JP4080172B2 - インクジェット記録材料およびインクジェット記録用インク - Google Patents

インクジェット記録材料およびインクジェット記録用インク Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録材料およびインクジェット記録用インクに関し、更に詳しくは、フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性に優れ、かつ印字後の保存性が改良されたインクジェット記録材料、および印字後の保存性が改良されたインクジェット記録用インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカやアルミナ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク吸収層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0004】
一方、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同平10−193776号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報等には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが開示されている。この気相法シリカは、一次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、インク吸収性が良好で高い光沢が得られるという特徴がある。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体上に気相法シリカを主体とするインク受容層が塗設された記録材料が提案されている。
【0005】
従来から一般的に用いられてきた紙支持体は、それ自体がインク吸収層としての役割を有していたが、前述したポリオレフィン樹脂被覆紙等の耐水性支持体は、紙支持体と違ってインクを吸収することができないため、支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性が重要であり、インク受容層の空隙率を高める必要がある。従って、気相法シリカの塗布量を多くし、更に、気相法シリカに対するバインダーの比率を低減する必要があった。
【0006】
しかしながら気相法シリカを用いた高空隙率の記録層を有するインクジェット記録材料は、インク吸収性は非常に優れているが、耐水性に劣っていたり、印字後の保管中に印字画像が変色しやすいという問題を有している。即ち、気相法シリカの空隙層を有する記録媒体は、耐光性に劣るだけでなく、特に大気中の微量ガスによる退色が生じやすいという問題が十分には解決できていない。
【0007】
微量ガスによる退色の防止剤および耐光性改良剤として知られている化合物には、気相法シリカからなる多孔質インク受容層に含有した場合、微量ガスによる退色を防止する効果(以降、耐ガス性という)があっても耐光性を悪くしたり、逆に耐光性が良くなっても耐ガス性が悪くなったりするため、耐ガス性および耐光性の両方を改良する化合物は極めて少ないのが実情である。
【0008】
特開平8−25796号公報には、擬ベーマイトからなる多孔質インク受容層にチオ尿素誘導体等の化合物を含有させることにより、耐ガス性を改良できることが記載されている。確かに、気相法シリカからなる多孔質インク受容層にチオ尿素を含有させると耐ガス性を著しく改良することができ、耐光性もある程度は改良される。しかし、チオ尿素誘導体は、人体への悪影響が懸念されるため、使用には制限がある。
【0009】
特開平7−314882号公報には、擬ベーマイトからなる多孔質インク受容層にジチオカルバミン酸塩等の化合物を含有させることにより、耐ガス性を改良することが記載されている。しかし、気相法シリカからなる多孔質インク受容層にジチオカルバミン酸を含有させても、耐ガス性は改良されず、耐光性も劣化する。
【0010】
特開平7−314881号公報には、擬ベーマイトからなる多孔質インク受容層に尿素誘導体、セミカルバジド誘導体、カルボヒドラジド誘導体またはヒドラジン誘導体を含有させることにより、ポリ塩化ビニルフイルムと接触したときの黄変色を防止することが記載されている。しかしこれらの化合物を気相法シリカ等からなる多孔質インク受容層中に含有させた場合の記載はない。また実際に気相法シリカからなる多孔質インク受容層中に尿素を含有させても耐ガス性も耐光性もほとんど改良することはできない。
【0011】
また特開昭61−154989号公報には、合成シリカからなるインク受容層にヒドラジド系化合物を含有することにより耐光性が改良されることが記載されているが、耐ガス性を改良できることは示されていない。
【0012】
さらに前記特開平7−314881号公報、特開昭61−154989号公報に記載されているカルボヒドラジド誘導体については、分子中の窒素原子上の置換基についての詳細な記載はなく、その置換基効果による保存性などへの影響は全く予測できるものではなかった。
一方、これらの保存性の課題をインク受容層面からの改良のみにとどまらず、インク組成面からの改良により向上させる試みもいくつか提案されているものの、前記課題をすべて満足するものはなく、この面からも更なる改良が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、フォトライクの高光沢、高インク吸収性、高耐水性及び保存性が改良されたインクジェット記録用材料およびインクジェット記録用インクを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、インク受容層、特に気相法シリカ微粒子を含有する多孔質のインク受容層に、1位及び5位の少なくとも1つの窒素原子が水素原子以外の2つの置換基により置換されているカルボヒドラジド誘導体を含有することを特徴とするインクジェット記録材料によって達成された。また、このカルボヒドラジド誘導体をインク中に含有させることによっても同様の効果が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録材料は、少なくとも1層のインク受容層を有しており、該インク受容層は無機微粒子を主体に含有する、いわゆる空隙タイプであっても、水溶性ポリマーを主体に含有する膨潤タイプであっても良い。本発明において好ましくは前者のタイプである。用いられる無機微粒子としては、合成シリカやアルミナ水和物が好ましく用いられ、特に気相法シリカが好ましい。上記の空隙タイプは、皮膜中に形成された空隙にインクを吸収させるものであり、高いインク吸収性を発現させるためには空隙容量を高める必要がある。このため、支持体上には比較的多量の気相法シリカ微粒子を塗布する必要があり、また、親水性バインダー量は空隙率を高めるために減量することが好ましい。
【0016】
本発明に用いられる気相法シリカは、インク受容層に8g/m2以上含有するのが好ましく、10〜30g/m2の範囲で用いるのがより好ましい。この範囲より少ないと、インク吸収性が劣る。親水性バインダー量は、気相法シリカに対して10〜40重量%が好ましい。このように親水性バインダーの比率を小さくすることによって、インク吸収性は向上するが、耐水性ならびに印字後の耐光性および耐ガス性が低下しやすく、本発明は、これらの性能を同時に満足させるものである。
【0017】
本発明において、気相法シリカはインク受容層中に主たる割合、すなわちインク受容層の全固形分に対して50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは65重量%以上含有することが好ましい。
【0018】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジル、トクヤマ株式会社からQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0019】
本発明に用いられる気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、3〜30nmが好ましく、より高い光沢を得るためには、3〜20nmが好ましい。BET法による比表面積で表せば、比表面積が50〜500m2/gのものが好ましい。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0020】
本発明において、気相法シリカとともに用いられる親水性バインダーとしては、公知の各種バインダーを用いることができるが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0021】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0022】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0023】
本発明は、上記親水性バインダーと共に架橋剤(硬膜剤)を用いることが好ましい。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸またはほう酸塩が好ましい。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、気相法シリカと組み合わせて、膜面pH3〜6、好ましくはpH3〜5.5のインク受容層に本発明のカルボヒドラジド誘導体を含有することによって、耐水性と印字後の保存性を著しく改良することができる。
【0025】
本発明の別の好ましい態様によれば、気相法シリカと組み合わせて、膜面pH3〜6、好ましくはpH3〜5.5のインク受容層にカチオン性化合物と本発明のカルボヒドラジド誘導体含有することによって、さらに耐水性と印字後の保存性を著しく改良することができる。
【0026】
本発明のカルボヒドラジド誘導体は、1位及び5位の少なくとも1つの窒素原子は水素原子以外の2つの置換基により置換されている。うち好ましい置換基としては、例えば脂肪族基、芳香族基、複素環基、カルボニル基、オキサリル基、スルホニル基、スルホキシ基、ホスホリル基、イミノメチレン基などが挙げられる。またこれらの置換基は、周知の更なる置換基を有していてもよい。特に好ましい置換基は、脂肪族基である。本発明のカルボヒドラジド誘導体は、下記化1の一般式で表すことができる。
【0027】
【化1】
Figure 0004080172
【0028】
化1中、R1、R2、R5、R6は独立して水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、カルボニル基、オキサリル基、スルホニル基、スルホキシ基、ホスホリル基、イミノメチレン基などを表す。R3、R4は独立して水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基などを表す。なおこれらの置換基は、周知の更なる置換基を有していてもよい。そして互いに連結して環を形成してもよく、またポリマーになっていてもよい。但し、1位及び5位の少なくとも1つの窒素原子は水素原子以外の2つの置換基により置換されている。
【0029】
上記のうち好ましい置換基としては、例えば脂肪族基、芳香族基、カルボニル基などが挙げられる。そして特に好ましい置換基としては、R1、R2、R5、R6についてはアルキル基、カルボニル基が挙げられ、R3、R4についてはアルキル基が挙げられる。またこれらの置換基は、周知の更なる置換基を有していてもよい。その例としては、アルキル基の場合は例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基などが挙げられ、カルボニル基の場合は例えばアルキル基、アミノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾ基などが挙げられる。
【0030】
以上述べたうち、特にR1とR2および/またはR5とR6が同時にアルキル基であるカルボヒドラジド誘導体が好ましい。以下に本発明に用いられるカルボヒドラジド誘導体の代表的化合物を例示するが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。なおこれらの化合物は、ヒドラジン類と炭酸エステル類、クロロぎ酸エステル類との縮合反応や、その他既知の合成法により容易に合成することができる。
【0031】
【化2】
Figure 0004080172
【0032】
【化3】
Figure 0004080172
【0033】
【化4】
Figure 0004080172
【0034】
【化5】
Figure 0004080172
【0035】
本発明に用いられるカルボヒドラジド誘導体のインク受容層中における含有量は、0.1〜50ミリモル/m2が好ましく、0.2〜20ミリモル/m2がより好ましい。またインク中に含有させる場合は、インク組成物中において0.05〜15重量%程度が好ましく、0.1〜10重量%程度がより好ましい。
【0036】
本発明に用いられるカチオン性化合物としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上が好ましく、更に5,000〜10万程度が好ましい。
【0037】
これらのカチオン性ポリマーの使用量は気相法シリカに対して1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%である。
【0038】
本発明に用いられる水溶性金属化合物として、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
【0039】
本発明において、特に水溶性アルミニウム化合物あるいは周期表4A族元素を含む水溶性化合物が好ましい。水溶性アルミニウム化合物は、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。特に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
【0040】
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0041】
[Al2(OH)nCl6-nm 式1
[Al(OH)3nAlCl3 式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 式3
【0042】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0043】
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物は水溶性で有れば特に制限はないがチタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物が好ましい。例えばチタンを含む水溶性化合物としては塩化チタン、硫酸チタンが、ジルコニウムを含む水溶性化合物としては酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が知られている。これらの化合物はpHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1重量%以上溶解することを目安とする。
【0044】
本発明において、上記水溶性の金属化合物のインク受容層中の含有量は、気相法シリカに対して0.1〜10重量%が好ましく、更に好ましくは1〜5重量%である。
【0045】
上記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性金属化合物を併用するのが好ましい。
【0046】
本発明において、インク受容層の膜面pHは、J.TAPPI紙パルプ試験方法N0.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した表面pHである。
【0047】
インク受容層のpHは、塗布液の段階で調整するのが好ましいが、塗布液のpHと塗布乾燥された状態での膜面pHとは必ずしも一致しないため、塗布液と膜面pHとの関係を予め実験等によって求めておくことが所定の膜面pHにするために必要である。インク受容層塗布液のpHは、酸またはアルカリを適当に組み合わせて行われる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸が用いられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、または弱アルカリとして、酢酸ナトリウム等の弱酸のアルカリ金属塩が用いられる。
【0048】
本発明のインク受容層は、更に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01重量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性バインダーに対して10〜50重量%の範囲で用いることができる。
【0049】
本発明において、インク受容層に界面活性剤を添加することができる。用いられる界面活性剤はアニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプでもよく、また低分子のものでも高分子のものでもよい。1種もしくは2種以上界面活性剤をインク受理層塗液中に添加するが、2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用する場合は、アニオン系のものとカチオン系のものとを組み合わせて用いることは好ましくない。界面活性剤の添加量はインク受容層を構成するバインダー100gに対して0.001〜5gが好ましく、より好ましくは0.01〜3gである。
【0050】
本発明において、インク受容層には更に、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0051】
本発明に用いられる支持体としては耐水性支持体が好ましい。耐水性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、及び紙の両面にポリオレフィン樹脂をラミネートした樹脂被覆紙が挙げられる。本発明に用いられる耐水性支持体の厚みは、約50〜300μm程度が好ましい。
【0052】
本発明において好ましく用いられる樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0053】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0054】
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
【0055】
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0056】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0057】
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その両面が樹脂により被覆される。また、電子線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などを有し、特に光沢面が優位に用いられる。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚味に表面または表裏両面にコーティングされる。
【0058】
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0059】
本発明において、インク受容層の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0060】
本発明において、インクジェット記録材料には、少なくとも1つの気相法シリカを含有する層に加え、さらにインク吸収層、インク定着層、中間層、保護層等を設けてもよい。例えば、下層に水溶性ポリマー層を塗設したり、上層に膨潤層や多孔質層を塗設しても良い。特に下層の気相法シリカより少ない塗布量でアルミナ水和物の多孔質上層を設けることにより印字濃度が高く保存性に優れたインクジェット記録材料を得ることができる。
【0061】
本発明のカルボヒドラジド誘導体をインク中に含有させる場合、そのインクに用いられる色材は、染料、顔料のいずれであってもよいが、特に染料の場合に有効である。
【0062】
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料など各種染料を使用することができる。
【0063】
例えば染料の例としては、C.I.ダイレクトブラック−4、−9、−11、−17、−19、−22、−32、−80、−151、−154、−168、−171、−194及び−195、C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−142、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236及び−287、C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−15、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110、−189及び−227、C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−86、−87、−88、−135、−142及び−144、C.I.フードブラック−1及び−2、C.I.アシッドブラック−1、−2、−7、−16、−24、−26、−28、−31、−48、−52、−63、−107、−112、−118、−119、−121、−172、−194及び−208、C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−62、−78、−80、−81、−90、−102、−104、−111、−185及び−254、C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−52、−249及び−257、C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76及び−79、ブロジェットシアン1、ブロジェットマゼンタ1、ブロジェットマゼンタ1T、ボルジェットイエロー1G(以上Zeneca社)、AE−SF VP344、Duasyn Brilliant Red F3BSF VP180(以上ヘキスト社)、Basacid Black X34 liquid、Basacid Black X38 liquid、Basacid Red495 liquid、Basacid Blue 752 liquid、Basacid Blue 624 liquid、Basacid Blue765 liquid、Basacid Yellow SE0840 liquid、Basacid Yellow SE0173 liquid、Basacid Yellow 099 liquid(以上BASF社)、Special Black SP liquid、Special Black HF(以上バイエル社)等が挙げられる。これら染料は単独で、あるいは2種以上混合して、さらにはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4原色の他、赤、青、緑等のカスタムカラーに調色したものものを用いてもよい。
【0064】
また、顔料を用いることも可能であり、例えばカーボンブラック、ブリリアントーカミンBS、レーキカーミンFB、ブリリアントファーストスカーレッド、ジアゾイエロー、パーマネントレッドR、ファストイエロー10G、フタロシアニンブルー、ブルーレーキ、ローダミンレーキ等を用いることができる。
【0065】
これら色材の含有量は、全インク量に対して0.5〜20重量%の範囲、より好ましくは1〜10重量%である。
【0066】
本発明のインク組成物に用いられる水溶性有機溶媒としては、保湿剤として作用するものを含有させることができ、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の塩基性溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、全インク量に対して1〜40重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
【0067】
本発明のインク組成物には、次のような有機溶剤をさらに含むこともできる。すなわち、イミダゾール、メチルイミダゾール、ヒドロキシイミダゾール、トリアゾール、ニコチンアミド、ジメチルアミノピリジン、ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、乳酸アミド、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトン、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、1−メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピペラジン、エチレン尿素、プロピレン尿素、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリジノン、アセトアミド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を含むことができる。
【0068】
本発明のインク組成物には、色材の溶解、分散状態をさらに安定化させるため、界面活性剤、分散剤、包接化合物等を添加してもよい。界面活性剤としては、ノニオン、アニオン、カチオンあるいは両性界面活性剤のいずれを用いてもよいが、特にノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、第1級ないし第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩等が使用でき、両性界面活性剤としては、ベタイン、スルホベタイン、サルフェートベタイン等が使用できる。
【0069】
その他、アクリル酸/メタクリル酸/マレイン酸又はそれらの塩を単量体成分とする水溶性ポリマー、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体、シクロデキストリン、大環状アミン類、クラウンエーテル類、尿素、アセトアミド等を用いることができる。その他、必要に応じてpH調整剤、防カビ剤、キレート剤、防腐剤、防錆剤、粘度調整剤あるいは導電剤等を含有させることも可能である。
【0070】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部とは固形分重量部を意味する。
【0071】
実施例1
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5重量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0重量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0重量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5重量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100重量%の樹脂に対して、10重量%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70重量部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30重量部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
【0072】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥して支持体を作成した。
【0073】
気相法シリカとシャロールDC902Pを含む水溶液を高圧ホモジナイザーで分散し、ポリビニルアルコール等を加えて下記組成となるようなインク受容層塗液を調整し、気相法シリカの塗布量が固形分で18g/m2となるように塗布、乾燥してインクジェット記録シートを作成した。尚、いずれの記録シートもインク受容層の膜面pHが4.0になるように調整した。
【0074】
<記録シート1>
気相法シリカ(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m2/g)100部
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重縮合物 3部
(第一工業製薬(株)製、商品名シャロールDC902P)
ポリビニルアルコール 25部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 4部
塩基性ポリ水酸化アルミニウム(理研グリーン株製のピュラケムWT) 2部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント製)
【0075】
<記録シート2>
上記記録シート1のインク受容層に尿素を5ミリモル/m2加えた。
【0076】
<記録シート3>
上記記録シート1のインク受容層にカルボヒドラジドを5ミリモル/m2加えた。
【0077】
<記録シート4>
上記記録シート1のインク受容層に1,5−ジ−tert.−ブチルカルボヒドラジドを5ミリモル/m2加えた。
【0078】
<記録シート5>
上記記録シート1のインク受容層に本発明の化合物(3)を5ミリモル/m2加えた。
【0079】
<記録シート6>
上記記録シート1のインク受容層に本発明の化合物(6)を5ミリモル/m2加えた。
【0080】
<記録シート7>
上記記録シート1のインク受容層に本発明の化合物(9)を5ミリモル/m2加えた。
【0081】
<記録シート8>
上記記録シート1のインク受容層に本発明の化合物(17)を5ミリモル/m2加えた。
【0082】
<記録シート9>
上記記録シート1のインク受容層に本発明の化合物(21)を5ミリモル/m2加えた。
【0083】
得られた各々のインクジェット記録シートについて、インク吸収性、耐水性、印字後の保存性(耐光性及び耐ガス性)、及び光沢度を評価した。その結果を表1に示す。
【0084】
<インク吸収性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−800C)を用いて、C,M,Yをそれぞれ100%で印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
×:転写する。
【0085】
<耐水性>
幅100μmの細線を100μm間隔で印字し、1日放置した後で、35℃90%相対湿度(RH)の条件下に2日間置いた後、細線の滲みを下記の基準で評価した。
○:ほとんど滲んでいなく、細線と細線の間隔が明確である。
△:滲みがあるが、細線と細線の間が完全には潰れていない。
×:細線が滲み、細線と細線の間隔が無くなっている。
【0086】
<耐光性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−800C)を用いてCYMKのインクでそれぞれベタ印字を行い、アトラス社製サンテストCPS光退色試験機にて600W/m2で50時間照射した後、印字部の濃度を測定し、画像残存率(照射後濃度/照射前の濃度)を求め、CMYK画像の内、最も残存率が低いものを表示した。
【0087】
<耐ガス性>
上記耐光性試験と同様に印字後、空気中に室温で4ヶ月間曝露した後、印字部の濃度を測定し、画像残存率(曝露後濃度/曝露前の濃度)を求め、CMYK画像の内、最も残存率が低いものを表示した。
【0088】
<光沢度>
JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って測定した。
【0089】
【表1】
Figure 0004080172
【0090】
光沢度は、いずれの記録シートも60〜65%で、高い光沢を示した。上記結果から明らかなように、本発明のカルボヒドラジド誘導体を用いることによって、高いインク吸収性、高い耐水性を維持しつつ耐光性と耐ガス性が改良される。即ち本発明は、インク吸収性、耐水性および保存性が同時に改良され、かつフォトライクな高光沢が得られる。
【0091】
実施例2
実施例1に用いた気相法シリカを平均一次粒径が15nmのものに代える以外は同様に試験した。その結果、インク吸収性及び保存性はほぼ同じ結果が得られたが、光沢度が3〜6%低下した。
【0092】
実施例3
実施例1の支持体としてポリエステルフイルムを用いる以外は実施例1と同様に試験した結果、実施例1と同様の結果を得た。
【0093】
実施例4
実施例1の支持体上に下記2種類の組成のインク受容層A、B塗布液を同時にスライドビード塗布装置で塗布し乾燥した。下記に示す支持体に近い下層用のインク受容層A、上層用のインク受容層B塗布液は、無機微粒子を9重量%の固形分濃度になるように高圧ホモジナイザーで分散した後調製した。これらの塗布液を、インク受容層Aは気相法シリカが固形で16g/m2、インク受容層Bの擬ベーマイトが4g/m2になるように塗布、乾燥した(記録シート1A)。
【0094】
<インク受容層A塗布液>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径7nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重縮合物 4部
(第一工業製薬(株)製、商品名シャロールDC902P)
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
酢酸ジルコニウム 2部
【0095】
<インク受容層B塗布液>
擬ベーマイト 100部
(平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状)
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
酢酸ジルコニウム 2部
【0096】
塗布後の乾燥条件を下記に示す。
5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90重量%までを45℃10%RHで乾燥し、次いで35℃10%RHで乾燥した。
【0097】
インク受容層Aおよびインク受容層Bに実施例1の記録シート2〜9で用いた化合物をそれぞれ5ミリモル/m2添加して記録シート2A〜9Aを同様に作成した。
【0098】
上記のようにして作成したインクジェット記録シートについて下記の評価を行った。インク吸収性、耐光性および耐ガス性は実施例1に従った。その結果を表2に示す。
【0099】
<印字部濃度>
黒ベタ部の印字濃度をマクベス反射濃度計で測定し、5回測定の平均値で示した。
【0100】
【表2】
Figure 0004080172
【0101】
上記結果に示す通り、実施例1と同じく本発明の優位性は明らかである。
【0102】
実施例5
下記のインクジェット記録用インクを調製した。
[イエローインク−Y1]
ダイレクトイエロー86 2.0g
ジエチレングリコール 22.2g
グリセリン 4.5g
純粋で100mlに仕上げる。
[マゼンタインク−M1]
ダイレクトレッド227 1.8g
グリセリン 3.5g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 21.5g
純粋で100mlに仕上げる。
[シアンインク−C1]
ダイレクトブルー199 2.4g
エチレングリコール 16.1g
グリセリン 9.5g
純粋で100mlに仕上げる。
【0103】
比較例のインク−2は、上記各色のインク−1にカルボヒドラジドを2.5g含有させ、インクY2、M2、C2を得た。
【0104】
本発明のインク−3は、上記各色のインク−1に本発明の化合物(2)を2.5g含有させ、インクY3、M3、C3を得た。もちろん本発明は、黒インクを含めた各色すべてのインクに本発明の化合物を含有させる必要がないことは言うまでもない。
【0105】
本発明のインク−4は、上記各色のインク−1に本発明の化合物(3)を2.5g含有させ、インクY4、M4、C4を得た。
【0106】
本発明のインク−5は、上記各色のインク−1に本発明の化合物(5)を2.5g含有させ、インクY5、M5、C5を得た。
【0107】
得られた各々のインクジェット記録用インクについて、印字濃度、インク吸収性、印字後の保存性(耐光性及び耐ガス性)、及び光沢度を評価した。記録方法は、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM800C)を使用し、実施例1で用いた記録シート1に、上記C、M、Yをそれぞれ100%で印字した。
【0108】
上記のようにして作成したインクジェット記録シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0109】
【表3】
Figure 0004080172
【0110】
光沢度は、いずれの記録シートも60〜65%で、高い光沢を示した。以上より、本発明のカルボヒドラジド誘導体をインク中に含有させることによっても高いインク吸収性、高い耐水性を維持しつつ耐光性と耐ガス性が改良されることがわかる。
【0111】
実施例6
本発明の化合物として(9)、(10)、(11)を用いた以外は実施例5と同様に試験した結果、実施例5と同様の結果を得た。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、高インク吸収性、高耐水性、高光沢でかつ保存性の改良されたフォトライクなインクジェット記録材料およびインクジェット記録用インクが得られる。

Claims (2)

  1. インク受容層に、1位及び5位の少なくとも1つの窒素原子が水素原子以外の2つの置換基により置換されているカルボヒドラジド誘導体を含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 1位及び5位の少なくとも1つの窒素原子が水素原子以外の2つの置換基により置換されているカルボヒドラジド誘導体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
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