュエーターカバー54を成型金型に取付け、アクチュエーターカバー54上にプラスチックを形成してカバープロテクタ55とする、アウトサート成型がある。
このように、カバープロテクタ55をアウトサート成型にてアクチュエーターカバー54と一体化することで、組立工程を増やすことなく、衝突時に光ディスクDに最も影響を与えない材料を選定してカバープロテクタ55を製造できる。この方法に使用できるカバープロテクタ55の材料としては、他に金属材料であってもよい。
〔参考の形態3〕
次に、本発明の他の参考の形態について、図6を用いて説明する。
なお、本参考の形態は、アクチュエーターカバーにカバープロテクタを形成する方法以外は、実施の形態と同じである。
本参考の形態におけるアクチュエーターカバー64にカバープロテクタ65を形成する方法としては、まず、アクチュエーターカバー64におけるプロテクタ形成位置に、カバープロテクタ65の底面と同じ形状の凹部64aを設ける。そして、この凹部64aに、プロテクタ65の材料である液状のRTV(room temperature vulcanizing)ゴム等を、アクチュエーターカバー64から突出するように塗布し、そのあと硬化させる。これにより、硬化した材料がカバープロテクタ65となる。
このように、1液状のゴム材を硬化させてプロテクタ65を形成することで、新規に部品及び金型を作成することなく、衝突時に光ディスクDに影響を与えない材料にて、精密に位置あわせされたプロテクタ65を形成でき、ディスクの傷つきを防ぐ事ができる。この方法に使用できるカバープロテクタ65の材料としては、他にエポキシ系接着剤や、アクリル系接着剤などがある。
〔参考の形態4〕
次に、本発明の他の参考の形態について、図7を用いて説明する。
なお、本参考の形態は、アクチュエーターカバーにプロテクタを形成する方法以外は、実施の形態と同じである。
本参考の形態におけるアクチュエーターカバー74にプロテクタ75を形成する方法としては、まず、アクチュエーターカバー74におけるプロテクタ形成位置に、プロテクタ75の底面と同じ形状にくりぬかれた塗布ガイド治具76を形成する。なお、塗布ガイド治具76は、液状ゴムが精密にプロテクタ形成位置に塗布されるようにガイドする部材である。そして、塗布ガイド治具76のくりぬかれた部分において、アクチュエーターカバー74表面に対して、プロテクタ75の材料である液状のRTVゴム等を塗布し、そのあと硬化させる。これにより、硬化した材料がプロテクタ75となる。プロテクタ75形成後には、塗布ガイド治具76を除去する。
このように、1液状のゴム材を硬化させてプロテクタ75を形成することで、新規に部品及び金型を作成することなく、衝突時に光ディスクDに影響を与えない材料にて精密に位置あわせされたプロテクタ75を形成でき、ディスクの傷つきを防ぐ事ができる。この方法に使用できるカバープロテクタ75の材料としては、他にエポキシ系接着剤や、アクリル系接着剤などがある。
〔参考の形態5〕
次に、本発明の他の参考の形態について、図8を用いて説明する。
なお、本参考の形態は、アクチュエーターカバーにプロテクタを形成する方法以外は、実施の形態と同じである。
本参考の形態におけるアクチュエーターカバー84にプロテクタ85を形成する方法としては、まず、アクチュエーターカバー84におけるプロテクタ形成位置に、位置あわせしてプロテクタ85の材料である液状のRTVゴム等を塗布する。そして、この液状ゴムに対し、上からプロテクタ85の半球状形状の鋳型である高さ規制治具86を押圧することで液状ゴムを鋳型の形状に高さ規制し、このまま硬化させる。これにより、硬化した材料がプロテクタ85となる。プロテクタ85形成後には、高さ規制治具86を取り外す。
なお、プロテクタ85の位置合わせについては、RTVゴムを塗布する際に、治具を用いて、任意の位置に、アクチュエーターカバー84及びゴム塗布機を保持する事で行われる。また、塗布後は高さ規制治具86に合わせてアクチュエーターカバー84の位置を決めた後に、高さ規制治具86を押圧する必要がある。
このように、1液状のゴム材を硬化させてプロテクタ85を形成することで、衝突時に光ディスクDに影響を与えない材料にて、任意の形状のプロテクタ85を形成でき、ディスクの傷つきを防ぐ事が可能となるものである。この方法に使用できるカバープロテクタ85の材料としては、他にエポキシ系接着剤や、アクリル系接着剤などがある。
なお、上述の説明では、対物レンズ1が固定されており、光ディスクDを半径方向Rに動かして、レーザー光の照射位置を変える場合について説明したが、これに限るものではなく、光ディスクDを固定しながら回転させて、対物レンズ1を含む光ピックアップ装置を動かしてレーザー光の照射位置を変えてもよい。この場合の光ディスクDと対物レンズ1との位置関係は、対物レンズ1が固定されている場合と同様なので、カバープロテクタの好ましい設置位置は同じである。
また、上述の説明では、アクチュエーターカバーは、筐体に固定されてものとして説明しているが、これに限られるものではなく、アクチュエーターカバーがアクチュエーターの基台等に設置されたものであってもよい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本発明は、レーザー光を用いて、光ディスクまたは光磁気ディスク等の情報記録媒体に対して、その情報の再生、消去及び記録のうちのいずれかが可能である光ピックアップ装置において対物レンズを上下に可動させている部分の保護カバー(アクチュエーターカバー)にディスク傷付き防止用の凸形状を設けていることを特徴とする第1の装置。
第1の光学装置において、アクチュエーターカバー上に設けるディスク傷つき防止用の凸を半球面形状にすることを特徴とする第2の装置。
第1の光学装置において、アクチュエーターカバーに別ピースにてディスク傷つき防止用プロテクタを取り付けることを特徴とする第3の装置。
第3の光学装置において、別ピースのディスク傷つき防止プロテクタをアウトサート成型にて構成する事を特徴とする装置。
第2の光学装置において、アクチュエーターカバー上に1液性ゴム材を塗布して、ディスク傷つき防止プロテクタを構成させる事を特徴とする第4の装置。
第4の光学装置において、アクチュエーターカバー上に塗布する1液性ゴム材のディスク傷つき防止プロテクタの位置精度を安定させる為に、アクチュエーターカバー上に凹部を設ける事を特徴とする装置。
第4の光学装置において、アクチュエーターカバー上に塗布する1液性ゴム材のディスク傷つき防止プロテクタの位置精度を安定させる為に、塗布ガイド治具を用いてプロテクタの位置精度を安定させる事を特徴とする装置。
第4の光学装置において、アクチュエーターカバー上に塗布する1液性ゴム材の硬化時に治具にて高さ規制して、プロテクタ高さ寸法を安定させることを特徴とする装置。
上記の光学装置において、ディスク傷つき防止用のプロテクタをディスク外周側3箇所に設ける事を特徴とする。
本発明は、光ピックアップ装置において光ディスクとレンズ駆動部の保護カバーとの衝突を防ぐ構成を有している。したがって、特にノートパソコン等に用いられる光ディスクとレンズ駆動部との間隔が狭くなる薄型の光ピックアップ装置に好ましく用いられる。また、書き込み可能な光ディスクは面振れが多いことから、光ディスクに情報を書き込む機能を有する光ピックアップ装置にも好ましく用いられる。